「Star Wars Outlaws」ケイとニックスで挑むシリーズ初のOW ACT

スター・ウォーズのオープンワールドゲームが来る、と聞いたとき、正直かなり期待した。あの銀河の片隅で、ジェダイでも反乱軍でもなく、ただの泥棒として生き抜く話なんてそうそうない。主人公のケイ・ベスはライトセーバーを持たない。帝国を倒す使命もない。借金と懸賞金を背負いながら、小動物のニックスと一緒に犯罪組織の隙間を渡り歩く、そういう話だ。

スター・ウォーズのゲームといえば、これまではジェダイが主役のアクションか、宇宙戦闘FPS、あるいはターン制RPGが中心だった。「自分の足でタトゥイーンの砂漠を歩き回り、宇宙港から星空へ飛び出す」という体験は、ゲームとして実現されていなかった。本作がその壁を初めて超えた作品だ。Massive Entertainmentが2020年にLucasfilmへ「スカウンドレル・ファンタジー」のアイデアをピッチし、4年間の開発を経て生まれたゲームである。開発エンジンはThe DivisionシリーズでMassiveが磨き続けてきた自社製のSnowdropで、密集した都市の描写から広大な荒野、そして宇宙空間まで一枚岩のエンジンで支えている。

だがプレイしてみると、2024年8月の発売直後は正直「もう少し何とかならなかったのか」と思う部分が多かった。バグ、パフォーマンス問題、強制ステルスの理不尽さ。これらが積み重なって、初期評価は伸び悩んだ。Metacriticスコア77、Steamのユーザースコアは発売当初5点前後。Ubisoftは「想定より低調」と認め、株価は2015年以来の安値をつけた。

ただし、話はそこで終わらない。Ubisoftの開発チームはパッチを重ね、2024年11月のTitle Update 1.4で大規模な改修を実施した。Steam版もこのタイミングで遅れて登場。さらに2024年11月にはDLC「Wild Card」(ランド・カルリッシアン登場)、2025年5月にはDLC「A Pirate’s Fortune」(ホンドー・オナカ登場)が配信され、コンテンツとしても充実している。今この記事を読んでいるあなたが初めて触れるなら、発売直後とはかなり違うゲームになっている。改善後の体験と、それでも残る課題の両方を正直に書いておく。

この記事を読んでほしい人
・スター・ウォーズの世界観が好きで、ゲームとして遊べるか気になっている人
・発売時の不評を聞いて購入をためらっている人
・UbisoftのオープンワールドACTに慣れているが、本作が気になる人
・ジェダイではなく「アウトロー」視点のSWストーリーに興味がある人

公式ゲームオーバービュートレーラー

Star Wars Outlaws: Official Game Overview Trailer | Ubisoft Forward

目次

基本情報

項目 内容
タイトル Star Wars Outlaws(スター・ウォーズ 無法者たち)
発売日 2024年8月30日(PC/PS5/Xbox)、2024年11月21日(Steam)
開発 Massive Entertainment
販売 Ubisoft
使用エンジン Snowdrop
ジャンル オープンワールドアクションアドベンチャー
舞台・時代 帝国の逆襲〜ジェダイの帰還の間(エピソードV〜VI)
主人公 ケイ・ベス(Kay Vess)&相棒のニックス
日本語対応 字幕あり(日本語音声なし)
メタスコア 77(PC版)
Steam評価 やや好評(2024年11月〜2025年)
DLC Wild Card(2024年11月21日)、A Pirate’s Fortune(2025年5月15日)

Star Wars Outlaws ケイとニックスのキービジュアル

スター・ウォーズ史上初のオープンワールド:何が新しかったのか

Star Wars Outlaws カンティーナ内部の賑やかな酒場シーン

スター・ウォーズのゲームの歴史は長い。1977年のAtariアーケードゲームに始まり、Dark Forces、Knights of the Old Republic、Battlefront、Jedi: Fallen Orderと時代ごとに名作が生まれてきた。しかしその全てに共通していたことがある。「惑星をまたいで自由に歩き回るオープンワールド」が存在しなかったことだ。

Jediシリーズ(Fallen OrderとSurvivor)は素晴らしい作品だが、リニア構造のメトロイドヴァニア的設計だ。BattlefrontシリーズはマルチプレイヤーFPS。Knights of the Old Republicはターン制RPG。どれも一定の「枠」の中でスター・ウォーズを体験するゲームだった。

本作はその枠を外した。惑星をまたいで自由に飛び回り、街を歩き回り、酒場で情報を集め、砂漠をスピーダーで疾走し、宇宙空間でドッグファイトをこなす。これが全部シームレスにつながっている。宇宙港から直接宇宙へ出られる移行のスムーズさは、初めて体験したとき「ああ、これをずっと待っていた」と感じさせてくれた。

探索できる惑星は4つ。タトゥイーン、アキバ、キジミ、そしてMassive EntertainmentとLucasfilm Gamesが共同で新たに作り起こしたトーシャーラだ。トーシャーラはアフリカのサバンナ——具体的にはタンザニアの景観——をモチーフにした新惑星で、広大な草原と断崖絶壁が広がる。スター・ウォーズのファンには馴染みのない惑星だが、独自の美しさがある。

それぞれの惑星には独自の気候、建築様式、文化、そしてそこに暮らすエイリアンたちがいる。タトゥイーンの砂漠では、遠くに二つの太陽が沈む。キジミの夜の路地は薄暗く、雪とネオン看板が混在している。アキバの熱帯ジャングルには廃棄された帝国軍の残骸が眠っている。歩き回るだけで「ここはスター・ウォーズの世界だ」という感覚が持続する。

Massive EntertainmentはこれをSnowdropエンジンで実現した。Snowdropは2009年から開発が始まり、Tom Clancy’s The Divisionで初公開されたUbisoftの自社エンジンだ。密集した都市の描写、広大な景観、そして宇宙探索——この3つのデザイン要素を同時に支えるためにエンジンを大幅に拡張した。RTX Direct IlluminationとDLSS Ray Reconstructionへの対応もSnowdropで実現している。

「スター・ウォーズのテーマパークに入ったような没入感。タトゥイーンの空気感を自分で感じられるゲームは他にない。世界観の作り込みという意味では、本作は本当に別格だと思う」

出典:Steamユーザーレビュー

Star Wars Outlaws 惑星タトゥイーンの砂漠

Massive Entertainmentはなぜ「スカウンドレル(無法者)」を選んだのか

Massive Entertainmentはスウェーデン・マルメに拠点を置くスタジオで、The Division 1・2の開発で知られる。軍事的なカバーシューターを得意としてきたスタジオが、なぜスター・ウォーズのオープンワールドを?と思う人もいるかもしれない。

2020年、Massiveはこの企画をLucasfilm Gamesにピッチした。コンセプトは「スカウンドレル・ファンタジー」——ジェダイでも英雄でもなく、銀河の裏側を生きる小悪党の物語だ。ルーク・スカイウォーカーでもダース・ベイダーでもない、ハン・ソロ的な視点からスター・ウォーズを描く。このコンセプトがLucasfilmに刺さり、開発がGOとなった。

ピッチが通ったときからゲーム公開まで約4年。The Divisionで磨いたオープンワールド設計の技術と、スター・ウォーズというIPの力を掛け合わせた本作は、スタジオとして新しい挑戦でもあった。The Divisionはカバー射撃とビルドが中心のゲームだが、本作はステルス、探索、キャラクターとの駆け引き、宇宙旅行まで含む多層的なデザインが求められる。

その結果生まれたのが、本作の複雑な評価だ。世界観の再現はできた。ケイとニックスというキャラクターも好評を得た。しかし、ゲームプレイのバランスと最適化において、発売時点での詰めの甘さが顕著に出てしまった。

主人公ケイ・ベスとニックス:ジェダイではないSWの主人公

Star Wars Outlaws ケイ・ベスが惑星の絶景をバイクで見渡す

ケイ・ベス(Kay Vess)は、カント・バイトのスラム街育ちのスリ師だ。カント・バイトといえば「最後のジェダイ」に登場したカジノ惑星で、一見華やかな場所だが、その裏側には劣悪な労働環境で働く人々がいる。ケイはそのスラム側出身だ。声を担当したのはコロンビア・カナダ出身の女優Humberly González(ウンベルリー・ゴンサレス)で、英語版ではケイのたくましさと脆さの両面を見事に演じている。

ライトセーバーは持たない。フォースも使えない。彼女が持っているのは、状況を読む目と、ニックスという相棒と、ブラスター一丁だけだ。これが本作を他のSWゲームと根本的に異なるものにしている。

ニックスはマーコール(Merqaal)という新種族で、Massive EntertainmentとLucasfilm Gamesが共同で生み出した新キャラクターだ。小さくてすばしっこいこの生物は、ケイの指示でボタンを押したり、アイテムを遠くから回収したり、敵の注意をそらしたりしてくれる。戦闘では敵の武装解除に使えるし、特定の情報収集にも活躍する。

言葉を話さないのに、ニックスの感情がちゃんと伝わってくる。危険なときに縮こまる仕草、ケイへの信頼を示すときの行動。小動物をここまで魅力的に描けたのは、Massiveの動物AIとアニメーション技術の賜物だ。プレイヤーの中には「ニックスへの愛着がこのゲームをクリアさせてくれた原動力だった」という声も多い。

「ケイとニックスのコンビが本当に好きになった。言葉を交わさなくてもニックスの動きで気持ちが伝わってくる。危険なシーンでニックスを守ろうとする自分に気づいて、この二人のために最後まで遊べた」

出典:note ユーザーレビュー

ストーリーはこうだ。ケイが犯罪シンジケート「ゼレク・ベシュ」に口答えしてしまい、懸賞金をかけられる。その懸賞金を消すため、そして自由になるため、ケイは複数の犯罪組織の依頼をこなしながら謀略の渦中に飛び込んでいく。帝国とシンジケートの両方を欺き、裏切り、利用しながら生き延びる、というかなりアウトローらしい話だ。

時代設定はエピソードVとVIの間——「帝国の逆襲」と「ジェダイの帰還」の間の時期だ。ルークがダース・ベイダーとの対決に向かっている裏側で、ケイはシンジケートの抗争に巻き込まれている。同じ銀河の、全く異なる側面だ。

ケイがジェダイでないことで、スター・ウォーズのメインラインが描いてこなかった「銀河の裏側」が見えてくる。ジャバの手下が屯する酒場の空気。帝国軍の末端兵士がいかに腐敗しているか。シンジケート同士の縄張り争い。こうした銀河の「日常」をのぞき見る体験は、本シリーズ映画を補完する視点として面白い。

「ケイのキャラクターが想定より深かった。最初は薄いヒロインかと思ったが、話が進むにつれて彼女の動機と成長がちゃんと描かれていて、クリア後には愛着が湧いていた」

出典:Steamユーザーレビュー


Star Wars Outlaws ケイとニックスのシーン

ゲームプレイの全体構造:何をやるゲームなのか

Star Wars Outlaws ケイとNixが廃墟でドロイドと戦闘する場面

本作は「オープンワールドアクションアドベンチャー」というジャンルに分類されるが、具体的に何をするゲームなのかを整理しておく。

基本的な流れはこうだ。メインクエストを進めながら、各惑星でサブクエストやシンジケート絡みの依頼をこなし、素材を集めてケイのブラスターやスピーダー、宇宙船「トレイルブレイザー」をアップグレードしていく。探索でお金を稼ぎ、装備を強化し、新しいエリアに挑む——典型的なUbisoft式オープンワールドの骨格だ。

スキルシステムは少し変わっている。通常のスキルツリーではなく、「エキスパート」と呼ばれるNPCを世界各地で見つけ、彼らと交流したり条件をこなしたりすることで新しいスキルを習得する仕組みだ。スリの腕を磨くためにはプロのスリ師を探し、ハッキングを覚えるためには技術者と連絡を取る。スキルツリーをポイントで買っていく一般的なシステムより、世界との関わりが深まる設計だ。

ただし、本作の「装備」は他のオープンワールドRPGに比べると薄い。武器はブラスターのみ(アップグレードで性能変化)。ピックアップ武器は戦闘中に一時的に使えるが、持ち歩けない。防具の概念もない。「装備を集めて強くなる」という要素は最小限で、進歩はむしろ「ニックスに特定の行動を教えるトリーツ(おやつ)」や「スピーダーの走破性向上」といった形で実感する。

武器への期待が高いプレイヤーほど「物足りない」と感じる設計だ。実際これも批判点として多く挙がっていた。「なぜブラスター一丁しか装備できないのか」「武器コレクションの楽しみがない」という声は発売後すぐに集まった。

Star Wars Outlaws ケイのアクションシーン

シンジケートシステム:面白い発想だが、詰めが甘かった

Star Wars Outlaws ケイとNixがストームトルーパーの前を歩くシーン

本作最大の独自要素として「シンジケートシステム」がある。銀河を牛耳る4つの犯罪組織——クリムゾン・ドーン、パイク・シンジケート、ハット・カルテル、ゼレク・ベシュ——それぞれとの「評判(Reputation)」を管理しながらゲームを進める仕組みだ。

評判には段階がある。好意的な関係を築ければ、そのシンジケートの縄張り内を安全に移動でき、特殊な武器モジュールや情報へのアクセスが開く。逆に評判を下げると、その組織のメンバーに見つかったとき即座に攻撃される。また、一つの組織の依頼を受けることが別の組織の評判を下げることもある。

発想は面白い。「全員の友達にはなれない」という構造は、アウトローとして生きる現実感を演出するためのものだ。クリムゾン・ドーンの仕事を引き受ければパイク・シンジケートとの関係が悪化する——そういった緊張関係が生まれるはずだった。

しかし、プレイしてみると問題が見えてきた。

「派閥システムが最初は面白いと思ったんだけど、実際には「評判を下げたくない」というプレッシャーが強すぎて、探索や戦闘を避けるプレイになってしまう。犯罪者が評判を気にしてビクビクしながら動くのは、ゲームとして正しいのか少し疑問だった」

出典:ゲームはらわた ブログレビュー

この感覚は多くのプレイヤーが共有していたようだ。「ゼレク・ベシュのメンバーがいる場所で戦闘を起こすと評判が落ちる→でも攻略上そこを通らないといけない→でも評判が落ちる」というジレンマが生じる。結果として、評判システムが「自由度を広げるもの」ではなく「行動を縛るもの」として機能してしまっていた。

評判の上下による変化が劇的なわけでもないため、「あまり大きな意味を持たないのに、ペナルティだけは厳しい」という印象を持ったプレイヤーも多かった。「せっかくのアウトロー設定なのに、縄張りを意識してお行儀よく動いてしまう」という逆説がある。

このシステムに関してはTitle Update 1.4後も根本的な変更はなく、本作のデザイン上の課題として残っている。より踏み込んだ選択肢——例えば「あえて組織を裏切る」「二重スパイとして両方を利用する」といった展開があれば、シンジケートシステムは本作の看板要素になれたはずだ。

多彩なミニゲームと小さな楽しさ

本作の意外な長所として、ミニゲームの充実がある。開始から1時間以内に、ロック解除ミニゲームが2種類、ファシア(スター・ウォーズの競馬的な動物レース)の賭けゲーム、そしてサバックカードゲームが登場する。

サバックは「スター・ウォーズ」世界のカードゲームで、ハン・ソロがミレニアム・ファルコンを賭けて遊んでいたあれだ。本作で採用されているのは「ケッセル・サバック」と呼ばれるルールで、手札の管理と「シフト・トークン」と呼ばれる特殊効果カードを使った読み合いが楽しい。Wild CardのDLCはこのサバックトーナメントを中心に展開されるほど、ゲームの中でも力を入れた要素だ。

スイープレーシング(スピーダーバイクレース)も実装されており、スター・ウォーズファンには「Knights of the Old Republicのスウープレースが戻ってきた」と感じさせてくれる。ミニゲームのひとつひとつが「スター・ウォーズの世界を深掘りする体験」として機能しており、メインクエストとは別の楽しみとして機能している。

ハッキングや金庫解除のパズルも本作の探索に散りばめられている。クレイヤ(Keyrune)と呼ばれるツールを使って施錠されたドアや端末にアクセスするシーンは、本作のプレイリズムに変化を加えている。難易度はそこまで高くないが、雰囲気づくりに貢献している。

発売時の最大の問題:強制ステルスと調整不足の戦闘

Star Wars Outlaws 岩場で敵に銃を向ける戦闘シーン

発売直後にプレイヤーが最も声を上げた問題が、強制ステルスだった。多くのミッションで「敵に見つかったら失敗」という条件が課されており、ちょっとしたミスで何度もやり直しを強いられた。

しかも、そのステルスの精度が微妙だった。ゲームウォッチのレビューでは「ステルスのAI設計に一貫性が欠けており、どこで見つかったのかわからないまま失敗するケースが多い」と指摘されている。壁の向こうから視線が通ったのか、足音で気づかれたのか、ゲーム内のフィードバックが不明瞭なまま失敗画面が出る——これが積み重なると相当なフラストレーションになる。

「ステルスがかなりシビア。一瞬視界に入っただけで警戒状態になり、死体を隠さないと延々と調査状態が続く。ミッション目標が強制ステルスなのに、AIの反応が理不尽で、何が悪かったのかわからないまま失敗することが頻発した」

出典:4Gamerユーザーレビュー

また戦闘自体も、発売時点では調整が不十分だった。ケイのブラスターは射撃感が軽く、敵の弱点もなく、取得した武器をすぐに手放さなければならない仕様もあり、戦闘の手応えが薄かった。カバーシューターとしての動作も、The Divisionと比べると鈍く感じる場面があった。

これらに加えて技術的な問題も重なった。進行不能バグが発売直後から複数報告され、特に終盤のラストボス戦後にゲームが進まなくなるバグは多くのプレイヤーを悩ませた。セーブできなくなるバグ、イベント会話中にキャラクターの首が不自然に動くバグ、ファストトラベル後のクラッシュなども報告された。

こうした問題が積み重なって、発売直後のユーザースコアはMetacriticで5点前後。開発チームのクリエイティブディレクターであるJulian Gerighty氏は「少しがっかりしている」と率直にコメントした。Ubisoftも公式に「売上は想定より低調」と認め、Steam版発売を11月に前倒しした。

発売直後に特に問題だった点
・ほぼ全クエストに強制ステルス条件がついており、見つかったら即失敗
・ステルスAIの判定が不明瞭で理不尽な失敗が多発
・終盤の進行不能バグ(ラストクエスト)
・AMD GPU環境でのパフォーマンス低下(最低設定でも30fps以下に)
・戦闘の手応えが薄く、ブラスターの射撃感が重くない

PCパフォーマンス問題:特にAMDユーザーへの影響

本作はレイトレーシング(RT)がデフォルトで有効になっており、これが発売直後の最大の問題のひとつだった。RTXシリーズのNvidia GPUでは比較的安定して動作したが、AMD GPUユーザーからの報告は深刻だった。

Radeon RX 6800程度のミドルハイGPUでも、最低設定・1080pで平均30fps前後になるケースが報告された。SnowdropエンジンのRTX Direct Illumination実装がNvidiaとの協力で最適化されていたため、AMDの対応が後手に回った形だ。

その後のパッチでAMD環境での最適化が進み、現在は改善されているが、発売当初にAMD GPUで遊んだプレイヤーの体験は決して良いものではなかった。RTをオフにできないゲームで、そのRT実装が特定のGPUで著しく重い——Ubisoftの品質管理への疑問が多くのプレイヤーから上がった。

Ubisoft ConnectとSteamの両方に対応しているが、Steam版でもUbisoft Connect経由の起動が必要になる点は、Ubisoftの全作品に共通する仕様だ。これ自体は本作固有の問題ではないが、PC版の使い勝手として把握しておく必要がある。

「PCのパフォーマンスは最初本当にひどかった。Ryzen 7+RX 6800でもフレームが安定しなかった。今は大分マシになったが、発売日組はいい思い出がない」

出典:ResetEra PCパフォーマンス討論スレッド

Steam版遅延問題:なぜ発売から3ヶ月後になったのか

PC版の話で避けて通れないのが、Steam版の遅延だ。本作は2024年8月30日にUbisoft Connect(PC)、Epic Games Store、PS5、Xboxで発売されたが、Steamでの販売開始は11月21日——3ヶ月後だった。

これはUbisoftの戦略的な判断だったが、裏目に出た部分も大きい。Ubisoftは独自ストアのUbisoft ConnectとEpic優先でリリースするのがこの時期の方針だったが、Steamのユーザーベースを逃したことで初期売上が想定を下回り、販売不振が表面化した。

Ubisoftが11月のSteam同時リリースを発表したとき、内部ではそのタイミングを前倒しにした理由として「予想より低調な売上」を挙げている。PCGamerなど海外メディアはこれを「Ubisoftの方針転換の象徴」として報じた。実際、Ubisoftはこの時期に株価が2015年以来の安値をつけ、複数のプロジェクトの見直しを迫られていた。

Steam版が登場したときの同時接続数は最大834人——Steam上でAAA新作として見れば記録的に低い数字だ。ただしこのときすでにTitle Update 1.4も同時配信されており、Steam評価は「やや好評」でスタートした。タイミングを重ねたことで、改善済みの状態でSteam評価が積み上がったという側面もある。

本作の教訓として、Ubisoftはその後のタイトルについてEpic独占を短縮・廃止する方向に舵を切ったとも報じられている。一本のゲームの失敗がプラットフォーム戦略を変えた、という意味でも本作は業界的に興味深いケースだ。

Title Update 1.4:最大規模の改修で何が変わったか

Star Wars Outlaws ケイが夜の犯罪都市でロープを使い侵入する

2024年11月21日、Steam版と同日リリースされたTitle Update 1.4は、発売以来最大規模の改修だ。「これが本来の姿だったはず」という声が多数出たほど、変化の幅は大きかった。

最も大きな変更点は強制ステルスの撤廃だ。ほぼ全てのクエストから「見つかったら失敗」という強制ステルス条件が削除された。見つかった場合はシームレスに戦闘へ移行できるようになり、「ステルスを選ぶことも、正面突破を選ぶことも、プレイヤーの判断に委ねる」設計に変わった。これは根本的な改修であり、ミッション構造の作り直しを伴う大仕事だ。

探知システムも改良された。検知されそうなとき事前に通知が来るようになり、プレイヤーが状況を判断して「このままステルスを続けるか、戦闘に切り替えるか」を選べるようになった。「どこで見つかったかわからない」という発売時の不満への直接的な回答だ。

戦闘も見直された。ケイのブラスターが再調整されて射撃感が向上し、敵の弱点(ウィークポイント)が追加された。狙い撃ちすると爆発が起きたり、敵が派手に倒れたりといった演出も加わり、戦闘のリズムが改善された。ピックアップ武器を長く持ち続けられる仕様変更も行われ、「すぐに武器を捨てなければならない」という不満も解消された。

敵AIも改良され、より賢く、よりフェアな反応をするようになった。弱点に攻撃が決まると連鎖爆発が起きる演出は、それまで薄かった戦闘に爽快感をもたらした。

ビジュアル面でもアップデートが入った。顔のアニメーションと表情が改善され、会話シーンがより自然になった。解像感を上げるビジュアルオプションも追加され、特に鮮明なイメージを好むプレイヤー向けの設定が加わった。

「1.4パッチ後にプレイしたが、発売当初と比べると別ゲーのように改善されている。強制ステルスが消えて、戦闘をガンガンやってもクリアできるようになった。ストーリーは最初から良かったので、これで純粋に楽しめるようになった」

出典:Steamユーザーレビュー

タイトルアップデートはその後も1.5、1.6と続き、細かなバグ修正とバランス調整が継続的に行われている。Massive EntertainmentはTitle Update 1.4以降も「サポートを続ける」と公言しており、改善の意志は評価できる。

世界観の作り込みと探索の楽しさ:本作の真骨頂

Star Wars Outlaws ケイがバイクで惑星の草原を疾走する

批判を一通り書いたが、本作が獲得した高い評価の部分もきちんと伝えたい。まず、世界観の作り込みは本物だ。

タトゥイーンの砂漠を歩くと、遠くに二つの太陽が沈む。キジミの夜の路地は薄暗く、ネオン看板と雪が混在している。アキバの熱帯ジャングルには廃棄された帝国軍の装備が眠っている。惑星のひとつひとつに個性があり、歩き回るだけで「ここはスター・ウォーズの世界だ」という感覚が持続する。

Massiveはエンジン能力を惜しみなく使い、各惑星の気候、植生、建築スタイル、そこに生息するエイリアンの種族まで作り込んでいる。バーのカウンターで隣に座っているNPCがどんな生き物かをじっくり眺め、メニューを適当に注文しながら情報を集める。その「旅人としての時間」を楽しめるか否かが、本作の評価を分ける一点でもある。

街の作り込みは特に評価が高い。タトゥイーンの旧市街、アキバの科学コロニー、キジミの犯罪者街。それぞれに独自の匂いがある。NPCたちが会話し、商売をし、争い、日常を生きている。「ゲームのためのハリボテ」ではなく、「人が暮らしている場所」に見えるのは、Massiveが細部まで設計に神経を使った証だ。

「スター・ウォーズのテーマパークにいるような感覚。正直ゲームとしての出来はUBIの平均点という感じだが、この世界観を自分で歩き回れるという体験は代えがたい。タトゥイーンの空気感を自分で感じられるゲームは他にない」

出典:Steamユーザーレビュー

宇宙空間の飛行も本作の要素のひとつだ。惑星から直接宇宙へ飛び立てるシームレスな移行は、ファンが長年望んでいた体験だ。宇宙港を離陸し、大気圏を突き抜け、軌道上に出るまでのシーケンスは毎回「おお」と感じさせてくれる。

宇宙空間ではドッグファイト(宇宙戦)もある。ただしこちらは比較的シンプルな設計で、本格的な宇宙戦闘シムを期待すると物足りなさを感じる。The Divisionのカバーシューターから来た開発陣の宇宙戦闘への習熟度という意味では、「最初の試み」として合格点は出せるが、次作への課題でもある。

Star Wars Outlaws キジミの街並み

本作が「Ubisoftフォーミュラ」から抜け出せなかった部分

本作への批判で繰り返し出てくる言葉が「Ubisoftフォーミュラ」だ。アサシンクリードやFar Cryで磨いてきたUbisoftのオープンワールド設計——探索ポイントを収集し、マップを埋め、拠点をクリアしていく——その構造が本作にも色濃く残っている。

コレクション要素、サブクエスト、スキルツリー(エキスパート方式だが本質は同じ)。悪くはない。ただ、スター・ウォーズという特別な舞台に、何年も前から変わらないオープンワールドの骨格が乗っかっている、という印象はぬぐいきれない。

「ゲームとして新しいことをやっているわけではない。Ubisoftが得意なことをスター・ウォーズの舞台でやっている、というのが正直な感想。それを楽しめるかどうか、という話」

出典:ゲームはらわた ブログレビュー

オープンワールドの「広さ」に対して「深さ」が追いついていない、という批判も多かった。惑星が広いわりに、やれることのバリエーションが限られる。探索を重ねても「また同じようなミッション」という感覚が出てくる中盤以降に、少し息切れする。

RPG要素の薄さも指摘されている。武器がブラスター一本に固定され、防具の概念もなく、経験値で強くなる感覚も薄い。探索と戦闘に報酬感が乏しく「探索して強くなる」サイクルが機能しにくい。戦いに勝っても「ならなぜ戦ったのか」という感覚が残ることがある。

ただし、これをUbisoftの前作・前々作と比較すると、本作は一定の進歩もしている。シンジケートシステムの試み、ケイとニックスの二人三脚システム、惑星間のシームレス移動、こうしたことはUbisoftが新しいことへ踏み出そうとした跡だ。評価されなかったとしても、その挑戦を無視するのは正直ではないと思う。

DLC「Wild Card」:ランド・カルリッシアンとサバックトーナメント

2024年11月21日、Title Update 1.4と同日にリリースされたDLC「Wild Card」。ケイが銀河随一の高額サバック(スター・ウォーズ版ポーカー)トーナメントに潜り込む話で、そこでランド・カルリッシアンと出会う。

ランド・カルリッシアンといえば、映画「帝国の逆襲」「ジェダイの帰還」でビリー・ディー・ウィリアムスが演じた、口八丁のスムーズトーカーだ。本DLCでの登場はファンには堪らない。プレイヤー自身もサバックを使った腹の探り合いに巻き込まれながら、月をまるごと賭けたトーナメントを勝ち抜いていく。

プレイ時間は約10時間。本編のシステムをそのまま使いながら、新しいエリアとクエストが追加される構成だ。本編の緊張感よりも、サバックとランドの軽妙なやり取りを楽しむテイストが強い。

「Wild CardはDLCとしてしっかり楽しめる。ランドの出番が多く、彼の軽口と小賢しさがいい意味でケイとぶつかる。本編が楽しめた人なら確実に遊ぶ価値がある」

出典:Mynock Manor レビュー(英語メディア)

本編の強制ステルス問題を改善した後にリリースされたこともあり、Wild CardはGameindustry.comから「All Aces(最高評価)」を獲得するなど、本編より高い評価を得た。「本編の問題が解決された後に、純粋に面白い話が追加された」というタイミングの良さも評価に影響している。

DLC「A Pirate’s Fortune」:2025年5月、ホンドー・オナカが主役

2025年5月15日に配信されたDLC2弾「A Pirate’s Fortune」では、アニメシリーズ「クローン・ウォーズ」「反乱者たち」から人気キャラクター、ホンドー・オナカが登場する。アニメ版の声優ジム・カミングスが引き続きボイスを担当しており、ファンには馴染み深いキャラクターだ。

ホンドーはスター・ウォーズ世界で最もキャラクターの立った海賊のひとりだ。敵にも味方にも二枚舌で接し、状況に応じてあっさり裏切り、それでいてどこか憎めない。ケイのアウトロー気質と組み合わさると、なかなか面白い化学反応が起きる。

プレイ時間は約5時間とWild Cardより短め。ただし新しいロケーション、新しい船、新しいコントラクトシステムが追加されており、ゲームとしての肉付けはWild Cardより充実している。

「ホンドーがいいキャラクターすぎる。メインゲームより短いがホンドーとの掛け合いが良く、彼に会うためだけでも価値があった。スター・ウォーズのキャラクター好きなら損はしない」

出典:Star Wars News Net レビュー(英語メディア)

SteamのDLCレビューでは54%が好意的と、Wild Cardほど一致した評価ではない。ただしこれはホンドーを知らない層(アニメ未視聴)と知っている層でかなり評価が割れているためで、アニメシリーズのファンにとってはより高い満足度になりやすい。

発売時の評価低迷:Ubisoft経営への影響

一本のゲームがここまで会社に打撃を与えることになるとは、Ubisoftも予測していなかっただろう。本作の販売不振は、Ubisoftの経営的な苦境と重なる形で語られた。

Ubisoftはこの時期、複数タイトルの延期・キャンセルによって4年間のキャッシュフローがマイナスになっており、本作に経営回復の期待をかけていた。しかし発売約1ヶ月後の時点で100万本の売上にとどまり(Assassin’s Creed Mirageが3ヶ月で500万本だったことと対比された)、「想定を大幅に下回る」と決算で発表した。

株価はこれを受け2015年以来の安値に落ち込んだ。年初来で30%以上の下落という状況の中、Ubisoftはコスト削減とプロジェクトの選択集中を迫られた。本作1本の失敗がここまで大きく波及したのは、Ubisoftがそれだけ本作に依存していたからでもある。

これは本作の内容とは別の話だが、「なぜこの状態で発売したのか」を考えるひとつの文脈になる。発売時に完成度が足りなかった原因の一部には、商業的な期待とスケジュールのプレッシャーがあっただろう。ゲームの中身の批評と、それを生んだ産業構造への理解は、両方必要だと思う。

本作の経緯は、AAAゲーム開発の構造的な問題を改めて浮き彫りにした。IPを持つ大型タイトルへの過剰な商業的期待、Epic/自社ストア独占による初期リーチの制限、そして発売品質の不十分さがそのまま公表される現代のゲーム市場の残酷さ。どれかひとつが違えば、本作の評価の歴史はもう少し穏やかなものになっていたかもしれない。

それでも、Massiveの開発チームが発売後に諦めず大型アップデートを出し続けたことは評価したい。Title Update 1.4の規模感は「これを最初から出せていれば」と思わずにはいられないが、出さなかったわけではない。プレイヤーの声を聞き、実際にゲームを作り直すだけの意志と能力がチームにあったことは、次回作への期待につながる。

改善後のプレイヤーたちの声

「発売当初に酷評していた人の多くはリリース直後の状態を語っているのだと思う。1.4以降なら普通に楽しめるゲームになっている。スター・ウォーズのファンなら特に」

出典:Steamユーザーレビュー

「世界観は本当によく作られている。タトゥイーンの夕日を見るためだけでも遊ぶ価値があった。ゲームとしての評点は人それぞれだが、星ウォーズの世界を歩ける体験は他にない」

出典:Steamユーザーレビュー

「シンジケートシステムが機能しきれていないのが惜しい。もっと踏み込んだデザインにすれば、本当に「アウトロー」らしい複雑な選択が生まれたはずなのに」

出典:オープンワールド研究部 レビュー

「コソ泥から始まって裏社会に名を馳せる大物へと成長する、良い意味での王道なストーリーは、スター・ウォーズを知らなくても楽しめる物語設計になっていた」

出典:GAME Watchレビュー

「RPG的要素が少なすぎる点だけが残念。武器はブラスター一本のみで、装備を集めて強くなる喜びがなかった。その分ゲームがシンプルになっているとも言えるが、もう少し成長要素が欲しかった」

出典:Steamユーザーレビュー

ストーリーの流れとボリューム感:メインで30時間、サブまで入れると40時間以上

本作のクリア時間はプレイスタイルによって大きく変わる。メインクエスト中心に一直線で進めれば20〜30時間程度。サブクエストやシンジケート絡みの依頼、コレクション要素を半分ほどこなすと40時間前後が目安だ。コンプリートを目指すなら60時間以上かかるプレイヤーもいる。

ストーリーの流れとして、序盤は惑星ごとの探索に新鮮さがあり、新しい惑星に降り立つたびに「どんな街があるんだろう」という期待感が続く。中盤はシンジケートの依頼が増え、複数の組織の間を渡り歩きながらケイの目的に近づく展開だ。後半はメインクエストの密度が増し、物語の収束に向けてテンポが上がる。

評価が割れるのが中盤以降のペース配分だ。序盤の「新惑星に行く楽しみ」が一巡すると、サブクエストの構造的な繰り返しが目立ち始める。前述の「Ubisoftフォーミュラ」の問題がここで顕在化する。「前半3惑星まではワクワクが続いたが、後半は惰性になった」という声も少なくない。

ただしメインストーリーの最終盤は、それまでの伏線が回収され、ケイとニックスの関係が完成に向かうという意味で評価が高い。「ストーリー自体は最後まで楽しめた。問題はその周辺のゲームプレイ設計だった」という声が多いのは、本作の評価の構造を正確に示している。

プレイ時間の目安
・メインクエスト一直線:20〜30時間
・サブクエスト・シンジケート依頼も半分こなす:40時間前後
・DLC Wild Card追加:+10時間
・DLC A Pirate’s Fortune追加:+5時間
・コンプリート目指す場合:60時間以上

スター・ウォーズのファンにとっての本作:知識があるほど楽しめる

本作の評価は「スター・ウォーズのファン度合い」によってかなり変わる。映画を全部見ていて、クローン・ウォーズやマンダロリアンなどの派生作品も押さえているプレイヤーと、スター・ウォーズをほぼ知らないプレイヤーでは、体験の密度が違う。

タトゥイーンに降り立ったとき、映画を見ている人は「あそこがアンカーヘッドか」「ジャバのパレス近くじゃないか」と感じながら歩ける。キジミの街を走りながら「ライズ・オブ・スカイウォーカーで見た場所だ」と気づく。ゲーム世界の各所に映画・アニメのリファレンスが散りばめられており、それを「拾う」喜びがある。

Wild CardのDLCでランド・カルリッシアンが登場したとき、映画ファンは彼のキャラクター性を知っているから反応が違う。「このしたたかさと口八丁、まさにランドだ」という楽しみ方ができる。A Pirate’s Fortuneのホンドー・オナカについても同様で、クローン・ウォーズを見ていれば「あのホンドーが帰ってきた」という感動がある。

逆に言えば、スター・ウォーズの予備知識がないと、「これが有名なキャラクターなのか」という文脈がわからず、NPCに感じるはずの重みが薄くなる。ゲーム単体のストーリーとしては成立しているが、IPの文脈を使い倒した作りになっている分、ファン向けのゲームと言い切ってしまう方が正直だ。

「スター・ウォーズをあまり知らない状態でプレイしたが、ケイとニックスのストーリーは純粋に楽しめた。ただし細かいリファレンスはほぼわからなかった。知っていたらもっと楽しかったんだろうなと思う」

出典:Steamユーザーレビュー

宇宙空間コンテンツの「薄さ」:地上と宇宙のバランス問題

本作が「スター・ウォーズ初のオープンワールド」として謳ったとき、多くのプレイヤーが期待したのは「銀河を自由に飛び回れる」体験だった。惑星間を自由に行き来し、宇宙ステーションに立ち寄り、ドッグファイトをこなし、宇宙空間にも濃密なコンテンツがある——そういうビジョンを想像したプレイヤーは多かった。

実際には、宇宙空間のコンテンツは地上に比べてかなり薄い。宇宙に出ると、立ち寄れるのはごく限られた宇宙ステーションと基地のみ。自由に飛び回れるとはいえ、「宇宙に出てやれること」の密度が地上と比べると低い。惑星間の移動は基本的にメニュー操作で完結し、宇宙を航行する時間自体も短い。

JJ PCゲームラボのレビューでは「UBI地上主体オープンワールド・アクションADV。世界観や街の作り込みは良いが、宇宙&要素の少なさが目立つ」と的確に指摘されている。このゲームは地上探索のゲームであり、宇宙はあくまで「惑星間の移動手段とドッグファイトのステージ」という位置付けだ。

宇宙戦闘(ドッグファイト)自体のゲームデザインも、Squadrons(スター・ウォーズの本格宇宙戦闘ゲーム)と比べれば明らかに薄い。敵の動きを追いながらブラスターを撃つシンプルな操作で、深みはない。エンカウントをこなす感じで、緊張感のある宇宙戦は期待しない方がいい。

宇宙コンテンツへの期待値を下げておくことが、本作を楽しむ上での重要な心構えだ。「スター・ウォーズのオープンワールドを地上で体験するゲーム」という認識でプレイすると、失望が少ない。

Star Wars Outlaws 宇宙空間とトレイルブレイザー

メディアレビューと実際のプレイヤー評価のギャップ

本作は「批評家スコアとユーザースコアのギャップ」が注目された作品でもある。Metacriticでの批評家スコアは77(PC版)で、「概ね好評」の範囲に収まっている。しかし発売直後のユーザースコアは5点前後と、大きな乖離が生じた。

なぜこのギャップが生まれたのか。いくつかの要因が考えられる。

ひとつは、批評家レビューが発売前の優先プレイ版(早期アクセス)を元にしている場合があること。パフォーマンスの問題やバグが少ない環境で遊んだ批評家と、発売日に製品版を買ったユーザーでは体験が異なることがある。

もうひとつは、「スター・ウォーズ」というIPへの期待値の問題だ。批評家はゲームをゲームとして評価するが、ユーザーは「スター・ウォーズのゲームとして期待していたもの」との落差で評価する。期待値が高かったぶん、落差が大きかった。

そしてレビュー爆撃(Review Bombing)の問題もあった。本作は発売直後、ゲームの内容とは無関係の政治的・文化的理由でネガティブレビューが集中した時期があり、Gamereactorはこれを「憤慨したゲーマーによるレビュー爆撃」として報じた。こうした声は実際のゲーム評価とは切り分けて考える必要がある。

Steamのユーザーレビューは、時間が経つにつれて批判的な声と好意的な声のバランスが変わり、Title Update 1.4以降は「やや好評」に落ち着いた。これはパッチによる改善と、初期の過激な批判が落ち着いたことの両方が影響している。

「メタスコア77という数字は、正直このゲームの実態に近い気がする。傑作ではないが、失敗作でもない。特にスター・ウォーズファンなら楽しめる、ちゃんとしたゲームだ」

出典:Steamユーザーレビュー

改善は続いているか:Title Update 1.4以降のアップデート動向

Title Update 1.4が2024年11月に大型改修を実施した後も、Massiveの開発チームはサポートを継続している。1.5、1.6と細かなバグ修正とバランス調整が続けられた。

ただし、Title Update 1.4後の追加改修はあくまで細かな調整が中心で、ゲームの根幹を変えるような変更はない。シンジケートシステムの大幅な刷新、RPG要素の追加、宇宙コンテンツの充実——こうした根本的な課題への対応は行われていない。これらはパッチで解決できる性質の問題ではなく、ゲームデザインの決断として固まったものだ。

A Pirate’s Fortuneのリリース後(2025年5月)の動向についても、Ubisoftは引き続き本作のサポートを続けることを示しているが、大型アップデートの告知は現時点(2026年4月)では出ていない。DLC2本が出揃ったことで、コンテンツ的な大きな追加は一区切りについたとも見られる。

現在プレイするなら、Title Update 1.4以降の状態が前提になるため、発売直後の問題の多くは解消されている。ただし「改善されたがゲームの骨格自体は変わっていない」という点は理解しておく必要がある。

PC推奨スペックと動作環境

Star Wars Outlaws ゲームプレイスクリーンショット

本作をPCで快適に遊ぶために必要なスペックについて触れておく。Ubisoftが公式に示している推奨スペックは以下の通りだ(1080p/60fps目安)。

設定 CPU GPU RAM
最低(720p/30fps) Ryzen 5 1600 / Core i7-6700K RX 5600 XT / GTX 1660 Ti 16GB
推奨(1080p/60fps) Ryzen 5 3600X / Core i7-8700K RX 6700 XT / RTX 2080 16GB
高設定(1440p/60fps) Ryzen 7 5800X / Core i7-12700K RX 6800 XT / RTX 3080 16GB
4K/60fps Ryzen 9 7900X / Core i9-12900K RX 7900 XTX / RTX 4080 16GB

注意点として、本作はレイトレーシング(Ray Tracing)を多用しており、RTを有効にした場合は推奨スペックよりかなり高いGPUが必要になる。RTを切る設定が用意されているが、ゲームのビジュアルは相当変わる。RTあり/なしで全く印象が異なるゲームのひとつだ。

前述のようにAMD GPU環境では発売直後に深刻なパフォーマンス問題があったが、パッチ後は大幅に改善されている。現在ではRX 6800 XT程度あれば1440p/高設定で安定したフレームレートが出る。ただし最新のパッチが当たっているかどうかを確認してからプレイすること。

動作環境の注意点
・レイトレーシング有効時はGPU負荷が大幅に増す。RTを切って遊ぶ選択も有効
・SteamでもUbisoft Connect経由の起動が必要(初回のみアカウント連携が必要)
・AMDユーザーは最新ドライバへのアップデートを確認してからプレイ推奨
・ストレージはSSDを推奨(HDDでのロード時間は長め)

似たゲームを探しているなら

同じく映画IPを舞台に「探索と世界観の没入」を楽しむゲームとして、MachineGamesが作り上げたこちらも外せない。

広大なオープンワールドでの探索を楽しみつつ、複数勢力との関係性管理が好みならこちらも近い体験ができる。

宇宙を舞台にした広大なオープンワールドと派閥関係のシステムという意味では、スペースオペラジャンルの定番と比較してみるのも面白い。

まとめ:「発売日買い」でなければ今が買い時

正直に言うと、本作は発売日に定価で買うゲームではなかった。2024年8月30日にプレイした人は、バグ、強制ステルスの理不尽さ、調整不足の戦闘、AMDユーザーへのひどいパフォーマンスを一身に受けた。その経験は正当に批判されるべきものだ。

ただ、2024年11月以降にTitle Update 1.4を経た状態でプレイする場合、本作はかなり違うゲームになっている。強制ステルスは消え、戦闘は改善され、ビジュアルも磨かれた。スター・ウォーズの世界観を歩き回れる体験は変わらず本物であり、ケイとニックスのコンビも発売時から一貫して評価が高かった。

評価が割れる部分も残っている。シンジケートシステムの詰めの甘さ、「Ubisoftフォーミュラ」の踏襲、宇宙戦闘の薄さ、RPG要素の少なさ——これらはパッチで変えられるものではなく、本作のデザイン上の判断として残っている。

それでも、「スター・ウォーズのオープンワールドゲームを一度は遊んでみたい」というファンにとって、本作以外の選択肢はない。タトゥイーンの砂漠でスピーダーを駆け、キジミの夜市を歩き、宇宙港から大気圏を抜けて星空へ飛び出す。その体験は本作でしかできない。

本作を一言で表すなら「スター・ウォーズのテーマパークに、UbisoftのオープンワールドACTを組み合わせたゲーム」だ。テーマパークとしての完成度は高く、世界観ファンなら十分に楽しめる。ただしゲームとしての革新性や完成度を求めると、メタスコア77という数字が示す通りの「良作止まり」という評価になる。どちらの期待でプレイするかで、全く違う体験になる。

スター・ウォーズという舞台への愛着、ケイとニックスへの感情移入、探索を楽しむ姿勢——これら三つが揃っていれば、本作はDLC込みで50時間以上楽しめるゲームになる。現時点でセール時や割引を利用して入手できるなら、期待値を適切に設定した上で遊ぶ価値は十分にある。Wild CardとA Pirate’s Fortuneを含めた形での入手であれば、ケイの旅はさらに充実したものになる。

Massiveの次回作に期待したいのは、今回の失敗と反省を活かした「完成形」だ。世界観の作り込みとキャラクター設計は既に証明された。次は発売時の品質とゲームデザインの深みが伴えば、本当に傑作になれる可能性がある。本作をプレイしてそれを感じたなら、それはむしろ続編への楽しみに変換していい。スター・ウォーズのオープンワールドという新ジャンルの「第一作目」として、本作が切り開いた道は確かにある。ケイとニックスが次にどんな銀河を駆け抜けるか、その可能性を感じさせてくれるだけでも、本作には意味がある。

購入前の確認事項
・PCスペックはレイトレーシング対応を前提にした推奨要件を確認すること(特にAMD GPUユーザーは注意)
・SteamでもUbisoft Connect経由の起動が必要(Ubisoftアカウント登録必須)
・DLC2本含むEditionの方が後からバラで買うより割安になるケースが多い
・発売直後の低評価レビューを参考にする場合、Title Update 1.4以降(2024年11月)の声かどうかを確認すること
・スター・ウォーズのアニメシリーズ(クローン・ウォーズ等)を見ていると、DLCのキャラクターへの感情移入が深まる

スター・ウォーズの銀河を、ジェダイでも反乱軍でもなく、賞金首として逃げながら走り回る。その体験は、本作でしか味わえない。
Star Wars Outlaws ゲームスクリーンショット

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Star Wars Outlaws ゲームスクリーンショット

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ゲーム要素 オープンワールド
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