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▌ISSUE.653 · レビュー カテゴリ / その他アクション 公開 2026.04.22
// その他アクション · レビュー

SHINOBI: Art of

SHINOBI: Art of Vengeance完全ガイド|忍者アクション新作最新情報まとめ
#PCゲーム #Sega #Shinobi Art of Vengeance #アクション #シノビ
読了目安
約28分
対応機種
PC
スペック
▌要点 / 3行で読む
01
ゲームの画面を見た瞬間、「あ、これは本物だ」と思った。
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手描きのアニメーションが滑らかに動き、カタナを振るうたびに敵が鮮やかなエフェクトで吹き飛ぶ。
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BGMはあの古代祐三の手によるもので、1989年に聴いたメガドライブのあの音楽が現代によみがえってくる感覚。
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2025年8月29日にリリースされた『SHINOBI: Art of Vengeance(シノビ 復讐の斬撃)』は、14年ぶりに復活した忍シリーズの最新作にして、シリーズ史上最高評価を獲得した作品だ。

ゲームの画面を見た瞬間、「あ、これは本物だ」と思った。

手描きのアニメーションが滑らかに動き、カタナを振るうたびに敵が鮮やかなエフェクトで吹き飛ぶ。BGMはあの古代祐三の手によるもので、1989年に聴いたメガドライブのあの音楽が現代によみがえってくる感覚。2025年8月29日にリリースされた『SHINOBI: Art of Vengeance(シノビ 復讐の斬撃)』は、14年ぶりに復活した忍シリーズの最新作にして、シリーズ史上最高評価を獲得した作品だ。

開発はフランスのLizardcube。Wonder Boy: The Dragon’s Trapのリメイクで世界を驚かせ、Streets of Rage 4でレトロIPリバイバルの旗手となったスタジオだ。そのLizardcubeがSEGAと組んで、あの伝説の忍者ジョー武蔵を令和に復活させた。Metacriticスコア87〜90という史上最高の成績とともに。

この記事では、SHINOBI: Art of Vengeanceの全貌——ゲームシステム、ストーリー、評価のポイント、そして実際にプレイしたユーザーのリアルな声まで——を徹底的にまとめた。「忍シリーズって聞いたことあるけど知らない」という人にも、「初代SHINOBIをアーケードでやり込んだ」という人にも読んでほしい内容だ。

公式ローンチトレーラー

動いているのを見ると、スクリーンショットの100倍すごいことがわかる

こんな人に読んでほしい

  • 「SHINOBI: Art of Vengeance」が気になっていて、買って後悔しないか確かめたい人
  • 忍シリーズをリアルタイムで遊んでいた世代で、復活作の評価を知りたい人
  • Lizardcubeの作品(Wonder Boy、Streets of Rage 4)が好きで次の作品をチェックしたい人
  • 2Dアクションゲームが好きで、2025〜2026年の良作を探している人

SHINOBI: Art of Vengeanceとは?——14年ぶりの復活の背景

まず「忍シリーズって何?」という人のために簡単に背景を説明しておく。

1987年、セガはアーケードゲーム「忍(Shinobi)」をリリースした。プレイヤーが操作するのは忍者のジョー武蔵。テロ組織に攫われた子供たちを救い出すため、カタナとクナイと忍術を駆使して戦うアクションゲームだ。このゲームがアーケードで大ヒットし、ジョー武蔵はアレックス・キッドやソニックと並ぶセガの看板キャラクターになった。

1989年にはメガドライブで「ザ・スーパー忍(The Revenge of Shinobi)」が登場。このゲームの音楽を担当したのが古代祐三(Yuzo Koshiro)だ。あのBGMは今でも名作ゲーム音楽の一つとして語り継がれている。

その後もシリーズは続き、PS2版や3DS版なども出たが、2011年の3DS版を最後に新作は途絶えていた。14年間の沈黙。

そして2023年12月7日、The Game Awardsの舞台で突然ティーザー映像が流れた。手描きアニメーションで動く忍者の姿。「Lizardcube × SEGA」というクレジット。会場がざわついた。あのLizardcubeが、忍を?

Lizardcubeというのは、フランス・パリを拠点とするインディースタジオだ。2015年の設立から2本の作品を世に出している。

  • Wonder Boy: The Dragon’s Trap(2017年)——セガMasterSystemの往年の名作を、全カット手描きのアニメーションで完全リメイク。「こんな美しいリメイクができるのか」と世界中を驚かせた
  • Streets of Rage 4(2020年)——Dotemu・Guard Crush Gamesとの共同作業で、26年ぶりのベアナックル正式続編。アートを担当したLizardcubeの仕事は「絵が動いているようだ」と絶賛された

このLizardcubeが「次は忍だ」ということで制作に入り、2025年8月29日、ついに正式リリースされた。それがSHINOBI: Art of Vengeanceだ。

基本情報

項目 詳細
タイトル(日本語) SHINOBI 復讐の斬撃
タイトル(英語) SHINOBI: Art of Vengeance
開発 Lizardcube(フランス・パリ)
パブリッシャー SEGA
ジャンル 2Dアクションプラットフォーマー(メトロイドヴァニア要素あり)
対応プラットフォーム PC(Steam)/ PS5 / PS4 / Xbox Series X|S / Xbox One / Nintendo Switch
発売日 2025年8月29日(デラックス版は8月26日・3日早期アクセス)
料金 通常版 ¥3,300 / デジタルデラックス版 ¥4,400
言語 日本語含む12言語対応
プレイ人数 シングルプレイヤー
クリア時間 約20時間(ファミ通先行レビュー)

ストーリー——復讐の旅に出る理由

ゲームの舞台は現代。主人公はジョー武蔵(Joe Musashi)、尾張一族(Oboro Clan)を率いる伝説の忍者だ。

尾張一族は強力な忍術の使い手たちで構成された一族で、武蔵はそのリーダー。穏やかな日常を送っていたが、ある日、謎の軍事組織ENE(エネ)コーポレーションが一族を急襲する。一族の仲間たちは次々と石化させられ、壊滅状態に。辛うじて生き残ったのは、妻ナオコと弟子トモエのみだった。

ここから武蔵の復讐の旅が始まる。

旅の途中、武蔵は死神アンコウという神秘的な存在と手を組む。ENEはアンコウの鎌を盗み、その力で一族を石化させたのだという。組織の指導者ルースを倒し、奪われた鎌を取り戻さなければ仲間たちは元に戻らない。

シンプルな復讐譚ではあるが、だからこそ没入しやすい。「仲間を救いたい」という動機がゲーム全体を通じてプレイヤーを突き動かしてくれる。ストーリーよりもゲームプレイが主役のタイトルだが、あるユーザーが「ゲームの雰囲気作りが完璧で、世界に引き込まれた」と書いていたのが印象的だった。

ゲームシステム——忍術・コンボ・メトロイドヴァニア

SHINOBI: Art of Vengeanceを一言で説明するなら、「コンボ戦闘が気持ちいい2Dアクションに、メトロイドヴァニア的な探索を加えたゲーム」だ。

基本的な戦闘システム

武蔵が使える武器と技は大きく4種類ある。

  • 刀(近接攻撃)——弱攻撃と強攻撃を組み合わせてコンボを繋ぐ。連続ヒットするたびにヒットストップが入り、「斬れている感」が増す
  • クナイ(遠距離攻撃)——離れた敵にも対処できる手裏剣。接近が難しい敵や飛行敵に有効
  • 忍術(Ninpo)——魔法的な力。画面を埋め尽くすほどの派手なエフェクトで広範囲の敵を一掃できる
  • 護符(アミュレット)——装備することで様々な戦闘ボーナスが得られるパッシブ効果アイテム

この4種類を組み合わせるだけでも十分楽しいが、このゲームの真髄はコンボシステムにある。

「忍び実行(Shinobi Execution)」が気持ちいい

このゲームで最も爽快感があるのが、「忍び実行(Shinobi Execution)」という仕組みだ。

敵を攻撃し続けると、その敵に「タグ」がつく。タグがついた状態で特定のボタンを押すと、タグされた全ての敵を一瞬で処刑する演出が入る。複数の敵に素早くタグをつけ、まとめて一括処刑——この流れが決まった瞬間の爽快感は他のゲームでなかなか味わえない。

ファミ通の先行レビューでも「弱攻撃・強攻撃・飛燕(ダッシュ回避)の組み合わせで、敵を攻撃するだけで楽しい」と評されている。ゲームが上手くなくても気持ちよく遊べるよう、丁寧に調整されているのが分かる。

移動アクションの気持ちよさ

忍者らしく、武蔵の機動力はかなり高い。基本動作だけでも:

  • 二段ジャンプ
  • 空中ダッシュ
  • ダッジロール(飛燕)

が使える。さらにゲームを進めると、新しい移動アビリティが解放される。

  • グラップリングフック——特定の足場に引っかけてスイング移動
  • 壁登りクロー——垂直の壁を登れるようになる
  • グライダー——落下速度を落としてゆっくり降りられる

これらが解放されるたびに、既存のステージに戻ってみると「ここに入れる!」という隠し通路が見つかったりする。これがメトロイドヴァニア的な要素だ。

ボスとの戦い

各ステージの終わりには強力なボスが待っている。ボスには「ダークアタック」という、通常の回避では防げない必殺技が設定されており、これへの対処がボス戦の攻略の鍵になる。「ボス戦は独特のパターン学習があって、攻略した時の達成感が大きい」というユーザーの声が複数あった。

アップグレードシステム

ステージ内に散らばるゴールドを集め、それを使って新しいスキルやアイテムを解放していく。強くなることで新しいコンボパターンが増え、戦闘の表現の幅が広がる仕組みだ。

ただし、このアップグレードシステムについては賛否がある。「アップグレード内容がつまらない」という批判も一部にあり、探索や強化の深みについては少し物足りなさを感じるプレイヤーもいたようだ。

難易度設定

Lizardcubeは「幅広いプレイヤーが楽しめるゲームにしたい」という方針で、難易度を細かく調整できるシステムを実装している。アクションゲームが得意でない人向けのアシスト機能から、ハードコアなプレイヤー向けの高難易度まで幅広くカバーしている。

ただし、往年のシノビファンからは「デフォルト難易度が低すぎる」という声もある。1987年のアーケード版や1989年のメガドライブ版は「鬼難しい」ことで有名なシリーズだったため、現代的な敷居の低さに物足りなさを感じる人もいるようだ。

圧巻の手描きアートスタイル——「動いて初めてわかる」すごさ

このゲームで最も多くの人が最初に驚くのが、ビジュアルだ。

スクリーンショットを見ただけでも「きれいだな」とは思う。でも動いているのを見ると、その感想がガラリと変わる。キャラクターのアニメーションが滑らかで生き生きしていて、背景の書き込みが緻密で、エフェクトが派手で、しかも全部が一体となって動く。「スクリーンショットの100倍すごい」という感想がSteamのレビューで何件もあったのが頷ける。

ファミ通の先行レビューでは「手描きの背景絵やアニメーションに脱帽」「アニメに近いクオリティーで見るだけじゃもったいない」と評されている。海外メディアでも「一時停止しても見惚れる美しさで、動くとさらに圧巻」という声が多数。

Lizardcubeのアートスタイルは、ヨーロッパのバンド・デシネ(フランス・ベルギーの漫画文化)的な力強い線と、日本のアクションアニメ的な躍動感が融合している。忍者という題材との相性が抜群で、「日本のIPを外国スタジオが作ったのに、なぜか違和感がない」という感想が多い理由がここにある。

SEGAのプロデューサーも「Lizardcubeのヨーロピアンスタイルと日本の美学が組み合わさることで、独特で鮮やかなビジュアルが生まれた」とコメントしており、このコラボレーションの化学反応を意図的に活かしていたことがわかる。

ステージのバリエーション

各ステージは見た目が大きく異なり、「ここまで違う雰囲気を作れるのか」と毎回驚かされる。都市部のネオン輝くナイトシーン、古い寺社の情緒ある背景、近未来的な工場地帯——それぞれで手描きの書き込みが凝っており、ステージを進むたびに新しい景色が楽しめる。

古代祐三 × Tee Lopes——夢のコンビが作る音楽

ゲーム音楽ファンにとって、このコンビは「信じられない夢の話」に映ったはずだ。

古代祐三(Yuzo Koshiro)は言わずと知れたゲーム音楽の巨人。Streets of Rage(ベアナックル)シリーズ、エトリアン・オデッセイ、そして1989年の「ザ・スーパー忍(The Revenge of Shinobi)」の楽曲を手がけた人物だ。あのメガドライブのBGMが今でも語り継がれているのは、古代祐三の仕事によるところが大きい。

Tee Lopesはポルトガル系アメリカ人の作曲家。YouTubeにソニックのリミックスをアップしたことがきっかけでセガに認められ、Sonic Mania(2017年)のメイン作曲として大ブレイク。その後Streets of Rage 4、Teenage Mutant Ninja Turtles: Shredder’s Revengeと、レトロIPリバイバル作品のサウンドを次々と担当してきた。

そのTee Lopesが、サウンドトラック発表時にX(旧Twitter)でこう投稿している。

「子供の頃からシノビシリーズのファンで、古代祐三さんの音楽のファンだった。その人と一緒にシノビの新作を作れるなんて夢のようだ」——この言葉の重みを、シノビシリーズを知っている人ならわかるはずだ。

実際のサウンドトラックは、ゲームをプレイすれば「確かにこれはバンガーの連続だ」とわかる。古代祐三のテイストを残しながら、Tee Lopesの現代的なサウンドメイクが加わって、「懐かしいのに新しい」不思議な聴き心地に仕上がっている。Steam発売直後のレビューでも「音楽が最高すぎてサントラを買った」という声が複数見られた。

世界の評価——シリーズ史上最高スコアの理由

リリース後、SHINOBI: Art of Vengeanceは各所で高い評価を獲得した。

メディア評価

媒体 スコア 内容
Metacritic(PS5版) 87/100 「概ね好評」
Metacritic(PC版) 86/100 「概ね好評」
OpenCritic 90点 「Mighty(傑作)」、100%批評家推薦
ファミ通クロスレビュー 34/40(9/8/9/8) シノビシリーズ史上最高スコア
IGN 8.0/10 「美しく、やりごたえのある2Dアクション」
Steam(全期間) 83%ポジティブ(3,011件) 「非常に好評」
Steam(発売直後) 93%ポジティブ ——

SEGAも公式プレスリリースで「Metascore 90を獲得し、世界中で高評価」と発表。さらに同年末に開催されたThe Game Awards 2025では「Best Action Game(最優秀アクションゲーム)」にノミネートされた(受賞はHades II)。ノミネート作品にはDoom: The Dark Ages、Ninja Gaiden 4なども並んでいたことを考えると、この業界での立ち位置がわかる。

批評家が特に評価した点

複数のレビューを読むと、共通して称賛される要素が見えてくる。

The Gamerはレビュータイトルを「Brutal, Beautiful, Brilliant(残酷、美しい、見事)」と付け、戦闘の荒々しさとビジュアルの美しさが両立していることを評価。But Why Thoは「Must-Play(絶対プレイすべき)」と断言し、「Lizardcubeのリブートはシノビシリーズの真の復活だ」とまとめている。

海外メディアGameRantのインタビューでは、Lizardcubeの開発者が「何が何でも操作する気持ちよさを味わわせたい、というのが開発の核心にあった」と語っており、その意図がレビュー評価にきちんと反映されていることがわかる。

実際にプレイしたユーザーの声——称賛と本音の批判

批評家のレビューだけでなく、実際に購入してプレイしたユーザーの声を見ていくと、また違う景色が見えてくる。

熱烈な支持の声

Steamのポジティブレビューから、特に印象的なものを紹介する。

「LizardcubeとSEGAはやりきった。流れるような戦闘とメトロイドヴァニア的なデザイン。でも最高なのはアートとアニメーション。現在活動中の2Dゲームスタジオで最高クラスのアートチームだよ、圧巻の仕事だ!」

— StückFigure(Steamレビュー)

「2.3時間プレイしての第一印象……このゲームは全てが噛み合っている!戦闘はスピーディーで滑らか、レベルデザインは広大でありながら引き締まっている、YuzoとTeeの音楽はバンガーの連続、そしてアートは単純に最高だ」

— Steam匿名ユーザー(発売直後)

ResetEraのOTスレッド(公式トピック)でも熱狂的な声が飛び交った。「コンボが深い。でもそれを知らなくても普通の攻撃だけで十分楽しめる」「カメラが引いた時の背景の作り込みに何度も驚いた」という感想が複数見られ、戦闘の間口の広さとビジュアルの作り込みが特に評価されていた。

ファミ通のレビューでも触れられていた「コンボ派生の無限の広がり」——基本操作だけでも楽しいが、深く掘り下げると組み合わせが無数にある戦闘設計は、ライト層からコアゲーマーまでを同時に満足させる設計だといえる。

プラットフォーミングへの不満

一方で、正直に「ここが良くなかった」という声も少なくない。最も多かった批判が、プラットフォーミング(足場渡り)部分の品質だ。

「戦闘・アート・音楽は10/10で完璧。でもプラットフォーミングが3/10で全体の40%を占める。スパイクトラップの当たり判定がひどい。戦闘ゲームとしては傑作だが、プラットフォーマーとしては欠陥品」

— DJTiki(Steamレビュー、プレイ時間14.3時間・実績100%達成)

「序盤は楽しい。でもゲーム時間の60%以上がストレスなプラットフォーマー課題に費やされる。キャラ操作の精密性が足りなくて、トラップのヒットボックスがおかしい。実質5時間のコンテンツを水増しした感じ」

— Noots(Steamレビュー、プレイ時間15時間・実績100%達成)

これは特にゲームの後半、オプションの100%探索コンテンツに多いようだ。メインストーリーのプラットフォーミングは比較的問題ないが、隠し通路や秘密エリアへの到達を目指す際に、操作の精密性不足が顕著になるという声が多い。

ただし注意しておきたいのは、この批判は「100%達成を目指した上級者」から多く出ているという点だ。メインストーリーをクリアするだけなら、この問題はほとんど気にならないという声も同じくらいある。

難易度についての分断

もう一つの論点が難易度だ。Steamのディスカッションでは「易しすぎる」というスレッドが立ち、活発な議論になった。

往年のシノビファン(特に1987年のアーケード版や1989年のメガドライブ版世代)は「あのシリーズは理不尽なほど難しかった。それがシノビだった」という思いがある。現代的な難易度調整システムを搭載したArt of Vengeanceは、その「鬼難しさ」を再現していない。

一方で、「全難易度設定が丁寧に作られていて、幅広い層が楽しめるのが良い」という声も多い。「全てのゲームが1980年代の難しさである必要はない」というコメントも支持を集めていた。

これはどちらが正しいというわけではなく、「誰に向けたゲームか」という問題だ。Lizardcubeは明らかに「より多くの人が楽しめるゲーム」を目指して作っており、その判断自体は結果的に成功(Metacritic87点)に繋がっている。

デジタルデラックス版と DLC「SEGA Villains Stage」

2026年4月3日、待望のDLC「SEGA Villains Stage」が配信された。このDLCは、デジタルデラックス版のシーズンパスに含まれるもので、単体購入も可能だ。

SEGA Villains Stageの内容

タイトルの通り、SEGAが誇る他作品の「悪役」たちとボスとして戦う5ステージが追加される。登場するのがまた豪華で:

  • 真島吾朗(Goro Majima)——龍が如く(Like a Dragon)シリーズの人気キャラクター。「マッドドッグ・オブ・シマノ」の異名を持つ狂犬
  • Dr.エッグマン(Dr. Eggman)——ソニック・ザ・ヘッジホッグシリーズの宿敵。悪の天才科学者
  • デスアダー(Death Adder)——ゴールデンアックスシリーズの強大なボス。巨人の残忍な戦士

このDLCへの反応も非常に好評だ。Gaming TrendのDLCレビューでは「The Gamer Awards 2025でシノビ vs. SEGA悪役という夢の対決が実現した」と評され、SEGAファンへのファンサービスとして高く評価されている。

特に真島吾朗との対決は「龍が如くファンとシノビファン双方の期待に応えた最高のぶつかり合い」と絶賛されており、このDLC単体でも十分な見どころがある。

デジタルデラックス版の内容まとめ

  • 本編(3日間早期アクセス付き)
  • スターターパック(Ghost衣装・Medic Liteアミュレット・ゴールド2000)
  • SEGA Villains Stage DLC
  • デジタルアートブック
  • サウンドトラック

通常版との価格差は¥1,100(¥3,300→¥4,400)。DLC単体での購入価格を考えると、最初からデラックス版を買う方がお得な場合が多い。

忍シリーズを知らなくても楽しめるか?

「忍シリーズって聞いたことあるけど、知らなくても大丈夫?」という疑問を持つ人もいると思うので、正直に答えておく。

結論:過去作を知らなくても全く問題ない。

SHINOBI: Art of Vengeanceは続編ではなく、ゼロから始まる新たな物語だ。「忍者のジョー武蔵が復讐の旅に出る」というシンプルな設定はゲームの冒頭で説明されるし、過去のシリーズを知っている必要は一切ない。

むしろ「2Dアクションゲームが好きな人」「手描きアニメーション風のビジュアルが好きな人」「Streets of Rage 4が好きだった人」「Wonder Boy: The Dragon’s Trapが好きだった人」——こういった人たちにとって、過去のシノビ知識ゼロで飛び込んでも十分以上に楽しめるゲームだ。

逆に、過去のシノビシリーズを愛してきた人にとっては、随所に「そうそう、これこれ!」と感じさせる要素が散りばめられていて、ファンサービスが充実している。どちらにとっても入り口が用意されているゲームといえる。

2025年の忍者ゲーム対決——Ninja Gaiden 4との比較

2025年は奇しくも「忍者アクション当たり年」だった。SHINOBI: Art of Vengeanceと同年にリリースされたのが、Team NINJAとKoeiTecmoが手がけたNinja Gaiden 4だ。

両者は同じ「忍者アクション」というジャンルながら、方向性がかなり異なる。

比較項目 SHINOBI: Art of Vengeance Ninja Gaiden 4
視点 2D横スクロール 3Dアクション
難易度 幅広い難易度調整あり シリーズ伝統の高難易度
ビジュアルスタイル 手描きアニメーション 3Dリアル系
プレイスタイル コンボ+探索 激しい3Dコンボアクション
Metacritic 87点 78点

「どちらが好きか」は完全に好みの問題だが、評価面ではSHINOBI: Art of Vengeanceが上回る結果になった。The Game Awards 2025のBest Action Gameノミネートでも、両タイトルが同じカテゴリーで顔を合わせていた(受賞はHades II)。

「2Dアクションが好き・アートスタイルが気になる・Lizardcube作品が好き」ならSHINOBI: Art of Vengeance、「3D高難易度アクションが好き・忍者ガイデンシリーズのファン」ならNinja Gaiden 4、という選び方になるだろう。

こんな人にはおすすめ、こんな人には合わないかも

おすすめできる人

  • Streets of Rage 4、Wonder Boy: The Dragon’s TrapなどLizardcube作品が好きな人
  • 手描きアニメーション風ビジュアルに惹かれている人
  • 2Dアクション(特にコンボ戦闘が中心のもの)が好きな人
  • 忍シリーズが好きで復活を待っていた人
  • SEGAのレガシーIPに思い入れがある人(DLCで真島・エッグマン・デスアダーが出てくる)
  • 適度な難易度で気持ちよくアクションを楽しみたい人
  • ゲームのサウンドトラックに価値を感じる人(古代祐三 × Tee Lopesという布陣)

合わないかもしれない人

  • 1987年アーケード版のような「死ぬほど難しい」シノビを期待している人(難しくはあるが、昔ほどの理不尽さはない)
  • メトロイドヴァニアの探索・アップグレードシステムに深みを求めている人(その部分は比較的シンプル)
  • 精密なプラットフォーミング操作を楽しみにしている人(特に100%達成を目指す場合)
  • オフライン環境でのみプレイしたい人(Steam版は起動時にネット接続が必要との報告あり)

Lizardcubeという開発スタジオについて——なぜこの会社なのか

SHINOBI: Art of Vengeanceを語る上で、Lizardcubeという存在を掘り下げておく価値がある。このスタジオの仕事の仕方が、ゲームの品質に直結しているからだ。

Lizardcubeは2015年にパリで設立された小規模スタジオだ。創設者のOmar Cornutは、セガMasterSystemの往年の名作「Wonder Boy III: The Dragon’s Trap(1989年)」を完全リメイクするというアイデアを持ち、スタジオを立ち上げた。

2017年にリリースされたWonder Boy: The Dragon’s Trapは、オリジナルゲームのデータ構造を徹底的に解析し、ゲームプレイの挙動を完璧に再現した上で、全グラフィックを手描きアニメーションに置き換えるというアプローチで作られた。ゲームプレイ中にボタン一つで「ピクセルアート版」と「手描きアート版」をリアルタイムで切り替えられる機能は、当時業界を驚かせた。「レトロゲームのリメイクとはかくあるべし」という基準を示した作品だった。

その評判を聞いたDotemuが声をかけ、生まれたのがStreets of Rage 4(2020年)だ。ここではGuard Crush Gamesとの共同開発という形を取りながら、Lizardcubeは全てのアートと演出を担当。26年ぶりのベアナックル正式続編は、Metacritic82点という評価を得て、「往年のIPリバイバル」の成功例として語られるようになった。

そしてSEGAは、この流れを見て「次は忍だ」と思った。Wonder BoyはセガのIPだったし、Streets of Rage 4でのLizardcubeの仕事はSEGA関係者の目にも留まっていたはずだ。2023年12月のThe Game Awardsでの電撃発表は、その判断の結果だった。

Lizardcubeの一貫したアプローチは「懐かしいIPを、現代のプレイヤーにも刺さる形で蘇らせる」こと。その哲学が、SHINOBI: Art of Vengeanceでも一切ブレていない。

購入前に知っておきたいこと——価格・エディション・セールの傾向

Steam価格

エディション 定価 内容
通常版 ¥3,300 本編のみ
デジタルデラックス版 ¥4,400 本編+スターターパック+SEGA Villains Stage DLC+アートブック+サントラ+3日早期アクセス

2026年4月時点でSteamセール(最大40%オフ)が確認されており、セール時に狙うのも手だ。また、Steamデモ版も配信されているため、購入前にプレイ感を確かめることもできる。

他プラットフォームでの入手

Nintendo Switch、PS4/PS5、Xbox One/Xbox Series X|Sでも発売中。コンソール版でもゲーム内容は同一で、Switch版はモバイルプレイにも対応している(Steam Deck対応も確認済み)。

デモで試してみる価値あり

Steamには無料デモ版が配信されている。「アクションゲームが苦手かも」と思う人こそ、まずデモを触ってみてほしい。難易度調整の細かさと戦闘の気持ちよさは、説明よりも体験してみた方が伝わる。

まとめ——忍シリーズは本当に「復活」した

SHINOBI: Art of Vengeanceを一通りプレイして、あるいは評価を調べ尽くして感じることは、「このゲームはちゃんと本物だ」ということだ。

14年間新作が出なかった間、忍シリーズのファンは「いつかまた…」と思い続けていたはずだ。そこに届いたのが、Metacritic87点・ファミ通34/40・OpenCritic90点・Steamレビュー発売直後93%ポジティブという結果を持って登場したArt of Vengeanceだった。「期待していたが、まさかここまでとは」という声が多かったのも当然かもしれない。

Lizardcubeがこれだけの仕事をできた理由は、彼らがWonder BoyとStreets of Rageで培った「レトロIPへのリスペクト」と「現代的な品質への妥協のなさ」を、忍にも注ぎ込んだからだと思う。

古代祐三とTee Lopesという音楽の布陣、全カット手描きのビジュアル、爽快で奥深いコンボ戦闘——それぞれが単体でも語れる水準に達していて、それが一つのゲームとして噛み合っている。そういうゲームは、なかなかお目にかかれない。

プラットフォーミング部分の粗さや、難易度バランスへの賛否は確かに存在する。でもそれは「傑作に傷がある」という話であって、このゲームが2D忍者アクションの一つの到達点であることは揺るがない。

忍者が好きな人、SEGAが好きな人、Lizardcubeの仕事が好きな人——この3つのどれかに当てはまるなら、まずデモを触ってみてほしい。きっと「これは買いだ」と感じるはずだ。

Streets of Rage 4も合わせてチェック

SHINOBI: Art of Vengeanceを気に入ったなら、同じLizardcubeが手がけたStreets of Rage 4も絶対に刺さるはずだ。2Dアクションの気持ちよさと手描きビジュアルへのこだわりは共通している。

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また、2025年に同時期リリースされたNinja Gaiden 4は、3D忍者アクションとして方向性こそ異なるが、同じ「忍者アクション復活年」の文脈で語れる一本だ。

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