「Songs of Conquest」六角グリッドで魔法と軍を率いる戦略SLG

「あと1ターンだけ」——そう思ってから4時間が経っていた。マップの端に残った敵の城をどうしても落としたくて、ウィールダーを動かし続けた。気づいたら窓の外が明るくなっていた。

2022年の早期アクセスから2年かけて、『Songs of Conquest(ソングス・オブ・コンクエスト)』が2024年5月20日に正式リリースされた。開発はスウェーデンのLavapotion、パブリッシャーはCoffee Stain Publishing。Steam評価は1万1000件超で85%が好評、メタスコアは80点。Heroes of Might and Magicシリーズが長期休眠状態に入ってから久しい中、「あの感覚を現代に蘇らせた」として熱狂的に迎えられた一作だ。

ただ、これは単なるHoMMのリメイクではない。Essenceという独自の魔力システム、建築スペースに制約を設けた城管理、毎日徴兵できる柔軟な兵力補充——HoMMへの深いリスペクトを持ちながら、丁寧に積み上げた独自要素が存在する。実際にキャンペーンを4章すべてプレイして、このゲームが何を大切にしているか見えてきた。良い点も、正直に言えば不満に感じた部分も含めて書いていく。

公式トレーラー(正式リリース版)

プレイ動画

こんな人に読んでほしい

  • Heroes of Might and Magicシリーズが好きだった、または気になっている
  • ターン制ストラテジーで「探索 × 城管理 × 戦術戦闘」をじっくり楽しみたい
  • ドット絵の美しいゲームを探している
  • ソロもマルチも楽しめる骨太なインディーゲームを探している
目次

Heroes of Might and Magicの「精神的後継作」は何が違うのか

Songs of Conquest アドベンチャーマップ

Songs of ConquestとHeroesIIIを並べてスクリーンショットを比較すると、構図がよく似ている。ヘクスグリッドの戦闘フィールド、マップを移動するウィールダー(英雄)、点在する資源サイトと街——骨格は明らかにHoMMのDNAを受け継いでいる。

ところが遊び始めると、細部の設計思想がかなり違う。HoMMシリーズに長年向き合ってきたプレイヤーほど「あれ、こう動くのか」という驚きが多い。その違いを把握することが、このゲームを楽しむ最初のステップになる。

まず兵力補充の仕組み。HoMMでは週に1度しか補充できなかった兵士を、Songs of Conquestでは毎日徴兵できる。これによってゲームテンポが全体的に上がり、「1ターン1ターンの価値観」が変わってくる。

城の建設にも制約がある。HoMMでは資源さえあれば基本的にすべての建物を建てられたが、このゲームでは城ごとに建設スペースが限られている。何を作り、何を諦めるか——その取捨選択が城管理の醍醐味になっている。

「1999年以来のHoMM3スピリチュアル後継作の中で最高傑作。素晴らしい」

出典:Steamユーザーレビュー(Crownic、プレイ時間85時間)

HoMMIIIの直接的な後継として今まさに話題になっているタイトルといえば、こちらもある。

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Essenceシステム——Songs of Conquest最大の独自要素

Songs of Conquest 戦闘シーン

このゲームで最も「なるほど」と思ったのが、魔法を管理するEssence(エッセンス)システムだ。HoMMではヒーローがマナプールを持ち、1ターンに1回だけ呪文を使えた。Songs of Conquestでは仕組みがまるで違う。

戦闘中、各ユニットが行動するたびにEssenceと呼ばれる魔力結晶を生成する。たとえばアーチャーは「Order 1 / Arcana 1」、アンデッドユニットは「Death 2」といった具合に、ユニットの種類によって生成するEssenceの種類と量が決まっている。ウィールダーはこのEssenceを使って呪文を詠唱する。

つまり「どんなユニットを編成するか」が、そのまま「どんな呪文が使えるか」に直結する。弓兵を多く編成するとOrder系の呪文が充実し、アンデッドを揃えるとDeath系の大魔法が飛んでくる。部隊編成と魔法運用が完全に連動しているわけだ。

HoMMとの違いはもう一つある。Songs of Conquestでは1ターンに複数の呪文を連続詠唱できる。Essenceが溜まっていれば、強化呪文を重ねがけしながら攻撃魔法を叩き込むことも可能だ。この多重詠唱がシステムとして成立しているのは、Essenceというリソース管理があるからこそだ。

「最初はEssenceの意味がよくわからなかったが、ユニット編成と魔法が連動しているとわかってから一気に面白くなった」

出典:Steamユーザーレビュー(Exelance、プレイ時間107時間)

ドット絵の美しさとターン制戦闘の組み合わせという意味では、こちらも近い体験ができる。

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4つの派閥——それぞれの「らしさ」と魔法の個性

Songs of Conquest 派閥

Songs of Conquestには4つの派閥があり、それぞれのキャンペーンチャプターが用意されている。ユニット構成・Essenceの傾向・プレイスタイルが派閥ごとに大きく異なるため、4つすべてを触るとゲームの見え方がかなり変わってくる。

派閥 特徴 プレイスタイル
Arleon(アーレオン) 騎士と妖精の連合。遠距離ユニットが充実 堅実な防衛とアーチャーによる面制圧
Barya(バリャ) 商人国家。火薬・傭兵・機械 強力な直接戦闘。接敵させれば最強クラス
Rana(ラナ) 沼地の民。呪術と自然魔法 独特のデバフ戦術と粘り強い消耗戦
Barony of Loth(ロスの男爵領) アンデッドと人間の混成軍 人間ユニットが倒されるとアンデッドとして復活する特殊なリソース回転

キャンペーンは各派閥の主人公(ウィールダー)が主役となる全4章構成。ストーリーはそれぞれ独立しており、吟遊詩人がプレイヤーの征服の歴史を詩にして歌う——というメタ的な演出が貫かれている。「詩人があなたの英雄譚を歌う」という設定が、ゲームタイトルの意味とも重なってくる。

Arleon(アーレオン)——初心者にやさしい騎士と妖精の連合

4派閥の中で最初に遊ぶなら、Arleonを選んで間違いない。騎士・弓兵・妖精という、王道のファンタジー軍隊で構成されており、ユニットの役割が直感的にわかりやすい。前線の騎士が接近戦をこなし、後方のアーチャーが遠距離から削る——という基本的な配置を学ぶのに最適な派閥だ。

生成するEssenceはOrderとArcanaが中心になる。Order系の呪文は味方ユニットの攻撃強化や移動速度アップが多く、「強化してから突撃する」という戦闘スタイルが合っている。Arcana系には一定範囲への広域攻撃魔法が含まれており、密集した敵部隊をまとめて削る場面で活きてくる。

ユニット単体の強さは4派閥の中で「堅実」と表現するのが正確で、突出した爆発力こそないが守りの固さと安定した遠距離攻撃が光る。初めてキャンペーンをプレイするときは、このArleonで「地形を活かした陣形」と「Essenceの使いどき」を身につけておくと、後の3派閥で詰まりにくくなる。

Barya(バリャ)——火薬と金が支える傭兵国家

Baryaは最も「変わり種」の派閥だ。火薬を使った大砲・銃兵・機械仕掛けのゴーレムといった、ファンタジー世界にしては異色のユニットが揃っている。見た目のインパクトもさることながら、プレイスタイルも独特だ。

Baryaの強みは「傭兵雇用」にある。他派閥のユニットをある程度金で雇える柔軟性があるため、手持ちの資源状況に応じた軍隊の組み替えがしやすい。序盤から中盤にかけて「今何が足りないか」を考えながらユニット構成を調整できるのは、戦略の幅という点で他派閥にない魅力だ。

生成するEssenceはGoldとOrderの混合になりやすい。Gold系の呪文はユニットの装備強化や即時回復が中心で、金銭的なリソースをそのまま戦力に変換するイメージだ。接敵してしまえば火力の高いユニットが揃っているため、「いかにして接近戦に持ち込むか」が戦術の核心になる。遠距離ユニットが手薄になりやすいことが弱点で、そこをどう補うかが腕の見せ所だ。

ストーリー面ではBaryaのキャンペーンが政治的な陰謀と権力闘争を描いており、4つのキャンペーンの中でも特に人間ドラマが濃い。派閥の背景に興味が湧いてきたら、ここから始めてみるのも面白い。

Barony of Loth(ロスの男爵領)——アンデッドが増殖する独自エコシステム

Lothは4派閥の中で最もトリッキーな動きをする。人間ユニットを前線に送り込み、その人間が戦闘で倒されると今度はアンデッドとして復活する——というサイクルが、この派閥の根幹だ。「ユニットが倒されること自体が強み」というゲームデザインは、最初は逆説的に感じるが慣れてくると非常に気持ちがよい。

アンデッドユニットはDeathのEssenceを大量に生成する。Death系の呪文は敵ユニットに直接ダメージを与えるものや、戦場全体に呪いをばらまくものが充実しており、使い込むほど強力な大魔法へのアクセスが増えてくる。長期戦になればなるほどLothが有利になる設計だ。

ただし、この派閥の難点は「序盤の立ち上がりが遅い」ことだ。アンデッドへの変換サイクルが安定するまでは兵力が薄い状態が続く。敵に攻め込まれて主要ユニットを失うと、アンデッドとして復活するよりも先に戦線が崩壊するケースもある。Lothのキャンペーンは意図的にHard相当の難易度設定になっており、HoMM系のゲームに慣れてから挑むのが正直なところ理にかなっている。

Rana(ラナ)——沼地の呪術師が操る消耗戦

Ranaは沼地や水辺を本拠地とする部族で、生態系と共生する自然魔法が専門だ。ユニットは蛙人・蜘蛛・毒蛇使いなど、他派閥には存在しないユニークな顔ぶれで構成されている。見た目のクセの強さとは裏腹に、戦術面では非常に奥が深い。

Ranaの本領は「デバフの重ね掛け」にある。毒・スロー・視界制限といった弱体化効果を複数重ねることで、強力な敵ユニットを機能停止に近い状態に追い込める。Decay系とNature系のEssenceを中心に、「じわじわと敵を弱らせながら消耗戦に引き込む」スタイルが適している。

プレイスタイルとしてはやや玄人向けだが、「デバフが積み重なって強敵が動けなくなる瞬間」の快感はRanaにしか味わえない。初心者にはArleonを先に遊ぶことを勧めるが、Ranaは「全派閥制覇」を目指すプレイヤーに特に印象を残す派閥だ。

どの派閥から始めるべきか——プレイスタイル別の選び方

まとめると、派閥の選び方はこうなる。初めてSongs of Conquestを触るならArleon。ユニット役割が明快で、キャンペーンのチュートリアル要素が充実している。HoMM経験者でいきなり難しめの体験をしたい人はLoth。アンデッドの独自ループに慣れると「このゲームの深さ」が一気に見えてくる。変わり種が好きな人にはBarya。戦略的な軍の組み替えを楽しみたい人向けだ。デバフ戦略でじっくり勝ちたい人はRana。相手の動きを封じる快感を求めるならこの派閥が答えを持っている。

「正式リリースを機にじっくり遊んでみようと起動し、4派閥のキャンペーンを計100時間近くプレイして満足しました」

出典:Steamユーザーレビュー(Exelance、プレイ時間107時間)

ウィールダーシステム——英雄という存在の重さ

Songs of Conquest ウィールダー

Songs of Conquestのウィールダー(Wielder)は、HoMMでいうヒーローに相当する存在だ。ただし、その役割はHoMMのヒーローよりも戦闘への直接的な関与が大きい。HoMMではヒーローが「軍を率いるだけで自身は直接戦わない」という仕様だったが、Songs of Conquestのウィールダーは戦場でEssenceを消費して呪文を詠唱することで、戦闘の流れを左右する。

ウィールダーはレベルアップとともにスキルを選択して育成していく。スキルツリーは「ウォークラフト系の自由な分岐」ではなく、毎レベルアップ時に「3つのスキルから1つを選ぶ」という仕組みだ。選択肢はランダムではなくウィールダーの初期設定に基づいた傾向があるため、「このウィールダーをどんな方向に育てるか」という方針が序盤から問われる。

スキルツリーとビルドの多様性

スキルは大きく「戦闘特化型」と「探索支援型」に分かれる。戦闘特化型はEssenceの回収効率を上げるもの、特定の呪文の威力を強化するもの、ユニットへのバフ効果を追加するものが中心だ。探索支援型は移動力の増加、資源収集のボーナス、近隣のマップ情報の解放など、アドベンチャーマップでの行動を有利にするスキルが揃っている。

両者を組み合わせることが理想だが、スキルの出現には偏りがあるため、毎回まったく同じビルドにはならない。「今回のウィールダーは移動特化気味に育った」「前回より呪文の威力が高い」という差が、プレイごとの体験を変えてくれる。コンクエストモードやマルチプレイで同じ派閥を選んでも毎回違う手応えになるのは、このスキル選択の揺らぎが大きく寄与している。

スキルの中には複数を組み合わせることで相乗効果が生まれるものがある。特定のEssence回収スキルと特定の呪文強化スキルが揃うと、1ターンに使える呪文の本数が大幅に増える。こうした組み合わせを自力で発見したときの喜びは、200時間遊んでも失われない。

ウィールダーが倒されたときのリスク

ウィールダーの倒れ方には2種類ある。「撤退(Retreat)」と「敗北(Defeat)」だ。撤退を選べばウィールダーは生き延びるが、率いていた部隊をすべて失う。敗北するとウィールダーは一時的に行動不能になり、敵陣営に捕捉される場合もある。

HoMMと大きく異なるのは「ウィールダー単体を狙い撃ちにする」戦術が機能しやすい点だ。敵ウィールダーに直接ダメージを与える呪文や、Essenceを枯渇させる戦術が存在する。ウィールダーが先に倒れると、Essenceの詠唱者がいなくなり、残ったユニットだけで戦わなければならない。これが「ウィールダーを守ること」の重要性を生んでいる。

初めてこの事実を意識したのは、Loth章の中盤戦でのことだった。敵ウィールダーに集中砲火をかけてDeath系の大魔法で一撃離脱を繰り返し、ウィールダーを沈黙させたら、残った敵ユニットが一気に烏合の衆に変わった。「ウィールダーを狙う戦術」を体験した瞬間、このゲームの戦闘の深さが別の段階に見えてきた。

「EssenceシステムとビルドがHoMMよりも深い——という感想と、兵力差でほぼ勝負が決まるという感想が共存している面白いゲーム」

出典:Steamユーザーレビュー(日本語ユーザー)

戦闘システムの深掘り——六角グリッドの戦術空間

Songs of Conquest ヘクスグリッド戦闘

ターン制のヘクスグリッド戦闘は、Songs of Conquestの屋台骨だ。各ユニットが1ターンに1度行動し、ウィールダーはEssenceを使って魔法を詠唱する。シンプルに見えて、Essenceの蓄積管理と呪文のタイミングを考えると奥行きが出てくる。

六角グリッドの戦術空間——地形・高低差・側面攻撃

戦闘フィールドは六角形(ヘクス)のグリッドで構成されており、ユニットは1ターンに移動力の範囲内で動き攻撃する。六角グリッドの最大の特徴は「向き」の概念だ。ユニットは正面・側面・背面という方向を持っており、側面や背面から攻撃を受けると追加ダメージが発生する。

この「側面攻撃ボーナス」がSongs of Conquestの戦術の核心の一つになっている。真正面からぶつかるだけでなく、弓兵で前方を抑えつつ騎兵で側面を突くという立体的な動かし方が有効だ。HoMMIIIでは「スタックをいかに前線に並べるか」という陣形が主眼だったが、Songs of Conquestでは「いかにして側面を取るか」という機動の発想が加わっている。

地形の高低差も戦闘に影響する。高い位置にいるユニットは遠距離攻撃の射程と威力に補正が掛かり、低い位置の相手を攻撃しやすくなる。丘の上に弓兵を配置するか、崖下に突撃ユニットを配置して高台を奪いに行くかという判断が、小さいようで勝敗を分けることがある。マップを見渡した瞬間に「あの丘は取りたい」という思考が生まれるようになれば、Songs of Conquestの戦術戦闘にのめり込んでいる証拠だ。

スタックシステム——部隊を重ねる判断

Songs of Conquestにはスタック(Stack)という概念がある。同種のユニットをひとつのスタックにまとめることで、1回の行動で大人数を動かせる。スタック内のユニット数が多いほど攻撃力と耐久力が上がるが、占有するヘクスの数は変わらない。

この仕組みが生む判断が面白い。「弓兵20人を1スタックにまとめて一点突破の火力を作るか」「10人ずつ2スタックに分けてフィールド全体をカバーするか」というトレードオフが常に存在する。スタックを分散させれば側面攻撃を複数の場所から仕掛けられるが、個々の火力は下がる。まとめれば火力は高くなるが、1スタックが潰されたときの損失も大きい。

戦闘が始まる前の「スタック編成を考える時間」が、じつはSongs of Conquestの楽しみの一つだ。相手がどんな派閥でどんなユニット構成を持っているかを偵察し、自分の編成を最適化する。マップ探索でのスカウト行動が戦闘前の準備に直結しているわけだ。

HoMM3との比較——何が改善されて何が同じか

HoMMIIIと比べてSongs of Conquestが改善したと感じた点は主に3つある。一つ目は先述の側面攻撃と高低差の導入で、これによって戦闘に立体的な戦術思考が加わった。HoMMIIIの戦闘は良くも悪くも「並べてぶつける」が基本だったが、Songs of Conquestではフィールド上での位置取りが常に意味を持つ。

二つ目はEssenceシステムによる「魔法の使いすぎ問題」の解消だ。HoMMIIIではマナが切れると戦闘後半に呪文が使えなくなり、マナ管理が難しかった。Essenceはユニットのアクションによってリアルタイムに生成されるため、「戦闘中盤以降にEssenceが枯渇する」という状況が起きにくく、終盤まで呪文を使い続けられる設計になっている。

三つ目はグラフィックと戦闘のフィードバックの改善だ。HoMMIIIは小さいピクセルアートで戦闘の状況が把握しにくい場面があったが、Songs of Conquestはダメージ数値の表示・アニメーションの明確さ・ユニットの状態異常アイコンが整理されており、戦場の状況が直感的に把握できる。

一方で「同じ」と感じた部分もある。「圧倒的な兵力差がある場合は戦略の余地が減る」という点は、HoMMIIIから引き継がれた課題だ。兵力2倍以上の差があれば、どんな戦術を駆使してもほぼ覆らない。これをゲームの「リアリティ」ととるか、「単調さ」ととるかはプレイヤーの好み次第だ。

「面白くなりそうで面白くならないゲーム。一方的なバトルが多く、接戦が少ない」

出典:Steamユーザーレビュー(カムパルゴ、プレイ時間21時間)

この批判には一理ある。敵との戦力差が大きい状態での戦闘は、Essenceを使い果たすまでもなく決着がつく。「拮抗した戦いをしたい」と思ったとき、マップの難易度設定か、意図的に戦力を落とすなどのセルフハンデを設ける必要がある場合もある。

それでも、ウィールダーが成長してEssenceのコントロールが安定してきた中盤以降の戦闘は、明らかに別物になる。複数の呪文を重ねがけしながら、タイミングよく強化した歩兵を突撃させる瞬間の気持ちよさは、このゲームならではの感覚だ。

マップ探索とキャンペーン——世界を旅する楽しさ

Songs of Conquest ワールドマップ

アドベンチャーマップの探索は、Songs of Conquestの根幹をなす楽しさのひとつだ。視界の外には何があるかわからない——この「霧の向こうへの好奇心」がウィールダーを動かし続けさせる。

ワールドマップ探索と資源収集の楽しさ

マップには資源採掘場・廃墟・中立の集落・魔法のアーティファクトなど、探索する価値のあるポイントが散在している。Gold(金)・Mana(魔力)・Lumber(木材)・Stone(石材)といった基本資源のほかに、派閥ごとの特殊資源も存在する。これらを効率よく集めることが城の発展につながる。

中立の集落を支配下に置くと毎ターンの資源収入が増えるため、序盤はいかに多くの集落を素早く確保するかが重要だ。ウィールダーの移動力は限られているため、「今日どのルートを通るか」という判断が積み重なって戦況を大きく左右する。地図を眺めながら「この資源サイトとこの集落、どちらを優先するか」と考える時間がじつに楽しい。

特定のダンジョンや遺跡に潜ると、ユニークなアーティファクト(装備品)が手に入ることがある。ウィールダーに装備させるアーティファクトはステータス強化やEssence生成量の増加など多彩で、序盤に良いアーティファクトを入手できるかどうかで中盤の展開が変わってくる。「あの遺跡の中に何があるんだろう」という好奇心を維持させる設計が、マップ探索を飽きさせない理由だ。

キャンペーンのストーリーと難易度設計

キャンペーンは全4章、各章が独立したシナリオになっている。Arleonの騎士が失われた土地を取り戻す章、Baryaの商人が政変に巻き込まれる章、Lothのアンデッド支配者が拡大を図る章、Ranaの部族が外来勢力に対抗する章——それぞれが独自の主人公と動機を持ち、吟遊詩人の語りによって詩のように語られる。

難易度設定はEasy・Medium・Hard・Very Hardの4段階。初プレイはMediumを推奨するが、HoMM経験者はHardから始めても対応できる場合が多い。各章の後半で難易度が急上昇する傾向があり、「ゆっくり育てる」スタイルを貫くと後半で詰まりやすい。「攻めの探索」が正解であることをなるべく早く体感しておくと、キャンペーン全体を通じてストレスが少ない。

「キャンペーン後半になると順調に行ってるようにみえて、あっさり詰むのが割と鬼畜」

出典:Steamユーザーレビュー(Chaka、プレイ時間116時間)

ただし、116時間プレイしたうえでそう言っているわけで、それだけ深く遊べているということでもある。

ランダムマップとマルチプレイモード

コンクエストモードではランダム生成マップでのプレイが可能だ。マップサイズ・AI難易度・対戦相手数・資源の豊富さ・派閥の縛りの有無など、細かいパラメータを設定できる。同じ派閥でも毎回違うマップで始まるため、プレイのマンネリを防いでくれる。キャンペーンをクリアしたあとの「本番」として、Steamの記録上100〜200時間以上をコンクエストモードに費やすプレイヤーが多い。

マルチプレイは最大8人のオンライン対戦に対応。Steam・Epic・GOG間のクロスプラットフォームでも遊べる。ターン制のゲームなので「同時接続して一緒に遊ぶ」形式のほか、非同期でのホットシート形式も対応している。長期のキャンペーンを少しずつ進めるスタイルのプレイヤーには非同期マルチが重宝されている。Steam Deckでの動作確認も済んでいるため、携帯しながら少しずつ遊ぶことも現実的な選択肢だ。

ピクセルアートの美学——ドット絵でしか作れない世界観

Songs of Conquest ドット絵アート

Songs of Conquestのビジュアルについて語る前に、ひとつ言っておきたい。「ドット絵ゲームはチープそう」というイメージは、このゲームで完全に塗り替えられる。

ドット絵とHDアニメーションの融合

Songs of Conquestのグラフィックは「ピクセルアート」と呼ばれるが、単純な低解像度グラフィックではない。高解像度ディスプレイ上で意図的にドット絵スタイルを再現しつつ、アニメーションのなめらかさと光源表現だけを現代の技術で補完している。この組み合わせが独特の「様式美」を生んでいる。

アドベンチャーマップを俯瞰すると、緑の森・石造りの城・夕焼けの沼地が光と色のコントラストで区別されている。昼夜のサイクルはないが、派閥ごとにビジュアルトーンが徹底して設計されており、Arleonのマップは明るい緑と青、Lothのエリアは紫と灰色が支配する。マップを移動していくだけで「ここは誰の領地か」が色でわかる。

戦闘シーンのユニットアニメーションは特に丁寧に作られている。騎士が馬上から槍を振り下ろすモーション、アンデッドの骸骨が崩れ落ちる演出、弓を引き絞る一連の動作——どれも「ドット絵でこれだけ情報量を詰め込めるのか」という驚きがある。試しに戦闘シーンをズームアップしてみると、数ピクセルの差で表情の変化まで表現していることがわかる。

派閥ごとに異なるビジュアルデザイン

4派閥それぞれのビジュアルデザインは、ユニットの見た目だけでなく城のアート・マップタイルのテクスチャ・UIのカラーリングまで統一されている。Arleonの城は石造りの尖塔と緑の旗が特徴で、Baryaはスチームパンクとファンタジーをミックスしたような煤けた金属の外観を持つ。Ranaの建物は木と葦で組まれた湿地帯の集落の雰囲気で、Lothは腐食した石造りの墓廟のような色合いだ。

同じ「城の建設画面」でも、派閥ごとに見た目がまるで違う。ゲームを4周するとそれぞれが別のゲームのように感じられるのは、このビジュアルの徹底したテーマ付けがあるからだ。開発のLavapotionがいかに丁寧に各派閥の「世界観」を構築したかが、ピクセルの端々から伝わってくる。

BGMとサウンドデザインの評価

BGMについても同様だ。中世ファンタジー調のオーケストラと、微妙に気怠い吟遊詩人の歌声が混在するサウンドトラックは、征服マップの広大さと絶妙に合っている。ステージクリアのたびにBGMトラックが1曲ずつアンロックされていく仕組みも、「Songs of Conquest(征服の詩)」というタイトルの意味と呼応している。

各派閥のBGMは方向性が明確に分かれている。Arleonは荘厳な弦楽とホルンで騎士道的な雰囲気を演出し、Baryaはアコーディオンや打楽器を交えた港町的な活気がある。Lothはオルガンと低弦が支配する陰鬱なサウンドで、Ranaは木管楽器と水の音を組み合わせた湿地帯のアンビエントが漂う。どの派閥をプレイしていても「ここはこの派閥の世界だ」という没入感をBGMが支えてくれる。

海外レビューメディアのIGN Italiaは90点、Games.czも90点を付けている。採点基準の違いこそあれ、「ビジュアルと雰囲気が傑出している」という評価は一致している。Songs of Conquestのグラフィックとサウンドは、インディー作品としての予算の制約を感じさせない完成度に達している。

戦略ゲームにおけるビジュアルのこだわりという点で、嵐の中に沈む海の呪いを題材にしたこちらのゲームも独特のアートスタイルで評価が高い。

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アーリーアクセスから正式版への2年間——何が変わったか

Songs of Conquest ゲームプレイ

Songs of Conquestが早期アクセスを開始したのは2022年5月のことだ。正式リリースの2024年5月20日まで、ちょうど2年間のアーリーアクセス期間を経ている。この2年間で何が変わったのかは、正式版から入るプレイヤーには見えにくい部分だが、長期ファンにとっては感慨深い歴史がある。

2022年EA開始から2024年正式版までの変化

早期アクセス開始時点では、Arleonのキャンペーン1章とコンクエストモードのみが収録されていた。Barya・Loth・Ranaの章は段階的にアップデートで追加されていき、各章のリリースごとにSteamの同接プレイヤー数が急増した。特にLothのキャンペーン追加時は、それまでのEAの中で最大の反響があったとコミュニティで語られている。

バランス調整は2年間を通じて継続的に行われた。初期のEAではウィールダーのスキルに著しく強力なものが含まれており、「このビルド一択になる」という問題が指摘されていた。開発チームはコミュニティのフィードバックをかなりの速度で反映し、数回のメジャーパッチを経てスキルの多様性が向上した。マルチプレイのクロスプラットフォーム対応も、正式版直前のアップデートで実装された機能だ。

マップエディターも正式版に向けて大幅に機能が拡張された。EA初期はプレイヤーが利用できるエディター機能が限定的だったが、正式版ではキャンペーンシナリオの条件設定・ダイアログ作成・BGM指定まで対応する本格的なツールとして完成した。Steamワークショップには現在も継続してユーザー製キャンペーンが投稿されており、正式版後のコンテンツ量は公式コンテンツを大きく超えている。

2024年12月には新派閥追加DLCもリリース済みで、コンテンツは正式リリース後も着実に増えている。「早期アクセスで試して正式版が出たら本格的に遊ぼうと待っていた」というプレイヤーにとって、今がまさにそのタイミングだ。

Steam評価・プレイヤーの声——「非常に好評」の内訳

Songs of Conquest 城管理

Steamでの評価は現在85%の好評(1万1000件超)で「非常に好評」に分類されている。この数字の中身を見ていくと、このゲームの強みと弱点がよりくっきりと見えてくる。

ポジティブな評価——何が刺さっているか

好評レビューで繰り返し言及されるキーワードは「HoMM3の後継」「Essenceシステムの新鮮さ」「ドット絵のクオリティ」「長く遊べる」の4つだ。プレイ時間100時間超のレビュアーが複数おり、「キャンペーン4章 + コンクエストモードで十分なボリュームがある」という評価が目立つ。

「HoMM3後継としてはほぼ文句なし。Essenceシステムで魔法の使い方が根本から変わって新鮮だった」

出典:Steamユーザーレビュー(プレイ時間130時間台)

「ドット絵なのに戦闘アニメーションが滑らかで驚いた。BGMもずっと聴いていられる」

出典:Steamユーザーレビュー(プレイ時間40時間台)

日本語ユーザーのレビューでも「ターン制ストラテジーを久々に長時間遊んだ」「4派閥すべて遊んでキャンペーンは満足」という声が多い。特に「テキスト完全日本語対応」である点を評価するレビューが多く、ローカライズの質への不満レビューはほぼ見当たらない。

マルチプレイに関しては「クロスプラットフォームで友人とすぐ遊べた」という評価が目立つ。PC・コンソール・GOGのフレンドと同じセッションに入れる利便性は、このジャンルのゲームとしては珍しく、積極的に評価されている。

ネガティブな評価——どこに不満が集中するか

不評レビューはいくつかのパターンに分類できる。最多は「戦闘の単調さ・兵力差で決まる」への不満、次いで「キャンペーンのリセット仕様」、そして「ウィールダー一択の最適解」への指摘だ。

「敵パーティーが異常に強く、プレイヤーのパーティー一択で育成する必要がある。ステージ毎にプレイヤーパーティーがリセットされるため、育て甲斐がありません」

出典:Steamユーザーレビュー(padme8800、プレイ時間9時間)

このレビューはキャンペーンの仕様に対するもので、正当な指摘だと思う。ミッション間での引き継ぎがないことは好みが分かれる設計だ。一方で「毎ステージ異なる縛りで戦略を考えられる」という好評レビューもあり、同じ仕様を長所と捉えるか短所と捉えるかが正好評の分かれ目になっている。

「結局のところ一人の指揮官に集中して部隊・装備集めて戦闘というのが最適。指揮官が複数いる必要性が低い設計はもったいない」

出典:Steamユーザーレビュー(おゆる2、プレイ時間5時間)

プレイ時間5時間でのレビューであることを踏まえると、まだゲームの本質に触れる前に感じた違和感が表れている。コンクエストモードでは複数ウィールダー戦略が機能しやすくなるため、キャンペーンだけでの判断は早計かもしれない。

HoMM3ファンからの評価

HoMMシリーズのファンからの評価は全体的に高く、「HoMM6・7の失敗を取り戻す作品」と表現するレビュアーが複数いる。HoMM3の1999年リリースから25年が経過した現在、「HoMM3を超えた」「HoMM3に匹敵する」という評価を得られるゲームを作ることの難しさを考えると、Songs of ConquestのSteam評価は異例のものだ。

一方で「HoMMIIIとは別物として評価すべき」という冷静なレビューもある。Essenceシステムやスタック管理の複雑さは、HoMMIIIよりも慣れるまでに時間がかかる部分があり、「HoMM3の操作感をそのまま期待すると最初戸惑う」という声も正直なところだ。「HoMMの後継」というラベルを一度外して、「独自のターン制ストラテジーとして向き合う」と評価が安定してくる。

基本情報

項目 内容
タイトル Songs of Conquest(ソングス・オブ・コンクエスト)
開発 Lavapotion
パブリッシャー Coffee Stain Publishing
正式リリース 2024年5月20日
早期アクセス開始 2022年5月
ジャンル ターン制ストラテジー / 4X / ファンタジーRPG
プラットフォーム Windows / macOS / Linux / PlayStation / Xbox
価格(Steam) 3,090円(セール時に60〜75%オフになることあり)
日本語対応 あり(テキスト完全日本語対応)
マルチプレイ 最大8人(クロスプラットフォーム対応)
Steam評価 非常に好評(85%)/11,000件超
Metacritic 80点

マルチプレイとコンクエストモード——キャンペーン以外の遊び方

Songs of Conquest 大軍戦闘

Songs of Conquestにはキャンペーン以外にも充実したコンテンツがある。

コンクエストモードでは既存マップやランダム生成マップを使って自由にプレイできる。好きな派閥を選び、難易度・マップサイズ・対戦相手数を設定すれば、何度でも違う展開が楽しめる。「キャンペーンでストーリーを楽しんだあとはコンクエストが本番」というプレイヤーも多い。

マルチプレイは最大8人まで対応。さらにSteam・Epic・GOG間のクロスプラットフォームプレイに対応しており、どのプラットフォームで買ったフレンドとも対戦できる。Steam Deckでも動作確認済みだ。

マップエディターも用意されており、開発チームが使ったのと同じツールで自分のキャンペーンを作れる。イベントテキストの記述、ダイアログの設定、BGMの選択まで対応しており、完成したマップはSteamワークショップで公開できる。

2024年12月には新派閥追加DLCもリリース済みで、コンテンツは正式リリース後も着実に増えている。ターン制ストラテジーを長期で遊べるゲームを探しているなら、ボリューム面での不安は少ない。

複数人での非同期ストラテジーという意味では、嵐の中で生き残りをかける都市建設ゲームのこちらも「じっくり遊べる派」に評判が高い。

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攻略ガイド(初心者向け)——最初の10時間で知っておきたいこと

Songs of Conquestは最初の数時間は快適だが、ある地点から突然難しくなる。その壁を事前に知っておくだけで、ゲーム体験が大きく変わる。初めてプレイする人に向けて、実際にキャンペーンを4章通しでプレイして気づいた基本戦略をまとめた。

ゲーム開始時の基本戦略——最初の判断が勝敗を決める

ターン1から最も重要なのは「ウィールダーをどこに動かすか」だ。HoMM系では「城の周辺資源を最初に集める」が鉄則だが、Songs of Conquestでも同様に序盤の資源サイト確保が最優先になる。城周辺の木材・石材・Gold採掘場をできるだけ早いターンで支配下に置くことで、その後の建設ペースが安定する。

初期に犯しやすいミスは「城の建設に資源を使いすぎて軍隊が手薄になること」だ。建物を建て続けたくなる気持ちはわかるが、敵AIは早い段階から攻めてくる。「防衛できる最低限の軍隊」を確保しながら建設するバランスが崩れると、中盤でいきなり首都を落とされるパターンになる。最初は資源収集3・建設2・徴兵5くらいの比率で優先度をイメージしておくと崩れにくい。

ウィールダーの初期移動力は決して高くないため、「どのルートで探索を進めるか」の計画が大事だ。行き当たりばったりで動かすと、重要な資源サイトを見逃したまま時間を無駄にする。マップの霧が晴れるたびに「次にどこへ向かうか」を明確に決めてから動くのが基本だ。

資源管理と軍隊建設の優先順位

資源の中で最も優先度が高いのはGoldだ。兵の徴兵・建物の建設・アーティファクトの購入——あらゆる行動にGoldが絡んでくる。Goldの収入を早期に安定させることが、その後の選択肢の広がりに直結する。Gold採掘場を最優先で確保し、中立の集落を占領してGold収入を底上げすることを序盤の主目標にしておくと、後半でリソース不足に陥るリスクが減る。

軍隊の建設では「1体の強いユニットより、多くの中程度のユニット」を優先する考え方が序盤は有効だ。高コストのユニットは強力だが、育てるのに時間がかかり、序盤に失うと立て直しが難しい。まず数で押せる編成を作り、中盤から高コストのエリートユニットに切り替えていく流れが安定する。

ウィールダーのレベルアップ時のスキル選択は長期的な方針を持って行う。「探索フェーズ」と「戦闘フェーズ」のどちらを優先するかによって選ぶスキルが変わる。序盤は移動力アップや資源収集ボーナスのスキルで探索効率を上げ、中盤から戦闘スキルにシフトしていくのが一般的な流れだ。ただし、同じ選択が正解というわけではなく「このウィールダーで何を目指すか」を早めに決めることが重要だ。

よくある失敗パターンと対策

初心者が詰まるパターンのうち最多は「複数のウィールダーに戦力を分散させる」失敗だ。サブウィールダーをどんどん雇いたくなる気持ちは理解できるが、序盤から複数に分けると全員が中途半端な戦力になる。メインのウィールダーに8〜9割の戦力を集中させ、サブは城から城への移動と資源収集の補佐に絞るのが基本だ。

次に多いのは「敵の動きを把握していない」問題だ。敵AIは積極的にマップを拡張してくる。自分の城から離れたところで資源サイトを集めている間に、敵がいつの間にか自分の城に近づいていることがある。定期的に城周辺を確認し、斥候(偵察)ウィールダーを細い通路に配置して敵の侵攻を早期に察知することが大事だ。

「戦闘に勝てない」と感じたときのチェックリストを自分なりに作っておくと役に立つ。具体的には「ウィールダーのレベルは十分か」「Essenceが溜まるユニット構成になっているか」「側面から攻撃できる配置を取れているか」という3点だ。これらを確認するだけで、負け続けていた戦闘に突破口が見えることが多い。

「最初はEssenceの意味がよくわからなかったが、ユニット編成と魔法が連動しているとわかってから一気に面白くなった」

出典:Steamユーザーレビュー(Exelance、プレイ時間107時間)

このレビューが示す通り、Songs of Conquestは「Essenceシステムが腑に落ちた瞬間」から面白さが急加速する。その瞬間が来るまで諦めずにプレイを続けることが、このゲームを楽しむための最大のコツだ。

城と領地を一から築き上げる中世ターンベース戦略として、じっくり腰を据えて遊べるこちらのタイトルも根強い人気を誇る。

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キャンペーン難易度の壁——4章目から変わる景色

正直に書く。キャンペーンは序盤から中盤にかけて快適だが、各章の後半から難易度が大きく跳ね上がる。これはポジティブにもネガティブにも受け取れる設計だ。

HoMM系のゲームでは「メインのウィールダーに戦力を集中させ、サブウィールダーは補助に回す」という鉄則がある。Songs of Conquestでも同じ原則が通用するのだが、それを知らないまま複数パーティーに兵力を分散させていると、いつの間にか詰んでいる。「ゆっくり育てたい」という感覚でのんびりプレイしていると、敵がマップを先に制圧してくる。

このレビューが示す通り、キャンペーンの各ステージはリセットが前提の設計になっている。前のステージで育てたウィールダーや兵士は引き継がれない。これをどう受け取るかはプレイヤー次第で、「毎回フレッシュな状態で戦略を考えられる」と好意的に見るか、「育成の達成感がない」と感じるかで評価が分かれる。

ただし、難易度の急騰があってこそ「攻略できたときの満足感」が生まれる設計でもある。Songs of Conquestをクリアしたプレイヤーのレビューは総じてポジティブで、「難しかったが諦めずにやって良かった」という声が多い。試行錯誤を楽しめる人には、この難易度曲線がむしろ魅力になる。

「HoMM後継」として見たとき——何が嬉しくて、何が惜しいか

HoMMシリーズのファンとして正直に採点するなら、Songs of Conquestは「90点のインスパイア作」だと思っている。完璧ではないが、このジャンルへの愛情の深さが随所ににじんでいる。

嬉しかった点を具体的に挙げる。Essenceシステムは「こんな独自解釈があったのか」という驚きを与えてくれた。HoMMのマナシステムへの不満(ヒーローがボトルネックになりやすい問題)を解消する意図が見えて、設計者のHoMMへの理解の深さを感じた。毎日徴兵できる仕組みも、週1回補充待ちのもどかしさがなくなりテンポよく進められる。

惜しいと感じた点は、「ウィールダー依存度の高さ」だ。メインウィールダーへの兵力集中が最適解になりやすく、「サブウィールダーを並走させる戦略」をとりにくい局面が多い。HoMMIIIで複数のヒーローを使い分けた人ほど、ここに物足りなさを感じる可能性がある。

「結局のところ一人の指揮官に集中して部隊・装備集めて戦闘というのが最適。指揮官が複数いる必要性が低い設計はもったいない」

出典:Steamユーザーレビュー(おゆる2、プレイ時間5時間)

ただし、この感想は主にキャンペーンに対するもので、コンクエストモードやマルチプレイでは複数ウィールダー戦略が機能しやすい場面もある。難易度設定とモード選択次第で、かなり違う体験ができる。

HoMM直系のタイトルという意味では、2026年に早期アクセスを開始した公式後継作がある。

「ドット絵」という選択の意味

Songs of Conquestがドット絵スタイルを選んだのは、単なる懐古趣味ではない、と思っている。

HoMMIIIがあれほど愛されているのは、当時のピクセルアートが持つ「様式美」があったからでもある。32×32ピクセルの騎士が行進する姿に、どこかロマンがあった。Songs of Conquestはその感覚を現代の解像度で再現しようとした。アドベンチャーマップを見渡したとき、「綺麗なゲームだ」という感想より「このゲームの世界にいる」という没入感のほうが強く来るのは、ドット絵の質と光の使い方が優れているからだと思う。

宇宙を舞台にした大艦隊同士の戦略シミュレーションという、また異なる征服の醍醐味を味わいたいなら、こちらも見逃せない。

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まとめ——2024年最良のターン制ストラテジーの一本

Songs of Conquestは、HoMMが長年空白にしていた「探索×城管理×ヘクス戦闘」の体験を、2024年のクオリティで届けてくれた。Essenceシステムという独自の魔法設計、建設スペースに制約を持たせた城管理、そしてドット絵でありながら本物の「世界」を感じさせるビジュアル——この三つが揃っているゲームは、少なくとも近年のインディーシーンでは希少だ。

難易度の急騰やミッションリセットの仕様に戸惑う人がいるのも事実だし、「戦力差があれば戦略の入る余地が少ない」という批判も理解できる。それでも、Steamで100時間超えのプレイヤーが続々いることが示す通り、「刺さる人には深く刺さる」設計になっている。

ターン制ストラテジーが好きで、かつHoMMへの思い入れがある人ならまず間違いない。HoMMを知らなくても、ファンタジー戦略ゲームとして十分楽しめる土台がある。2022年の早期アクセス時から2年かけて丁寧に磨き上げられた完成形が、今3,090円で手に入る。セール時の60〜75%オフを狙えば1,000円を切ることもある。

こんな人に特におすすめ

  • Heroes of Might and MagicIIIを遊んだことがある人
  • じっくり腰を据えてキャンペーンを遊びたい人
  • マルチプレイでフレンドとターン制ストラテジーを楽しみたい人
  • ドット絵アートの美しいゲームを探している人

注意したいポイント

  • キャンペーンはミッションごとにウィールダーと部隊がリセットされる(引き継ぎなし)
  • 難易度は後半から急上昇する。「ゆっくり育てる」スタイルは通用しにくい
  • 戦力差が大きい局面では戦闘が単調になりやすい

Songs of Conquest

Lavapotion
リリース日 2024年5月20日
サービス中
同時接続 (Steam)
146
2026/04/08 アジア圏ゴールデンタイム計測
レビュー
13,158 人気
85.8%
全世界
非常に好評
13,158件のレビュー
👍 11,286 👎 1,872
55.6%
賛否両論
27件のレビュー
👍 15 👎 12
価格¥3,790
開発Lavapotion
販売Coffee Stain Publishing
日本語非対応
対応OSWindows / Mac
プレイ形式シングル / マルチ
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