「PUBG」という4文字を見たとき、あなたは何を思い浮かべるだろうか。
エランゲルの平原を駆け抜けるスリル。フライパンで弾を弾いた瞬間の爆笑。飛行機から飛び降りる前の、独特の緊張感。2017年に世界を変えたバトルロワイヤルの原型——それがPUBGだった。Steamでの同接記録を何度も更新し、世界中でプレイヤーを生み出した伝説的タイトルだ。
そのPUBGスタジオが、2025年末に新たなプロジェクトを世に問うた。
タイトルは「PUBG: Black Budget(ブラックバジェット)」。バトルロワイヤルではない。今度は「エクストラクションシューター」というジャンルへの、真剣な挑戦だ。
2025年12月に実施されたクローズドアルファは、予想を大幅に上回る参加者を集めた。コミュニティの反応は真っ二つに割れ、Steam掲示板は「これは天才的」「いや全然ダメだ」という声で溢れた。それほどまでに賛否が激しく分かれたということは、少なくとも誰もが何かを感じたということだろう。
この記事では、PUBG: Black Budgetについてわかっていることを全部まとめていく。ゲームの世界観、システムの詳細、アルファ版の実態、競合タイトルとの比較、そして「このゲームは自分に向いているか?」を判断するための材料まで。長くなるけど、気になっている人はぜひ最後まで読んでほしい。
PUBG: Black Budgetとはどんなゲームか

まず基本から押さえておこう。
PUBG: Black Budgetは、韓国のKRAFTON(クラフトン)のゲームスタジオPUBG Studiosが開発中のPC向けエクストラクションシューターだ。「エクストラクションシューター」という言葉が初めての人向けに説明すると、「マップに侵入→物資を集める・ミッションをこなす→生きて脱出する」という三段構えが核のゲームジャンルだ。死んだら持ち込んだ装備を失い、脱出成功なら全部持って帰れる——このリスクとリターンのせめぎ合いが最大の魅力になる。
Escape from Tarkov(タルコフ)が切り拓き、Arena Breakout: Infinite、ARC Raiders、Gray Zone Warfareなどが追いかけてきたジャンルに、ついにPUBGブランドが本格参戦する形だ。
特筆すべきは、通常の抽出シューターとは少し違う「PUBG的ひとひねり」が加わっている点だ。アノマリー(Anomaly)と呼ばれる超常現象が島を徐々に侵食していき、プレイヤーを中央エリアに追い込んでいく。これはバトルロワイヤルの縮小サークルそのものの機能であり、「バトルロワイヤルのDNAを持った抽出シューター」という新しい組み合わせを実現している。
「Black Budget」という名前の意味
タイトルの”Black Budget”は、単なるかっこいいキャッチコピーではない。「ブラックバジェット」とは、議会や国民の目に触れることなく秘密裏に運用される機密軍事予算のことだ。CIAの極秘作戦や、公式には存在しない研究施設の資金調達に使われる——そういう「影の世界」のお金のことを指す。
このタイトルがそのままゲームの世界観の核になっている。プレイヤーが降り立つ孤島「コリ島(Coli Island)」は、まさにそのブラックバジェットで運営されていた秘密研究施設「SAPIENS」があった場所だ。誰も知らない場所で、誰も知らないことが行われていた——その痕跡を探りながら戦うわけだ。
世界観と舞台——タイムループに囚われた孤島「コリ島」

PUBG: Black Budgetの舞台は「コリ島(Coli Island)」という孤立した島だ。広さは2.5km×2.5km。複数のバイオーム(生態圏)を持ち、地上の廃墟から地下深くに伸びるバンカー・研究施設まで、縦方向にも奥行きのある作りになっている。
この島が面白いのは、「2002年で時が止まっている」という設定だ。島全体が謎の超常現象「アノマリー」に包まれ、時間のループに閉じ込められている。プレイヤーは2033年(現在)から過去の島へと投入される傭兵「コントラクター」として行動する。
アノマリーはDNAを変異させると設定されており、それが島に存在する異形の敵(ホスティルエンティティ)の起源でもある。島で見つかる研究ログや遺留物を集めることで、「SAPIENS」という秘密組織が何をしていたのか、なぜ島がこんな状態になったのかが徐々に明らかになっていく。
SFとミリタリーを掛け合わせたような世界観は、これまでのエクストラクションシューターとは一線を画している。タルコフは「崩壊した近未来ロシア都市」、Arena Breakout: Infiniteは「中東の紛争地帯」という感じだが、Black Budgetは「孤島の超自然ミステリー」という色合いが強い。
地下施設に潜ったとき——あのじっとりとした空気感を、開発チームはどこまで作り込んでくれるだろうか。アルファ版をプレイしたレビュアーの中には「地下バンカーはほぼサバイバルホラーの感覚だった」と書いている人もいた。それが製品版でも再現されるなら、かなり独特の体験になりそうだ。
ゲームシステムの詳細——抽出ループの構造

PUBG: Black Budgetのゲームプレイは、大きく「レイド」と「拠点」の2つのフェーズで構成されている。
レイドフェーズ——島への潜入と脱出
1レイドは最長30分。最大45人のプレイヤーが同じマップに投入される(最大3人スクワッド編成)。プレイヤーは島のどこに降下するかを選べる——これがタクティカルな判断の最初のポイントだ。物資の多い中心部に飛び込むか、安全な外周から入って徐々に中を目指すか。
ゲームの構造はPvPvE(プレイヤー対プレイヤー対環境)だ。つまり、他のコントラクターとの戦いと、AIが操作する敵エンティティの両方と戦う必要がある。普通の抽出シューターと同じだが、「アノマリーによる異形の敵」という設定がフレーバーを加えている。
レイド中にできることは多い。ファクション(後述する3つの派閥)から受けたミッションの遂行、物資の収集、秘密研究施設のアーティファクト回収、他プレイヤーとの交戦または回避。時間をかければかけるほど良い物資が手に入るが、アノマリーが広がってきて危険が増す——このジレンマが緊張感を生む。
「アノマリーが縮む」という仕組みはバトルロワイヤルのサークル収縮と同じ効果を持つ。長くいたい、でも追い出される。この設計によって、抽出シューターにありがちな「時間が経っても誰とも会わずに安全に物資だけ集めて終わり」というモヤモヤした試合展開を防ごうとしている。
なお、プレイヤーのレベルによって難易度スケーリングがかかる。高レベルプレイヤーはより危険な敵と物資豊富なゾーンに案内される仕組みで、初心者と上級者が一方的に搾取し合う状況を軽減しようとしている。これはArena Breakout: InfiniteやARC Raidersが苦労してきた課題への対処でもあり、設計段階から意識されているのが伺える。
拠点(ベース)フェーズ——メタゲームの核心
レイドと同じくらい重要なのが「拠点(ベース)」だ。
脱出に成功して持ち帰った物資や装備は拠点のスタッシュ(保管庫)に入る。そこから先は、拠点の施設を使って次のレイドに備える。具体的には:
- クラフトステーション:回収した素材から武器・装備・消耗品を製作
- リサーチステーション:アーティファクトの解析・ナラティブの解明(ストーリーの進行ハブ)
- スタッシュアップグレード:保管容量の拡大
- 収入施設:拠点をアップグレードすることで、レイドに行かなくても一定の収入が入ってくる
さらにキャラクターのスキル・熟練度システムもある。繰り返しレイドをこなすことで、射撃精度や体力管理、物資の扱いに関するスキルが育っていく。これにより「今日は1時間しか遊べなかったけど、拠点の建設と素材整理をして明日に備えた」という、短時間プレイでも意味のある時間の使い方ができる。
タルコフのハイダウトシステムに近い設計思想だが、Black Budgetはそれをより「ベース構築ゲーム」的に拡張しようとしている印象だ。
3つのファクション(派閥)——誰に忠誠を誓うか
コリ島には3つの敵対勢力(ファクション)が存在し、それぞれがプレイヤーに対してコントラクト(契約任務)と報酬を提供する。どのファクションに忠誠を示すか——その選択が装備の幅と物語の展開に影響する。
ファクションごとに固有の装備・武器が存在する。特定のファクションを長く支援することでしか入手できない最高ランクの装備もある。「全部のファクションを均等に進めるか」「一つに絞って専用装備を早く開放するか」という戦略的な選択が生まれる。
ロイヤリティ(忠誠度)とレピュテーション(評判)は別々に管理される。一方のファクションに肩入れすると、他のファクションとの関係が悪化するというシステムになると思われる(詳細はアルファ版では未公開)。これがゲームに外交的・道徳的な深みを与えることになれば、単なる「稼いで装備を強化する」ゲームを超えた体験になりそうだ。
武器カスタマイズ——PUBGの遺産を継ぐシステム
アルファ版でプレイヤーが口を揃えて評価していたのが、武器のフィーリングだ。
「パンチの効いた反動、致命的なTTK(Time to Kill)、おもちゃ感のない重厚な銃声」——これはまさにPUBGの十八番だ。バトルロワイヤルとして磨き上げてきた射撃システムの資産が、エクストラクションシューターに移植されている感がある。
武器カスタマイズシステムも搭載される。スコープ、サプレッサー、グリップ、マガジン——各パーツを組み合わせて自分好みの一丁に仕上げる楽しさは健在だ。加えてファクション固有の限定装備があるため、ゲームをやり込むほど独自性の高い武器セッティングが可能になる。
2025年12月のクローズドアルファ——実際のところどうだったのか

PUBG: Black Budgetは2025年11月に発表され、同年12月にクローズドアルファテストが実施された。第1週が12月12〜14日、第2週が12月19〜21日。NDA(守秘義務)なしで、参加者は自由にプレイ映像を配信・共有できた。
Kraftonは後に「予想を大幅に上回る参加者と関心が集まった」と発表した。これは単なる自画自賛ではなく、コミュニティの温度感を示す重要な数字だ。ただし、参加規模については「Steamで同時接続2500人」程度だったとするスレッドも見受けられる——業界水準からすると控えめな数字ではある。
良かった点——可能性を感じさせる部分
アルファ版の評価で一致していたポジティブな要素を整理しよう。
ビジュアルと雰囲気——コリ島の見た目は高く評価されていた。廃墟と自然が溶け合った独特の景観、アノマリーに侵食された禍々しいエリア、地下施設の閉塞感と緊張感。「ゲームとして遊ぶ前から世界観として成立している」という感想が複数出ていた。
ガンプレイの基礎——銃声の重さ、反動の感触、TTKのシビアさ。ここはPUBGブランドの強みが素直に出ていた。「銃を撃つ気持ちよさはある。ちゃんとPUBGっぽい」という声が多かった。
QoL(生活の質)の改善——他の抽出シューターより遊びやすい工夫が随所に見られた。物資の拾い集めが近接ルーティング(近くのものをまとめて拾える機能)で楽になっていたり、治療の仕組みがシンプルだったり。Esports Insiderの記者は「タルコフよりARC Raidersより、このゲームが一番ストレスが少なかった」と書いていた。
インベントリシステム——最初は複雑に見えるが、一度慣れると「執拗に管理したくなる」ほどよく機能しているという評価があった。何をいくつ持てるか、どれを捨てどれを保管するか——この判断が抽出ジャンルの醍醐味を体現している。
探索の密度——地下施設に潜ったときの感覚が特に好評だった。「音のデザインと狭い視線がマップのペースに合っていて、ほぼサバイバルホラーだった」という声が複数出ていた。地上と地下でゲームの雰囲気が変わる設計は、マップの奥行きを感じさせる。
悪かった点——アルファ版の現実
一方で、批判も激しかった。これも正直に伝えておく。
動きのぎこちなさ——最も多く指摘されたのが「移動がぎこちない(jittery)」という問題だ。コリ島の探索が「アドベンチャーではなく苦行になっている」と書いたライターもいた。PUBGというブランドへの期待値が高かった分、これは痛かった。
戦闘認識の問題——敵がどこにいるのか、弾が当たっているのかわからない、という声が複数出た。「状況把握の難しさ」はKrafton自身も認め、優先的に改善する課題として挙げていた。
繰り返しによる疲労感——同じ動作を繰り返すごとに単調に感じてくる、という声があった。アルファ版のため提供コンテンツが限られていたことも影響しているが、ゲームループそのものに変化が欲しいという声として受け止める必要がある。
技術的な問題——クラッシュ、安定性の問題。アルファ版として想定内の問題ではあるが、「もっと準備してから出してほしかった」という意見も出た。
チート問題——アルファ段階から不正ツールの使用が確認されていた。Kraftonは段階的にセキュリティ強化とアンチチート強化を進めたが、根本的な解決は製品版での課題として残っている。抽出シューターは「装備のロスト」というシステムゆえに、チーターへの心理的ダメージが他ジャンルより大きい。この問題にどう対処するかはゲームの信頼性に直結する。
Steambaseのプレイヤースコアは586件のレビューから40/100(Mostly Negative)という結果だった。ただしこれはアルファ版——製品版の数字ではないことを前提に見てほしい。とはいえ、改善に向けた真剣な取り組みが必要な数字であることは間違いない。
PlayerIGN(インフルエンサー)は「他の何かでWOAHと感じたような感覚はない。Super Peopleくらいの成功に終わるんじゃないか」と書いた。Super Peopleはかつて鳴り物入りで登場しサービス終了した惜しいゲームだ。その比較は厳しいが、「PUBGブランドが期待値を上げすぎている」という構図を示している。
Kraftonのフィードバック対応
注目すべきは、Kraftonの反応だ。
アルファ終了後、Kraftonは「移動感覚と戦闘認識の改善」「繰り返しによる疲労感への対処」「チート対策強化」を明確に優先課題として発表した。批判的なフィードバックから目を背けず、具体的な改善ポイントとして受け取っているのは好印象だ。
PUBGはもともと、アーリーアクセス段階から継続的なアップデートでゲームを磨き続けて成功した例だ。「最初からパーフェクトではなく、コミュニティと一緒に作り上げていく」というスタンスは、Kraftonの開発文化に根付いていると言える。その姿勢がBlack Budgetにも引き継がれているなら、製品版に向けてかなり改善される可能性がある。
競合タイトルとの比較——2026年の抽出シューター市場

2025〜2026年は抽出シューターが乱立する時代だ。PUBG: Black Budgetはどこに立ち位置を取っているのか。主要タイトルと比べてみよう。
Escape from Tarkov——元祖ハードコア
ジャンルの元祖。崩壊したロシアの都市チェルスクを舞台に、極限のミルシム体験を提供する。2025年に正式リリース(1.0)を迎えた。価格は45ドル〜(PvEモードは250ドル)。
タルコフと比べてBlack Budgetは「アーケードよりの調整」を意識していると評価されている。弾の管理、保険システム、スキルの鍛え方——タルコフの複雑さに圧倒されて脱落した人が、Black Budgetなら続けられる可能性はある。ただし、タルコフの「理不尽さも含めた体験」が好きな人には物足りないかもしれない。
抽出シューターをじっくり知りたいなら、まずArena Breakout: Infiniteの記事も参考にしてほしい。このジャンルの全体像が掴めるはずだ。

ARC Raiders——2025年最大のヒット
2025年10月30日にリリース。Battlefieldの生みの親Patrick Soderlundが率いるEmbark Studiosが開発。発売1週間でSteam同接48万人、2026年1月には同接96万人、2026年2月時点で販売本数1,400万本。TGA(The Game Awards)2025でBest Multiplayer Gameを受賞した化け物タイトルだ。
価格は40ドル。「タルコフの核心を残しつつ、アクセスしやすく設計した」というコンセプトが刺さった。PC Gamerは「探索重視という点でBlack Budgetとの共通点がある」と指摘している。
Black Budgetがこの成功例に学ぶ部分は大きい。ただし、ARC Raidersの圧倒的な成功が先行した市場に後から入ることになるため、「これはARC Raidersとどう違うのか」を明確に打ち出せるかが勝負になる。

Arena Breakout: Infinite——基本無料の覇者
テンセント傘下のMoreFun Studiosが開発。2024年8月に早期アクセス開始、2025年9月に正式リリース。Steamでの最大同接65,993人を記録し、2026年3月現在も25,000〜30,000人が常時プレイしている。
最大の差別化要因は「基本無料」だ。Steam掲示板では「タルコフより優れてないのに有料なら誰もプレイしない」という声が上がっている。Black Budgetが有料リリースを選ぶなら、Arena Breakout: Infiniteに対して「お金を払う価値がある理由」をはっきり示す必要がある。
Black Budgetのポジションは「中間地点」
複数のレビュアーがBlack Budgetの立ち位置を「Gray Zone Warfareのマップ感 + タルコフの基礎システム + ARC Raidersのアクセシビリティ」という言葉で表現していた。つまり、どれかひとつに特化するのではなく、複数タイトルの良いとこ取りを目指している。
これは強みにもなり弱みにもなる。「何かひとつ突き抜けた要素がない」とも解釈できる。ただし、PUBGという圧倒的なブランド力と「タイムループ×バトルロワイヤル的収縮」という独自の世界観・システムは、明確な差別化要素だ。
「誰に向いているか」——プレイヤー類型で考える
PUBG: Black Budgetは万人向けではない。でも「刺さる人には深刺さる」可能性があるタイトルでもある。どんな人に向いているか、率直に書いておく。
このゲームが向いていると思う人
PUBGで長く遊んだ人——ガンプレイの基礎はPUBGの伝統を受け継いでいる。あの独特の銃撃感が好きだった人は、Black Budgetで同じ感触を楽しめる可能性が高い。
タルコフに挫折した人——「タルコフの緊張感は好きだけど、価格と難易度の壁が高すぎた」という層にBlack Budgetは届くはずだ。アーケードよりのバランスと、QoLの改善で入りやすくなっている。
ストーリーと世界観も楽しみたい人——タイムループとSAPINSの謎、コリ島の秘密を解き明かしていくナラティブ要素は、「とにかく銃で撃ち合いたいだけ」という人以外への訴求になる。拠点のリサーチステーションでアーティファクトを解析しながらストーリーを追う体験は、このジャンルにあまりなかったものだ。
拠点構築・クラフトゲームが好きな人——ベースシステムの充実度は注目ポイントだ。レイドから帰って素材を整理して施設をアップグレードして——というメタゲームループは、ARKやRustのような建設系ゲームが好きな人の琴線にも触れるかもしれない。
バトルロワイヤルと抽出シューターを両方楽しみたい人——アノマリーの縮小システムは、バトルロワイヤルのエッセンスを抽出シューターに持ち込んだものだ。どちらのジャンルも遊んできたハイブリッドプレイヤーには特に響きそうな設計だ。
ちょっと待ってほしい人
タルコフのコアファン——「ミルシム体験こそ正義」「弾1発の重さが全て」という人には、Black Budgetのアーケードよりの調整は物足りなく感じるかもしれない。タルコフ正式版(1.0)が出た今、あえてBlack Budgetに乗り換える必要性は薄い。
ARC Raidersで満足している人——2025年最高の抽出シューターをすでに手にしているなら、Black Budgetが「それ以上の何か」を提供できるかを見極める必要がある。現時点ではARC Raidersを超える要素が何かを断言するのは難しい。
チート環境に敏感な人——アルファ段階からチートの報告が出ていたのは事実だ。製品版でどこまで対策されるかは未知数で、「装備をロストさせられる体験」はチート問題と直結する。PUBG本家もチート対策で長年苦労してきた歴史がある。
今すぐ遊びたい人——2026年3月現在、次のテスト予定も発売日も発表されていない。「気になっている」程度なら、ARC RaidersやArena Breakout: Infiniteに先に手を出しておいて、Black Budgetは発売後のレビューを見てから判断するのがリスクが少ない。
動作要件——自分のPCで動くか確認しよう
PUBG: Black BudgetはDirectX 12対応のWindows 11環境が必要だ。要件は以下の通り。
| 最低要件 | 推奨要件 | |
|---|---|---|
| OS | Windows 11 | Windows 11 |
| CPU | Intel Core i5-8400 / AMD Ryzen 5 2600 | Intel Core i5-12400 / AMD Ryzen 5 5600 |
| メモリ | 16 GB RAM | 16 GB RAM |
| GPU | NVIDIA RTX 2060 8GB / AMD Radeon RX 6600 | NVIDIA RTX 3070 / AMD Radeon RX 6800 |
| DirectX | バージョン12 | バージョン12 |
| ストレージ | 30 GB | 30 GB |
最低要件にRTX 2060(8GB)が入っているのは注目ポイントだ。RTX 2060は2018年末に登場したカードで、5〜7年経過した今でも現役の人も多い。ただし最低動作保証なので、快適に遊ぶなら推奨の3070以上を用意しておいたほうが無難だろう。
メモリが推奨でも16GBなのは現代のゲームとしては控えめで、この点はありがたい。ストレージも30GBと比較的コンパクト(ARC Raidersが70GB超であることを考えると半分以下)。今後の正式リリースで増える可能性はあるが、インストール障壁は低めに設定されている。
Windows 11が必須要件なのはやや気になるところだ。まだWindows 10を使っているプレイヤーもいるだろう。アップグレードが必要になるかもしれない点は頭に入れておこう。
価格と基本無料問題——コミュニティが最も気にしていること
PUBG: Black Budgetの価格モデルは2026年3月時点でまだ発表されていない。これがコミュニティの最大の関心事のひとつだ。
Steam掲示板では「タルコフより優れてないなら無料にしない限り誰もプレイしない」というスレッドがある。これは過激な表現だが、市場の空気感を映している。
抽出シューター市場の価格帯を見ると——Escape from Tarkov(45ドル+)、ARC Raiders(40ドル)、Hunt: Showdown(30ドル)、Gray Zone Warfare(40ドル)が有料組。Arena Breakout: Infiniteがほぼ唯一の基本無料タイトルだ。
PUBGは2022年に基本無料化した経緯がある。Black Budgetが基本無料でリリースされるなら、抽出シューター市場の勢力図が変わりかねない爆弾になる。一方で有料なら、ARC Raidersの成功が示した「40ドルでも売れる」という前例もある。
Kraftonは課金モデルについて慎重に検討しているはずだ。アルファ版のフィードバックを踏まえた価格発表を待ちたい。
PUBGシリーズとの関係——バトルロワイヤルとの棲み分け
「PUBG: Black BudgetはPUBGの後継なのか?」という疑問を持つ人も多いと思う。答えは「後継ではなく、別ゲー」だ。
PUBG(PUBG: Battlegrounds)は現在も運営継続中で、2026年3月現在も毎日数十万人がプレイしている。Black Budgetはその「姉妹タイトル」という位置づけだ。同じKRAFTON / PUBG Studios製でブランドを共有しているが、ゲームジャンルは全く異なる。
PUBGが「最後の1人になるまで戦う」という明快なルールを持つのに対し、Black Budgetは「生きて島から出ることが目標で、勝ち残りではない」という根本的な違いがある。プレイヤーは競い合っているのではなく、それぞれが自分の目標(物資収集・ミッション達成・生存)を追っている。
PUBGで培われた「緊張と判断の連続」というDNAはBlack Budgetにも引き継がれているが、プレイ体験の方向性はかなり異なる。「バトルロワイヤルに飽きてきた」PUBGプレイヤーへの新鮮な提案として機能するだろうか——それも大きな注目点だ。
2026年のロードマップ——今後どうなる?
2026年3月時点で、Kraftonから正式に発表されているスケジュールはない。次のテスト日程も、早期アクセス開始予定も、正式リリース日も、全て「TBA(発表待ち)」の状態だ。
ただし、クローズドアルファのフィードバック量と参加者数から、開発が活発に進んでいることは確かだ。改善課題も明確に特定されており、次のステップ(次回テストないし早期アクセス)に向けた準備が進んでいるとみるのが自然だろう。
業界アナリストの間では「2026年内に何らかの形でプレイアブル版の再公開がある」という見方が多い。根拠のある予測ではないが、Kraftonの会計年度と過去のリリースサイクルを考えると、2026年後半にアーリーアクセスないし正式リリースというシナリオは十分ありうる。
最新情報はSteamページか公式X(@PUBGBlackBudget)でウォッチしておくといい。
コミュニティの本音——賛否が激しく割れる理由
「最近プレイした中で最も魂のないゲームだ」という声と「アルファなのに完成度が高すぎる、早くベータに入りたい」という声が並存している。これほど真っ二つに割れた反応は珍しい。なぜこうなるのか。
原因のひとつは「期待値の設定」だと思う。PUBGというブランドを冠しているため、「あのPUBGの次回作ならすごいはず」という期待値が極端に上がった状態でプレイした人が多かった。その期待に対してアルファ版が届かなかったとき、失望も大きくなる。
もうひとつは「抽出シューターというジャンルの性質」だ。このジャンルは序盤の学習コストが高く、慣れるまでは何度も意味なく死んで装備をロストする。初めてプレイしたときの体験は「全然面白くない」になりやすい。初日のフラストレーションで判断した人と、10〜20時間かけて慣れた後に評価した人では、当然評価が変わる。
肯定的な評価を書いているのは「他の抽出シューターをすでに経験している人」が多く、否定的な評価は「初めてこのジャンルに触れた人」か「タルコフのコアファン」に集中している傾向があった。ジャンル慣れしているプレイヤーには「可能性がある」と映り、そうでない人には「???」になる——それがあの評価分布の背景にあると思う。
抽出シューターというジャンルを初めて体験する人へ
「PUBG: Black Budgetが気になっているけど、エクストラクションシューター自体を遊んだことがない」という人に向けて、少し補足しておきたい。
このジャンルは最初の5〜10時間が一番つらい。何をどう動けばいいかわからないまま、他のプレイヤーや敵に倒されて装備を全ロストする体験が続く。それでもなぜか「もう1回」と思えてしまう——この謎の引力が抽出シューターの核心だ。
はじめての抽出シューター体験として、まず基本無料のArena Breakout: InfiniteかARC Raidersから入るのがおすすめだ。どちらも日本語対応しており(ARC Raidersも日本語UI対応)、ジャンルの基礎を学ぶのに適している。
そのうえでBlack Budgetが出たとき、「あ、このジャンルの自分の好みはこれだな」という感覚で判断できるようになる。「面白いかどうかわからないもの」にお金を払うのは誰でも不安だ。まず無料のものから試して、ジャンルが肌に合うか確かめてほしい。
新しい抽出シューターのニュースをまとめて確認したい人には、ARC Raiders関連の記事も参考になるはずだ。

まとめ——PUBG: Black Budgetはどう見るべきか
改めて整理すると、PUBG: Black Budgetは「期待と不安が入り混じる、2026年最注目の抽出シューター候補」だ。
クローズドアルファの結果は正直微妙だった。移動感覚の問題、戦闘認識の弱さ、チートの存在——これらは本番前に解決すべき課題として積み上がっている。Steam評価の40/100はそれを如実に示している。
しかし同時に、可能性も感じさせるものがあった。PUBGブランドが培ってきたガンプレイの質、タイムループとアノマリーという独特の世界観、「縮小するアノマリーがバトルロワイヤル的な緊張感を生む」という設計の発想——これらは、うまく磨き上げられれば本物の差別化要素になりうる。
Kraftonが過去にPUBGをアーリーアクセスから磨き上げてきた実績は本物だ。あのゲームも最初は荒削りだったが、コミュニティと共に育てることで業界を変えるタイトルになった。Black Budgetに同じことができるかどうかは、開発チームとコミュニティが一緒になって答えを出す話だ。
2026年という年が、PUBG: Black Budgetにとって転換点の年になるのか、そのまま静かに消えていく年になるのか——正直まだわからない。でも、このゲームが何か新しいものを抽出シューター市場に持ち込もうとしているのは本当のことだと思う。
最新情報が出たら追記していく予定だ。Steamウィッシュリストに追加して続報を待つのがいまできる最善手だろう。
よくある質問(FAQ)
PUBG: Black Budgetはいつ発売ですか?
2026年3月時点では未発表です。2025年12月にクローズドアルファが実施されましたが、早期アクセスや正式リリースの日程はKRAFTONからまだ発表されていません。Steamページか公式X(@PUBGBlackBudget)で最新情報を確認してください。
PUBG: Black Budgetは基本無料ですか?
価格モデルも未発表です。基本無料か有料かを含め、課金システムの詳細はまだ明らかにされていません。PUBG本家が2022年に基本無料化した前例はありますが、Black Budgetがどちらになるかは現時点では不明です。
PUBGをプレイしたことがあれば有利ですか?
銃撃感やTTK(Time to Kill)のフィーリングはPUBGに近いため、PUBG経験者は武器の扱いに早く慣れると思います。ただしゲームジャンル自体がバトルロワイヤルとは全く異なるため、「抽出シューターとしての動き方」は別途学ぶ必要があります。
日本語対応はありますか?
クローズドアルファでは北米リージョン限定の実施でした。製品版での日本語対応・日本向けサーバーの有無については公式発表をお待ちください。KRAFTONは韓国企業ですが、これまでのPUBG展開で日本市場に積極的だったため、日本語対応は期待できると思います。
ソロでも遊べますか?
ソロプレイ(1人での参加)はアルファ版では可能でした。スクワッドは最大3人構成で、ソロで参加して1人で動く選択肢もあります。ただし抽出シューターはチームプレイ向けに設計されていることが多く、ソロは難易度が上がります。
スペックが高いPCじゃないと遊べませんか?
最低要件はRTX 2060(8GB)またはRX 6600です。2018〜2021年ごろのミドルレンジGPUでも動作します。ただし快適なプレイには推奨要件(RTX 3070 / RX 6800以上)を満たしているほうが良いです。メモリ16GB、ストレージ30GBは比較的低い要件です。
関連する抽出シューターもチェックしよう
PUBG: Black Budgetの発売を待つ間、同ジャンルの他タイトルも触れておくと、いざリリースされたときにより深く楽しめる。抽出シューターのジャンルを今一番体感できるのはARC Raidersだ。

PUBGシリーズの歴史から振り返ってみると、Kraftonがどれほど粘り強い開発会社かがわかる。PUBG本家も初期は「荒削りすぎる」「チートだらけ」と言われながら、コミュニティと共に磨かれていった。Black Budgetがその道をたどれるかどうか——2026年の後半、注目の1本になることは間違いない。

