Microsoft Flight Simulator 2020

Microsoft Flight Simulator (2020)|地球をまるごと飛ぶ、史上最高の空の旅シム

初めて自分の家の上空を飛んだとき、思わず画面に顔を近づけた。

「これ、本当にうちの近所だ」

衛星写真と3D技術が組み合わさった圧倒的なリアリティの世界。実際に走っている高速道路、見慣れたランドマーク、近所のコンビニの屋根まで再現されている。ゲームの中に地球がそのまま入っている——そう表現するのが正直なところだ。

Microsoft Flight Simulator(2020)は、2020年8月にMicrosoftとAsobosスタジオが20年ぶりに復活させた伝説のフライトシムシリーズの最新作だ。地球上の実際の気象データをリアルタイムで取得し、2PBを超えるAzureクラウドの地形データから2兆本の木々、1億5000万棟の建物を生成して世界を再現する。そのスケールは、ゲームというジャンルの概念を根本から塗り替えた。

そしてこのゲームが本当にすごいのは、その圧倒的なビジュアルだけじゃない。飛ぶことそのものが楽しい。コックピットから見る日の出。雲の上に出た瞬間の静寂。夜のニューヨークに向けて降下するときの光の海。「ゲームで最高の夕焼けを見た」と言えるのは、このゲームだけかもしれない。

目次

こんな人におすすめ

Microsoft Flight Simulator (2020) 40th Anniversary Edition アドベンチャー スクリーンショット1
  • 飛行機・航空が好きな人、パイロットに憧れたことがある人
  • 「世界中を旅してみたい」という気持ちがある人
  • 圧倒的なグラフィックでゲームを楽しみたい人
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    のようなドライブシムが好きで、空版を探している人
  • 難しいゲームを時間をかけて攻略するのが好きな人
  • ストレス解消・癒しになるゲームを探している人
  • リアリティにこだわるシミュレーション好き
  • ハイスペックPCを持っていて、それを活かせるゲームを探している人

Microsoft Flight Simulator (2020)とはどんなゲームか

Microsoft Flight Simulator (2020) 40th Anniversary Edition アドベンチャー スクリーンショット2

Microsoft Flight Simulator (2020)は、MicrosoftのXbox Game Studiosがパブリッシャーを務め、フランスのAsobosスタジオが開発したフライトシミュレーションゲームだ。SteamではAppID 1250410として2020年8月18日にリリースされた。

Steamの評価は「非常に好評」(Steamページ上のウィキペディア記事IDはWP:67743)で、フライトシムというニッチなジャンルとしては異例のユーザー数を誇る。フライトシムというと「操縦が難しそう」「コアな航空マニア向け」というイメージがあるかもしれないが、このゲームはビジュアルの圧倒的な美しさと、初心者から上級者まで楽しめる幅広い難易度設定により、航空知識ゼロの人でも十分に楽しめるように設計されている。

最大の特徴は「本物の地球をほぼそのまま再現した」ことだ。Microsoft Azureのクラウドデータとビング(Bing)マップの衛星画像を組み合わせ、AIが地形・建物・植生を自動生成することで、地球上のほぼすべての場所を飛ぶことができる。日本の空も、パリのエッフェル塔の上も、アマゾンのジャングルの上も、全部飛べる。

さらにリアルタイムの気象データを取得する機能があり、今この瞬間にロンドンで雨が降っていれば、ゲーム内のロンドンでも同じ天候が再現される。東京の夜間飛行をプレイすれば、今夜の実際の気象状態で飛ぶことができる。これはゲームの概念を超えた体験だ。

シリーズの歴史と2020年の復活

「Microsoft Flight Simulator」というシリーズは1982年にスタートした。PC向けフライトシムの先駆者として、長年にわたってシリーズが続いてきたが、2006年の「Microsoft Flight Simulator X」(FSX)を最後に事実上の休止状態に入っていた。

そこから14年の沈黙を経て、2020年に「Microsoft Flight Simulator」として復活した。FSX時代のファンはもちろん、それを知らない世代にとっても新鮮な衝撃をもって迎えられ、2020年のゲームオブザイヤー(多数の媒体で)を受賞するなど、ゲーム史に残る大型タイトルとなった。

開発スタジオのAsobosは、フランスのボルドーに拠点を置くスタジオで、「A Plague Tale: Innocence」などを作ったことで知られる。Asobosが積み上げてきた技術力とMicrosoftのクラウドインフラが組み合わさった、奇跡のようなプロジェクトだった。

2024年の「MSFS 2024」リリースと現状

2024年11月には後継作の「Microsoft Flight Simulator 2024」がリリースされた。ただし、MSFS 2020は現在も活発に遊ばれており、豊富なMODとアドオン資産が引き続きの強みとなっている。「2020をやってから2024に移行する」というプレイヤーも多く、フライトシムの入門としてMSFS 2020は今でも最適な選択肢のひとつだ。本記事ではMSFS 2020に絞って詳しく解説していく。

ゲームの基本システム

フライトモードの種類

MSFS 2020には大きく分けて3つのプレイスタイルがある。

ワールドマップ(自由飛行)

世界地図から出発地点と到着地点を選び、好きな航空機で好きなルートを飛ぶ完全自由なモードだ。「今日は富士山を眺めながら飛ぼう」「ニューヨークのマンハッタン上空を低空飛行してみたい」など、目的地も高度も時間帯もすべて自分で決められる。

時刻設定も自由なので、「夕暮れのパリを飛びたい」と思えば時刻をそこに合わせればいいし、リアルタイム天候機能をオンにすれば本物の今の気象で飛ぶことも可能だ。このモードがMSFS 2020の核心で、最も多くのプレイヤーが楽しんでいる部分だ。

ミッションとアクティビティ

ゲームにはあらかじめ用意されたミッションやチャレンジが存在する。「特定のルートを時間内に飛ぶ」「悪天候の中で着陸する」「アルプスを低空で通過する」など、明確な目標を持ったプレイが楽しめる。

「ランディングチャレンジ」では世界の難関空港への着陸にチャレンジできる。霧の中のカトマンズ空港、強風のウィンドワード諸島、短い滑走路しかないアルプスの山岳空港など、経験豊富なパイロットでも手に汗握る課題が揃っている。

チュートリアル

航空知識ゼロの人のためのチュートリアルが充実している。「飛行機が飛ぶ原理」から始まり、基本操作、離陸と着陸、計器の読み方など、段階的に学べる内容だ。チュートリアルを終えた後でも、ゲーム内の「フライトアシスタント」機能が常にサポートしてくれる。

フライトアシスタント機能

MSFS 2020の最も重要な初心者向け機能が「フライトアシスタント」だ。これはゲームの難易度を自分でカスタマイズできるシステムで、大きく以下の項目をオン/オフできる。

自動操縦補助:AIが操縦を補佐してくれる。姿勢の安定化から自動着陸まで、どこまで任せるかを細かく設定できる。

エンジン管理:エンジンの起動・停止、燃料管理などを自動化できる。本格的な手順を踏まなくても、エンジン全開で飛べる状態からスタートできる。

無限燃料:燃料切れの心配をなくすオプション。長距離フライトを楽しみたいけれど燃料計算が面倒という人向け。

地形衝突の無効化:山に激突しても墜落しないオプション。景色を楽しむ探索プレイに向いている。

これらをすべてオンにすれば「ゲーム的なフライト体験」になり、すべてオフにすれば「本格的なシミュレーション」になる。自分のスタイルに合わせて細かく調整できるのが強みだ。

航空機の種類

MSFS 2020の標準版(スタンダードエディション)には20機の航空機が含まれており、上位版になるほど収録機が増える。大きく以下のカテゴリに分かれる。

軽飛行機:セスナ152や172 Skyhawkなど、小型のプロペラ機。操作がシンプルで初心者に向いている。低空でゆっくりと景色を楽しむのに最適。

ビジネスジェット・小型ジェット機:TBM 930、Daher Kodiak、Cirrus SR22など、中程度の難易度。プロペラよりスピードが出て、より広い範囲を快適に旅できる。

旅客機:エアバスA320 neoやボーイング747-8など、大型の旅客機。本格的な計器飛行が求められるため難易度が高い。コックピットの計器類が実機と同等の精度で再現されており、本物のパイロット訓練に使える水準を持つ機体もある。

輸送機・特殊機:アイコン A5(水上飛行機)、ダグラスDC-3(レトロなプロペラ機)など、個性的な機体も含まれる。

それぞれの航空機は「フライトモデル」の精度が「リアル」「モダン」「レガシー」の3段階に分けられており、どの精度でシミュレートするかを選べる。リアルモードでは実機の特性を忠実に再現し、レガシーモードではより操作しやすい簡略化が行われる。

世界の再現度:このゲームの核心

Microsoft Flight Simulator (2020) 40th Anniversary Edition アドベンチャー スクリーンショット3

2PBのデータと地球丸ごと

MSFS 2020が他のどのゲームとも異なる最大の特徴は、地球そのものを舞台にしていることだ。

使用しているデータ量は約2PB(ペタバイト)。1PBは1024TBなので、2PBというのはテラバイト換算で2048TB。家庭用のゲームでは考えられないスケールのデータがMicrosoft Azureのクラウドサーバーに格納されており、ゲームはストリーミングでこのデータを取得しながら世界を描画する。

当然すべてのデータをダウンロードして遊ぶことはできない(それには数千TBのストレージが必要になる)。ゲームの本体データは約100GB程度だが、飛行中は常にインターネット経由で地形データをダウンロードしている。オフラインでも遊べるが、その場合は簡略化された地形になる。

インターネット接続環境でプレイすると、ビングマップの衛星写真をベースにAIが地形を3D化した世界が広がる。日本のどんな田舎の村でも、それなりに実際の地形・建物が再現されている。特に都市部は精度が高く、東京の主要ビル群や大阪城なども確認できる。

フォトグラメトリと3D都市

世界の主要都市では「フォトグラメトリ」と呼ばれる技術が使われている。これは実際の写真を複数の角度から撮影し、コンピューターが自動的に3Dモデルを生成する技術だ。

フォトグラメトリ対応都市では、建物一棟一棟が実際の外観通りに再現されている。ニューヨークのマンハッタン、ロンドンのシティ、パリのシャンゼリゼ通り、ローマのコロッセオ——これらは「ゲームっぽい作り物」ではなく、本物の写真から生成した3Dデータだ。

日本の都市では東京など一部がフォトグラメトリ対応しているが、欧米の都市に比べると精度にばらつきがある。それでも衛星写真ベースの地形再現で、実際に住んでいる場所を上空から見下ろす体験は他に代えがたい。

リアルタイム気象

MSFS 2020は「メテオブルー」という気象データプロバイダーのリアルタイムデータと連携している。「ライブウェザー」モードをオンにすると、今この瞬間の世界中の天気がゲームに反映される。

雲の形状、風の強さと方向、視程、降水量——これらがリアルな気象シミュレーションとして再現される。台風が日本に接近しているときにゲームを起動すると、ゲーム内の日本でも荒れ狂った気象状態になる。

季節によっても景色が変わる。春に飛べば日本の桜が咲き、秋には紅葉の山々が広がる(AIによる生成だが、季節感はある程度反映される)。

気象は飛行に直接影響する。強風でば操縦が難しくなり、低視程では計器に頼る必要が出てくる。霧の中でのアプローチ、雷雲を避けるルート設定、荒天の中でのエンジン管理——これらはリアルなパイロット体験の核心だ。

フライトシムの「聖地」を訪れる楽しさ

MSFS 2020では世界中の空港に離発着できる。収録空港数は3万7000以上で、その多くが実際の空港データをベースにしている。

主要な国際空港はハンドクラフト(手作業で精密に作られた)で、ゲート番号、ターミナルの形状、滑走路の番号まで実際の空港と一致している。羽田空港や成田空港も、実際の空港とほぼ同じレイアウトで収録されている。

世界のパイロットが「一度は着陸したい」と語る難関空港も多く収録されている。ヒマラヤ山中のルクラ空港(世界有数の危険な空港として有名)、大西洋の孤島セントヘレナ空港、急峻な山岳地帯に挟まれたインスブルック空港——これらへのチャレンジは、フライトシムの醍醐味だ。

航空機の操作と計器の世界

プロペラ機から始める理由

MSFS 2020を始める多くのプレイヤーが最初にぶつかる疑問が「どの飛行機から始めればいいか」だ。答えはシンプルで、まずはセスナ152か172 Skyhawkから始めることを強くすすめる。

プロペラの小型機は操作がシンプルで、エンジン管理も少なく、速度も遅いため失敗したときに挽回しやすい。旅客機のボーイング747は操縦席に入った瞬間から数百のスイッチと計器が並んでいて、初見では何がなんだかわからない。

セスナで基本的な離陸・飛行・着陸をマスターしてから、徐々に大きな機体に挑戦するルートが最も挫折しない道だ。

VFRとIFR:2つの飛行方式

航空の世界には「VFR(有視界飛行方式)」と「IFR(計器飛行方式)」という2つの基本的な飛行方式がある。MSFS 2020ではどちらも楽しめる。

VFR(Visual Flight Rules)は「目で見て飛ぶ」方式だ。天気が良い日に、地形を見ながら目視で飛ぶ。山があればよける、川に沿って飛ぶ、空港が見えたら降りる——という感覚的な飛行だ。初心者の最初のプレイはほぼVFRになる。

IFR(Instrument Flight Rules)は「計器を読んで飛ぶ」方式だ。雲の中や夜間など、外が見えない状況でも計器だけを信じて飛ぶ。ジャイロコンパス、高度計、対気速度計、人工水平儀、ILS(計器着陸装置)——これらの計器を正確に読んで操縦する技術が求められる。

IFRをマスターすると、「雲の中に突入して、計器だけで飛行し、滑走路が見えた瞬間に着陸する」という本格的なパイロット体験ができる。これはフライトシムの最も深い楽しみの一つだ。

ATC(航空交通管制)との通信

MSFS 2020には航空交通管制(ATC)システムが組み込まれている。離陸前の許可申請、離陸後の管制引き継ぎ、巡航中の高度変更要請、着陸許可の取得——これらをATCとのやりとりを通じてこなすことができる。複雑なシステムをひとつひとつ覚えていく達成感は、

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のような経営シムでシステムを習得していく感覚に通じるものがある。

ATCはAI音声(英語)で応答し、プレイヤーは選択肢から応答を選ぶ形式で通信する。実際の無線通信の雰囲気を体験でき、「航空英語」の独特のやりとりを体感できる。

ATCとの通信を楽しみたい人向けには、「Vatsim」や「IVAO」といったオンラインコミュニティがあり、そこでは実際の人間のATCコントローラーが管制を担当している。世界中のプレイヤーと同じ空域を飛び、本物の無線通信の作法でやりとりするリアルな体験だ。

コックピットの精密再現

MSFS 2020の各航空機のコックピットは、実機の資料をもとに精密に再現されている。スイッチ一つひとつに機能があり、実際の操作手順(チェックリスト)に沿ってエンジンを起動することもできる。

エアバスA320のコックピットをMSFS 2020で見た現役パイロットが「驚くほど正確だ」とコメントしているケースもある。もちろんゲームとして若干簡略化されている部分もあるが、フライトシムとしての精度は世界トップクラスだ。

VR(バーチャルリアリティ)ヘッドセットにも対応しており、VRでコックピットに座ると「本当に飛行機の中にいる」という感覚を味わえる。計器を手を伸ばして操作したり、窓の外を直接見回したりできるため、没入感は段違いだ。

MSFS 2020が長年愛される理由

Microsoft Flight Simulator (2020) 40th Anniversary Edition アドベンチャー スクリーンショット4

「世界旅行」ができる唯一のゲーム

MSFS 2020が他のどんなゲームとも違う体験を提供する最大の理由が、「本物の地球を旅する感覚」だ。

他のゲームでは架空の世界や、現実の一部をモデルにした世界を旅する。でもMSFS 2020では本物の地球を飛ぶ。パリのエッフェル塔の周りを旋回し、アマゾン川の源流から海口まで一直線に飛び、グリーンランドの氷河の上を低空で滑走し、富士山の頂上に接近して火口を覗き込む——これらは全部できる。

「行ったことがある場所を空から見る」体験は特に印象的だ。住んでいる街、生まれた場所、旅行で訪れた都市——そこを上空から眺めたとき、地理的なスケール感が変わる。高さ3000メートルから見る東京の広さ、成田から羽田への距離感、東海道新幹線のルートが眼下に見える光景は、地理の授業より多くのことを教えてくれる。

圧倒的なビジュアルの美しさ

「これは本当にゲームなのかと疑うほどの美しさだ。空の色、雲の立体感、夕暮れの光の変化——映画のワンシーンみたいだった」

Steamユーザーレビューより

MSFS 2020の空と雲の表現は、ゲーム史上最高レベルに達している。積乱雲の内部を飛ぶときの暗さと揺れ、ブロークン(不規則な雲)の合間から差し込む光のカーテン、夕焼け時に雲が染まる色の変化——これらは単なる「綺麗なグラフィック」ではなく、気象シミュレーションに基づいた物理的に正確な現象だ。

水面の表現も特筆ものだ。波の高さが風速に連動し、浅瀬と深海で色が変わり、太陽の反射がリアルに揺れる。海面低空飛行の迫力は、他のゲームでは絶対に体験できない。

このゲームを「フライトシム」としてではなく「インタラクティブな地球観光」として楽しんでいるプレイヤーも多い。「今日は上空からナイル川をエジプトから源流まで遡ってみた」「ノルウェーのフィヨルドを小型機でゆっくり飛んだ」という楽しみ方もMSFS 2020ならではだ。

現実のパイロット訓練にも使われる精度

MSFS 2020は趣味のゲームとしてだけでなく、実際のパイロット訓練にも活用されている。完全な代替にはならないが、コックピット操作の習熟、計器の読み方、緊急手順の練習などに実際のフライトスクールで補助教材として使われているケースがある。

これはMSFS 2020の飛行モデルと航空機コックピットの再現精度が、訓練用途でも通用する水準に達していることを意味する。「趣味で飛んでいたら、本物のパイロット試験の勉強に役立った」というユーザーの声も珍しくない。

リラックス・瞑想体験としてのフライト

「仕事で疲れた日の夜、自動操縦に切り替えてアルプスの上をゆっくり飛んでいると、頭が空っぽになっていく。これはゲームじゃなくて癒しの時間だ」

Steamユーザーレビューより

MSFS 2020は激しいアクションや複雑な目標達成とは無縁の、純粋な「飛ぶ体験」を提供できる。自動操縦をオンにして、巡航高度で流れる雲を眺めながら、ヘッドフォンからエンジン音だけを聞く——これが癒しになると感じるプレイヤーは少なくない。

「フライトメディテーション」という言葉すら生まれている。現実では到底できない場所を、好きな時刻と天気で、一人でゆっくり旅する体験。それがMSFS 2020の意外な魅力の一面だ。

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のようなドライブシムが走ることそのものの心地よさを提供するように、MSFS 2020は飛ぶことそのものが心地よい。でも空の解放感と地球のスケール感は、どんなドライブシムとも次元が違う。
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のような街づくりゲームで「自分の街を俯瞰する楽しさ」を感じたことがある人なら、本物の地球を真上から眺めるMSFS 2020の体験は特別にぐっと来るはずだ。

コミュニティとMODの豊かさ

MSFS 2020のコミュニティは非常に活発だ。「flightsim.to」という専用のアドオン配布サイトには数万点以上の無料・有料アドオンが公開されており、航空機、空港、景色向上MODなどが揃っている。

日本の空港MODも多く、羽田・成田・伊丹・新千歳などの主要空港が高精細な手作りデータで配布されている。これを入れると日本の空港の細部の再現度が劇的に上がる。地元の小さな空港が美しく再現されていることに感動したプレイヤーも多い。

航空機のアドオンも豊富で、メーカーライセンスを取得した有料の高精度機体から、フリーウェアの趣味の機体まで多岐にわたる。「Fenix A320」や「PMDG 737」といったプレミアムアドオンは、本物の飛行訓練にも使えるほどの精度を誇り、それ専用のコミュニティまで形成されている。

エディション・DLCの選び方

3つのエディション

MSFS 2020には購入時に3つのエディションがある。

スタンダード(Standard):最も手頃な価格のベーシック版。20機の航空機と30の手作り空港が収録されている。初めてMSFS 2020を試すなら、まずはスタンダードから始めるのが正解だ。

デラックス(Deluxe):スタンダードに加えて5機の追加航空機と5つの追加手作り空港が含まれる。

プレミアム デラックス(Premium Deluxe):さらに5機の追加機体と10の追加手作り空港が含まれる最上位版。計30機の航空機と40の手作り空港。

どのエディションを選んでも「地球を飛ぶ」コア体験はまったく同じだ。違いは収録航空機数と手作り空港の数だけ。最初はスタンダードで十分楽しめる。欲しい機体が出てきた時点でアップグレードするか、個別のアドオンを購入すればいい。

ゲームパス対応

MSFS 2020はXbox Game Passに対応している時期があり、サブスクリプションで遊べるコスパの良さも話題になった。現在の対応状況は変わっている可能性があるため、購入前にGame Passのラインナップを確認してほしい。

主なDLCとアドオン

MSFS 2020には多数の公式DLCが出ている。大きく分けて「エアクラフトパック(機体追加)」「シティアップデート(都市の精度向上)」「ワールドアップデート(地域全体の品質向上)」の3種類だ。

ワールドアップデートは無料で提供されるDLCで、日本、米国、欧州各地、中国など地域ごとの地形・空港・ランドマークの精度が大幅に向上するアップデートだ。「Japan World Update」では日本の地形と主要空港が格段にきれいになり、富士山の再現精度も上がっている。

Top Gun: Maverick Editionは映画「トップガン マーヴェリック」とのコラボDLCで、映画のロケ地を舞台にしたミッションと、映画に登場したF/A-18Eスーパーホーネットが追加される。映画を見た人なら絶対に楽しめる内容だ。

サードパーティーのアドオンはflightsim.toで多数配布されており、コミュニティMODと合わせればゲームの世界が劇的に広がる。

注意点・正直なデメリット

Microsoft Flight Simulator (2020) 40th Anniversary Edition アドベンチャー スクリーンショット5

PCスペックの要求が高い

MSFS 2020は現行ゲームの中でも特にスペック要求が高い部類だ。推奨スペックでさえ、最高設定での4K描画は難しい。

公式の最低スペック(低画質での動作)は、CPU:Core i5-4460以上、RAM:8GB、GPU:GTX 770以上、ストレージ:150GB以上。ただしこれはほぼ最低限の動作保証であり、実用的には推奨スペックを満たしていることが望ましい。

推奨スペック(中〜高画質での快適プレイ)は、CPU:Core i5-8400以上、RAM:16GB以上、GPU:GTX 1080以上、ストレージ:150GB以上(SSD推奨)。最高画質で4K 30FPSを目指すなら、RTX 3080以上のクラスが必要になってくる。

特に重要なのがネットワーク帯域だ。ライブウェザーとオートジェン(自動生成地形)のストリーミングを有効にすると、常時数Mbpsの通信が発生する。光回線などの高速インターネットが推奨される。

ゲームとしてのアクション性はほぼない

MSFS 2020は戦闘もなく、競争もなく、クリアすべきストーリーもない。純粋に「飛ぶ」だけのゲームだ。アクション性を求めている人、明確な目標達成感が欲しい人には物足りない可能性がある。

ただし「ミッションをこなす」「着陸精度を競うチャレンジ」「パイロット技術を磨く」という楽しみ方はある。人によって「目標がないからつまらない」か「目標を自分で設定できるから自由で楽しい」かに分かれる典型的なゲームだ。

操作習得に時間がかかる

完全な初心者が「普通に飛んで着陸する」という基本操作をマスターするには、ある程度の練習時間が必要だ。特に着陸は「スピードの調整」「高度の制御」「滑走路への位置合わせ」を同時にこなす必要があり、最初のうちは何度も滑走路を外れたり、バウンドしたりする。

チュートリアルを飛ばして「とりあえず旅客機で飛んでみた」という体験は、ほぼ確実に混乱に終わる。特に初心者はセスナから始めてチュートリアルをきちんとこなすことを強くすすめる。

バグとアップデートの変動

MSFS 2020は大型アップデートのたびに、既存の設定やサードパーティーアドオンとの互換性に問題が生じることがある。「アップデートしたらお気に入りのMODが動かなくなった」という経験をするプレイヤーは少なくない。

アドオンを多く導入している場合、大型アップデート後には各アドオンの更新状況を確認してから導入するのが無難だ。

2024年版(MSFS 2024)との棲み分け

2024年11月にリリースされた「Microsoft Flight Simulator 2024」は、MSFS 2020の後継作だ。グラフィックのさらなる向上、キャリアモードの追加、航空機の増加などが図られている。ただし、リリース時点ではサーバー負荷による接続問題やバグが多く報告されており、MSFS 2020の方が安定しているという声も多い。

「どちらを買うか」という問いに対する現時点での答えは、フライトシム初心者にはMSFS 2020が安心の選択だ。豊富なMODとコミュニティ資産、安定したゲームプレイ、セール時の手頃な価格が揃っている。MSFS 2020で飛ぶ楽しさを覚えてからMSFS 2024に移行するというルートが現実的だ。

コントローラー・ハードウェアについて

キーボード+マウスでも遊べるか

「フライトシムはフライトスティックが必須では?」という疑問を持つ人も多いが、MSFS 2020はキーボードとマウスでも十分に遊べる。自動操縦補助機能と組み合わせれば、特別なハードウェアなしで快適なフライト体験ができる。

ただし、フライトスティックを使うと没入感と操縦精度が段違いに上がる。特にトリム(操縦負荷を減らすための微調整)やラダーペダル(方向舵操作)の操作は、スティックがあった方が圧倒的に自然だ。

おすすめのコントローラー構成

初心者向けとしてよく紹介されるのが「Thrustmaster T.16000M」というフライトスティックだ。比較的手頃な価格で精度もよく、MSFS 2020との相性も良好だ。

さらに本格的に楽しみたい人向けには、「Honeycomb Alpha Flight Controls(ヨーク:操縦輪)」と「Honeycomb Bravo Throttle Quadrant(スロットル)」の組み合わせが人気だ。旅客機スタイルのヨーク操作が実現でき、コックピットシミュレーターのような雰囲気になる。

最終的にはVRヘッドセット(Meta Quest 3やValve Indexなど)を組み合わせると、コックピットに「いる」体験ができる。フライトシムのVR体験は、現時点でVRゲームの中でも最高クラスの没入感を誇る。

ゲームパッド(Xbox コントローラー)

Xbox Game Pass対応ゲームのため、Xboxコントローラーにも公式対応している。アナログスティックで機体を操縦でき、キーボードとマウスより直感的な操作ができる。完全なシミュレーション体験には限界があるが、フライトシム入門として気軽に試すには悪くない選択肢だ。

初心者向けアドバイス:最初の1週間の過ごし方

Microsoft Flight Simulator (2020) 40th Anniversary Edition アドベンチャー スクリーンショット6

Step 1:チュートリアルをすべてこなそう

MSFS 2020を最初に起動したら、メニューから「チュートリアル」を選ぼう。「飛行の基礎」「離陸と着陸」「VFR飛行」など、段階的に操作を学べるシナリオが用意されている。

チュートリアルを飛ばして「とりあえず旅客機で東京から大阪まで飛んでみた」というのは、ほぼ確実に「コックピットが意味不明で、離陸すらできなかった」という結果に終わる。30分のチュートリアルが数時間の苦労を省いてくれる。

Step 2:フライトアシスタントをフル活用する

設定メニューの「フライトアシスタント」では、AI操縦補助の度合いを細かく調整できる。最初は以下の設定を推奨する。

  • 操縦補助(Piloting Assistance):「フライングイージー」または「自動」
  • エンジン管理:ON(自動管理)
  • 自動チェックリスト:ON
  • 衝突ダメージ:OFF(最初は気にしないでよい)

慣れてきたら少しずつアシストをオフにして、手動操作の割合を増やしていこう。いきなりフル手動に挑戦すると、操縦の複雑さに圧倒される可能性がある。

Step 3:セスナ172で近所の空港から飛ぶ

チュートリアルが終わったら、ワールドマップから自分が住んでいる街に近い空港を探してみよう。小さな空港でも構わない。

セスナ172(Skyhawk)を選び、VFRで離陸してみる。フライトアシスタントをオンにしておけば、少々の操作ミスはAIが補正してくれる。まず「ちゃんと飛べた」という体験を積み重ねることが大切だ。

最初のフライトで目指すべきことはただひとつ、「離陸して、飛行して、なんとか着陸する」これだけでいい。

Step 4:美しい景色を求めて飛ぶ

操作に慣れてきたら、世界の有名な景色を目指して飛んでみよう。

富士山をセスナで一周する、エッフェル塔の周りを旋回する、グランドキャニオンの底まで降りてみる——そういった「観光飛行」がMSFS 2020の大きな楽しみだ。

「飛んでみたい場所リスト」を作っておくと、ゲームを開くモチベーションが続く。「今日はバチカン上空を飛ぼう」「来週はナイアガラの滝に挑戦しよう」という小さな目標が、長期的なプレイを支える。

Step 5:ランディングチャレンジで腕を磨く

着陸に自信がついてきたら、ゲーム内の「ランディングチャレンジ」に挑戦しよう。世界の難関空港への着陸精度を点数化してくれるため、自分の上達が実感できる。

最初は「簡単」に設定された空港から始め、徐々に「中級」「難しい」に挑戦する。「ルクラ空港(エベレスト基地キャンプへの玄関口)」や「ヘリゴランド島空港」など、ユニークな環境の空港は着陸するだけで達成感がある。

Step 6:日本の空港MODを入れてみる

ある程度慣れてきたら、flightsim.to(フライトシムのアドオン配布サイト)で日本の空港MODをダウンロードしてみよう。

羽田、成田、伊丹、関空、新千歳などの主要空港の精度が上がる無料MODが多数公開されており、導入も比較的簡単だ。「自分がよく利用する空港がゲームの中に精密に再現されている」という体験は特別なものがある。

MODの導入は、

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のようなゲームでもカスタマイズが楽しみの一つになるように、MSFS 2020でも体験を大きく広げてくれる要素だ。

推奨スペックの再確認

MSFS 2020を快適に遊ぶための推奨スペックをまとめると以下の通りだ。

  • OS:Windows 10/11 64bit
  • CPU:Intel Core i7-9800X / AMD Ryzen 7 ProSeries以上
  • RAM:16GB以上(32GB推奨)
  • GPU:NVIDIA GeForce RTX 2080 / AMD Radeon RX 5700XT以上
  • ストレージ:150GB以上(SSD強く推奨)
  • ネット回線:20Mbps以上の光回線推奨

ストレージはSSDが強く推奨される。HDD(ハードディスク)では地形データの読み込みが遅く、飛行中に景色が突然ぼやけたりポップアップしたりするロード遅延が目立つ。

フライトシムというジャンルについて

フライトシムは「難しいゲーム」か

フライトシムというと「コアな航空マニアが遊ぶ、難しくて取っつきにくいゲーム」というイメージを持つ人が多い。これはある意味では正しく、ある意味では古いイメージだ。

MSFS 2020は、フライトシム史上最も間口の広い作品に仕上がっている。フライトアシスタントをオンにすれば、ゲームコントローラーだけで誰でも飛べる。同時に、フライトアシスタントをすべてオフにして手動で飛べば、本格的なパイロット訓練に近い体験ができる。その両方が同じゲームの中に共存している。

「難しそうだから」という理由で敬遠するのは、実はもったいない。難易度は自分で調整できるのだから、まず試してみて、自分に合ったレベルを見つければいい。

MSFS 2020と他のシミュレーターゲームの違い

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のようなドライブシムと、MSFS 2020はどう違うのか。

もっとも大きな違いは「スケール」だ。ドライブシムでは数キロメートルのコースや数百キロのルートを楽しむ。でもMSFS 2020のフィールドは文字通り地球全体だ。東京からニューヨークまで飛ぶことも、北極点を通過することも、実際にできる。

そして「高さ」という次元がある。地面から2000メートルの高さから見える景色、10000メートルの巡航高度から見える地球の丸み、雲の上から見る夕焼け——これらはドライブゲームには絶対にない視点だ。空を飛ぶという体験は、人類が長年夢見てきた特別なものだ。

まとめ

Microsoft Flight Simulator (2020)は、「ゲームで地球を旅する」という体験を初めて本物として実現した作品だ。

2020年のリリースから数年が経った今も、このゲームを超える「空の旅」体験は存在しない。後継のMSFS 2024がリリースされたが、MSFS 2020はその豊富なMOD資産、安定性、手頃なセール価格によって、現在もフライトシム入門の最高の選択肢であり続けている。

このゲームを遊ぶことで、世界地図を見る目が変わる。ニュースで耳にする地名が、実際に自分で飛んだ場所に変わっていく。富士山の形が、羽田から着陸体制に入ったときの東京湾の形が、自分が飛んだ記憶として残る。

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のような旅や探索をテーマにしたゲームが好きな人ほど、MSFS 2020の「実際の地球を旅する」体験にはまる傾向がある。

飛ぶことへの憧れは、人類の原初の夢だ。ライト兄弟が1903年に12秒間の初飛行に成功してから100年以上が経ち、今は自宅のPCから地球をまるごと飛び回れる時代になった。そのことの素晴らしさを、このゲームは改めて教えてくれる。

セール時には1000円台まで下がることもある。コスパで言えば、数百時間の空の旅を保証する最高の投資だ。「一度でいいから空を飛んでみたかった」という気持ちがあるなら、ぜひ試してみてほしい。

フライトシムに初めて触れる人は、まずチュートリアルをこなして、セスナで自分の住む街の上空をひと飛びしてみよう。「これが私の街か」という気づきが、このゲームの最初の魔法だ。その魔法にかかってしまえば、あとはもう止められない。

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Microsoft Flight Simulator (2020) 40th Anniversary Edition

Asobo Studio
リリース日 2020年8月17日
サービス中
同時接続 (Steam)
2,663
2026/04/16 アジア圏ゴールデンタイム計測
レビュー
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価格¥7,452
開発Asobo Studio
販売Xbox Game Studios
日本語非対応
対応OSWindows
プレイ形式シングル / マルチ
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