ゾンビだらけの崩壊世界を見下ろし視点で生き抜くサバイバルサンドボックス

夜になった途端、暗闇の中からうめき声が近づいてくる。手元にあるのは、石ナイフとわずかな包帯だけ。車のエンジンをかけたいけど、音を出せばゾンビの大群が押し寄せてくるのは明白だ。逃げるか、戦うか、それとも息を潜めてやり過ごすか。こういう「やるかやられるか」のギリギリの判断を、プレイするたびに何度も突きつけてくるのがHumanitZというゲームだ。
HumanitZは、イギリスのインディースタジオYodubzz Studiosが開発し、indie.ioがパブリッシングを担当するオープンワールド・サバイバルサンドボックス。2023年9月に早期アクセスとしてSteamに登場し、約2年半にわたるコミュニティとの二人三脚の開発期間を経て、2026年2月6日にバージョン1.0として正式リリースを迎えた。クォータービュー(見下ろし視点)で描かれるゾンビサバイバルという、ありそうでなかなかなかったスタイルが多くのサバイバルゲームファンの心を掴んでいる。
Steamでの総合評価は「やや好評」で、約9,400件のレビューのうち74%が好評。圧倒的好評とまではいかないけれど、インディータイトルとしては堅実な数字を維持し続けている。2025年4月の大型アップデート「Saddles & Settlements」配信後には同時接続プレイヤー数1,639人を記録し、早期アクセス開始以来の過去最高を更新するなど、リリースからしばらく経った今もなお盛り上がりを見せている注目のタイトルだ。
「HumanitZ」公式トレーラー
こんな人に読んでほしい
- Project ZomboidやDayZのようなハードコアなゾンビサバイバルが好きな人
- 拠点を建てて防衛ラインを構築するのが楽しい人
- 友達と一緒にゾンビだらけの世界を冒険したい人
- カスタマイズ性の高いサバイバルゲームを探している人
- 見下ろし視点のサバイバルゲームに興味がある人
- インディーゲームの成長過程をリアルタイムで体験したい人
HumanitZってどんなゲーム? ― クォータービューで描かれる終末世界
HumanitZの舞台は、ゾンビウイルスの蔓延によって人類文明が崩壊した世界。プレイヤーは一人の生存者として、広大なオープンワールドを探索しながら、食料・水・物資を集め、拠点を築き、ゾンビや敵対的な生存者たちから身を守って生き延びていく。飢え、渇き、感染、そしてゾンビと人間の両方からの脅威。サバイバルゲームに求められるあらゆる要素が、この崩壊した世界にぎっしり詰め込まれている。
最大の特徴は、このジャンルでは珍しいクォータービュー(見下ろし視点)を採用していること。FPSやTPSのゾンビサバイバルは山ほどあるけれど、斜め上から見下ろす形式で本格的なオープンワールドサバイバルを展開しているタイトルは意外と少ない。この視点の恩恵は思った以上に大きくて、周囲の状況を広く把握しながら戦略的に行動できるのだ。建物の中にゾンビが何体いるかを事前に確認してからルートを決める、街の入り口でゾンビの密度を見極めてから突入するかどうか判断する。こういう「先を見越した行動」ができるのは見下ろし視点ならではの体験だ。
マップの広さは16平方キロメートル。5×5のグリッドで構成されていて、住宅地、商業地区、工場地帯、農村エリア、軍事施設など、多彩なロケーションがバランスよく配置されている。開発チームは「マップを広くする」よりも「密度を高める」方針を取っていて、既存のロケーションの配置変更や拡張、新たなPOI(注目ポイント)の追加を重ねてきた。結果として、16平方キロメートルという数字以上に探索しがいのあるマップに仕上がっている。
同じ見下ろし視点のゾンビサバイバルとしてはProject Zomboidが有名だけど、HumanitZはそれよりもアクション寄りのゲームプレイを志向している。Project Zomboidがシミュレーション色の強い「じわじわ追い詰められる恐怖」を描くのに対し、HumanitZは銃や近接武器をガンガン使って戦える「戦いながら生き延びる」スタイル。Project Zomboidでは一体のゾンビにすら殺されかねない緊張感が持ち味だけど、HumanitZでは武器さえ揃えばゾンビの群れを蹴散らす爽快感も味わえる。どちらが優れているという話ではなく、同じ見下ろしゾンビサバイバルでも方向性がかなり違うのだ。

ソロでもマルチでも楽しめる柔軟なプレイスタイル
HumanitZはソロプレイに加えて、オンラインマルチプレイにも対応している。専用サーバーを立てればPvE(協力プレイ)やPvP(対人戦)が楽しめるし、フレンドを招待してのCo-opプレイも可能だ。公式にはCo-opモードは最大4人の協力プレイとなっているけれど、専用サーバーを使えば設定次第で8人、16人といった規模のマルチプレイにも対応できる。
近接ボイスチャット機能も搭載されているので、PvPサーバーでは見知らぬプレイヤーと出会ったときの緊張感がたまらない。味方なのか敵なのか分からない。声をかけてみるか、それとも先制攻撃をかけるか。物資を巡ってトラブルになることもあれば、協力してゾンビの大群を切り抜けることもある。こういう予測不可能な人間同士のドラマが生まれるのが、マルチプレイ対応サバイバルの醍醐味だろう。
Co-opでのプレイ体験は、このゲームの評価を大きく左右するポイントでもある。ソロプレイだと序盤の厳しさが際立つけれど、仲間がいれば役割分担ができるし、拠点防衛も格段に楽になる。一人が見張りをしている間に他のメンバーが建築やクラフトを進める、探索班と拠点防衛班に分かれて効率よく物資を集めるといった連携が自然と生まれる。友達と一緒にプレイしたときの体験を絶賛するレビューが多いのは、マルチプレイでこそ真価を発揮するゲームデザインの証拠と言えるだろう。
サーバーの設定自体もかなり自由度が高い。PvPとPvEの切り替えだけでなく、前述したゾンビの数やダメージ量、襲撃頻度といったパラメータを管理者が自由に調整できるので、サーバーごとに全く異なるゲーム体験が成立する。「このサーバーはゾンビ大量でハードコア」「このサーバーは建築特化でゾンビ少なめ」と、サーバーの個性が出るのは長期的に遊ぶモチベーションにもつながる。レンタルサーバーサービスも複数対応しているので、自前で環境を用意するのが面倒な人でも手軽にサーバーを立てられる。
探索 ― リスクとリターンが交差する廃墟巡り

HumanitZのゲームループの中心にあるのは、やはり探索だ。崩壊した世界に散らばる物資を求めて、一軒一軒、建物を漁っていく。住宅街では食料や日用品が見つかるし、工場や倉庫では建築素材や工具が手に入る。軍事施設には強力な武器や弾薬があるけれど、当然ゾンビの密度も尋常ではない。薬局には貴重な医療品が残されているかもしれないし、車のディーラーには修理可能な車両が放置されていることもある。
この「場所ごとに手に入るものが違う」という設計が、探索にメリハリを生んでいる。「今は食料が足りないから住宅街を回ろう」「武器パーツが欲しいから軍事施設に突入しよう」「車の修理キットを探しにガレージを漁ろう」と、目的に応じて探索先を変える必要がある。無計画に歩き回るのではなく、「今日のミッション」を自分で設定して出かけるような感覚がある。
都市部は物資が豊富だけど、その分ゾンビの密度も高い。街の入り口で群れがうろついているのを見下ろし視点で確認し、裏道から迂回するか、正面突破するかを判断する。建物に入る前に窓からゾンビの気配を確認し、静かに一体ずつ片付けていく。逆に田舎は比較的安全で、農業や釣りで自給自足の生活を築ける。このリスクとリターンのバランスが、探索を飽きさせない秘訣だ。
銃や近接武器の種類が豊富で、車の種類も多くてそれぞれ個性がある。建物の種類も豊富でいろんなお店があって探索が楽しい。
引用元:Steamレビュー(日本語ユーザー)
ただし、アイテムを拾う操作には少しクセがある。落ちている細かいアイテムにフォーカスがなかなか合わず、拾いにくいと感じる場面がある。特に戦闘中に矢を回収しようとしたときに小さすぎてフォーカスが合わないとか、解体したいオブジェクトにキャラクターを向けてもなかなか操作メニューが出てこないとか、細かなストレスが積み重なることはある。このあたりはUIの改善が進むことを期待したいところだ。
クラフト ― 素材集めから装備充実への道のり
サバイバルゲームにおけるクラフトシステムは、ゲームの面白さを左右する重要な要素だ。HumanitZのクラフトは、日用品から武器、車両に至るまで幅広いアイテムの製作をカバーしている。基本的な道具類はインベントリ画面から直接クラフトできるけれど、銃器や高度な装備品は専用の作業台(ワークベンチ)が必要になる。拠点に専用の作業台を設置し、素材を集めて少しずつ装備を充実させていく過程が、サバイバルゲームの本質的な楽しさとして機能している。
武器のカテゴリは大きく分けて、近接武器、銃器、弓などの遠距離武器、そして爆発物・トラップの4種類。近接武器は身の回りのあらゆるものが即席の武器になるけれど、専用の近接武器はダメージが段違いに高い。銃器はピストル、SMG、アサルトライフル、ライフル、ショットガンと種類が豊富で、それぞれにアタッチメントやカスタマイズの余地がある。弓は音を立てずにゾンビを仕留められる貴重な武器で、矢を回収できるのもポイントだ。
クラフトのレシピは職業スキルとも連動している。たとえば「Mechanic」の職業を選べば車両の修理・改造が得意になるし、「Chemist」を選べば薬品や抑制剤の製造に長けるようになる。「Electrical Engineer」なら電気系の設備をクラフトできるようになる。どの職業を選ぶかで、クラフトできるアイテムの幅が変わってくるのが面白い。仲間との役割分担を考えるなら、クラフト面での棲み分けも戦略の一つになる。
ただし、クラフトシステムには不可解な仕様もある。たとえば、棒を削って槍を作るのに「キッチンナイフ」が必要で、自分でクラフトした石ナイフでは代用できない。こうした直感に反するレシピ設計は、ストレスの原因になることがある。「なぜこの素材が必要なのか」が感覚的に分からないレシピがいくつかあって、Wikiや攻略情報に頼らざるを得ない場面がある。
拠点建設 ― 「どこに建てるか」が生死を分ける

拠点建設は、HumanitZの中でも特にやり込み要素が強いパートだ。壁の素材は3段階に分かれていて、木材(建てやすいが脆い)、金属板(バランス型)、鉄筋コンクリート(製作は大変だが耐久力抜群)と段階を踏んでアップグレードしていける。序盤は木材で急いで囲いを作り、素材が揃い次第、少しずつ金属板や鉄筋コンクリートに置き換えていくのが基本的な流れになる。
「どこに拠点を建てるか」は、このゲームにおいて最も重要な戦略的判断の一つだ。周囲の地形を活かしたチョークポイントの設置、車両を停められるスペースの確保、農地として使える土地の近さ、水源へのアクセス、さらには都市部への遠征ルートの利便性まで、多角的に考えて場所を選ぶ必要がある。
既存の建物を占拠して要塞化するという選択肢もある。ゲーム内には、不要な板やガラクタを解体して片付けることができる建物があり、そこを掃除してから壁やバリケードで補強していくことができる。ゼロから建てるよりも初期の防御力が高く、屋根付きの建物なら天候の影響も受けにくい。ただし、建物の構造上、防衛に不向きな間取りの場合もあるので、場所選びは慎重に行いたい。
拠点を作る楽しさと防衛の緊張感。この二つの要素が同時に味わえるのは、サバイバルゲームならではの体験だ。サバイバルゲームの拠点建築といえば、Valheimの自由度の高いビルドシステムを思い出す人も多いだろう。Valheimが「美しい拠点を作る楽しさ」に重きを置いているのに対し、HumanitZの拠点建築は「ゾンビの襲撃をいかに効率よく凌ぐか」という防衛戦略に直結している。壁の配置を一つ間違えればゾンビに突破されるし、チョークポイントの設計がうまくいけば少人数でも大群を捌ける。生死がかかっている分だけ、拠点作りの一手一手に重みがある。

農業・釣り・料理 ― 自給自足で生き延びる
探索で食料を調達するのも良いけれど、安定した食料供給を確保するなら農業が欠かせない。HumanitZでは拠点の近くに農地を作り、種を植えて作物を育てることができる。ただし、農業には水が必要で、レインコレクター(雨水収集器)を設置して水を確保しなければならない。水は料理にも使うリソースなので、農業と料理を両立させるなら、複数のレインコレクターを稼働させる必要がある。
料理システムも意外と充実している。生肉や生魚をそのまま食べることもできるけれど、調理することで回復効果がアップし、食中毒のリスクも下がる。料理レシピの多くは水が必要になるけれど、生の魚や生肉を使ったレシピの中には水を必要としないものもある。水が貴重な序盤では、この違いが生死を分けることもある。
釣りは水を消費せずに食料を得られる手段として重宝する。水辺に行って釣り竿を使えば、安全に食料を確保できる。狩猟も同様に有効な食料調達手段で、野生動物を倒して肉を手に入れることができる。ただし、銃を使った狩猟は音でゾンビを引き寄せるリスクがあるので、弓を使うのが無難だ。
こうした「食料をどう確保するか」という問題は、サバイバルゲームの醍醐味の一つだ。探索で缶詰を拾い集めるのは手っ取り早いけれど、いずれ枯渇する。長期的に安定した生活を送るなら、農業・釣り・狩猟のサイクルを確立する必要がある。この「一時しのぎから持続可能な生活へ」という移行過程が、HumanitZのサバイバル体験に奥行きを与えている。
ちなみに、農業で育てた作物を料理して食べる、というサイクルが軌道に乗ると、探索に出かける理由が「食料確保」から「装備強化」にシフトしていく。この変化が面白くて、ゲームの序盤と中盤でプレイの目的が自然と移り変わっていくのだ。序盤は「今日を生き延びる」ために必死に食料を探し、中盤は「明日の遠征のために」武器や素材を集め、終盤は「エンドゲームエリアに挑むために」最高の装備を揃える。この段階的な目標の変化が、プレイヤーを飽きさせない原動力になっている。
職業・スキルシステムが生む「自分だけの生存者」

バージョン1.0で大幅に刷新された職業・スキルシステムは、HumanitZのリプレイ性を支える重要な柱だ。ゲーム開始時に選べる職業は複数あり、それぞれに固有のスキルツリーが用意されている。レベル30と60のタイミングで追加の職業を選択でき、最終的には3つの職業を組み合わせたマルチクラスが可能になる。この「どの順番で何を選ぶか」という組み合わせの妙が、プレイヤーごとに異なるサバイバル体験を生み出している。
ユニークなのは、初期職業として「Unemployed(無職)」が実は最強クラスだということ。経験値25%アップのボーナスがつくため、序盤の成長速度で他の職業を圧倒する。「無職が最強」というのはなかなかシュールな設定だけれど、とにかくレベルを上げてから本命の職業に転向するという戦略が取れるのは面白い。ゾンビアポカリプスの世界では、過去の肩書きよりも適応力がものを言うということだろうか。
人気の高い職業としては、まず「Mechanic」が挙げられる。車両の修理・改造に長けていて、壊れた車を見つけて直して使えるようにするスピードが段違い。車両は探索範囲を大幅に広げてくれる重要なアセットなので、Mechanicの存在はチーム全体の機動力に直結する。
「Chemist」も人気だ。薬品製造に必要なマグネシウムの入手量が2倍になるため、感染を抑える抑制剤を量産できる。感染ゲージの管理はHumanitZで最も重要な課題の一つなので、Chemistがチームにいると安心感が全然違う。抑制剤が潤沢にある状態とそうでない状態では、プレイのストレス度合いが天と地ほど違うのだ。
「Electrical Engineer」は電気柵などの電力設備を扱える職業で、拠点防衛において真価を発揮する。電気柵はゾンビの侵入を効率的に阻止してくれるので、拠点の防衛力が飛躍的に上がる。ただし、電力供給の仕組みを理解する必要があるため、やや上級者向けの職業と言える。
スキルは武器系、サバイバル系、職業系の3カテゴリに分かれていて、24種類のスキルを自由にカスタマイズできる。荷物容量を増やす「パワーリフター」は探索効率を上げてくれるし、鍵開けが得意になる「ロックピッカー」は施錠された部屋から貴重なアイテムを入手するチャンスを広げてくれる。どのスキルに振るかで探索や戦闘のスタイルが変わってくるので、試行錯誤しながら自分に合った構成を見つけていく楽しみがある。
ゾンビとの戦い ― 音・感染・特殊個体が生む緊張感
HumanitZのゾンビ(ゲーム内では「Zeek」と呼ばれる)は、音に敏感に反応するAIを持っている。銃を撃てば周囲のゾンビが一斉に集まってくるし、車のエンジン音にも反応する。走る音にすら反応することがあるので、ゾンビの近くではスニーク移動が基本になる。だから「銃は強いけどリスクも高い」「近接武器は地味だけど安全」「弓は音が小さくてバランスが良い」というトレードオフが常に存在する。このステルス要素が、単なるゾンビ撃ちゲームとは一線を画す緊張感を生んでいる。
感染システムも独特だ。Zeekの攻撃を受けるたびに感染ゲージが蓄積され、噛みつき攻撃1発で50%も上昇する。引っ掻き攻撃でも少しずつ上がっていくので、油断は禁物だ。感染ゲージが100%に達すると死亡してしまうため、抑制剤の確保や治療手段の準備は常に最優先事項になる。HAZMATスーツを着れば感染リスクを大幅に軽減できるが、動きが制限されるというデメリットもある。「感染を防ぐか、機動力を取るか」という判断を迫られるのが面白い。
ゾンビには複数の亜種が存在する。通常のゾンビに加えて、毒を撒き散らす「Fatty」タイプ、素早く動き回るランナータイプ、さらには感染した野生動物(犬やクマなど)まで。それぞれ対処法が異なるため、遭遇した敵に応じて武器や戦術を切り替える必要がある。Fattyは近づくと毒ダメージを受けるので遠距離武器が有効だし、ランナーは足が速いので狭い場所に誘い込んで戦うのが定石だ。こうした敵の多様性が、戦闘を単調にさせないための工夫として機能している。
このゲーム気づくとずっとやってる。自分的には7 Days to Dieの見下ろし版みたいに思ってるのでそりゃ面白い。探索、戦闘、クラフト、建築、マルチはさらに楽しいだろうなぁ。
引用元:Twitter @zero_izanagi
さらに、ゾンビだけでなく敵対的な人間NPC「バンディット」も脅威として存在する。バンディットはプレイヤーの拠点を定期的に襲撃してくることがあり、ゾンビと違って銃火器で武装しているため、対応は一筋縄ではいかない。ゾンビなら壁で食い止められるけれど、バンディットは銃で壁を壊しにかかってくるので、より堅固な防衛ラインが求められる。サーバー設定で襲撃の頻度を調整できるので、ハードコアな体験がしたい人は頻度を上げ、建築や探索に集中したい人は頻度を下げるといった遊び方ができる。
こうした人間NPCとの戦闘がある点は、Once Humanの敵対勢力との戦いにも通じるところがある。ゾンビだけでなく人間という「考えて動く敵」がいることで、サバイバルの緊張感がぐっと増している。バンディットに襲われている最中にゾンビの群れまで押し寄せてくる、なんていう最悪の展開も珍しくなく、そういう絶望的な状況をどう切り抜けるかがHumanitZの醍醐味の一つだ。

クエストとNPC ― サバイバルの先にある物語

バージョン1.0でクエストシステムが大幅に充実した。マップ上に点在するNPCから依頼を受け、世界の状況を徐々に解き明かしていくメインクエスト的な要素が追加されている。実装されているクエストの総数は170以上にのぼり、サバイバル一辺倒ではなくストーリー面でも楽しめるようになった。
NPCはさまざまな形で世界に存在している。キャンプを形成して小さなコミュニティを築いている者もいれば、世界中を放浪しながらトレーダーとして取引してくれる者もいる。メインクエストのキャンプに行けば、フェッチクエスト(お使い系)を中心とした依頼を受けられる。内容自体はシンプルなものが多いけれど、クエストを通じて世界の背景が少しずつ明かされていくので、探索に目的意識が生まれるのが嬉しい。
注意点として、Co-opやサーバープレイでは、各プレイヤーが個別にクエストを受注・クリアする必要がある。NPCが同行するタイプのクエストは、一度に一人のプレイヤーしか受けられない制限もある。この仕様は協力プレイの一体感を削ぐ部分もあるけれど、一人ひとりが自分のペースでクエストを進められるメリットもある。
もちろん、クエストをまったく無視してサバイバルだけに集中するのも自由だ。HumanitZはあくまでサンドボックスゲームなので、「何をするか」はプレイヤーに委ねられている。クエストは「やりたい人はやればいい」というスタンスで用意されていて、メインストーリーをクリアしなければ先に進めないといった強制は一切ない。拠点建設に没頭するもよし、探索と戦闘に明け暮れるもよし、農業と料理で自給自足生活を極めるもよし。この圧倒的とも言える自由度の高さが、プレイヤーごとに全く異なる体験を生み出している。
1.0正式リリースで何が変わったのか
2026年2月の正式リリースは、単なる「早期アクセス卒業」ではなかった。ゲームの根幹に関わるシステムが大幅に刷新され、事実上の生まれ変わりと言っていい内容だった。変更点があまりにも多いので、主要なものに絞って紹介していく。
まず、前述の職業・スキルシステムの全面改修。各職業に専用のスキルツリーが追加され、マルチクラスによるビルドの自由度が飛躍的に向上した。早期アクセス時代のスキルシステムとは別物と言っていいレベルの大改修で、これだけでもゲームの遊びごたえが大きく変わった。
感染システムも見直された。以前はやや曖昧だった感染の仕組みが、Zeekの攻撃ごとに明確な数値で蓄積される形に変更され、「あと何回攻撃を受けたら危険なのか」が分かりやすくなった。噛みつき1発で50%という数値は厳しいけれど、だからこそ防御手段の重要性が際立つようになっている。
キャラクターモデルも刷新された。早期アクセス時代のモデルと比べて、よりリアルでカスタマイズ性の高いキャラクター作成が可能になった。服装のテクスチャも見直されていて、ビジュアル面での向上が図られている。
そして、新しい島「The Island」の追加。マップの北側に位置するこのエリアは、エンドゲームコンテンツとして設計されている。通常のマップで十分に装備を整え、HAZMATギアを用意してから挑むことを想定した高難度エリアで、より強力な敵とより良い報酬が待っている。サバイバルゲームにありがちな「装備が揃ったらやることがなくなる」問題に対する回答として機能している。
注意点として、1.0リリースに伴い早期アクセス時代のセーブデータやサーバーとの互換性がなくなった。ゼロからのスタートが必要だったわけだけど、システムが根本から変わっているので、新鮮な気持ちで始められるという見方もできる。早期アクセスで何百時間も遊んだプレイヤーにとっては辛い決断だったかもしれないけれど、ゲームの進化のためには必要な判断だったのだろう。
「Saddles & Settlements」アップデートで過去最大の盛り上がり
1.0リリース後も精力的なアップデートは続いている。2025年4月に配信された大型無料アップデート「Saddles & Settlements」では、ついに馬が実装された。サドルを装備すれば馬に騎乗でき、新たな移動手段として活用できる。馬は4種類が用意されていて、それぞれ体力やスタミナのステータスが異なり、餌を与えて世話をする必要もある。ガソリンが枯渇した世界で、馬という「燃料不要の移動手段」が加わったのは、ゲームプレイに大きな影響を与えている。
このアップデートでは馬だけでなく、火炎放射器などの新武器、マップデザインの更新、車両の追加、クラフトシステムの改良、拠点建設のアップグレードなど、大量の新要素が盛り込まれた。「Saddles & Settlements」は1.0リリース以降で最大規模のアップデートとされており、その結果として同時接続プレイヤー数が1,639人を記録し、早期アクセス開始以来の過去最高を更新した。それまでの最高記録が1,531人だったので、100人以上の上積みだ。開発チームが継続的にコンテンツを追加してくれている姿勢は、プレイヤーにとって大きな安心材料になっている。
カスタマイズ性の高さ ― 自分好みのサバイバル体験を作れる

HumanitZの大きな強みの一つが、ゲーム設定のカスタマイズ性だ。ゾンビの出現数、敵からのダメージ量、アイテムのリスポーン率、NPC襲撃の頻度、さらには飢餓や渇きの進行速度まで、サバイバルに関するあらゆるパラメータを細かく調整できる。「今日はゾンビを大量に出してホード戦を楽しもう」「今日は襲撃をオフにして建築に集中しよう」と、その日の気分に合わせて遊び方を変えられるのが嬉しい。
これは特にCo-opプレイで重宝する機能だ。サバイバルゲーム慣れしたメンバーが集まったらハードコア設定に、初心者の友達を誘うときはカジュアル設定に。プレイヤーの好みやスキルレベルに合わせて難易度を自由に設計できるのは、間口の広さという点で高く評価したい。サバイバルゲーム初心者の友達に「一緒にやろうよ」と声をかけるとき、難易度を下げられるというのは思った以上にありがたい機能だ。
通常のサバイバルモードに加えて「シナリオモード」も用意されている。現時点では2つのシナリオが実装されていて、通常モードよりも目的がはっきりしたゲーム体験を提供してくれる。サバイバルのシビアさをやや抑えて、特定のミッションに集中できるモードなので、「サバイバルゲームは好きだけどステータス管理が面倒」という人にも入りやすい設計だ。追加シナリオの実装も予告されているので、今後のコンテンツ拡充にも期待が持てる。
この設定の自由度は、Sons Of The Forestのような固定された難易度設計とは対照的だ。Sons Of The Forestは作り込まれた恐怖体験を一本道で味わう面白さがあるけれど、HumanitZは「自分で体験をデザインする」楽しさがある。どちらのアプローチにもそれぞれの良さがあって、プレイヤーの好みで選べばいい。ただ、サバイバルゲームに慣れていない人にとっては、HumanitZの「自分で調整できる」という特性は間違いなくハードルを下げてくれるだろう。

正直に言うと ― 荒削りな部分も残っている
ここまで魅力を語ってきたけれど、正直なところ、HumanitZには気になる点もそれなりにある。公平を期すために、ネガティブな側面もしっかり触れておきたい。ゲームの購入を検討している人にとって、ここは重要な情報だと思う。
操作性とUIの課題
まず挙げられるのが操作性の問題だ。照準の合わせ方や武器の切り替えなど、基本的な操作がやや独特で、慣れるまでに時間がかかる。特にクォータービュー特有の操作感覚は、他のゲームからの移行組にとっては最初の壁になるかもしれない。インベントリ管理のUIも直感的とは言いがたく、ビルドメニューの文字が小さすぎるという指摘は多い。
落ちている細かいアイテムにフォーカスがなかなか合わず拾いにくい。解体したい物にキャラを向けてもなかなかフォーカスしない。飲食アニメーションが長すぎる。
引用元:Steamレビュー(日本語ユーザー)
飲食アニメーションの長さも不満点として挙がることが多い。サバイバルゲームでは頻繁に食事や水分補給をする必要があるのに、そのたびに長めのアニメーションが入るのはテンポを損なう。ゾンビに追われている最中に水を飲みたいのにアニメーションが長くて間に合わない、なんていう場面は本当にもどかしい。
バグとローカライズの問題
バグの多さも、プレイヤーからよく指摘されるポイントだ。アップデートのたびに新しいバグが生まれることがあり、テキストが全て同じ内容に置き換わってしまったり、アイテムを床に落とすと消失してしまったりする不具合が報告されている。致命的なバグは比較的少ないものの、細かな不具合の積み重ねはプレイ体験にジワジワと影響する。
日本語ローカライズについても、対応はしているものの一部が翻訳されていなかったり、翻訳品質にばらつきがあったりする。メニューの一部が英語のままだったり、アイテム名の翻訳が不自然だったりする場面に遭遇することがある。ゲームを楽しむ上で致命的ではないけれど、没入感を削ぐ要因にはなっている。英語が苦手な人にとっては、ストレスになるかもしれない。
面白いゲームなんだけど、UIが使いにくいのと細かいバグが多い。アプデのたびに直ってるけど、同時に新しいバグも増えてる印象。
引用元:Steamレビュー(日本語ユーザー)
ただ、これらの問題に対して開発チームが積極的にアップデートで対応していることは強調しておきたい。1.0リリース後も頻繁にパッチが配信されていて、コミュニティからのフィードバックを反映する姿勢は見せてくれている。バグ報告に対するレスポンスも早く、深刻な問題はホットフィックスで対応されることが多い。インディースタジオの作品であることを考えれば、このサポート体制はむしろ好感が持てる。
見下ろし視点サバイバルとしての立ち位置

サバイバルゲームは今や数え切れないほど多くのタイトルがリリースされていて、「またサバイバルか」と食傷気味な人もいるだろう。その中でHumanitZはどういう立ち位置にいるのか、少し整理してみたい。
まず、見下ろし視点のサバイバルゲームというカテゴリで見ると、最大のライバルはやはりProject Zomboidだ。Project Zomboidは極めてシミュレーション寄りで、細かいステータス管理や環境シミュレーションの深さで群を抜いている。体温管理、精神状態、怪我の治療、建物の電力と水道の停止タイマーなど、リアリティの追求に妥協がない。一方のHumanitZは、アクション性の高い戦闘と、職業システムによるRPG的な成長要素が特徴。「見下ろしゾンビサバイバル」という括りは同じでも、プレイ体感は結構違う。Project Zomboidが「どうやって一日でも長く生き延びるか」を問うゲームだとすれば、HumanitZは「どうやってこの世界を攻略するか」を問うゲームだ。
見下ろし視点でサバイバルとアクションを組み合わせたゲームとしては、V Risingも近い感触を持っている。V Risingも見下ろし視点で拠点建築とアクションを組み合わせたゲームだけど、こちらは吸血鬼がテーマ。ゾンビサバイバルの泥臭さとは方向性が異なるものの、見下ろし視点ならではの戦略性を楽しめるという共通点がある。V Risingがスタイリッシュなダークファンタジーを志向しているのに対し、HumanitZはもっと地に足のついた「サバイバル感」を大事にしている。

Co-opサバイバルとしての完成度では、ICARUSやEnshroudedといったタイトルが競合になる。ICARUSはセッション制という独自のシステムで緊張感を演出しているし、Enshroudedはアクションの爽快感で差別化している。HumanitZはこれらと比べるとまだ荒削りな部分が残るけれど、見下ろし視点という独自のポジションと、カスタマイズ性の高さで独自の存在感を示している。特に「ゲーム設定を自分好みにカスタマイズできる」という点では、これらの競合タイトルよりも自由度が高い。

Steamレビューから見えるリアルな評判
Steamでの総合評価は「やや好評」で、約9,400件のレビューのうち74%が好評という結果になっている。直近30日間のレビューでも702件中74%が好評と、安定した評価を維持している。
好意的なレビューで目立つのは「探索の楽しさ」「クラフトの奥深さ」「Co-opの面白さ」を挙げる声。特に友達と一緒にプレイしたときの体験を絶賛するレビューが多い。「一軒一軒の建物に入れるのが嬉しい」「武器や車のバリエーションが豊富で飽きない」「マルチで遊ぶと時間が溶ける」といった感想が並ぶ。
否定的なレビューでは「バグの多さ」「操作性の悪さ」「日本語ローカライズの不完全さ」が主な不満点として挙がっている。特に1.0リリース直後はバグ報告が集中し、一時的にレビュー評価が下がった時期もあった。「1.0」という看板を掲げているのに完成度がそこまで高くないのでは、という指摘は的を射ている部分もある。
ただ、興味深いのは「おすすめしない」としながらも「ポテンシャルは感じる」「アップデートに期待」と書いているレビューが少なくないこと。ゲームの根幹にある面白さは認めつつも、現時点の完成度には満足できていないという、もどかしい感情が見て取れる。こういう「愛のあるネガティブレビュー」が多いゲームは、伸びしろがあるとも言える。プレイヤーがゲームに対して期待を持っているからこそ、「もっと良くなるはず」という気持ちが込められた指摘が生まれる。開発チームにとっては厳しい評価かもしれないけれど、見方を変えれば、これほど建設的なフィードバックが集まるのは恵まれた環境だ。
Soulmaskも似たような評価の推移を辿ったタイトルだ。リリース初期には荒削りな部分が目立ったけれど、開発チームの継続的なアップデートで着実に改善されていった。HumanitZにも同様の成長が期待される。

HumanitZの世界をもっと楽しむためのヒント

序盤を乗り越えるコツ
HumanitZの序盤はかなりシビアだ。装備もなく、スキルも育っていない状態でゾンビの群れに囲まれたら、あっという間にゲームオーバーになる。初めてプレイする人が最初の数時間で挫折してしまうケースも少なくない。序盤を乗り越えるためのポイントをいくつか押さえておこう。
まず何より大切なのが、音を立てないこと。銃を手に入れても序盤は我慢して近接武器で戦ったほうがいい。銃声はゾンビだけでなくバンディットも引き寄せてしまう可能性がある。近接武器の中では、石ナイフよりも鈍器系(バットやパイプなど)のほうがゾンビに対して有効な場合が多い。弓をクラフトできるようになったら、弓をメイン武器にするのが安定する。弓は音が小さいのでゾンビを大量に引き寄せるリスクが低く、矢の回収もできるので弾薬の心配も少ない。序盤の生存率を大きく左右する選択なので、覚えておいて損はない。
次に、拠点の場所選び。序盤は都市部から離れた田舎のポツンとした一軒家を見つけて、それを拠点にするのが安全だ。周囲にゾンビが少ない場所で、まずは農業や釣りで食料基盤を整えてから、徐々に都市部への遠征を始める流れが堅実だ。最初から都市部に拠点を構えようとすると、ゾンビの密度が高すぎて苦労する。
職業選びも重要なポイントだ。前述の通り、初期は「Unemployed」で経験値ボーナスを稼ぎ、レベル30到達時に本命の職業を選ぶのが効率的。ソロプレイなら万能な「Mechanic」が使いやすいし、仲間とCo-opプレイするなら、Mechanic(車両担当)とChemist(薬品担当)を分担すると心強い。Electrical Engineerは序盤よりも中盤以降に真価を発揮するので、最初の職業としてはやや上級者向けだ。
水の確保も序盤の鬼門だ。レインコレクターを設置すれば雨水を自動的に収集してくれるけれど、それまでは探索で見つけたウォーターボトルや川の水に頼ることになる。川の水はそのまま飲むと体調を崩すことがあるので、できれば沸かしてから飲みたい。水がないと農業も料理もできないので、レインコレクターの設置は最優先事項の一つだ。
拠点防衛のポイント
拠点を建てたら、次は防衛だ。壁は最初は木材で十分だけど、バンディットの襲撃が始まると木材では心もとない。金属板、さらに鉄筋コンクリートへとアップグレードするために、計画的に素材を集めておこう。鉄筋コンクリートの壁は製作に時間と素材がかかるけれど、その耐久力は木材の比ではない。
防衛で意外と重要なのが、チョークポイントの設計だ。ゾンビやバンディットの侵入経路を一か所に絞り込むように壁やフェンスを配置すると、少人数でも効率よく防衛できる。入り口を一つだけにして、そこにトラップや電気柵を集中配置するのが基本戦術だ。Electrical Engineerのスキルがあれば電気柵を設置でき、防衛力が飛躍的に上がる。電気柵に触れたゾンビは感電ダメージを受けるので、壁の前に電気柵を配置しておけば、壁に到達する前にゾンビを弱らせることができる。
脱出ルートの確保も忘れてはいけない。拠点を完全に密閉してしまうと、万が一突破されたときに逃げ場がなくなる。裏口や地下通路など、いざというときの脱出経路を用意しておくのが生き残りのコツだ。
車両と馬の活用
HumanitZの世界には複数のタイプの車両が存在する。小型車は機動力に優れるが積載量が少なく、大型車は積載量が多い代わりに燃費が悪い。車両は単なる移動手段ではなく、探索で得た物資を大量に持ち帰るための生命線でもある。徒歩では持ち帰れない量の物資も、車があれば一度の遠征で全部運べる。
車両の整備にはMechanic系のスキルが大きく影響する。壊れた車を見つけてパーツを交換し、燃料を補給して走れるようにする過程は、まさにサバイバル感満載だ。タイヤが一本なくても走れないし、バッテリーが上がっていてもエンジンがかからない。燃料タンクに穴が空いていれば燃料が漏れ出す。パーツを一つずつ探してきて組み上げていく達成感は、クラフトシステムの延長線上にある楽しさだ。
馬も移動手段として追加されていて、燃料が手に入らない状況でも移動手段を確保できるようになった。4種類の馬はそれぞれ体力やスタミナのステータスが異なるので、用途に合った馬を選ぶのも楽しみの一つだ。馬には餌を与える必要があるので完全にメンテナンスフリーではないけれど、ガソリンよりは調達しやすい。車ほどの積載力はないけれど、燃料切れの心配がないのは大きなメリットだ。
車両と馬を使い分けるのが理想的だ。長距離の大量輸送には車、日常的な移動には馬というように、状況に応じて最適な移動手段を選ぶ。終末世界で馬に乗ってゾンビだらけの街を駆け抜けるのは、なかなか絵になる光景でもある。移動手段の確保は生存圏を広げることに直結するので、車両や馬の入手は常に優先度の高い目標として設定しておきたい。
早期アクセスからの歩み ― コミュニティと歩んだ2年半
HumanitZの歴史を振り返ると、早期アクセスからの進化の軌跡がこのゲームの性格をよく表している。2023年9月のリリース当初は、正直なところ「粗いけど光るものがある」という評価が大半だった。見下ろし視点のゾンビサバイバルというコンセプト自体は面白いけれど、バグが多く、コンテンツも薄い。多くのプレイヤーが「ポテンシャルはあるが現状ではおすすめしにくい」というレビューを書いていた。
しかし、開発チームYodubzz Studiosの対応は早かった。コミュニティからのフィードバックを積極的に取り入れ、頻繁にアップデートを配信。バグ修正だけでなく、新しいコンテンツの追加やゲームバランスの調整も並行して行われた。小規模なインディースタジオにしては驚異的なアップデート頻度で、プレイヤーからの信頼を少しずつ積み重ねていった。開発チームのDiscordやSteamコミュニティでは、プレイヤーの提案に対して開発者が直接回答する場面も珍しくなく、この距離の近さが信頼関係を築く土台になった。
特に大きな転機となったのが、2025年4月の「Saddles & Settlements」アップデートだ。馬の実装、火炎放射器の追加、マップの大幅な刷新と、内容の充実ぶりが話題を呼び、同時接続プレイヤー数が過去最高の1,639人を記録した。早期アクセス開始から約1年半が経過した時点で「過去最高の盛り上がり」を記録するというのは、通常ではなかなか見られない現象だ。普通のゲームなら、時間が経つほどプレイヤーが減っていくものだけど、HumanitZはアップデートのたびにプレイヤーを呼び戻す力を持っていた。
そして2026年2月の1.0正式リリース。職業・スキルシステムの全面刷新、感染システムの改修、エンドゲームコンテンツとしての新島追加、170以上のクエスト実装と、まさに「生まれ変わった」と言えるレベルの大改修だった。早期アクセスで遊んでいたプレイヤーにとっては、同じゲームとは思えないほどの変化だったはずだ。1.0リリースの際にはSteamでの40%オフセールも実施され、新規プレイヤーの流入も促した。
この「コミュニティのフィードバックを受けてゲームが進化していく」というサイクルは、インディーゲームの理想的な開発モデルと言えるかもしれない。大手パブリッシャーのように莫大な開発費を投入できない代わりに、プレイヤーと一緒にゲームを作り上げていく。HumanitZの早期アクセスの歩みは、まさにそのお手本のような事例だ。
どんなプレイヤーにおすすめなのか

HumanitZは万人向けのゲームではないと正直に言っておきたい。操作性やUIの粗さ、バグの多さを含めて楽しめる寛容さが必要だし、サバイバルゲームの基本的なリテラシーがないと序盤で挫折する可能性がある。でも、逆に言えば、その壁を乗り越えた先には他では味わえない濃密なサバイバル体験が待っている。
まず強くおすすめしたいのが、Project ZomboidやDayZのようなハードコアサバイバルが好きだけれど、もう少しアクション性が欲しいという人。HumanitZは見下ろし視点の戦略性を保ちながら、テンポの良い戦闘を楽しめるバランスを持っている。Project Zomboidほどシビアではないけれど、カジュアルすぎもしない。ちょうどいい塩梅のハードコアさが魅力だ。
次に、友達と一緒にサバイバルゲームを始めたいという人。カスタマイズ性の高さのおかげで、メンバーのスキルレベルに合わせた難易度設定ができるし、職業システムによる役割分担もCo-opの楽しさを底上げしてくれる。「俺はMechanicで車を直すから、お前はChemistで薬を作ってくれ」みたいな会話が自然と生まれるのが良い。
そして、見下ろし視点のゲームが好きな人にもおすすめだ。RimWorldで集落を運営した経験がある人なら、この視点での情報管理に慣れているだろう。HumanitZでは、その俯瞰視点を活かしてゾンビの群れを戦略的にさばく快感が味わえる。RimWorldとはジャンルが全然違うけれど、「上から見下ろして状況を把握し、最善の判断を下す」という体験の本質は共通している。
逆に、グラフィックの美しさを重視する人や、完成度の高い洗練されたゲームを求める人には現時点ではおすすめしにくい。AAA級の作品と比較してしまうと、インディーゲームゆえの粗さは否めない。まだ発展途上の部分があることは間違いないので、そこを許容できるかどうかが分岐点になる。
「サバイバルゲームはやったことないけど興味がある」という完全初心者にとっては、カスタマイズ性の高さが救いになる。ゾンビの数を減らし、ダメージを下げ、飢えや渇きの進行を遅くすれば、かなりカジュアルな体験ができる。最初は易しめの設定で操作に慣れてから、徐々に難易度を上げていくというアプローチもできる。サバイバルゲームへの入口としても機能するポテンシャルを持ったタイトルだ。
今後のアップデートへの期待
HumanitZは正式リリースを迎えた後も、開発チームが精力的にアップデートを続けている。シナリオモードは現在2つだけだけど、追加シナリオの実装が予告されているし、既存のシステムの改善も継続的に行われている。開発チームのDiscordやSteamコミュニティでは、プレイヤーからのフィードバックに対して開発者が直接回答する場面も多く、コミュニティとの距離が近いのが印象的だ。
Steamのレビュー傾向を見ると、大きなアップデートのたびに評価が改善されている。特に「Saddles & Settlements」アップデート後は同時接続数が過去最高を記録しており、開発チームとコミュニティの間に良い循環が生まれているように見える。新しいコンテンツが追加されればプレイヤーが戻ってくるし、プレイヤーのフィードバックが次のアップデートに反映される。この好循環が続く限り、HumanitZの未来は明るいと言えるだろう。
インディーゲームの醍醐味は、コミュニティのフィードバックを受けてゲームが成長していく過程をリアルタイムで体験できること。HumanitZはまさにその真っ只中にいるタイトルだ。今の段階で触れておけば、ゲームが完成度を高めていく過程を楽しめるし、将来的にシステムが洗練されたときに「初期から遊んでたんだよ」と言える贅沢な体験ができる。
同じくCo-opサバイバルとして長期的なアップデートでゲーム体験を豊かにしてきたDon’t Starve Togetherは、その好例だ。初期はシンプルなサバイバルゲームだったけれど、何年にもわたるアップデートでコンテンツが充実し、今では定番Co-opサバイバルの一つに数えられている。HumanitZにも同じような成長を期待したいし、開発チームの姿勢を見る限り、その可能性は十分にある。

まとめ ― 荒削りだけど「光るもの」がある一作
HumanitZは、見下ろし視点のオープンワールド・ゾンビサバイバルという独自のポジションを確立したタイトルだ。クラフト、拠点建設、探索、戦闘、職業システム、農業、クエストと、サバイバルゲームに求められる要素をしっかり押さえつつ、カスタマイズ性の高さで幅広いプレイスタイルに対応している。16平方キロメートルのマップは数字以上に密度が高く、一軒一軒の建物を漁る楽しさが詰まっている。
操作性やバグといった課題は残っているけれど、開発チームの積極的なアップデート姿勢と、コミュニティとの良好な関係は、このゲームの将来に対する期待を持たせてくれる。1.0リリース後の「Saddles & Settlements」アップデートで同時接続1,639人という過去最高の盛り上がりを見せたことが、その証拠だろう。
ゾンビの群れをかいくぐって物資を漁り、仲間と協力して拠点を築き、バンディットの襲撃を凌ぐ。感染ゲージに怯えながら抑制剤を探し、壊れた車を修理して新たな探索エリアに乗り出す。馬に乗って広大なマップを駆け抜け、新しい島のエンドゲームコンテンツに挑む。そんな「一日一日を必死に生き延びる」体験を、見下ろし視点ならではの戦略性で味わえるのがHumanitZだ。
完璧なゲームではない。でも、完璧じゃないからこそ、これからの成長が楽しみなゲームでもある。サバイバルゲームが好きなら、この荒削りだけど確かに光るものを持ったタイトルに、一度は触れてみる価値があると思う。
最後に一つ付け加えておくと、HumanitZはセール時に40%オフで販売されることがある。定価でも2,300円と手頃な価格だけど、セールを狙えばさらにお得に始められる。サバイバルゲームの新境地を体験するコストとしては、かなりリーズナブルだ。見下ろし視点でゾンビの群れを見渡しながら、仲間と「次はどこを探索する?」と相談する。そんな何気ない瞬間に、このゲームの魅力が詰まっている。
HumanitZ
| 価格 | ¥2,300-40% ¥1,380 |
|---|---|
| 開発 | Yodubzz Studios |
| 販売 | indie.io |
| 日本語 | 非対応 |
| 対応OS | Windows |
| プレイ形式 | シングル / マルチ |

