Total War: ROME REMASTERED|古代ローマを征服する、伝説のRTSが現代に蘇った
「今から2000年以上前、ローマという都市国家が地中海全土を征服した」——そう言葉で説明されても、なかなかピンとこない。だが、このゲームを起動して最初の戦闘を体験した瞬間、その意味が突然リアルになる。数百のレギオン兵士が整然と行進し、槍衾に向かって投槍(ピルム)を投げ、そして白兵戦へ。歴史の教科書の文字が、突然「動き出す」感覚だ。
Total War: ROME REMASTEREDは、2004年にリリースされた「Rome: Total War」を現代向けにリマスターしたタイトルだ。オリジナル版は発売当時Metacriticで92点という評価を受け、ヒストリーチャンネルやBBCがこのゲームのエンジンを戦闘再現映像に使用するほど「本物感」のある作品だった。あれから17年を経た2021年4月29日、4Kグラフィック、UI刷新、38派閥へのアクセス、クロスプラットフォームマルチプレイといった現代仕様を引っ提げて帰ってきた。
Steamのレビューは7,900件以上で77%がポジティブ。「懐かしさと驚きが同時に来る」「2004年にやり込んだゲームが、こんなにきれいになって戻ってきた」という声が多い。一方で「古さが残っている部分もある」という指摘もあり、リマスターとして完璧ではない部分もある。でも、古代ローマを舞台にしたこの規模の歴史ストラテジーは、21世紀になっても他にほとんど存在しない。
この記事ではTotal War: ROME REMASTEREDのすべてを解説する。ゲームの仕組み、各派閥の特徴、戦闘の楽しみ方、元老院との政治的駆け引き、そしてキャリアを積んだ将軍が英雄へと成長していく物語まで——プレイを始める前に読んでおきたいことを全部書く。
こんな人に刺さるゲーム

Total War: ROME REMASTEREDには、はっきりした向き不向きがある。
こんな人にハマる:
- 古代ローマの歴史(ポエニ戦争、カエサルの遠征、アウグストゥスの即位など)に興味がある人
- 信長の野望や太閤立志伝のような「国家経営+戦闘」系のゲームが好きな人
- RTSで実際に軍を指揮して戦いたい人
- 「歴史のIFを自分で作りたい」という気持ちがある人
- 細かいシステムを理解しながらじっくり遊ぶのが好きな人
- MODで何百時間でも遊べるゲームを求めている人
- Rome: Total War(2004年版)をプレイした思い出がある人
- Mac・Linuxでもプレイしたい人(クロスプラットフォーム対応)
向いていないかもしれない人:
- わかりやすいチュートリアルと丁寧な説明を求める人(学習コストは高い)
- アクション性の高いリアルタイム戦闘を期待している人(部隊単位の指揮になる)
- 最新のグラフィックを最重視する人
- 短時間でサクッと遊びたい人(1キャンペーン数十時間は普通)
- 決まったストーリーとエンディングがほしい人
ひと言で言えば「古代ローマを舞台にした、本格派歴史ストラテジー」だ。最初の10〜20時間はシステムに慣れるだけで消えることが多いが、一度コツをつかんだら止まらなくなる種類のゲームだ。
Total War: ROME REMASTEREDとはどんなゲームか
開発元とTotal Warシリーズの背景
Total Warシリーズを開発しているのはイギリスのゲームスタジオ、Creative Assemblyだ。1987年設立のこのスタジオは、1999年に「Shogun: Total War」を発売してこのジャンルを開拓し、以降20年以上にわたってシリーズを続けている。パブリッシャーはSEGA。ROME REMASTEREDの開発はCreative AssemblyとFeral Interactiveが共同で行った。Feral InteractiveはMac・Linuxへの移植を専門とするスタジオで、今回のクロスプラットフォーム対応実現に大きく貢献している。
シリーズの基本コンセプトは「ターン制の戦略マップ」と「リアルタイムの戦術バトル」を組み合わせること。国家経営をターンで行いながら、実際の戦闘はリアルタイムで自分が指揮する二層構造だ。信長の野望で全国統一を目指しながら、合戦になったら実際に兵を動かして戦う——そんなイメージに近い。
オリジナルのRome: Total War(2004年)はシリーズ第3作目にあたり、当時としては革命的な3D戦闘エンジンを搭載して登場した。Metacriticスコア92点という評価は今でも変わらず、「历史ゲームの最高傑作のひとつ」として語り継がれている。アメリカだけで2006年8月までに39万本・1,680万ドルを売り上げ、ヒストリーチャンネルとBBCはこのゲームの3Dエンジンを使って実際の歴史戦闘の再現映像を制作した。それほど「本物感」のある作品だった。
そのオリジナル版を現代のPCで快適に、そして新しい機能を加えてプレイできるようにしたのがROME REMASTEREDだ。2021年4月29日にリリースされ、AppIDは885970。Steamでの定価は29.99ドル(日本円で約3,500〜4,000円前後)。オリジナルのRome: Total WarをSteamで所有している場合は50%オフで購入できる。
ゲームの基本構造:二層の世界
Total War: ROME REMASTEREDのゲームプレイは、大きく2つの世界に分かれている。
ひとつは「キャンペーンマップ」。地中海世界を俯瞰したマップ上で、ターン制の国家経営を行う。都市に建物を建設し、軍隊を編成し、外交を進め、農業や商業を発展させ、敵の領土を侵略して版図を広げていく。1ターンが約半年に相当する設定で、ローマが徐々に大帝国へと成長する過程を自分の手で作り上げる。
もうひとつは「リアルタイム戦術バトル」。キャンペーンマップ上で軍勢が衝突すると、その戦場をリアルタイムで指揮する画面に切り替わる。何百、何千という兵士が実際に動き、投槍が飛び、騎兵が突撃し、象が敵陣に突っ込んでくる。自分が将軍となって各部隊に命令を出し、戦闘の行方を左右する。これがTotal Warの最大の魅力であり、ゲームの醍醐味だ。
戦闘を自分でやるのが面倒なとき、あるいは勝敗が明白なときはAIに自動解決させることもできる。ただし手動で指揮した方が圧倒的に勝率は高いし、何より楽しい。
Steamの基本情報とスペック
App IDは885970。対応OSはWindows(64ビット)、macOS、Linux。日本語インターフェースには対応していないが、英語・フランス語・ドイツ語・スペイン語・ポーランド語など複数の言語に対応している。Steamワークショップに対応しており、MODのインストールが容易だ。クロスプラットフォームマルチプレイに対応しており、Windows・Mac・Linuxのユーザーが同じマッチで遊べる(Total Warシリーズ初の試み)。
最小スペックはCPUがIntel Core i3-4130(3.4GHz)またはAMD FX-6300(3.5GHz)、GPUがNVIDIA GeForce GTX 660 2GBまたはAMD Radeon R9 270 2GB、RAMが6GB、ストレージは70GB(無料の高品質グラフィックパックを追加する場合はさらに30GBが必要)。推奨スペックはCPUがIntel Core i7-4770K(3.5GHz)またはAMD Ryzen 5 2600X(3.6GHz)、GPUがNVIDIA GeForce GTX 1070 8GBまたはAMD Radeon RX VEGA 56 8GB、RAMが8GBとなっている。2004年のゲームのリマスターなので、現代の基準ではかなり軽い部類に入る。
舞台となる古代ローマの世界

このゲームを最大限楽しむために、少しだけ歴史的な背景を知っておくといい。知らなくても楽しめるが、知っているとゲームへの没入感が段違いに上がる。
紀元前270年——世界の覇権を争う時代
Total War: ROME REMASTEREDのグランドキャンペーンが始まるのは、紀元前270年頃だ。この時代の地中海世界は、複数の強国が覇権を争う「戦国時代」だった。
イタリア半島では、ローマ(この頃はまだ都市国家の連合体に近い)が周辺のイタリア諸族を統一しつつあった。北アフリカのカルタゴは海運と交易で莫大な富を築き、地中海の西半分を支配する海洋帝国だった。ギリシャ(マケドニアとギリシャ諸都市)はアレクサンドロス大王の遠征(紀元前334〜323年)の余波で東地中海を支配し、その後継国家セレウコス朝シリアはアジア方面に広大な版図を持っていた。エジプトのプトレマイオス朝は豊かなナイル流域を支配し、パルティアはペルシャの後継を名乗っていた。
この複雑な多極世界の中で、どの国家が最終的に地中海世界の覇者となるか——それがゲームのテーマだ。
ポエニ戦争:ローマ対カルタゴの死闘
ゲームの中で最も劇的な対立を生み出すのが、ローマとカルタゴの関係だ。歴史上、この両国は「ポエニ戦争」と呼ばれる3度の大戦(紀元前264〜146年)を経て、最終的にローマがカルタゴを滅亡させた。
第一次ポエニ戦争(紀元前264〜241年)はシチリア島の覇権をめぐる戦いで始まった。当時の海軍大国カルタゴに対し、ローマは急ごしらえの海軍を編成し、最終的に勝利を収めてシチリアを属州化した。
第二次ポエニ戦争(紀元前218〜201年)では、名将ハンニバル・バルカがアルプスを越えてイタリア本土に侵攻するという前代未聞の作戦を実行した。カンナエの戦い(紀元前216年)ではハンニバルの「包囲殲滅」戦術により、ローマ軍7万人以上が壊滅した——古代史上最大の敗北のひとつだ。しかしローマは諦めず、スキピオ・アフリカヌスがアフリカに直接上陸してハンニバルをザマの戦い(紀元前202年)で打ち破った。
第三次ポエニ戦争(紀元前149〜146年)は、実質的にローマによるカルタゴ一方的破壊で終わった。カルタゴ市は徹底的に破壊され、生き残った市民は奴隷にされた。「カルタゴは滅ぼされなければならない(Carthago delenda est)」という有名なセリフは、ゲームでも意識されている。
このダイナミックな歴史的対立が、ゲームでも再現されている。ローマでプレイしてカルタゴの滅亡を狙うか、カルタゴでプレイしてローマを叩き潰すか——どちらも歴史とは違う結末を目指せる。
ローマの軍事革命:マリウスの改革
ゲームを語る上で欠かせない歴史的事件が「マリウスの改革」だ。紀元前2世紀後半、軍人政治家ガイウス・マリウスはローマ軍を根本から再編した。それまでの軍は財産に基づいて兵種が分かれており、重装歩兵(ハスタティ・プリンキペス・トリアリイ)の区別があった。マリウスはこれを廃止し、市民全員が重装歩兵として戦える軍に統一した。
この改革はゲームで「マリウスの改革(Marian Reforms)」として再現されており、プレイ中にこのイベントが発生するとローマ軍のユニット編成が大きく変わる。改革前の古いローマ軍と改革後の帝政ローマ軍では、見た目も性能も異なるユニットが登場する。ゲームの進行とともに軍が「進化」していく感覚が楽しめる重要な要素だ。
ゲームの二つの柱:キャンペーンマップの仕組み
マップの構造と州(Province)
グランドキャンペーンのマップはヨーロッパ、北アフリカ、中東を網羅する広大な範囲をカバーしている。マップはローマ、ガリア、イベリア半島、ギリシャ、アナトリア(現在のトルコ)、シリア、エジプト、アフリカ北岸、さらにはブリタニア(現在のイギリス)の一部まで含んでいる。地中海がほぼ丸ごとカバーされた規模感で、「自分が帝国を広げている」という実感が湧きやすい地理的スケールだ。
マップは「州(Province)」に分かれており、各州には1つ以上の「都市(Settlement)」がある。都市を占領することで、そこの人口・建物・資源が自分のものになる。都市ごとに人口や地形が異なり、農業に適した都市、交易の要所となる港湾都市、天然資源が豊富な地方都市などさまざまだ。都市が増えるほど収入は増えるが、同時に統治の手間も増える。どこを攻め、どこを守り、どこは放置するかの判断が必要になってくる。
建設と内政
各都市では様々な建物を建設できる。建物は複数のカテゴリーに分かれており、代表的なものを挙げると以下のようになる。
軍事施設では兵舎や訓練場を建設することで、その都市で徴兵できるユニットの種類が増える。最初は基本的な歩兵しか訓練できないが、施設を拡張するにつれて弓兵、騎兵、精鋭部隊なども生産できるようになる。
経済施設として農場・市場・道路・港湾などがある。農場は人口増加と食料生産を、市場は交易収入を、道路は移動速度と物資輸送を、港湾は海軍力と交易を担う。収入を最大化するためにどの施設を優先するかが内政の肝だ。
文化・宗教施設として神殿・円形劇場・浴場などがある。こうした施設は市民の幸福度を上げ、都市の「秩序」を維持するのに役立つ。秩序が下がると反乱が起きるリスクが高まるため、占領地の統治には気を遣う必要がある。
建設には時間(ターン数)とコスト(デナリウス)がかかる。何を、どの都市に、いつ建てるかの優先順位づけが内政の基本だ。
経済と財政
国家の血液はデナリウス(お金)だ。収入源は大きく分けて「農業・交易から来る税収」と「略奪・都市占領による一時的収入」の二種類がある。毎ターンの軍隊維持費と建設費を上回る収入を確保しながら、拡張していく必要がある。
よくある失敗パターンは「軍を増やしすぎて維持費が収入を超え、財政崩壊する」というものだ。大きな軍は維持費がかかる。余剰兵力を解散させて維持費を削るか、新しい都市を占領して税収を増やすか——この綱渡りが続くのが序盤の難しさであり面白さでもある。
ROME REMASTEREDでは新しいUIとして「経済オーバーレイ」が追加され、マップ全体の収入源や支出の可視化がしやすくなっている。どの都市が黒字でどこが赤字かを一目で確認できるようになったのは、オリジナル版からの大きな改善点だ。
外交
全マップには複数の派閥が存在し、それぞれが独立した行動を取っている。外交によって他の派閥と同盟・休戦・貿易協定・保護国関係などを結ぶことができる。
外交の特徴は、単なる「友好度」だけでなく複雑な力学が働く点だ。強い派閥には軽く扱われ、弱い派閥には外交的に有利な交渉ができる。また、ある派閥と同盟を結ぶと、その派閥の敵から敵対視されやすくなる。外交は純粋な国家間の利害計算であり、永遠の友達も永遠の敵もいない。
エージェントである外交官(Diplomat)を派遣して交渉するシステムで、外交官は他国の首都や軍隊に会いに行って条件を提示する。時に破格の条件を提示しても拒否されることがあり、「力がなければ交渉テーブルにも着けない」という現実的な外交観を体験できる。
エージェントと謀略
軍隊以外に「エージェント(工作員)」を使ったアクションも重要だ。エージェントにはいくつかの種類がある。
スパイ(Spy)は敵国の都市や軍に潜入し、情報収集・破壊工作・城門開放などを行う。スパイを都市内に潜入させることで内部の兵力・建物・人口が把握でき、攻城戦の際に城門を開けさせることもできる。ただし潜入が発覚すれば処刑される。
暗殺者(Assassin)はターゲットの将軍や為政者を暗殺しに行く。成功すれば敵の指揮系統に混乱を与えられるが、失敗すれば外交問題になる。
外交官(Diplomat)は先述のとおり外交交渉を担う。
そしてROME REMASTEREDで新たに追加されたのが商人(Merchant)だ。世界中に商人を派遣して交易ルートを確立し、資源へのアクセスを確保し、ライバルの商人を買収して経済的支配を拡大できる。商人システムはオリジナル版には存在せず、REMASTEREDで初めて追加された新機能だ。経済戦争という新たな選択肢が生まれている。
元老院との政治的駆け引き(ローマ派閥限定)
ローマ三派閥でプレイした場合のみ、「元老院(Senate)」との関係管理という独自システムが加わる。これがローマプレイを他の派閥と全く異なる体験にしている。
元老院は様々なミッションを与えてくる。「○○の都市を占領せよ」「港を封鎖せよ」「○○との同盟を結べ」「○○の族長を暗殺せよ」——これらのミッションをこなすと元老院との関係が改善され、外交的な恩恵や政治的地位の向上が得られる。また、元老院は選挙を通じて家族の一員を行政官(コンスル・プラエトル・ケンソルなど)に任命し、その人物に能力ボーナスが付く仕組みだ。
しかし元老院との関係は諸刃の剣でもある。プレイヤーの人気(民衆からの支持)が高くなりすぎると、元老院は不安を感じてより厳しい要求を突きつけてくるようになる。最終的には「ローマに進軍して元老院を倒せ」という状況にもなりえる。「元老院への忠誠」対「帝国建設のための反乱」というジレンマが、ローマプレイに独特のドラマを加えている。
また三つのローマ家門(ユリウス家、ブルトゥス家、スキピオ家)は互いに競争関係にあり、ゲーム内では同盟国でもライバルでもある。あまりに一家が強くなりすぎると、元老院が牽制するよう他のローマ家に命令を出すこともある。
家族ツリーと将軍の成長
Total War: ROME REMASTEREDの最も独特で深いシステムのひとつが「家族ツリー(Family Tree)」と将軍の「特性(Traits)」「随員(Retinue)」システムだ。これは後続のTotal Warシリーズではほとんど再現されなかった要素で、多くのファンが「REMASTEREDで最も重要な点のひとつ」として挙げる。
プレイヤーが操作する派閥には「家族(Family Members)」と呼ばれる名のある人物たちがいる。彼らは将軍として軍を率いるだけでなく、都市の統治者(知事)としても機能する。家族は時代を経て結婚し、子供を作り、老いて死んでいく。新しい世代の家族が成長して活躍の場を与えられ、やがて彼らが次世代の指導者になる。この「家系の継続」がゲームに長期的な物語を生み出している。
各家族メンバーは3つのステータスを持つ。「指揮(Command)」は戦闘能力と軍への影響力、「影響力(Influence)」は政治的な重要度と元老院内での地位、「管理(Management)」は都市統治能力に対応する。これらのステータスが高い人物ほど将軍として・知事として優秀だ。
重要なのが「特性(Traits)」だ。将軍は様々な経験を通じて特性を獲得していく。多くの戦闘を指揮すれば「勇猛(Brave)」「戦術家(Tactician)」などのプラス特性が付く可能性があるが、逆に戦闘に過度に負けすぎると「臆病者(Cowardly)」などのマイナス特性が付くこともある。また、都市で長く政治生活を送ると「腐敗(Corrupt)」や「享楽主義(Decadent)」といったマイナス特性が積み重なることもある。将軍のキャラクターが戦歴と政治生活によって形成されていく様子が面白い。
「随員(Retinue)」は将軍に付き従うNPCキャラクターで、特定の能力を持つ補佐官を獲得することができる。名医、熟練の武器職人、東方の賢者、忠実な護衛など様々なタイプがあり、それぞれが将軍のステータスを補強する。随員の枠は最大8人で、家族間で引き継ぐことも可能だ。
38派閥を遊び尽くす:各文明の個性

ROME REMASTEREDでは全38派閥がプレイ可能だ(オリジナル版では22派閥で、うちプレイ可能だったのは限られた数のみ)。ランチャーの設定から「全派閥アンロック」のチェックボックスをオンにするだけで、すべての派閥が最初から選べるようになる。各派閥は固有のユニット、独自の強みと弱み、異なる地政学的な出発位置を持っている。
ローマ三家門(Julii・Brutii・Scipii)
ゲームの「主役」ともいえる三つのローマ家門だ。それぞれ担当地域が異なる。ユリウス家(Julii)は北イタリアとガリアを担当し、主にゲルマン部族やガリア諸族と戦う。ブルトゥス家(Brutii)は東地中海を担当し、ギリシャとマケドニアが主な敵になる。スキピオ家(Scipii)は南イタリアとシチリアを担当し、カルタゴとの対決が運命づけられている。
どの家門でプレイしても元老院との政治的緊張を体験できる。三家門の違いは担当地域と若干のユニット差だけで、本質的なプレイスタイルは似ている。ローマのユニットは時代が進むにつれてマリウスの改革で強化され、後期のコホート兵はゲーム中最強クラスの歩兵になる。
カルタゴ(Carthage)
ローマの最大のライバル、北アフリカの海洋帝国だ。カルタゴは序盤の地上戦力がローマより弱い半面、交易と財力に優れ、高ティアのユニットは非常に強力だ。名物はアフリカ戦象(African War Elephants)——大型の象が敵陣に突入する光景は圧巻で、うまく使えば戦況を一変させる。ただし象は怖がって暴走することもあり、制御を誤ると自軍に突撃してくる諸刃の剣でもある。スペインやシチリアの領土も持つ「大帝国の生き残り」をプレイする緊張感がある。
ギリシャ諸都市(Greek Cities)
コリントス、アテネ、スパルタなどを含む南ギリシャの都市国家連合だ。ギリシャは文化的に洗練されており、強力な重装歩兵(ホプリテス)と銀の盾部隊(Silver Shield Infantry)などを持つ。ファランクス(密集方陣)を使った戦闘が得意で、正面から来る敵に対しては非常に強いが、側面や後方を突かれると崩れやすい。ギリシャはポジション的にマケドニア、スキピオ家のローマ、セレウコス朝など複数の強国に囲まれており、生存のための外交が非常に重要になる。
マケドニア(Macedon)
アレクサンドロス大王の後継国家のひとつ。マケドニアはファランクス戦術の本家であり、「マケドニア・ファランクス」「シルバーシールド・ファランジャイト」といった強力な密集方陣部隊を持つ。鉛色の長槍(サリッサ)を持つ部隊が整然と前進する光景はこのゲームの象徴的なシーンのひとつだ。ただし機動性に欠けるため、キャンペーン上での展開が難しい面もある。
セレウコス朝シリア(Seleucid Empire)
アレクサンドロス大王の遠征後に生まれた後継国家の中で最大版図を誇る大国。現在のシリア、イラク、イランに相当する広大な地域を支配している。ギリシャ風軍制にアジアの要素を取り込んだ多様なユニット構成が特徴で、戦象も使える。ただしその広大な版図ゆえに「全方位から圧力を受ける」状況になりやすく、難易度は高め。強国であるがゆえに複数の派閥から同時に狙われる体験は独特だ。
エジプト(Egypt)
プトレマイオス朝エジプト。ナイル川流域の豊かな農地と交易で繁栄する大国だ。エジプトはゲーム開始時点でも豊かな資産を持っており、経済力で他国を圧倒できる。ファランクス系の歩兵とエジプト独自の戦車(Chariot)ユニットを持つ。地理的に南東の隅に位置するため、初期はセレウコス朝との一正面作戦が基本になる。資源が豊かな分、一度軌道に乗ると非常に安定したプレイができる。
ガリア(Gaul)
現在のフランスに相当するケルト系部族の連合。ガリアは序盤に強力な部族戦士系ユニットを持ち、猛烈な突撃力が特徴だ。「ガリア戦士(Gallic Warriors)」「剣士(Swordsmen)」「重装部族(Heavy Warband)」などの歩兵は攻撃力が高く、突撃時の勢いでローマ軍を押し潰すことができる。ただし防御力と士気の安定性が低く、持久戦は苦手。速攻型のプレイスタイルが向いている派閥だ。カエサルのガリア遠征(紀元前58〜51年)の歴史的文脈を知ると、より感情移入しやすい。
ゲルマニア(Germania)
ライン川の東・現在のドイツに位置するゲルマン部族。ガリアよりさらに「野蛮」な外見を持つユニット群で、大型の斧兵や狂戦士(Berserker)などが登場する。ゲルマニアのユニットは個人戦闘能力は非常に高いが、組織的な軍事行動は苦手だ。最初は弱小派閥として始まるが、正しく運用すれば十分に大国になれる。テウトブルク森の戦い(紀元後9年、ゲルマン部族がローマ軍3個軍団を壊滅)を知っていると、このゲームでの「ローマに勝てる」という体験が特別なものになる。
パルティア(Parthia)
現在のイランに相当するペルシャ系帝国。パルティアは重装騎兵(カタフラクト)と騎馬弓兵(Horse Archers)という圧倒的な騎兵力が特徴だ。「パルティアン・ショット(パルティアの矢)」という言葉の語源となった戦術——撤退しながら背後に矢を放つ戦法——が実際にゲームで有効な戦術になる。騎馬弓兵を使って敵を引き出し、カタフラクトで追い詰める「ヒット・アンド・ラン」戦法はパルティア独自の楽しさだ。
スキタイ(Scythia)
黒海北方の草原地帯に住む遊牧民族。ROME REMASTEREDで新たにプレイ可能になった16派閥のひとつ。ほぼすべての軍隊が騎兵で構成される独特な軍事スタイルが特徴で、歩兵がほとんどいない。騎馬弓兵、軽騎兵、騎馬スカウトなどを組み合わせた機動戦術は、固定した戦線を嫌うユニークなプレイスタイルを要求する。難易度は高いが、純粋な騎兵プレイを楽しみたい人には最高の選択肢だ。
ポントゥス(Pontus)
黒海南岸に位置する小アジアの王国。オリジナル版では非プレイ派閥だったが、REMASTEREDで初めてプレイ可能になった派閥のひとつ。歴史上のポントゥス王ミトリダテス6世はローマの最大の宿敵のひとつとして有名で、第一次〜第三次ミトリダテス戦争でローマと激しく戦った。ゲームでもポントゥスの地政学的な位置は興味深く、東地中海を舞台にしたシナリオが展開する。
アルメニア(Armenia)
アナトリア(現トルコ)の東に位置する山岳王国。こちらもREMASTEREDで新規にプレイ可能になった派閥。ローマ、パルティア、セレウコス朝という大国に挟まれた難しい地政学的状況から始まるが、その分攻略したときの達成感が大きい。強力な騎兵と弓兵を組み合わせた軍事スタイルで、戦略的な生き残りゲームが楽しめる。
リアルタイム戦術バトルの世界
戦場の基本:地形と配置
Total War: ROME REMASTEREDの戦闘は、平地・丘陵・森・川・海岸など様々な地形の戦場で行われる。地形は戦術に大きく影響する。丘の上に陣取った部隊は視野が広く、下から攻めてくる敵に対して有利な位置を持てる。森の中に騎兵を潜ませて側面奇襲する戦術、橋の上での防衛戦など、地形を活かした戦いが勝敗を分けることが多い。
戦闘前には「配置フェーズ」があり、戦場に部隊を並べる時間が与えられる。どこに歩兵の主力を置き、騎兵を翼に配置し、弓兵・投石機・バリスタなどの射撃ユニットをどう活用するか——この初期配置が戦闘の半分を決めるといっても過言ではない。
兵種と役割:古代の軍隊の仕組み
ROME REMASTEREDの戦場に登場する兵種は、大きく歩兵・騎兵・射撃兵・攻城兵器に分類できる。
重装歩兵はほぼすべての派閥の主力となる中核戦力だ。ローマのレギオン兵(ハスタティ、プリンキペス、トリアリイ)、ギリシャのホプリテス、マケドニアのファランジャイトなどが代表例。重装歩兵は正面衝突に強く、持久力があり、高い士気を持つ。陣形を維持した状態での白兵戦が最も効果的だ。
軽装歩兵・投槍兵は本格的な白兵戦には向かないが、機動力と遠距離攻撃を持つ。ローマのウェリテス(軽装歩兵)、ガリアのスリンガー(投石兵)など。開幕に投槍・投石で敵の士気を削り、重装歩兵が接触する前に後退するのが基本的な使い方だ。
弓兵(Archers)はスキタイやパルティア、東方の派閥で特に重要な存在だ。弓の射程外から一方的にダメージを与え続けられる反面、近接戦闘では非常に弱い。保護が必要な「ガラスの大砲」的なユニットだ。
騎兵は多くの派閥で重要な役割を担う。突撃力が非常に高く、側面や後方から攻撃することで敵歩兵の士気を大きく崩せる。ローマの騎兵(Equites)、ガリアの重騎兵、スキタイの騎馬弓兵など、派閥によって騎兵の特性は大きく異なる。
戦象(War Elephants)はカルタゴ、セレウコス朝、インドに隣接する派閥などが使える特殊ユニットだ。体当たりで敵の隊列を文字通り踏み潰す圧倒的な突破力を持つ。ただし燃えやすく(火矢に弱い)、パニックになると自軍にも突撃するリスクがある。使いこなすには経験が必要な上級者向けユニットだ。
攻城兵器(Siege Engines)としてバリスタ(巨大な弩弓)、カタパルト、オナガー(投石機)、攻城塔などが登場する。攻城戦では城門・城壁を破壊するために必須で、野戦でも遠距離から大ダメージを与えられる。ただし移動速度が遅く、近接攻撃に弱い。
士気(Morale)システム:勝敗を左右する見えない数値
ROME REMASTEREDの戦闘で最も理解しておきたいシステムが「士気(Morale)」だ。ユニットが全滅するまで戦い続けることはほとんどなく、士気が限界まで落ちると部隊は「潰走(Routing)」を始めて戦場から逃げ出す。士気が崩れた敵を追撃すれば多大なダメージを与えられるが、逆に自分の部隊が潰走すれば軍全体が崩壊していく。
士気に影響する要因は様々だ。死傷者が多いほど士気は下がる。将軍(General)がそばにいると士気が上がり、将軍が戦死すると大きく下がる。敵に側面・後方を突かれると士気に大きなダメージが入る。味方が潰走するのを見た隣接ユニットは士気が連鎖的に下がる(「パニック」効果)。逆に高地を占領している、数で優勢、戦闘前の「威圧(Intimidation)」成功などは士気を上げる要因になる。
この士気システムの理解が「数の劣勢を覆す勝利」を可能にする。質の良い部隊で敵将軍を狙い、側面突破で敵の士気を崩し、連鎖的なパニックで大軍を崩壊させる——これがTotal War: ROME REMASTEREDの戦術的醍醐味だ。
ファランクス戦術:強力だが弱点もある
ギリシャとマケドニアの代名詞ともいえる密集方陣(ファランクス)は、このゲームでも強力な戦術の一つだ。ファランクスを形成した歩兵部隊は正面からの攻撃に対して圧倒的な防御力を発揮し、長槍で次々と敵を刺し倒していく。
しかしファランクスには致命的な弱点がある。機動性が極端に低く、側面と後方がガラ空きになる。ファランクスの側面に騎兵が突撃すれば、どれだけ正面が強くても一瞬で崩壊する。ファランクスを使う側も使われる側も「いかに側面をケアするか」が最重要課題になる。
ローマのピルム戦術
ローマ軍の最大の特徴のひとつが投槍(ピルム)の運用だ。レギオン兵は白兵戦前に2本のピルムを投げ、敵の盾を貫通・固着させて白兵戦での防御力を下げる設計になっている。ゲームでも接敵前に一斉投槍を行い、盾が使えなくなった敵を剣(グラディウス)で押し込む戦術が有効だ。ローマ軍が他の文明の重装歩兵より白兵戦で強い理由がここにある。
攻城戦:城壁を破り、都市を落とす
キャンペーン中で最も劇的なシーンのひとつが攻城戦だ。都市を囲んだ軍が城壁を攻撃し、城門を突破して市内に突入する。攻城兵器なしで城壁を越えるためにはハシゴや攻城塔が必要で、守備側は城壁から弓矢・投石で迎撃してくる。
守備側の視点から見ると、少ない兵力で大軍の侵入を食い止めるための防衛戦が独特の緊張感を生む。城門を突破されても市内の路地や広場で戦い続けることができ、都市内の地形を活かした防衛戦術が重要になる。
海軍戦(Naval Battles)もある。港湾都市をめぐる争いや制海権の確保に、船と船の戦いが発生する。帆走戦列艦ではなく、オール推進の古代ガレー船が主役。衝角(ラム)で敵船に突っ込んで沈める古代海戦の戦術が体験できる。
拡張コンテンツ:バーバリアン・インベイジョンとアレクサンダー

Total War: ROME REMASTEREDには、オリジナル版の2つの拡張パックが含まれている。
バーバリアン・インベイジョン(Barbarian Invasion)
「バーバリアン・インベイジョン(野蛮人の侵入)」は、時代を紀元後363年に進めた独立したキャンペーンだ。歴史上の「ローマ帝国の崩壊期」を舞台にしている。西ローマ帝国は内部の腐敗と外敵の侵入で弱体化し、東方からフン族、北方からゴート族・ヴァンダル族・フランク族などゲルマン諸族が押し寄せてくる。
プレイアブル派閥は大幅に変わり、衰退しかけたローマ(東西)として生き残りを目指すか、外来の「野蛮人」として新たな王国を作るかという全く異なる体験ができる。宗教システム(キリスト教対多神教対ゾロアスター教など)や略奪・定住の選択、夜戦、宗教的コンバージョンなど新機能が追加されており、グランドキャンペーンとは全く雰囲気の異なるプレイが楽しめる。このバーバリアン・インベイジョンの設計は後の「Total War: ATTILA」にも大きな影響を与えた。
アレクサンダー(Alexander)
「アレクサンダー」は紀元前336〜323年、アレクサンドロス大王のペルシャ・インド遠征に特化したキャンペーンだ。史実に沿った厳密な目標(グラニコス川の戦い、イッソスの戦い、アルベラの戦い、インダス川到達など)をこなしながら、わずか13年間でエジプトから中央アジアまでを制覇した大征服をゲームで体験する。
アレクサンダーはマケドニアでしかプレイできない(遠征の主役なので当然だが)、ミッション達成型の構造になっており、グランドキャンペーンより目標が明確でコンパクトな体験ができる。マケドニア・ファランクスと騎馬突撃を組み合わせた独自の戦術は、ゲームでも非常に効果的で楽しい。史実の戦闘を再現しながら遊べる体験は独特のものがある。
ROME REMASTEREDの改善点:オリジナル版から何が変わったか
「リマスター」という言葉は広い意味を持つ。単なるグラフィック更新だけのものもあれば、大幅に機能が追加されたものもある。ROME REMASTEREDは後者に近い。
ビジュアルのアップグレード
最も目に見える変化はグラフィックだ。4K解像度対応になり、ユルトラワイドモニターにも対応。3Dモデルはユニット・建物・地形すべてが新規または大幅改善され、2004年版と比較すると別ゲームのように見える。テクスチャの解像度が上がり、ライティングが改善され、戦場での兵士の動きも滑らかになった。「無料の高品質グラフィックパック(Enhanced Graphics Pack)」を追加でインストールすれば(約30GBの追加容量が必要)さらに細かいテクスチャやエフェクトが使われる。
ただし「現代の最先端ゲームと同じ」というわけではない。あくまで2004年のゲームを現代のディスプレイで快適に楽しめるレベルに引き上げた、という表現が正確だ。
UI(ユーザーインターフェース)の刷新
オリジナル版で最も時代を感じさせた部分のひとつがUIだった。REMASTEREDではUIが全面的に作り直されている。
キャンペーンマップには複数の「オーバーレイ表示」が追加された。外交オーバーレイでは各派閥との関係(同盟・敵対・中立)を色分けで一覧できる。治安オーバーレイでは各都市の反乱リスクを視覚化できる。収入オーバーレイでは黒字都市・赤字都市が一目でわかる。こうした情報可視化の改善により、情報の把握にかかるストレスが大幅に減った。
戦闘画面でも改善が入っており、新しい戦術マップ、ユニット表示の改善、射程マーカーの追加などで「どのユニットがどこを攻撃できるか」が視覚的にわかりやすくなった。
カメラの改善
オリジナル版ではカメラの自由度が低く、特にキャンペーンマップの視点が制限されていた。REMASTEREDではカメラの回転とズームが大幅に改善され、マップを好きな角度から見られるようになった。これだけで操作感が格段に上がっている。
全38派閥のアンロック
オリジナル版では特定の条件を達成しないとプレイできなかった派閥が多かった。REMASTEREDでは最初からランチャーの設定で全38派閥をアンロックできる。ポントゥス、アルメニア、スキタイなどの「新規プレイアブル派閥」が16追加されたのも大きな点だ。
クロスプラットフォームマルチプレイ
Total Warシリーズ史上初となる、Windows・macOS・Linux間のクロスプラットフォームマルチプレイが実現した。オリジナル版はWindows専用だったが、REMASTEREDはMac版・Linux版も同時リリースされ、異なるOSのプレイヤーが一緒にプレイできる。
新エージェント:商人(Merchant)
先述したとおり、オリジナル版には存在しなかった「商人」エージェントが追加された。地中海各地に商人を送り出して交易ルートを確立し、競合する他派閥の商人を買収して経済支配を拡大する。軍事的な覇権争いだけでなく、経済的な影響力の拡大という新しい楽しみ方が加わった。
世界の七不思議
ゲームに「世界の七不思議」が追加された。アレクサンドリアの大灯台、アレクサンドリア図書館、コロッサスの巨像など7つの不思議建造物があり、それを支配する派閥はボーナス効果を得られる。歴史的な建造物の制覇という新たな戦略目標が加わり、「誰が七不思議を制するか」がキャンペーンの新たな見所になっている。
MODで無限に遊ぶ:Steamワークショップの世界

Total War: ROME REMASTEREDの寿命を劇的に延ばすのがMODだ。Steamワークショップに対応しており、ブラウザでMODを見つけてサブスクライブするだけでインストールが完了する。
グラフィック・UI改善MOD
「Better UI」シリーズはUIをさらに読みやすく・使いやすくするMODで、オリジナルのUIが気になる人に人気だ。ユニットカードのビジュアルを改善したり、各種情報表示を整理したりといった内容が多い。公式UIでも十分改善されているが、こうしたMODでさらに一段上の快適さが得られる。
歴史再現・ゲームプレイ拡張MOD
オリジナルのRome: Total War時代から続く強力なコミュニティが作ったMODのいくつかは、REMASTEREDでも動作するか新版に対応している。ユニット数やバランスを歴史的資料に基づいて徹底修正した歴史考証系MODは根強い人気があり、既存のゲームバランスとは全く異なる体験ができる。
トータルコンバージョンMOD
最も野心的なMODが「トータルコンバージョン」——ゲームの舞台やユニット・マップなどをまるごと変えてしまうものだ。「The Lord of the Rings – Total War (REMASTERED)」は指輪物語の世界を舞台にした壮大なトータルコンバージョンで、ロスロリアン・ゴンドール・モルドールなどの派閥で遊べる。古代ローマが好きでなくても中世ファンタジーが好きな人には刺さる内容だ。他にも様々な時代・世界を舞台にしたトータルコンバージョンMODが存在し、基本ゲームとは全く別のゲームとして楽しめる。
MODの導入方法
Steamワークショップ経由でのMOD導入は非常に簡単だ。ゲームのSteamページの「コミュニティ」タブからワークショップに移動し、気に入ったMODの「サブスクライブ」ボタンを押すだけ。次回ゲーム起動時に自動的にダウンロードされ、ランチャーでMODの有効/無効を切り替えられる。複数のMODを同時に有効にする場合は競合に注意が必要だが、それも含めてMODコミュニティのフォーラムで情報が共有されている。
初心者向け:最初にやること、躓きやすいポイント
ROME REMASTEREDは入門の壁がそれなりに高い。最初にやるべきことと、多くの初心者が犯しがちなミスをまとめておく。
まずローマでプレイしよう
初めてプレイするなら、ローマ三家門のいずれかから始めるのが正解だ。ローマはこのゲームの「チュートリアル派閥」的な位置づけで、バランスの取れた軍事力、安定した経済、元老院ミッションという明確な目標がある。特にスキピオ家(Scipii)はゲーム開始時点でシチリアという豊かな島を持ち、初期の経済的安定を確保しやすい。ユリウス家(Julii)は北方への積極的な拡張が楽しく、ゲルマン・ガリアとの戦いが序盤の見所になる。
難易度は最初は「中(Medium)」がおすすめだ。「簡単(Easy)」はAIが本当に弱く、学べることが少ない。「難しい(Hard)」以上はキャンペーン開始直後から経済的プレッシャーが厳しく、初心者には辛い。
経済を最優先に立て直す
多くの初心者がやってしまうミスが「軍を作りすぎて財政崩壊する」ことだ。軍隊は維持費がかかり続ける。必要な軍力以上に部隊を抱えると収入を維持費が上回り、毎ターン赤字が続く。序盤は最低限の軍で近くの反乱地帯を占領して税収を増やすことを優先し、軍を増やすのはそれからでも遅くない。
農場・市場・道路への投資は収益向上の基本。道路は意外と重要で、道路があると交易収入が増えるだけでなく、軍隊の移動速度も上がる。序盤は軍事施設より経済施設を優先して建てることを意識しよう。
ユニットは都市内でリトレイン(補充)が必要
このゲームにはAuto Replenish(自動補充)機能がない。戦闘で損耗したユニットは、都市に入れて「Retrain(再訓練)」コマンドを使わないと補充されない。野外に放置したままでは一切回復しないので注意。遠征中に損耗した部隊の補充のために、戦略的な後退と前進を繰り返すリズムが自然に生まれる。
将軍を前線に出しすぎない
将軍(家族メンバー)は士気上昇に大きく貢献するが、戦死すると士気が大きく下がるだけでなく、替えの効かない家族を失う痛手になる。将軍の個人的な戦闘能力は高いが、前線の乱戦に単騎で突っ込むのは危険だ。将軍を護衛騎兵で守りながら、側面攻撃や敵撃破の「トドメ」を刺す役割に使うのが賢い。
元老院のミッションを無視しない
ローマプレイの場合、元老院からのミッションは無視しがちだが、こなすと実質的な外交・経済ボーナスが得られる。達成不可能なものは断ってもいいが、達成できそうなものは積極的にこなしていこう。ただし元老院の言いなりになりすぎると拡張の機会を失うこともある。バランスを取ることが大事。
外交の活用:一度に複数の敵と戦わない
多くの初心者がやってしまうもう一つのミスが「複数の派閥と同時に戦争状態になる」ことだ。二正面作戦は中級プレイヤーでも消耗が大きい。一派閥を集中して倒すか押し込む間に、他の派閥とは外交で時間を稼ぐ。それだけで生存率が大幅に上がる。
地形を活かして戦う
戦闘では地形を積極的に活用しよう。丘の上に主力を置いて敵を登らせる、橋や峠での守備戦で数の不利を補う、森に騎兵を潜ませて敵の側面を突く——こうした戦術を意識するだけで、同じユニット編成でも戦果が全く変わる。「高地を取った方が有利」はどの戦場でも通用する基本原則だ。
おすすめの派閥:プレイスタイル別ガイド

初心者・バランス型プレイが好きな人
ローマ(三家門のいずれか)が鉄板の選択肢だ。バランスの良いユニット構成、安定した経済、マリウスの改革という明確な進化ルートがある。元老院との政治的ドラマも含めて、このゲームの「フルコース」を体験できる。まず一度はローマでプレイしてゲームの仕組みを理解するのを強くすすめる。
歴史的なドラマを楽しみたい人
カルタゴは「歴史に逆らう」体験として最高だ。史実ではローマに滅ぼされた側の視点から、「今回はローマを叩き潰す」というリベンジプレイができる。ハンニバルの戦象突撃を自分で指揮する体験は格別だ。ギリシャも面白い選択肢で、「ギリシャ文明がローマを吸収する」というIF歴史を作れる。
騎兵・機動戦が好きな人
パルティアは騎兵一択の派閥で、重装騎兵とパルティアン・ショットを組み合わせた機動戦が楽しい。スキタイはさらに純粋な騎兵軍団で、常に動き続ける遊牧民プレイができる。難易度は高いが、独自のゲームプレイ体験が得られる。
守備・経済戦略が好きな人
エジプトはゲーム内でも有数の豊かさを持ち、堅牢な防衛施設と経済力で戦う「金持ちプレイ」が楽しめる。セレウコス朝は多様なユニット構成と大版図を活かした長期的な帝国運営が醍醐味だ。
挑戦的なプレイが好きな上級者
ゲルマニアは弱小派閥として巨人(ローマやガリア)に囲まれた状況からの生き残りが試される。アルメニアやポントゥスも大国に囲まれた難しい状況から始まる。スキタイの全騎兵軍団プレイは独特のプレイスタイルを要求する。
マルチプレイ:友人と歴史の戦場へ
Total War: ROME REMASTEREDはシングルプレイの印象が強いゲームだが、マルチプレイも充実している。
マルチプレイの形式
大きく分けて「マルチキャンペーン」と「バトルマルチ」の2つの形式がある。
マルチキャンペーンは複数のプレイヤーが同じキャンペーンマップに入り、それぞれ異なる派閥を担当してゲームを進める形式だ。ターンを交代しながら進め、互いの派閥が衝突したときにリアルタイムバトルで戦う。最大の対人戦体験が得られるが、全員の時間を合わせる必要があるため、友人グループでやるのが現実的だ。
バトルマルチは単発の戦術バトルを人対人で行う形式だ。両プレイヤーが同じ資金で好きなユニットを揃えて戦う。各派閥の独自ユニットを使った1vs1は、AIとの戦闘とは全く異なる緊張感がある。こちらは1戦30〜60分程度なので、まとまった時間がなくても楽しめる。
クロスプラットフォームの恩恵
前述のとおり、ROME REMASTEREDはWindows・macOS・Linux間のクロスプラットフォームマルチプレイに対応している。友人がMacユーザーでも、Windowsのこちらと一緒に遊べる。Total Warシリーズ初の試みで、「プラットフォームの壁を超えた共闘」が実現した。
レビューの実態:プレイヤーの本音

Steamのレビューを見ると、このゲームに対する評価の実態が見えてくる。7,900件以上のレビューで77%がポジティブ——「非常に好評」ではなく「好評」という評価だ。これは「前作ファンには満足だが、完璧ではない」という感触を反映している。
肯定的な評価
「17年越しの再会に涙が出そうだった」「グラフィックが綺麗になっていて嬉しい」「UI改善で格段に遊びやすくなった」「全派閥アンロックで新しい派閥も楽しめた」「バーバリアン・インベイジョンとアレクサンダーまで入っていてコスパ最高」といった声が多い。特に「2004年版から20年近く経って、こんな形で帰ってきた」という感慨が多くの長年ファンから語られている。
また「古代ローマのゲームとしてこれ以上のものがない」という評価も根強い。Rome: Total War 2(2013年)が存在するが、「システムの深さとシンプルさのバランスはオリジナル版が一番良い」と感じるプレイヤーが多く、REMASTEREDはその「正解版」として高く評価されている。
批判的な評価
「完全なリマスターではなく、グラフィック改善+機能追加の範囲に留まっている」という指摘がある。AIの戦術的な判断はオリジナル版とそれほど変わっておらず、特にキャンペーンAIの外交判断が「ときどき変な行動を取る」という声もある。また、「発売当初はバグが多かった」という評価も見られるが、その後のパッチで多くが修正されている。
「日本語インターフェースに対応していない」という点も、日本語ユーザーには注意点だ。英語の読み書きが苦手な場合、多少のハードルになる。ただし、ゲームプレイの核心部分は英語を読まなくてもある程度わかるUIになっているし、コミュニティのWikiやガイドを参照すれば十分対処できる。
長期プレイヤーの視点
「500時間以上プレイしています」というレビューは珍しくない。そういったプレイヤーの多くが「MODとの組み合わせで無限に遊べる」という点を挙げている。コミュニティの継続的な活動がゲームに新しい命を吹き込み続けており、単なるリマスターを超えた「エコシステム」として機能している。
他のTotal Warシリーズとの比較
Total Warシリーズは現在も新作が出続けており、ROME REMASTEREDを「今さら」という目で見る人もいる。しかし各作品は設計思想が異なり、単純な新旧比較はできない。
Rome: Total War 2(2013年)との比較
同じ古代ローマを舞台にした後続作品。RTW2はより大規模なマップ、より多くの派閥、より現代的なUIを持つ。しかし多くのファンが「RTW2よりREMASTEREDの方が好き」と言う理由がいくつかある。
まず家族ツリーと将軍特性システムの深さだ。RTW2では家族・政治システムが簡略化されており、「名のある将軍が成長し、老いて死ぬ」ドラマが感じにくい。次にゲームの複雑さのバランス。RTW2は多数のシステムが追加された結果、「やることが多すぎて把握しきれない」という評価も多い。REMASTEREDは必要なシステムに絞られており、重要な判断が明確だという点で遊びやすい部分がある。また発売当時のRTW2はバグが多く、「最悪のローンチ」と言われた歴史があり、その印象が残っているファンもいる(現在は改善されているが)。
Total War: ATTILA(2015年)との関係
ATTILAはバーバリアン・インベイジョンの直接的な後継作とも言える作品で、ローマ帝国崩壊期を舞台にしている。崩壊する帝国の緊張感、食料システム、居住地破壊など、バーバリアン・インベイジョンのテーマをより洗練した形で体験したい場合はATTILAを選ぶ選択肢もある。
Total War: THREE KINGDOMS(2019年)などとの比較
THREE KINGDOMSは三国志時代の中国が舞台で、英雄キャラクターのロールプレイ的要素が強化されている。中国の歴史に興味があるならこちらが合う。ただし古代ローマというテーマ性・世界観は他のどのTotal Warでも体験できない。
「なぜ今もこのゲームを遊ぶのか」に答える

2021年に発売されたリマスターとはいえ、元のゲームは2004年のものだ。当然「なぜ今さら」という疑問は出る。答えはいくつかある。
ひとつは「古代ローマを舞台にした、この規模と深さのゲームが他にないから」だ。古代ローマを扱ったゲームは数多いが、ターン制キャンペーンとリアルタイム戦術バトルを組み合わせた規模で、38の文明を選択でき、家族ツリーで将軍の生涯を追い続けられる——この組み合わせは今も唯一無二に近い。
ふたつめは「複雑すぎない深さ」だ。現代のTotal War新作は機能過多になりがちで、すべてのシステムを把握するのに膨大な時間がかかる。REMASTEREDは必要な判断が明確で、「やるべきこと」と「やらなくてもいいこと」の区別がつきやすい。その意味で入りやすく、しかし奥深い。
三つめは「MODの存在」だ。20年の歴史を持つコミュニティが作ったMODはバリエーションが豊富で、全く違うゲームに変えることができる。基本ゲームに飽きても、MODが新たな命を吹き込む。
四つめは「歴史への入口になる」ことだ。ポエニ戦争、ハンニバルのアルプス越え、マリウスの改革、アレクサンドロスの大遠征——ゲームを通じてこれらの歴史的事件を「体験」した後、実際の歴史書に手を伸ばしたというプレイヤーは多い。ゲームが歴史への扉を開く体験は、他のメディアにはなかなか代えられない。
価格とセール情報
Total War: ROME REMASTEREDのSteam定価は29.99ドル(日本円で約4,000〜4,500円程度、為替レートによって変動)。オリジナルのRome: Total WarをSteamアカウントで所有している場合、ROME REMASTEREDを50%オフの約15ドルで購入できる特典がある。オリジナル版を持っていない人も、セール時には大幅割引になることが多い。過去には85%オフ以上のセールも確認されており、1,000円以下での購入チャンスがある。Steamのウィッシュリストに追加しておいて、セールを待つのが賢い買い方だ。
また、SEGAのTotal Warシリーズバンドルとして複数作品がセットになったバンドルセールが定期的に行われており、そちらも狙い目だ。
まとめ:Total War: ROME REMASTEREDはこういうゲーム
Total War: ROME REMASTEREDをひと言で表すなら「古代ローマという舞台で、国家経営と戦場指揮の両方を楽しむ本格派歴史ストラテジー」だ。
キャンペーンマップでは都市を建設し、外交を駆使し、経済を整えながら版図を広げる。元老院との政治的緊張、家族ツリーで成長する将軍たち、商人エージェントによる経済戦争——ターン制の部分だけでも十分に深い。
そして戦闘が起きると、リアルタイムの戦場指揮に切り替わる。何百という兵士が実際に動き、古代の戦術——ファランクス、ピルム投擲、騎兵の側面突破、士気崩壊による潰走——が目の前で展開される。この「画面が切り替わる」体験が、単なる数字のシミュレーションではなく「戦場にいる」感覚を生む。
2004年のゲームが原作だけあって、現代の最先端ゲームと比べると古さを感じる部分もある。UIの一部は今でも直感的とは言えないし、AIの判断が「?」となる場面もある。でも、それを差し引いても「古代ローマ×戦略×戦術」という体験を求めるなら、このゲームは今も第一選択肢であり続けている。
20年経っても新しいプレイヤーが「なぜもっと早くやらなかったのか」と言いながらレビューを書く——その理由が、プレイすれば必ずわかる。
ローマを再建するも、カルタゴのリベンジを果たすも、アレクサンドロスの夢を超えるも、あなた次第だ。
Total War: ROME REMASTERED
| 価格 | ¥3,499 |
|---|---|
| 開発 | Creative Assembly, Feral Interactive |
| 販売 | SEGA |
| 日本語 | 非対応 |
| 対応OS | Windows / Mac / Linux |
| プレイ形式 | シングル / マルチ |

