Company of Heroes 2|雪原と炎の中で、戦略の本質が問われるリアルタイム戦略ゲーム
初めてロシア戦線の戦場に立ったとき、正直「こんなに細かいのか」と思った。戦車を動かしたら地形が通れなかった。歩兵を送り込んだら吹雪に阻まれた。建物に兵士を入れたら榴弾砲で建物ごと吹き飛ばされた。そして何より、敵の配置が全然わからない——視界の外は完全に霧の中だ。「よし攻めるか」と思ったら、次の瞬間に側面から装甲車に突っ込まれて全滅した。
Company of Heroes 2(以下CoH2)は、そういうゲームだ。「ここに部隊を置けば勝てる」という絶対解が存在しない。地形を読み、天候を利用し、視界を管理し、相手の動きを予測しながら兵力を運用する。RTSの中でも「考えさせられる」密度が突出して高い。2013年6月に発売されたRelichのこのゲームは、Steamで「非常に好評(84%)」を獲得し、2026年現在もコアプレイヤーが対戦を続けている。
戦略ゲームをやったことがない人が最初に手を出すゲームとしてはハードルが高い。でも「ちゃんとした戦術を考えて、それが通ったとき」の快感は他のゲームでは味わえない。この記事では、CoH2の何が面白くて何が難しいのかを、できる限り丁寧に書いていく。
こんな人に刺さるゲームです

- StarCraftや Age of Empires を遊んできて、次のRTSを探している人
- 第二次世界大戦の戦術・戦史に興味がある人
- 「ユニットを大量生産して物量で押しつぶす」よりも「少数精鋭で頭を使う」ゲームが好きな人
- 対人戦よりもシングルキャンペーンやAI戦を中心に楽しみたい人
- 映画「スターリングラード」「プライベート・ライアン」のような戦争映画が好きな人
- 天候や地形、視界などの環境要素が戦闘に影響するゲームに興味がある人
- Civ や HoI のような重厚なゲームが好きだが、リアルタイムの緊張感も楽しみたい人
逆に、「とにかくスピーディーに撃ち合いたい」「建設と内政に集中したい」という人には少し合わないかもしれない。CoH2は内政の比重が軽く、個々の部隊の動かし方と戦場管理に重心がある。ミクロな操作と状況判断が面白さの軸なので、「大局を俯瞰して国力で押しつぶす」タイプの戦略ゲームとは少し違う。
ゲーム概要——東部戦線を舞台にした戦術RTS
舞台:独ソ戦の最前線
Company of Heroes 2の舞台は第二次世界大戦の東部戦線、いわゆる「独ソ戦(1941〜1945年)」だ。ドイツ軍(ドイツ国防軍・武装SS)とソビエト連邦軍(赤軍)が、スターリングラード、クルスク、ベルリン郊外といった戦場で激突する。
前作「Company of Heroes」が西部戦線(ノルマンディー上陸作戦〜ライン川渡河)を扱っていたのに対し、CoH2は「史上最大の地上戦」と呼ばれる東部戦線に焦点を当てた。この選択が、ゲームの雰囲気を大きく決定している。泥濘、吹雪、燃えるロシアの農村、氷結したヴォルガ川——西部戦線とは全く異なる環境の過酷さが、戦術の骨格を形成している。
開発はカナダのRelichentertainment(レリックエンターテインメント)。前身のRelichが2007年にCompany of Heroesで獲得したRTS界の評価をそのままに、THQの経営破綻後にSEGA(現Plaionグループ)の傘下に移ったスタジオが、2013年にリリースした続編だ。Relichは後に「Dawn of War 3」も手がけており、RTSジャンルへの熱意は一貫している。
ゲームの基本構造
CoH2はリアルタイム戦略ゲームだ。マップ上の戦場で、プレイヤーはソビエト軍かドイツ軍(またはDLCで追加された他陣営)を操作する。ゲームの目的はシンプルに「相手の拠点を破壊するか、勝利ポイントを一定以上保持し続けること」だ。
ただし、CoH2の独自性は「どうやって勝つか」にある。資源は3種類——弾薬(Munitions)、燃料(Fuel)、人員(Manpower)。建物を建て、兵士を生産し、技術ツリーを進める——という一般的なRTSの構造はあるが、CoH2は「出した兵士を消耗品として扱わない」設計になっている。ベテラン兵は経験値で強化され、戦車は傷つきながら戦場を生き延びる。兵士の死は痛い。
ゲームモードは大きく3つある。「シングルプレイヤーキャンペーン」「スカーミッシュ(対AI戦)」「マルチプレイヤー対人戦」だ。これに加えて、現在は無料化されている「Opposing Fronts」「Theatre of War」などの追加コンテンツもある。
CoH2の独自システム——このゲームを唯一無二にする仕組み

視界システム(Fog of War)——知らないことが最大の脅威
CoH2で最初に戸惑うのは、おそらくこの「視界システム」だ。
マップ全体は「戦争の霧(Fog of War)」に覆われている。自分の部隊が実際にその場所を見ていない限り、敵の位置はわからない。偵察部隊を送り込んで地形を確認し、敵の動きを把握してから行動する必要がある。「たぶんここにいるはず」で動いて、側面から戦車に突っ込まれる——これはCoH2の洗礼として多くのプレイヤーが経験する。
さらに踏み込んだ視界の概念として「ライン・オブ・サイト(Line of Sight:LOS)」がある。建物、木立、壁などの障害物は視界を遮る。丘の向こうは見えない。建物の中から外を確認するには、その窓から見える範囲しかわからない。この「視線の管理」が戦術の核心になる。
高所は視界が広がる。森は視界を遮るが、逆に言えば自分の部隊を隠せる。建物の2階から1階の死角を守ることもできる。スナイパーを高台に配置すれば広範囲を監視できる——こういった地形を読んだ部隊配置がCoH2の醍醐味のひとつだ。
「CoH2の面白さは、見えないことにある。敵の動きを予測して先手を打ったとき、あるいは予測が外れて痛い目を見たとき——両方に学びがある」
Steamレビュー
地形利用システム——建物・塹壕・瓦礫の戦術的意味
CoH2の地形は「ただの背景」ではない。地形そのものが戦術的な資産だ。
歩兵部隊は「カバー(掩体)」を取ることで被弾率が大幅に下がる。石造りの壁、砂袋、倒れた木の幹、建物の角——あらゆるものがカバーになりうる。カバーの色がゲーム中に表示され、緑のカバーは軽度、黄色は中程度、そして「黄色のカバーに追加強化」として「ハードカバー(石壁・建物)」は最上級の防御を提供する。
建物は歩兵の拠点として使える。農家の建物に歩兵を入れると、窓から外を撃てる要塞になる。ただし、建物は榴弾や火炎放射器で「焼失」させることができる。燃えている建物の中に兵士が入っていると、脱出しない限り焼死する。こういう「リスクとリターンの地形利用」がCoH2の戦場を緊迫させる。
塹壕は歩兵工兵が構築できる防御施設だ。塹壕に入った歩兵はカバー効果に加えて側面攻撃への耐性も上がる。長期防衛戦では塹壕ラインを引いて防御陣地を構築することが重要になる。
また、道路と地形の違いが車両の移動速度に影響する。深雪や泥濘地では戦車の動きが遅くなり、燃料消費も増える。「この経路を通ると時間がかかる」という計算を常にしながら戦力を動かす必要がある。
冬の戦場——ブリザードとフロストバイト
東部戦線ならではの要素として、CoH2には「冬の戦場」システムがある。これはこのゲームにしかない独自の仕組みだ。
ロシアの戦場には吹雪(ブリザード)が発生することがある。ブリザード中は視界がさらに狭まり、部隊の移動速度が落ち、兵士に「フロストバイト(凍傷)」のダメージが蓄積していく。特に遮蔽物のない屋外に歩兵を放置すると、戦闘で死なずとも凍死していく。
これを防ぐには「焚き火(Bonfire)」を焚くか、建物の中に兵士を収容するか、移動して体温を維持するかのどれかだ。「攻めたいけど吹雪で兵士が凍る」「守りたいけど建物がない」——この天候ペナルティが戦術的な制約として機能し、単純な「戦力比較」だけで勝敗が決まらない複雑さを生んでいる。
氷結した川や湖の上も歩兵は歩けるが、重い戦車を通すと氷が割れることがある。砲撃や爆発物で意図的に氷を割って川を渡れなくする、という戦術も存在する。「冬の地形」を使いこなすことが、東部戦線の戦術の核心とも言える。
コマンダーシステム——プレイスタイルを選ぶ
CoH2にはゲーム開始前に「コマンダー(指揮官)」を選ぶシステムがある。各コマンダーは固有のスキルツリーを持っており、戦闘中に「コマンドポイント」を使って能力を解放していく。
ソビエト軍のコマンダーを例に挙げると、「空挺コマンダー」はパラシュート降下部隊を任意の地点に召喚できる、「衝撃突撃コマンダー」は近接強化された特殊部隊を展開できる、「砲兵支援コマンダー」は強力な砲撃支援を使える——といった具合だ。コマンダーの選択がプレイスタイルを大きく左右する。
同じ陣営でも全く違う戦術で遊べる設計になっており、「今日は機甲戦で押し込む」「今日は防御線を固めて引きつけてから反撃」という多様なアプローチが生まれる。オンライン対戦でもこのコマンダー選択が読み合いになる——相手がどんなコマンダーを選んでいるかで、対策が変わってくる。
資源システム——拠点を「保持」することの意味
CoH2の資源は戦場に散らばっている「戦略拠点(Strategic Point)」を保持することで獲得できる。資源拠点を占領すると弾薬か燃料が収入として入り続ける。拠点を取られれば収入が減り、相手が増える。
この「動態的な資源管理」がCoH2の戦場管理を面白くしている。「今すぐ弾薬拠点を取るか、先に燃料拠点を確保するか」という優先順位判断が常に求められる。全部の拠点を取ることは不可能で、どこを重視してどこを捨てるかの「トレードオフ」が戦略の根幹だ。
また、マップ上の「勝利ポイント(Victory Point)」を一定数以上保持し続けると、相手の勝利ポイントのカウンターが減っていく。自軍のカウンターが0になった方が負け。この仕組みにより、「相手の本拠地を直接叩く」「勝利ポイントを保持し続けてじわじわ削る」という複数の勝ち筋が存在する。
部隊の経験値システム——生き残った兵士は強くなる
CoH2では部隊が経験を積むと「ベテランシー(Veterancy)」レベルが上がる。ベテランシーは1〜3段階あり、上がるごとに部隊の精度・耐久性・特殊能力が強化される。
ベテランシー3に達した部隊は明らかに強い。命中率が上がり、被弾時のダメージが減り、固有の特殊行動が解放される。新しく生産した部隊と比べると、生き延びたベテラン兵の価値は「数」以上のものがある。
だからこそ「部隊の損耗を避ける」という意識が重要になる。消耗品として使い捨てるのではなく、傷ついた部隊を後退させて回復させ、次の戦闘に備える。「この部隊を生き残らせる」という判断がゲームを通じて続く。傷ついた歩兵部隊に医療衛生兵を随行させ、被弾した戦車を後方で修理させる——こういった細かな管理が、試合全体の流れを左右する。

キャンペーン——スターリングラードからベルリンへ
ソビエト軍キャンペーン:レフ・イサコフィッチの戦争
メインキャンペーンはソビエト連邦赤軍の一将校「レフ・イサコフィッチ(Lev Isakovich)」の視点から描かれる。1941年の侵攻開始から1945年のベルリン陥落まで、東部戦線の主要な戦いを追う構成だ。
しかしこのキャンペーンは、単純な「英雄譚」ではない。主人公はソビエトの将校として戦いながら、スターリン体制の暗部——戦場での無謀な命令、撤退した兵士への粛清、味方の犠牲を顧みない戦術——と向き合うことになる。「祖国防衛の英雄」という側面と「個人を消耗品として扱うシステム」の矛盾が、ストーリーを通じて描かれる。
ミッションの構成は約14本で、スターリングラード包囲戦、クルスク戦車戦、ヴィスワ川渡河作戦、ベルリン突入戦など、東部戦線の象徴的な戦場を網羅している。各ミッションは独立したシナリオとして遊べるが、通しでプレイすると1941年から1945年の流れを体感できる設計だ。
キャンペーンの難易度は「Easy」「Normal」「Hard」「Expert」の4段階。RTSに不慣れなら最初はNormalでいい。Hardは部隊の損耗を許容できる熟練者向けで、Expertは最適解を知ったうえで複数回クリアを目指すレベルだ。
Ardennes Assault——アメリカ軍DLC
DLC「Ardennes Assault」では、西部戦線のアメリカ第1軍の視点から「バルジの戦い(1944年12〜1945年1月)」を描く。このDLCのキャンペーンはメイン本体と異なる設計を持っており、「ノンリニア型」になっている。複数のミッションを任意の順序でこなしながら戦略的な目標を達成していく形式で、ひとつのミッションで失った部隊が次のミッションに持ち越される「パーシステント部隊」システムがある。
つまり、ミッションで部隊を無駄に損耗させると後のミッションが難しくなる。「ここで兵力を温存して次に備えるか、今勝ちにいくか」という戦略的判断が、キャンペーン全体を通じて続く。メインキャンペーンよりも深みのある設計で、RTS経験者には特に評価が高いDLCだ。
「Ardennes Assaultのキャンペーンは他のRTSにないレベルの出来。ノンリニアで部隊が引き継がれるシステムが、戦場への感情移入を全然別のレベルにする」
Steamレビュー
Theatre of War——歴史的戦闘シナリオ集
「Theatre of War(シアター・オブ・ウォー)」は、実際の歴史的戦闘を再現したシナリオパックだ。バルバロッサ作戦、スターリングラード、クルスク機甲戦、ノルマンディー上陸後のドイツ軍視点など、複数のパックが存在する。現在は多くのシアター・オブ・ウォーコンテンツが無料で遊べるようになっている。
シングルの腕試しとして、あるいは歴史的な戦場を追体験したい人に向いた内容だ。キャンペーンほどの連続した物語性はないが、「あの戦いを実際に戦ってみたい」という需要に応えている。
マルチプレイ——対人戦で見えてくる戦術の深さ

1v1、2v2、3v3、4v4——多彩な対戦形式
CoH2のマルチプレイは1対1から4対4まで対応している。1v1は純粋な個人の戦術力が問われ、チームゲームでは陣営内での役割分担と連携が重要になる。
1v1は最もシビアな形式だ。相手の動きをすべて自分で読み、対応しなければならない。序盤の「建設順序(ビルドオーダー)」の洗練度、偵察の徹底度、資源効率——プレイヤーの総合的なスキルが直接結果に出る。CoH2に慣れてきたプレイヤーが最終的に深みを見出すのは1v1だという声が多い。
2v2以上のチームゲームは、個人のスキル差が多少あっても連携でカバーできる。「自分が前線を押し上げている間にパートナーが側面を取る」「片方が砲兵を集中し、もう片方が歩兵で突撃する」——チームワークが楽しさの軸になる。
マップは公式マップだけでなく、プレイヤーが制作したカスタムマップも使用できる。Steamワークショップには膨大な数のカスタムマップが公開されており、コンテンツの多様性がある。
陣営の個性——ソビエト軍とドイツ軍の非対称バランス
CoH2の対戦で面白いのは、ソビエト軍とドイツ軍が完全に非対称な設計になっていることだ。同じゲームのルールの中で、全く違う戦略が要求される。
ソビエト軍(赤軍)の特徴は「人海戦術と機動力」だ。歩兵の生産が比較的安く、「コンスクリプト(徴集兵)」は安価だが脆い。しかし大量に生産して前線に投入できる。また「ペナンシング(兵士を消耗させてでも前進する)」が設計上の性格として表れており、損耗を覚悟した大胆な攻勢が得意だ。T-34戦車は1両あたりのコストが低く、数で押すことができる。
ドイツ軍(ドイツ国防軍)は「品質と技術力」が軸だ。「グレナディア(擲弾兵)」など基本歩兵のクオリティが高く、装備も充実している。戦車はパンター、タイガーなど高性能だが高コスト。1両失うダメージが大きい代わりに、適切に運用すれば圧倒的な火力を発揮できる。防衛線を固めてから反撃するスタイルが得意だ。
この非対称性が「どちらを使うか」という選択を面白くしている。「今日はソビエトで波状攻撃を試す」「今日はドイツで防衛ラインを引いてみる」という形で、同じゲームに複数の遊び方が存在する。
DLC陣営——OKW、USF、UKF、British
CoH2には本体のソビエト・ドイツ以外に、DLCで追加された陣営がある。
OKW(ドイツ武装親衛隊):「Western Fronts Armies」DLCで追加。国防軍とは異なる独自の兵器ツリーを持つ。プリューベル(装甲兵員輸送車)を多用した機動戦や、「フォルクスグレナディア」と呼ばれる人民擲弾兵を使った独特の戦術が特徴だ。
USF(アメリカ陸軍):「Western Fronts Armies」DLCで追加。「ライフルメン(小銃兵)」を中核に、機動力と柔軟性が高い。工兵が積極的な戦闘要員として機能し、バズーカ対戦車砲を持った歩兵が戦車に対抗できる。M1 Garand半自動ライフルによる高い歩兵DPS(ダメージ毎秒)が強み。
UKF(イギリス軍):「British Forces」DLCで追加。防衛志向の強い陣営で、「エンプレイスメント(陣地設営)」と「セクション(歩兵班)」を組み合わせた堅実な戦い方が特徴。対戦車砲を前線に展開して戦車に対抗し、クルセイダーやチャーチルといった戦車がサポート役を担う。「陣地を築いて待ち構える」防衛戦が得意だ。
現在、これらのDLC陣営を含む多くのコンテンツが「Company of Heroes 2 Master Collection」や無料キャンペーンの形でプレイ可能になっている。

人気の理由——ユーザーたちが語ること
「戦術RTSとしての完成度が他と違う」という声
CoH2を長期間遊んでいるプレイヤーからよく聞かれるのが、「他のRTSに戻れなくなった」という言葉だ。StarCraftやAge of Empiresと比べたとき、CoH2の特徴として「ユニットの個性と状況対応の深さ」が挙げられることが多い。
StarCraftは生産速度と操作の精度が重要な「マクロ志向」のRTSだが、CoH2は「今この部隊でどう動くか」というミクロな判断の積み重ねがゲームを作る。「部隊を分散させて複数の方向から圧力をかけながら、重要拠点を取りに行く」という多層的な戦術運用が、高難度でも楽しさを維持する要因になっている。
「10年やってもまだ学ぶことがある。同じ状況が二度と来ないのがCoH2の凄さ。相手も、地形も、コマンダーの組み合わせも毎回違う」
Steamレビュー
「東部戦線という舞台の説得力」という声
歴史に興味があるプレイヤーにとって、CoH2の舞台設定は特別な意味を持つ。第二次世界大戦で最も死者が多かった戦場は東部戦線だ。ソビエト軍の死者だけで2700万人以上とも言われる。
CoH2はその重さを「過酷な天候」「損耗の痛み」「無謀な命令への服従」という形でゲームメカニクスに組み込んでいる。吹雪で凍える歩兵、後退できない状況での防衛戦、消耗しながらも前進を命じられる場面——「戦争の悲惨さ」をゲームとして体験させようとしている姿勢が伝わる。
これが「ただ戦車が強い弱い」の話ではなく、「あの時代のあの戦場」に引き込まれる感覚を生んでいる。歴史的なバックグラウンドを知っているほどのめり込む設計だ。
「今でも対人戦に人が集まっている」という声
2013年発売のゲームが、2026年現在もSteamでアクティブプレイヤーを保っているのは珍しい。リリースから10年以上経っても継続的に対戦している理由は、「1試合の深さ」にある。
CoH2の1試合は30分〜1時間程度。その間に無数の判断が積み重なり、同じ展開は二度とない。相手の戦術を読んで対応し、予想外の動きに慌てて修正する——その「リアルタイムの読み合い」に、RTSファンが集まり続けている。
「対戦して負けたとき、必ず『なぜ負けたか』が分かる。それがあるから悔しいし、次やりたくなる。理不尽感がない」
Steamコミュニティフォーラム
「キャンペーンが想像より深い」という声
RTSのキャンペーンは「チュートリアルの延長」として扱われることも多いが、CoH2のメインキャンペーンはストーリーの重みがある。ソビエト軍将校の視点から見た東部戦線の「英雄と悲劇の両面」を描いており、プレイしながら歴史的背景を学べる。
特に「命令に従いながらも、その命令の残酷さに葛藤する」という主人公の立場が、単純な「戦争ゲーム」以上の何かを感じさせる。CoH2のキャンペーンは「歴史の体験」として評価するプレイヤーが多い。

注意点——買う前に知っておきたいこと

DLCの構造が複雑
CoH2最大の注意点は、コンテンツのDLC構造が複雑なことだ。本体以外に「Western Fronts Armies(OKW・USF)」「British Forces(UKF)」「Ardennes Assault」「Theatre of War」パックなど複数のDLCが存在し、何が含まれて何が別売りなのかがわかりにくい。
現在の状況を整理するとこうなる。本体(Company of Heroes 2)にはソビエト軍・ドイツ軍・基本マップ・ソビエトキャンペーンが含まれる。Western Fronts ArmiesはOKW・USFの2陣営を追加する有料DLC。British ForcesはUKFを追加する有料DLC。Ardennes AssaultはUSFの単独キャンペーンDLC。Theatre of Warは現在多くが無料で開放されている。
Steamの「Company of Heroes 2 Master Collection」は本体と主要DLCをまとめたバンドルで、セール時に購入すると最もコストパフォーマンスが高い。個別購入よりまとめ買いが基本だ。単体の本体は現在Steamで1,520円(定価)、セール時は90%オフになることもある。
初心者の学習コストが高い
CoH2は「遊べばわかる」設計ではない。視界管理、資源効率、コマンダー選択、陣営の特性——覚えることが多く、最初は何が起きているのかわからないまま負けることがある。
特に対人戦は、慣れたプレイヤーとの実力差が大きい。まず「スカーミッシュ(対AI戦)」でゲームに慣れることを強く勧める。AIには難易度設定があり、「Easy」から始めてゲームの流れを理解してから、段階的に対人戦へ進むのが現実的な学習経路だ。
YouTubeには解説動画やプレイ動画が豊富にある。特に序盤の「建設順序」と「歩兵の運用方法」を解説している動画を見るだけで、最初の壁を乗り越えるのが大分楽になる。
リリースからの経緯と現在の開発体制
Company of Heroes 2は2013年にリリース後、長期間にわたってバランスパッチと新DLCが追加された。しかし現在はRelichがCompany of Heroes 3(2023年リリース)の開発・サポートにリソースを移しており、CoH2への新規コンテンツ追加は実質的に終了している。
とはいえ、現在のCoH2は「完成されたゲーム」として安定している。新コンテンツがなくても、既存のコンテンツ量と対戦コミュニティで十分に長く遊べる。「まだ開発中のゲームを買いたい」という人には向かないが、「完成した名作を長く遊びたい」という人にとってはむしろ安心できる状態だ。
Company of Heroes 3との関係
CoH3(2023年リリース、地中海戦線が舞台)も存在する。CoH3はイタリア・北アフリカを舞台にし、より洗練されたグラフィックと追加システムを持つ。ただし、CoH3のリリース時にはバランスの問題やパフォーマンスの不安定さが指摘され、現在も改善が続いている状況だ。
CoH2とCoH3、どちらを選ぶかはプレイヤーによる。「安定して長期間遊べる実績がある方」を選ぶならCoH2、「最新グラフィックと新システム」を求めるならCoH3という選択肢になる。両方所持して気分で使い分けるプレイヤーも多い。
日本語対応の状況
Company of Heroes 2はSteam版で日本語テキストに対応している。UI、キャンペーンの字幕・テキスト、ゲーム内説明文は日本語で表示される。音声は英語(ロシア語・ドイツ語も含む)のままだが、字幕で内容を追えるため、言語面での大きな障壁はない。
ただし翻訳の質にやや粗い部分があり、一部のゲーム用語の訳が直感的でない箇所もある。慣れれば問題ないレベルだが、最初は英語用語で検索した方が攻略情報を見つけやすいことがある。
初心者向けアドバイス——どこから始めるべきか
最初はキャンペーンのNormal難易度から
CoH2に初めて触れるなら、まずソビエト軍のメインキャンペーンをNormal難易度でプレイすることを勧める。キャンペーンは順を追ってゲームの要素を教えてくれる構成になっており、「このミッションでは視界の使い方を覚える」「このミッションでは戦車の使い方を学ぶ」という積み重ねがある。
いきなりスカーミッシュや対人戦に入ると、何が起きているのか把握できないまま終わることが多い。キャンペーン数本をクリアしてからスカーミッシュへ移る、という順序が最も無理がない。
「歩兵を大事に使う」意識を持つ
RTSに慣れている人でも、最初はつい「歩兵を消耗品として使う」癖が出てしまう。CoH2では歩兵の損耗を最小限に抑えることが非常に重要だ。以下を意識するだけで生存率が大きく変わる。
まず「カバーを常に使う」。歩兵を移動させるとき、なるべく建物の陰や石壁、砂袋のある場所に向けて移動させる。カバーなしで野原を移動すると、遠距離から一方的に撃たれて全滅する。
次に「火線を意識する」。前方から撃ってくる敵に対して、真正面から突撃しない。側面か背後に回り込む、あるいはグレネード(手榴弾)で制圧してから接近する。正面突破はベテランでも損耗率が高い。
「後退させることを恐れない」ことも大事だ。歩兵部隊が残り1〜2名になったら後退させて補充する。壊滅した部隊は戦力として機能しないが、後退させれば基地で回復・補充できる。「もう少しで勝てる」と思って全滅させるより、後退して次の攻勢に使う判断の方が長期的には得だ。
視界管理——偵察に1ユニット使う
ゲームに慣れてきたら、「偵察」に専用のユニットを使う意識を持とう。1ユニットを偵察担当として前線周辺をうろつかせ、敵の動きを把握するだけで戦況の見え方が全然違う。
ソビエト軍では「ペナルシカウツ(偵察ユニット)」がいる。ドイツ軍では「ピオニール(工兵)」を少数で前線に出すだけでも視界確保に役立つ。「何かを攻撃しなければ意味がない」と思わず、「視界を取るためだけにユニットを使う」判断ができるようになると、一段階上のプレイができる。
資源は弾薬と燃料のバランスを意識する
序盤に陥りがちなミスが、弾薬か燃料のどちらかに偏りすぎることだ。弾薬は歩兵の能力強化やグレネード使用に必要で、燃料は戦車や航空支援に使う。どちらも重要で、どちらかがなくなると対応できなくなる局面が出てくる。
序盤は弾薬拠点を優先してコマンダー能力や歩兵強化を安定させ、中盤以降に燃料拠点を確保して装甲戦力を整えていくのが基本的な流れだ。ただし相手の戦術次第で優先度は変わるため、「相手が早期に戦車を出してきた」ならこちらも燃料を急いで確保するなど、状況対応が求められる。
スカーミッシュのAI難易度を段階的に上げる
スカーミッシュ(対AI戦)のAIには「Easy」「Normal」「Hard」「Expert」の難易度がある。最初はEasyから始めて、安定して勝てるようになったらNormalへ、という段階的な上達を推奨する。AIのHardはかなり手強く、対人戦に近い圧力をかけてくる。Expertは対人戦の練習としても機能するレベルだ。
AIとの試合でも学べることは多い。「この陣形だと側面を取られる」「ここに砲兵を置くと効果的」という発見は、AIとの試合でもできる。人間相手にボコボコにされながら覚えるより、AIと繰り返し戦いながら戦術を試す方が精神的にも楽だ。
コマンダーは最初はシンプルなものを選ぶ
コマンダーはたくさんの種類があるが、最初は「使いやすい汎用的なもの」から入ることを勧める。ソビエト軍なら「ソビエト産業コマンダー(Soviet Industry)」は追加の補給機能を持ちシンプルに使いやすい。ドイツ軍なら「ブリッツクリーグコマンダー(Blitzkrieg Doctrine)」は基本的な能力強化が中心で、複雑な条件なしに使える。
特殊なコマンダー(空挺コマンダー、ガードコマンダーなど)は使いこなすと強力だが、習熟度が必要だ。「コマンダーの個性を覚える」のは中級者以降でいい。まずはゲームシステム自体を理解することが先決だ。

他のゲームとの比較——CoH2の立ち位置

StarCraft 2との比較
RTSの代名詞であるStarCraft 2と比べると、CoH2はプレイの「感触」が根本的に違う。StarCraft 2は「毎分どれだけのユニットを生産して戦場に送り込めるか」という生産効率と操作速度が重要だ。ユニットの損耗は「補充すればいい」という前提で設計されており、消耗戦が基本になりやすい。
CoH2はその逆で、生産速度より「今ある部隊をどう使うか」がゲームの中心だ。ユニット数は少ないが、個々の運用の判断が重い。「たくさん作って投入する」ではなく「少数を精密に運用する」という感覚だ。StarCraftのような高APM(毎分操作回数)を求めるゲームではなく、判断の質が問われる。
Age of Empiresとの比較
Age of Empiresは内政・建設・経済発展が重要な比重を持つRTSだ。「農場を作って食料を確保し、技術研究で軍隊を強化する」という内政の充実が勝利に直結する。CoH2には農場を作るような内政要素はなく、戦場で拠点を取り続けることが資源獲得の手段だ。
CoH2は「前線から離れた後方が安全」という発想が成立しにくい。戦場全体が流動的で、後方拠点を奪われることもある。常に前線を意識しながら判断する必要がある点で、AoEとは全く異なるプレイ体験だ。
Hearts of Ironとの比較
Hearts of Iron(HoI)は同じWW2を扱うストラテジーゲームだが、規模とアプローチが全く違う。HoIは「国家レベル」の戦略を扱うゲームで、生産、外交、資源管理、師団設計、戦域全体の作戦計画が重要だ。「大局を管理する」感覚のゲームだ。
CoH2はHoIより「戦術レベル」に特化している。1つの戦場で30〜50ユニットを動かし、地形を読み、相手の動きに対応する。HoIとCoH2は「同じ戦争を扱っているが、全く違うレベルで見ている」と表現できる。両方プレイすると、同じ第二次世界大戦を全く違う解像度で体験できる。

まとめ——今からCoH2を始める価値はあるか
Company of Heroes 2は2013年のゲームだ。グラフィックは最新のタイトルに及ばないし、新しいコンテンツが追加されることもない。それでもなお、このゲームには「今から始める価値」がある。その理由を最後にまとめる。
まず、「コンテンツ量」は申し分ない。キャンペーン、スカーミッシュ、対人戦、複数陣営、Theatre of Warシナリオ——現在の価格(セール時に本体数百円から)に対して、遊べる量は圧倒的だ。「コスパ」という観点では、RTSの中でもトップクラスだと思う。
次に「完成度」が高い。2013年から今まで積み重なったバランス調整と、プレイヤーコミュニティが蓄積した知識が、ゲームを「ちゃんと遊べる状態」に保っている。バグや理不尽な不具合でゲームが壊れることなく、純粋に戦術の勝負ができる。
そして「深さが尽きない」。対戦を続けていると、毎回新しい局面に直面する。相手の戦術が変われば対応が変わり、使う陣営が変われば思考が変わる。10年遊んでいるプレイヤーがまだ学ぶことがあると言う——その深みは、このゲームの設計の根幹にある。
注意点は「学習コスト」だ。最初の数時間は何をすればいいかわからないことがある。でも「吹雪の中で塹壕を掘りながらドイツ軍の装甲攻勢を食い止めた」という体験を一度でもすれば、そのコストは間違いなく回収できる。
リアルタイム戦略ゲームが好きな人に、CoH2は「一度は触れてほしい」タイトルだ。東部戦線の雪原と炎の中で、あなたの戦術センスが問われることになる。
「10年前に買って、今でも定期的に引っ張り出してくる。対人戦で勝ったときの満足感は他のゲームで感じたことのないレベル。これを超えるRTSがまだ出ていない」
Steamレビュー
関連ゲームも気になるなら
Company of Heroes 2が気に入ったなら、こんなゲームも試してみてほしい。
Bannerlord——中世の戦場を体感したいなら
戦術的な部隊運用と大規模な戦場管理を楽しみたいなら、中世の戦争を題材にしたMt. Blade II: Bannerlordも選択肢になる。CoH2とは全く別のアプローチだが、「戦場での判断力」が問われる感覚は共通している。

Hearts of Iron IV——大戦略レベルで同じ戦争を見たいなら
CoH2が「戦場の戦術」を扱うなら、HoIは「戦争全体の戦略」を扱う。同じWW2を全く別の解像度で体験できる。戦術RTSと大戦略SLGを両方持っておくと、第二次世界大戦の多層的な理解ができて面白い。

Company of Heroes 2
| 価格 | ¥2,350-75% ¥587 |
|---|---|
| 開発 | Relic Entertainment, Feral Interactive (Mac), Feral Interactive (Linux) |
| 日本語 | 非対応 |
| 対応OS | Windows / Mac / Linux |
| プレイ形式 | シングル / マルチ |

