「Total War: THREE KINGDOMS」三国志を舞台にした政略と戦闘の大戦略ゲーム

Total War: THREE KINGDOMS — 三国志を舞台にした政略と戦闘の大戦略ゲーム

三国志という題材がゲームになるとき、だいたい二つの方向性に分かれる。無双系のように戦場で英雄がひとりで百人斬りするアクションか、内政と外交を積み重ねてじっくり天下統一を目指すシミュレーションか。Total War: THREE KINGDOMSは完全に後者だ。劉備として挙兵した直後、手持ちの兵力は数百人、領地は一つ、金は底をついている。それでも「漢の復興」という旗を掲げて曹操や袁紹と渡り合わなければならない。そのプレッシャーと達成感が、このゲームをやめられなくなる理由だと思う。

Total War: THREE KINGDOMSは2019年5月にSega傘下のCreative Assemblyが開発・リリースした大戦略ゲームだ。Total Warシリーズとしては初めて中国史を舞台にした作品で、西暦190年代の後漢末期を舞台に、群雄割拠の時代をプレイヤーが実際に生きる体験を提供する。Steamでは「非常に好評」の評価を維持しており、2025年現在も11万件以上のレビューが投稿されている。発売当初から三国志ファンと戦略ゲームファン両方から高い評価を受け、シリーズのベストセラーのひとつとなった。

特筆すべきは、このゲームが単なる「三国志テーマのゲーム」に留まらず、「Total Warシリーズ史上最も外交・人間関係が充実した作品」として評価されている点だ。戦争をするだけでなく、武将との関係値を管理し、同盟の駆け引きをし、家臣たちの感情に配慮しながら勢力を拡大していく。そのプロセスが三国志という物語のスケール感ととてもよく合っている。「三国志演義を読んで感動した人がゲームとして追体験できる」という水準に近づいた、稀有な作品だ。

目次

この記事はこんな人に読んでほしい

  • 三国志が好きで、ゲームで天下統一を体験してみたい人
  • Total Warシリーズを初めて触る人、または久しぶりに触る人
  • 大戦略ゲームやストラテジーゲームの入門を探している人
  • 内政・外交・戦争をすべて自分でコントロールするゲームを求めている人
  • 三国志の武将たちのドラマを、プレイを通じて体験したい人
  • Civilizationや他のストラテジーゲームと何が違うのかを知りたい人
  • コーエーの三国志シリーズとの違いを比較したい人

Total Warシリーズとは何か、そしてTHREE KINGDOMSが持ち込んだもの

Total Warシリーズは1990年代末から続く老舗の大戦略シリーズで、ターン制のマップ戦略パートとリアルタイムの野戦パートを組み合わせたゲームプレイが特徴だ。古代ローマを扱った「Rome: Total War」や日本の戦国時代を扱った「Shogun 2」、そしてファンタジー世界の「Warhammer」シリーズなど、歴史の各時代やフィクションの世界を舞台にした作品が多い。THREE KINGDOMSはその中でも中国の三国志時代に焦点を当てた作品で、シリーズの基本構造を保ちつつ、三国志という題材に合わせた独自要素を大きく盛り込んでいる。

最もシリーズの従来作と異なるのが、「武将(キャラクター)システム」の深化だ。過去のTotal War作品でも将軍キャラクターは存在したが、THREE KINGDOMSでは武将一人ひとりに性格、才能、忠誠心、人間関係(友人・ライバル・師弟など)が細かく設定されており、それらが実際のゲームプレイに影響を与える。関羽と張飛を同じ軍に配置すると義兄弟としてのボーナスが発生するし、敵将を捕らえて配下に引き込むことで歴史通りの関係を再現することもできる。武将の組み合わせによって戦力が変化するという仕組みは、「パーティ編成を楽しむRPG」に近い感覚だ。

もう一つの大きな特徴が「ロマンスモード」と「レコードモード」の2択だ。ロマンスモードは小説「三国志演義」の世界観に基づいており、武将が超人的な能力で戦場を動かす。レコードモードは史書「三国志」に近い表現で、武将は優秀な指揮官として機能しつつも一撃で数十人を倒すような描写はない。三国志をどう楽しみたいかによって、同じゲームで異なる体験ができる仕組みだ。初めてプレイするならロマンスモードを推奨する。武将が個性豊かに動いて、物語的なドラマが生まれやすい。

後漢末期という舞台設定の解像度

ゲームが始まる時代は西暦190年代、董卓が洛陽を掌握し漢王朝の権威が地に落ちた時代だ。プレイヤーが選べる11人の群雄の中には、曹操・孫堅・劉備・袁紹・袁術・董卓・馬騰・孔融・劉表・公孫瓉・劉繇がいる。それぞれが異なる初期条件、異なる派閥特性、異なる目標を持っており、誰を選ぶかで序盤の戦略がまったく変わる。

たとえば曹操を選ぶと、序盤から相当な領地と兵力を持ちつつも、周囲の群雄から警戒されやすい立場に置かれる。「漢の丞相」として大義名分を利用しながら勢力を拡大するか、それとも天下人としての本性をさっさと見せるか、という方向性の選択が序盤から求められる。一方の劉備は初期兵力が少なく、資金も乏しく、まさに「漢の復興」という旗だけを頼りに戦い始める。この立ち上がりの差が、それぞれの勢力に異なる感情的な意味を与えている。

史実の主要イベントも随所に再現されており、「黄巾の乱の残党」「反董卓連合」「官渡の戦い」「赤壁の戦い」といった出来事がシナリオイベントとして発生する仕掛けがある。「自分の動きによって赤壁の戦いが起きるか起きないか変わる」という体験は、三国志ファンには特別な感覚だ。自分のプレイスタイルによって、三国志の物語が別の展開を見せる。これがTHREE KINGDOMSの最大の魅力の一つだ。

起動可能な勢力のうち、初心者には曹操か孫堅が向いている。曹操は初期戦力が充実しており、チュートリアル的にゲームの流れを学びやすい。孫堅は「江南制覇」という地理的に守りやすい立場からスタートでき、海を盾にしながら内政を固める戦略が取りやすい。一方で上級者向けと言われるのが公孫瓉だ。東北の辺境から挙兵し、強大な袁紹と戦いながら生き残る必要があるため、序盤の外交戦略がかなりシビアになる。

各勢力には「勢力の特性」として他勢力にはないユニークな派閥ボーナスが設定されている。たとえば曹操の勢力は「功績制度」を持っており、戦功を挙げた武将や一般兵に報酬を与えることで士気を高める仕組みを持っている。孫堅・孫策・孫権と続く「孫家」の勢力は「江東の守護」という防衛ボーナスを持ち、自国領地での防衛戦に強みを発揮する。劉備の「仁政」は民心と徳を高めやすく、外交面でも「義の人」として他勢力から同盟の申し出を受けやすい。これらの固有特性が、「誰でプレイするか」という選択にゲーム的な意味を与えている。

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二層構造のゲームプレイ:マップ戦略と野戦指揮

Total Warシリーズを知らない人のために、基本的なゲームループを説明しておく。このゲームは大きく「戦略マップ(ターン制)」と「戦術マップ(リアルタイム)」の二層構造になっている。どちらか一方が良ければいいわけではなく、両方のパートをある程度こなせることが楽しみ方の前提になる。

戦略マップ:内政・外交・軍の指揮

ターン制の戦略マップでは、中国の広大な地図の上に各勢力の領地が広がっている。プレイヤーはターンごとに軍の移動、都市の建設、人材の登用・配置、外交交渉、研究ツリーの進行などを管理する。このパートはいわゆる「4X系ゲーム」に近い感覚で、いかに内政を整えながら外敵に対応するかを考える部分だ。

資源は「食料」「金」「工業力」「軍需品」「馬」「鉄」の6種類があり、それぞれが建設・軍隊維持・部隊強化に必要となる。都市ごとに生産できる資源が異なるため、「どの地域を優先して占領するか」という判断が戦略の方向性を決める。馬の産地を早めに確保できれば騎馬部隊の量産が可能になり、南部の鉄鉱地帯を支配すれば重装歩兵の量産体制が整う。地形と資源の関係を読む力が、後半の軍事力に直結する。

外交システムはシリーズ史上最も充実した作品の一つで、同盟・不可侵条約・属国化・貿易協定・軍事通行許可など多様な外交関係を結べる。他勢力との関係値は細かく管理されており、約束を破れば信頼は失われ、困ったときに助けを求めても応じてもらえない事態になる。「同盟を裏切って得た短期的な利益」と「長期的な信頼関係の喪失」のどちらを優先するか、というリアルな外交ジレンマが常について回る。

研究ツリーは「軍事」「民政」「商業」の三本柱に分かれており、どの方向に力を入れるかで勢力の色が変わる。軍事に全振りすれば強力な軍隊を早期に編成できるが、民心(公序)の管理が難しくなり、反乱リスクが高まる。商業と民政を優先すれば内政が豊かになって中盤以降の持久戦で有利になるが、序盤の軍事的プレッシャーに耐えきれない場面も出てくる。この「何を先に伸ばすか」の判断が、ゲーム中ずっと続くことになる。

外交の細かい話をすると、THREE KINGDOMSには「婚姻外交」というオプションも存在する。自勢力の武将の縁者を相手勢力に嫁がせ(または迎えて)、関係値を大きく引き上げることができる。婚姻によって結ばれた勢力とは長期的な安定した関係が維持しやすくなるが、当然ながら嫁がせた側は大切な人材を手放すことになる。史実で盛んに行われた婚姻政治をゲームでも実感できる仕組みだ。また「朝廷への献金」や「爵位の授与」など、漢王朝の権威を使った外交オプションも存在し、それぞれの勢力がどのように漢王朝との関係を利用するかが序盤の外交で重要な変数になる。

外交が面白すぎる。3ターン前の約束を覚えていないといつの間にか関係値が下がってて、欲しい同盟が結べなくなってることに気づく。三国志の人間ドラマが本当によく再現されてると思う。

引用元:Steamレビュー

戦術マップ:リアルタイムの野戦指揮

軍同士が衝突すると、戦闘を「オート解決」するかリアルタイムの戦闘マップに移行するかを選べる。リアルタイム戦闘は、数百〜数千の兵士がリアルに動く大規模な戦場を、部隊単位で指揮する形式だ。地形(丘・森・川など)を活用した陣形の組み方、騎兵の側面攻撃、弓兵の遠距離支援、武将の突撃タイミングなどを自分でコントロールする。

ロマンスモードでは武将が最前線に出て剣を交える「一騎討ち」的な演出がある。関羽が敵将と激しく斬り合い、周囲の一般兵が見守る中で決着がつく、という三国志演義的な場面が実際に発生する。これがロマンスモード最大の魅力の一つで、歴史ゲームにしては珍しく「英雄の活躍」を視覚的に体験できる。武将の戦闘スキルは戦場で自動的に使われることもあるが、プレイヤーが手動で発動させることもでき、タイミングを読んだスキル使用が戦況を逆転させることもある。

戦闘の規模は序盤は数百人規模で小さいが、中盤以降は一万人を超える大軍同士のぶつかり合いになる。リアルタイムで何十もの部隊を動かしながら勝利条件を達成するのは正直なかなか忙しく、プレイヤーによっては慣れるまで時間がかかる。ただ操作に慣れてからの「大軍を指揮して敵陣を突破する」感覚は、他のゲームでなかなか味わえない爽快感だ。

また、城攻め(攻城戦)は野戦とは異なる戦術が求められる。防衛側は城壁から弓矢を射ち、攻城側は梯子や投石機で城壁を崩す。攻城兵器の準備をせずに城に突撃すると、壁の上から一方的に射かけられて大損害を受けることになる。攻城準備のターン数を費やしている間に援軍が駆けつけてくる場合もあり、「時間をかけて確実に攻めるか、兵力をすり減らしてでも速攻をかけるか」という判断が毎回の城攻めについて回る。城門を突破した瞬間の達成感は格別だ。城塞の規模も序盤の小城から後半の堅牢な大都市まで段階的に変化するため、攻城戦のたびに異なる攻略法が必要になる。

派閥システムと武将の人間関係が生み出すドラマ

THREE KINGDOMSで特に革新的だったのが、武将の「人間関係システム」だ。このゲームのキャラクターたちは単なる能力値の塊ではなく、互いに「友情」「ライバル関係」「師弟」「恋愛感情」などの感情的な繋がりを持っている。この関係性が戦場でのボーナスや、家臣の忠誠心、さらには反乱リスクに直結する。

五つの武将クラスと役割分担

武将は「チャンピオン」「ストラテジスト」「コマンダー」「セネシャル」「スパイ」の5クラスに分類される。チャンピオンは戦場の一騎当千タイプで、武力が高く敵部隊を壊滅させる能力に長ける。ストラテジストは軍の指揮能力が高く、部隊に特殊な能力を付与できる。コマンダーはバランス型、セネシャルは内政・管理に特化、スパイは諜報・外交に向いている。

どのクラスの武将を要職に配置するかで、勢力全体のプレイスタイルが変わってくる。軍事に偏った構成にすれば確かに戦場では強いが、内政が疎かになり資金繰りが苦しくなる。逆に内政重視の配置で領地を豊かにしてから一気に軍備を拡張する戦略もある。このリソース配分の難しさが、ゲームに深みを与えている。

歴史ファン的な視点で言うと、「諸葛亮をどこで使うか」という問題は本当に悩ましい。兵站管理に置けばサプライチェーンが強化されるが、軍の参謀として前線に出せば戦闘面での恩恵が大きい。史実に忠実にやるか、ゲーム的な最適化を優先するか。そういう選択肢がすべての武将について存在している。三国志好きであればあるほど、史実キャラクターの起用に悩む時間が増えていく。

武将の成長システムも充実している。経験を積んだ武将はレベルアップし、固有スキルを習得していく。能力値(武力・知力・統率・魅力・政治)の伸び方も武将ごとに異なり、同じキャラクターでも成長させ方によって微妙に性格が変わる。序盤から使い続けた武将が後半に大きく育ってくる体験は、RPGで仲間キャラクターを育てる感覚に近い。

武将が戦場で戦い続けることで「功績」が積み重なり、特定の称号や肩書きを得ることもある。「百戦錬磨の猛将」「知略に優れた軍師」といった称号が武将のステータスとして付与されていくと、「自分が育てた武将」という愛着がどんどん強くなる。史実の著名武将であれば開始時からある程度の能力値と特徴を持っているが、「名もない一般武将を鍛え上げて最強の将軍にする」という遊び方をするプレイヤーも一定数いる。このカスタム武将育成的な楽しみ方が、THREE KINGDOMSのロングテールな人気を支えている要素の一つだ。

忠誠心の管理という三国志的な難問

家臣の忠誠心管理は、THREE KINGDOMSの戦略パートで最も頭を使う要素の一つだ。忠誠心が低い武将は、敵に寝返ったり、反乱を起こしたり、最悪の場合は重要な局面で軍を動かさなくなる。忠誠心は月給(俸禄)の高さ、要職への起用、個人的な友好関係、そして「勢力の評判(徳)」によって変動する。

問題は、すべての武将に高い俸禄を払い続けると財政が破綻することだ。特に中盤以降、配下の武将が数十人規模になると、誰を厚遇して誰をやや冷遇するかの優先順位をつけなければならない。あまりにも冷遇し続けた武将が突然「敵に内通します」と宣言して軍ごと離反した経験を持つプレイヤーは少なくないはずだ。これが「三国志あるある」の再現としてよく機能している。

張飛の忠誠心を管理するの大変すぎる。酒飲ませてご機嫌取ってもすぐ機嫌悪くなる。三国志の張飛ってこんな感じだったよな、と笑えた。

引用元:Steamレビュー

一方で、この忠誠心システムは「敵将を捕らえて登用する」という楽しみとも密接に関わっている。戦場で敵将を捕虜にした場合、処刑するか登用するかを選べる。登用すれば強力な武将が仲間になるが、初期の忠誠心が低い場合が多い。「関羽を登用したはいいが忠誠心を高めきれず劉備に返ってしまった」という史実に近いイベントが、プレイの中で自然に再現されることもある。こういう場面に遭遇したとき、「これが三国志だ」という感覚が来る。

忠誠心を上げる手段は複数あり、俸禄を上げる以外にも「武将間の友好関係を結ぶ」「勢力の徳を高める」「軍内の派閥を分散させる」などのアプローチが取れる。特に「派閥」の管理は重要で、強力な武将が一定の勢力を持った「派閥」を形成すると、その武将が満足していないとき派閥全体が不満を抱えやすくなる。曹操が優秀な配下を手元に置きながらも常に派閥の均衡を気にしていた史実の事情が、ゲームシステムとして体感できる仕組みだ。

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シーズンパスと拡張コンテンツの全貌

THREE KINGDOMSはリリース後、複数のDLCが段階的に追加された。最終的に開発は2021年8月に終了し、これ以上のアップデートは行われないことが発表されている。ただし発売から6年以上が経過した2025年現在もSteamでセール時に多くのプレイヤーが購入しており、コミュニティは健在だ。DLC全体の質は概ね高く、それぞれが異なる時代や視点から三国志を体験させてくれる内容になっている。

A World Betrayed(西暦197年シナリオ)

最初の大型DLCで、呂布と孫策を新しい勢力リーダーとして追加した。西暦197年という、メインシナリオよりやや時代が進んだタイミングから始まるシナリオで、群雄割拠の混乱が最高潮に達した時期の緊迫した情勢を体験できる。呂布の「裏切り者」としての特性と孫策の「江東の虎」としての攻撃性が、それぞれ独特のプレイスタイルに落とし込まれており、ファンからの評価が高いDLCだ。

呂布は「同盟と裏切り」という固有システムを持っており、他勢力と同盟を結びながらも状況に応じて裏切ることで資源や領地を得られる。ただし裏切りを繰り返すと「不義の人」として評判が下がり、最終的には誰も同盟を結んでくれなくなる。「孤立した状態で天下に挑む」という呂布プレイは、三国志ファンにとってたまらない体験だ。孫策は「討伐」に成功するたびに固有ボーナスが積み重なっていき、攻めれば攻めるほど強くなるシステムが採用されている。

Eight Princes(西晋時代への跳躍)

三国時代を跨ぎ、司馬炎が中国を統一した後の「八王の乱」を舞台にした異色のDLC。従来の三国志キャラクターはほぼ登場せず、新しいキャラクターセットで遊ぶことになる。Steamのレビューでは賛否が分かれており(67%好評)、「三国志を期待していたのでテーマが異なる」という声がある一方で「新鮮な政治的混乱シナリオが楽しめた」という評価もある。THREE KINGDOMSの文脈からは少し外れるが、時代の幅を広げる試みとして興味深い作品だ。

The Furious Wild(南蛮征伐シナリオ)

諸葛亮の南蛮征伐を題材にしたDLCで、新しい勢力「南蛮」が追加された。南蛮勢力はシャーマン系の独自ユニットと儀式システムを持ち、従来の中原文明とはまったく異なるプレイスタイルを提供する。「南蛮の王」として孟獲を操作し、中原の大軍に抵抗しながら勢力を維持する体験は、メインシナリオとはまた違う緊張感だ。南蛮勢力は一般的な「占領して建設する」戦略よりも、森や山岳地帯を活かした機動戦と奇襲が得意なプレイスタイルになっている。

Mandate of Heaven(黄巾の乱シナリオ)

メインシナリオより10年前、184年の黄巾の乱を題材にしたDLC。張角を中心とした黄巾党の勢力として「漢王朝を打倒する」という逆転の目標でプレイできる。通常は打倒すべき敵としての黄巾勢力が、こちら側の視点から見るとまったく異なる政治的な意味を持っているのが面白い。劉備・曹操・孫堅らが「若き英雄」として登場する初期の姿を見られる点も、三国志ファンには見逃せない。黄巾党には「天命ゲージ」という固有システムがあり、信者への布教や神秘的なイベントをこなしながら漢の支配に対抗する独特のゲームプレイが楽しめる。

Fates Divided(袁紹・曹操時代の深掘り)

官渡の戦いの時代、曹操と袁紹の対立を深掘りしたDLC。「離反」と「内通」のシステムが強化されており、二大勢力の狭間で揺れる中小勢力のジレンマが強調されている。史実上の「官渡の戦い」をどう再現・改変するかというリプレイ性が高く、「もし袁紹が官渡に勝っていたら」という歴史改変ルートを楽しむことができる。

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日本語対応と三国志という題材の文化的相性

THREE KINGDOMSは日本語に完全対応している。テキストと字幕はもちろん、インターフェース全体が日本語化されており、初めてTotal Warシリーズを触る日本人プレイヤーにも入りやすい。三国志という題材自体が日本でなじみ深いこともあり、「コーエーの三国志シリーズを遊んだことがある」「横山光輝の三国志を読んだことがある」「吉川英治の三国志を読んだ」という人には、初めて触れる西洋製ストラテジーでも世界観がすんなり入ってくる。

武将の名前、地名、部隊名なども丁寧に漢字表記されており、違和感なく遊べる。特に武将名の表記は演義のスタンダードに準拠しており、「諸葛亮」「関羽」「張飛」「曹操」といったキャラクターを漢字で認識しながらプレイできるのは、日本のプレイヤーにとってかなり大きい。英語版でプレイしたプレイヤーから「武将名がアルファベットで書かれていて覚えにくかった」という感想が出るのに対し、日本語版ではそのストレスがない。

ただし注意点がある。コーエーの「三國志」シリーズや「三国無双」シリーズとはゲームジャンルとプレイ感がかなり異なる。コーエーの三国志シリーズは武将ごとの能力値でキャラクターを数値的に把握しながら内政を積み上げていく感覚が強く、完全ターン制で時間をかけて天下統一を目指す。THREE KINGDOMSはその「内政・外交・戦争」の三要素を持ちつつも、戦闘がリアルタイムで展開される点、外交の生々しさ、忠誠心・人間関係という要素の組み合わせが独特だ。どちらが良いというわけではなく、「違うタイプの三国志体験」として捉えた方がいい。

コーエーの三国志もRomance of the Three Kingdomsも好きだけど、THREE KINGDOMSはまた別の魅力がある。戦略マップで悩んでいたら夜が明けてた。

引用元:Steamレビュー

日本語コミュニティとしてはSteamの日本語レビューが充実しており、攻略情報のやり取りも行われている。Wikiサイトや攻略ブログも2025年時点でかなりの量が存在するため、詰まった際の情報収集に困ることはないはずだ。「Total War系の動画を日本語で見たい」というニーズに応えるYouTubeチャンネルも複数存在しており、プレイ実況を通じてゲームの雰囲気を事前に確認することもできる。

Total Warシリーズの中でのTHREE KINGDOMSの立ち位置

Total Warシリーズは長年にわたって作品を出し続けており、ファンの間でもどの作品が「最高傑作」かという議論が絶えない。THREE KINGDOMSについては、発売当初から「キャラクターシステムと外交の深さが過去最高」という評価と、「Total War伝統の大規模戦闘の爽快感が薄まった」という評価が共存している。

シリーズの他作品と比べたとき、THREE KINGDOMSが特に優れている点は明確だ。武将キャラクターの個性と人間ドラマの濃さは、ローマやファンタジーを舞台にした他のTotal War作品とは一線を画している。三国志という物語の磁力を最大限に活かした設計になっており、「このゲームで初めてTotal Warシリーズにハマった」というプレイヤーは日本でも多い。「キャラクター愛がある題材でプレイするとこんなに違うのか」という声が日本語レビューにも散見される。

一方で、三国志時代の軍事技術水準として「爆発物・火薬武器・機動兵器」があまり登場しないため、シリーズ他作品のような「象兵が突撃する」「火薬ロケットが飛び交う」といったスペクタクルは少ない。基本は歩兵・騎兵・弓兵という古代的な構成で、戦場の演出という意味では「Warhammer」シリーズのような派手さには及ばない。これを物足りないと感じるか、むしろ三国志らしいリアリティとして受け入れるかで評価が分かれる。

Warhammer IIIとの比較という視点

2025年時点でシリーズの主力新作は「Total War: Warhammer III」だ。こちらはファンタジーRPGの世界観で、ドラゴンや悪魔や魔法使いが戦場を駆け回る。THREE KINGDOMSとはジャンル的に別物で、「歴史ゲームを楽しみたい」のか「ファンタジー世界の大軍を指揮したい」のかで選択肢が分かれる。どちらもTotal Warの基本フォーマットを踏襲しているため、THREE KINGDOMSで操作を覚えれば他シリーズ作品への移行もスムーズだ。

THREE KINGDOMSはDLC含めて現在かなり安価に入手できる点も魅力だ。本体価格のセール時の最安値は700円台まで下がることがあり、すべてのDLCを揃えても数千円以内に収まる。コスパという観点でもシリーズ入門に適した一作と言える。

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ゲームのポジティブな評価と長期的な支持の理由

Steamの「非常に好評」という評価は伊達ではなく、プレイヤーが語るこのゲームの魅力は一貫している。Steamレビューの86%以上が好評という数字は、発売から6年以上経過した現在でも大きく変わっていない。それほど長期にわたって支持されている理由には、いくつかの核心的な強みがある。

「三国志の物語が自然に再現される」という体験

システムが三国志の物語とここまでうまく噛み合っているゲームは珍しい。人間関係の変化、裏切りと信義、強大な敵との連合、そして勢力の盛衰。これらが実際のゲームプレイの文法として機能しており、「プレイしながら三国志の続きを自分で作っている」感覚がある。これはルールとして組み込まれたものではなく、各システムが有機的に絡み合った結果として自然に生まれるドラマだ。

劉備で最初の10ターンが本当にきつい。兵力もない、金もない、頼れる同盟もない。それでも赤壁の戦いが起きた瞬間に「あ、この作品好きだ」となった。

引用元:Steamレビュー

プレイヤーが独自の「もし三国志」を生み出せることも支持される理由だ。「袁術が実際に皇帝を名乗って強大化した世界線」「孫堅が生き残って天下を取った別の三国志」など、プレイヤーごとに異なる歴史改変エピソードが生まれる。これを他のプレイヤーと共有する文化がコミュニティに存在しており、SNSやフォーラムで語り合う楽しみが長寿命化に貢献している。「自分だけの三国志を生き直した」という感覚を共有できる場があることが、このゲームの寿命を延ばしている。

THREE KINGDOMSには「ランダムイベント」という要素もあり、ターンをこなしていくと突然「洪水が領地を襲い収穫が激減した」「疫病が軍に流行り兵力が減少した」「近隣の群雄が急死して後継者争いが勃発した」といったイベントが発生することがある。史実でも後漢末期は洪水・旱魃・疫病が相次いだ時代で、これらのイベントがゲームプレイに現れることでリアリティが高まる。こうした不確定要素が、「同じ勢力で複数回プレイしても毎回違う展開になる」というリプレイ性を高めてもいる。

11人以上のリーダーによる圧倒的なリプレイ性

11人の初期勢力リーダー(DLC含めてさらに多い)のそれぞれで一からプレイし直すと、まったく違う体験になる。序盤の立ち位置、持っている固有特性、周辺の敵勢力の構成が勢力ごとに異なるため、「劉備はクリアしたので次は孔融でやってみよう」というプレイスタイルが自然に生まれる。孔融は学者肌の文人として、軍事力よりも外交と文化によって勢力を維持するという相当難しい道を歩む勢力だ。「武力でなく文化で天下を治める」という逆張りの目標は、プレイヤーにとって最高の挑戦になる。

難易度設定も細かく、戦略マップと戦術マップでそれぞれ独立して難易度を設定できる。「戦略はハードで考えたいが、リアルタイム戦闘はノーマルで処理したい」という組み合わせが可能なため、得意不得意に合わせた調整ができる。初心者から上級者まで間口が広い設計だ。

視覚的な美しさと戦場の演出

武将の鎧や武器の造形、軍旗のデザイン、城塞の建築物など、三国志時代の中国の視覚的イメージを丁寧に再現している。戦場のシダー林、黄土色の平野、川沿いの攻城戦など、中国的な景観が視覚的な説得力を持っている。夕焼けの中で大軍が激突する場面は、ゲームとしての映像美として普通に見応えがある。サウンドデザインも凝っており、何千もの兵士が動く際の地響きや、武将が叫ぶ声が戦場の雰囲気を高めてくれる。

武将の外見もクラスや所属勢力によって異なり、曹操配下の武将と蜀漢の武将では甲冑のデザインが変わる。装備をカスタマイズしてユニークな見た目の武将軍を編成できる要素もあり、「見た目にこだわった軍編成」を楽しんでいるプレイヤーもいる。

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率直なネガティブ評価と知っておくべき注意点

好評なゲームであることは間違いないが、全員に向いているわけではない。Steamの否定的なレビューや批判的な意見をまとめると、特定のパターンが見えてくる。買う前に知っておくべき欠点も正直に書く。

終盤の「スノーボール」問題とAIの限界

どのTotal War作品にも共通する課題だが、THREE KINGDOMSも「後半になるにつれて圧倒的に有利になりすぎて詰まらなくなる」という問題がある。序盤と中盤は「強大な敵との緊張した外交と戦争」が楽しいが、一度勢力拡大のはずみがつくと、後は大軍を移動させるだけで城が落ち続ける消化試合になりがちだ。

このスノーボール問題はAI(コンピューター勢力)の弱さとも関係している。ある程度の規模になったプレイヤー勢力に対して、AIが有効な対抗策を打てずに次々と吸収されていく。難易度「困難」まで上げると序盤のプレッシャーは増すが、中盤以降のAIの弱さは難易度設定でも完全には解消されない。「官渡の戦いを再現しようとしたら途中からプレイヤーが強くなりすぎて誰も攻めてこなくなった」という感想は、長くプレイしたユーザーから繰り返し出てくる。

序盤が楽しすぎて中盤以降に失速するのがもったいない。ゲームとしての緊張感が80ターン前後でピークを超えて、その後は作業感が出てきてしまう。

引用元:Steamレビュー

これはMODである程度緩和できる。後述するRadious Modのような難易度調整Modを導入すると、終盤でもAIが積極的に動いてくれるようになり、プレイの緊張感が持続しやすくなる。公式パッチでも何度か改善が試みられたが、根本的な問題は完全には解消されていない。

学習コストの高さと情報の多さ

Total Warシリーズ初体験のプレイヤーにとって、最初の10〜15ターンは「何をすればいいのか全然わからない」状態になることがある。管理する要素が多く、UIの読み方を覚えるまでの学習コストが高い。公式のチュートリアルが用意されているが、これを一通りこなしてもまだ疑問が残る状態で実際のプレイに入ることになる。

特に「俸禄(給料)システム」「公序(治安)の管理」「軍の補給」あたりは最初に躓きやすいポイントだ。俸禄を高く設定しすぎると財政が赤字になり、低くしすぎると忠誠心が下がって武将が離反する。公序が低い地域では徴税量が下がり反乱リスクが高まる。補給システムが不十分だと遠征軍が食料不足で弱体化していく。こういった複合的なペナルティに序盤から直面すると、何が原因かわからないまま苦境に陥ることがある。

こうした場合、YouTubeの解説動画や日本語攻略ブログを参照しながら進めることを強く推奨する。「序盤の建設優先順位」「忠誠心の上げ方」「俸禄の最適な設定方法」といった基本知識を事前に入れておくと、序盤の詰まりをかなり軽減できる。

DLC依存と価格の構造問題

「A World Betrayed」「Mandate of Heaven」などの主要DLCがないと、一部の人気武将や勢力でプレイできない。「呂布で天下統一したい」「孫策を使いたい」という場合には対応DLCが必要になる。本体価格が安価なため、気づいたらDLCを揃えるのに本体より高い費用がかかる、というTotal Warあるあるがここでも発生する。ただしバンドルセールが頻繁に行われるため、セール時期を狙えば問題は小さい。「本体が安いからと思って買ったら、全部DLCを揃えると結局そこそこの金額になった」という経験をする人が出やすい構造だ。最初から「DLCも含めたコレクションを狙う」という発想で動くのがいい。

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THREE KINGDOMSの開発終了とコミュニティの現状

前述の通り、THREE KINGDOMSは2021年8月に追加コンテンツの開発終了が発表された。予定されていたDLC「The Furious Wild(Part 2)」がキャンセルされ、シリーズとしての続展開は見送られた。Creative Assemblyは当時、「シリーズをより健全なサイクルで届けるためにリソースを別作品に集中させる」とコメントしている。

この発表はコミュニティに大きな失望を与えた。「三国志のDLCをもっと充実させてほしかった」という声は今も根強く、日本語レビューでも惜しむ声が多い。「関羽・張飛・趙雲の固有DLCシナリオがあったら最高だった」「諸葛亮の北伐シナリオを公式でやってほしかった」といった声が今も見られる。開発終了は明らかにコミュニティの熱量を考えると早すぎたという意見が大勢だ。

三国志の物語としてはメインシナリオ(190年代)から始まり、DLCで184年や197年の断片まではカバーされたが、赤壁の戦い(208年)以降の「三国鼎立」時代や、諸葛亮の北伐(228〜234年)、そして晋による統一(280年)という後半の物語はゲームとしてほぼ手つかずのままだ。コミュニティが「もっとやってほしかった」と感じる理由はここにある。三国志の物語で最も劇的な後半戦が未実装のまま終わってしまった、という惜しさが残る。

ただし、2025年現在でもModコミュニティは活発で、非公式の追加武将・追加シナリオ・UI改善Modなどがコミュニティ製として提供されている。公式開発が終わった後もゲームが生き続けているのは、それだけ基盤が優れているからだろう。Steamでの同時接続プレイヤー数は2019年のリリース時に8万人超えのピークを記録した後、現在は落ち着いたが日常的に1,000〜3,000人程度がオンラインで遊んでいる。マルチプレイも一応できるが、マッチングがそこまで活発ではないため、このゲームは実質的にシングルプレイで楽しむものと考えたほうがいい。

Modコミュニティによるゲームの継続

THREE KINGDOMSのModコミュニティはSteamワークショップで活発に活動しており、以下のようなModが人気を集めている。

「Radious Total War Mod」は難易度調整とAIの強化を中心にした大型Modで、終盤のスノーボール問題をある程度緩和する。AIが積極的に外交や軍事行動を取るようになるため、プレイの緊張感が中盤以降も持続しやすくなる。「Divide et Impera系Mod」はよりリアルな軍事バランスと経済システムを目指す大型Modで、歴史的なリアリティを重視するプレイヤーに向いている。また「三国志を完全再現する追加武将Mod」では、史実・演義に登場するさまざまな武将が追加され、本体では味わえない規模の人材マネジメントが楽しめる。「諸葛亮の北伐シナリオを再現するMod」なども公開されており、公式DLCにはなかった体験をコミュニティが補完してくれている。

公式開発が終了したゲームとしては異例なほど、コミュニティのModが豊富だ。「本体を一通りクリアしたあとにModを入れて遊ぶと、また新鮮な気持ちで楽しめた」という声がSteamレビューにも散見される。2025年時点でも新しいModが定期的に投稿されており、ゲームとしての寿命はまだまだ続きそうだ。

Modを導入する際の手順はそれほど難しくない。Steamのゲームページからワークショップにアクセスし、気になるModを購読するだけで自動的にダウンロード・適用される。複数のModを同時に入れると競合することがあるため、大型Modは一つずつ試すのが基本だ。英語のModが多いが、一部のUIや説明文を日本語化するMODも存在しており、日本語環境でのプレイ体験をさらに向上させることができる。

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同ジャンルのゲームと何が違うのか

「大戦略ゲーム」「ストラテジーゲーム」というジャンルは幅が広く、THREE KINGDOMSをどういう立ち位置で捉えるかによって、他のゲームとの比較の軸が変わってくる。ここでは代表的なタイトルとの違いを整理しておく。

CivilizationシリーズとTHREE KINGDOMSの最大の違い

Civilizationシリーズも「資源管理・建設・外交・戦争」という構造を持つ大戦略ゲームだが、THREE KINGDOMSとの最大の違いは「リアルタイム戦闘があるかどうか」だ。Civilizationは戦闘もターン制で処理されるのに対し、THREE KINGDOMSでは実際に何千の兵士が動くリアルタイムの戦場を指揮する体験がある。「戦争シーンをゲームとして直接体験したいか、シミュレーションとして処理したいか」という好みで選ぶといい。また、THREE KINGDOMSは特定の歴史的時代と地域に焦点を当てているのに対し、Civilizationは文明の誕生から宇宙開発まで対象とする壮大なスケールを持っている。THREE KINGDOMSのようなキャラクター中心の人間ドラマはCivilizationにはなく、逆にCivilizationの「どの技術を先に研究するか」という文明発展の楽しさはTHREE KINGDOMSにはない。それぞれ独自の魅力を持った別ジャンルだ。

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三国志というテーマを共有しつつ全く異なるゲーム

THREE KINGDOMSと同じ三国志を題材にしつつも、ゲームデザインがまったく異なる作品が存在する。コーエーの「三國志XIV」「三國志15」などはターン制の内政シミュレーション色が強く、細かな政策設定と武将マネジメントに特化している。「無双シリーズ」は一騎当千のアクションに特化している。THREE KINGDOMSはこれらのどれとも異なる「戦略シミュレーション+リアルタイム野戦」というアプローチを取っており、同じ題材でありながら体験がまったく別物だ。「三国志好きなら一度はプレイしてみる価値がある」という点では、すべての作品が独自の位置を持っている。

実際にTHREE KINGDOMSをプレイしてコーエーの三国志シリーズに戻るプレイヤーも多く、逆にコーエーから流れてきたプレイヤーがTHREE KINGDOMSに長期定着することもある。それぞれのゲームが持つ「三国志体験の角度」が違うだけで、どちらが本物というわけではない。THREE KINGDOMSならではの強みは「リアルタイム野戦の迫力」と「人間関係の有機的な絡み合い」にある。コーエー三国志の強みは「個々の武将能力値への細かなこだわり」と「政策・建設の細密なマネジメント」にある。気に入ったものを選べばいい。

買う前に知っておきたい実践的な情報

THREE KINGDOMSを購入する前に把握しておくといいポイントをまとめる。これを知っていると、序盤の試行錯誤にかかる時間をかなり短縮できる。

推奨スペックと実際の動作感

グラフィックはTotal Warシリーズの中でも比較的要求スペックが高い部類だ。推奨環境はGTX 1060 / RX 480以上のGPU、RAMは16GB推奨となっている。大規模な野戦シーンでは中間スペックのPCでもフレームレートが下がることがあるため、最高画質でのプレイには相応のスペックが必要だ。ただし中画質設定でも十分に綺麗で、戦略パートのほとんどはグラフィック設定の影響をそこまで受けない。「戦場のユニット数を減らす」という設定オプションもあるため、低スペック環境でも遊べる余地がある。また後半になるとユニット数が増えてくる関係で、序盤より後半の方がフレームレートへの影響が出やすいことも覚えておくといい。

セール時を狙うべき理由と購入戦略

Steamのセールでは本体と主要DLCがまとめてセールになることが多く、通常価格では割高に感じるDLC群も割引時であれば全部まとめて入手できる。「Total War: THREE KINGDOMS – Collection」や「Complete Pack」といったバンドルが期間限定で登場することがあるため、気になっているなら定価での購入よりもセールを待つのが得策だ。特に春・冬のSteamセールでは大幅割引になることが多い。まず本体だけ購入してプレイし、気に入ったらDLCを追加する、という段階的な購入もありだが、バンドルの方がトータルで安くなることが多い。「本体だけ買って後でDLCを一つずつ買い足した結果、バンドルより高くついた」という経験をした人も多いので注意が必要だ。

初心者向けの始め方と序盤のコツ

初めてプレイするなら、まず「劉備」か「曹操」から始めることをすすめる。劉備は序盤が苦しいが「仁政」という固有特性が民心管理を助けてくれ、歴史通りの苦労人スタートを体験しながらゲームシステムを覚えられる。曹操は序盤から相対的に有利な立場なので、ゲームシステムを把握することに集中しやすい。どちらも豊富な日本語攻略情報があるため、詰まった際の情報収集がしやすい点でも初心者向けだ。

難易度は最初は「ノーマル」で始め、戦略マップと戦闘マップそれぞれの感覚を掴んでから上げていくのがいい。特に戦闘マップは慣れるまでは「オート解決」を多用しても問題ない。後半になって難しい戦いが増えてきたら手動戦闘に切り替える、という段階的な学習方法が最も挫折が少ない。

序盤に意識してほしいポイントをいくつか挙げる。まず「1〜2勢力と同盟を結んで後背地の安全を確保する」こと。「1対多数」の状況に追い込まれると立て直しがかなり難しくなる。次に「食料の収支をプラスに保つ」こと。食料が赤字になると軍隊の維持コストが上がり、財政が急速に悪化する。そして「武将の俸禄を定期的にチェックする」こと。不満を持った武将が急に離反する前に、こまめに俸禄と待遇を確認する習慣をつけておくといい。この3点を序盤から意識するだけで、中盤以降のゲーム展開が大きく変わってくる。

また、研究ツリーは「民政」の序盤項目を優先することをすすめる。「農地改革」「水路整備」といった食料・収入を増やす研究は、後続の軍事投資の土台になる。序盤から軍事研究に全振りすると、経済基盤が弱いまま拡大していくことになり、中盤で資金が足りなくなるケースが多い。「内政を整えてから攻める」という基本の順序を守ることが、THREE KINGDOMSの安定したプレイに繋がる。

プレイ時間の目安と「クリア」の概念

THREE KINGDOMSには明確な「クリア条件」が複数用意されている。一般的には「中国全土の大部分を支配して覇者を宣言する」という形になるが、それ以外にも「特定の家臣団を集める」「特定の目標を達成する」というシナリオ目標が設定されている場合がある。難易度ノーマルで劉備プレイをした場合、天下統一まで50〜80時間程度かかるのが平均的だ。これはのんびりプレイするか積極的に拡大するかによって大きく変わる。

一周クリアした後に別勢力で遊ぶと、同じゲームとは思えないほど展開が変わる。序盤の立地条件、周囲の敵の強さ、使える固有武将の顔触れ、すべてが変わる。「このゲームの正しい遊び方は複数の勢力を試すこと」と言っても過言ではない。100時間プレイしてようやくゲームシステムの全体像が見えてくる、という声もあるほど奥が深い。逆に言えば、それだけ長く楽しめるタイトルだということだ。

オートセーブ機能が充実しているため、不慮の失敗(大規模な離反、予想外の連合軍への包囲など)があってもやり直しが比較的簡単だ。ただし、あまりセーブ・ロードを繰り返すと「後から振り返ったときに記憶に残るエピソードが薄くなる」という面もある。ある程度「失敗も含めてひとつの三国志」として受け入れる方が、長期的には記憶に残るプレイ体験になると思う。

まとめ:三国志ファンとストラテジーファン、両方に届いた稀有な一作

Total War: THREE KINGDOMSは、「三国志の物語を自分の手で動かす」という体験を、かなり高い水準で実現している。武将の人間ドラマ、忠誠心のダイナミクス、外交の駆け引き、そして数千人規模の野戦。これらが組み合わさることで、単なる「三国志テーマのゲーム」を超えた、固有の没入感が生まれている。

Steamのレビュー件数11万件以上・好評率86%という数字は、発売から6年以上経過した現在でも大きく変わっていない。これは純粋にゲームとしての出来の良さを示している。三国志という題材の知名度と親しみやすさに乗っかりながら、それを活かすゲームシステムを丁寧に組み上げた結果がこの評価につながっている。

日本のゲームプレイヤーにとって、THREE KINGDOMSには特別な位置づけがあると思う。三国志は日本で長年にわたってマンガ・アニメ・ゲームを通じて親しまれてきた物語だ。横山光輝版・吉川英治版・コーエーのゲームシリーズ・無双シリーズと、三国志コンテンツに触れてきたプレイヤーが多い日本では、THREE KINGDOMSは「西洋の開発会社が日本文化にとっても特別な題材を、敬意を持って丁寧に扱った作品」として受け入れられている。Creative Assemblyの三国志への理解度は高く、史実と演義の使い分け、武将の個性の再現、漢王朝の権威の描き方など、「三国志をわかっている人が作った」という印象を多くの日本人プレイヤーが持っている。

開発が終了しているという事実はあるが、ゲームとして完成されているため、今から始めても十分に楽しめる。むしろDLC含めて全コンテンツが揃った状態で安価に入手できる今のタイミングは、入門として良い環境とも言える。コミュニティのModも充実しており、公式コンテンツを遊び尽くした後もModで新しい体験ができる環境が整っている。

ただし全員に向いているわけではない。リアルタイム戦闘に苦手意識がある人、短時間のセッションでプレイしたい人、終盤まで高い緊張感のある展開を求めている人には向かない面もある。終盤のスノーボール問題はシリーズ共通の課題であり、Modを導入してもある程度の緩和に留まる。「得意なシステムとそうでないシステムをどう折り合いをつけるか」という判断を事前にしておくことで、期待値のズレを防げる。それぞれの好みと照らし合わせて判断してほしい。

三国志という物語が持つ「群雄割拠の緊張感」「英雄たちの生き様」「天下統一への道」。それをゲームプレイの文法に変換することに、THREE KINGDOMSは成功している。ターンを終えるたびに「次は何が起きるか」と思わせるゲームデザインは、一度ハマると長い時間を失うことになるが、それだけの価値がある体験だと思う。

最後に、このゲームを一言で表すとするなら「三国志という物語の主人公になれる体験」だ。劉備の苦労も、曹操の野望も、孫権の継承も、自分でボタンを押して判断を下すことで初めて血肉を持った実感として迫ってくる。三国志が好きな人ならほぼ確実に後悔しない買い物になるし、三国志を知らなくても大戦略ゲームとして十分楽しめる。2019年にリリースされてから6年が経ち、今ではゲームの完成度と入手しやすさの両面で、かなり買い時の一作になっている。

「あと一ターンだけ」と思って始めたプレイが、気づいたら夜が明けていた——そういう体験をするゲームの一つとして、THREE KINGDOMSは確かな地位を確立している。積みゲーのリストに眠らせておくには惜しい一本だ。三国志という数千年の物語の重みと、ゲームとして積み上げられた6年間の実績が、このタイトルを今でも色褪せない作品にしている。

Total War: THREE KINGDOMS

CREATIVE ASSEMBLY, Feral Interactive (Mac), Feral Interactive (Linux)
リリース日 2019年5月23日
サービス中
価格¥6,580
開発CREATIVE ASSEMBLY, Feral Interactive (Mac), Feral Interactive (Linux)
販売SEGA, Feral Interactive (Mac), Feral Interactive (Linux)
日本語非対応
対応OSWindows / Mac / Linux
プレイ形式シングル / マルチ
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