「Oxygen Not Included」酸素も水も自分で作る、Klei製コロニー経営SLGの最高峰

目次

「Oxygen Not Included」酸素も水も自分で作る、Klei製コロニー経営SLGの最高峰

Oxygen Not Included コロニー全体の俯瞰 — 小惑星内部に広がるデュプリカントたちの基地

最初の3時間、何も理解できなかった。

小惑星の地下深くに叩き込まれた3人のクローン人間——「複製人間(デュプリカント)」と呼ばれる彼ら——の面倒を見ながら、とにかく掘って、掘って、掘りまくった。食料を見つけ、水を確保し、なんとかトイレを作った。酸素がだんだん薄くなってきたので慌てて藻を植えた。プレイ開始から60サイクル(ゲーム内日数)ほど経った頃、二酸化炭素が基地の低層部に溜まり始め、複製人間たちが次々と意識を失い始めた。それに気づいた瞬間、もう手遅れだった。

再起動ボタンを押して新しいマップを生成しながら、「あ、このゲーム本物だ」と思った。

「Oxygen Not Included(酸素がない)」——通称ONI——は、カナダの開発スタジオKlei Entertainmentが手がけたコロニー経営シミュレーションゲームだ。2019年7月30日に正式リリースされ、現在SteamではレビューがなんとSteamで最終的に121,000件超、好評率96%という数字を叩き出している。「圧倒的に好評」評価を何年も維持し続けているのは、インディーゲームの中でも突出した実績だ。

このゲームには酸素がない。水もない。食料もない。暖かさも、電力も、最初から用意されているものは何もない。プレイヤーは小惑星の内部という密閉空間で、すべてをゼロから作り上げなければならない。熱力学、流体力学、電気回路、ガスの拡散——現実の物理法則に基づいたシミュレーションが容赦なく牙を剥いてくる。

難しい。本当に難しい。でも、それがたまらなく面白い。

この記事では、ONIがなぜここまで長く愛され続けているのかを、できるだけリアルな視点から深掘りしていく。「難しそうで怖い」「何から始めればいいかわからない」という人にこそ、読んでほしい。

こんな人に読んでほしい

Oxygen Not Included ゲームプレイ画面 — デュプリカントたちが基地内で作業するシーン

  • RimWorldやDwarf Fortressが好きで、もっと複雑なシミュレーションを求めている人
  • Factorioのような「効率の最適化」に快感を覚える人
  • コロニー経営SLGに興味はあるけど、どのタイトルから入るか迷っている人
  • 「何度リスタートしてもまたやりたくなる」系のゲームが好きな人
  • 物理シミュレーションや科学的な仕組みが絡んだゲームプレイに興味がある人
  • Steamで長期間「圧倒的に好評」を維持するゲームの理由が知りたい人
  • 購入前に正直なレビューが読みたい人

Oxygen Not Includedとはどんなゲームか

Oxygen Not Included 2D横断面マップ — 小惑星内部のバイオームと資源分布

Oxygen Not Includedは、2Dの横断面視点で描かれた小惑星の内部を舞台に、プレイヤーがデュプリカントと呼ばれるクローン人間たちのコロニーを運営するシミュレーションゲームだ。ゲームの目的は一言でいえば「生き延びること」、そして最終的には「宇宙へ脱出すること」だ。ただし、そこに至る道のりは途方もなく複雑で、深く、果てしない。

開発元のKlei Entertainmentは、「Don’t Starve」「Don’t Starve Together」「Mark of the Ninja」「Invisible, Inc.」などで知られるカナダ・バンクーバーのインディースタジオだ。アート面での独特のスタイル——Don’t Starveのティム・バートン的な世界観から一転、ONIではポップでカートゥーン的な2Dアニメーションを採用している——と、システムの複雑さのバランス感覚に定評がある。

ONIが決定的に他のコロニー経営ゲームと異なるのは、物理シミュレーションの徹底ぶりだ。酸素は空気より軽い。二酸化炭素は重く、低い場所に溜まる。水素は一番軽いので、密閉された部屋の最上部に集まる。液体は低いところに流れる。熱は高温から低温へと伝わり、材質によって導熱率が変わる。これらすべてがリアルタイムで計算され、プレイヤーの行動に直接影響する。

複製人間を働かせれば体温が上がり、熱が周囲に伝わる。料理をすれば蒸気が発生し、発電機を動かせば廃熱が出る。その熱がどこへ行くのかを管理しないと、いつの間にか基地全体が灼熱地獄と化す。逆に宇宙バイオームに近い場所では極寒の冷気が侵食してくる。こうした熱管理の問題は、ゲーム後半になればなるほど深刻になってくる。

Kleiは2017年に早期アクセスを開始し、2019年の正式リリースまで約2年をかけて丁寧にゲームを磨き上げた。その後も大型アップデートを継続的に配信し、2021年末には「Spaced Out!」というDLCを正式リリース。さらに2024年からは「Frosty Planet Pack」「Bionic Booster Pack」、2025年には「Prehistoric Planet Pack」などのDLCを展開中だ。発売から7年近くが経過した今も、アクティブな開発が続いている。

デュプリカントという存在の面白さ

デュプリカント(複製人間)は、このゲームの主役であり、最大の個性だ。プレイヤーが直接操作するキャラクターではなく、タスクに優先度をつけて指示を出し、あとは彼らが自律的に動く——というRimWorldやDwarf Fortressに近い間接的なコントロール方式を採用している。

各デュプリカントはランダムに生成された個性、スキル、特性(トレイト)を持っている。「優秀な料理人だけど不潔な場所が苦手」「体力があって掘削が得意だけど、水に入ると意識を失う」「ストレス耐性が異常に高い超人」「高カロリーを消費するデブ」——こうした組み合わせが無数に存在する。

ゲームが進むにつれてデュプリカントの数は増えていく。「プリンター」と呼ばれる装置を通じて、新しい複製人間を受け入れるかどうかを一定サイクルごとに選択できる。最初は3人でスタートし、序盤は8人前後、慣れてくると15〜20人規模のコロニーを運営することになる。

彼らには「士気(モラール)」と「ストレス」の2つの重要なパラメーターがある。士気とは簡単にいえば「仕事の意欲」で、快適な居住環境、美味しい食事、十分な休息、娯楽施設などによって上昇する。士気が「必要スキルレベル」を下回るとストレスが蓄積する。

ストレスが100%に達すると「ストレス反応」が発動する。これが曲者で、デュプリカントによってその反応は固定されている。部屋を荒らし回る者、泣き崩れて仕事をしなくなる者、食べ物を暴食し尽くす者——さまざまな形で暴走し、コロニーに深刻なダメージを与える。

ストレス管理のためには、美食、快適な寝床、芸術作品の設置、温泉施設の建設など、多角的なアプローチが必要になる。そしてその一つひとつを整えるためにも、また別のリソースが必要になる——この連鎖がONIの核心だ。

酸素・水・食料の三位一体

ゲーム序盤の最優先課題は、この3つだ。どれが欠けてもコロニーは崩壊する。

酸素は初期状態では有限のポケットしか存在しない。すぐに電解装置(Electrolyzer)の建設を目指すのが基本だが、電解装置は水を電気分解して酸素と水素を生成する。つまり水が必要だ。水は汚染水を精製するか、ギーザー(間欠泉)から採取するか、または別のルートで確保する必要がある。汚染水の精製には「水の精製機」が必要で、これを動かすためにも電力が必要だ。

食料はまず藻(Mealwood)の栽培から始まる。簡単に育てられるが栄養価は低い。次第にBBQやスパイシーソースなど高品質な料理へとアップグレードしていくことで士気の維持が楽になるが、高品質な食材には高品質な農場が必要で、農場の維持には肥料、水、温度管理が絡んでくる。

このように、あらゆる問題が相互に絡み合っている。何か一つを解決しようとすると、別の問題が引き起こされる。それがONIの魔力でもあり、沼への入口でもある。

電力システムと回路設計

電力供給もこのゲームの重要な柱のひとつだ。最初は人力発電(マニュアルジェネレーター)から始まり、石炭発電→天然ガス発電→水素発電→蒸気タービン→核融合炉、というように徐々に高度な電源へと移行していく。

ONIの電力システムには「回路の耐荷重」という概念がある。ワイヤーには種類があり、それぞれ流せる電力量の上限がある。上限を超えると回路が焼損し、設備が停止するどころか火災が発生することもある。コンジットブリッジ(変換器)を使って回路を分割したり、オートメーション(自動化)システムでスマートに電力を制御したりと、電力管理は次第に本格的なエンジニアリングの様相を呈してくる。

ガス管・液体管の配管設計

さらにゲームを複雑にするのが、ガスと液体の輸送システムだ。酸素を基地全体に分配するためのガス管、水を農場やシャワーに届けるための液体管——これらの配管設計がゲームの中盤以降の主要な課題になる。

配管には「容量」があり、一本の管に複数の流体は混在できない(もし混在すると問題が発生する)。管の素材によって導熱性が異なり、高温の液体を通すと管が加熱されて周囲の温度を上げてしまう。逆に冷媒を使って熱を運ぶ「熱交換システム」を設計することで、基地の温度管理が可能になる。

中級者から上級者へのステップとして、多くのプレイヤーが「熱交換器」と「蒸気タービン」を組み合わせた発電システムに挑戦する。水を高温で蒸気に変え、タービンで発電し、冷却した水を再利用する——このような閉じたループを設計できたときの達成感は格別だ。

バイオームの多様性

ONIのマップはプロシージャル生成(手続き型生成)で作られ、毎回異なるレイアウトの小惑星が生成される。小惑星の内部にはいくつかのバイオームが存在し、それぞれ異なる資源、生物、環境条件を持っている。

草原バイオームは最も一般的で、初期拠点は大抵ここに置かれる。泥炭バイオームには石油の原料となる原油が存在する。凍結バイオームは極低温で、特殊な素材の採掘や冷却に利用できる。放射性バイオームはウラニウムなどの核燃料の産地だが、放射線管理が必要になる。腐食性バイオームは毒ガスに満ちており、特殊な耐腐食素材が必要だ。

そして地表に到達すると、宇宙空間が広がる。隕石が定期的に降り注ぎ、太陽光が発電に使えるが、極寒の宇宙空間は熱管理上の難題となる。この宇宙エリアこそが、ロケット開発と次の目標への足がかりとなる場所だ。

宇宙開発とエンドゲーム

ONIのエンドゲームは「宇宙開発」だ。小惑星の地表を掘り抜き、ロケットの打ち上げ施設を建設し、他の天体へと探索の手を伸ばす。本編(DLCなし)では単一の小惑星から宇宙へ飛び出すことが目標となる。

ロケットにはさまざまな燃料(液体酸素、液体水素、石油、蒸気など)が使え、各エンジンに応じた構造を設計する必要がある。宇宙探索では近傍の天体を調査してレアな資源を持ち帰ることができ、それが最終盤の研究や施設の建設に不可欠となる。

DLC「Spaced Out!」を導入すると、複数の惑星を同時に管理する「マルチプラネット経営」が可能になる。メイン惑星でインフラを整えながら、別の惑星でも同時にコロニーを育て、惑星間で資源を輸送する——という、さらに高次元の管理が要求される。

基本情報

タイトル Oxygen Not Included(酸素がない)
開発・販売 Klei Entertainment(カナダ・バンクーバー)
正式リリース日 2019年7月30日(早期アクセス開始は2017年)
ジャンル コロニー経営シミュレーション / サバイバル
プラットフォーム PC(Steam / Windows・Mac・Linux対応)
価格(本体) 2,480円(日本Steamストア、セール時は50〜70%オフあり)
DLC: Spaced Out! 1,880円(2021年12月正式リリース、マルチ惑星コロニー経営)
DLC: Frosty Planet Pack 980円(2024年7月リリース、氷の惑星バイオーム追加)
DLC: Bionic Booster Pack 980円(2024年12月リリース、バイオニック系デュプリカント等)
DLC: Prehistoric Planet Pack 980円(2025年6月リリース、恐竜系生物の惑星)
対応言語 日本語対応あり(テキスト・一部UI)
Steam評価 圧倒的に好評(121,000件超、好評率96%)
プレイ時間目安 1プレイ:数十〜数百時間。平均プレイ時間は約69時間
マルチプレイ なし(シングルプレイ専用)
Mod対応 あり(Steam Workshop対応)

評価ポイント:ここが光っている

Oxygen Not Included 温度オーバーレイ — 基地内の熱分布を色分けで可視化した画面

物理シミュレーションの圧倒的なリアリティ

ONIの最大の強みは、このゲームだけが持っているレベルの物理シミュレーション精度だ。温度、圧力、ガスの拡散、液体の流動——これらを同時に、リアルタイムで計算し続けるゲームエンジンは、インディーゲームの域をとっくに超えている。

たとえば温度の伝導ひとつとっても、使われる素材によって熱伝導率がまったく異なる。金属は熱を速く伝えるため、高温環境では危険だが、熱交換には便利だ。プラスチックは断熱性が高く、配管を断熱したいときに有効だ。タイルの素材を変えるだけで温度挙動が変わり、その選択が長期的なコロニーの快適性に影響する。

ガスの挙動も面白い。密度の差によって自然に分離する——水素は最上部、酸素は中間、二酸化炭素は底部に溜まる。これを利用して、意図的に特定ガスを封じ込めたり、分離を活用した設計をしたりするのがONIの高度なプレイングだ。「この空間を酸素で満たすために、どこに送気口を置けばいい?」という問いに、物理法則に基づいた正解が存在する。

中級者以上のプレイヤーが最も苦心するのが「熱管理」だ。石油精製機は高温の石油を生成するが、その熱をどこへ逃がすか。原子炉は膨大な熱を発するが、それを電力に変換する蒸気タービンを設計するには冷却系も必要になる。この「熱を制する者がコロニーを制する」という感覚が、ONIの後半戦の醍醐味だ。

「問題を発見し、解決する」サイクルの中毒性

ONIのプレイサイクルは「問題の発見→原因の特定→解決策の設計→実施→副作用の発見→また問題発見」という無限ループだ。これが恐ろしいほどの中毒性を生み出している。

「デュプリカントたちが酸欠で倒れている」→「ガス管を確認したら途中で詰まっていた」→「詰まりを解消したら今度は別のルートに流れ込みすぎて別の部屋が過圧状態になった」→「過圧弁を設置して調整した」→「今度は廃熱が……」。

この連鎖は終わらない。でも終わらないから面白い。問題が解決された瞬間の達成感が、次の問題への意欲に変わる。「今日こそ原子炉を動かせた」「初めて蒸気タービンが安定稼働した」「食料をついに完全自給できた」——ONIはそういった小さな達成の積み重ねで時間を溶かすゲームだ。

情報量の豊富さとオーバーレイシステム

ONIのUIはとても情報密度が高いが、うまく整理されている。特に優れているのが「オーバーレイ」システムだ。デフォルト表示をガス・液体・温度・電力・食料などのモードに切り替えることで、コロニー全体の状況を視覚的に把握できる。

温度オーバーレイに切り替えれば、寒い場所が青く、熱い場所が赤く色分けされる。ガスオーバーレイでは酸素・二酸化炭素・水素・天然ガスなどが色分けされ、どのガスがどこにどれだけあるかが一目瞭然だ。電力オーバーレイでは回路の状態と消費電力が確認できる。

これらのオーバーレイを駆使することで、「なぜデュプリカントが倒れているのか」「なぜ発電機が止まっているのか」といった問題の切り分けが大幅に楽になる。ONIが他のコロニーゲームより「診断しやすい」のは、このオーバーレイシステムの優秀さによるところが大きい。

アニメーションとアートスタイルの完成度

ゲームプレイの複雑さとは裏腹に、ONIのビジュアルはポップで愛嬌にあふれている。デュプリカントたちはこまごまとした動作をアニメーションで表現し、走り回ったり、食事したり、トイレに駆け込んだりと、見ているだけで飽きない。

このアートスタイルは、難しいゲームとのバランスを保つ上で重要な役割を果たしている。たとえば「コロニー全体が二酸化炭素で満たされてデュプリカントが次々と倒れていく」という悲劇的な状況も、このカートゥーン的なビジュアルのおかげで笑えるシーンに見える。失敗しても「またやり直そう」と思えるのは、ゲームのビジュアルトーンが大きく貢献している。

Modコミュニティと長期的なサポート

正式リリースから6年以上が経過した今も、ONIのSteam Workshopには多数のModが公開・更新されている。UIを改善するもの、新しい建物を追加するもの、難易度を変更するもの——Mod対応によってゲームの寿命が大幅に延びている。

Klei Entertainment自身も定期的にアップデートを配信しており、DLCも複数展開中だ。「Prehistoric Planet Pack」(2025年6月)では新しい惑星に恐竜型の生物が登場するなど、ゲームの世界観を拡張し続けている。これだけ長期にわたって開発が続いているインディーゲームは珍しく、Kleiのプレイヤーへの向き合い方が伝わってくる。

リプレイ性の高さ

マップがプロシージャル生成される上、デュプリカントの特性もランダムで決まるため、プレイするたびに異なる課題が生まれる。「今回は水源が少ない」「今回は特定のバイオームに近い」「今回のデュプリカントは料理が得意だが採掘が苦手」——そうした状況の違いが、毎プレイに新鮮さをもたらす。

難易度設定もかなり幅広い。初心者向けの「No Sweat(楽勝)」モードから、上級者向けの「Survival(サバイバル)」モード、そしてカスタムで特定の要素を強化した独自の難易度設定まで、プレイヤーのレベルに合わせて調整できる。

賛否両論:ONIの「つらい」部分も正直に語る

Oxygen Not Included 配管・電力回路の設計画面 — 複雑に絡み合うパイプと電線

学習曲線が崖のように急峻

ONIの最大の問題点は、学習曲線の急さだ。ゲーム内のチュートリアルは存在するが、あくまでも表面的な基礎操作を教えてくれるだけで、「なぜ二酸化炭素が溜まるのか」「熱管理とは何か」「なぜデュプリカントが突然仕事をしなくなるのか」といった重要なシステムの理解には、相当量の自己探求か外部リソースへの依存が必要になる。

多くの初心者が最初の10〜20時間で「わけがわからないまま崩壊した」「何をすればいいのかわからない」と感じて離脱するという報告がSteamコミュニティでも確認できる。逆にいえば、これを乗り越えた先に本当の面白さが待っているわけだが、その入口の険しさは否定できない。

攻略Wikiや解説動画に頼ることへの心理的ハードルも、人によっては存在する。「自力で解決したい」という人にとっては、このゲームのシステムの複雑さは時として摩擦になる。

中盤以降のマイクロマネジメントの重さ

序盤の「なんとか生き延びる」フェーズを超えると、今度は「最適化」の圧力が押し寄せてくる。熱管理のために数百本の配管を引き直す必要が出てきたり、一つの電力回路の焼損が連鎖してコロニー全体が停電したり——複雑さが増すにつれ、一つのミスが取り返しのつかない結果をもたらすことがある。

「安定してきたら落ち着いて遊べると思ったら、また別の危機が来た」という声はONIプレイヤーの間でよく聞く。ゲームは基本的に「常に何かしらの問題が起きている状態」を維持する設計になっているため、リラックスして遊べるフェーズが少ないという批評がある。

UIの複雑さと情報量の多さ

オーバーレイシステムは優秀だが、そもそも把握すべき情報量が膨大だ。デュプリカント一人ひとりのステータス、建物ごとのコンディション、配管の状態、電力消費量——これらを並行して管理する必要があり、慣れるまでは画面の情報量に圧倒される。

また、一部の操作はUIが直感的でないという指摘もある。特に配管設計や自動化回路(オートメーション)の設計は、慣れないうちは「なぜこう繋げると動かないのか」が理解しにくい。

マルチプレイの不在

ONIには協力プレイ機能がなく、完全にシングルプレイ専用だ。RimWorldやFactorioのように「友人と一緒にコロニーを育てたい」というニーズには応えられない。Kleiは以前、マルチプレイの可能性を示唆したことがあるが、現時点では実装の計画は公表されていない。

ただし、これは設計上の選択でもある。ONIのシステムは非常に精密なため、マルチプレイを追加することで生じる同期の問題や複雑さを考えると、シングルプレイに集中した判断は理解できる。

エンドゲームのモチベーション管理

ONIには明確な「クリア条件」はなく、プレイヤーが自分で目標を設定する必要がある。宇宙ロケットを打ち上げる、特定の技術を完成させる、完全自給自足のコロニーを作る——ゴールはそれぞれが決めるものだ。

これが自由度として魅力になる面もあるが、「何を目標にすればいいかわからない」「ある程度安定したらモチベーションが下がった」という声も一定数ある。明確なストーリー進行やクリアエンディングを求めるプレイヤーには物足りなく感じるかもしれない。

プレイヤーの声

Oxygen Not Included 発展したコロニー — 多数の設備が整った中規模基地の全景

「初めてプレイしたとき、3サイクルで全滅した。5回リスタートして、10時間後にやっと20サイクルを超えた。でもあの瞬間の達成感はゲーム史上最高かもしれない。今は500時間超えてて、まだやってる。」

— Steamレビュー(プレイ時間500時間以上、好評)

「このゲームをプレイし始めてから、現実の物理の教科書を読み直したくなった。熱力学の第一法則と第二法則、実際に役に立つとは思わなかった。ゲームが教育になってるのがすごい。」

— Steamコミュニティフォーラム

「難しいけど、難しさが嫌な感じじゃない。失敗してもその失敗から学べる気がするんですよね。『なぜ崩壊したのか』がちゃんとわかるから、次のプレイに活かせる。理不尽じゃない難しさというか。」

— note記事コメント(ONIプレイ日記より)

「蒸気タービンを初めて安定稼働させたとき、涙が出そうになった。設計から実際に動くまで3日かかったけど、動いたときの感動は本物。この快感のためだけに何百時間も費やせる。」

— Redditコメント(r/Oxygennotincluded)

「買うかどうか1週間悩んで、セールで買って、その日から毎日やってる。1ヶ月で200時間。仕事してる場合じゃない(笑)。このゲームは人生を溶かす。」

— Steamレビュー(プレイ時間200時間、好評)

「正直、最初の10時間は楽しくなかった。わけがわからなかった。でもコミュニティWikiを見て、Youtubeの解説動画を見て、少しずつ理解が深まっていった。あの学習の過程が今は楽しかった思い出になっている。」

— Steamレビュー(プレイ時間150時間、好評)

似たゲーム8選:ONIが好きな人へ

Oxygen Not Included 宇宙エリア — 地表に到達したロケット発射施設と宇宙空間

1. RimWorld(RimWorld)

コロニー経営SLGの金字塔。SF惑星に墜落したサバイバーたちを管理し、コロニーを発展させる。ONIとの最大の違いは「戦闘と敵」の存在で、RimWorldはレイダーとの防衛戦が中心になるのに対し、ONIは主に環境との戦いだ。複製人間の代わりに、それぞれ固有の特性とバックストーリーを持つキャラクターを管理する面では類似点が多い。難易度の幅も広く、ONIが合う人はRimWorldも刺さる確率が高い。Steamで非常に好評、価格は3,200円前後。

2. Dwarf Fortress(Dwarf Fortress)

コロニーシムのルーツといえる伝説的な作品。ドワーフたちの地下要塞を建設・管理する。ASCIIアート的なビジュアル版は無料で遊べ、2022年にはSteamでグラフィック刷新版がリリースされた。ONIよりもさらに深いシミュレーション深度と、「失敗の豊かさ」で知られる。「Fun(ファン)」と呼ばれる容赦ない崩壊体験を楽しめる人向け。難易度はONI以上と言われることが多い。Steam版は2,300円前後。

3. Factorio(Factorio)

工場の自動化・最適化に特化したゲーム。ONIとは世界観が異なるが「効率を突き詰める快感」という点では非常に近い。複雑な生産ラインを設計し、最適化し、さらに巨大なスケールへと拡張する——そのサイクルはONIの配管設計や電力管理の快感に通じる。エイリアンの攻撃という敵対要素はあるが、メインはあくまで自動化パズル。ONIから入った人がFactorioへ移行するケースは非常に多い。Steam評価は伝説的な「圧倒的に好評」を長期維持。価格は3,300円前後。

4. Frostpunk 2(Frostpunk 2)

氷点下の世界で都市を維持するサバイバル経営ゲーム。前作よりも大規模な政治・社会システムが加わり、単なる資源管理を超えた深みがある。ONIと比べると操作の複雑さは控えめだが、「生存という至上命題のもとで何かを犠牲にする」というテーマの重さはこちらの方が上かもしれない。2024年9月リリース。価格は5,500円前後。

5. Against the Storm(Against the Storm)

ローグライト要素を持つ街づくりゲーム。1回のプレイが比較的短時間(1〜3時間)で完結し、完了するごとに永続的なアップグレードが解放される設計になっている。ONIが「一つの星でじっくり腰を据えてやる」のに対し、Against the Stormは「何度も繰り返しながら少しずつ強くなる」スタイル。ONIのリスタート体験が好きな人に合いやすい。Steam評価は「圧倒的に好評」。価格は2,900円前後。

6. Timberborn(Timberborn)

ビーバーの集落を作り上げる街づくり・サバイバルゲーム。ONIに近い「資源の循環」と「環境との戦い」という要素を持ちつつ、3Dビジュアルと干ばつシステムが特徴的だ。早期アクセス作品だが着実に更新され、ビーバーたちのかわいらしいアートスタイルと本格的な資源管理の組み合わせが好評だ。价格は2,050円前後。

7. Don’t Starve Together(Don’t Starve Together)

ONIと同じKlei Entertainmentが開発した、マルチプレイ対応のサバイバルゲーム。ONIと比べてコントロールが直接的で、アクション要素も強い。同じ開発元だけあってアートスタイルやサウンドデザインに共通の「Klei的なセンス」が感じられる。ONIにはないマルチプレイが目当てであれば、こちらが適切な選択肢になる。基本無料(フレンド招待なしで遊ぶには追加購入が必要な場合あり)。

8. Surviving Mars(Surviving Mars)

火星でのコロニー建設シミュレーション。資源管理、建物の建設、入植者の生存——基本的な構造はONIと近い。酸素・水・食料の循環管理もテーマとして共通している。ONIほどの物理シミュレーション精度はないが、SF的な世界観が好きで少し間口の広い作品を求めているなら入りやすい。セール時は非常に安くなることがある。

まとめ:ONIを「難しいゲーム」で終わらせたくない理由

「Oxygen Not Included」は間違いなく難しいゲームだ。最初の壁は高く、挫折率も高い。何も知らない状態でプレイを始めると、理由もよくわからないまま崩壊を繰り返すことになる。

でも、このゲームの「難しさ」は、恣意的なものじゃない。複雑さは「現実の物理法則に忠実であること」から生まれているし、それを理解していけば「ちゃんと筋が通っている」と感じるはずだ。うまくいかないのは「理不尽だから」ではなく、「理解が足りないから」だ。そして理解が深まれば深まるほど、できることが増え、設計の面白さが増す。

Steam評価96%・121,000件超というのは、このゲームのどれだけ多くのプレイヤーが、最初の壁を越えてその先の面白さに辿り着いたかの証だと思う。コロニー経営SLGというジャンルで現在最高峰のタイトルを問われたら、ONIは間違いなくその答えの一つとして名前が挙がる。

コアシステムの本体価格2,480円は、費やされる時間を考えると驚異的なコスパだ。最初の20〜30時間さえ耐え抜けば、その後数百時間を費やすことになるゲームになりうる。

「難しそう」「自分には無理かも」と思っている人こそ、一度試してほしい。Wikiや攻略情報を頼ることをためらわないでほしい。ONIのコミュニティはとても親切で、初心者の質問に丁寧に答えてくれる文化がある。そのサポートを借りながらでも、自分のコロニーが安定稼働し始めた瞬間の達成感は、本物だから。

酸素がない宇宙の地下で、今日も誰かのコロニーが発展し、そして崩壊し、また立ち上がっている。それがONIという、終わりのない小さな宇宙のドラマだ。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次