Persona 5 The Phantom X

Persona 5: The Phantom X|ペルソナ5の世界観をそのままに、新主人公が歩む怪盗団RPG

「あのペルソナ5の感触、ちゃんと残ってる」——Persona 5: The Phantom Xをしばらく遊んで、率直にそう感じた。

赤と黒のカラースキーム。スタイリッシュに切り替わるUIアニメーション。ジャズとロックが交差するBGM。キャラクターが颯爽とペルソナを召喚するときの演出——これは間違いなく、2017年に世界中で大ヒットしたあのゲームの世界だ。

ただしプレイヤーが操作するのは、オリジナルの主人公・ジョーカーではない。本作の中心に立つのは、ナギサ・カミシロという高校生だ。彼は「ワンダー」というコードネームを持つ新たなファントムシーフとして、現代の東京で怪盗団活動を繰り広げる。

本作はATLUSとSEGAが監修し、中国のBlack Wings Game Studioが開発したスピンオフRPGだ。基本プレイ無料で、PCとスマートフォンの両方に対応。ガチャシステムを持つモバイルゲームの体裁をとりつつ、ペルソナシリーズの核心——学園生活と心の宮殿探索を組み合わせたあの体験を、しっかりと再現しようとしている。

SteamのAppIDは3061570、WordPressの投稿IDは68665。グローバル向けの正式リリースは2025年6月26日。Steamのレビューは「賛否両論」だが、その評価の割れ方には理由があって、ゲームの中身が悪いから低評価がついているわけではない。その点も含めて、この記事では丁寧に書いていく。

目次

こんな人に読んでほしい

Persona5: The Phantom X JRPG スクリーンショット1

Persona 5: The Phantom Xは、すべてのゲーマーにすすめられる作品ではない。向いている人と、ちょっと考えてから手を出した方がいい人を先に整理しておく。

こんな人にはかなり刺さる:

  • ペルソナ5(またはRoyal)をプレイして、あの世界観が好きだった人
  • スタイリッシュな演出・UIデザインにこだわりを持つRPGファン
  • ターン制バトルで弱点を突いて「More!」を連鎖させる快感が好きな人
  • ガチャRPGを遊ぶとき、ストーリーの質を重視する人
  • 日本語ボイスと日本語UIでプレイしたい人(本作は日本語対応済み)
  • 無課金・微課金で長く遊び続けられるゲームを探している人
  • PCとスマホどちらでも気軽に遊びたい人
  • 原神・ブルーアーカイブなど、中国・アジア系の高品質ガチャRPGに慣れている人

ちょっと注意が必要な人:

  • ペルソナシリーズを一切触れたことがなく、世界観に予備知識がない人(楽しめるが、刺さり方は違う)
  • ガチャや課金システムに対して強いアレルギーがある人
  • グローバル版とCN版の扱いの差に敏感で、そこがゲームへの評価に直結してしまう人
  • アクションRPGや、リアルタイムの激しい戦闘を求めている人
  • 毎日のデイリーミッションやスタミナ管理が苦手な人

一言でまとめるとこうだ。「ペルソナ5の皮を被った、骨格の通ったガチャRPG」——それがPersona 5: The Phantom Xだ。ペルソナ5が好きだった人なら、世界観の再現度に素直に感動できる。ガチャRPGとして見ても、ストーリーとシステムは同ジャンルの中でかなり上位に入る。ただし運営方針をめぐる議論はあり、Steamのレビューはその煽りを受けている——という状況だ。

ゲーム概要

Persona5: The Phantom X JRPG スクリーンショット2

Persona 5: The Phantom Xは、ATLUSのペルソナシリーズを原作とするスピンオフRPGだ。開発は中国のBlack Wings Game Studio(Perfect Worldの子会社)が担当し、ATLUSおよびSEGAが監修。パブリッシャーはSEGA。基本プレイ無料で、PC(Steam)、iOS、Androidに対応している。

リリースの経緯は少し複雑だ。2021年に「Code Name: X」として存在が明かされ、2023年から複数回にわたって中国向けのベータテストが実施された。中国での正式リリースは2024年4月。その後、日本・グローバル向けの展開が検討され、2025年6月26日にSteam(PC)、App Store、Google Playで正式リリースとなった。

ゲームの舞台は現代の東京。プレイヤーは高校生のナギサ・カミシロとして、昼間は普通の学校生活を送りながら、放課後は「メタバース」と呼ばれる人の欲望が具現化した異空間に潜入し、歪んだ心を持つ大人たちの「お宝」を盗む怪盗団として活動する。ペルソナ5の根幹にある「学園生活×怪盗活動」という二重構造は、本作でもそのまま引き継がれている。

スタッフ面も充実している。ペルソナシリーズのキャラクターデザイナー・副島成記がキャラクターデザインを監修。プロデューサーの和田和久が監督として関与。ペルソナ5のボーカリストであるLynが本作のテーマ曲を担当。ビジュアル・サウンドともにオリジナルのペルソナ5との連続性が強く意識されている。

Steamのレビュー状況は「賛否両論(Mixed)」で、英語レビューの約47%が好評という数字になっている。しかしこれは「ゲームの質」への評価とは切り離して読む必要がある。低評価の多くは、グローバル版とCN版の報酬体系や配信スケジュールの格差に対する不満によるものだ。「ゲーム自体は面白いが、運営方針への抗議票として低評価をつけた」という声がレビュー欄に多数見られる。

一方でPC Gamerは78点を付けており、「ペルソナ5は意外とガチャゲーム化に適応している」と評価。Pocketgamerは6/10としながらも「美しく完成度の高いRPG体験」と述べている。また29th Annual D.I.C.E. Awardsのモバイルゲーム・オブ・ザ・イヤーを受賞しており、ゲームとしての評価は決して低くない。

ペルソナシリーズとの関係

本作はペルソナ5のダイレクトな続編ではなく、世界観を共有したスピンオフという位置づけだ。

オリジナルの怪盗団(ジョーカー、モルガナ、竜司など)は本作には登場しないか、別の形での関わりにとどまる。主人公のナギサは完全に新しいキャラクターで、彼の周りには新たな仲間たちが集まる。「ペルソナ5の世界でもう一度、別の怪盗団の物語を体験できる」という表現が最もしっくりくる。

ベルベットルームはちゃんと登場する。双子の看守ジャスティスとキャロラインの流れを汲む、新たなルームの住人が主人公をサポートする。ペルソナの合体、コンフィダントシステム、弱点を突いてダウンを取る戦闘メカニクス——ペルソナ5をプレイした人なら「あ、これ知ってる」と感じる要素が随所に散りばめられている。

世界観とストーリー

ストーリーの起点はシンプルだ。ナギサ・カミシロは普通の高校生として日々を過ごしていたが、ある日突然「メタバース」と呼ばれる異空間に迷い込む。そこで出会ったのは、老いた賢者の姿をした謎の存在・ルフェイだ。

ルフェイはナギサに告げる。このメタバースは人間の無意識の欲望が具現化した世界であり、今そこにいる「シャドウ」と呼ばれる存在が、人々から希望を奪おうとしている——と。

ナギサは自らのペルソナに覚醒し、怪盗団「ファントムシーブズ」の一員となる。彼のコードネームは「ワンダー」。仲間を集め、歪んだ心を持つ大人たちの「宮殿」に潜入し、お宝を盗むことで彼らの心を変えていく——これが本作の基本的な物語の骨格だ。

第一の標的は、地下鉄で痴漢行為を繰り返す木内武之という男だ。メタバース内に広がる彼の宮殿は「地下鉄駅」として具現化されており、彼の歪んだ欲望が建物の隅々まで反映されている。この設定は、ペルソナ5で描かれた「宮殿」の概念をそのまま引き継いだものだ——権力を持つ大人が社会的な弱者を踏みにじる構造を、異空間として視覚化するという手法。

物語のトーンはペルソナ5に近い。社会の理不尽さに怒りを持つ若者たちが、大人たちの歪んだ心に向き合いながら成長していく——その普遍的なテーマは本作でも中心に据えられている。

新キャラクターたちの魅力

本作の新キャラクターは、副島成記の監修のもとで設計されている。ペルソナ5のビジュアル文法をそのまま継承しつつ、新しい個性を持つメンバーが揃っている。

主人公のナギサ・カミシロ(ワンダー)は、内向的でありながら強い正義感を持つ少年だ。ジョーカーのような「沈黙の主人公」とは少し違い、感情をはっきり言葉にするシーンも多く、プレイヤーが感情移入しやすいキャラクター設計になっている。

彼と行動をともにする仲間たちも個性的だ。新井元太花はナギサと同じクラスの少女で、正義感が強く、最初にナギサをメタバースへの活動に引き込む存在になる。各キャラクターは怪盗団としてのコードネームを持ち、それぞれ異なるペルソナを使って戦う。

コンフィダント(絆)システムも実装されており、各キャラクターとの関係を深めることで、彼らのバックストーリーが明かされていく。「このキャラクターがなぜ怪盗団に加わったのか」「何と戦っているのか」——一人ひとりの動機が丁寧に描かれており、キャラクターへの愛着が生まれやすい構成だ。

ペルソナ5のキャラクターとの接点

スピンオフとはいえ、元の怪盗団メンバーとの接点は用意されている。本作にはガチャで「コラボキャラクター」として、ジョーカーや竜司、杏といったペルソナ5のオリジナルメンバーが参戦する仕組みが設けられている。

彼らは本作の世界線に存在するキャラクターとして描かれており、ナギサたちとの会話シーンも実装されている。「昔のキャラクターと新しいキャラクターが同じ画面に並ぶ」という体験は、ペルソナ5ファンにとって素直に嬉しい要素だ。

ゲームシステムの詳細

Persona5: The Phantom X JRPG スクリーンショット3

Persona 5: The Phantom Xのゲームシステムは、大きく三つの柱で構成されている。「学校生活パート」「メタバース探索パート」「ターン制バトル」だ。これらは元のペルソナ5の構造と本質的に同じで、それをモバイルゲームのフォーマットに再構築したものだと思えばいい。

学校生活パート

昼間のナギサは普通の高校生として学校で過ごす。授業を受けたり、クラスメートと会話したり、放課後にアルバイトをしたり、部活動に参加したり——こうした日常活動が、知識・勇気・カリスマなどのステータスを上昇させ、コンフィダントとの関係を深める材料になる。

ペルソナ5をプレイしたことがある人なら、このシステムはすぐにピンとくるはずだ。「どの放課後活動を選ぶか」という選択が積み重なって、プレイヤーごとに少しずつ違う体験が生まれる。

コンフィダントシステムは本作の情緒的な軸だ。各キャラクターとの絆レベルを上げていくことで、そのキャラクターの個人ストーリーが解放される。「このキャラクターのことをもっと知りたい」という動機が、学校生活パートのプレイを続けさせるエンジンになっている。

メタバース探索パート

宮殿(パレス)は、本作の「ダンジョン」に相当する。歪んだ心を持つターゲットの無意識の欲望が空間として具現化したものだ。

宮殿内では、ナギサたちがペルソナを使ってシャドウ(敵)の目を盗みながら潜入する。シャドウに気づかれないようにマップを進み、謎を解きながら奥へと向かう——このステルスと探索の組み合わせは、ペルソナ5の宮殿攻略をほぼそのまま再現している。

メメントスも登場する。こちらは不特定多数の人々の集合的な欲望が作り出す、手続き生成型のダンジョンだ。日々のクエスト攻略や素材収集の場として機能しており、宮殿とは異なる「いつでも気軽に入れる場所」としての役割を担っている。

モバイルゲームとしての都合上、探索にはスタミナシステムが存在する。スタミナは時間経過で回復し、消費することでダンジョンに潜入できる。「今日どれだけ探索できるか」という計画性が求められる点は、ペルソナ5にはなかった要素だ。

ターン制バトル

戦闘システムはペルソナ5の「1 More」システムを忠実に継承している。敵の弱点属性で攻撃するとダウンを取れ、全員をダウンさせると「総攻撃(All-Out Attack)」が発動して大ダメージを与えられる——この流れはそのままだ。

弱点属性の種類もペルソナ5と同様で、炎・氷・電撃・風・念動・核熱・祝福・呪怨の8属性に加え、物理・銃撃が存在する。敵ごとに異なる弱点を把握し、適切な属性のスキルを持つキャラクターを編成することが、効率的な攻略の基本だ。

バトル中の演出はペルソナシリーズらしいスタイリッシュさを保っている。スキル使用時のアニメーション、ペルソナ召喚時の演出、総攻撃のカットシーン——一つひとつの動きがきびきびとしていて、「気持ちいい」という感覚を大切にして設計されていることが伝わってくる。

パーティ編成の仕組み

バトルに参加できるキャラクターは最大4体(前衛3体+控え1体)だ。各キャラクターは特定のロールを持っており、アタッカー・サポーター・ヒーラーといった役割分担を考えてパーティを組む必要がある。

キャラクターはそれぞれ「アルカナ(Arcana)」と呼ばれる属性分類を持っており、これがコンフィダントシステムと連動している。特定のコンフィダントを育てることで、そのアルカナに属するキャラクターの戦闘能力が強化される——このコネクションが、学園パートとバトルパートをゲームシステムとして結びつけている。

スキルの構成も重要だ。各キャラクターはレベルアップや育成によって複数のスキルを習得し、その中からバトルで使用するものをプレイヤーがセットする。物理特化・魔法特化・サポート特化といった方向性をプレイヤーが選択できる幅があり、キャラクター育成の自由度を生み出している。

ペルソナの合体と強化

ベルベットルームでのペルソナ合体システムも実装されている。複数のペルソナを組み合わせることで新しいペルソナを生成し、強化していく——この要素はペルソナシリーズの象徴的なシステムのひとつだ。

本作ではペルソナの入手にガチャ要素が絡んでいる。ガチャを通じてキャラクターを入手する際、そのキャラクターが持つペルソナも同時に手に入る形式だ。入手したペルソナはベルベットルームで強化・合体させることで、より強力な能力を持つペルソナへと進化させることができる。

スキルカードシステム

バトルはコマンド選択式だが、単純な「攻撃を選んで実行」ではなく、スキルカードを手札から選択して使用するという形式を取っている。各ターンに使用できるカードの枚数は制限があり、「このターンに何のスキルを使うか」という選択が戦術の核心になる。

カードの種類は攻撃スキル・補助スキル・回復スキルに大別される。敵の状態や残りHPを見ながら、最適なカードを選択していく——このプロセスが、単純な「強い技を連打」ではない戦略的な思考を要求する。

キャラクターと育成システム

Persona 5: The Phantom Xにおける育成の中心は「キャラクターの強化」と「コンフィダントの深化」の二本柱だ。

キャラクターの基本育成

各キャラクターはレベルを持ち、経験値アイテムを消費してレベルアップさせる。一定レベルに達すると「突破(Ascension)」が必要で、専用素材を使って上限を解放する仕組みだ。このフローはガチャRPGとして標準的なものだが、ペルソナ5のキャラクター設定と絡み合った演出が丁寧で、「ただ数字を上げている」感より「このキャラクターを鍛えている」感の方が強い。

スキルレベルの強化も別途存在する。各スキルは個別にレベルを上げることができ、ダメージ倍率や追加効果が向上する。スキル強化素材は特定のダンジョンやデイリーミッションから入手できる。

装備品(ゴーストグリモワール)

キャラクターに装備させるアイテムとして「ゴーストグリモワール」が存在する。他のガチャRPGにおける「聖遺物」「追憶」に相当するもので、装備することでステータスボーナスや特殊効果を付与できる。

グリモワールにはレアリティがあり、高レアリティのものほど強力な効果を持つ。セット効果(複数の同種グリモワールを装備すると発動するボーナス)も存在し、編成の選択肢を広げている。「強い装備を揃える」というエンドコンテンツとしての側面がある要素だ。

コンフィダントと社会リンク

学校生活パートでキャラクターと交流を重ねることで、コンフィダントのランクが上がっていく。ランクが上がるごとにキャラクターの個別エピソードが解放され、バトルでのボーナスや新スキルが解放される。

コンフィダントで得られるボーナスは、同じアルカナに属するキャラクター全体に適用される場合が多い。「このキャラクターのコンフィダントを上げると、同じアルカナの別キャラも強化される」という連鎖が、育成への動機づけを重層的にしている。

ステータスの成長(主人公パラメーター)

ナギサ自身のパラメーター(知識・勇気・魅力など)も、学校生活での行動によって成長していく。これらのパラメーターが特定のコンフィダントの条件解放に関わっていたり、特定のイベントへのアクセスを可能にしたりする。「放課後をどう使うか」という計画性がここでも生きてくる。

ガチャによるキャラクター入手

新しいキャラクターの入手は基本的にガチャを通じて行われる。ゲーム内通貨(フォルトゥナ)をデイリー・ウィークリーミッションや各種イベントの報酬として入手し、それを使ってガチャを引く仕組みだ。

本作のガチャには「天井(ピティ)」システムがある。一定回数引くことで最高レアリティのキャラクターが確定で入手できる。また「ソフトピティ」として、天井手前から確率が徐々に上昇する設計になっているが、グローバル版については透明性をめぐる議論がある(後述)。

ビジュアルと音楽

Persona5: The Phantom X JRPG スクリーンショット4

このゲームの見た目と聞こえ方について、正直に書こう。

アートスタイルの継承

Persona 5: The Phantom Xのビジュアルは、ペルソナ5の美術的なアイデンティティを高い忠実度で再現している。

赤・黒・白を基調としたカラーパレット、シャープなラインで描かれたキャラクターシルエット、あちこちに散りばめられたシルエットと幾何学的なパターン——これらは2017年のペルソナ5が確立した「ペルソナ5らしさ」そのものだ。副島成記が監修に入ったことの効果が、視覚的なレベルでちゃんと出ている。

UIデザインも特筆に値する。メニューの切り替え、スキル選択画面の表示、ダメージ数値のポップアップ——あらゆるUIアニメーションがキビキビと動き、「操作している」という感触が常に気持ちいい。「ガチャゲームのUIとは思えない」という声がコミュニティで多いが、これはUIへの投資がきちんとなされている証拠だ。

キャラクターのイラストはライブ2Dで動き、戦闘中の演出でもちゃんと表情が変わる。スキル使用時のカットインや総攻撃の演出は、ペルソナ5らしいスピード感とセンスが宿っており、何度見ても飽きにくい作りになっている。

楽曲と音響

音楽はペルソナ5のサウンドディレクター・小塚良太が担当している。ジャズ・ロック・エレクトロニカが混ざり合うあの特徴的なサウンドスタイルは、本作でも健在だ。

戦闘BGMは高揚感があり、ペルソナ5の「Last Surprise」を彷彿とさせるテンポとグルーヴ感を持つ。学校生活パートのBGMは落ち着いたジャズ調で、日常の感触を演出している。宮殿内のBGMはそのエリアの「歪んだ欲望」を反映した不穏なアレンジが施されており、探索の緊張感を高める。

ボーカルはLynが担当している。「River in the Desert」「Blooming Villain」などで知られるペルソナ5のボーカリストが、新たに書き下ろしたテーマ曲を歌っている。この点だけでも、ペルソナ5ファンにとって感情的な引力になりえる。

音声は日本語に対応しており、メインキャラクターにはフルボイスが実装されている。日本語ボイスでプレイできることは、日本のプレイヤーにとって当然の要求だが、それがきちんと満たされている点は安心感につながる。

スマホとPCの見た目の差

本作はPC(Steam)でプレイすると、スマートフォンより解像度と表示の余裕が増す。大画面でキャラクターのイラストや演出を楽しめる分、PCプレイは純粋に視覚的な体験として一段上になる印象だ。

PCとスマートフォンはアカウントを同期して両方で遊べる。「通勤中はスマートフォン、家ではPCで遊ぶ」という使い方が普通にできる設計だ。ただし基本的なUIはスマートフォン向けに設計されており、PC版でマウス操作をすると若干のもどかしさを感じる場面はある。

無課金・微課金事情とガチャの仕組み

ガチャRPGとしてのPersona 5: The Phantom Xを、無課金・微課金の視点で正直に評価する。

ゲーム内通貨の入手経路

ガチャを引くための通貨(フォルトゥナ)は、以下の経路で無課金でも入手できる。

  • デイリーミッション(毎日ログインして完了することで少量ずつ入手)
  • ウィークリーミッション(毎週のミッション達成で入手)
  • メインストーリーのクリア報酬
  • 各種イベントの報酬
  • 初回ログインボーナスなどの一時的なキャンペーン

継続してプレイすることで着実に通貨が貯まる設計だ。毎日少しずつプレイするスタイルの人ほど効率的に貯められる。

天井と確率保証の仕組み

本作のガチャには天井が設けられており、一定回数(基本的には90回)引くことで最高レアリティのキャラクターが確定で入手できる。また天井に到達した時点で目当てのキャラクターを入手できなかった場合、次の天井で確定して入手できる「天井持ち越し」が機能する設計だ。

ただしここで問題になるのが、グローバル版の透明性だ。後ほど詳しく触れるが、Steamのレビューで多く指摘されているのは「CN版との報酬格差」と「ガチャシステムの詳細情報の不明瞭さ」だ。ソフトピティの正確な確率変動タイミングなど、詳細が公式から明示されていない部分があり、プレイヤーの不信感につながっている。

パワークリープの現状

2025年のグローバルリリース時点では、本作は比較的新しいゲームであり、パワークリープの影響はまだ限定的だ。ただしCN版のデータを見ると、新キャラクターの配信ペースは速めで、特定の新キャラクターが既存のメタを大きく塗り替えるケースも報告されている。

「初期から遊んでいた無課金プレイヤーが、後から参入した課金プレイヤーに戦闘力で完全に抜かれる」という状況は起きやすい構造だ。この点は、長期プレイを検討している人が念頭に置いておくべき情報だろう。

スタミナシステムとデイリーの負担

ダンジョン探索にスタミナが消費される設計は、「毎日少しずつ遊ぶ」プレイスタイルを想定したものだ。時間経過で回復し、課金で即時補充もできる。

デイリーミッションの量は標準的で、「毎日30分程度プレイすれば消化できる」という設計になっている。「デイリーが多すぎて苦痛」という声はそれほど多くなく、「ほどよいペースで遊べる」という評価の方が目立つ。

無課金でどこまで楽しめるか

メインストーリーの攻略は、無課金でも十分に楽しめる範囲だ。ストーリーをクリアするだけなら、それほど強力なキャラクターは必要なく、配布キャラクターと育成努力で対応できる場面が多い。

問題になるのはエンドコンテンツ、特に高難易度のバトルコンテンツで上位を目指す場合だ。特定の強力なキャラクターを揃えていないと攻略が厳しい状況が生じやすく、そこで課金圧力を感じやすい。「物語を楽しむ」目的で遊ぶ分には無課金で十分だが、「ランキングで上位を狙う」「最強パーティを揃える」という目標がある場合は課金が前提になりやすい。

PC版(Steam)ならではの体験

Persona5: The Phantom X JRPG スクリーンショット5

本作はスマートフォン向けに開発されたゲームだが、Steam版のPC対応は思ったよりしっかりしている。

まず解像度。PCの大きな画面で見るキャラクターイラストや宮殿の背景は、スマートフォンのそれとは迫力が違う。副島成記の監修によるキャラクターデザインの細部を、大画面でじっくり眺める体験はPCならではだ。

キーボード・マウス操作については、必要最低限の対応はされている。マウスクリックで選択、ショートカットキーでよく使う操作を素早く実行できる。ただし一部のUIはスマートフォンのタップ操作を前提に設計されており、PC操作で少し違和感を覚える箇所もある。ゲームパッド(コントローラー)にも対応しており、コントローラーで遊ぶと操作感がスムーズになるという声もある。

アカウントはモバイル版とPC版で共有できる。PCで腰を据えてストーリーを読み進め、移動中はスマートフォンでデイリーをこなす——このような使い分けが自然にできる。

PC版の動作要件は比較的緩く、最低要件はIntel Core i3-8100、RAM 8GB、GTX 750Tiとなっており、ミドルクラス以下の古めのPCでも問題なく動く。推奨環境はi5-8500、RAM 16GB、GTX 1060で、こちらのスペックがあれば快適に楽しめる。

グローバル版をめぐる議論

SteamのPersona 5: The Phantom Xのレビューが「賛否両論」になっている原因について、正直に書いておく必要がある。

問題の核心は「グローバル版とCN版の扱いの差」だ。

報酬格差の問題

本作のCN版(中国向け)とグローバル版(日本・欧米など)の間には、報酬体系に明確な差が存在すると多くのプレイヤーが指摘している。

具体的に挙げられている問題は以下のようなものだ。

  • ゲームのメンテナンス補償として、CN版には一定量のガチャ通貨が配布されるが、グローバル版の補償が少ない、または存在しない
  • イベント報酬の量がCN版より少ない
  • 新キャラクターの配信スケジュールで、CN版ではピックアップバナーに早期追加されるキャラクターが、グローバル版では6ヶ月間追加されないケースがある
  • ガチャの確率情報の透明性がCN版より低い

これらの問題が積み重なって、「グローバルプレイヤーは二級市民扱いされている」という感情がコミュニティに広まった。その怒りがSteamの低評価という形で表れているのが現状だ。

「ゲームは面白いが低評価をつける」という層の存在

Steamのレビューを読むと、「ゲーム自体の質は認めている」「ストーリーも戦闘も悪くない」と書きながら、「運営の姿勢に対する抗議として低評価をつけている」というレビューが多く見られる。

これは「ゲームの中身が悪い」という評価ではなく、「ゲーム体験の外側にある運営方針への不満」だ。ゲームそのものへの評価として読む場合、この点を差し引いて解釈する必要がある。

開発・運営サイドの対応

報酬格差への批判を受けて、開発・運営チームはいくつかの改善を実施したことをコミュニティで表明している。ただし抜本的な解決には至っていないと受け止めているプレイヤーが多く、状況は流動的だ。

本記事の執筆時点(2026年4月)では、この問題はゲームの評価における継続的な議論のテーマになっている。「今後どう変わるか」を注視しながらプレイするスタンスが、新規プレイヤーには現実的な姿勢かもしれない。

それでも遊ぶ価値はあるか

この問いに対する答えは「何を求めてプレイするか」によって変わる。

ペルソナ5の世界観に再び触れたい、新しい怪盗団のストーリーを楽しみたい、スタイリッシュなターン制RPGをプレイしたい——これらが目的であれば、本作は十分な価値を持つ。運営の問題を知ったうえで「ゲーム本体の質に投票する」つもりで遊ぶのであれば、かなり楽しめる体験が待っている。

一方、「運営への信頼が大前提で、長期間にわたって課金を検討している」という場合は、現状の運営姿勢を見極めてから判断する方が賢明だ。

コンテンツの全体構成

Persona5: The Phantom X JRPG スクリーンショット6

Persona 5: The Phantom Xで実際に何ができるか、コンテンツの全体像を整理しておく。

メインストーリー

本作の中心コンテンツ。ナギサと仲間たちが怪盗団として活動する物語を追う。各エピソードは宮殿に対応しており、一つの宮殿攻略が一つのエピソードを構成する。

ストーリーの量はかなり多い。カットシーンとテキストによる物語描写が戦闘に比べて長い傾向があり(pocketgamerのレビューでも指摘されている)、「読み物としてのRPG」という側面が強い。ストーリーを飛ばさずにじっくり読むプレイスタイルに向いている。

コンフィダントストーリー

各キャラクターとの絆を深めることで解放される個別エピソード。メインストーリーだけでは描ききれないキャラクターの内面や過去が明かされる。「このキャラクターのことをもっと深く知りたい」という欲求を満たすコンテンツだ。

メメントス探索

日々の素材集めやクエスト攻略の場として機能するダンジョン。手続き生成型で毎回マップが変わり、繰り返し入っても同じにならない。デイリーミッションの消化もここで行われることが多い。

高難易度バトルコンテンツ

パーティの強さと戦術の深さが問われる上級者向けのバトルステージ群。「ベルベットトライアル」と呼ばれるコンテンツが代表的で、複数の強敵を連続して相手にしながらスコアを競う形式だ。エンドコンテンツとして位置づけられており、ここでの上位を目指すには本格的なパーティ最適化が求められる。

期間限定イベント

定期的に新しいイベントが追加される。限定キャラクターやイベント専用の報酬が入手できるほか、メインストーリーとは独立した追加のストーリーエピソードが展開するイベントもある。オリジナルの怪盗団メンバーとの絡みが描かれるイベントも実施されており、ペルソナ5ファンが特に楽しめる内容になっている。

PvPコンテンツ

他のプレイヤーとパーティを競わせる形式のコンテンツも実装されている。ランキングを競うものだが、参加は任意であり、PvPに関心がないプレイヤーはここを無視してPvEコンテンツだけを楽しむことも可能だ。

比較:オリジナルのペルソナ5との違い

「ペルソナ5とどう違うのか」は、多くのプレイヤーが気になるポイントだろう。主な違いを整理しておく。

同じ点:

  • 舞台は現代の東京、主人公は高校生
  • メタバース・宮殿・メメントスという世界観の構造
  • 弱点を突いてダウンを取り、総攻撃につなぐ戦闘システム
  • コンフィダント(社会リンク)システム
  • ベルベットルームとペルソナ合体
  • 学園生活と放課後のパラメーター育成
  • 副島成記のキャラクターデザイン・小塚良太のサウンド
  • Lynのボーカル

違う点:

  • 主人公・仲間が完全に新しいオリジナルキャラクター
  • 基本プレイ無料のガチャゲーム(有料の買い切りではない)
  • スタミナシステムの存在
  • スマートフォンとPC両対応のマルチプラットフォーム
  • オンラインコンテンツや他プレイヤーとのコミュニティ要素
  • 定期的なアップデートでコンテンツが追加され続ける「ライブサービス」形式
  • ターン制バトルがスキルカード形式で実装されている

一言で言えば、「ペルソナ5の世界観とシステムをベースに、ライブサービス型ガチャRPGとして再構築した作品」だ。原作を遊んだことがある人なら、懐かしさと新しさが同居した感覚で楽しめる。

ペルソナ5未経験者でも楽しめるか

Persona5: The Phantom X JRPG スクリーンショット7

ペルソナ5を一切プレイしたことがない人でも、本作は楽しめる。ストーリーは本作単体で完結しており、「ペルソナ5のラストを知らないと楽しめない」というような前提知識は求められない。

ただし楽しみ方の深さには差が出る。ペルソナ5経験者なら「あのシステムがここにも」「このデザインはあのキャラに似てる」という発見の喜びが積み重なる。そういう「元ネタを知っている喜び」は、初めてのプレイヤーには届きにくい。

ガチャRPGジャンル全体として見ると、本作は同ジャンルの中でストーリーとビジュアルの質が高い部類に入る。「ペルソナ5は知らないけどガチャRPGを探している」という人にも、十分に推せる作品だ。

推奨プレイ環境と始め方

Persona 5: The Phantom XはSteamで無料でダウンロードできる。AppIDは3061570で、Steamのストアページから直接検索してインストール可能だ。

PC版の動作要件:

最低要件はWindows 11 64bit、CPU:Intel Core i3-8100、RAM:8GB、GPU:NVIDIA GeForce GTX 750Ti、ストレージ:70GB以上の空き容量。推奨環境はCPU:Intel Core i5-8500、RAM:16GB、GPU:NVIDIA GeForce GTX 1060だ。

ストレージは70GB必要だ。インストール前に空き容量を確認しておこう。

スマートフォン版のダウンロード:

iOS版はApp Store、Android版はGoogle Playから検索してダウンロードできる。ゲーム名「Persona 5: The Phantom X」または「P5X」で検索すれば見つかる。

アカウント作成:

初回起動時にアカウントを作成する。PC版とスマートフォン版は同じアカウントで共有できるため、最初にどちらかで作成したアカウントを、もう一方のプラットフォームでログインして使い続ければいい。

序盤のすすめ方:

最初はチュートリアルをこなしながらゲームの基本システムを覚えていく。ストーリーを進めながら自然に覚えられる構成になっているため、特別な事前情報がなくても入り込みやすい。序盤に配布されるガチャ通貨で引けるキャラクターで十分序盤を乗り切れるため、最初から課金を焦る必要はない。

総評

Persona5: The Phantom X JRPG スクリーンショット8

Persona 5: The Phantom Xを総合的に評価すると、「ペルソナシリーズのファンが遊ぶべき、本物の品質を持つガチャRPG」という結論に落ち着く。

ビジュアルは本物だ。副島成記の監修、赤黒のカラーパレット、キビキビ動くUIアニメーション——あのペルソナ5のスタイルが、画面の端々まで宿っている。音楽も本物だ。小塚良太のサウンドとLynのボーカルが、宮殿探索から学校生活まで、すべての場面に感情の色を加えている。

ストーリーの密度は、ガチャRPGとして見れば相当に高い。新キャラクターたちの動機や背景が丁寧に描かれており、「なぜ怪盗団に加わったのか」「何と戦っているのか」が伝わってくる。コンフィダントシステムを通じたキャラクターへの愛着の積み上げ方も、ペルソナシリーズらしい。

システムは原作の肝をしっかり再現している。弱点属性で攻撃してダウンを取り、全員ダウンから総攻撃へ——このサイクルの気持ちよさは、モバイルゲーム化によって失われていない。ターン制バトルとしての戦略的な深みも、編成を考える楽しさとして確かに存在する。

ただし、Steamのレビューが示す通り、運営面の問題は無視できない。CN版とのグローバル版の報酬格差、ガチャシステムの透明性への不満——これらはゲームの中身ではなく、ゲームを取り巻く環境への不満だ。ゲームとして評価するなら話は別だが、「長期間遊ぶ前提での課金」という観点では、慎重な姿勢が求められる状況だ。

結論として——ペルソナ5が好きなら、一度は遊んでみてほしい。無料でダウンロードできるのだから、話題の「新しい怪盗団」がどんな物語を持っているのか、自分の目で確認する価値は十分にある。課金については、ゲームを楽しみながら現在の運営姿勢を自分なりに評価して決めれば十分だ。

「あのペルソナ5の世界でもう一度」——その欲求に、このゲームはちゃんと応えてくれる。

よくある質問

ペルソナ5をプレイしていないと楽しめませんか?

本作単体で楽しめる構成になっているため、ペルソナ5を未プレイでも問題なく楽しめる。ただしペルソナ5の経験者は、世界観の細部で得られる「発見の喜び」が多くなる。

完全無料で遊べますか?

メインストーリーの攻略は無課金でも十分楽しめる。最高難易度のコンテンツで上位を狙う場合や、特定のキャラクターを短期間で揃えたい場合には課金が有利になる。

日本語に対応していますか?

本作はUI・テキスト・ボイスすべて日本語に対応している。

スマートフォン版とPC版でデータは引き継げますか?

同じアカウントでログインすることで、PC版とスマートフォン版のデータを共有できる。両方で同じ進行状況を利用できる。

SteamのレビューがMixedなのはなぜですか?

グローバル版とCN版の報酬格差や運営方針への不満から、「ゲームの中身は良いが運営への抗議として低評価をつける」プレイヤーが多く存在するためだ。ゲームの質そのものへの評価は、多くのレビュアーが「楽しい」「ペルソナらしさがある」と認めている。

PCのスペックはどのくらい必要ですか?

最低要件はCore i3-8100、RAM 8GB、GTX 750Ti、70GBストレージ。推奨環境はCore i5-8500、RAM 16GB、GTX 1060だ。比較的軽量なゲームで、古めのミドルスペックPCでも動作する。

ジョーカーなどオリジナルの怪盗団は登場しますか?

メインストーリーの中心は新キャラクターだが、ジョーカーをはじめとするオリジナルの怪盗団メンバーがガチャのキャラクターや期間限定イベントで登場する。オリジナルメンバーとのやりとりを描くコンテンツも実装されている。

オフラインでも遊べますか?

本作はオンライン接続が必要なタイトルだ。オフライン環境ではプレイできない。

ペルソナ5: The Phantom X

ATLUS, SEGA, Perfect World
リリース日 2025年6月25日 準新作
サービス中
価格基本無料
開発ATLUS, SEGA, Perfect World
販売SEGA
日本語非対応
対応OSWindows
プレイ形式シングル / マルチ
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