「RV There Yet?」ボロRVを友達と押して修理して帰る物理演算Co-opの大ヒット作

目次

「RV There Yet?」ボロRVを友達と押して修理して帰る物理演算Co-opの大ヒット作

RV There Yet? ボロいRVで山道を走る4人Co-opゲームのスクリーンショット

「おい、ギア入れろ!」「わかってる、今ウィンチ固定中!」「ちょっと待って俺RVから落ちた」「なんで!?」

最初の30分でこういう会話が5回は起きる。そして笑いが止まらなくなる。

RV There Yet?は、2025年10月21日にSteamでリリースされた物理演算ベースの4人Co-opゲームだ。スウェーデンの小さなスタジオNuggets Entertainmentが、わずか3ヶ月の開発期間(ゲームジャムから発展した形で)で作り上げた作品にもかかわらず、初週だけで128万本を売り上げ、同時接続プレイヤー数はピーク時に10万人を突破。Steamの週間ベストセラーチャートに堂々と居座り、2ヶ月後には250万本、そしてリリースから約2ヶ月で450万本という驚異的な数字を叩き出した。

ゲームの内容を一言で言うなら、「キャンプから帰れない」だ。ボロボロのRV(キャンピングカー)で山奥の帰り道を走ろうとしたら、道が崩落していてルートを変えざるを得なくなった。Mabutts Valleyというワイルドな山岳地帯を通り抜けて、Route 65を目指す。その道のりは岩崩れ、急斜面、沼地、熊、川、溶岩地帯とあらゆる障害が待ち受けていて、友達と協力しないと絶対に乗り越えられない。

このゲームは「面白いじゃん」というレベルをとっくに超えている。「この体験を友達に共有したくてたまらない」という衝動を起こさせる、数年に一度のCo-op体験だ。今回はそのすべてを掘り下げる。

こんな人に読んでほしい

RV There Yet? 仲間と協力してRVを操作する様子

  • 友達と笑いながらゲームがしたい、でも最近ピンとくるものがなかった人
  • OvercookedやMoving Out、Human: Fall Flatのような「物理演算Co-op」が好きな人
  • 「ゲームジャムで生まれたインディーが450万本」というニュースが気になった人
  • Discord通話しながら遊べる、フレンドと一緒に盛り上がれるゲームを探している人
  • Steamで1,000円以下で買えるコスパの良いゲームを探している人
  • ストリーマーやYouTuberが爆笑しているシーンを見て「なにこれ面白そう」と思った人
  • スウェーデン発インディーゲームの底力を体感したい人

RV There Yet?とは何か

RV There Yet? Mabutts Valleyの山岳地帯を走るRV

RV There Yet?は、最大4人のプレイヤーが一台のRVを協力して運転しながら、険しい山岳地帯を乗り越えて帰宅を目指す物理演算Co-opアドベンチャーゲームだ。

舞台はMabutts Valley(マバッツ・バレー)と呼ばれる5kmほどの山間ルート。プレイヤーたちはキャンプ旅行の帰りに本来のルートが通れなくなり、この迂回路を走ることになる。しかしこの迂回路が、文字通りの悪路だ。

崖から落ちそうな狭い山道、突然現れる岩崩れ、深い泥沼、急勾配の坂、川の浅瀬、そして熊。RVは古びたボロ車で、少しぶつけただけでタイヤがパンクしたり、エンジンがオーバーヒートしたりする。燃料が切れれば誰かが外に出て探してくる必要があるし、食料が尽きれば体力が回復しない。

そして最大の特徴は、「全員でひとつのRVを操作する」という設計にある。誰か一人が運転席に座ってステアリングとシフトチェンジを担当し、別の人がウィンチを操作して岩を巻き取り、もう一人がタイヤ交換に走り、残りの一人がRVを外から押す。誰一人として「観客」になれない構造だ。

RVには前後にウィンチが装備されており、これが乗り越えられない障害を突破する主要な手段になる。ロープを岩や木に引っ掛けてRVを引き上げるか、障害物そのものをどかす。このウィンチ操作が直感的でありながら奥深く、「ここにロープをかけたら……なるほど!」という瞬間が何度も訪れる。

タイヤ交換、燃料補給、エンジンの修理、食料採集、野生動物の撃退。これらの作業は基本的に「誰かがRVを降りて手作業でやる」必要があり、その間もRVはちゃんと止まってもらわないと困る。「ちょっと待って!降りる!」→「わかった待つ」→「え、動いてる!」という絵に描いたような混乱が毎セッションで起きる。

ゲームエンジンはUnreal Engine。物理演算はしっかり作り込まれており、坂の傾斜でRVがずるずる滑り始める挙動、ウィンチで引っ張ったときの車体の傾き、外に出たプレイヤーが岩の上から転げ落ちる動き、どれもが「なんとなくリアル」で「でも笑える」絶妙なラインに調整されている。

開発者のNuggets Entertainmentは、Coffee Stain Studiosの元開発者たちが2023年に設立したスタジオだ。Coffee Stain Studiosといえばあの「Goat Simulator」を生み出した会社で、物理演算で笑いを生み出すという伝統はRV There Yet?にも確かに受け継がれている。スタジオの主要プロジェクトAMONG THE WILDの合間に、「とりあえず作ってみようか」という感じでゲームジャムを開催したのがこのゲームの始まりだった。

基本情報

タイトル RV There Yet?(アールブイ・ゼア・イェット?)
開発・パブリッシャー Nuggets Entertainment(スウェーデン・スコヴデ)
リリース日 2025年10月21日
ジャンル 物理演算Co-opアドベンチャー
プラットフォーム PC(Steam / Windows)
価格 $7.99(約1,200円)
プレイ人数 1〜4人(オンラインCo-op)
プレイ時間 初回クリアまで約3〜5時間
対応言語 英語(メインUI)、日本語ローカライズ作業中
ゲームエンジン Unreal Engine
Steam評価 非常に好評(約91%が好評、7万件超のレビュー)
初週販売本数 128万本(4日で100万本突破)
累計販売本数 450万本超(2025年12月時点)
同時接続プレイヤー数ピーク 約99,843人

なぜここまで売れているのか

RV There Yet? ウィンチで障害物を突破するシーン

「全員が何かをやっている」設計の完成度

Co-opゲームの最大の失敗パターンは「暇な人が出る」ことだ。誰かが操作しているときに、残りのプレイヤーが手持ち無沙汰になる瞬間が生まれると、体験の密度が一気に落ちる。

RV There Yet?はこの問題をほぼ完璧に解決している。RVが動いているときは運転手がステアリングとギアシフトに集中し、助手席のプレイヤーがウィンチの準備や車外への注目ポイントの報告を担当する。RVが止まっているときは全員が外に出てそれぞれの作業にかかる。誰も「見ているだけ」になれない。

特に「マニュアルシフト」の存在が絶妙だ。このゲームのRVは5速マニュアルトランスミッションで、運転手は坂道やぬかるみに合わせてギアを手動で変える必要がある。ギアを間違えるとエンジンが唸り、下手をするとスタックする。「1速!1速入れて!」という掛け声が自然と発生し、ゲームを知らない人でも会話に参加できる。

このシステムは一見「複雑すぎる」と感じるかもしれない。しかし実際にプレイしてみると、この複雑さこそが「やること」の密度を生んでいることがわかる。簡単すぎるゲームはすぐに飽きる。難しすぎるゲームは挫折する。RV There Yet?は、「難しいけど絶対に諦めたくない」という絶妙なバランスを保っている。

1,200円というバリュー

値段の話を外すわけにはいかない。RV There Yet?のSteam価格は$7.99、日本円で約1,200円だ。

4人で遊べば一人あたり300円。コンビニのコーヒー1杯分で、友達4人が3〜5時間爆笑できる体験が買える。この価格設定は意図的ではなく、「ゲームジャムで始まったプロジェクトだから大きな商業的野心はなかった」という開発側の背景から来ているが、結果としてこの価格がバイラル拡散に大きく貢献した。

「とりあえず買ってみよう」というハードルが極めて低い。1,200円なら失敗しても痛くない。その結果、「なんか面白いらしいよ」という軽い口コミだけで友人グループ全員が購入するというパターンが世界中で繰り返された。

Steamチャートを見ると、リリース直後の急騰ぶりが一目瞭然だ。初日から週間ベストセラー入り、4日で100万本突破、1週間で128万本。このペースはIndieの世界でも異例で、このゲームは2025年における「10万人以上の同時接続プレイヤーを記録したインディーゲーム」の10本目となった。

ゲームジャムから生まれた「素朴な楽しさ」

Nuggets Entertainmentの開発話は少し特別だ。スタジオの主要プロジェクトの合間に、メンバーがジムで雑談していたときに「RVで友達と旅するゲームを作ったら面白いんじゃないか」というアイデアが出た。ランチに持ち越した話は、気がつけばゲームジャムの企画になっていた。

最初の想定は数週間での完成。ところが2週間の延長を挟みながら、最終的に3ヶ月の開発期間になった。それでも大型スタジオの基準で見れば信じられないほどの短期間だ。

この「素早く作った」という背景が、ゲームの味わいに直接影響している。余計な説明がない。チュートリアルはシンプル。ゲームは「さあ乗れ、走れ、なんとかしろ」と言わんばかりに始まる。磨きすぎていないある種の粗さが、このゲームに「友達の手作りゲーム感」のような親しみやすさを与えている。

「こんなゲームを作るつもりはなかったし、こんなに大きくなるとは夢にも思わなかった」と開発者たちは語っている。そして450万本を突破した後、「作るつもりのなかったゲームに、予定になかったアップデートを届ける」として新マップ「Mt. Yurbuttsk」を無料で追加した。このエピソードが世界中のゲームメディアで取り上げられ、さらなる話題を呼んだ。

ストリーマー文化との相性の良さ

RV There Yet?のバイラル拡散において、TwitchとYouTubeの存在は無視できない。このゲームは「見ていて面白い」という、ストリーミングコンテンツとしての資質を高いレベルで備えている。

プレイヤーが失敗するたびに笑いが生まれる。ウィンチを操作ミスしてRVが崖から落下する瞬間、タイヤ交換中に別のプレイヤーが誤ってRVを動かしてしまう瞬間、熊に追いかけられて仲間を見捨てて先に逃げる瞬間。こういったハプニングが5分に1回は起きる密度で詰め込まれている。

「クリップ映え」するゲームだ。誰かが面白い事故を起こすたびに切り抜き動画が作られ、SNSで拡散される。そのサイクルが新規プレイヤーを呼び込み、彼らがまた新たなクリップを生む。この連鎖がリリースから最初の1ヶ月間、途切れることなく続いた。

Coffee Stain DNA

Nuggets Entertainmentを立ち上げたのは、Coffee Stain Studiosの元CEOを含む開発者たちだ。Coffee Stain Studiosといえば、Goat Simulatorで「意図的なバグを笑いに変える」という物理演算コメディの文法を確立した会社だ。その後も、Satisfactoryというオープンワールド工場建設ゲームでハードコアゲーマーを満足させた実績を持つ。

Nuggets Entertainmentのメンバーは、その両方の文化を体に染み込ませている。物理演算で笑いを生む技術と、ゲームプレイとしての骨格をしっかり作り込む技術の両立。RV There Yet?の完成度は偶然ではなく、このチームの経験が土台にある。

ゲームプレイを詳しく解説

RV There Yet? ドライバーとウィンチオペレーターが協力するゲームプレイ

役割分担と協力の仕組み

RV There Yet?はロールを自動的に割り振るシステムを持っていないが、実際にプレイすると自然と役割が生まれる。おおよそ以下のような分担になることが多い。

ドライバー:RVのステアリングとマニュアルシフトを担当。最も直接的な操作を行う役割で、路面の状況を読みながらギアを選択し、坂道では慎重にブレーキをコントロールする。熟練すると「ドライバーが上手い」だけでクリアできる局面も増えてくる。

ウィンチオペレーター:RVの前後に装備されたウィンチを操作する。ロープを岩や木の幹に引っ掛けて固定し、ウィンチで巻き取ることでRVを引っ張り上げたり、障害物をどかしたりする。狙いを定めるのにコツが必要で、慣れると頼りになる存在になる。

メカニック:タイヤ交換、エンジン修理、燃料補給を担当。RVはダメージが蓄積すると各部が劣化していき、放置すると走行不能になる。メカニックは常にダメージ状態を把握し、適切なタイミングで修理に入る判断力が求められる。

スカウト/フォワード:RVを降りて先を偵察したり、必要な資材を集めたりする役割。燃料缶や食料は周囲に落ちていることがあり、これを回収しておくと後が楽になる。また、前方の道の状況を他のプレイヤーに伝えることで、ドライバーが事前に対策を立てられる。

ただし、これらの役割は固定ではない。状況に応じて全員が外に出て協力することもあれば、一人が複数の役割をこなすこともある。「今は全員でウィンチを引く時間だ」「俺が押すから運転手はエンジンかけてくれ」という会話が自然と生まれる。

マップとチェックポイント

Mabutts Valleyには16のチェックポイントが設置されており、到達するたびに進行がセーブされる。ゲームオーバーになっても直近のチェックポイントから再開できるため、「最初からやり直し」という絶望感はない。

マップは大きく5つのゾーンに分かれており、各ゾーンで異なる地形と障害が待ち受ける。序盤の森林地帯では木が倒れていたり、急な坂道があったりする。中盤の岩山地帯では落石や崖があり、ウィンチを多用する場面が増える。後半の沼地では沈みやすい地面に悩まされ、終盤は……プレイして確かめてほしい。

資源は道中に散らばっており、燃料缶、スペアタイヤ、食料、修理部品などが自然の中に置かれている。これらをどのタイミングで回収するか、どこまで温存するかという判断が、ゲームの難易度を大きく左右する。

新マップ「Mt. Yurbuttsk」(2025年12月追加)

450万本突破を機に無料で追加されたMt. Yurbuttskは、氷と岩で覆われた冬の山岳マップだ。Mabutts Valleyとは全く異なる地形で、凍結した路面での操作感、吹雪による視界の制限、雪崩といった新たな要素が加わっている。

「作るつもりなかったゲームに、予定もなかったアップデートを届ける」という開発者のコメントとともに発表されたこのアップデートは、プレイヤーコミュニティに大きな驚きと感謝をもって受け入れられた。既存マップをクリアしたプレイヤーに新たな挑戦を提供しながら、新規プレイヤーに対しても「まだまだコンテンツがある」というメッセージになっている。

ソロプレイについて

RV There Yet?はソロプレイにも対応しているが、これは本来の設計ではない。ソロではRVの操作から資材回収まで全てを一人でこなす必要があり、難易度は跳ね上がる。Steam掲示板には「ソロでクリアした」という報告もあるが、多くのレビューが「ソロで遊んでつまらなかった」という感想を残している。

このゲームはフレンドと遊ぶためのゲームだ。ソロプレイは「友達が来るまでの練習」程度に考えておくのが正解だと思う。

評価ポイント — ここが好き

RV There Yet? 物理演算で予測不能な事態が起きるシーン

「失敗が笑いになる」設計

良いCo-opゲームと悪いCo-opゲームの分岐点は「失敗したとき」に現れる。失敗が不快な体験になるゲームは、誰かがミスをするたびに雰囲気が悪くなる。しかしRV There Yet?では、失敗するほどに笑いが増す。

なぜそうなるかというと、失敗のほとんどが「予測不能な物理演算」から生まれるからだ。誰かの操作ミスで失敗するのではなく、物理法則に従った結果として想定外のことが起きる。「俺のせいじゃない、RVが急に転がっていった」という弁明が文字通り正当化される場面が何度も出てくる。責任の所在が曖昧になることで、失敗を笑って流せる空気が生まれる。

たとえばウィンチのロープをかけようとして、誤ってRVのボンネットにひっかけてしまい、自分でRVのエンジンをへこませる。燃料を補給しようとして缶を落とし、崖の下に転がっていく。熊から逃げようとしてRVに飛び乗り、そのままRVを動かしてしまって仲間を轢く。これらは全て「実際に起きた」報告だ。そしてどれも笑える。

コミュニケーションが自然に生まれる

RV There Yet?の特筆すべき点のひとつは、プレイヤーに「喋る理由」を与え続けることだ。

「前方に岩崩れ、止まれ」「燃料が残り少ない、近くに補給ポイントないか」「俺が外から押すから、クラッチ踏んでギア1に入れて」「ウィンチのロープが届かない、もう少し前に出れる?」こういった実務的な会話が、ゲームを通じて途切れなく続く。

このゲームは「ボイスチャットなしでは遊びにくい」と言い換えることもできるが、裏を返せば「ボイスチャットをする口実」を常に提供し続けるということでもある。普段あまり話せていない友達とオンラインで集まって遊ぶには、これほど適したゲームはないかもしれない。

ゲーム内にはプロキシミティチャット(距離に応じた声の減衰)も実装されており、RVから離れた場所にいるプレイヤーの声が遠くなる演出がある。これが「迷子になった感じ」を強調し、チームとしての絆を逆説的に高める。

「知識」が積み重なる達成感

最初のプレイでは、Mabutts Valleyはカオスの連続だ。どこに何があるかわからない。どの障害にどう対処すればいいかわからない。ウィンチのロープをどこに引っ掛ければいいかわからない。

しかし2回目、3回目と挑戦を重ねると、「あそこの曲がり角は右側に固定できる岩がある」「このぬかるみは左側を大回りすれば避けられる」「燃料缶はあの小屋の裏に必ず置いてある」という知識が蓄積されていく。この「知識が増えるにつれてゲームが上手くなる感覚」はシンプルだが非常に中毒性が高い。

友達グループで繰り返し遊んでいると、自然と「あそこ知ってる?」「この方法が楽だよ」という情報交換が生まれ、チームとしての熟練度が上がっていく。その過程自体が楽しい。

「お父さんゲーム」的な美学

RV There Yet?のキャラクターたちは、若者ではなく中年のおじさん風のデザインだ。ダサいジャージを着て、タバコを吸いながら、ボロいRVでキャンプ旅行から帰ろうとしている。このビジュアルセンスを「dad-core(お父さんコア)」と表現したレビューがあったが、言い得て妙だと思う。

ゲームのトーン全体が「真剣にバカなことをやっている」感じで統一されている。ゲームはプレイヤーを笑いに行っているわけではなく、プレイヤーのRV旅行をドタバタさせているだけ。その空気感がゲームプレイとうまくかみ合っていて、世界観への没入感を高めている。

$7.99という「試しやすさ」

繰り返しになるが、価格について改めて言及したい。$7.99という価格設定は、このジャンルのゲームとして見ても破格に安い。OvercookedやMoving Outが$25〜$30程度であることを考えると、RV There Yet?は同種のゲームの3分の1以下の価格で同等以上の笑いを提供している。

この安さが「全員が購入するハードル」を下げ、Co-opゲームの最大の障壁である「参加者全員が持っていなければ遊べない問題」をクリアしやすくしている。「俺が買うから他の3人も買ってくれ」と言いやすい価格だ。

賛否が分かれるポイント

RV There Yet? 険しい地形でRVが苦戦するシーン

バグと技術的な問題

Steamの否定的レビューを見ると、技術的な問題への不満が目立つ。「RVが急に動かなくなった」「プレイヤーがマップの外に落ちた」「倒れたプレイヤーが復活できなくなった」「ウィンチのロープが岩ではなく空中に固定された」など、ゲームブレイキングなバグの報告がある。

これらの問題はゲームジャムを起源とする短期開発の影響もあるだろう。Nuggets Entertainmentは継続的にパッチを当てており、リリース直後に比べると安定性は改善されているが、2025年末時点でもバグは完全には解消されていない。

「面白かったけど、ゲームブレイキングなバグでセッションが台無しになった」という体験は、完全な否定レビューの多くに共通している。このゲームを購入するなら、「たまに変なことが起きる」ことを受け入れる心の準備が必要だ。あるいは、変なことが起きたときも笑えるメンタリティがあれば問題ない。

コンテンツの「短さ」

Mabutts Valleyのクリアまでにかかる時間は、慣れたグループなら3時間程度、初心者グループでも5時間あれば足りる。これを「短い」と感じるか「適切」と感じるかは人によって分かれる。

Mt. Yurbuttskの追加により多少ボリュームは増したが、それでも$7.99のゲームとしては妥当な分量に収まっている。「リプレイ性が低い」という批判もあるが、同じルートを複数回走ることで上達の喜びがあるという点では、繰り返しプレイに意味はある。チームメンバーが変わるだけで体験が変わるのも事実だ。

ランダム性が少ない

Mabutts Valleyのマップレイアウトは固定で、資材の配置もほぼ毎回同じだ。RNG(ランダム要素)がほとんどないため、複数回プレイすると「パターンが見えてくる」感覚がある。これを物足りなく感じるプレイヤーも一定数いる。

OvercookedシリーズやMoved Outなどと比較すると、「毎回異なる状況への対応」という要素が薄い。新鮮な驚きは初回プレイが最も多く、2回目以降は知識を使って効率的にこなすフェーズに移行する。これをゲームの成長と見るか、新鮮味の喪失と見るかは好みによる。

ソロには向かない

前述したが、友達がいない状態ではこのゲームのポテンシャルの半分も引き出せない。Steam掲示板には「ソロで遊んだらつまらなかった」というレビューが散見され、それらの多くは「友達と遊んでくれ」という返信を受けている。

これはゲームの欠点というより、ジャンルの性質だ。しかし「友達と時間が合わない」「フレンドが少ない」という現実的な問題は、特定のプレイヤー層にとっての購入障壁になっている。ゲーム内にはランダムマッチング機能がなく、フレンドか招待した相手とのみプレイできる仕様も、フレンドがいないプレイヤーには辛い設計だ。

コントローラーサポートとUIの不備

ボタン割り当ての確認画面がない、コントローラーのキーリマップができない、ゲーム内でコントローラーのボタン表示が正しく表示されないといった問題が報告されている。Steam Deckでのプレイを試みたプレイヤーからは、操作が把握しにくいという声も上がっている。

また、ゲームを一時停止できない(ソロプレイ中も含む)という仕様は、トイレ休憩や急な離席の必要があるプレイヤーには不便だ。これらはいずれも後続のアップデートで改善が期待されるポイントだ。

プレイヤーの声

「最初はただ笑えるゲームだと思ってた。でも気づいたら3時間経っていて、声が枯れていた。チームのウィンチ担当が岩ではなくRVのドアに引っ掛けてRVが二つに折れかけた瞬間、笑いすぎて涙が止まらなかった。1,200円でこれは安すぎる。」

— Steam レビュー(日本語ユーザー)

「4年間音信不通だった大学時代の友達3人でプレイした。RVが崖から落ちるたびに笑って、結局クリアまでの5時間ずっと笑い続けた。こういう体験をくれたゲームに感謝しかない。」

— Steam レビュー(ポジティブ、2025年10月)

「ゲームとしての完成度は高くない。バグもある。コンテンツも少ない。でも『友達と遊んで笑える』という一点においては、ここ数年で最高だった。ゲームとして評価するなら7/10、体験として評価するなら10/10。」

— GameGrin レビューより

「物理演算は正直に言うとまだ荒削りで、RVが木にかすっただけでタイヤが爆発したりする。でも、そのカオスが笑いになるから不思議と怒れない。Goat Simulatorのあの感じ、わかる人はわかると思う。」

— NGOHQ.com レビューより

「Discord通話しながら4人でプレイ。ウィンチの操作ミスで仲間が崖から落ちる瞬間が面白すぎて、キーボードが手元からずり落ちた。笑えるゲームが欲しいならこれ一択。」

— Steam レビュー(英語ユーザー、2025年11月)

「シングルプレイでやったら全然面白くなかった。友達と一緒じゃないとダメなゲームだと思う。でも友達と一緒なら間違いなく買い。値段分以上の価値がある。」

— Steam レビュー(注意書きつきポジティブ)

「開発者が『作るつもりなかったゲームに予定もなかったアップデートを届ける』と言って新マップを無料で追加してくれた。こういうスタジオを応援したい。」

— TechReviewer.com レビューより

似たゲームはこれ

RV There Yet? 新マップMt. Yurbuttskの冬山ステージ

RV There Yet?が好みに合いそうなら、こちらのゲームも気に入るはずだ。逆に、これらのゲームが好きなら、RV There Yet?も間違いなく刺さる。

PEAK

2025年のSteamを席巻した物理演算Co-op登山ゲーム。山頂を目指して仲間と協力するが、ちょっとしたミスで全員が転落する理不尽さがたまらない。RV There Yet?と同じく「失敗が笑いになる」設計で、どちらも「仲間と遊ぶためのゲーム」として最高の体験を提供する。序盤の難しさとクリア時の達成感はPEAKの方がやや上かもしれない。

Overcooked! 2

「全員で協力して1つの目標を達成する」というCo-opゲームのお手本。料理を作って配膳するシンプルなルールが、ステージごとに変化するキッチンのギミックで何度でも新鮮に遊べる。RV There Yet?よりもルールが明確でとっつきやすく、Co-opゲーム初心者にも向いている。

Moving Out

引越し業者として家具を搬出する物理演算Co-op。RV There Yet?と共通する「物理演算で思い通りにいかない楽しさ」を持ち、適当に遊んでも笑いが生まれる設計が秀逸。難易度が低めで、ゲームが苦手な友達とも遊べる。

Human: Fall Flat

ぐにゃぐにゃした動きの人形を操作して謎解きとステージクリアを目指すCo-op。物理演算による「思い通りにいかない操作感」がそのままコメディになるゲームで、最大8人まで参加できる。RV There Yet?よりもパズル要素が強く、謎解きを楽しみたいグループに向いている。

Chained Together

鎖で繋がれたキャラクターたちを操作する地獄の協力プラットフォーマー。距離を保ちながら一緒にジャンプして上を目指すが、一人が失敗すると全員が落下するシビアな連帯責任システムが最高に笑える。RV There Yet?よりも難易度が高めで、達成感も大きい。

Goat Simulator 3

同じくNuggets Entertainmentのルーツである Coffee Stain Studiosが生み出したシリーズ。物理演算でカオスを作り出すという哲学の先輩格で、RV There Yet?の「ゲームジャム精神」の背景を理解したいなら遊んでみる価値がある。こちらは破壊衝動を満たしたいときに最適。

Totally Accurate Battle Simulator(TABS)

物理演算で繰り広げるバトルシミュレーターで、こちらも「予測不能な物理演算を楽しむ」という点でRV There Yet?と通じるものがある。自分で軍を編成してバトルを観戦するスタイルで、こちらはソロ・Co-op両方で楽しめる。

Keplerth / テラリア / Stardew Valley(Co-opモード)

ガッツリやり込み系のCo-opが好きなら、ある程度の「本腰を入れて遊ぶ」ゲームに移行するのも良い選択だ。RV There Yet?はセッションが短く気軽に遊べる反面、長期的なプロジェクトがないため、満足したら次のゲームへという流れになりやすい。

まとめ — 友達がいるなら今すぐ買え

RV There Yet?は完璧なゲームではない。バグがある。コンテンツは多くない。ソロでは楽しくない。物理演算はときどき理不尽だ。

それでも、このゲームを買った450万人以上のプレイヤーの大半が「買ってよかった」と思っているのは確かだ。なぜなら、このゲームが提供するものは「ゲームとしての完成度」ではなく「友達と笑った記憶」だからだ。

RVが崖から落ちる瞬間の絶叫。ウィンチがうまく決まったときの歓声。熊に追いかけられながら必死でRVに飛び乗る5秒間。燃料切れ寸前でギリギリチェックポイントに到達したときの安堵。こういった瞬間を友達と共有できるゲームは、そう多くない。

Coffee Stain Studiosの元開発者たちが「とりあえず作ってみた」ゲームが、3ヶ月の開発でここまでの体験を生み出したことには、正直驚いた。良いゲームを作るのに莫大な予算も時間も必要ないことを、このゲームはあらためて証明している。

「最近笑えるゲームがない」「友達と久しぶりに集まって遊びたい」「Co-opゲームを探している」――このどれかに当てはまるなら、1,200円を払う価値は確実にある。Discordを開いて友達に声をかけよう。「RV There Yet? ってやつ、みんなで買わない?」のひとことが、今夜の最高の体験への入口になるはずだ。

ちなみに開発者たちは今も「予定になかったアップデート」を少しずつ続けている。このスタジオが次に何を作るか、楽しみにしている自分がいる。

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