発売初日に50万本。3日で100万本。33日で330万本。そしてThe Game Awards 2025で歴代最多の9冠――。
フランスの小さなインディースタジオが作ったターン制RPGが、2025年のゲーム業界を完全にひっくり返した。
それが『Clair Obscur: Expedition 33(クレール・オブスキュール エクスペディション33)』だ。
正直に言う。このゲームの存在を発売前から追いかけていた人は、日本だとそう多くないと思う。フランスのスタジオ? 聞いたことない。ターン制RPG? 今さら? そんな声が大半だったはずだ。
ところが蓋を開けてみたら、とんでもないことになっていた。Metacritic 92点。Steamレビューは25万件を超えて96%が好評。ペルソナ3リロードやFF7リバースの3.9倍のペースで売れたという、ちょっと信じがたい数字が出ている。
「これ、本当にインディーゲームなのか?」
プレイすれば、誰もがそう思うだろう。筆者もそうだった。だからこそ、この記事ではこのゲームの何がそこまで突き抜けているのか、そして正直に気になる点も含めて、徹底的に掘り下げていく。
公式トレーラー
こんな人におすすめ / こんな人には合わないかも
こんな人は買い
- ペルソナ、FF、テイルズなどJRPGが好き
- ターン制バトルに「ただコマンド選ぶだけ」以上のものを求めている
- 世界観やアートに没入したい
- 骨太なストーリーを30時間じっくり楽しみたい
- インディーゲームの底力に興味がある
- 難しいゲームにチャレンジするのが好き(Expert難易度)
こんな人は合わないかも
- アクション操作が苦手で、純粋なコマンド選択RPGを求めている
- 日本語吹き替えがないと没入できない
- オープンワールド級の自由な探索がしたい
- マルチプレイ・協力プレイがほしい(完全シングルプレイ)
基本情報
| タイトル | Clair Obscur: Expedition 33 |
| 開発 | Sandfall Interactive(フランス・モンペリエ) |
| パブリッシャー | Kepler Interactive / セガ(日本向け) |
| 発売日 | 2025年4月24日 |
| 価格 | Steam: 7,150円 / PS5パッケージ: 7,480円 |
| 対応機種 | PC(Steam/Epic), PS5, Xbox Series X|S |
| Xbox Game Pass | Day One対応(発売日から利用可能) |
| ジャンル | ターン制RPG(リアルタイムアクション要素あり) |
| プレイ時間 | メインストーリー: 約30時間 / コンプリート: 40時間超 |
| Steam評価 | 圧倒的に好評(96%好評 / 25万件超) |
| Metacritic | 92点(ユーザースコア歴代最高) |
| エンジン | Unreal Engine 5 |
| 日本語 | 字幕対応(吹き替えなし) |
フランスの無名スタジオが「GOTY」を獲るまで
このゲームの開発元、Sandfall Interactiveのことを少し話しておきたい。
ディレクターのGuillaume Broche(ギヨーム・ブローシュ)は元Ubisoft。2020年に退社して、友人のFrancois MeurisseとTom Guillerminと一緒にスタジオを立ち上げた。場所はフランス南部のモンペリエ。大手パブリッシャーの看板も、シリーズの知名度も、何もないところからのスタートだ。
そんなスタジオが、デビュー作でいきなりGame of the Year。しかも歴代最多タイの9部門受賞。TGA(The Game Awards)の歴史を塗り替えた。
TGA 2025 受賞一覧(9部門)
- Game of the Year(年間最優秀ゲーム)
- Best Game Direction(最優秀ゲームディレクション)
- Best Narrative(最優秀ナラティブ)
- Best Art Direction(最優秀アートディレクション)
- Best Score and Music(最優秀サウンド&ミュージック)
- Best Performance(最優秀パフォーマンス: Jennifer English / マエル役)
- Best Independent Game(最優秀インディーゲーム)
- Best Debut Indie Game(最優秀デビューインディーゲーム)
- Best RPG(最優秀RPG)
13部門ノミネートで9部門受賞。これがどれだけ異常かというと、これまでの最多受賞記録を一気に更新している。なお受賞できなかった4部門も含めて「13部門ノミネート」自体が歴代最多だ。
ゲーム業界って、基本的に大手が強い。莫大な開発費、巨大なマーケティング予算、長年培ったブランド力。インディーが対等に戦うのは普通は無理だ。でもこのゲームは、そういう常識をぶっ壊した。「面白いゲームを作れば、規模は関係ない」ということを証明したタイトルだと思う。
世界観とストーリー――「数字が描かれると、人が消える」

このゲームの世界には、「ペイントレス」と呼ばれる存在がいる。
彼女は年に一度目覚め、巨大なモノリスに数字を描く。すると、その数字以上の年齢を持つ人間が、煙のように消えてしまう。これを「ゴマージュ」と呼ぶ。
しかも、この数字は毎年1つずつ減っていく。去年は34。今年は33。来年は32。つまり、放っておけばいずれ全人類が消滅する。
主人公たちは「Expedition 33」――33番目の遠征隊。ペイントレスを倒すために旅立つ、おそらく最後の希望だ。
設定だけでもう引き込まれないだろうか。「年齢で死が決まる」という残酷なルールの中で、人々はどう生きるのか。33歳以上の人間は今年消える。来年は32歳。恐怖と絶望が支配する世界。
舞台のモチーフはベル・エポック期(19世紀末〜20世紀初頭)のフランス。華やかでありながらどこか退廃的な雰囲気が、この物語の「美しいのに残酷」というテーマにぴったりハマっている。タイトルの「クレール・オブスキュール」も、17〜18世紀フランスの芸術運動「キアロスクーロ(明暗法)」に由来する。光と闇、美と死が共存する世界観をタイトルから体現しているわけだ。
ストーリーはネタバレを避けるけど、一つだけ言えるのは、「こうなるだろうな」という予想を何度もひっくり返してくるということ。TGAでBest Narrative(最優秀ナラティブ)を獲ったのは伊達じゃない。ただ、終盤の展開については賛否が分かれるところもある。これについては「辛口ポイント」のセクションで触れる。
ボイスキャスト――「なんでインディーにこの面子が?」
キャスト表を見て二度見した人、たぶん多いと思う。
- Charlie Cox(ギュスターヴ役): Netflixの『デアデビル』の主演俳優
- Andy Serkis(ルノワール役): 『ロード・オブ・ザ・リング』のゴラム、『猿の惑星』シーザー役
- Ben Starr(ヴェルソ役): 『FF16』のクライヴ・ロズフィールド役
- Jennifer English(マエル役): 『バルダーズゲート3』のシャドウハート役
- Kirsty Rider(ルネ役)
- Shala Nyx(シエル役)
ハリウッド俳優とゲーム業界のトップ声優が混在する、ちょっと異常な布陣だ。特にJennifer Englishの演技は圧巻で、TGA 2025のBest Performance(最優秀パフォーマンス)を受賞している。バルダーズゲート3のシャドウハートで世界中のゲーマーを虜にした人が、今度はマエルという16歳の少女を通じて、また新しい伝説を作った。
ちなみに日本語吹き替えはない。これが日本のプレイヤーにとっては最大の不満ポイントなんだけど、逆に言えば英語の演技のクオリティが尋常じゃないので、字幕でプレイしてもその熱量はちゃんと伝わってくる。
戦闘システム――「ターン制なのに手汗がやばい」

このゲームの真骨頂は、間違いなく戦闘だ。
公式が「Reactive Turn-Based Battle(リアクティブ・ターンベースバトル)」と呼んでいるこのシステムは、一言で言うと「ターン制RPGにアクションゲームの操作を合体させたもの」だ。
基本の流れ
ベースはFF10のCTB(カウントタイムバトル)に近い。キャラクターの素早さに応じて行動順が決まり、自分のターンが来たらコマンドを選ぶ。ここまでは普通のターン制RPG。
ただ、ここから先が全然違う。
攻撃時: QTEで火力が変わる
スキルを使うと、タイミング入力が発生する。これがただの飾りではなく、完璧なタイミングで「Perfect」を出すとダメージが大幅にアップする。逆に失敗してもペナルティはないから、常に「上を目指す」モチベーションが生まれる。攻撃するたびに小さな達成感がある。これがかなり中毒性が高い。
防御時: パリィ&回避
そしてこのゲーム最大の特徴が、敵の攻撃をリアルタイムでパリィ・回避できること。
敵が攻撃してくるとき、タイミング良くボタンを押せば:
- 回避: ダメージを大幅に軽減。タイミングの猶予がやや広い
- パリィ: ダメージ完全無効化+カウンター攻撃+AP(スキル用ポイント)獲得。ただしタイミングがシビア
つまり、上手いプレイヤーなら理論上はノーダメージでゲームをクリアできる。実際、開発チームは「ノーダメクリア可能」を設計の前提にしたと公言している。全ての敵の攻撃に、必ず回避・パリィのウィンドウが用意されている。
これが何を意味するかというと、ターン制RPGにありがちな「レベルを上げてゴリ押し」だけじゃなく、プレイヤーの腕前で難局を突破できるということだ。レベルが低くても、パリィが上手ければ勝てる。この「上達の実感」が、RPGとアクションゲームの両方の快感を同時に味わえる。
フリーエイム
一部の攻撃では、プレイヤーが直接エイムして敵の弱点を狙える。狙撃ゲームのようなスナイパー感覚をRPGの中で味わえるのは新鮮だ。ただ、後述するけど後半になるとこの要素がやや薄くなるのは気になるところ。
各キャラ固有のメカニクス
パーティメンバー6人にはそれぞれ固有の戦闘システムがある。
- ギュスターヴ: 攻撃するたびにチャージが溜まり、一気に放出して大ダメージ
- マエル: スタンスを切り替えて攻撃寄り・防御寄りを使い分ける。彼女のスキル「スタンダール」は一時期ぶっ壊れ火力で話題になった
- ヴェルソ: パリィ成功や被ダメの少なさで「Perfection」ランクが上昇し、ダメージが増加。テクニカルプレイヤー向け
- ルネ、シエル、モノコ: それぞれ独自のリソース管理やバフ・デバフシステムを持つ
「全員同じことができる」RPGじゃない。キャラによって遊び方がガラッと変わるから、パーティ編成を考えるのが楽しい。
難易度設定
3段階の難易度が用意されている。
- Story: 敵が弱く、回避・パリィの猶予が広い。ストーリーを楽しみたい人向け
- Expeditioner: バランスの取れた標準難易度。普通のゲーマーならここ
- Expert: 雑魚の攻撃2発でパーティが壊滅するレベル。パリィ必須の高難度
アクションが苦手な人でもStoryなら楽しめる設計にはなっている。ただ、後述するけどStoryでも「十分難しい」という声があったくらいなので、パッチで調整が入った経緯もある。
グラフィック&アートディレクション

Unreal Engine 5の性能をフルに活かしたビジュアルは、インディーのレベルを完全に超越している。
ベル・エポック期のフランスをベースにした世界は、退廃的な美しさに満ちている。石畳の街並み、崩れかけた彫刻、光が差し込む大聖堂のような空間。そこに「ペイントレス」という存在が生み出す不気味で幻想的なクリーチャーデザインが混在する。
キャラクターのモデリングも、AAA級の大作と比較しても遜色ない。表情の演技、布の揺れ、光の当たり方。カットシーンの演出はまるで映画だ。TGAでBest Art Directionを受賞したのも納得の出来。
ただし、PCの推奨スペックはそれなりに高い。
PC推奨スペック(1080p / 60fps / High設定)
- OS: Windows 11
- CPU: Intel Core i7-11700K / AMD Ryzen 5 5600X
- メモリ: 16GB
- GPU: NVIDIA RTX 3070 8GB / AMD Radeon RX 6800 XT 16GB
- ストレージ: 55GB(SSD必須)
- DirectX 12
RTX 3070以上が推奨ということで、ミドルレンジ以上のPCが必要になる。Steam Deckでも動くけど、発売当初はパフォーマンスに問題があり、その後のアップデートで改善された。低スペックPCだと厳しいのは正直なところ。
音楽――TGA Best Score and Musicは伊達じゃない
正直、ゲームの音楽でここまで感動したのは久しぶりだ。
クラシカルなオーケストラをベースにしながらも、現代的なアレンジが効いている。戦闘曲はアドレナリンが出るし、フィールド曲は世界の寂寥感を見事に表現している。ボス戦のBGMは、パリィのタイミングと音楽のリズムがシンクロする瞬間があって、ゲーム体験と音楽が一体化する。
TGAでBest Score and Musicを獲ったのも当然だと思う。サウンドトラック単体でも聴く価値がある。
良いところ・推しポイント 5選
1. 戦闘の中毒性がえげつない
パリィが決まった瞬間の快感は、アクションゲームのカウンター以上。ターン制RPGの戦略性と、アクションゲームの操作感を両立させた戦闘システムは、本当に唯一無二。「もう1回やらせてくれ」と思えるボス戦がいくつもある。
2. 「インディーです」が信じられないクオリティ
グラフィック、音楽、声優、演出。どれを取ってもAAA級の大作と肩を並べるレベル。UE5の力もあるけど、それ以上にスタジオの才能とこだわりが詰まっている。7,000円台でこのクオリティは間違いなくお買い得だ。
3. キャラクターが本当に良い
6人のパーティメンバーそれぞれにしっかりとしたバックストーリーがあり、旅を通じて関係性が変化していく。特にギュスターヴとマエルの関係は、プレイヤーの感情を何度も揺さぶってくる。ボイスキャストの演技力あってこその魅力だと思う。
4. ペーシングが絶妙
全3幕構成で、各幕が約10時間。合計30時間のメインストーリー。これが絶妙で、ダレる場面がほとんどない。新しい仲間、新しい敵、新しいメカニクスが適切なタイミングで投入されて、常にプレイヤーの興味を引き続ける。最近の大作RPGにありがちな「水増しで80時間」とは対照的だ。
5. 「上手くなれる」喜び
序盤はパリィが全然できなくても、10時間もプレイすれば自然と身体が覚えてくる。この「上達の実感」がとにかく気持ちいい。死にゲーのような明確なスキル成長曲線がRPGの中にある。
辛口ポイント・気になる点
ここまで褒めちぎってきたけど、このゲームにも明確に「うーん」と思うところがある。忖度なしで書く。
1. 中盤以降の敵HP膨張問題
序盤は色んな戦略が通用するんだけど、中盤〜終盤になると敵のHPがインフレしてきて、結局カウンター攻撃に頼るのが最適解になりがちだ。キャラクターごとの個性的なスキルが活きにくくなって、「パリィしてカウンター」のワンパターンに陥る。序盤のワクワク感が少し薄れるのは残念。
2. 一本道すぎるマップ
マップ構成がかなりリニアだ。美しいフィールドは確かに魅力的なんだけど、探索の自由度はかなり低い。「見える場所に行けない」場面が多く、マップ表示もないから迷うこともある。オープンワールドとは言わないまでも、もう少し寄り道できる場所があれば良かった。
3. 日本語吹き替えがない
日本のプレイヤーにとっては、これが一番の壁かもしれない。字幕はあるけど、戦闘中は画面を見るのに忙しくて字幕を追いきれない場面もある。英語の演技自体は素晴らしいんだけど、「吹き替えさえあれば100点だった」という声は本当に多い。
4. ストーリー終盤の賛否
ネタバレは避けるけど、終盤のあるどんでん返しについては「唐突すぎる」「感情移入しにくい」という意見がある。IGN Japanのレビューでも指摘されていたポイントだ。3幕構成の1幕・2幕が素晴らしいだけに、終盤の展開で少しモヤッとする人はいるだろう。
5. Story難易度でも意外と難しかった
アクションが苦手な人向けのStory難易度でも、発売当初は「普通に難しい」という声が出ていた。後のパッチで調整が入ったけど、純粋にストーリーだけを楽しみたい層にはまだハードルが残っている可能性がある。
他のRPGとどう違う? 比較で分かるExpedition 33の立ち位置
vs. ペルソナシリーズ
どちらもターン制RPGで、ストーリーとキャラクターに重きを置く点は共通している。ただ、ペルソナの「日常パート」に当たるものはExpedition 33にはない。代わりに戦闘のアクション性が段違いに高い。日常の積み重ねで仲間との絆を深めるペルソナと、戦場で命を賭けながら絆を深めるExpedition 33。方向性は違うけど、どちらも「RPGの中に確かな人間ドラマがある」という点では共通する。
vs. FF10
戦闘システムのベースはFF10のCTBに近い。素早さで行動順が決まり、ターンの概念がある。ただFF10にはパリィや回避のアクション要素はなかった。Expedition 33は、FF10のシステムに「マリオRPGのタイミング入力」と「ソウルシリーズのパリィ」を融合させたような感覚だ。
vs. バルダーズゲート3
2023年のGOTYであるBG3とは、「インディー発のRPGがGOTYを獲った」という共通点がある。さらにマエル役のJennifer EnglishがBG3のシャドウハート役でもあるという繋がりも面白い。BG3がD&Dの自由度を追求したのに対し、Expedition 33はアクション性を追求した。RPGの未来を切り拓くタイトルとして、この2本は並び称されるだろう。
ユーザーの声
ここからは、実際にプレイした人たちの声を紹介する。絶賛だけじゃなく、辛口な意見もしっかり拾った。
Steamレビューの声
Steamでは25万件以上のレビューが投稿されており、96%が好評という圧倒的な数字だ。
海外産のJRPGみたいな感じで、バトルはFF10みたいに素早さ順でコマンドを使っていく。難易度エキスパートだと雑魚の攻撃2発くらったら沈むくらいハードなんだけど、相手の攻撃のときにタイミング良くパリィOR回避ORジャンプするとノーダメになる。
出典: Steamレビューより
Twitter / Xの声
Clair Obscur: Expedition 33神ゲーすぎる
Clair Obscur: Expedition 33 12時間プレイした感想だけど、ほっっっっっっっっっんとうに一点だけ日本語吹き替えさえあれば!という点を除いては、まさしくRPG好きなら誰しもがこれを遊びたかったと言える、ターン制RPGの極地と言っても過言ではないゲームなのでオススメです
約20時間プレイした感想だけど、やればやるほど面白さが広がるゲームって感じ 神ゲーだと思ってたけど、今現在は神の中でも上位の存在 これ正直値段以上の価値あるゲーム やれ
Expedition 33面白すぎる…!パリィに全然自信無かったけど、何度も戦っているうちに少しずつ出来るようになるのが気持ち良い。
エクスペディション33、面白すぎて早く2周目に行きたいのにクリア後も楽しくて時間が溶ける
辛口な声も紹介
Clair Obscur: Expedition 33面白そうだけどこういうゲーム日本語吹き替えいれてほしいよ
Expedition 33、ストーリーモードの難易度緩和パッチが来たらしいけど そもそもアクション・パリィ苦手層向けのはずのEASY相当のモードそんなの必要なくらい難易度高かったんかい…
メディアの声
『Clair Obscur: Expedition 33』レビュー JRPGのようなターン制バトルに、パリィや回避といったリアルタイムアクションを組みあわせたフランス産ゲーム。唐突などんでん返しなど見過ごせない問題点があるが尖った魅力がある
『Clair Obscur: Expedition 33』全世界累計販売本数200万本を突破!本作は、レビューサイトMetacriticでメタスコア92点、ユーザースコア9.7点を獲得するなど、全世界で高い評価を受けています。
無料アップデート「Thank You」と今後の展望
TGA 2025でGOTYを受賞した直後、Sandfall Interactiveは無料大型アップデート「Thank You」を配信した。
「Thank You」アップデート内容
- 新エリア「Verso’s Drafts」: ヴェルソの想像世界を舞台にした追加ステージ
- 新ボス戦
- 新装備・衣装
- 新BGM
- フォトモード
- 全て無料
500万本以上売れたゲームの追加コンテンツを無料で出す。ここにSandfall Interactiveの姿勢が表れていると思う。「買ってくれた人への感謝」をちゃんと形にする。こういうスタジオには今後も期待したくなる。
2026年3月にもパッチ1.5.3が配信され、フォトモードの改善やSteam Deckの最適化、各種バグ修正が行われている。続編についての公式発表はまだないけど、売上と評価の好調さを考えれば、次回作の開発が進んでいる可能性は高いだろう。
「TGA 9冠」が意味するもの
ここで改めて、TGA 2025の9冠がゲーム業界にとってどういう意味を持つか、少し掘り下げておきたい。
TGAという場は、映画でいうアカデミー賞のような存在だ。そこでGOTYを含む9部門を、設立わずか5年のフランスの小規模スタジオが独占した。
これまでのGOTYタイトルを見てみると、大手スタジオの名前がずらりと並ぶ。Naughty Dog、FromSoftware、Larian Studios。巨大な予算、長い開発期間、確立されたIPの力。そういったものがGOTYを獲るための「条件」だと思われていた。
Expedition 33はそれを覆した。大事なのは予算じゃなくて、ゲームデザインの純度だということを証明した。ターン制RPGという「古い」と思われていたジャンルで、それを更新する新しいアイデアを持ち込んで、妥協なく磨き上げた。結果として、AAAタイトルを押しのけて頂点に立った。
インディースタジオにとって、これ以上の希望はないだろう。「良いものを作れば、ちゃんと評価される」。当たり前のようで、ゲーム業界では必ずしも当たり前ではなかったことを、Expedition 33が証明した。
売上データで見る異常なヒット
数字を並べてみると、このゲームの売れ方がいかに異常かよく分かる。
- 発売24時間: 50万本
- 発売3日: 100万本
- 発売2週間: 200万本
- 発売33日: 330万本(タイトルの「33」にちなんで発表)
- 2025年10月時点: 500万本超
比較対象として、同時期のターン制RPGの売上ペースの3.9倍。ペルソナ3 Reloadやファイナルファンタジー7 Rebirthといった超有名IPと比べてもこの数字だ。知名度ゼロの新規IPとしては、文字通り規格外のヒットだと言える。
Xbox Game PassのDay One対応だったことも大きかったはずだ。「まだ知らないゲームだけど、Game Passにあるからやってみるか」という層を取り込めた。実際、Xbox Wireによると2025年のXbox Game Passで最大のサードパーティタイトルだったらしい。
似たゲームが好きならこちらもどうぞ
Expedition 33をクリアして「次に何をやろう」と思っている人、あるいは「買う前にもう少し別のRPGも見てみたい」という人に、関連するゲームを紹介しておく。
戦闘のターン制RPGとしての完成度で共通するのが、ファイナルファンタジーX。Expedition 33の戦闘システムはFF10のCTBに明確な影響を受けている。「あの戦闘システム、好きだったな」という人なら、Expedition 33のバトルにも間違いなくハマる。逆にExpedition 33が初RPGだった人が「元ネタ」としてFF10をプレイするのもアリだ。

一本道のストーリー重視RPGという意味では、ファイナルファンタジーXIIIも比較対象になる。「一本道」で批判されたFF13だけど、その潔い直線構成はExpedition 33にも通じるものがある。戦闘システムの革新性という共通点もある。

高グラフィックでやり込み甲斐のあるRPGを探しているなら、黒い砂漠もおすすめ。ジャンルは違う(MMORPGだ)けど、「美しい世界を冒険する」という体験の充実度はトップクラス。Expedition 33のようなシングルプレイ体験とは別に、オンラインで他のプレイヤーと一緒に遊ぶRPG体験も良いものだ。

まとめ――買いか、待ちか
結論から言う。
RPGが好きなら、今すぐ買って間違いない。
Metacritic 92点。Steamレビュー96%好評。TGA 9冠。500万本以上の販売。これだけの数字が全て同じ方向を指している。このゲームが「良い」ことは、もはや疑いようがない。
特に刺さるのは、こんな人だ。
- ターン制RPGの「ただコマンド選ぶだけ」に飽きていた人
- JRPGのストーリーとキャラクターの魅力に惹かれる人
- パリィやタイミング入力で「上手くなる」喜びを味わいたい人
- インディーゲームの可能性を信じている人
逆に、日本語吹き替えが必須の人、アクション要素が一切ないRPGを求めている人には、少しハードルがあるかもしれない。でも、Story難易度なら十分楽しめるはずだし、字幕でも物語の力は伝わる。
フランスの小さなスタジオが、JRPGへの愛をこめて作ったゲーム。そのこだわりの密度は、30時間のプレイ時間のすみずみまで行き渡っている。7,000円台でこの体験が手に入るなら、間違いなく値段以上の価値がある。
2025年を代表するゲームを1本だけ選ぶなら、このゲームだ。
Expedition 33が教えてくれたこと
最後にもう一つだけ。
このゲームの成功が証明したのは、「ゲームの面白さに、予算の大きさは関係ない」ということだ。
Ubisoftを辞めた3人のフランス人が、小さなスタジオを立ち上げて、大好きだったJRPGを自分たちの手で作った。ブランド力もなく、シリーズの歴史もなく、ただ「面白いゲームを作りたい」という情熱だけがあった。
そして結果は歴史を塗り替えた。
ゲーム業界がどんどん大規模化・シリーズ化していく中で、こういうサプライズが起きるのが、この業界の面白いところだと改めて思う。次にどんなインディータイトルが旋風を巻き起こすのか。その期待を込めて、Expedition 33をプレイしてみてほしい。
きっと、30時間後には「これがGOTYか」と納得しているはずだ。

