Rivals of Aether II — ユーザー制作キャラも動かせる本格インディー対戦格闘の世界
プラットフォームファイターが好きで、でもスマブラじゃない何かを探し続けてきた人にとって、2024年10月24日は記憶に残る日になったはずだ。
Aether Studiosが送り出した「Rivals of Aether II」がSteamでリリースされた瞬間、同時接続プレイヤー数はあっという間に1万人を超えた。インディースタジオの対戦格闘ゲームとしてはかなりの数字だ。しかも、そのほとんどが前作「Rivals of Aether」を知っているファン、あるいはYouTubeやTwitchでリリースを追っていた格闘ゲームコミュニティの住人たちだった。
ここには単なるゲームの続編以上の何かがある。前作で生まれた熱狂が、コミュニティとともに育って、やがて新しいゲームを生み出した。そういうインディーゲームの理想形みたいな軌跡が、このシリーズにはある。
2025年にはEvo(格闘ゲームの世界最大級大会)に出場し、300人超が参加するトーナメントが開催された。2026年にはEvoのメインラインナップとして発表されるまでになった。リリースから1年余りで、このゲームは格闘ゲームシーンに確かな居場所を作りつつある。
この記事では、Rivals of Aether IIがどんなゲームで、何が新しくて、プレイヤーたちがどう感じているかを、できるだけ正直に書いていく。良い点も悪い点も、隠さずに。
「Rivals of Aether II」公式トレーラー
こんな人に読んでほしい

- スマブラ系の対戦格闘に興味があるが、Nintendo Switchを持っていない人
- 前作「Rivals of Aether」のファンで、続編がどう変わったか気になっている人
- 格闘ゲームの中でも「空中戦・コンボ・読み合い」を重視したゲームを探している人
- Steamワークショップでのユーザー制作コンテンツが好きで、コミュニティ製キャラクターを遊びたい人
- 競技格闘ゲームとして長く遊べるゲームを探している人
- インディースタジオが作る格闘ゲームの現在地を知りたい人
Dan Fornaceとは何者か、Rivals of Aetherはどこから来たか
「Rivals of Aether II」を語るには、まず作った人の話をしなければならない。
Dan Fornaceはもともとゲームデザイナーとして、Microsoftのゲームスタジオに在籍していた人物だ。格闘ゲームファンなら名前を知っているであろう「Killer Instinct」のシーズン1では、Microsoft Studio側のリードデザイナーを担当していた。大手スタジオでの大規模タイトル開発の現場を経験した人間が、その後インディーゲーム制作に転向したという経歴は珍しい。
ただ、大企業でのゲーム開発には限界もある。もっと自分のやりたいものを作りたい。そう思ったFornaceは2014年にMicrosoftを離れ、仲間と共に自分のゲームを作ることにした。flashygoodness(作曲家としても知られる)とともに開発をスタートさせた。そうして生まれたのが初代「Rivals of Aether」だ。
2017年にSteamでリリースされた前作は、スマブラ系プラットフォームファイターのインディー版として異例の評価を集めた。2Dピクセルアートのキャラクターが、火・水・風・土の4つの属性を操って戦うシンプルかつ深みのある格闘ゲーム。Steamで「圧倒的に好評」を獲得し、後にNintendo Switchにも移植された。
しかし前作の最大の遺産は、もしかしたらSteamワークショップにあるかもしれない。プレイヤーたちが自分でキャラクターを制作してアップロードできるこの機能を通じて、数千ものコミュニティ製キャラクターが生まれた。中にはゲームそのものの人気キャラクターと遜色ないクオリティのものもあった。
そのコミュニティのエネルギーを受けて、Fornaceは2020年頃からRivals 2の開発を始める。使用エンジンはGameMakerからUnreal Engineへ。ピクセルアートから3Dモデルへ。スケールは前作とは比べものにならないくらい大きくなっていた。
インディーゲーム開発者が大企業製プラットフォームファイターに挑む意味
プラットフォームファイターというジャンルは、正直に言えばスマブラの独壇場だ。任天堂が長年かけて積み上げたキャラクター資産、膨大な予算、全世界の子どもから大人まで知っているIPの強さ。これに真正面から挑むのは無謀に見える。
でもFornaceはそこを目指したわけではない。「スマブラの代替品」ではなく、「格闘ゲームコミュニティが真剣に遊べる競技寄りのプラットフォームファイター」というポジションを狙った。コミュニティ製キャラクターを楽しめる場所、高い技術天井を持ちながらも入門しやすい設計。そういう意図が随所に見える。
前作のSteamレビューを読んでいると、プレイヤーたちがそこに価値を見出していたのがわかる。
このゲームはスマブラには戻れなくなるほど、動きの気持ちよさが違う。インディーでここまで作れるのかと驚いた。
引用元:Steamレビュー(Rivals of Aether)
Rivals of Aether IIはその期待を受け継ぎながら、さらに進化しようとしている。
Aether Studiosの設立とoffbrand gamesとのパートナーシップ
Rivals of Aether IIの開発規模に合わせて、Fornaceはチームの組織化を進めた。それが「Aether Studios」の設立だ。前作は少人数の協力体制で作られたが、3Dエンジンへの移行と本格的な続編開発には、より大きなチームが必要だった。
完成したゲームを世界に届けるため、パブリッシングのパートナーとして「offbrand games」と組んだ。offbrand gamesはインディーゲームのパブリッシングに特化したスタジオで、開発者主導の姿勢を大切にすることで知られている。大手パブリッシャーに頼らず、インディーとしての自立性を保ちながらリリースするための選択だった。
Rivals of Aether IIのゲームシステム:前作からどう変わったか
前作をプレイしていた人が最初に気づくのは、ゲームそのものの「雰囲気」の違いだ。
前作はシールドも掴みもなかった。ガードは「パリィ」だけ。ダッシュやジャンプで回避しながら攻撃を通す、スピーディーでリスクリターンがはっきりした格闘ゲームだった。スマブラのルールを知っている人が遊ぶと、どこか別ゲームのような感覚があったかもしれない。
Rivals of Aether IIはその設計から大きく舵を切った。
追加された新システム:シールドと掴みの三すくみ
最も大きな変化はシールドシステムの導入だ。前作にはなかった「防御」の概念が入ったことで、攻守の駆け引きがスマブラに近い構造になった。シールドは攻撃をブロックできるが、その分掴みで崩される。
掴みと投げも追加されている。相手がシールドを張ったら掴みで崩す、掴みが来そうなら回避する、回避に攻撃を合わせる。この三すくみの読み合いが戦闘の核になっている。
掴みの詳細なメカニズムも面白い。掴んだ後、通常の叩きつけ(ノーマルポンメル)とキャラクター固有の叩きつけ(スペシャルポンメル)の2択がある。掴まれた側はどちらが来るかを読んで同じボタンを押すことで抜け出せる。ここでも読み合いが生まれる設計だ。
パリィシステムの継承:より深いリードが必要に
前作から引き継がれたパリィも健在だ。タイミングよく相手の攻撃を受けることで反撃のチャンスを作れる。パリィは飛び道具を反射する効果もある。このシステムが対戦に緊張感を生んでいる。
ただし、前作より発生の遅さが増したため、より正確なタイミングが求められるようになった。シールドが「とりあえず防御」として機能するのに対して、パリィは「相手の動きを読んで行う積極的な防御」として位置づけられている。成功したときのリターンも大きい。
崖際の攻防:エッジスペシャルとゲットアップスペシャル
崖掴みからの復帰にも新しい選択肢が増えた。「エッジスペシャル」は崖から直接キャラクター固有の特殊行動を出せる技で、崖際の攻防がより多様になっている。「ゲットアップスペシャル」は床から起き上がる際の選択肢を広げる。
これらの新システムが、前作より「読み合いの幅」を広げているのは間違いない。崖際で「どう復帰するか、どう追撃するか」の選択肢が増えることで、試合の終盤が特に面白くなっている。
グラフィックは3D化、でも「2.5D」のまま
視覚的に最も目立つ変化がグラフィックの3D化だ。前作のローレゾなピクセルアートから、60fpsで動く3Dモデルになった。ただし、ゲームの進行自体は横軸・縦軸で展開する2D。「2.5D」と呼ばれるスタイルで、カメラはプレイヤーを横から捉える。
3Dモデルになったことでキャラクターの表情や動作がより伝わりやすくなった。ゼッターバーンの炎がリアルに揺れ、フォーズバーンの煙が漂う。視覚的な満足度は前作から大きく向上している。
ロールバックネットコードの採用
オンライン対戦にはロールバックネットコードを採用している。対戦格闘ゲームのオンラインプレイで品質を大きく左右する技術で、近年のインディー格闘ゲームでは採用が増えている。遠隔地のプレイヤーとの対戦でもラグを感じにくい設計だ。

GUILTY GEAR -STRIVE-が高品質なロールバックネットコードで対戦体験を向上させたように、Rivals of Aether IIもこの技術に真剣に取り組んでいる。「オンラインで遊ぶなら本格的な格闘ゲームより快適」と感じるプレイヤーもいるほどだ。
登場キャラクターと属性システム:10人の個性
リリース時点で10人のキャラクターが収録されている。全員が火・水・風・土のいずれかの元素属性を持ち、その属性に沿った戦い方をする設計だ。
重要なのは、リリース後に追加されるキャラクターが全員無料という点だ。DLCキャラクターを毎回課金して買わなければいけないゲームが多い中で、この方針はコミュニティから高く評価されている。2025年を通じて複数のキャラクターが追加されており、2026年ロードマップにも4体の無料キャラクターが予定されている。
ゼッターバーン:炎を操るラッシュダウン型
シリーズを代表するキャラクター。炎属性のファイターで、相手に炎を付着させてダメージを継続させる技が得意だ。近距離での連続技が強く、前方スペシャルの火球で遠距離もある程度カバーできる。初心者にも扱いやすいオーソドックスなキャラクターとして設計されている。
ゼッターバーンの炎付着システムは、相手にダメージを蓄積させる独自のゲームプレイを生む。炎が付いた状態のプレイヤーは時間経過でダメージが入り続けるため、一度優勢を取ったら畳み掛けるラッシュダウンスタイルが合っている。
フォーズバーン:煙幕で相手を惑わす変則型
煙を操る属性を持つ。視覚的な妨害を得意とし、煙を展開して相手の視界を遮りながら攻撃するトリッキーな戦い方が特徴だ。使いこなすには相手の位置を把握する空間把握能力が求められる。煙の使い方で戦術の幅が大きく変わるため、上達の余地が広いキャラクターだ。
クレアレン:剣先に真の力が宿る剣士
プラズマ属性の剣士キャラクター。剣の先端部分でヒットさせると、通常より大きなヒットスタン(相手が硬直する時間)が発生し、そこからコンボに繋げられる。このシステムをきちんと使いこなせると爆発的なダメージが出る一方、先端以外でヒットすると効果が落ちる。スキルによって差が出るキャラクターだ。
また、クレアレンはシリーズで初めてカウンター技を持つキャラクターでもある。相手の攻撃を受け流してそのまま反撃するこのシステムは、使うタイミングさえ掴めば強力な択になる。
ランノ:水を操るカウンター型
水属性のファイター。カエルのような外見を持つキャラクターで、水を使った遠距離攻撃と機動力を兼ね備える。後にクレアレンとともに追加アップデートで強化調整が行われたキャラクターで、使い込むほど戦術の深みが出てくる。
後から追加されたキャラクターたち
2025年を通じて複数の新キャラクターが無料追加された。
「ラ・レイナ」は群衆の熱狂を操るキャラクターで、公式トレーラーでも派手なアクションが披露されている。彼女のデザインはスタジアムのスター選手をモチーフにしており、ゲームプレイも見栄えのするド派手な動きが特徴だ。
「ガルヴァン」は化石と金属を操る重量級。Evoのトーナメント中に発表されたこともあり、会場を盛り上げた一人だ。リーチが長くパワフルな攻撃が持ち味で、守りながら相手の隙を突く戦い方が合っている。
「スレイド」は海の荒くれ者をモチーフにしたキャラクターで、公式キャラタートレーラーでは軽快な動きを見せていた。そして2026年ロードマップでは「オリンピア(The Amethyst Fist)」というパンチャー系キャラクターの発表もあった。
スマブラ系の格闘ゲームでキャラクター選びに悩む楽しさを感じている人には、このシリーズのキャラクター設計は満足いくものになっていると思う。それぞれが「この属性だからこの戦い方」という納得感のある設計になっているからだ。

Street Fighter 6のようにキャラクターごとに全く異なるコマンド体系を覚えるゲームと比べると、Rivals of Aether IIはキャラクター間の操作感の共通点が多く、他のキャラクターに乗り換えやすい。とはいえ、各キャラクターの固有技の使い方と属性ギミックを理解することは、対戦を勝ち抜くために欠かせない。
ステージデザインとRivals世界の舞台設定

Rivals of Aether IIの舞台となる世界「Aether」は、元素を操る存在たちが暮らす大陸だ。各キャラクターはこの世界の異なる地域や民族を背景に持っている。
ゲーム内には複数のステージが収録されており、それぞれがAetherの異なる地域を舞台にしている。通常の対戦(カジュアル・競技戦)でデフォルト選択肢として用意されているのは「Merchant Port(商人の港)」「Aethereal Gates(エーテルの門)」「Tower of Heaven(天の塔)」「The Forest Floor(森の床)」「Julesvale」の5つだ。
各ステージはブラストゾーン(画面外に吹き飛ばした時にストック減少になる境界線)の設定が異なる。下・左右・上それぞれのブラストゾーンの位置が違うため、「このステージは横が広い」「このステージは上が低い」という特性を把握することが対戦の重要な要素になる。
2026年のロードマップには「Aether Stages」という大型ステージ群の追加が予告されている。よりカオスで大規模な対戦が楽しめる新ステージが加わる予定で、コミュニティの期待が高まっている。
ステージの一部はスキンで外観変更が可能
ステージによっては「オルタナティブスキン」が存在する。同じ地形のまま見た目が変わるこの要素は、マイルストーンシステムやコンペンディウムからアンロックできる。ゲームの見た目に個性を出す楽しみ方の一つだ。
舞台設定が戦いに意味を与える
前作でも存在したストーリーモードは、Aetherという世界の歴史を語る舞台として機能していた。「火の国フォアランズ」は好戦的な民族が支配する国で、皇帝ロクソドントが統治している。ゼッターバーンやフォーズバーンはこの国の出身だ。各キャラクターの出身地や背景を知ると、対戦の見方が変わる。
Steamワークショップ:前作の最大の遺産を引き継ぐ
Rivals of Aether IIで最も注目すべき要素の一つが、Steamワークショップへの対応だ。
前作では、Steamワークショップを通じて数千を超えるコミュニティ製コンテンツが生まれた。キャラクターを0から作り、動かし、対戦で使えるようにする。そのクリエイティブな土台が前作の強烈な特徴だった。一部のファン作成キャラクターは公式の「Rivals Direct」(ゲームの情報発信イベント)でフィーチャーされるほどの完成度を誇っていた。
Rivals of Aether IIではエンジンをGameMakerからUnreal Engineに切り替えたため、ワークショップの実装には時間が必要だった。2026年1月初頭にベータ版が公開され、カスタムキャラクターの制作・投稿が可能になった。
ベータ開始時点で17体のカスタムキャラクターが完成済みとして登録されており、Emory、The Kid、Bluなどが人気を集めている。ステージやスキンのワークショップ対応はカスタムキャラクターのベータを経た後に行われる予定だ。
コミュニティ作家が公式に採用された経緯
前作で特筆すべきエピソードがある。ファン制作キャラクター「Mollo」の作者が、Rivals Directで自身のキャラクターをフィーチャーされたことをきっかけに、後にAether Studiosのスタッフとして採用されたのだ。
これはゲーム開発の現場では珍しいことだ。コミュニティの中から才能を発掘し、実際の開発チームに迎え入れる。その姿勢がコミュニティに対するFornaceのスタンスをよく表している。Rivals of Aether IIでもこのワークショップを通じた才能発見の場は続いていくだろう。
ワークショップが格闘ゲームとして持つ意味
対戦格闘ゲームにとって、「遊べるキャラクターの幅」は長期的なモチベーションに直結する。公式ロスターだけで遊び尽くした後も、コミュニティが作った新キャラクターが続々と加われば、ゲームの寿命は伸びる。
前作でそれが実証されていたからこそ、Rivals of Aether IIでのワークショップ実装はコミュニティに大きく期待されていた。ベータ開始直後から多くのクリエイターが集まったのは、その証拠だ。
ワークショップのガイドは公式サイトでPDF形式で配布されており、2026年1月時点でv1.03まで更新されている。ゼロからキャラクターを作る敷居は高いが、前作のワークショップ文化を知っているファンにとっては待ちわびた機能だ。

Bananaのように気軽なゲームでも活発なコミュニティが生まれるのは、プレイヤーがコンテンツを一緒に作れる仕組みがあるからだ。Rivals of Aether IIのワークショップは、その意味でゲームを単なる製品から「プラットフォーム」に変えようとする試みだと思っている。
プレイヤーの声:リリースから1年以上経って見えてきた評価
リリース直後の熱狂が落ち着いた後、Rivals of Aether IIに対する評価はどこに落ち着いているのか。Steamレビューや各種コミュニティの声を拾ってみた。
Steamレビューは7,000件超で、78%前後がポジティブ評価を付けている。格闘ゲームとしては良好な数字だが、「最近のレビュー」が「概ねポジティブ」と「賛否両論」を行き来していることも事実だ。
ポジティブな評価:「プラットフォームファイター最高峰」の声も
スマブラ系の中でも、スピードはスマブラUltimate並みなのに、技術天井はメレー(Melee)に匹敵すると思う。インディーゲームでこれはすごい。しかも値段はUltimateの半額以下だ。
引用元:Steamレビュー
スマブラUltimateをプレイしてきた層にとって、Rivals of Aether IIは操作の習得ハードルが低く入りやすい。それでいて高みに行けば行くほど技術的な深みが待っている、という点が高く評価されている。
今まで遊んできたプラットフォームファイターの中でも最高レベルかもしれない。動きの滑らかさと中毒性が違う。しかもメレーみたいな鬼のような参入障壁がない。
引用元:Steamレビュー
「動きの気持ちよさ」を評価する声は多い。3Dモデルが60fpsで動くこともあって、視覚的な爽快感とゲームプレイの滑らかさが合わさっている。
Steamのプラットフォームファイターコミュニティが、他のどのゲームより一致団結してこのゲームを押している。それだけゲームとして良いものを作っていると思う。
引用元:Steamレビュー
格闘ゲームのコミュニティが一つのゲームを支持し続けるのは簡単ではない。Rivals of Aether IIは、2024年10月のリリースから1年以上経っても、コアなプレイヤー層の支持を維持している。
ネガティブな評価:フロアハギングと初心者への壁
一方で批判的な声もはっきりある。中でも目立つのが「フロアハギング(クラウチキャンセル)」への不満だ。
クラウチキャンセルが強すぎる。前作は流れるようなコンボが楽しかったのに、今は下を押しながらジャブを連打するだけになってる。これは楽しくない。
引用元:Steamレビュー
フロアハギング(相手の攻撃を地面に屈む動作でキャンセルするテクニック)が強力すぎることで、コンボゲームの面白さが損なわれているという批判だ。Rivals of Aether IIのフィードバックフォーラムでも最も多く投票された問題の一つになっており、Aether Studiosも把握している課題だ。開発チームは継続的にパッチでこの問題への対応を続けている。
新規プレイヤーへの冷たさが問題。ゲーム内にチュートリアルがなく、コミュニティで質問しても初心者に優しくない人も多い。
引用元:Steam掲示板
チュートリアルの不在は具体的な課題だ。Rivals of Aether IIは独自のシステムが多く、手探りで覚えていくと悪い癖がつきやすい。公式のチュートリアルが整備されれば、新規参入のハードルはかなり下がるはずだ。これはAether Studiosも認識しているはずで、今後の改善に期待したい。
前作ファンの複雑な想い
Rivals 2は前作のRivalsファン向けじゃないと思う。ゲームプレイが根本的に変わりすぎていて、前作の良さだった流れるような動きと防御の少なさがなくなってる。
引用元:Steam掲示板(Rivals of Aether II)
この意見は一定数のファンの本音だ。前作をあの形のまま遊び続けたいなら、前作はSteamで今も遊べるし、Rivals of Aether Definitive Editionとして継続販売されている。新作と前作は、同じシリーズではあっても、かなり違うゲームだと思って良い。
Evoに出場するまでに成長した競技シーン
Rivals of Aether IIで最も印象的なのは、リリースからわずか1年余りで格闘ゲームの祭典「Evo(Evolution Championship Series)」に出場したことだ。
2025年のEvoで、Rivals of Aether IIはプラットフォームファイター部門に300人以上が参加するトーナメントを開催した。しかも、スマブラMeleeやスマブラUltimateのトッププレイヤーとして知られるPlupやStangoが参加し、格闘ゲーム全体のコミュニティに注目を集めた。Plupはこの大会の前哨戦となるGenesis X2でも優勝を果たしている。
競技シーンのトップには「CakeAssault(Alex Strobel)」というプレイヤーがいる。オフライン大会での勝率が91%という圧倒的な数字を誇り、現在のRivals of Aether IIで最強プレイヤーとして認識されている。
さらに2025年5月にはHungryboxが主催するオンライン大会がEvo予選として開催された。Hungry boxはスマブラMeleeのレジェンドプレイヤーだ。格闘ゲームの大物がRivals of Aether IIに関わり始めたことは、このゲームの競技シーンとしての認知度を示している。
2025年のSupernova大会では587人が参加し、Rivals of Aether IIのローカル大会として史上最大規模になった。バージニア州シャンティリーで開かれたこの大会は、コミュニティの熱量を示す出来事だった。
2026年Evoのメインラインナップへ
そして2025年12月、Rivals of Aether IIが2026年のEvoメインラインナップとして発表された。これはRivalsシリーズ史上初のメインラインナップ入りだ。インディー対戦格闘ゲームがEvoのメインに名を連ねることは、格闘ゲーム界隈では一つのステータスを意味する。
Rivals 2 Championship Seriesというシーズン制の公式大会シリーズも立ち上がった。Combo Breaker 2025(シカゴ)、CEO 2025(オーランド)、GOMLなど複数の大型大会がシリーズに組み込まれ、年間を通じたランキングシステムが動いている。
インディーゲームがここまでの競技シーンを形成できたのは、前述したロールバックネットコードや定期的なキャラクター追加(全員無料)という、長期的なコミュニティ維持への投資があったからこそだと思う。
競合ゲームとの比較:スマブラ系の中でどう位置づけるか

プラットフォームファイターというジャンルで、Rivals of Aether IIはどういうポジションを取っているのか。いくつかの視点から整理してみる。
スマブラUltimateとの違い
最大の違いは「キャラクターのIPがない」ことだ。スマブラはマリオ、ゼルダ、ポケモンといった誰もが知るキャラクターで戦う。Rivals of Aether IIのキャラクターはオリジナルなので、認知度の差は大きい。
一方で、ゲームとしての純粋な対戦品質で言えばRivals of Aether IIが優れている面もある。ロールバックネットコードによるオンライン対戦の品質は、スマブラUltimateの遅延入力式ネットコードより明らかに良好だ。本格的なオンライン対戦を楽しみたいなら、Rivals of Aether IIの方が快適な環境が整っている。
また価格面でも、スマブラUltimateのソフト代+Nintendo Switch本体を合算すると相当な金額になる。PCとSteamを既に持っているなら、Rivals of Aether IIの方が圧倒的にコストパフォーマンスが良い。
他のインディープラットフォームファイターとの比較
インディーのプラットフォームファイターとして挙げられることが多いのが「Brawlhalla」だ。Brawlhallaは完全無料で遊べる代わりに追加キャラクターを課金で購入するモデル。Rivals of Aether IIは有料だが追加キャラクターは無料というモデルの違いがある。
競技性の面では、Rivals of Aether IIの方が高い技術天井を意図的に設計している。Brawlhallaが幅広い層への間口を広く取っているのと対照的に、Rivals of Aether IIはよりコアな格闘ゲームファンを想定していると感じる。
格闘ゲーム全体の中での位置
格闘ゲームジャンル全体で見ると、Rivals of Aether IIは「プラットフォームファイター」という特殊なサブジャンルに属する。ストリートファイター系の「コマンド入力で必殺技」「体力ゲージ」という格闘ゲームの常識とは別のルールで動く。
Street Fighter 6やGUILTY GEARシリーズと比べると、操作の複雑さという面でRivals of Aether IIはずっとシンプルだ。コマンド入力がなく、ボタンと方向キーの組み合わせで技が出る。格闘ゲーム入門としての敷居の低さは、このジャンルの特長だ。
ゲームモード:オンライン・オフラインの選択肢
Rivals of Aether IIで遊べるモードについて整理しておく。
オンライン対戦
1対1のランク戦と通常マッチ、2対2のチームマッチ、最大4人でのフリーフォーオール。ランク戦ではマッチングが近い実力のプレイヤーと当たる仕組みになっている。リリース後にランクシステムのアップデートも行われており、より公平なマッチングが実現されてきている。
ロールバックネットコードのおかげでオンライン対戦の快適さは高く、物理的に離れたプレイヤーとの対戦でも遅延が少ない。これは対戦格闘ゲームでは特に重要な点だ。
ローカル対戦
同じPC、またはコントローラーを繋いで複数人でローカル対戦ができる。パーティーゲームとして遊ぶなら4人フリーフォーオールが盛り上がる。友人と集まって遊ぶシチュエーションでも楽しめる設計だ。
Steamワークショップ
コミュニティ制作のキャラクターをダウンロードして使えるモード。2026年1月にベータが始まったばかりで、今後コンテンツが増えていく段階だ。好みのキャラクターを探したり、自分でキャラクターを作ったりする楽しさがある。将来的にはステージやスキンも対応予定だ。
2026年ロードマップで予告された新モード
2026年には「Item Mode」という新しいゲームモードが追加される予定だ。アイテムを使った乱戦系のモードで、よりカジュアルな楽しみ方が広がると期待されている。また「Aether Stages」というより大型のステージが追加されることも予告されており、カオスな多人数戦が楽しめる環境が整っていく見込みだ。
欠けているもの:チュートリアルの不在
残念ながら、リリース時点ではきちんとした内蔵チュートリアルがない。基礎的な操作を学ぶ手段が限られており、新規プレイヤーが入りにくい原因の一つになっている。YouTube動画やコミュニティのガイドを活用することが事実上必須になっている。これは明確に改善が必要な部分だ。
ビジュアルと音楽:インディーが3Dに挑んだ結果
前作の2Dピクセルアートから3Dモデルへの転換は、好みが分かれるところだ。
前作のファンの中には「あのピクセルアートの味が好きだった」という声もある。確かに前作のビジュアルは、ローレゾながら個性があった。ゼッターバーンの炎のエフェクトも、フォーズバーンの煙の演出も、ピクセルアートの中で独特の表現力を持っていた。
Rivals of Aether IIの3Dモデルは、60fpsで滑らかに動く。エフェクトの豪華さも増している。見た目の完成度は上がっているが、「前作のあの雰囲気」ではなくなったのも事実だ。
ただし、客観的に見て3Dモデルのクオリティは高い。インディースタジオが作ったゲームとは思えない滑らかさがある。特に各キャラクターの動作のアニメーションは丁寧に作られており、ヒット感の演出も満足できるレベルだ。
サウンドトラックの完成度
音楽面は高く評価されている。flashygoodness(前作から参加しているミュージシャン)が引き続き音楽を担当しており、シリーズの音楽的なアイデンティティが保たれている。
各キャラクターのステージに合わせたBGMは、戦闘の高揚感を後押しする。属性ごとに音楽の雰囲気が変わる設計で、火属性のステージには激しいロック系のBGMが、水属性のステージには流れるような楽曲が合わさっている。
効果音も対戦の気持ちよさに貢献している。攻撃がヒットした時の感触は、スマブラ系の格闘ゲームで重要な要素の一つだが、Rivals of Aether IIはその点でも質の高い仕事をしている。
前作ファンへ:Rivals of Aetherとどう違うか
前作「Rivals of Aether」を遊んでいたプレイヤーにとって、Rivals of Aether IIは「まったく別のゲーム」として受け止めた方が良いかもしれない。
前作にはシールドも掴みもなかった。パリィと回避だけで戦うシンプルさが、前作独特のリズムを生んでいた。コンボの流れが滑らかで、空中での打ち合いが活発だった。防御行動がパリィだけという制約が、攻める側と守る側の読み合いをシンプルに絞り込んでいた。
Rivals of Aether IIはシールドと掴みが入り、より「スマブラに近い」構造になった。これは明確な設計上の選択で、より広いプレイヤー層にアピールするためのものだと思われる。前作のプレイ感を期待して入ると戸惑うかもしれない。
10年計画というロードマップ
Fornaceは公のインタビューで「10年計画」に言及している。1つのゲームを長期間かけて育てていくという方針だ。これは継続的なキャラクター追加(全員無料)やワークショップの整備、ランクシステムの改善などを含む長期的なコミットメントを意味する。
実際、2025年を通じてキャラクター追加が行われた。ラ・レイナ、ガルヴァン、スレイドなど複数の新キャラクターが無料で追加されている。2026年のワークショップベータ開始も、この長期計画の一環だ。2026年ロードマップには4体の追加キャラクター、Item Mode、Aether Stagesが予告されている。
ゲームをリリースして終わりではなく、コミュニティと一緒に育てていく姿勢。Aether Studiosはそれを実際に行動で示している。

長期運営のゲームで言えば、Slay the Spireも地道なアップデートとコミュニティとの対話でファンを維持してきた好例だ。Rivals of Aether IIもそういう方向性を目指していると感じる。
Aether StudiosのMediumレポートから見えること
Dan Fornaceは毎年末にMediumで振り返りと展望の記事を公開している。2025年版では、1年間で何をやり遂げ、次に何を目指しているかが具体的に書かれていた。開発チームが何を優先し、何に時間を使っているかが透けて見える内容だ。この透明性の高いコミュニケーションが、コミュニティとの信頼関係を作っている。
インディー格闘ゲームが生き残るために

Rivals of Aether IIを取り巻く状況を整理すると、インディースタジオが格闘ゲームで生き残ることの難しさと可能性が両方見えてくる。
格闘ゲームは「プレイヤーがいないと遊べない」ジャンルだ。マッチングに人が集まらなければ対戦できず、対戦できなければプレイヤーが離れ、離れればさらに人が減るという悪循環に陥りやすい。インディーのゲームがこの循環を乗り越えるのは簡単ではない。
それに対してRivals of Aether IIは、いくつかの手を打っている。
キャラクター追加を全員無料にすることで、既存プレイヤーのコミュニティを分断させない。ロールバックネットコードで対戦品質を担保する。Steamワークショップでコミュニティ主導のコンテンツ創造を促す。10年計画を掲げて長期的なコミットメントを示す。Evo等の大型大会への出場でシーンの認知度を高める。
これらは全て、プレイヤーが「このゲームを続けて遊ぶ理由」を作るための施策だ。
一方でチュートリアルの不在や、フロアハギングのような問題が解決しきれていないことは、新規プレイヤーの定着を妨げている。批判を真摯に受け止めて改善する意志はあるようだが、実際に変化するまでの時間がかかっていることへの不満も理解できる。

Binding of Isaacも初期は批判を受けつつ、継続的なアップデートで完成度を高めてきた。Rivals of Aether IIも時間をかけて完成形に近づいていく段階にあると見ている。
こんな人には特にオススメ、こんな人には合わないかもしれない
ここまでの内容を踏まえて、どんな人にRivals of Aether IIが合いそうかをまとめる。
向いている人
「スマブラに似た対戦格闘をPCで遊びたい」という人には、まずRivals of Aether IIを試してみる価値がある。操作の入口はそこまで難しくなく、対戦の面白さはしっかりある。
「格闘ゲームの競技シーンを覗いてみたい」という人にも向いている。ロールバックネットコードのおかげでオンライン対戦の環境は良好で、ランク戦でステップアップしていく楽しみがある。Evoのメインラインナップに選ばれた今後は、競技シーンも盛り上がりが続くはずだ。
「Steamワークショップでコミュニティ作成コンテンツを楽しみたい」という人にも。ベータ段階ではあるが、コミュニティ製キャラクターが増えていけばゲームの楽しみ方が広がる。自分でキャラクターを作りたい人にとっても面白いプラットフォームだ。
「格闘ゲームの入門として遊んでみたい」という人には、コマンド入力がなく操作が直感的な点でハードルが低い。ただし内蔵チュートリアルがない点は注意が必要だ。
向いていない人
「スマブラのキャラクターが好きで、そのキャラクターを使いたい」という人には合わない。Rivals of Aether IIのキャラクターはオリジナルなので、既存IPへの親しみでゲームを選ぶタイプには別の選択肢を探した方が良い。
「チュートリアルを見ながら丁寧に基礎を学びたい」という人も、現状では苦労するかもしれない。外部の動画やコミュニティのリソースを自分で探せる人向けのゲームだ。
「前作Rivals of Aetherのプレイ感そのままで新作を遊びたい」という人も、思っていたのと違うと感じる可能性がある。前作と今作はかなり別のゲームとして捉えた方が良い。

Climber Animalsのような気軽に遊べるアクションゲームとは対照的に、Rivals of Aether IIは対戦相手との読み合いの深みが核にある。上達するほど楽しくなるタイプのゲームだ。
価格帯とSteamでの入手について
Rivals of Aether IIはSteamで販売されており、リリース後はセールも定期的に行われている。割引時には30〜50%オフになることもある。
追加キャラクターは全員無料で提供されるため、購入後のランニングコストはゼロだ。スキンなどのコスメティックDLCは別途販売されているが、ゲームプレイに影響する要素は全て無料で提供される方針だ。
Windows PCのみの対応で、今のところSteamが唯一の購入経路だ。コントローラーでのプレイが推奨されているが、キーボードでも遊べる。対戦格闘ゲームを本格的にやるなら、コントローラーかアーケードスティックを用意した方が快適だ。
一度購入すれば、その後追加されるキャラクターやロードマップに記載されたコンテンツの多くが無料で手に入る。長く遊ぶことを考えると、コストパフォーマンスは高い部類に入ると思う。
実際に遊んでみて気づいたこと:上達曲線の話
格闘ゲームの面白さは「上達曲線」にある、と個人的に思っている。初めて遊んだ時の「わからん殺し」が、少しずつルールを理解するにつれて「あ、そういうことか」になり、やがて「これが読めた」「このコンボが繋がった」という達成感に変わっていく。
Rivals of Aether IIはその上達曲線がなだらかに設計されている。コマンド入力がない分、とりあえず動かすことはすぐできる。ジャンプして攻撃する、避けて反撃する、シールドを使う。この基本的な動きを覚えるまでの壁は低い。
でも、ここから先が深い。パリィのタイミング、相手の着地を読んでの攻撃、崖際での復帰の択。これらを意識し始めると、対戦は全く違う景色になる。「ただ攻撃を振っていた」段階から「相手の動きを読んで動く」段階に移行する瞬間は、格闘ゲームの醍醐味の一つだ。
「負けて学ぶ」ゲームの設計
Rivals of Aether IIは「なぜ負けたか」がわかりやすい設計になっている。スマブラと同様、ダメージパーセンテージが上がるほど飛ばされやすくなるため、「あの攻撃でここまで蓄積された」という因果関係が見えやすい。
コンボが繋がった時の爽快感、パリィが成功した時の達成感、相手の攻撃を崖ギリギリで受け流せた時の興奮。これらの「良い体験」が積み重なることで、次もプレイしたくなる仕組みができている。
チュートリアルがないことは問題だが、コミュニティが自主的に「初心者向けガイド」を作っている。YouTubeには入門動画が豊富にあり、海外コミュニティのDiscordでは質問に答えてくれる人も多い。
コントローラー選びで体験が変わる
プラットフォームファイターを遊ぶなら、コントローラーの選択が重要だ。スマブラMeleeのコミュニティでは今でもゲームキューブコントローラーが定番だが、Rivals of Aether IIではXboxコントローラーやPlayStationコントローラーを使うプレイヤーも多い。
アナログスティックの精度が高いコントローラーの方が、細かいダッシュや空中での動きが出しやすい。キーボードでも遊べるが、複雑な空中操作はコントローラーの方がずっとやりやすい。入門段階で使いやすいコントローラーを用意するだけで、上達のスピードが変わる。
コミュニティの文化:Rivals of Aetherシリーズが育てたもの

Rivals of Aetherシリーズが他のインディー格闘ゲームと異なるのは、長年かけて育てたコミュニティ文化がある点だ。
前作のファンが前作で出会い、大会を自主開催し、ワークショップでキャラクターを作り合った。その積み重ねがRivals of Aether IIの出発点にある。ゲームが発表された時、すでに熱心なコミュニティが存在していた。
Rivals DirectというコミュニケーションスタイルI
任天堂が「Nintendo Direct」でゲームの情報を発信するように、Aether Studiosは「Rivals Direct」という形式で情報を届けてきた。新キャラクターの発表、ゲームシステムの紹介、ワークショップの進捗報告。このコミュニケーションスタイルはコミュニティとの距離を縮める効果があった。
前作でRivals Directにフィーチャーされたコミュニティ制作キャラクターの作者が採用された話は既に書いたが、こういう「コミュニティへの敬意」の積み重ねがシリーズへの愛着を深めてきた。
大会文化が生まれた背景
格闘ゲームの大会文化は、プレイヤーたちが自主的に集まって対戦する文化から始まることが多い。スマブラMeleeが一度任天堂にサポートを切られながらも、コミュニティが独自に大会を継続してきた歴史は有名だ。
Rivals of Aetherシリーズも似た軌跡をたどっている。前作のコミュニティが独自に大会を開催し、コンテンツクリエイターが動画を作り、視聴者が増えてきた。その熱量がRivals 2への期待として繋がり、リリース初日の1万人超という数字を生んだ。
Rivals 2 Championship Seriesが立ち上がり、Evoメインラインナップ入りが実現した背景には、こういうコミュニティの積み重ねがある。トッププレイヤーのCakeAssaultやPlupが活躍し、Hungryboxのような大物が大会を主催することで、コミュニティ外への認知度も広がっていった。
日本のプレイヤーへの壁:言語の問題
一方で日本のプレイヤーにとってのハードルも正直に書いておく。Rivals of Aether IIは日本語に完全対応していない部分もある。コミュニティの中心はやはり英語圏で、Discordやフォーラムのメインも英語だ。
Steamのレビューを見ると日本語のものはまだ少ない。プレイ人口という意味では、日本での認知度はまだ低い。それでも世界のプレイヤーとオンラインで戦える格闘ゲームとして、ロールバックネットコードが言語の壁を超えるのを助けてくれる。
格闘ゲームの「キャラクター選び」という楽しさについて
格闘ゲームを遊ぶ楽しみの一つに、「メインキャラクターを見つける」という体験がある。10人のロスターの中から、自分のプレイスタイルに合うキャラクターを探す過程は、そのゲームへの関与を深める重要なステップだ。
Rivals of Aether IIのキャラクターはどれも「属性に基づいた一貫したデザイン哲学」を持っている。炎属性は攻め重視、水属性は機動力、土属性はパワー系、風属性はトリッキー。大まかにこういう傾向があり、自分の好きな戦い方のイメージから入ることができる。
初心者にオススメのキャラクターから始める
格闘ゲームの入門として「使いやすいキャラクターから始める」は王道の戦略だ。Rivals of Aether IIで初心者に向いているとされるのは、ゼッターバーン(炎・オーソドックスタイプ)だ。技の用途がわかりやすく、コンボの感覚を掴みやすい。
逆にフォーズバーンやクレアレンは個性が強く、使いこなすまでに時間がかかる。最初は「とりあえずゼッターバーン」と決めて、基本的な動きを覚えてから他のキャラクターを試すのが無難だ。
「キャラ対策」という奥深さ
格闘ゲームの競技的な楽しさの一つに「キャラ対策」がある。相手のキャラクターの動きを把握して、そのキャラクターに対して有効な戦術を取る。これは格闘ゲームを長く遊ぶほど重要になってくる要素だ。
Rivals of Aether IIのキャラクターは現時点でも10人以上になっており、それぞれの対策を覚えることがランク戦での勝率向上に繋がる。クレアレンの先端当てを警戒して距離を取る、フォーズバーンの煙の中に突っ込まない、といった基本的なキャラ対策から始まり、より細かい駆け引きへと発展していく。
ロスターが増えるほどキャラ対策の重要性も増す。2026年のロードマップで4体追加が予告されているということは、対策すべきキャラクターも増えるということだ。これはゲームを長く遊ぶ理由になる。
ランクシステムと成長の可視化
Rivals of Aether IIにはランクシステムが実装されており、オンライン対戦での成績によってランクが変動する。初めてランク戦に挑戦した時は実力を計るマッチが行われ、適切なランクに配置される。
ランクが上がる瞬間は格別だ。「一つ上のランクに来た」という達成感が、さらなる練習のモチベーションになる。逆にランクが下がることへの悔しさが、「次は勝つ」という気持ちを生む。この感情の起伏が格闘ゲームの競技的な面白さだ。
Ranked Liteというモードについて
Rivals of Aether IIには「Ranked Lite」というモードもある。ランクシステムの重さを軽くした、もう少しカジュアルに対戦を楽しめる設計になっている。本格的なランク戦に挑む前のウォーミングアップや、ランク戦のプレッシャーなしに対戦を楽しみたい時に向いている。
成長を実感できる記録機能
Rivals of Aether IIでは対戦の記録を振り返る機能もある。自分の戦績を確認することで、どのキャラクターに勝てているか、どのキャラクターに苦手意識があるか、という傾向を掴める。客観的なデータが自分の課題を教えてくれる。
プレイタイムが増えるにつれて「以前はできなかったことができるようになった」という実感が出てくる。この成長の可視化が、格闘ゲームを長く遊ばせる仕組みの一つだ。
オフブランドゲームズとパブリッシング:インディーとしての独自性を守る
Rivals of Aether IIのパブリッシャー「offbrand games」について少し触れておく。
offbrand gamesはインディーゲームの開発者が自分の作品のコントロールを保ちながら世界に届けることをサポートするスタジオだ。大手パブリッシャーと組むことによる「ゲームデザインへの干渉」を避けつつ、マーケティングや流通のサポートを受けられる形態だ。
Fornaceにとってこの選択は、「10年計画」という長期的なビジョンを実現するために重要だった。キャラクター追加を全員無料にするという方針も、短期的な収益を優先しない姿勢がなければ難しい。offbrand gamesとのパートナーシップは、この独自路線を維持しながら世界規模のリリースを可能にした。
こういうパブリッシングの仕組みの話は、ゲームそのものとは無関係に見えるかもしれない。でも「なぜこのゲームがこういう設計になっているか」を理解する上で、開発者の立場や取り巻く環境を知ることは大切だと思っている。Rivals of Aether IIが追加キャラクターを無料にできているのは、こういう背景があるからだ。
まとめ:格闘ゲームコミュニティの愛が形になり続けているゲーム
Rivals of Aether IIは完璧なゲームではない。チュートリアルの不在、フロアハギングのバランス問題、コミュニティの初心者への冷たさ。改善すべき課題はまだある。前作を愛していたファンの中には、別のゲームになったと感じる人もいる。
でも、このゲームが達成していることもある。インディースタジオが本格的なプラットフォームファイターを作り、それが格闘ゲームコミュニティに受け入れられ、Evoのメインラインナップに選ばれるまでになった。1年以上経っても継続的にアップデートされ、コミュニティが作り続けるエコシステムが動いている。
前作から育てたコミュニティの愛が、新しいゲームを作り、そのゲームをまたコミュニティが育てていく。そういう循環がRivals of Aetherというシリーズには存在している。
Dan Fornaceが言う「10年計画」が本当に実現するかどうかは、まだわからない。でも、その言葉を実際の行動で裏付けようとしている姿勢は感じる。キャラクター追加を全員無料にし、ワークショップを整備し、フィードバックを真剣に受け取ってパッチを出し続け、競技シーンを育てている。
格闘ゲームが好きで、スマブラ系のゲームをPCで探していたなら、Rivals of Aether IIは一度触ってみてほしいゲームだ。合うかどうかは実際に動かしてみないとわからないが、少なくともその価値はある。

Bloons TD 6のような戦略ゲームとは全く違う楽しさだが、上達の喜びを感じたい人には格闘ゲームのそれも一種独特のものがある。Rivals of Aether IIはその入口として、インディーゲームの中では最上位クラスのクオリティを提供している。
格闘ゲームの深みを、インディーの情熱と一緒に体験してほしい。
Rivals of Aether II
| 価格 | ¥3,400-50% ¥1,700 |
|---|---|
| 開発 | Aether Studios |
| 販売 | Aether Studios, offbrand games |
| 日本語 | 非対応 |
| 対応OS | Windows |
| プレイ形式 | マルチ |

