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▌ISSUE.587 · レビュー カテゴリ / JRPG 公開 2026.04.21
// JRPG · レビュー

Cross Reverie

Cross Reverie完全ガイド|新作アクションRPG最新情報まとめ【2026年版】
#Cross Reverie #PCゲーム #steam #アクションRPG #インディー
読了目安
約43分
対応機種
PC
スペック
▌要点 / 3行で読む
01
※Cross Reverieは2026年PC(Steam)向けに発売予定の新作タイトルです。
02
ここでは2015年Kickstarter以来9年ぶりに復活した本作の魅力と、2026年リリースに向けた最新情報をまとめています。
03
「あのゲーム、どうなったんだろう」 ゲーマーなら一度はそう思ったことがある。
04
クラウドファンディングで資金集めに成功しかけて、なのに突然消えてしまったゲームたち。

※Cross Reverieは2026年PC(Steam)向けに発売予定の新作タイトルです。
ここでは2015年Kickstarter以来9年ぶりに復活した本作の魅力と、2026年リリースに向けた最新情報をまとめています。

「あのゲーム、どうなったんだろう」

ゲーマーなら一度はそう思ったことがある。クラウドファンディングで資金集めに成功しかけて、なのに突然消えてしまったゲームたち。追いかけてもどこにも情報がなくて、いつのまにか自分の記憶からも薄れていく——そんな作品が山ほどある。

Cross Reverieも、そのひとつになりかけていた。

2015年7月。カナダ・モントリオールの2人組スタジオ「Sinxsoft」がKickstarterで打ち上げたJRPGプロジェクトは、目標額60,000カナダドルの半分以上を1週間足らずで集めた。「ターン制JRPG飢えてた」「見た目が最高」「素晴らしい出来になりそう」——バッカーたちの興奮は本物だった。

でもキャンペーンはキャンセルされた。

悪い話ではない。民間投資家からの支援が決まったのだ。ビジョンを曲げない条件で、Kickstarterより手厚い資金が入ることになった。開発者のKovalen Ramalingamは「夢のまま作れる」と語り、バッカーたちも惜しみながらもその決断を応援した。

そして——9年間、ほぼ沈黙が続いた。

2024年末から2026年1月にかけて、Sinxsoftは突然活発に動き出す。Steamページ開設、新トレーラー公開、2026年発売宣言、2月デモ配信。ゲームメディアのGematsuやNoisyPixelが一斉に取り上げ、インディーJRPGコミュニティが「あのゲームが帰ってきた」と沸いた。

この記事では、Cross Reverieが何者で、なぜ9年もかかったのか、そしてこれが本当に期待していいゲームなのか——Sinxsoftへのリスペクトを持ちながら、正直に書いていく。

公式デモアナウンストレーラー

9年ぶりに公開された2026年デモアナウンストレーラー。この映像が全てのはじまりだった

Cross Reverieってどんなゲーム?ひと言で言うと

Cross Reverieは、ファイナルファンタジーXのような「ターン順が見えるターン制バトル」を核心に据えた、キャラクター中心のJRPGだ。8人の主要キャラクターがそれぞれの悪夢と向き合いながら謎の試練を乗り越えていく、ダークファンタジー仕立ての物語が展開する。

開発元のSinxsoftはたった2人。ディレクター兼リードプログラマーのKovalen Ramalingamと、もう1人のストーリーライター。この2人が、FFXやFF7、クロノトリガーへの純粋な愛から10年以上かけて作り続けている。

大手スタジオのような派手さはない。でも、その分だけ「作りたいものを作り続けた」という密度がある。Turn Based Loversのライターが「今日Kickstarterをやったら余裕で達成できる」と評するほど、インディーJRPGコミュニティの期待値は高い。

基本スペック

項目 内容
正式タイトル Cross Reverie: The Trial of Nightmare
ジャンル ターン制JRPG(JRPG-inspired RPG)
開発・パブリッシャー Sinxsoft(カナダ・モントリオール)
プラットフォーム PC(Steam)/ 後日コンソール版予定
発売予定 2026年(PC版)
デモ 2026年2月配信(Steam無料)
料金モデル 買い切り(価格未発表)
対応言語 英語(UI・音声・字幕)
開発エンジン Unity3D(独自フレームワーク「Reverie Framework」上に構築)

舞台「タレスフォード島」と悪夢の試練——ストーリー

Cross Reverieの物語は、「タレスフォード(Talesford)」という神秘の島から始まる。

この島は、ザイレラ(Xylera)という世界の中でも特別な場所だ。謎と伝説に包まれ、「ドリーマー(The Dreamer)」と呼ばれる神秘的な存在が宿るとされている。そしてこの島には、100年に一度だけ開催される古代の儀式がある——「古代人の試練(The Trial of the Ancients)」だ。

儀式の仕組みはこうだ。ザイレラを構成する4つの国それぞれから、最も優れた戦士たちが召喚される。選ばれた者たちは島の試練に挑み、乗り越えた者にはただひとつの報酬が与えられる。「ドリーマーの加護——どんな願いも叶える、たった1つの機会」だ。

今年も試練は始まった。8人の戦士がそれぞれの願いを胸に集まった。

しかし、今年の試練は何かが違う。

「シャドウ(The Shadow)」と呼ばれる謎の存在が島に侵入し、試練のルールを完全に塗り替えてしまう。目指していた夢の舞台は、いつのまにか「悪夢の試練(The Trial of Nightmare)」へと変貌していた。8人の戦士たちはそれぞれが最も深いところに抱える恐怖と向き合いながら、増していく狂気の中で正気を保とうとする——。

JRPGの王道「世界を救う冒険」ではない。もっと個人的で、もっと心理的な物語だ。8人それぞれが背負うものが違い、それぞれが見ている悪夢が違う。そこがCross Reverieを他のインディーJRPGと一線を画す点のひとつだ。

4つの国家と8人の戦士

ザイレラには4つの国家がある。それぞれの国が2人ずつ戦士を送り込む形で、物語は進む。

  • ヴェロニス(Veronis)LanceRaine。初めてプレイする際はこの2人が主軸になる。最初の物語ルート。
  • イン世(Yinsei) — 初周クリア後に解放される国家ルート。
  • アラストック(Alastok) — 初周クリア後に解放。
  • アーチ・トリア(Arch Toria)SpikeElisaのライバル剣士コンビが属する国家(※国家の割り当ては一部未確認)。初周クリア後に解放。

プレイヤーはまずヴェロニスのLanceとRaineの物語から入る。クリア後に残り3ルートが解放され、同じ出来事を別の視点から体験できる。それぞれのルートで選択肢が変わり、エンディングも変わる——というマルチエンディング設計だ。

このゲームで面白いのは、「パーティーの構成が会話の展開や特定シーンの解放に影響する」という点だ。誰と誰を一緒に連れていくかによって見られるやりとりが変わる。例えばライバル同士のSpikeとElisaを同じパーティーに入れると、ふたりだけの特殊な会話が発生する。そういった細かい仕掛けが、周回プレイのモチベーションを作っている。

8人のキャラクターたち

登場する8人は、それぞれまったく異なるプレイスタイルを持つ。ストーリー上でも、バトルでも、個性がはっきりしている。

  • Lance — ヴェロニスのメイン主人公。初周の視点キャラ。
  • Raine — LanceとともにVeronisルートの軸となる女性キャラクター。
  • Spike — 猪突猛進型のパワーファイター。HPが低いほど真価を発揮する特殊なメカニズムを持つ。
  • Elisa — Spikeのライバル剣士。2人を同時に使うと「X-Blade」という特殊コンボが解放される。
  • Blank — 防御型。他のキャラクターが攻撃に特化する中、パーティーを守ることに長けた能力を持つ。
  • Azar — 開発後期(Dev Diary #9)に実装完了した。詳細は今後公開予定。
  • Rose — 詳細は今後公開予定。
  • Shiro — Azarとともに開発後期に実装完了したキャラクター。

開発者のKovalenは「8人全員が本当に異なるプレイスタイルを持つように設計した」と語っている。Spikeのような「瀕死で強くなるキャラ」とBlankのような「壁役」を組み合わせて戦術を組む——そういう深みが目指されている。

バトルシステム——FFX×クロノトリガーのDNA

Cross Reverieの戦闘を語るとき、外せない名前が2つある。ファイナルファンタジーXとクロノトリガーだ。

開発者のKovalenが繰り返し言うのは、「古いシステムには一定の魅力がある」ということ。アクションRPGが主流の現代において、あえてターン制を選んだのは意地でも懐古趣味でもない。「プレイヤーが本当に思考し、パーティー全体の動きについて戦略を立てられる」からだ、と彼は語っている。

CTB戦闘:ターン順が見える戦略性

Cross ReverieはFFXのCTB(Conditional Turn-Based)システムにインスパイアされた戦闘を採用している。画面のどこかに「次のターンが誰の番か」が常に表示されていて、自分が選んだ行動がリアルタイムでそのターン順に反映される。

たとえば遅いコマンドを選べばターン順が後ろに下がり、速い行動なら早くなる。バフをかけるか、攻撃を優先するか——それを「ターン表示」を見ながら計算して決める。単なる「強い技を連打」じゃない、本当の意味での戦術性がそこにある。

各キャラクターは4つのウェポンスキルと6つのユニーク能力を持つ。パーティー4人分の行動を組み合わせて、どの順番でどの技を当てるかを考えるのがこのゲームの醍醐味だ。

アウェイクニングシステム:コンボからのフィニッシュ

Cross Reverieの戦闘でもっともユニークな要素が「アウェイクニングシステム(Awakening System)」だ。

仕組みはこうだ。特定の能力を組み合わせて使うと、敵に「アウェイクンド状態(Awakened State)」という弱体化効果が付与される。この状態の敵に対して「フィニッシャー技」を当てると、弱体化を消費して特大ダメージや特殊演出が発生する。

これはクロノトリガー・クロノクロスの「ダブルテック/トリプルテック」——複数キャラが力を合わせる合体技——にインスパイアされた設計だ。Cross Reverieでは特定キャラクターの組み合わせで解放される特殊アウェイクニングコンボが存在する。ライバル剣士のSpikeとElisaが繰り出す「X-Blade」はその代表例で、この2人を同じパーティーに入れた時だけ発動できる。

「誰と誰を一緒に使うか」が戦闘の戦術だけでなく、物語の体験にも影響するわけだ。

スティグマシステム:FF7マテリアのDNA

カスタマイズ要素の核心は「スティグマ(Stigma)システム」だ。これはFF7のマテリアシステムにインスパイアされた設計で、スティグマという結晶をキャラクターに装備することで新しい魔法スペルを習得したり、武器攻撃の性質をカスタマイズしたりできる。

重要なのは、スティグマが単なるゲーム内アイテムに留まらない点だ。ストーリー上でもスティグマは重要な意味を持つ物として登場する——つまりゲームプレイとナラティブが連動している。「なぜこの石を使うのか」という物語的文脈と「どう使えば強くなるか」というゲームプレイ的選択が重なる設計になっている。

ウェポンスキル・ユニーク能力・スティグマの3層カスタマイズを組み合わせることで、同じキャラクターでも全く違う動かし方ができる。「このビルドでクリアしたい」という周回プレイのモチベーションがここから生まれる。

フィールド探索:PS1時代への敬意

バトル以外の探索パートもこだわりがある。トップダウン視点(真上から見下ろす角度)で、カメラは360度回転できる。PS1時代のJRPGを彷彿とさせるクラシックな視点設計だ。

フィールドにはミニマップが表示され、敵キャラクターは事前に可視化されている。つまり「いきなりランダムエンカウント」ではなく、敵の位置を確認して「戦うか避けるか」を選べる。これもFFXなどの現代的JRPG設計を取り入れた部分だ。

「古いシステムには一定の魅力がある。ターン制戦闘は、プレイヤーが本当に思考し、パーティーの行動について戦略を立てることができる」

— Kovalen ‘Destructor’ Ramalingam(Sinxsoft代表)/ Siliconera インタビュー(2015年)

2015年Kickstarter——あの熱狂と、突然の幕切れ

2015年7月7日。Sinxsoftが打ち上げたKickstarterキャンペーンは、インディーJRPGコミュニティで即座に話題になった。

目標額は60,000カナダドル(当時のレートで約550万円前後)。ゲームプレイプロトタイプ動画を見れば、ターン順が画面上に表示される戦闘、FFXリスペクトの戦略性、アニメ調ながらダークな世界観——それだけで「これは本物だ」と分かった。バッカーたちのコメントが雪だるま式に増えていった。

「素晴らしい!もっとターン制JRPGが必要だ。見た目がいいね」

— Kickstarterバッカー(2015年7月)

「リリースを心待ちにしている。素晴らしい出来になりそう!」

— Kickstarterバッカー(2015年7月)

キャンペーン開始から1週間足らずで、目標の半額以上が集まった。このまま行けば達成できる——そう誰もが思っていた矢先、Sinxsoftはキャンペーンの中止を発表する。

ただし、これは失敗ではなかった。

民間投資家からの資金提供オファーが届いたのだ。しかも、Sinxsoftのビジョンを損なわない条件で、Kickstarterより手厚い金額で。開発チームは迷わず投資家の提案を選んだ。Kickstarterを続ける必然性がなくなったため、自発的にキャンペーンを閉じた。

当時のバッカーたちは戸惑いながらも、その決断を応援した。「夢のまま作れるなら、それが一番だ」——そういう空気だった。集まっていた資金はすべてバッカーに返金された。

そして、沈黙が始まった。

9年間の沈黙——2人が守り続けたもの

2015年のKickstarterキャンセル後、Cross Reverieはほとんど表舞台から姿を消した。

IndieDBやModDBの開発日記(Dev Diary)は断続的に更新されていた。ゲームシステムのアップデート、キャラクターの実装進捗、開発フレームワークの構築報告——でもそれを追い続けていたのは、ごく少数のコアなフォロワーだけだった。大きなメディアに取り上げられることもなく、SNSでバズることもなく、Cross Reverieは静かに存在し続けた。

この9年間に何があったか。Dev Diaryの断片から読み解くと、こうなる。

まず最初の1年以上は、ゲームの核心を作るための基盤構築に費やされた。Unity3D上に「Reverie Framework」という独自フレームワークを一から作り上げた。これはCross Reverieのすべてのコアシステムと開発ツールを支える土台で、ここを手抜きしたら後が崩れる——そういう判断でじっくり積み上げた。

キャラクターの実装も、Dev Diary #9(比較的最近の更新)で「残っていたAzarとShiroをようやく完成させた」と報告されている。8人のキャラクターのうち最後の2人を実装し終えたのが開発後期だったということは、それだけ丁寧に1人1人を作り込んできたということだ。

2人チームで、フルタイムでゲームを作るというのはどういうことか。Kovalenは元.NETコンサルタントだった。安定した収入と将来性を持つITキャリアを捨てて、JRPGへの純粋な愛だけを燃料にゲーム開発の世界に飛び込んだ。「私は10年以上JRPGに情熱を持ってきた。キャリアを変えて開発に飛び込んだのは、そのビジョンを世に出したかったからだ」——彼はそう言っている。

9年という時間の長さを「遅すぎる」と感じる人もいるかもしれない。でも考えてみてほしい。2人で、資金も大きな組織のバックアップもない状態で、FFXとFF7とクロノトリガーへのリスペクトを全部詰め込んだ本格JRPGを作り続ける——それがどれだけのことか。

「9年近くの沈黙を経て、Sinxsoftがついに姿を現した」

— GameSpace(2026年1月) / Release After Years of Silence

なぜ今、Cross Reverieが注目されるのか

2026年1月、Sinxsoftは突然動き出した。Steamページの開設、新トレーラーの公開、「2026年発売」「2月デモ配信」の正式アナウンス。Gematsu、NoisyPixel、VGChartz、Console Creatures——複数の英語圏ゲームメディアが一斉に取り上げた。

なぜ今なのか、なぜここまで注目されるのか。いくつかの要因が重なっている。

ターン制JRPGルネサンスの波

2023年〜2025年にかけて、ターン制JRPGが異例の盛り上がりを見せた。バルダーズ・ゲート3の大ヒット、ライク・ア・ドラゴンシリーズの躍進、そして2025年の「Clair Obscur: Expedition 33」——フランスの小規模スタジオが作ったJRPG的ターン制RPGが世界的な大ヒットを記録した。「ターン制=古い」という偏見が完全に崩れた瞬間だった。

この流れはインディー市場にも波及した。Turn Based Loversのような専門メディアが盛り上がり、r/JRPGのようなコミュニティが次世代のターン制JRPGを熱心に探し始めた。Cross Reverieが「2026年注目インディーJRPG」リストに複数掲載されるようになったのは、この文脈とは切り離せない。

「本物のJRPGへの愛」が伝わる

もうひとつは、Sinxsoftの作り方そのものへの共感だ。

大手スタジオのJRPGは、どうしてもビジネス的な計算が見えてしまう。マーケティング戦略、収益モデル、ローカライズ計画——それ自体は悪いことではないが、「このゲームを作りたかった」という純粋な熱量が薄まることもある。

Sinxsoftの場合、元コンサルタントが安定した仕事を捨てて、たった2人で、FFXとFF7とクロノトリガーへの愛だけを燃料に10年以上作り続けている。それは嘘をつけない。

Turn Based Loversのレビュアーが「今日Kickstarterをやったら余裕で目標達成できる」と評したのは、ゲームの完成度だけでなく、この「本物感」への評価でもあると思う。

デモという試金石

2026年2月に配信されたSteamデモは、このゲームを「試してから買う」という選択肢を与えた。Steamユーザーの”badatthis”が「試さずに買うのは不安。似たようなゲームが市場にたくさんありますから」とコミュニティに投稿したのは2026年1月のことだった——その声を受けるように、デモが発表された形だ。

インディーゲームの世界では、デモは「ゲームへの自信」の表れでもある。Sinxsoftがデモを出した事実は、それだけ手応えがあるということだろう。

2025年IndieDB「Indie of the Year」候補入り

IndieDBのコミュニティ投票「2025 Indie of the Year」にもノミネートされた。大きなスタジオが並ぶ中でのノミネートは、長年の開発をウォッチし続けてきたインディーゲームコミュニティからの評価の証だ。

プレイヤーやメディアの声——実際の反応は?

Cross Reverieはまだ発売前のタイトルだ(2026年4月現在)。Steam上のユーザーレビューはまだ存在しない。それでも、ゲームメディアやコミュニティからの声は着実に積み上がってきている。

メディアの評価

「Sinxsoftの作品は非常に興味深い。もし今日Kickstarterキャンペーンを立ち上げたとしたら、目標額達成に何の問題もないだろうと私は心から信じている」

— Turn Based Lovers / overview記事

ターン制JRPG専門メディアのTurn Based Loversが「今日Kickstarterをやれば余裕で達成できる」と書くほどの期待感。2015年当時とは違い、インディーJRPGを受け入れるコミュニティの厚みがまったく別物になっている、という文脈もある。

「謎に満ちたストーリーを考えると、飛び込んでみたら面白いゲームになりえる。アニメスタイルに少しエッジを効かせたものを探しているなら、このタイトルは注目すべき一本だ」

— Turn Based Lovers / Top 20 Upcoming Turn-Based JRPGs Of 2026

「アニメスタイルにエッジを効かせた」という表現は、このゲームのビジュアルを的確に言い当てている。カラフルで明るい3Dアニメ調のビジュアルに、Diabloのような暗い雰囲気が重なる——それがCross Reverieの視覚的な個性だ。

「9年近くの沈黙を経て、Sinxsoftがついに姿を現した。Steam上でデモと2026年発売を予告するトレーラーが公開された」

— GameSpace(2026年1月) / Release After Years of Silence

Steamコミュニティの声

Steamコミュニティページにはまだ多くの書き込みがない。それでも、ゲーム発表直後に投稿されたコメントが示すものがある。

「デモの予定はありますか?試さずに購入するのは不安で。今は似たようなゲームが市場にたくさんありますから」

— Steam ユーザー “badatthis”(2026年1月22日) / Steam Community :: Cross Reverie

このコメントには開発者がしっかりと応答し、デモの計画を明らかにした。「フィードバックを受け入れることが大切」という開発者の姿勢が、ここにも表れている。小さなインタラクションだが、Sinxsoftがコミュニティを大切にしているという証左だ。

2015年Kickstarter時代のバッカーたち

9年前のKickstarterキャンペーンに支援したバッカーたちの声も、このゲームの「本物感」を示している。当時集まったコメントを振り返ると——

「素晴らしい!もっとターン制JRPGが必要だ。見た目がいいね」

— Kickstarterバッカー(2015年7月) / Kickstarter キャンペーンページ(アーカイブ)

「リリースを心待ちにしている。素晴らしい出来になりそう!」

— Kickstarterバッカー(2015年7月) / Kickstarter キャンペーンページ(アーカイブ)

2015年当時からターン制JRPGを求めていたプレイヤーが確実に存在した。そのニーズは2026年の今もまったく変わっていない——むしろ、Clair Obscur: Expedition 33の世界的ヒットが証明したように、そのニーズはずっと大きかったのだ。

こんな人に刺さる——Cross Reverieが向いているプレイヤー像

Cross Reverieは万人向けではない。でも、ハマる人には深く刺さる作りになっている。あなたに向いているかどうか、チェックしてみてほしい。

ぴったりな人

  • FFXの戦闘が好きだった人 — ターン順を見ながら動きを組み立てる感覚が好きなら、Cross Reverieの戦闘は即座にフィットするはずだ。CTBの「見える戦略性」はFFX以来ほとんど受け継がれてこなかっただけに、これを待っていた層は確実に存在する。
  • クロノトリガーのダブルテックが好きだった人 — アウェイクニングシステムの「キャラクターコンボからのフィニッシュ」は、あの気持ちよさに近いものを狙っている。特定キャラの組み合わせで解放される特殊コンボは、パーティー編成の楽しさをそのまま引き継いでいる。
  • キャラクター中心の物語が好きな人 — 世界規模の大冒険よりも、個々のキャラクターが心理的な深みを持つドラマが好きなら、Cross Reverieのアプローチは刺さる。8人それぞれの背景と悪夢が丁寧に描かれる設計になっている。
  • 周回プレイとマルチエンディングが好きな人 — 4つの国家ルート×複数エンディングという構成は、1周で終わらないリプレイ価値を作っている。「別の視点でもう一回」という遊び方ができる。
  • インディーゲームに情熱のこもった作品を求めている人 — 大手スタジオのJRPGにはない「作りたいものを作りきった」という密度が好きな人に向いている。

注意が必要な人

  • 日本語対応を期待している人 — 現時点では英語のみ対応。日本語ローカライズの予定は公式から発表されていない。英語のテキストが苦手なら、その点は要確認だ。
  • アクション系の戦闘が好きな人 — Cross Reverieはあくまでターン制。リアルタイムの爽快感よりも、じっくり考える戦略性を楽しむゲームだ。
  • 発売直後にプレイしたい人 — 2026年PC発売予定ではあるが、具体的な発売日はまだ未定(2026年4月現在)。コンソール版はさらに後になる。

ビジュアルスタイル——「カラフルな外側」と「暗い内側」

Cross Reverieのグラフィックを初めて見たとき、少し不思議な感覚を覚える人が多い。

鮮やかでアニメ的な3Dビジュアル。キャラクターたちはポップで動きがあり、色彩は明るい。それなのに、漂う空気は重い。世界観はダークで、物語は心理的な恐怖に踏み込んでいく。この「外側の明るさ」と「内側の暗さ」のギャップが、Cross Reverieの視覚的な個性だ。

開発者のKovalenはこの設計を意図的に選んでいる。「カラフルなグラフィックスにDiablo的な暗い雰囲気を融合させた」——彼はそう表現している。ダークソウルやウィッチャーのような「最初から暗い」ビジュアルではなく、明るい外見の奥に潜む闇——という表現が、Cross Reverieのテーマである「悪夢」とも呼応している。

フィールドマップはトップダウン視点で、カメラは360度回転できる。PS1時代のJRPGを現代の3Dで再現したような雰囲気があり、懐かしさと新鮮さが同居している。ダンジョン内部はより閉塞感のある構造になっており、「試練の場」であることを視覚的に強調する設計になっているようだ。

キャラクターデザインは「スタイライズド(stylized)」と表現されており、フォトリアルではなくアニメ・ゲームからインスパイアされた独自のスタイルを持つ。8人それぞれのデザインが国家の文化的背景を反映しており、たとえばヴェロニス国のLanceとRaineはそれぞれ異なる武器と戦闘スタイルを持つことがビジュアルからも読み取れる。

ゲームプレイプロトタイプ動画(YouTube: Cross Reverie JRPG Gameplay Prototype)では戦闘のビジュアルが確認できる。ターン順表示、スキル選択UI、属性弱点の演出——この段階でもすでにFFX的な「情報の見せ方」が意識された設計になっていた。

開発日記(Dev Diary)から読み解く——10年分の積み重ね

IndieDBとModDBに残されたCross Reverieの開発日記(Dev Diary)は、このゲームの「時間のかかり方」を正直に示している。断片的ではあるが、そこから読み取れるものは多い。

Dev Diary #1——基盤の構築

最初期の開発日記では、「Reverie Framework」の構築に集中していることが語られる。Unity3D上に積み上げた独自フレームワークで、Cross Reverieのすべてのコアシステム——戦闘エンジン、キャラクターパラメータ管理、ターン制御——を支える土台だ。

ここに1年以上費やした理由をKovalenはこう語っている。「後で崩れないように、最初に正しく作る」。元コンサルタントらしい設計思想だ。大手スタジオなら複数のエンジニアがそれぞれ分担する部分を、2人でやり遂げた。

Dev Diary #9——キャスト完成

比較的最近の更新であるDev Diary #9では、大きな節目が報告されている。「残っていたAzarとShiroの実装をようやく完了した」——8人全員のキャラクターが揃ったのだ。

この報告の口調に、長い時間をかけてきた達成感が滲んでいる。「これで物語の実装という、ゲームのいちばん楽しい部分に集中できる」という言葉とともに、次のフェーズへ進む宣言がなされていた。全キャラクター実装完了 → ストーリー実装 → 2026年発売宣言、という流れが、ここから見えてくる。

また同じ日記では「Trial of Nightmareに新しい敵を追加した」「来月からは各ゾーンへの展開を始める」という進捗も報告されていた。ダンジョン設計やエネミーバリエーションの作り込みが、発売年を前に急ピッチで進んでいる様子が伝わってくる。

継続更新の意味

2015年のKickstarterキャンセル以降も、IndieDB/ModDBの開発日記は細々と更新され続けた。大きなメディアに取り上げられることもなく、SNSでバズることもなく——それでも更新を続けてきたことが、このプロジェクトの「本気度」を示している。

更新のたびに少数のコアフォロワーがコメントを寄せ、開発者が応答し、小さなコミュニティが維持されてきた。9年間、それを続けてきた。大手スタジオのゲームにはない、小さくて確かな熱量がそこにある。

Clair Obscur: Expedition 33が開いた扉——Cross Reverieへの追い風

2025年、ゲーム業界に衝撃が走った。フランスの小規模スタジオ「Sandfall Interactive」が開発した「Clair Obscur: Expedition 33」が世界的な大ヒットを記録したのだ。

ターン制RPG。アニメ的な美術。独自のコマンドシステム。インディーゲームとは思えないクオリティ——この作品は「ターン制RPGには市場がない」という業界の常識を完全に打ち砕いた。Steamのレビューは圧倒的好評、各種GOTYリストに名前が並び、「2025年のベストゲーム」候補に上がり続けた。

この出来事がCross Reverieにとって何を意味するか。

まず、ターン制JRPGへの需要が「確実に存在する」ことが証明された。Clair Obscurの成功に熱狂したプレイヤーたちは「次に遊べる同系統のゲームはないか」と探し始めた。その視線が、インディーJRPGコミュニティにも向いてきた。

Turn Based Loversのような専門メディアのトラフィックが増え、r/JRPGのようなコミュニティが「2026年のターン制JRPG」を積極的にリストアップするようになった。そのリストにCross Reverieが入るようになったのは、この流れと無縁ではない。

ただし、Cross ReverieはClair Obscurとはアプローチが異なる。Clair Obscurがコマンド入力時のリアルタイム回避を取り入れたハイブリッド設計であるのに対し、Cross ReverieはCTBという「純粋なターン制の戦略性」を追求している。「Clair Obscurが好きだった」というプレイヤーが次に試す選択肢として、Cross Reverieは自然な候補になりえる。

Sinxsoftが2026年に動き出したタイミングは、偶然ではないかもしれない。市場が、ようやくこのゲームを受け入れる準備ができた——そういう読みがあったとしても、不思議ではない。

開発者 Kovalen Ramalingam という人間——JRPGへの愛が原動力

Cross Reverieを語るうえで、作っている人間を知ることは欠かせない。

Kovalen ‘Destructor’ Ramalingamは、カナダ出身の開発者だ。ゲーム業界の出身ではない。元々は.NETコンサルタントとして働いていた——つまりソフトウェア開発の専門家として、安定した収入と将来性を持つキャリアを歩んでいた。

それを手放した。

理由は単純だ。子どもの頃からJRPGを遊び続けて、ファイナルファンタジー、ドラゴンクエスト、グラナダ——そのジャンルへの10年以上の情熱を、自分で形にしたかった。「キャリアを変えて開発に飛び込んだのは、そのビジョンを世に出したかったからだ」と彼は語っている。

現在のチームはたった2人。Kovalenがプログラミングとゲームデザインとディレクションをすべてこなしながらも、もう1人のストーリーライターとともに物語の核心を作っている。

開発の最初の1年以上は、Unity3D上に独自フレームワーク「Reverie Framework」を構築することに費やされた。これはCross Reverieの全コアシステムと開発ツールを支える土台で、ここをしっかり作っておかなければゲームの後半が崩れる——という判断だった。コンサルタント出身ならではの設計思想かもしれない。「後で後悔しないための土台作り」を、他の誰かに急かされることなく、自分のペースで積み上げた。

2024年末から活発に動き出した背景には、「ようやく全キャラクターの実装が完了した」という節目があった。Dev Diary #9で「残っていたAzarとShiroをようやく完成させた」と報告されたのがそれだ。8人全員が揃い、物語の実装に本格着手できる段階になった——だからこそ、世に向けて動き出すタイミングが来たのだろう。

Kovalenはインタビューでこう言っている。「インディーとしてフィードバックを受け入れることが大切だと思っている。それがゲームをより良くする重要な要素だ」。Steamコミュニティでユーザーの声に丁寧に応対する姿勢は、その言葉と一致している。

同ジャンルのインディーJRPGと比べると

2026年のインディーJRPG市場には、Cross Reverie以外にも注目作が揃っている。その中でCross Reverieがどう位置づけられるか、整理しておきたい。

Cross Reverieが「FFX系」であること

インディーJRPGの多くは、ATB(アクティブタイムバトル)系の戦闘か、フルアクション系を採用している。CTB——ターン順が事前に表示されて、行動選択がそのまま順序を変動させる——というシステムを採用しているインディーJRPGは非常に少ない。そこがCross Reverieの最大の差別化だ。

Clair Obscur: Expedition 33が「ターン制でもここまでできる」を2025年に証明したが、あれはコマンド入力時のリアルタイム回避など独自の味付けが強かった。純粋なCTB体験を求めるなら、Cross Reverieは数少ない選択肢のひとつになる。

同じ時期に注目されているインディーJRPG

2026年のターン制インディーJRPGで注目されている作品として、以下が挙げられる。

ターン制JRPGが好きでCross Reverieが気になるなら、同ジャンルの以下の作品も合わせてチェックしてみてほしい。

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それぞれ方向性は異なるが、「ターン制RPGをもっと遊びたい」という人にとって2026年は充実した年になりそうだ。Cross Reverieはその中でも「FFX的な戦略性とキャラクタードラマへの深い投資」という軸で独自の立ち位置を持っている。

マルチエンディングの設計——1周では終わらない理由

Cross Reverieを語るうえで外せないのが、そのリプレイ設計だ。このゲームは「1周クリアしたら終わり」という作りになっていない。むしろ、1周目は「入り口」に過ぎない。

4ルートの構造

前述のとおり、ザイレラには4つの国家がある。最初にプレイできるのはヴェロニスルート(LanceとRaine中心)のみ。クリアすると残り3つのルート——イン世、アラストック、アーチ・トリア——が解放される。

これは単なる「章の追加」ではない。同じ出来事を、まったく異なる視点と立場から体験するための設計だ。たとえばヴェロニスルートでは「謎の敵」として描かれていたキャラクターが、別ルートでは主人公側の人物として登場するかもしれない。あの出来事の裏に何があったか、別ルートを遊んで初めて理解できる——そういう構造になっている。

日本のJRPGでこれに近い設計を持つ作品として、テイルズシリーズのキャラクタールート切り替えや、ゼノギアスの二部構成などが浮かぶ。Cross Reverieはそれを4つの国家視点で展開している。

選択肢とエンディング分岐

各ルートの中にも選択肢が存在し、それが結末に影響する。同じルートを2回プレイしても、選択を変えれば異なるエンディングに到達できる設計だ。

パーティー編成も分岐に関わる。「誰を連れていくか」が特定シーンの解放条件になっていたり、特定の組み合わせで新しいダイアローグが生まれたりする。ただ強いキャラを選ぶのではなく、「このシーンでこの2人を一緒に見たい」という動機でパーティーを編成する——という体験が生まれる。

SpikeとElisaのライバル関係はその典型だ。2人を同時にパーティーに入れると特殊な会話が発生し、コンボ技「X-Blade」が解放され、物語上のある決定的な場面での反応も変わる可能性がある。「このルートではあの2人を必ず連れていこう」という強い動機がここから生まれる。

周回プレイを支えるゲームプレイの深さ

マルチエンディングが機能するためには、2周目3周目も「プレイしていて楽しい」でなければならない。Cross Reverieはその点をスティグマシステムとアウェイクニングコンボの奥深さで補っている。

1周目では使いこなせなかったスティグマの組み合わせ、試さなかったキャラクタービルド、気づかなかったアウェイクニングコンボ——それらを2周目で試しながら、別視点のストーリーを読む。ゲームプレイとナラティブの両方が、周回プレイのたびに新鮮さを保つ設計になっている。

「試練」というゲームの核心——なぜこのテーマなのか

Cross Reverieのサブタイトルは「The Trial of Nightmare(悪夢の試練)」だ。なぜ「試練」なのか、なぜ「悪夢」なのか——このテーマ選択は、開発者の意図と深く結びついている。

JRPGへの愛と、JRPGへの問い

Kovalenが子どもの頃からプレイしてきたJRPGの多くは「世界を救う」物語だった。ファイナルファンタジー、ドラゴンクエスト、グラナダ——どれも「大きな敵」に立ち向かう壮大な旅だ。それ自体は素晴らしいが、Cross Reverieは違う問いを立てた。

「もし試練が、自分の内側にあるものだったら?」

シャドウという存在が試練を「悪夢」に変えるのは、ただの「ボスの登場」ではない。8人それぞれが最も深く恐れているものが現実化する——それはつまり、キャラクターの内面が試される場になるということだ。正気を保つこと、自分が何者かを見失わないこと——そういうテーマが「試練」というフレームに込められている。

これがCross Reverieを「ダークファンタジー」と呼ぶ理由だ。外見の敵と戦うのではなく、内側の恐怖と向き合う——JRPGとしては珍しいアプローチだ。

8人それぞれの「悪夢」

8人のキャラクターはそれぞれ異なる国家の出身で、異なる願いを持って試練に臨んでいる。「願いが叶う」という報酬を目指して来た彼らが、「悪夢」に変わった試練の中でどう変わっていくか——それが物語の中心にある。

Spikeのような「猪突猛進で低HP時に本領発揮する」という戦闘特性は、ただのゲームメカニクスではない。それは彼のキャラクター性——後先を考えず突っ込む、限界を超えてこそ本物になる——と連動している可能性がある。Cross Reverieはそういう「ゲームプレイとキャラクターの一致」を意識して設計している。

Blankの防御特化も同様だ。他者を守ることを優先するキャラクターが、悪夢の試練の中で何を問われるか——ゲームプレイの設計がキャラクターの内面を示す鏡になっている、という期待ができる。

「ドリーマー」の正体と試練の真の意味

タレスフォード島に宿る神秘的な存在「ドリーマー(The Dreamer)」は、試練の主催者であり審判者だ。100年ごとに開催される儀式を管理し、勝者に「1つの願い」を叶える力を持つ。

しかしシャドウが乗り込んできてルールを変えた後、「ドリーマーとは何者なのか」「試練の本当の目的は何だったのか」という謎が浮かび上がる。4つのルートを全てプレイすることで、この謎に対する答えに近づいていく——という構造になっているようだ。

この「世界の仕組みを複数視点で理解していく」設計は、ゼノギアスやFF14のストーリー構造に近い。最初のルートでは見えなかった全体像が、周回を重ねるごとに浮かび上がる。それがCross Reverieのリプレイ価値の核心のひとつだ。

インディーJRPGとして見たとき——Cross Reverieの立ち位置

2026年のインディーゲーム市場において、Cross Reverieはどういう存在か。少し俯瞰して整理してみたい。

「日本人が作ったJRPG」ではない面白さ

JRPGというジャンルは長い間、文字通り「日本のRPG」だった。スクウェア・エニックス、コーエーテクモ、日本ファルコム——ジャンルの担い手は圧倒的に日本企業だった。

しかし2010年代後半から、「JRPGにインスパイアされた西洋のゲーム」が増え始めた。Undertale、Omori、Disco Elysium、Octopath Traveler(これは日本製だが海外でも大ヒット)——JRPGの文法を吸収した海外インディーが次々と登場した。

Cross Reverieもその流れにある。カナダ・モントリオール出身のSinxsoftが、FFXとFF7とクロノトリガーへの愛から作った「JRPG」。日本人が作ったわけではないからこそ、「JRPGというジャンルへの外側からのリスペクト」が透けて見える。

SiliconerのインタビューでKovalenが語る言葉には、「なぜこのシステムが好きなのか」「なぜこの雰囲気を選んだのか」という分析が明確に出てくる。JRPGを「当たり前のもの」として作っているのではなく、「意識的に選んで」作っている——そこが面白い。

2人でどこまで作れるか——という挑戦

Cross Reverieの最大の「問い」は、「2人のチームでこれだけの設計を実現できるか」だ。

4国家ルート×複数エンディング、8キャラクターの個別ストーリーと戦闘特性、CTBとアウェイクニングとスティグマの3層システム、トップダウン探索とダンジョン設計——これを2人で作るのは、どう考えても大変だ。だから9年かかった、とも言える。

でも逆に言えば、9年かけてここまで積み上げてきた。Dev Diary #9で「全キャラクター実装完了」が報告されたとき、それは単なる進捗報告ではなく、10年近い積み重ねの到達点だった。

インディーゲームの世界では「野心的すぎる設計が完成できずに終わるプロジェクト」は珍しくない。Cross Reverieがそうならなかったのは、Kovalenの「まず土台を正しく作る」という設計思想と、諦めない継続力があったからだ。

価格と「価値」の問題

Cross Reverieの価格はまだ発表されていない(2026年4月現在)。インディーJRPGの価格帯は概ね15〜30ドルが相場で、ボリュームと品質次第で評価が大きく変わる。

このゲームの場合、4ルート×複数エンディングという構成は「1周のボリューム」と「総ボリューム」の両方を満たせる可能性がある。仮に1周が10〜15時間だとすれば、4ルート完走で40〜60時間に及ぶかもしれない。その点では「買い切りインディー」としてのコスパは十分に期待できる。

デモが先に配信されているのは、価格発表前にプレイ体験を提供するという合理的な戦略でもある。「まず試してみてください、その上で判断してください」——そういうメッセージがデモ配信には込められている。

デモを遊ぶ前に知っておきたいこと

2026年2月に配信が始まったSteamデモは、Cross Reverieへの「入口」として機能している。遊ぶ前に頭に入れておくと体験が深まることを、いくつか書いておく。

最初のルートはヴェロニスから

ゲームはまず「ヴェロニス」国家ルート——LanceとRaineの物語——からスタートする。このルートが「1周目」で、残り3ルートは初周クリア後に解放される設計だ。デモでもこのルートから入ることになるはずだ。

戦闘はじっくり考える設計

CTB戦闘はリアルタイム要素がない。焦らなくていい。ターン順の表示を見ながら「次に何をするか」を落ち着いて選ぶことが、このゲームの楽しさの核心だ。最初は「ターン順がどう変わるか」を意識しながら動くと、戦略の面白さが見えてくる。

キャラクターの組み合わせを試してみる

SpikeとElisaを同じパーティーに入れると特殊な会話やコンボが解放される——そういった「誰と誰を連れていくか」による変化を、デモの段階から意識して遊んでみてほしい。このゲームの楽しさは、そういう細かい発見の積み重ねにある。

英語環境での体験になる

現時点では英語のみ対応なので、ストーリーや会話のニュアンスを楽しむには英語力が必要だ。ゲームプレイ部分(戦闘システム・探索)は英語が苦手でも操作自体は把握できる。

よくある疑問——Q&A形式でまとめると

Cross Reverieについて、初めて知る人がよく感じる疑問をまとめておく。

Q. 日本語版は出ますか?

現時点(2026年4月)では、英語のみ対応している。公式から日本語ローカライズの計画は発表されていない。ただしインディーJRPGの場合、発売後に言語対応が追加されるケースも多い。Steamのウィッシュリスト登録者数や発売後の反響次第では、日本語対応が検討される可能性はある。今は「英語でも遊べる」前提でチェックしておき、日本語版を待ちたいならウィッシュリストに入れておくのがいいだろう。

Q. いつ発売ですか?具体的な日付は?

「2026年内」というアナウンスはあるが、具体的な発売日はまだ未発表だ(2026年4月現在)。コンソール版(PS5/Xbox等)はPC版より後になる予定で、こちらの時期はさらに未定。Steamページをフォローしておくか、公式サイト(crossreverie.com)のニュースレターに登録しておくと、発売日発表時に通知が届く。

Q. デモはどこで遊べますか?

SteamのCross Reverie ストアページから無料でダウンロードできる。2026年2月より配信開始。Steamアカウントがあれば誰でも試せる。

Q. 価格はいくらですか?

まだ発表されていない。インディーJRPGの相場(15〜30ドル程度)から外れることはないと思われるが、正式な価格は発売日発表時に明らかになるはずだ。

Q. Humble Gamesが関わっていると聞いたが?

調査した限りでは、パブリッシャーはSinxsoft自身だ。Humble Gamesとの提携は確認できていない。独立系インディースタジオとして自社パブリッシュの形をとっている。

Q. オンライン要素やマルチプレイはありますか?

Cross Reverieは完全オフラインのシングルプレイヤーRPGだ。ネット接続は不要で、マルチプレイ要素もない。じっくりひとりで物語に浸れるゲームとして設計されている。

Q. PCスペックはどのくらい必要ですか?

まだ公式から推奨スペックは発表されていない。Unity3D製でアニメ調の3Dビジュアルという特性上、最新ゲーム向けの高スペックは不要と思われるが、デモを試してみるのが確実だ。

Q. 2015年のKickstarterに支援していた人は優遇されますか?

Kickstarterキャンペーンは中止時に全額返金されており、バッカー特典は存在しない。ただしSinxsoftはコミュニティへの感謝を繰り返し表明しており、発売時に何らかのアーリーサポーター向け施策がある可能性はゼロではない。公式サイトやSteamのフォローで最新情報を確認してほしい。

Q. ゲームクリアまでの時間は?

公式発表はまだないが、4国家ルート×複数エンディングという構成から推測すると、1ルートのメインストーリーで10〜15時間、全ルート・全エンディングを目指すと40〜60時間以上になる可能性がある。このあたりはデモのボリュームや発売後のレビューで明らかになってくるだろう。

まとめ——9年間、ビジョンを曲げなかった2人のゲーム

Cross Reverieは「完成が遅い」ゲームではない。「丁寧に作り続けた」ゲームだ。

Sinxsoftのたった2人が、10年以上かけてFFXとFF7とクロノトリガーへの愛を注ぎ込んできた。民間投資家が「ビジョンを曲げない」という条件を提示してくれたからこそ、妥協せずに作れた。そのことへの感謝と自負が、このゲームの隅々に滲んでいる気がする。

2026年は、そのゲームがついに形になる年だ。

ターン順が見えるあの戦略性。クロノトリガー的なキャラクターコンボ。FF7的なカスタマイズの深み。ダークファンタジーに包まれた8人のドラマ。これだけの要素を小規模スタジオが1本のゲームに詰め込もうとしている——それだけで、注目する価値はある。

まずはSteamでウィッシュリストに入れて、デモを試してみてほしい。9年待ったゲームの最初の体験が、そこにある。

Sinxsoftの2人が作り続けたものを、受け取る番だ。

Cross Reverie — Steamページ(ウィッシュリスト・デモ)

Cross Reverie

Sinxsoft
リリース日 2026年
発売前
価格未定
開発Sinxsoft
日本語非対応
対応OSWindows
プレイ形式シングル