「Resident Evil 5」シリーズ最高売上1500万本のCo-opアクション

バイオハザード5を初めて起動したとき、友人から電話がかかってきた。「今日暇? 一緒にバイオやらない?」——そのひと言がなければ、たぶん自分はこのゲームをここまで深くやり込んでいなかったと思う。

2009年当時、バイオハザードシリーズはすでに世界規模のIPだった。でも「5」はそれまでとは明らかに違うものを目指していた。一人でこっそり暗い部屋でプレイするホラーゲームから、ふたりで声を上げながら戦う「アクション体験」へのシフト。その変化を象徴するのが、完全Co-op対応というシステムだ。

友人とオンラインでつないで、クリス・レッドフィールドとシェバ・アロマーのふたりを操作しながらアフリカの地を駆け回る。ゾンビ(マジニと呼ばれるが、見た目は完全に人間)の大群が押し寄せてくる中で「弾足りないから分けてくれ!」「こっちは余ってる、どうぞ!」とアイテムを融通し合う。ボス戦では「今のうちにプレッシャーポイント押してくれ!」と叫び合う。

この体験は、バイオハザードとしての文脈とは別のところで、純粋に「ゲームで友達と遊ぶ」という原始的な楽しさを思い出させてくれるものだった。その後も何度か一緒にやり直したが、毎回どこかで笑いが起きる。「そこで撃つな!」「弾持ってるんだから渡せよ!」という小競り合いも含めて、バイオ5は「ゲーム体験を通じた会話」が自然に生まれる設計になっている。

バイオハザード5が2009年3月の発売から現在(Steamでは2015年のPC版リリース)に至るまで、累計1,500万本以上を売り上げてシリーズ最高販売本数を記録(当時)した理由は、この「ふたりで遊べるバイオ」という一点に尽きると思う。正確には「一人でもクリアできるが、ふたりのほうが圧倒的に面白い」という絶妙なバランス感覚だ。

2009年のゲーム業界は、Co-opブームの最中にあった。Left 4 Deadがヒットして「友達と一緒にやるゲームの時代」が来つつあった。そこにカプコンが「あのバイオハザードがCo-opになった」というカードを切った。それだけでも衝撃は大きかったし、「バイオハザード」というブランドの引力が掛け算になって、初週販売だけでシリーズ記録を更新する結果を呼んだ。

ただ、当時のプレイヤーが気づいていたのは「このゲームは売れ方が独特だ」ということだ。「バイオハザードシリーズのファン」が買うのはもちろんだが、「友人に誘われてはじめてバイオシリーズを触った」という層が明らかに多かった。口コミの力と、Co-opというシステムの拡散力が組み合わさって、1,500万本という数字が積み上がっていった。

目次

バイオハザード5はこんな人に向いている

Resident Evil 5 TPS スクリーンショット1

バイオハザード5がどんな人に刺さるのか、最初に正直に書いておきたい。

ひとつめは「誰かと一緒にゲームをしたいけど、ジャンルで悩んでいる人」だ。バイオ5のCo-opは、FPSのような反応速度勝負でもなく、MMORPGのような長期コミットメントでもない。TPS(三人称視点シューター)のアクションゲームとして、2〜3時間のセッションで十分楽しめる。フレンドと「今日、バイオ5一緒にやってみようよ」と気軽に始められるのがいい。

ふたつめは「バイオハザード4をクリアして、次の作品が気になる人」だ。4から5への変化は大きいし、批判もある。でも「バイオ4が好きだった」という前提がある人なら、5の良さをより深く感じられる部分が多い。

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みっつめは「Co-opゲームの沼にハマっている人」だ。Left 4 Dead、Outriders、Deep Rock Galactic——このあたりのCo-op作品が好きな人なら、バイオ5のCo-opシステムの完成度に驚くはずだ。リソース管理(弾薬・回復薬・インベントリの共有)と戦闘の組み合わせは、意外なほど戦略的で奥が深い。

よっつめは「マーセナリーズモードの中毒性を知りたい人」。これは記事の後半で詳しく書くが、バイオ5のマーセナリーズはシリーズで最も完成度が高いと個人的には思っている。本編クリア後にそちらの沼に落ちたプレイヤーは本当に多い。

ただし、「バイオハザードはホラーゲームとして楽しみたい」「怖い体験がしたい」という人には正直なところ向いていない。バイオ5はシリーズの中でも「ホラー感が薄い」という批判が多く、実際その通りだからだ。怖さを求めるなら、バイオハザード7やヴィレッジのほうが向いている。

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バイオハザード5の基本——アフリカが舞台、ふたりで戦う、バイオの転換点

バイオハザード5の舞台はアフリカのキジュジュという架空の地域だ。BSAA(生物兵器対策機構)の捜査官クリス・レッドフィールドが、生物兵器が売買されているという情報を元に現地へ赴く。そこで出会うパートナーがシェバ・アロマー——アフリカのBSAAエージェントで、現地の事情を知る重要な人物だ。

物語が進む中で、クリスは旧知の人物の影を感じることになる。バイオ1から登場してきたウェスカーとの因縁が、この作品でひとつの決着を迎える。そういう意味で、バイオ5はバイオハザード旧シリーズの「ファイナルアンサー」的な位置付けを持っている。

ゲームシステムとして特筆すべきはいくつかある。まず視点はバイオ4と同様の「肩越し視点」(TPS)だ。移動しながら射撃はできない仕様で、これがバイオ4からの継承点であり、のちのバイオ6から変更される部分でもある。

インベントリはメインウェポン2枠+サブアイテム7枠という構成で、持てる量に明確な上限がある。Co-opプレイ時はパートナーとアイテムを「送る」ことができ、「弾くれ」「グレネード欲しい」というやりとりが頻発する。このインベントリのやりくりがCo-opの面白さのひとつになっている。

ゲームは全6チャプターで構成されており、各チャプター内にいくつかのエリアが存在する。ボリュームとしては一周あたり8〜12時間前後が目安だ。難易度はアマチュア、ノーマル、ベテラン、プロフェッショナルの4段階。プロフェッショナルはかなり手ごわく、Co-op前提のプレイでも相応の立ち回りが求められる。

ステージの作りは大きく「屋外フィールド」と「施設内部」のふたつに分かれる。序盤のキジュジュ村はアフリカの集落を再現した開放的なエリアで、遮蔽物を使いながら大量のマジニと戦う。チャプター2以降は廃工場や沼地、チャプター後半では施設内部の戦闘が増えてくる。多様なロケーションのおかげで「このゲーム、ずっと同じ景色だな」という単調感は少ない。

敵の種類もそれなりに豊富だ。基本的なマジニのほか、大型の鎧武者風マジニ(シールドを持ちながら突進してくる)、ガトリングガンを持って登場するビッグマン、そして各チャプターに配置された固有のボスキャラクター。ボスのデザインはバイオ4を引き継ぐ「異形生物」路線で、「これどう倒すんだ」と思わせる独特の外見が多い。

弱点を狙うという設計はバイオ4と同じだ。ボスの特定部位を集中攻撃してダメージを通し、ひるんだところで近づいてフィニッシュ攻撃(アクションボタン)を当てて大ダメージを与えるという基本パターンがある。Co-opでは片方がダメージを与えてひるませ、もう片方がフィニッシュを決めるという連携が気持ちいい。

バイオハザード4との違い——同じようで根本的に別のゲーム

バイオ5と4は見た目がよく似ている。肩越し視点、ボスとの激しい戦闘、アクションゲームとしての爽快感。でも実際に両方やってみると、根本的に別のゲームだと気づく。

最大の違いは「Co-opが前提の設計かどうか」だ。バイオ4は完全な一人用ゲームで、単独のキャラクターが孤独に戦い続ける緊張感がある。暗い城の中で弾が尽きそうになりながら進む、あの息詰まる体験は4ならではのものだ。

バイオ5は、設計の段階からふたりのプレイヤーを前提にしている。敵の数が圧倒的に多く、一人で戦うにはかなりの難しさがある。シェバをAIに任せる一人プレイは確かにできるが、正直なところAIパートナーの動きには限界があり、ある程度の慣れが必要だ。

バイオ5を一人でやるのはシェバのAIと格闘するゲームになる。友達と二人でやれば別ゲーくらい楽しい

引用元:Steamレビュー

もうひとつ重要な違いが「商人システムの有無」だ。バイオ4には「商人」と呼ばれるNPCが要所に登場し、武器の購入・強化・売却ができた。このキャラクターの存在感が独特で、「あのおっさんにまた会いに行こう」という感覚がプレイヤーのモチベーションになっていた部分もある。

バイオ5では商人は登場せず、代わりにチャプター間の「ストアフェイズ」で武器の購入・強化・売却が行える。タイミングは制限されているが、Co-opの場合はパートナーと一緒に購入を相談できる。「俺このステージでマシンガン強化したいんだけど、お前は何使う?」という事前協議がCo-opの楽しさのひとつになっている。

そして「ホラー感」の違いも大きい。バイオ4には村の雰囲気、お城の不気味さ、島の閉塞感があった。プレイ中に「ここ怖いな…」と感じる瞬間が確かにあった。バイオ5はアフリカの明るい屋外を舞台にしていることが多く、ホラー的な演出は薄い。敵が大群で押し寄せてくるスリルはあるが、恐怖というよりはアクション映画的な興奮に近い。

ゲームのテンポ感も違う。バイオ4は適度に「静かなシーン」があって、緊張と弛緩のリズムが意図的に設計されていた。バイオ5は基本的にずっと戦闘が続く。休める時間が少ないため、純粋なプレイ密度という意味では濃い体験ができるが、「緩急がない」と感じるプレイヤーもいる。

この変化については批判も多い。「バイオハザードがホラーじゃなくなった」という声は当時から上がっていた。ただ、バイオ4の段階ですでにかなりアクション寄りになっていたことも事実で、5はその延長線上にある作品として見るべきかもしれない。バイオ4から5への変化を「劣化」と見るか「進化」と見るかは、結局のところ「自分がバイオに何を求めているか」によって変わる。

アフリカという舞台の賛否——今なお語られる文脈

バイオハザード5が発売当時から現在に至るまで議論の的になっているのが、「アフリカを舞台にして、アフリカ系の敵キャラクターを大量に倒す」という構図への批判だ。

これは発売前のトレーラー公開時点から、海外メディアを中心に「人種差別的ではないか」という指摘があった。開発元のカプコンは、ゲームの世界設定として架空の地域を舞台にしていること、シェバ・アロマーという現地出身のアフリカ系女性キャラクターを主人公のパートナーとして設定していることなどを説明した。

ゲームとしての文脈で見れば、マジニはプラーガという寄生生物に感染して意思を失った存在であり(バイオ4のガナードと同じ構造)、バイオ5のゲームプレイは「感染者との戦闘」という体裁を取っている。「人種的マイノリティを敵として倒す」ことへの批判は単純化しすぎているという見方もある。

一方で、「問題提起自体は意味があった」という立場もある。メディアにおける人種の表現という問題を考えるきっかけとして、バイオ5が引き起こした議論は今も参照される。

ゲームの評価としては、この論争と切り離して「プレイ体験として面白いかどうか」を問うことができる。実際、世界中でバイオ5は高い評価を受け、1,500万本という販売本数はその証明だ。ただし「この文脈を知らずにプレイするのと、知った上でプレイするのは違う」という点は、2026年の視点から遊ぶ人には伝えておきたい。

Co-opの完成度——バイオハザードシリーズ随一、と断言できる理由

Resident Evil 5 TPS スクリーンショット2

バイオ5のCo-opがなぜシリーズ随一なのか。それは「Co-opが後付けのオマケではなく、ゲームの設計そのものに織り込まれているから」だ。

バイオ6もCo-opに対応しているし、バイオリメイクシリーズの一部もそうだ。でも5の場合、2人プレイを前提にレベルデザインが行われている。敵の配置、ギミック、ボス戦——どこを切っても「ふたりいることで機能する設計」になっている。

バイオ6は4人Co-op(キャンペーンによって異なる)に対応しているが、バイオ5ほど「ふたりの関係性」が設計の核にあるゲームではない。6はスケールアップした分、ひとりのプレイヤーとして没入する感覚が薄れた、という声も多い。

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インベントリ共有という設計の巧みさ

バイオ5のCo-opで最もよく機能しているのが、アイテム共有システムだ。

プレイヤーひとりが持てるアイテムは限られている。回復薬、弾薬、グレネード、フラッシュグレネード——これを9スロットで管理しながら進む。「ショットガンの弾が欲しいけど枠がない」「ハーブ余ってるから渡したい」という状況が頻繁に発生して、そのたびに相手とコミュニケーションが生まれる。

相手のインベントリ画面を開いて直接渡すことができるこの仕組みは、単純ながらもCo-opの緊迫感を高める効果がある。ボス戦の最中に「今ちょっと待って、弾渡す!」という状況が実際に起きる。これが楽しい。

一人プレイでAIのシェバに任せる場合、シェバは弾薬をかなり消費する。回復も頻繁に使う。「せっかく集めた回復薬をシェバが使ってしまった」という経験は一人プレイあるあるで、これが一人プレイの評価が下がりがちな理由のひとつだ。

ボス戦のふたり前提設計

バイオ5のボス戦は、多くが「ふたりで戦うことで攻略ルートが見える」設計になっている。

たとえばチャプター1の終盤で登場するウロボロス。このボスは特定の弱点部位を攻撃することで体の外側を破壊していくが、ふたりが別々の角度から攻撃することで効率的に弱点を露出させることができる。一人だとぐるぐる走り回りながら攻撃する羽目になるが、ふたりならひとりが注意を引いている間にもうひとりが背後から攻撃できる。

チャプター2序盤に登場するリッカー(カミソリのような爪を持つ旧来の敵キャラクター)は、光にさらすと動きが鈍るという弱点がある。片方が光源を当て続けている間にもう片方が集中攻撃する、という自然な役割分担が生まれる場面だ。「お前ずっとそこで光当ててて! こっちで攻撃する!」という指示が自然に飛び交う。

チャプター5の後半で出てくるマンドラゴーラ系のボスも同様だ。ボスが特定の状態になったとき、両サイドの弱点を同時に攻撃しなければならないギミックがある。これはまさにふたりがいることで初めて機能する設計で、一人ではAIを操作しながら同時攻撃を実現するのにかなり苦労する。

チャプター中盤のジル戦も印象的だ。ジルをキャプチャーするためにふたりが連携して戦う場面は、「敵を倒す」のではなく「無力化する」という目的のため、通常の戦闘とは全く違う動き方が求められる。一人では難しいが、ふたりなら「俺が引きつけてる間にお前が弱点装置を外せ」という戦術が成立する。

ウェスカーとの最終決戦も、クリスとシェバそれぞれが役割を分担しながら戦う演出になっていて、「ふたりで旅してきた締めくくり」としての完成度が高い。

オンラインCo-opの環境と現在の接続状況

2026年現在、Steam版バイオハザード5のCo-opは基本的に正常に機能している。ただし、Steamworks(P2P)を使った接続のため、プレイヤーの環境によっては接続が安定しないケースもある。

Steam同時接続数は平均数百〜1,000人前後で推移していて、決して多い数字ではない。そのため、見知らぬプレイヤーとのランダムマッチングを探しても相手が見つかりにくい状況だ。バイオ5のCo-opを楽しむなら、フレンドと一緒にやるのが現実的な選択になる。

過去にはSteamのステルスアップデートでオンライン機能が壊れた時期もあった。カプコンが修正を行い、現在は安定しているが「突然何かが起きる可能性はゼロではない」ということは念頭に置いておいたほうがいいかもしれない。

友達と久しぶりに遊ぶゲームとして選んだら最高だった。2人で協力しながら進んでいくと、1人用では気づかなかった面白さが見えてくる

引用元:Steamレビュー

マーセナリーズモードの中毒性——本編より沼にハマったプレイヤーが続出

バイオ5のコンテンツの中で「これがあるから長く遊べる」という声が最も多いのが、マーセナリーズモードだ。

マーセナリーズは本編クリア後に解放されるスコアアタックモードで、制限時間内にどれだけ多くの敵を倒してスコアを稼げるかを競う。スコアの計算要素はコンボ数(連続撃破)、残り時間、クリアタイム。完璧なプレイでコンボを途切れさせずに大量の敵を倒すほど、スコアが跳ね上がる。

このモードが中毒性を持つのは、「うまくなればなるほどスコアが上がる」設計だからだ。単にクリアするだけなら比較的簡単だが、SSランク(最高ランク)を取るためには敵の動きを読んで、最効率なルートで敵を倒し続ける必要がある。最適化の余地が大きく、何度でもやり直したくなる。

マップは本編のステージを流用したものが多く、見慣れたロケーションが「スコアアタックフィールド」として変貌している。タイムが足りなくなってきたとき、フィールドに散らばった「タイムボーナスアイテム」を拾うと残り時間が延長される。この「いかに効率よくタイムボーナスを拾いながら敵を倒し続けるか」というルート管理が、マーセナリーズの核心だ。

コンボを途切れさせないためには一定間隔で敵を倒し続けなければならない。複数の敵が集まっているところにグレネードを投げ込んで一気に数字を稼ぎ、少し離れた場所の敵に走って次の連続撃破を繋ぐ。この動線を頭で設計してから動く「事前計画」と、予想外の状況への「即興対応」の組み合わせが、マーセナリーズをゲームとして深くしている。

使用キャラクターの個性

マーセナリーズで使えるキャラクターは複数いて、それぞれに使える武器や装備が異なる。クリス、シェバ、ジル、ウェスカー(ボーナスキャラ)など。特にウェスカーは移動スピードとパンチのダメージが異常に高く、彼を使いこなすことがマーセナリーズ上達の一歩になるという意見が多い。

ジル・バレンタインがプレイアブルキャラクターとして使えることも、バイオシリーズのファンには嬉しいポイントだ。バイオ3のヒロインが5でどんな立ち位置にあるのかはネタバレになるが、彼女の存在がバイオ5のストーリーに深みを与えているのは間違いない。

Co-opマーセナリーズの爽快感

マーセナリーズはCo-opでも遊べる。ふたりで別々の役割を持ちながら敵を倒してコンボをつなぎ続けるプレイは、本編のCo-opとはまた違う緊張感と爽快感がある。

「自分がここの敵を処理している間に、あっちの敵をお前が倒してくれ」という役割分担が自然に生まれる。コンボが途切れそうになったとき、パートナーが遠くの敵を倒してコンボを繋いでくれた瞬間の「ありがとう!」という気持ちは、文字では伝えにくいが本当に気持ちいい。

Steamのレビューでも「本編より長くやっているのはマーセナリーズ」という意見が散見されるほど、このモードの引力は強い。

本編は20時間くらいだったけどマーセナリーズだけで70時間やってた。こわい

引用元:Steamレビュー

バイオハザード5が1500万本売れた理由——シリーズ最高販売本数の背景

Resident Evil 5 TPS スクリーンショット3

バイオハザード5が発売当時(2009年)にシリーズ最高売上を記録した理由は、複数の要素が重なっている。

バイオハザード4が作った土台

バイオハザード4(2005年)は、それまでの固定カメラ・サバイバルホラーという路線から、アクション・アドベンチャーへの大転換を果たした作品だ。「バイオハザードでこんなに激しく戦えるのか」という驚きで世界中のゲーマーに刺さり、ゲーム誌各誌で満点評価を獲得した。

バイオ4の成功は「アクション路線のバイオハザードは売れる」という確信を業界に与えた。バイオ5はその流れを受け継いで、さらにCo-opという要素を加えた。バイオ4のファンが「次はどうなるんだ」と期待して発売日に飛びついた層が確実にいた。

2009年のゲーム市場におけるCo-opの需要

2009年は「Co-opゲームの黄金期」といっても過言ではない時期だった。2008年にLeft 4 Dead、2009年にBorderlands——Co-op中心のゲームが次々とヒットしていた。

友達と一緒に遊ぶゲームへの需要が高まっていた時期に、バイオハザードという知名度抜群のIPがCo-opを引っ提げて登場した。「あのバイオが友達と遊べる!」という訴求力は、シリーズのファン以外にも届いた。

コンソールとPCの両方で展開

バイオ5は2009年にPS3/Xbox 360版、2009年後半にPCのパッケージ版(GFWL使用)、そして2015年にSteam版でリリースされた。特に2015年のSteam版は画質とフレームレートが大幅に向上(1080p対応、60fps対応)し、新たなプレイヤーを取り込んだ。

Steam版の登場は「昔買ったけど、もうやれるプラットフォームがない」という人の掘り起こしにもなった。「Steam版が出たから友達と一緒にもう一回やろう」という声は実際に多かった。

強力なボスラッシュとクリフハンガーなストーリー

バイオ5のストーリーは、バイオ1から続くウェスカーとのバイオシリーズ最大の因縁に決着をつける内容だ。「アルバート・ウェスカーの野望が明かされる」「クリスとウェスカーの最後の対決」——これはシリーズのファンにとって「絶対にリアルタイムで遊ばないといけない」という作品だった。

バイオシリーズを長年追っているファン層にとって、5はただの新作ではなく「バイオシリーズのひとつの終着点」という意味を持っていた。これが初動販売数を押し上げた大きな要因だ。

PC版(Steam版)の性能と画質——2026年でも快適に遊べる

2015年にリリースされたSteam版バイオハザード5は、現在のPCスペックで見れば決して高い要求スペックを持つゲームではない。2009年のゲームを2015年にリマスターしたものなので、エントリーレベルのゲーミングPCでも60fpsで快適に動作する。

解像度は4Kまで対応(Steam版)しており、フレームレートは60fpsを上限としている。2026年時点でも十分きれいな映像ではあるが、最新の3Dゲームと比べると「古いな」と感じる部分はある。テクスチャの解像度や光源処理が2009年世代の水準なのは仕方ない。

グラフィック設定の項目はそれほど多くなく、解像度・フレームレート上限・アンチエイリアシング・シャドウ品質などの基本的な設定が揃っている程度だ。細かいグラフィック調整を求めるプレイヤーにはやや物足りないかもしれないが、「快適に動けばいい」というスタンスなら十分な項目がある。

以前はGFWL(Games for Windows Live)を使った旧PC版が存在したが、Microsoft がGFWL のサービスを終了したため、現在はSteam版が唯一の選択肢だ。Steam版はGFWLの接続問題から完全に解放されており、現在のWindowsでも問題なく動作する。

MODによる画質向上

Steam版のバイオ5はMODが活発で、テクスチャを高解像度に置き換えるMODや、ライティングを改善するMODなどが公開されている。これらを適用すると、現代の目線でも見劣りしないビジュアルになる。

MODの導入はSteamのファイルを直接操作するため、バックアップを取ってから行うことをおすすめするが、方法自体は比較的シンプルなものが多い。

さらに、コスチュームを追加するMODも多い。クリスやシェバの衣装を変更するものから、ジルやウェスカーを操作キャラとして追加するものまで、コミュニティが長年作り続けてきた蓄積がある。「バイオシリーズの別キャラを5のゲームシステムで使いたい」という欲求に応えてくれるMOD環境は、2026年でもまだ活発だ。

コントローラーとキーボード・マウスの使い心地

バイオ5はもともとコンソール向けに開発されたゲームなので、コントローラーでの操作感が最適化されている。Xbox系のコントローラーなら完全対応していて、ゲームパッドでの操作が快適だ。

キーボード・マウスでも遊べるが、バイオ5のようなTPS(三人称視点)ゲームはコントローラーとの相性が良い。特に「移動しながら射撃ができない」仕様のため、位置取りと射撃のタイミング管理がコントローラーのほうがやりやすいと感じるプレイヤーが多い。

PS系のコントローラーはそのままでは認識されないケースがあるため、DS4Windows(デュアルショック4用)やDualSenseX(DualSense用)などのソフトウェアを使ってXbox互換として認識させる必要がある場合がある。このあたりの設定作業は慣れてしまえばすぐだが、はじめての人には少し手間に感じるかもしれない。

バイオハザード5のストーリー——ウェスカーとの決着、そしてバイオシリーズの転換

Resident Evil 5 TPS スクリーンショット4

ここからはストーリーの内容に触れる。ネタバレが含まれるので、未プレイの人はゲームを先にやってから読むことをおすすめする。

キジュジュで起きていたこと

クリス・レッドフィールドがアフリカのキジュジュに向かった理由は、生物兵器の売買に関する情報だった。現地で出会ったシェバは、BSAAのアフリカ支部エージェントとしてクリスのパートナーになる。

村人(マジニ)と思われる人々が凶暴化している現場を目の当たりにしながら、ふたりは調査を進める。その過程で浮かび上がってくるのが、旧Umbrella関係者の人物と「ウロボロス」という新型のプラーガ変異体の存在だ。

バイオ1時代から登場してきた「プラーガ」という寄生生物がバイオ5でも登場するが、マジニが使うプラーガはバイオ4のものとは変異している。ウェスカーが関わっているのではないかという疑念が深まる中で、ストーリーは核心へと近づいていく。

ジル・バレンタインの存在

バイオ3のヒロイン、ジル・バレンタインがバイオ5に登場することは、発売前から告知されていた。しかし彼女がどんな立場で登場するかは、プレイしてみるまで秘密にされていた。

その答えは「ウェスカーに支配されたエージェントとして、クリスたちの敵として現れる」というものだった。ジルとクリスが対峙するシーンは、シリーズファンにとって感情的なインパクトが大きい場面だ。ジルをどう助け出すか——これがチャプター中盤のひとつの山場になっている。

ウェスカーとの最終決戦

アルバート・ウェスカーの目的は「ウロボロスウイルスを使った人類の選別と再生」という、典型的なビッグ・バッドの動機だ。人類の大多数を滅ぼし、生き残った者たちで新たな人類を作る——この計画を止めるためにクリスとシェバが戦う。

最終決戦の舞台は火山。ウェスカーにウロボロスを直接打ち込んで弱体化させ、溶岩に落として倒すという決着はシリーズの中でも「映画的」な演出として語られる。

一方で「シリーズを通じて謎の多かったウェスカーにしては、動機がやや平凡すぎる」という批判もある。バイオ1から積み上げてきた期待値に対して、「世界支配を目指すヴィラン」として処理されたことへの物足りなさを感じたプレイヤーも少なくない。

ウェスカーとの決着は感動した。でも動機の説明があっさりしすぎていて、もう少し掘り下げてほしかった気持ちはある

引用元:Steamレビュー

ユーザーの声から見るバイオハザード5——賛否の構造

バイオ5のSteamレビューは「非常に好評」カテゴリに入っており、スコアは概ね85%前後の好評価を維持している。ただし評価の内訳を見ると、「大好き」派と「好きだけど物申したい」派に分かれている様子が読み取れる。

高評価の声

高評価の理由として最も多いのは「Co-opが楽しい」という点だ。

友達とプレイすると最高に楽しい。弾の共有とかボス戦の連携とか、二人でやることで倍以上面白くなる

引用元:Steamレビュー

バイオシリーズで一番Co-opが完成されていると思う。4のアクション性を受け継ぎつつ、ふたりで遊ぶことで新しい面白さが生まれている

引用元:Steamレビュー

マーセナリーズモードへの言及も多い。

本編が面白いのはもちろんだけど、マーセナリーズで気づいたら200時間経ってた

引用元:Steamレビュー

ストーリーについては「シリーズのファンなら満足」という声が多い一方で、「単体のゲームとしてはイマイチ」という意見も見られる。

批判的な声

低評価の最大の理由は「AIパートナーの出来が悪い」という点に集中している。

シェバのAIが頭おかしい。弾を無駄に使い、回復薬をばかすか消費する。一人でやるとストレスが溜まるゲーム

引用元:Steamレビュー

一人でやるとAIシェバの管理が大変で、ゲームの面白さより作業感が先に来てしまう

引用元:Steamレビュー

この問題は発売当時から指摘されていた。一人プレイ時のAIシェバは弾薬の管理が粗く、回復薬の消費も激しい。インベントリを「手放せない武器や回復薬を入れておく」ことで、シェバの暴走を抑えるテクニックが攻略Wikiに掲載されるほど問題になっている。

「ホラー感がない」という批判も一定数ある。

バイオハザードに期待していた恐怖感は全くない。アクションとしては面白いが、バイオである必要があったかは疑問

引用元:Steamレビュー

また、「移動しながら射撃できない」旧来のシステムへの批判も見られる。バイオ6から「走りながら撃てる」仕様になったことで、5の「立ち止まって撃つ」スタイルを今になって遊ぶと「古く感じる」プレイヤーもいる。

バイオハザード5と他の協力プレイゲームの比較

Resident Evil 5 TPS スクリーンショット5

バイオ5のCo-opは確かに完成度が高い。ただ「どんなCo-opゲームが好きか」によって、このゲームの刺さり方が変わってくる。

Outlast Trialsはサバイバルホラーの文脈でCo-opを実現したゲームで、バイオ5とは逆のアプローチを取っている。バイオ5がアクション寄りになっていく中で「ホラーCo-opを楽しみたい」という人にはOutlast Trialsが向いているかもしれない。

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バイオ5と比較して「どれが自分に向いているか」は、プレイスタイルと求める体験によって変わる。「バイオハザードというIPの物語を楽しみながらCo-opしたい」なら、5は現在でも他に代えがたい体験ができる。

DLCコンテンツ——Lost in NightmaresとDesperate Escape

バイオ5にはふたつの主要なDLCがある。Steam版には最初からDLCが同梱されているため、別途購入する必要はない。

Lost in Nightmares

Lost in Nightmaresは、バイオ5本編の過去を描いたDLCだ。ウェスカーの研究所に潜入するクリスとジルが主役で、このDLCだけは本編とは異なるホラー的なムードが漂っている。

固定カメラ視点を意図的に取り入れた演出があり、「バイオ1・2・3時代のファン向けのサービス」としての側面が強い。本編に比べてアクション要素が少なく、じっくり探索する時間が多い。プレイ時間は1〜2時間程度とコンパクトだが、演出の丁寧さはDLCとしては高い水準にある。

Lost in Nightmaresはホラー感があって好き。本編よりこっちのほうがバイオっぽかった

引用元:Steamレビュー

Desperate Escape

Desperate EscapeはジルとジョシュがBSAAの救援を待ちながら施設を脱出するストーリーだ。本編より銃撃戦の比率が高く、アクション的な爽快感を重視した内容になっている。

こちらはLost in Nightmaresと比べると評価がやや控えめだが、ジルのプレイアブル体験として楽しめる内容だ。マーセナリーズと同様のスコアアタック要素もあり、やり込み派には嬉しい追加コンテンツになっている。

バイオハザードシリーズの流れの中での5の位置付け

Resident Evil 5 TPS スクリーンショット6

バイオ5は、シリーズの「第一章」の締めくくりという位置付けで語られることが多い。

バイオ1(1996年)から始まったシリーズは、アンブレラという企業の暗躍、クリス・レッドフィールドとジル・バレンタインの戦い、そして宿敵アルバート・ウェスカーとの因縁という大きな物語を積み上げてきた。その集大成がバイオ5だった。

バイオ6(2013年)ではクリスが再登場するが、物語の規模はさらに拡大して「バイオテロとの世界的な戦い」という様相になる。バイオ6以降はホラー要素のさらなる希薄化が続き、7(2017年)で「原点回帰」として一人称視点のホラーゲームへと大きくリブートされた。

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この流れを見ると、バイオ5は「アクション路線の頂点」にある作品だといえる。7と8(ヴィレッジ)の方向性と比較すると、5は明らかに「別ゲー」だ。だからこそ「アクションとしてのバイオが好き」な人と「ホラーとしてのバイオが好き」な人の間で、5への評価は分かれ続けている。

バイオハザード3リメイク(2020年)も、シリーズの歴史を振り返るうえで重要な作品だ。

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バイオハザード5の武器システム——購入・強化のループが意外と深い

バイオ5の武器システムは、バイオ4と同様に「武器を購入して強化していく」RPG的な要素を持っている。ただし5では通貨が「ゴールド(G)」になり、ステージ中のアイテム売却で稼ぐシステムに変わった。

武器は大きく分けてハンドガン、マシンガン、ショットガン、スナイパーライフル、マグナム、爆発物などのカテゴリがある。各武器には複数のパラメータがあり(ダメージ、装弾数、連射速度、リロード速度など)、Gを使って強化できる。

武器をMAX強化すると「フルアップグレード」ボーナスとして特別なパワーアップが付与されるものもある。全部の武器を強化しようとすると相当な周回が必要で、武器収集と強化のループがゲームを長く遊べる理由のひとつになっている。

ゴールドの入手方法はステージ中のアイテムを売却するほかに、宝石や工芸品といった売却専用アイテムが各チャプターに隠されている。これらをすべて回収しながら進む「コレクション要素」も充実していて、一周目では気づかなかった隠しアイテムを二周目以降で探すやり込みが生まれる。

強武器と戦略の変化

バイオ5はスナイパーライフルの使い勝手がシリーズ随一という評判がある。特定のステージでは遠距離から頭部を狙う狙撃がかなり有効で、「スナイパービルド」で特定チャプターをスマートに攻略するプレイスタイルが人気だ。

マグナムは強力だが弾薬が貴重で、ボス戦での切り札として温存しながら進む判断が求められる。グレネードランチャーは汎用性が高く、特に群衆の中に投げ込んで一気に複数撃破するのが気持ちいい。

Co-opでの武器分担も戦略の醍醐味だ。「片方がスナイパーで遠距離を担当、もう片方がショットガンで接近戦を処理」という役割分担はCo-opの定番で、これが機能しているときのゲームプレイは本当にスムーズだ。

ハンドガンは序盤から使える基本武器で、改造次第では終盤でも実用的な威力になる。特にVZ61(SMG)は連射速度が高く、接近してきた敵をひるませながら対処するのに向いている。シリーズファンには「S75 Magnum」のような終盤で入手できる高威力武器を目標にして周回する人も多い。

武器の種類ごとに「このチャプターで有効」「このボスにはこれが刺さる」という相性があり、複数周回することで自然に最適な組み合わせが見えてくる。この武器研究の過程そのものが楽しいと感じるプレイヤーには、バイオ5のシステムはかなり長時間楽しめる設計になっている。

アフリカの世界観と音楽——視覚的なインパクトと忘れられないサントラ

Resident Evil 5 TPS スクリーンショット7

バイオ5の舞台であるアフリカ・キジュジュの映像表現は、2009年当時の水準ではかなり高いものだった。強烈な日差し、乾いた土地、剥き出しの集落——バイオシリーズがそれまで舞台にしてきた薄暗い洋館や地下研究所とは全く異なる視覚的なインパクトがある。

このビジュアルは「バイオハザードらしくない」という批判の一因でもあるが、「新しい舞台で新しいバイオを体験する」という意味では成功していたと思う。特にチャプター3〜4のマーシュランド(湿地帯)のエリアは、フィールドのデザインが独特で、同時期のゲームと比べてもビジュアルの完成度が高かった。

チャプターごとに舞台が変わるため、「アフリカ一色」という単調さはない。村落、工場廃墟、湿地帯、研究施設、火山——これだけの多様なロケーションが1本のゲームに詰め込まれている。とくに終盤の火山周辺のステージは、溶岩が赤く光るビジュアルが印象的で、「ここがクライマックスだ」という気分を高めてくれる。

音楽はTamás Milhoffer(タマーシュ・ミルホッファー)とMasami Ueda(植田益朗)が担当。バイオ5のサントラはアフリカの打楽器を活かした楽曲と、緊張感のあるオーケストラ系の楽曲を組み合わせている。チャプター開始時に流れるテーマや、ボス戦のBGMは今でも印象に残っている人が多い。

序盤のキジュジュ村で流れる音楽は、土着的なリズムと不穏な弦楽器が組み合わさっていて「ここは危険な場所だ」という雰囲気を作り出している。プレイしたことがある人なら、あの音楽を聴いただけで村の映像が浮かんでくるはずだ。BGMというのはゲームの「においを記憶する」装置なのだと、バイオ5のサントラを聴き直すたびに感じる。

ウェスカーとの最終決戦で流れる楽曲は、バイオシリーズのサントラの中でも語られることが多い名曲だ。「あの曲と一緒に戦ったあの瞬間」を記憶しているプレイヤーは多いはずで、ゲームの盛り上がりと音楽が完璧にシンクロしていた。

バイオハザード5を2026年から始める人へのアドバイス

2026年現在からバイオ5を初めてプレイする人に向けて、知っておいてほしいことをまとめておく。

まずシリーズの順番について

バイオ5単体でも楽しめるが、バイオ1・2・3(またはそのリメイク版)の背景を知ってからプレイすると、ウェスカーという人物の重さやクリスの成長が深く理解できる。特にバイオ4をクリアしてからバイオ5に進むと、システムの継承と発展が体感できて面白い。

シリーズを順番に追いかけてきたプレイヤーにとって、バイオ5はウェスカーとの因縁の決着を見届けるための作品だ。「バイオ1でウェスカーが何をしたか」「バイオ0でクリスとウェスカーの関係がどう始まったか」という背景を知っていると、バイオ5の物語がずっと深く響く。

バイオ5が気に入ったなら、その後に7や8(ヴィレッジ)をプレイするのもいい。5と7・8は全くスタイルが違うので、「バイオハザードというシリーズの振れ幅の大きさ」を感じられる体験ができる。

一人でやるかふたりでやるか

可能なら絶対にふたりでやってほしい。フレンドがいる場合は一緒にプレイすることを強くすすめる。「最近ゲームしてないけど久しぶりにやってみようか」というフレンドを誘うのにも向いているゲームだ。

バイオ5は難易度曲線がCo-op前提で設計されているため、一人でやると「難しいのは俺が下手なせいか、ゲームの設計のせいか」が区別しにくい場面がある。ふたりでやると「今のは連携が悪かった」「次は別の角度から攻めよう」という振り返りができて、失敗が次の試みへのモチベーションになりやすい。

一人でやる場合は、シェバのインベントリ管理に注意が必要だ。シェバに渡すアイテムは「消耗品は最小限、弾薬は自分が使う分だけ」を心がけると、AIが弾薬や回復薬を無駄使いする事態を防げる。特に回復薬は自分のスロットに全部入れておく「グリーンハーブ占有戦略」が攻略サイトでよく紹介されている。

シェバへの命令は限られているが、「待機」コマンドを活用することで特定の場面での暴走を抑制できる。ボス前の準備フェーズでシェバに「待機」を指示しておき、自分が動線を整えてからボス戦を開始するテクニックは一人プレイには有効だ。

マーセナリーズは必ずやること

本編クリア後にマーセナリーズを試してほしい。一回やると「あ、これはしばらくやめられないやつだ」と実感できる。

最初は高スコアが出なくても、何度もやっているうちに「ここで確実に敵を集めてグレネードで一気に倒す」というルートが見えてくる。この「発見と最適化」のループがマーセナリーズの楽しさの核心だ。

マーセナリーズは全チャプターがアンロックされているわけではなく、本編の進捗に合わせて解放されるステージが増えていく。本編をクリアしてから全ステージを開放してマーセナリーズに専念するのが、最もスムーズな楽しみ方だ。

難易度の選択について

初回プレイはノーマルがおすすめだ。アマチュアだとやや物足りなく、バランスの妙を感じにくい。ノーマルクリア後にベテランやプロフェッショナルへ挑戦すると、敵のルートや攻撃パターンを学ぶ楽しさが出てくる。

プロフェッショナルはかなりハード。Co-opでも慎重な立ち回りが求められ、「適当に突っ込んでいたら勝てた」という状況がほぼなくなる。シリーズ経験者やアクションゲームに慣れているプレイヤー向けの難易度だ。

難易度はチャプター選択のたびに変更できるので、「このボスだけプロフェッショナルで挑戦してみる」という使い方もできる。難易度設定の柔軟性はバイオ5の親切な設計のひとつで、何度も同じ場面に挑戦するハードルを下げてくれている。

バイオハザード5をめぐる語られ方の変化——発売当時と2026年の評価の差

Resident Evil 5 TPS スクリーンショット8

バイオ5は発売当時(2009年)も現在も「良いゲームだが賛否がある」という評価軸で語られることが多い。ただし、時代が変わることで語られ方は少し変化している。

2009年当時の批判の中心は「ホラー感の欠如」と「Co-opの強制感」だった。一人でプレイしているのにAIパートナーがいることへの違和感、そして「バイオハザードはひとりでじっくり怖がるゲームのはずだ」という感覚からの失望だ。当時の専門誌レビューでは概ね8〜9点という高評価を受けたが、「シリーズのファンとして残念」という論調のコメントも少なくなかった。

2026年の目線で見ると、また別の文脈が加わっている。「移動しながら射撃できない」という仕様が「古くさく感じる」プレイヤーが増えた。バイオ6以降のシリーズが「走りながら撃てる」ようになり、ゲーム全体のTPS標準が変化したからだ。一方で「あえてこの制約があるからこそ、位置取りの戦略性がある」という肯定的な見方もある。

2026年にバイオ5を初めてプレイする人は、「2009年のゲームをプレイしている」という前提で向き合うことが大事だ。バイオ4リメイクや最新のアクションゲームと同じ操作感を期待すると、「止まって撃つ」システムが引っかかる場面が出てくる。「これはこういう設計のゲームだ」と受け入れると、その制約の中での立ち回り方が楽しくなってくる。

「アフリカを舞台にした件」については、2026年現在でも散発的に議論が起きる。ゲーム産業における多様性の議論が深まった現在の文脈でバイオ5を語ると、どうしてもこの問題は浮上してくる。それをどう受け止めるかは個人の判断だが、「知っておくべきコンテキストとして存在する」という事実は変わらない。

一方で「バイオシリーズ最大の売上を記録した作品」「ウェスカーとの因縁に決着をつけた作品」「Co-opの楽しさを最高の形で体験できる作品」——これらの評価は時代を経ても変わらない。発売から17年が経った今も、新しいプレイヤーが「友達とやったら最高だった」とSteamにレビューを書き続けている事実が、このゲームの本質的な強さを物語っている。

Steamのレビュー数は数万件を超えており、「非常に好評」カテゴリの評価を長期間維持し続けている。これは単なる懐古主義ではなく、初めてプレイする人にとっても「面白い」と感じられる品質が維持されているからだ。17年というのは、ゲームが本物かどうかを証明するのに十分な時間だと思う。

バイオハザード5の「プレイヤーとしての記憶」——なぜこのゲームは語り継がれるのか

ゲームには「一緒にやった人」の記憶とセットになるものがある。

バイオ5がまさにそれだ。「友達とやったバイオ5」という体験は、ゲームそのものへの記憶であると同時に、「その時間を一緒に過ごした誰か」への記憶でもある。「あのとき、チャプター4のボスで全滅した」「マーセナリーズで一緒に200万点超えた」——こういう具体的なエピソードとして残るゲームは意外と少ない。

2009年にPS3で初めて一緒にプレイした友人と、2015年にSteam版が出てから改めてやり直したプレイヤーは多いはずだ。「また一緒にやろうよ」という再会のきっかけになったゲームとして、バイオ5を挙げる人が少なくない。

Steam版が出たときに学生時代の友達と久しぶりに連絡取って一緒にやった。あのとき以来10年ぶりに話した。ゲームって不思議

引用元:Steamレビュー

こういう「再会のきっかけ」になれるゲームは、純粋なゲームクオリティだけでは説明できない価値を持っている。バイオ5は「誰かと一緒にやりたくなるゲーム」として設計されているから、時間を置いた後でも「またあれやりたいな」という気持ちが自然に湧いてくる。

1,500万本売れた理由は数字で語られるが、「なぜ今でも遊ばれ続けるか」の答えはこういうところにある気がする。

まとめ——バイオハザード5は「友達と遊ぶためのゲーム」として今も唯一無二

バイオハザード5について、本音で全部書いてきた。

良い点を整理しよう。Co-opの完成度はシリーズ随一で、フレンドと遊べる環境があるなら今からでも十分楽しめる。マーセナリーズモードは中毒性が高く、本編クリア後の遊び場として優秀だ。ウェスカーとの決着という物語の充実感は、シリーズのファンなら間違いなく刺さる。武器強化のループ、宝集め、各チャプターへの再挑戦——本編クリア後にも遊び続けられる仕掛けが豊富で、ゲームとしての基礎完成度は高い。

気をつけるべき点も正直に書く。一人プレイはAIシェバの問題があり、Co-op前提のゲームを一人でやる限界がある。ホラー的な恐怖感は期待しないほうがいい。「移動しながら射撃できない」仕様は最新のアクションゲームに慣れている人にはもどかしく感じる場面があるかもしれない。

そして「アフリカを舞台にした構図への批判」という文脈は、知った上でプレイするのが誠実だと思う。

それらを踏まえて、最後に言えることはシンプルだ。「バイオハザード5は、フレンドと一緒に遊ぶゲームとして今も最高の選択肢のひとつだ」。

1,500万本という販売本数は、ゲームの質を証明する数字だ。そして17年後の2026年でも、Steamのレビューに「友達と遊んで最高だった」と書き続けるプレイヤーがいることが、このゲームの本当の価値を示している。

バイオシリーズをまだ深く知らない人なら、4をクリアしてから5へ。すでにシリーズのファンなら、バイオ5を語るうえでのバイオ3リメイクとの比較も面白い。そして久しぶりにゲームをやってみたいフレンドがいるなら、そのフレンドを誘ってバイオ5を一緒にやってみてほしい。その体験は、バイオハザード5にしかできないものだ。

BIOHAZARD 5

Capcom
リリース日 2009年9月15日
サービス中
同時接続 (Steam)
3,996
2026/04/12 アジア圏ゴールデンタイム計測
レビュー
60,935 人気
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60,935件のレビュー
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