「The Blood of Dawnwalker」ウィッチャー3ディレクターの新スタジオ処女作、吸血鬼ダークファンタジーARPG






「The Blood of Dawnwalker」ウィッチャー3ディレクターの新スタジオ処女作、吸血鬼ダークファンタジーARPG

「ウィッチャー3」のゲームディレクターが新スタジオを立ち上げて、初めて作るゲームが吸血鬼のダークファンタジーARPGだ、と聞いたとき、正直かなり興奮した。

ウィッチャー3はいまだに「RPGの金字塔」として語り継がれるタイトルで、あの重厚な世界観と道徳的ジレンマに満ちたクエスト設計を生み出したチームが、次に何を作るのかは多くのプレイヤーが気にしていた。その答えが「The Blood of Dawnwalker」だった。2025年1月の発表から、ゲームメディアとファンのあいだで大きな話題になっている作品だ。

14世紀中世ヨーロッパを舞台に、人間と吸血鬼の両方の性質を持つ主人公コーエン(Coen)として、家族を救うために30日間という制約の中で動き回るナラティブサンドボックスRPG。昼は剣士として、夜は吸血鬼として全く異なるゲームプレイが展開される二面性のシステムが、このゲームの一番おもしろいところだと思っている。

2026年リリース予定。開発元はポーランドのインディースタジオRebel Wolves、パブリッシャーはバンダイナムコエンターテインメント。プラットフォームはPS5・Xbox Series X/S・PC(Steam/Microsoft Store)の3つだ。

目次

こんな人におすすめ

The Blood of Dawnwalker キービジュアル - 吸血鬼の闇と中世の世界観

  • ウィッチャー3の重厚なナラティブRPGが大好きで、次の「あの感覚」を求めている人
  • 吸血鬼という題材に魅力を感じているが、ありきたりな吸血鬼ゲームには飽き飽きしている人
  • 昼と夜で全く異なるゲームプレイが楽しめる、二面性のある体験を求めている人
  • 道徳的ジレンマやリソース管理を含むナラティブサンドボックス型のRPGが好きな人
  • 東欧・カルパチア山脈の神話・民話に根ざしたダークな世界観に惹かれる人
  • 「時間」を資源として扱うユニークなゲームメカニクスに興味がある人
  • Cyberpunk 2077やウィッチャーシリーズの元スタッフが集結した新スタジオの処女作を追いかけたい人

逆に、アクション一辺倒でストーリーやロールプレイ要素を重視しない人には少し重たいかもしれない。このゲームの核心はナラティブと選択の重さにある。

ゲーム概要――なぜ「今」吸血鬼なのか

The Blood of Dawnwalker - コーエンがカルパチア山脈を見渡す昼の探索シーン

Rebel Wolvesとは何者か

まずこのゲームの背景にある「人」の話をしておきたい。

Rebel Wolvesは2022年にワルシャワで設立されたスタジオだ。設立者でCEOのコンラッド・トマシュキェヴィチ(Konrad Tomaszkiewicz)は、ウィッチャー3のゲームディレクターとして知られる人物で、Cyberpunk 2077ではヘッドオブプロダクションも務めた。CDプロジェクト・レッドに17年間在籍した後、2021年5月に退社した。

退社の経緯はいくつかのメディアで報じられている。職場でのパワハラ疑惑について社内調査が行われ、最終的に「無罪」という結論だったのだが、それでも長年の会社を去ることを選んだ。その後しばらく休養期間を経てから、Rebel Wolvesを立ち上げた。

コンラッドが率いるRebel Wolvesには、同じくCDPRやウィッチャーシリーズで活躍してきたスタッフが集結している。

  • クリエイティブディレクター:マテウシュ・トマシュキェヴィチ(コンラッドの弟)
  • ナラティブディレクター:ヤクブ・シャマレク(Jakub Szamalek)――ウィッチャー3・Cyberpunk 2077のライター。もともとは考古学の博士課程在籍中にCDPRに入社したという変わり種
  • デザインディレクター:ダニエル・サダウスキー(Daniel Sadowski)――ウィッチャーシリーズ出身
  • アートディレクター:バルトウォミェイ・ガヴェウ(Bartłomiej Gaweł)――ウィッチャー1〜3に携わった
  • アニメーションディレクター:タマラ・ザワダ(Tamara Zawada)――ウィッチャー3、Shadow Warrior 2、Capcom Vancouverを経験

CDPRのエース級スタッフがそのまま集まったような布陣だ。コンラッドはインタビューで「CDPRではリスクが大きすぎると判断されたクレイジーなアイデアがあった。それを実現するために新スタジオを作った」と語っている。The Blood of Dawnwalkerはその「クレイジーなアイデア」の結晶というわけだ。

資金面では中国のゲーム大手NetEaseからの少数出資を受け、パブリッシャーとしてバンダイナムコエンターテインメントと契約。NetEaseの大規模なレイオフが話題になった際には「開発費はすでに確保済み、プロジェクトへの影響はない」とスタジオが明言している。

なぜ吸血鬼を選んだのか

ナラティブディレクターのヤクブ・シャマレクは複数のインタビューでこう説明している。「吸血鬼というモチーフは思ったより深く掘り下げられていない。よくある吸血鬼像――ゴシックな城、貴族的なエレガンス、吸血衝動との葛藤――はすでに多くの作品で描かれてきた。でも私たちが作りたかったのはもっと生々しく、東欧の本物の民話に根ざした吸血鬼の物語だ」

東欧、特にバルカン半島からカルパチア山脈にかけての地域には、現代的な吸血鬼イメージが形成される前の、もっと野蛮で恐ろしい「ヴァンパイア」の原型が民話として残っている。The Blood of Dawnwalkerはそこに着目した。

ゲーム内の吸血鬼「ヴラキリ(Vrakhiri)」は、年齢を重ねるにつれて頭蓋骨の異なる部位から細い牙が生えてくるという、ビジュアル的にも独特の生物として描かれている。「ドラキュラ的なかっこいい吸血鬼」ではなく、もっと怪物的で不気味な存在として設計されているのが興味深い。

ストーリーと世界観――14世紀の東欧、ペストと吸血鬼支配の時代

The Blood of Dawnwalker - 中世の町並みを歩くコーエン(昼のヴェール・サンゴーラ)

舞台:ヴェール・サンゴーラ

ゲームの舞台は「ヴェール・サンゴーラ(Vale Sangora)」という架空の王国。カルパチア山脈に位置する、ゴシックな雰囲気漂う中世の土地だ。主にルーマニアの文化的モチーフを軸に、バルカン文化の幅広い影響を受けて設計されている。

時代背景は14世紀。リアルな歴史的文脈として、ペスト(黒死病)が猛威を振るい、絶え間ない戦争が続く中で人類は疲弊しきっていた。そこにヴラキリ――吸血鬼の一族――が表舞台に現れ、弱体化した人間社会を支配下に置いた。

現在のヴェール・サンゴーラは、強大な古代吸血鬼ブレンシス(Brencis)が君臨する闇の王国だ。人間は「血の税(ブラッドタックス)」を吸血鬼に支払わされ、搾取される存在に成り下がっている。

オープンワールドとして設計されたこの王国は、複数のリージョンで構成されている。シルバークライス(Silberkreis)やミッデンズ(the Middens)といったエリアがそれぞれ異なる雰囲気と派閥を持ち、鬱蒼とした森、広大な平原、危険な湿地、険しい山頂、そして中世の集落が広がる。さらに忘れ去られた廃墟や古代文明の遺跡も探索できるという。

主人公コーエン――人間と吸血鬼の狭間にいる若者

プレイヤーが操作するのはコーエン(Coen)という青年。「ドーンウォーカー(Dawnwalker)」と呼ばれる、人間と吸血鬼両方の性質を持つ存在だ。

コーエンは銀の毒に苦しみながら、吸血鬼の呪いとも戦っている。彼の目的はただひとつ――吸血鬼ブレンシスに囚われた家族を30日以内に救い出すこと。

ヤクブ・シャマレクはコーエンのキャラクターデザインについてこう語っている。「彼は根本的に感情的な若者だ。弱さを見せられる、正直に気持ちを表現できる、そういう人物にしたかった。無敵の戦士像ではなく、脆弱性を体現するキャラクターとして設計した」

これはウィッチャー3のゲラルトとは対照的なアプローチだ。ゲラルトはすでに成熟し、感情を抑制した「プロフェッショナル」として描かれていたが、コーエンはまだ若く、葛藤しながら成長する過程が物語の軸になるらしい。

antagonist ブレンシスと吸血鬼の世界秩序

主な敵対者は古代吸血鬼のブレンシスで、ヴェール・サンゴーラを支配している。彼の下で人間は二等市民として扱われ、「血の税」という制度によって定期的に血を吸われる搾取構造が成立している。

吸血鬼社会にも階層や派閥があり、プレイヤーの選択次第でどの勢力とどういう関係を結ぶかが変化する。「悪い吸血鬼を倒す善良な人間」という単純な二項対立ではなく、もっと複雑な政治・社会構造の中でコーエンが立ち回ることになるようだ。

基本情報

The Blood of Dawnwalker - 夜の村を見下ろす吸血鬼形態のコーエン

タイトル The Blood of Dawnwalker
開発 Rebel Wolves
パブリッシャー バンダイナムコエンターテインメント
ジャンル ダークファンタジー ナラティブサンドボックス ARPG
対応プラットフォーム PS5 / Xbox Series X|S / PC(Steam・Microsoft Store)
リリース予定 2026年(具体的な日付は未発表)
価格 未発表
プレイ人数 1人(シングルプレイヤー)
エンジン Unreal Engine 5
推定ストレージ 120GB以上
推奨GPU NVIDIA GeForce RTX 4070(推奨)、RTX 2070(最小)
推奨RAM 32GB(推奨)、16GB(最小)
言語 未発表(ウィッチャー3実績からの日本語対応に期待)

評価ポイント――このゲームが注目される理由

The Blood of Dawnwalker - ボス「Xanthe, the Dark Mistress」との戦闘シーン

1. 昼夜二面性システム――同じゲームを2つ楽しめる

The Blood of Dawnwalkerで最も独創的なのが、昼と夜で全く異なるゲームプレイが展開される「デュアルゲームプレイシステム」だ。

コーエンは「ドーンウォーカー」として人間と吸血鬼の両方の側面を持っているが、昼間はその吸血鬼能力が制限される。昼の間、コーエンは剣士として戦い、ヘックス魔法を使い、NPCと対話して非暴力的な問題解決を試みる。人間の時間帯は社会的なインタラクションが豊富で、情報収集や外交的なアプローチが有効になる。

夜になると状況は一変する。コーエンの吸血鬼能力が全開放され、クロー(鉤爪)で戦い、壁を垂直に歩き、シャドウステップ(瞬間移動)で素早く移動できるようになる。夜は強力だが、ガードや一般市民に正体を悟られないよう潜入・ステルスが必要になる。また、動物や人間に噛みついて体力を回復する「吸血」メカニクスも夜の重要要素だ。

実は、昼だけか夜だけでゲーム全体をクリアすることも可能だという。昼の人間として、または夜の吸血鬼として特化したプレイスタイルを貫きたいプレイヤーはそのアプローチを選べる。もちろん両方を使いこなすことで最大のポテンシャルを発揮できる設計だが、「どちらか一方」という縛りプレイも成立するのが面白い。

時間帯はクエストの解決方法にも大きく影響する。昼に探索すれば会える人物が夜には姿を消していたり、逆に夜にしか現れないNPCや、吸血鬼スキルを使わないと到達できないエリアが存在する。同じクエストでも昼攻略と夜攻略では展開が全く異なるケースがあるという。

2. 「30日間」という時間資源管理システム

ゲームの大きな枠組みとして「30日間」という制限がある。コーエンは30日以内に家族を救わなければならない。しかしこれはリアルタイムのカウントダウンタイマーではない。

重要なのは、オープンワールドを探索するだけでは時間が経過しない点だ。時間が進むのは特定のクエストを完了したときや、特定の会話を選択したときだけ。しかもゲームは事前に「このクエストを受けると時間が何コマ進む」と明示してくれる。

ゲーム内の1日は8つのタイムセグメントに分割されており、残り日数と現在のセグメントが常に画面に表示される。どのクエストに「時間」を使うかはプレイヤーが主体的に判断できる。

また、30日が過ぎてもゲームオーバーになるわけではない。ただし家族の状況など、時間の使い方によって結果が変化する。開発陣は「急かされるような感覚は意図していない。時間はプレッシャーではなく、選択に重みを与えるための仕掛けだ」と説明している。

準備が整ったと感じたら30日以内でも最終ボスに挑戦できる。逆に30日を使い切ってキャラクターを鍛え上げることもできる。「いつ戦うか」という判断もゲームプレイの一部として機能するわけだ。

この「時間を消費して何を達成するか」という選択の連続が、ナラティブサンドボックスというコンセプトの核心になっている。クエストによっては「村Aを助けると村Bが危機に陥る」といった、ゼロサムの選択を迫られることもある。時間という有限の資源の前に、全部のクエストを完璧にこなすことは不可能な設計になっているのだ。

3. 方向性のある戦闘システム――Kingdom Come:Deliveranceの影響

戦闘は4方向の指向性システムを採用している。上下左右のいずれかの方向を選んで攻撃・パリィを行う、いわゆる「方向性戦闘」だ。Kingdom Come: Deliveranceに似たアプローチと評されることが多い。

ダメージを与えるとアクティベーションチャージが蓄積され、これを使ってヘックス魔法を発動したり、強力なフィニッシャームーブを叩き込んだりできる。昼のコーエンは剣のスキルとヘックスを組み合わせた戦闘スタイルで、夜は鉤爪とシャドウステップを活かした高機動戦闘になる。

スキルツリーは3系統。人間専用ツリー、吸血鬼専用ツリー、そして両方に適用される共有ツリーだ。レベルアップで得たスキルポイントをどこに投資するかで、昼型・夜型・バランス型といったキャラクタービルドの方向性が変わってくる。

当初の発表時は戦闘に対する懸念の声もあった。カメラが主人公に近すぎるという批判や、方向性戦闘の操作感への疑問がプレイヤーから寄せられた。開発チームはこれに応え、コミュニティのフィードバックをもとに複数の調整を加えている。カメラ距離を探索時と戦闘時で別々にカスタマイズできるようになったほか、アクションRPG寄りの操作感を選べるオプションを追加。また、ラジアルメニューの開放中に時間が完全停止していたのを「スロー」に変更するなど、よりアクション的なリズムに近づける工夫もなされた。

4. ナラティブサンドボックスとしての自由度

開発チームが「ナラティブサンドボックス」と呼ぶゲームデザインの核心は、「プレイヤーが自分だけの物語を編む」という体験にある。

クエストは複数の解決方法を持つことが多く、完了順序も自由、場合によっては発見も完了もしないまま終わることがあってもいい設計だ。サイドキャラクターがプレイヤーの行動次第でコーエンの盟友になったり、敵対したり、犠牲になったりする。NPCはそれぞれ独自の生活リズムを持ち、プレイヤーの行動に反応する。

クエストの中には特定のデッドライン(時間コスト)が設定されていて、あるクエストを優先したことによって別のクエストが失敗に終わることもある。この「完璧なクリアが不可能」という設計は、選択に実際のコストを持たせるためのものだ。

ヤクブ・シャマレクが語るように、ゲームに登場するすべてのクエスト・POI・アクティビティは、「コーエンの家族救出」「吸血鬼の起源」「ヴェール・サンゴーラの歴史」のいずれかに紐づいている。スカスカな「収集アイテム探し」式のパディングを排除し、すべての要素が世界の物語を語るよう設計されているという方針だ。これはウィッチャー3のクエスト設計に通じる哲学を感じさせる。

5. 開発陣の圧倒的な実績

改めて強調しておきたいのが、このゲームの開発陣の経歴だ。

ウィッチャー3は2015年のリリース以来、10年以上にわたって「史上最高のRPG」候補として語られ続けている。そのゲームディレクターが率いるスタジオの処女作という事実は、単純に「期待値が高い」という話ではない。ウィッチャー3のどこが素晴らしかったのかを誰よりも知っている人たちが、「次のゲーム」として作っているという意味だ。

コンラッドは「大手スタジオでは実現できなかったアイデア」を実現するためにRebel Wolvesを作ったと語っている。規模が小さいからこそ、妙に大きなオープンワールドをただ広げるのではなく、密度の高い選択と結果の体験を届けることにフォーカスできるということでもある。

Unreal Engine 5を採用しているが、開発チームは最新バージョン(UE5.6)ではなく少し前のバージョンを使用しており、スタッタリング対策など技術的な工夫も進めているという。

賛否両論――素直に不安な点も書いておく

The Blood of Dawnwalker - スキルツリー画面(Human/Vrakhiri/Shared Perks)

期待の声

「ウィッチャー3のDNAを感じる」――2025年8月のゲームプレイショーケース後、多くのメディアやプレイヤーが「ウィッチャー3と同じ空気感がある」と反応した。うっすらと霞がかかったような薄暗いゴシック美学、道徳的に複雑な登場人物たち、重みのある選択の設計。これらはウィッチャー3が誇った強みそのものだ。

「吸血鬼というモチーフの扱い方が新鮮」――通俗的な「カッコいい吸血鬼」ではなく、東欧民話に根ざした怪物的な存在として描くアプローチは、長い歴史を持つ吸血鬼フィクションの中でも差別化できている点として評価されている。

「時間管理システムが面白い」――「30日」という枠組みに最初は難色を示したプレイヤーも、仕組みの詳細が明かされるにつれ「これは上手いかもしれない」と評価を変えているケースが多い。実際にScreenRant等のメディアも「思ったほど悪くない」という論調の記事を書いている。

「RPGとして深みがある予感」――選択の連鎖、NPC一人ひとりの生活、時間を消費した結果の世界変化など、システム全体が有機的につながった「生きた世界」への期待が高い。

懸念の声・批判

戦闘の洗練度への不安――初公開の映像では「カメラが近すぎる」「方向性戦闘がぎこちない」という批判が出た。開発チームは即座にフィードバックに対応し修正を加えているが、最終的なクオリティはリリース後まで分からない。

ウィッチャー3の「二番煎じ」にならないか――開発陣の経歴がそのまま期待値になる一方で、「ウィッチャー3みたいなゲームをまた作っただけ」という批判が来る可能性もある。タイトルの語感が「Raid: Shadow Legendsみたいでモバイルゲーム感がある」という笑いにならない批判も実際に出た。

吸血鬼ナラティブのありきたりな罠――「悪い吸血鬼に苦しむ哀れな人間を助ける」という単純な構造になってしまわないか、という懸念をファンが表明している。複雑な道徳的ジレンマを約束している開発陣の言葉を信頼したいところだが、実際にプレイしてみないと判断できない部分だ。

小規模スタジオのAAA開発リスク――Rebel Wolvesは新設スタジオだ。経験豊富なスタッフが揃っているとはいえ、AAA規模のゲームを初めて自分たちのスタジオとして開発することには固有のリスクがある。開発の遅延や品質のばらつきは常に起こりうる。

古いUE5バージョン使用によるパフォーマンス問題――最新のUE5.6ではなく古いバージョンのUnreal Engine 5を使っているため、UE5.6が実現する30%以上のパフォーマンス向上を享受できない。スタッタリング(フレームの引っかかり)問題が起きる可能性があり、開発チームは対策を進めているとしているが、PC版の最適化は発売後の懸念事項として残る。

プレイヤーの声

「28分のゲームプレイ映像を見た後、最初に抱いていた不安がかなり消えた。確かにウィッチャー3の血が流れているのを感じる。まだ少し粗削りな部分はあるけど、このチームなら仕上げてくれると思う」

― Gamepressureのゲームプレイショーケースへの読者反応(2025年8月)

「時間制限の仕組みを最初聞いたとき、『プレッシャーで疲れるゲームじゃないか』と思ったが、実際には探索では時間が進まないという説明を聞いて安心した。これはFalloutやウィッチャーのクエスト選択をもっと尖らせたものだと理解した」

― ResetEraフォーラム、時間制限メカニクスについてのスレッド

「吸血鬼ゲームとしては、VampyrやVtM: Bloodlinesとも違う独自の路線を行っている気がする。東欧の民話ベースという設定は本当に新鮮で、ここが一番楽しみ。世界観の密度がすごく高そう」

― GamesRadarのコメントセクション

「昼は剣士、夜は吸血鬼って聞いて最初は『ただの昼夜切り替えギミックか』と思ったけど、実際には昼と夜で完全に別ゲームレベルの差があるみたいで、これはかなり面白そう。全クエストを両方の視点でやり直したくなるやつ」

― Steam掲示板のコメント

「コンラッドがCDPRを出て自分のスタジオを作った経緯を考えると、このゲームには彼の言いたいことが全部詰まっていると思う。『大手では実現できなかった』と言ってる以上、それがどんなゲームになるか見届けたい」

― PCGamerコミュニティスレッド

似たゲーム8本――これが好きならDawnwalkerも刺さるかも

The Blood of Dawnwalker - インベントリ画面とコーエンのキャラクタービジュアル

1. ウィッチャー3:ワイルドハント(The Witcher 3: Wild Hunt)

言うまでもなく最も直系の親戚。重厚なナラティブ、道徳的にグレーなクエスト設計、生きた世界のNPCたち。コンラッドとヤクブが直接携わった作品だけに、Blood of Dawnwalkerを最もよく理解する文脈として押さえておきたい。CDPRが作った最後の傑作とも言えるが、Rebel Wolvesはこの路線をどう更新するか。

2. ヴァンパイア(Vampyr)

DONTNOD開発の吸血鬼ARPGで、Blood of Dawnwalkerと最も近い先例。NPCを吸血して経験値を得るか、命を救うかという選択が世界の変化に直結する設計は、DawnwalkerのNPC絡みの選択設計と通じる部分がある。吸血鬼と社会の関係を「倫理的ジレンマ」として描いた作品として参照されることが多い。

3. Kingdom Come: Deliverance II

Blood of Dawnwalkerの方向性戦闘が「KCDに似ている」と評されることが多い。同じく14世紀ヨーロッパが舞台で、写実的な中世世界の描写と、剣戟のシステマティックなアプローチが近い。どちらも「ファンタジーだが世界観はリアル指向」という立ち位置。

4. エルデンリング(Elden Ring)

ダークファンタジーARPGの最高峰として現在も君臨するタイトル。メカニクスの方向性は異なるが、「死に覚えながら難敵を突破する達成感」ではなく「ナラティブと選択を楽しむRPG」としてのDawnwalkerとは棲み分けが明確。しかしダークで複雑な世界観を好むプレイヤー層は確実に重なる。

5. Ghost of Tsushima

Blood of Dawnwalkerの開発チームが直接インスピレーション元として言及しているタイトルのひとつ。主人公コーエンと境井仁の共通点として「圧倒的な侵略者(吸血鬼・モンゴル軍)に立ち向かう相対的な弱者」という構図が挙げられている。スタイリッシュな第三者視点のアクションと物語の密度という点でも参考にされている。

6. Vampire: The Masquerade – Bloodlines

2004年の古いゲームだが、「吸血鬼RPGの最高傑作」として今もコアなファンに語り継がれる名作。派閥の選択と道徳的複雑さ、世界観の作り込みはDawnwalkerが目指す方向と重なる部分が多い。Bloodlines 2の開発が難航続きな状況で、Blood of Dawnwalkerが「吸血鬼RPG空白」を埋める存在になる可能性を指摘するメディアも多い。

7. バルダーズゲート3(Baldur’s Gate 3)

直接的なジャンルの近さではないが、「選択と結果の重さ」「NPCへの影響力」「コンパニオンとの関係性」という要素でDawnwalkerが参照しているアプローチが近い。すべてのクエストに複数の解決方法があり、選択が世界を変えていくという設計哲学は共通している。

8. Cyberpunk 2077

Rebel Wolvesのスタッフ多数が携わった作品。発売当初の炎上と、その後のアップデートによる大きな評価回復というドラマチックな経緯を持つタイトルでもある。ナラティブの野心と世界観の作り込みという点では通じるものがある。Cyberpunk 2077が最終的に「名作」と呼ばれるようになった過程を経験しているスタッフが集まっているという事実は、Dawnwalkerにとっても無関係ではない。

まとめ――2026年最注目のRPGのひとつである理由

The Blood of Dawnwalkerが特別な期待を集めている理由は、単に「ウィッチャー3のスタッフが作ってる」だけではないと思う。

このゲームには明確なデザイン上の哲学がある。「時間は有限なリソースであり、すべてを完璧にこなすことはできない」という設計思想は、多くの現代ARPGが持つ「全部できる・全部集められる」という傾向へのアンチテーゼだ。選択に本物のコストがあり、誰かを助けると誰かを見捨てることになる。この緊張感こそが、ウィッチャー3のクエスト設計で一番好きだったものとまさに同じだと感じる人は多いはずだ。

昼と夜の二面性も、単なるギミックではなく「昼の人間コーエン」と「夜の吸血鬼コーエン」という二つのアイデンティティの葛藤をゲームメカニクスで体現しようという試みだ。どちらの姿が「本当の自分」なのか、という問いをプレイヤー自身に問いかけている。

東欧の民話に根ざした世界観も、「吸血鬼ゲームまたか」という疲弊感を吹き飛ばしてくれるポテンシャルを持っている。ドラキュラの亜種ではなく、カルパチア山脈の土着の恐怖から生まれたヴァンパイア像は、本当にオリジナリティのある恐怖を提供できるはずだ。

懸念がないわけではない。初公開時の戦闘映像への批判、新スタジオが抱えるAAA開発の難しさ、古いUE5バージョンによるパフォーマンス問題のリスク。これらは発売後まで判断できない部分だ。

ただ、開発チームがコミュニティのフィードバックに素早く反応して修正を加えている姿勢は好ましい。「自分たちのゲームをよりよくするために批判を聞く」という姿勢は、大型スタジオよりも小規模スタジオのほうが実践しやすい部分でもある。

2026年リリース。具体的な発売日はまだ発表されていないが、開発チームは「2026年中に更多のアップデートを提供していく」と述べており、徐々に全貌が明らかになってくるはずだ。ウィッチャー3が好きで、吸血鬼ダークファンタジーに興味があるなら、このゲームの続報は追いかけておく価値がある。

個人的には、「すべてのクエストをこなせない30日間」という設計の中で、どんな選択を迫られるのかを早くプレイで体験したくて仕方がない。そういう期待を持てるゲームが2026年にリリースされる、というだけで十分に価値のある話だと思っている。


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