鞭を振り、パンチを繰り出し、遺跡の罠をくぐり抜けながら「なぜこんなことになってるんだ」と心の中でつぶやく。インディ・ジョーンズという男の生き様は、まさにこのゲームのプレイ感そのものだった。
Indiana Jones and the Great Circle(インディ・ジョーンズ 大いなる円環)は、2024年12月9日にMachineGamesが開発・Bethesdaが販売した一人称視点アクションアドベンチャー。Wolfensteinシリーズで名を知られたMachineGamesが、なぜかシューターではなく謎解き冒険ゲームを手がけた。最初に聞いたときは正直「大丈夫か?」と思った。しかしプレイしてみて、この組み合わせが奇跡的にはまっていることがわかった。
メタスコア86、Steam評価「非常に好評」、D.I.C.E.アワードで3部門受賞。数字だけ見れば文句なしの傑作だが、当然ながら全員が手放しで褒めているわけでもない。この記事では、実際にプレイして感じた魅力と欠点を正直に書いていく。
・インディ・ジョーンズシリーズのファン
・探索・謎解き重視のアドベンチャーゲームが好きな人
・Wolfensteinシリーズを遊んだことがあるPC FPSプレイヤー
・2024年末の話題作を今から遊ぼうか迷っている人
公式ローンチトレーラー
MachineGames×Bethesdaが贈るインディ・ジョーンズの新たな冒険、公式ローンチトレーラー。
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| タイトル | Indiana Jones and the Great Circle |
| 日本語タイトル | インディ・ジョーンズ 大いなる円環 |
| 発売日 | 2024年12月9日(PC・Xbox Series X|S) |
| 開発 | MachineGames |
| 販売 | Bethesda Softworks |
| エグゼクティブプロデューサー | Todd Howard(Bethesda) |
| ジャンル | 一人称視点アクションアドベンチャー |
| 舞台・時代 | 1937年(レイダース〜最後の聖戦の間) |
| 使用エンジン | id Tech 7 |
| 対応言語 | 日本語字幕あり |
| 価格 | 8,580円(Standard)/11,880円(Premium) |
| Game Pass | 対応(PC Game Pass) |
| メタスコア | 86(PC版87) |
| Steam評価 | 非常に好評(91%以上) |
MachineGamesが作る「インディ・ジョーンズ」とは何か
MachineGamesといえば、2014年のWolfenstein: The New Orderから続くシリーズで知られるスタジオだ。重火器を持ったBJブラスコウィッツがナチスを叩きのめす、あのゴリゴリのFPSシューターを作ってきた開発陣が、今度は鞭と拳銃と知恵だけで世界を救おうとするインディ・ジョーンズを手がけた。
これがどれほどの転換かというと、開発陣自身が語っている。「Wolfensteinは重火器を使って敵を蹴散らすゲームだった。それに慣れた私たちが、ゆっくりとした探索と謎解き中心のゲームに切り替えるのには相当な時間がかかった」とMachineGamesは明かしている。実際、プレイしていると両者の違いが随所に見えてくる。鞭の物理挙動ひとつ取っても、「ロープとして機能し、謎解きでも使えて、戦闘でも活きる」という3つの要件を同時に満たすため、レベルデザイナーと物理エンジン担当が激しく議論したと伝えられている。
結果として出来上がったのは、Wolfensteinとは全く異なる体験だった。銃撃戦ではなく、まず周囲を観察して状況を把握する。敵の巡回ルートを確認し、変装を使って制限区域に潜り込み、バレたら拳と手近にあるものを使った乱闘で切り抜ける。ゲームメディアの中には「DishonordよりもDishonordらしい」「Riddickに近い」と表現したところもあったが、確かにうなずける表現だ。
一人称視点という選択の是非
発売前から最も議論を呼んだのが、このゲームが一人称視点を採用したことだった。インディ・ジョーンズと言えばハリソン・フォードの顔があってこその魅力、という意見は根強く、「自分の顔が見えない一人称では没入できない」という批判も多かった。
実際にプレイしてみると、この懸念はある程度は当たっていて、ある程度は外れていると感じた。
外れていた部分から言うと、一人称視点によって「自分がインディ・ジョーンズになる感覚」は確かに高まる。鞭を投げると自分の手から繰り出されているように見え、敵のパンチが顔面に迫ってくる緊張感がある。MachineGamesが意図した「インディになって冒険する」という体験は、一人称であることで強化されている部分が確実にある。実際、ボイスを担当したトロイ・ベイカーは「僕の仕事はハリソン・フォードを模倣することではなく、プレイヤーに自分がインディ・ジョーンズだと感じさせること」と語っており、その哲学が映えるのが一人称視点だということは、プレイしていて実感できた。
当たっていた部分は、近接戦闘まわりの難しさだ。
「一人称視点の近接戦闘は最初かなり慣れが必要だった。敵の動きを視野に収めながらタイミングを計るのが難しく、最初の数時間はバレるたびにぼこぼこにされた」
出典:Steamユーザーレビュー
この声はよくわかる。Wolfensteinのように画面全体を使って射撃する場合と異なり、鞭と拳のコンボを一人称視点で繰り出すのには独特のコツが必要だ。慣れてしまえばチャンバラのような面白さがあるのだが、序盤の学習コストは高め。難易度設定で調整できるものの、「一人称アクションアドベンチャーに慣れていない人」にとってはここが最初のハードルになる。
酔い防止の設定はあるが完全ではない。近接戦闘中のカメラブレが激しいシーンも存在する。乗り物酔いしやすい人は購入前に注意が必要。
探索と謎解き:このゲームの真骨頂
近接戦闘に若干の不安を感じたとしても、探索と謎解きの完成度がそれを補って余りある。ここがこのゲームの核心部分であり、MachineGamesが最も力を入れた部分だと感じた。
舞台は1937年。バチカン市国、エジプトのギザ、タイのスコータイなど、世界各地の遺跡や歴史的建造物を巡る。各エリアはオープンマップ形式で、メインストーリーを追いながらも脇道に入って隠し部屋を探したり、ちょっとした住民から情報を集めたりできる設計になっている。
謎解きはカメラ(写真撮影)を使うものが多く、「この遺跡に刻まれた文様と、あそこの壁画がつながっているのではないか」と推理しながら遺跡の構造を解き明かしていく。ゲームではカメラで特定の場所を撮影するとヒントや経験値がもらえるシステムがあり、これが探索の動機付けとしてうまく機能している。
「ギザのメインクエストを終えた後、マップの端まで歩いてみたら隠し通路があって、その先に小さな謎解き部屋があった。誰も触れていなそうな場所を発見した感覚が最高だった」
出典:Steamユーザーレビュー
ただし、カメラシステムについては不満の声もある。「敵から逃げている最中に写真撮影プロンプトが出て邪魔だった」という声や、「カメラで撮った写真を後からアルバムで見返せないのが不満」という指摘は、複数のレビューで見受けられた。没入感を高めるためのシステムが、タイミング次第では没入を妨げるという皮肉な事態も起きている。
ステルスシステム:Wolfensteinとの最大の違い
MachineGamesが最も変化させたのは、ステルスの仕組みだろう。Wolfensteinシリーズのステルスは「発見か未発見か」の二択だった。一度バレたら全員が一斉に攻撃してくる、あのやつだ。
大いなる円環では、それが段階的になっている。敵が「何か変だな」と気づき始めると警戒状態になる。それでもバレ方が軽ければ口頭で警告してくることもあり、すぐに全面戦闘にはならない。完全にバレても、最初は素手での乱闘で済む場合もある。MachineGamesは「ステルスの深みはWolfensteinとは比較にならないほど増した」と語っており、実際にそれは感じられる。
変装システムも面白い要素で、特定の服装をすることで制限区域に堂々と入れるようになる。ただし敵が近くに来ると変装が見破られやすくなるため、「変装したまま会話の輪に入るか、さっさとその場を離れるか」という判断が常に求められる。
「変装して敵の目の前を歩き抜けた瞬間のドキドキ感がたまらない。バレそうになってさりげなく方向転換したときのヒヤヒヤ感、これがインディ・ジョーンズだと思った」
出典:Steamユーザーレビュー
ステルスを極める必要はなく、「コンバットで突破する」「変装で切り抜ける」「ステルスでやり過ごす」の3択が常に用意されているのが親切だ。どのアプローチを取っても詰まることなく進められる設計は、プレイヤーの自由度を大切にしていると感じた。
鞭という武器の奥深さ
インディ・ジョーンズと言えば鞭、鞭と言えばインディ・ジョーンズ。このゲームにおける鞭は、単なる「インディっぽい演出」に留まらず、ゲームメカニクスの中核として機能している。
まず移動に使える。フックポイントに向けて鞭を投げると、それをつかんで崖を渡ったり、高い場所に登ったりできる。次に謎解きに使える。遠くのレバーを引いたり、重い物を引き寄せたりと、手が届かない場所を操作する道具として機能する。そして戦闘でも使える。敵の足に絡めて転倒させたり、持っている武器を奪ったりできる。
3つの用途を同時に持つアイテムをゲームの中で機能させるのは、実は相当難しい。レベルデザイナーが「鞭を使える場面を常に用意する」ことを念頭にマップを設計したというのも、プレイしていると随所で感じられる。「ここ鞭使えるな」と思って投げると、ちゃんと解決策があるシーンが続く。この設計の丁寧さは、さすがMachineGamesと感じさせる。
・渡れない場所を橋渡しするトラバーサル
・遠距離のスイッチを操作する謎解きツール
・敵の武器を奪ったり足を絡めたりするコンバット手段
・特定のパズルでロープとして固定する使い方も
Troy Bakerのボイス演技:ハリソン・フォードへの挑戦
インディ・ジョーンズを演じるのは、トロイ・ベイカー。エリー(The Last of Us)やジョーカー(Batman: Arkham Origins)など、ゲーム界屈指の実力派声優だ。しかしインディ・ジョーンズといえばハリソン・フォード。そのイコールが頭にある人ほど、別の声優が演じることへの抵抗は大きかっただろう。
実際、Todd Howardも最初はこのキャスティングに眉をひそめたと明かしている。「最初に聞いたとき、正直なところ目を細めた(rolled his eyes)。でもトロイが仕事を始めて、しばらく後に『君はものすごくいい仕事をしている』と言った」とHowardは語っている。
トロイ・ベイカー自身は「ハリソン・フォードを完コピしようとは思っていない。僕の仕事は、プレイヤーに自分がインディ・ジョーンズだと感じさせること」と語っている。この哲学は正しかったと思う。プレイしていると、声の物真似ではなく「インディ・ジョーンズというキャラクターの本質」をつかんでいることがわかる。口調、ぼやき方、状況に対するリアクション、冗談を言いながらも真剣な場面での切り替え。これはハリソン・フォードではなく、インディ・ジョーンズそのものだ。
ハリソン・フォード本人がトロイ・ベイカーの演技を「brilliant(素晴らしい)」と評したことも、大きな信頼の証だろう。
「最初はトロイ・ベイカーの声に違和感があったけど、2時間もプレイしたらすっかり慣れた。気づいたらインディの言葉として完全に受け入れていた」
出典:Steamユーザーレビュー
ストーリー:映画と映画の間を埋める1937年の冒険
ゲームの舞台は1937年、映画「レイダース 失われたアーク」(1981年)と「最後の聖戦」(1989年)のちょうど間に当たる時代だ。インディはマーシャル大学で教鞭をとる考古学者として日常を送っていたが、ある夜にマーシャル大学が何者かに侵入され、謎の遺物が奪われる。その調査を追ううちに、世界各地の古代遺跡を結ぶ「グレート・サークル(大いなる円環)」と呼ばれる謎の地理的パターンの存在が浮かび上がり、複数の勢力がその秘密を巡って動き始める。
舞台は多様で、バチカン市国の荘厳な廊下、エジプトのギザ砂漠、タイのスコータイ遺跡、ヒマラヤの雪山など、映画の「世界を股にかける冒険」を忠実に再現している。各地に異なる文化と謎解きがあり、「次はどんな場所に連れて行ってもらえるのか」という期待がストーリーを追い続ける動機になっていた。
ストーリーはオリジナルで、映画の続編でも前日談でもない。しかし「1937年のインディ・ジョーンズ」という文脈に完全にフィットしており、映画の雰囲気を損なうどころか「こういうエピソードが本当にあったのでは」と感じさせる説得力がある。ゲームのためだけに書かれたオリジナルストーリーとしては、かなりの完成度だ。
「映画のスピンオフかと思ったら、オリジナルストーリーなのに映画と同じクオリティで驚いた。各地のロケーションに映画的な見せ場が用意されていて、最後まで飽きなかった」
出典:Steamユーザーレビュー
グラフィックとPC動作:id Tech 7の実力と代償
ゲームエンジンはid Tech 7。DOOM Eternalで使われたエンジンだが、Indiana Jones and the Great Circleではその要求スペックが段違いになっている。
最大の議論になったのが、レイトレーシングがオプションではなく必須という点だ。最低画質で動かすにも、レイトレーシング対応GPUが必要。RTX 2060 Super(またはRX 6600)以上でないと起動すらできない。パストレーシングを含む最高画質でプレイするにはRTX 4090が推奨されており、「いくらなんでも要求が高すぎる」という声が発売前から多かった。
| 設定 | GPU | CPU | 目安 |
|---|---|---|---|
| 最低(1080p/60fps) | RTX 2060 Super / RX 6600 | i7-10700K / Ryzen 5 3600 | ローグラフィック |
| 推奨(1080p/60fps) | RTX 3080 Ti / RX 7700XT | i7-12700K / Ryzen 7 7700 | 高グラフィック |
| 最高(4K/パストレ) | RTX 4090 | i7-13900K | ウルトラ設定 |
ストレージは120GB必要で、HDDではなくSSDが事実上の必須。発売当時に旧世代のGPUを使っているプレイヤーや、ミドルレンジ以下のPCユーザーにとっては、ここで足切りされるという状況が生まれた。
一方、実際のグラフィックは「その要求スペックに見合っているか」という問いに対して、ある程度はYESと答えられる。バチカンの石造りの廊下に差し込む光、ギザの遺跡の砂の質感、夜の暗闇に浮かぶたいまつの光。特にレイトレーシングが活きる光と影の表現は美しく、「これだけのために高スペックを要求しているのか」と納得できる瞬間が随所にある。
レイトレーシングが最低動作でも必須のため、RTX 20シリーズ以前(GTX世代)のGPUでは動作しない。AMD使用者も要確認。
カメラシステム:探索の面白さと不満の両面
大いなる円環の独自要素として「カメラ(写真機)」がある。インディは冒険の記録として写真を撮影でき、遺跡の重要な場所や被写体を撮ると経験値が入る仕組みだ。
謎解きのヒントを写真で記録する、という体験は映画のインディ・ジョーンズらしいアプローチで、探索の動機付けとして機能している。「ここを写真に撮ってみよう」という小さな好奇心が、マップの隅々まで探索する理由になる。
ただし、このシステムには明確な不満点もある。
「敵から逃げている途中に写真撮影プロンプトが出てきて正直邪魔だった。没入感を高めるはずのカメラが、緊張感を台無しにする瞬間があった」
出典:海外レビューサイト
「カメラで写真を撮ったのに、後からアルバムで見返せないのは惜しい。ゲーム内写真館みたいな機能があれば最高だった」
出典:Steamユーザーレビュー
「経験値稼ぎのためだけのカメラ」という批判も複数見られ、「写真を撮ることの意味をもっと深くできたはずでは」と感じるプレイヤーも少なくない。このあたりは続編があれば改善されそうな要素だ。
AIの問題点:惜しいと感じた部分
全体的に完成度が高い本作だが、敵AIにはまだ改善の余地がある。
変装が「距離によっては見破られやすく、距離によっては完全にスルーされる」というバランスが時折不安定に感じられた。「まったく同じ状況で1回目はバレず、2回目はバレた」という経験は複数のプレイヤーが報告している。ステルスゲームとしての整合性という意味では、AIの挙動がもう少し予測可能であれば、より深いステルスプレイが楽しめたはずだ。
また、敵が建物の構造や遮蔽物をどう活用するかという意味での「戦術的AI」はそこまで賢くない。鞭を使った状況打破や隠れて息を殺す体験の楽しさは本物だが、「敵が賢くてドキドキする」という意味でのステルスゲームの醍醐味は、やや薄めだ。
「ステルスを楽しもうとしていたのに、敵のAIがいまいちで萎えることがあった。警戒状態になった後のリアクションがランダムすぎる」
出典:Steamユーザーレビュー
GOTY争いとThe Game Awardsの皮肉
2024年を代表するゲームの一つとして、本作はさまざまな年間ベストに選出された。Eurogamerはゲーム・オブ・ザ・イヤーに選んでおり、D.I.C.E.アワードでは3部門を受賞。メタスコア86は2024年のXboxタイトルとして過去最高クラスの評価だ。
一方で、最大の賞である「The Game Awards 2024」のゲーム・オブ・ザ・イヤーにはノミネートすらされなかった。理由はシンプルで、発売が12月9日と遅すぎたためだ(TGA2024の選考締め切りに間に合わなかった)。最終的にAstro BotがGOTYを受賞したが、「もし本作が数週間早く発売されていたら」という声は多い。
Harrison FordとTroy Bakerは12月のThe Game Awardsに登壇してBest Performanceを贈呈する側に回ったが、本来なら受賞候補になっていてもおかしくない年だった。この「12月発売というスケジュールの悲劇」は、本作だけでなく2024年末にリリースされたいくつかのゲームが共通して直面した問題だ。
・D.I.C.E. Awards 2025:3部門受賞(GOTY候補含む)
・Eurogamer ゲーム・オブ・ザ・イヤー 2024:受賞
・The Game Awards 2024:Best Action-Adventure部門ノミネート(GOTY選考対象外)
・メタスコア:PC版87、Xbox版86
Wolfensteinシリーズと比べてどうか
MachineGamesのファンとして気になるのは、「WolfensteinとGreat Circleでどちらが面白いか」という点だろう。これは「どちらが優れているか」ではなく「どちらが自分に合っているか」という話なので、正直に整理する。
Wolfenstein: The New Orderが好きな人——シューター好き、重火器で無双したい人、テンポよく敵を倒し続けたい人——には、Great Circleは物足りないかもしれない。戦闘の爽快感や銃撃戦の密度は、Wolfensteinの方が上だ。
一方、探索が好き、謎解きを楽しみたい、世界観にどっぷり浸かりたいという人には、Great Circleの方が向いている。「じっくり遺跡を調べる時間」「マップの端まで歩き回る自由」「変装と鞭を使った即興のステルス」は、Wolfensteinにはない体験だ。
どちらのゲームにも共通するMachineGamesらしさは、「主人公のキャラクターへの解釈の深さ」と「一人称視点における没入感の追求」にある。BJもインディも、「戦う理由」と「人間としての弱さ」を丁寧に描いているスタジオだ。このDNAはGreat Circleにも確かに受け継がれている。
Game Passでの遊び方:得するのかどうか
本作はPC Game Passで遊べる。定価8,580円のゲームをサブスクリプション内で楽しめるのは、Game Passユーザーにとって大きな恩恵だ。実際、Steamでの同接者数が最大12,000人程度にとどまった大きな理由の一つは、多くのプレイヤーがGame Pass経由でプレイしていたためと見られている。
ただし、本作を通しでクリアするには20〜30時間程度かかる(サイドコンテンツを含めれば40時間超)。Game Passで遊ぶ場合、1か月の月額料金と比べてもコストパフォーマンスは高い。「まずGame Passで試してから、気に入ったら購入」という選択肢も取りやすい。
一方でSteam版のほうは独立したゲームとして購入するため、セールを待って買うのも選択肢のひとつ。2025年に入ってから20%オフのセールが実施された実績もある。
このゲームの「辛口評価」:完璧ではない点を整理する
メタスコア86という評価は立派だが、完璧ではない。辛口に整理すると:
1. レイトレーシング必須のPC要件はハードルが高い
GTX世代のGPUを持つプレイヤーは一切プレイできない。RTX 3000番台以上が推奨スペックになっており、「ミドルレンジ以下のPCユーザー」にとっては事実上の門前払いだ。
2. 一人称近接戦闘の慣れが必要
鞭と拳を使った一人称視点のコンバットは、FPSシューターに慣れた人でも序盤は苦戦する。特に複数の敵を相手にするシーンでは、視野が限られる一人称の不利が顕著に出る。
3. 敵AIの不整合
ステルスとコンバットの面白さは本物だが、AIの挙動が一定でない。「同じ状況でバレたりバレなかったり」という経験は、ステルスゲームとしての信頼感を損なう。
4. カメラシステムの詰めの甘さ
探索の動機付けとして機能してはいるが、「緊張場面でのプロンプト」「写真を後から見直せない」という点は惜しい。面白いシステムなだけに、もう一歩踏み込んでほしかった。
5. 12月発売によるGOTYスコープ外問題
ゲーム自体の問題ではないが、The Game Awardsで評価される機会を逃したことで、「2024年を代表するゲームとして広く知られる機会」を失った。発売時期のタイミングが惜しい。
「ゲーム自体は素晴らしいと思うが、AIの挙動がいまひとつ予測できなくてイライラした。ステルスを極めたいプレイヤーには少し物足りないかもしれない」
出典:海外レビューサイト
似た体験を求めるなら
大いなる円環が気に入ったなら、同じく「探索と謎解きを重視した一人称アドベンチャー」として相性のいいタイトルがある。
変装と観察でミッションをこなしていくスタイルに惚れた人には、工夫次第でいくらでもアプローチを変えられる暗殺者のゲームが近い体験をもたらしてくれる。
遺跡探索と謎解きがメインで、しっかりした物語を楽しみたいなら、同じく考古学者が主人公のアドベンチャーも選択肢に入る。
PC Game Passを使っているなら、同じくBethesda系の重厚な一人称アドベンチャーとして比較するゲームも探してみてほしい。
まとめ:2024年の「知られざる傑作」
Indiana Jones and the Great Circleは、2024年を代表するゲームのひとつだ。メタスコア86、D.I.C.E.アワード3部門受賞、Eurogamer GOTY選出という実績が示す通り、クオリティは本物だった。
MachineGamesがシューターではなく探索型アドベンチャーに挑戦した賭けは、少なくとも「ゲームとしての完成度」という意味では成功したといえる。鞭の物理表現、変装ステルス、1937年という時代設定の活かし方、Troy Bakerの演技、世界各地のオープンマップ探索。どれも丁寧に作られており、「インディ・ジョーンズというIPを完全に理解したゲーム」だと感じた。
欠点も正直に書いた。RTX必須のPC要件、一人称近接戦闘の慣れ問題、敵AIの不整合、カメラシステムの詰めの甘さ。これらが気になる人にとっては減点になるだろう。
それでも総合的に言えば、「インディ・ジョーンズが好きなら間違いなく買い」「探索と謎解きが好きなFPSプレイヤーにも強くすすめる」という評価は変わらない。Game Pass対応なので試しやすいのも大きい。12月発売のせいでGOTYの話題から外れてしまったが、2025年になった今でも遅くない。この冒険に飛び込む価値は十分にある。
・インディ・ジョーンズ映画シリーズのファン
・探索・謎解き重視の一人称アドベンチャーが好きな人
・Wolfensteinシリーズが好きで「別の方向性」のMachineGamesを見たい人
・PC Game Pass加入者(無料でプレイ可能)
こんな人には向かないかも
・GTX世代のGPUしか持っていない人(動作不可)
・シューティング要素がメインのFPSを求めている人
・一人称視点で乗り物酔いしやすい人
※本記事の情報は2024年12月〜2025年初頭の情報を元にしています。価格・仕様は変更の可能性があります。



