「Age of Empires III: DE」大航海時代を舞台にしたカードデッキ型RTS

「なんか別物すぎて無理」——最初にAge of Empires III(以下AoE3)を起動したとき、正直そう思った。AoE2で培ったセオリーが全然使えなかった。農民を増やして木と食料を集めて時代を上げて、ではなく、カードを使ってホームシティから物資を送って、遠征地に貿易拠点を立てて、先住民族と同盟を結んで——「これ、本当に同じシリーズ?」と画面の前で固まった記憶がある。

でもそのまま数時間付き合ってみたら、じわじわとわかってきた。大航海時代から近世のヨーロッパ列強が新大陸に進出して、火薬と鉄砲で戦争する時代——その雰囲気を丸ごとゲームに落とし込もうとした、壮大な試みだったのだと。ホームシティというシステムが象徴するように、「本国の支援を受けながら遠征地で戦う」という構造が、あの時代の本質をゲームメカニクスに変換していたんだと気づいたときの納得感は今も覚えている。

AoE3が最初にリリースされたのは2005年。その後2020年にAge of Empires III: Definitive Edition(以下AoE3 DE)として完全リマスターされた。4Kグラフィック対応、大幅なバランス調整、新文明の追加、そして長年プレイヤーが「ここが惜しい」と言い続けた部分の改修——生まれ変わった形で蘇ったAoE3は、当時気づきにくかった魅力がさらに伝わりやすくなった作品になっている。

2026年4月現在、Steamのレビューは「好評」(約78%の好評率)で、AoE2の「圧倒的に好評」には届かないものの、コアなファンに支えられて安定稼働を続けている。同時接続者数は平均で1,000〜2,000人台と、AoE2の約2万人と比べると規模は小さいが、「AoE3の世界観と独特のゲームシステムが好き」という熱量の高いコミュニティが維持されている。シリーズの異端児として生まれたAoE3が、20年後の今も根強い支持を集め続けている理由を、この記事で丁寧に解説していく。

目次

こんな人に読んでほしい

Age of Empires III: Definitive Edition ストラテジー スクリーンショット1

この記事は以下のような人に向けて書いている。AoE2や歴史RTSが好きでAoE3も気になっているけど「なんか違う」と聞いてためらっている人。大航海時代や近世の歴史が好きで、その時代を舞台にしたリアルタイム戦略ゲームを探している人。デッキ構築やホームシティシステムといった独特のメカニクスに興味がある人。PCゲームのRTSを本格的に遊んでみたいけど、AoE2は文明が多すぎて何から始めていいかわからない人にとっても、AoE3 DEは意外と入りやすいタイトルになっている。

逆に、AoE2の「農民を大量に動かして微妙な時代タイミングを競う」スタイルが好きで、それと同じ体験を期待している人には、AoE3は別ゲームと思って向き合ったほうがいい。ホームシティシステムやカードデッキという要素が加わることで、戦略の組み立て方が根本的に違う。「AoE2の続編」ではなく「大航海時代を舞台にした、ホームシティシステムを核心に置いたRTS」として捉えると、このゲームの魅力が正しく伝わる。

Age of Empires III: Definitive Editionとは——大航海時代を丸ごとRTSに落とし込んだ野心作

AoE3 DEはMicrosoft傘下のWorld’s Edge(旧Ensemble Studios系)が開発し、2020年10月にリリースしたリアルタイムストラテジーゲームだ。舞台は1492年のコロンブスの新大陸到達からおよそ1850年代までの約400年間——ヨーロッパ列強が植民地を拡大し、銃砲と軍艦で覇権を争った時代を背景にしている。

プレイヤーは22の文明(DLCを含む)の中から一つを選んで、新大陸や世界各地のマップで資源を採集し、都市を建設し、軍隊を育て、敵文明と戦う。基本的なRTSの枠組みはAoE2と共有しているが、AoE3が独自に持ち込んだシステムが「ホームシティ」と「カードデッキ」だ。これがAoE3を他のRTSから区別する最大の特徴であり、最初に戸惑いを感じる原因でもある。

AoE3の時代区分はAoE2の4段階とは違い、「探索時代→植民地時代→要塞時代→産業時代→帝国時代」の5段階構成になっている。探索時代は資源の少ない出発点で、植民地時代に移行することで本格的な経済基盤が整い始める。各時代に進化するには食料と経験値(XP)が必要で、戦闘や交易によって蓄積したXPを時代進化に充てるのか、ホームシティからのシップメント(物資送付)に充てるのかの判断が序盤の重要な分岐点になる。

ホームシティとカードデッキ——AoE3最大の独自システムを解説する

Age of Empires III: Definitive Edition ストラテジー スクリーンショット2

ホームシティとは、プレイヤーの「本国」を表す仮想の都市だ。ゲームマップ上に存在するわけではなく、戦場の外側にある「支援基地」としてのシステムと考えると理解しやすい。プレイヤーはゲームが進むにつれてXP(経験値)を蓄積し、そのXPを消費してホームシティから「シップメント」(物資の送付)を要求できる。

シップメントの内容は事前に組んだ「デッキ」によって決まる。デッキは最大25枚のカードで構成され、各カードが「民兵600名を送る」「農民3人を送る」「大砲1門を送る」「木材600を送る」「騎兵の攻撃力+15%」といった効果を持つ。ゲーム開始前にどのカードを25枚選ぶかがデッキ構築であり、これがAoE3で戦略の柱になる部分だ。

デッキを組むという行為は、ゲーム前から戦略を組み立てることを意味する。「序盤に資源カードを複数積んで経済を加速させる」「騎兵強化カードをまとめて積んでラッシュ特化にする」「後半に強力なユニットカードを積んで長期戦を優位に進める」——どんなデッキを持ち込むかで、ゲームの展開方針が変わる。TCG(トレーディングカードゲーム)に近い感覚で、対戦前から「自分のアーキタイプ」を定めて戦うイメージだ。

ホームシティはゲームをプレイするたびに成長していく。シップメントを使うとホームシティにXPが蓄積され、それを使って建物を増やしたり住民を増やしたりすることで新しいカードがアンロックされる。初期状態では使えるカードの種類が限られているが、プレイを重ねるとデッキの選択肢が広がっていく。この成長要素がソロプレイのモチベーションになる一方、「初期のホームシティは対戦で不利じゃないか?」という懸念を生んでいた。

この「ホームシティの育成差による対戦不均衡」はオリジナル版(2005年)では実際に問題視されていた。Definitive Editionではこの問題に対処するため、対戦モードにおけるホームシティの育成差が影響しないよう調整が加えられた。具体的には対戦用の「リセット済みホームシティ」が用意され、育成度に関係なく対等な状態でランクマッチに臨める仕様になっている。これはDE最大の改善点の一つで、対戦の公平性を担保することでeスポーツ的な文脈での復活に貢献した。

デッキ構築をしっかり考え始めたら止まらなくなった。こんなにゲーム前から考えることがあるRTSは他にない。

引用元:Steamレビュー

ホームシティシステムの理解が進むと、AoE3の対戦が「デッキ対デッキ」の戦略ゲームとして見えてくる。相手のデッキ構成を読んで、どのタイミングでシップメントを要求するかを判断し、リアルタイムの戦場でユニットを動かしながらデッキの効果を最大化する——この複合的な面白さが、AoE3を「RTSの中でも特に戦略の深みがある作品」と言わせる理由だ。

22文明の個性——AoE2との最大の違いはここにある

AoE3 DEにはDLCを含めて22の文明が登場する。AoE2 DEが45以上の文明を持つのに比べると数は少ないが、各文明の個性はAoE2よりもさらに際立っている。AoE2の文明差が「ボーナスとユニーク技術・ユニーク部隊の差」であるのに対して、AoE3では「ゲームシステムそのものが文明ごとに変わる」レベルの差がある。

例えば、ヨーロッパ系文明(イギリス・フランス・スペイン・ポルトガル・オランダ・ドイツ・スウェーデン・ロシア・オットマン帝国)は標準的なホームシティシステムを持ち、カードデッキ構築が戦略の中心になる。これがAoE3の「デフォルト」に近い遊び方だ。

一方でアジア文明——中国、インド、日本——はDLC「The Asian Dynasties」(オリジナル版では別売り、DE版では同梱)で登場し、ホームシティの代わりに「ワンダー」(奇観)を建てることで能力を強化する独自システムを持つ。カードデッキの概念がなく、ワンダーを建てるタイミングと種類の選択が戦略の軸になる。ヨーロッパ文明とは根本的に異なるプレイスタイルが要求され、慣れるまでは「同じゲームをやっている感覚がない」と言う人もいるほど個性が強い。

アメリカ先住民族文明——スー族、イロコイ族(DE版では「ハウデノサウニー」)、アステカ——もまた独自のシステムを持つ。ホームシティはあるがカード構成が異なり、食料ではなく「祈り」(プレイヤーが文化施設を通じて集めるリソース)を駆使する文明もある。農耕型の経済より素早い奇襲戦術に適した文明設計が多く、ゲームの序盤から積極的に動くスタイルが求められる。

DEで追加された文明も個性的だ。スウェーデン(DE追加)は傭兵部隊と「トーチピット」と呼ばれる罠ユニットを駆使する守備的な戦略が特徴。インカ(DLC「The African Royals」前後の追加)は農業より牧畜に依存したユニークな経済システムを持ち、アンデス山岳地帯の地形を活かした戦術が映える。マリ(DLC「The African Royals」)とエチオピア(同DLC)は「巡礼路」という交易システムが固有の経済基盤になり、従来の資源採集型とは全く異なるプレイ感を提供する。

文明ごとにゲームの進め方が根本から変わる。22文明それぞれが別ゲームみたいで、全部使いこなせる気がしない。でもそれが楽しい。

引用元:Steamレビュー

AoE2でも文明ごとに個性はあるが、基本的なゲームプレイの流れ(農民で資源採集→施設建設→時代進化→軍隊訓練)は共通している。AoE3では「ゲームの流れ自体が文明によって変わる」という設計思想があり、これが「ひとつのゲームで複数の体験ができる」という多様性を生み出している。同じゲームを22文明分プレイしてみたいという気持ちが続くのは、この文明間の差異の大きさが一因だ。

AoE2の45以上の文明はいずれも「時代進化型RTSの枠内」で設計されており、文明を変えてもゲームの骨格は同じだ。どちらが良い・悪いという話ではなく、「少数の文明を深く使い込む体験」を提供しているのがAoE3、「多数の文明を広く楽しむ体験」を提供しているのがAoE2という違いがある。

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AoE2との違いを徹底比較——何が同じで何が根本的に違うのか

Age of Empires III: Definitive Edition ストラテジー スクリーンショット3

シリーズファンが最も気にするのは「AoE2とどう違うのか」という点だろう。端的に言うと「ゲームの骨格は共有しているが、戦略の組み立て方が根本から違う」のがAoE3だ。以下に主な違いを整理する。

まず「資源の種類」が違う。AoE2では木・食料・金・石の4種類だったが、AoE3では食料・木材・コインの3種類になる(石は廃止)。一見シンプルになったように見えるが、「コイン」の採集方法が複数あり——農場、鉱山、交易路、農民の直接採集——どの方法でコインを集めるかが戦略に影響する。また「経験値(XP)」という5つ目のリソースが加わり、シップメントのトリガーになる。XPは戦闘で敵を倒したり施設を建てたり交易したりして蓄積されるため、「いかに効率よくXPを稼ぐか」がAoE3特有の課題になる。

次に「農民(開拓者)の性質」が違う。AoE2では農民がすべての建物を建設できるが、AoE3では「開拓者(Explorer)」という特別なユニットが探索と一部施設の建設を担い、農民(コロノスト)は資源採集に特化している。開拓者は体力も戦闘力も農民より高く、序盤の探索で先住民族の部族と接触して同盟を結んだり、遺跡を発見してXPを得たりする役割がある。序盤の開拓者の動かし方がゲームの展開を大きく左右する点はAoE3独自の要素だ。

「先住民族との同盟」もAoE3固有のシステムだ。マップ上に先住民族の集落(カムプ)が配置されており、近くに交易站(トレーディングポスト)を建てると同盟を結べる。同盟した先住民族から固有のユニットを生産できるようになり、例えばチェロキー族と同盟すれば射手系の精鋭ユニットを雇えるようになる。どの先住民族と同盟するかが戦術の幅を広げる要素になっている。

「交易路」システムもAoE2にはない要素だ。マップ上には交易ルートが設定されており、そのルートに交易站を建てると継続的にコインや食料が自動供給される。交易站の支配がマップコントロールと経済の両方に影響するため、「交易路を争う」という局面が対戦の重要なポイントになる。これはAoE2の「金鉱」や「食料」の争奪とは異なり、継続供給の拠点をどこに築くかという地政学的な駆け引きに近い。

「城砦(タウンセンター)」の役割も違う。AoE2では複数の農民を投資してゆっくり建てるが、AoE3では開拓者が一人でも建設でき、ホームシティからのシップメントで一瞬に展開できる場合もある。「前線に城砦を建てて資源採集拠点を急造する」という動きが可能で、これを利用した「前線城砦ラッシュ」という戦術が対戦で有効な選択肢になっている。

一方で「やっていること自体」は共通している部分も多い。資源採集→施設建設→ユニット訓練→戦闘という基本の流れは同じだし、時代進化の概念(5段階)もAoE2の4段階と近い。ランダムマップによるマップ生成、ユニットの三すくみ(重騎兵→弓兵→槍兵→重騎兵、の基本的な関係性)、マップコントロールの重要性——これらはシリーズ共通の要素だ。AoE2に慣れているプレイヤーがAoE3を始めても、「何をすべきか」の方向性は直感的に理解できる。「手段が違う」という感覚になるはずだ。

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DEでどこが良くなったか——2005年版から2020年版への進化の軌跡

Age of Empires III: Definitive Editionがリリースされたのは2020年10月。オリジナル版から15年が経過しており、PC環境もゲームデザインの常識も大きく変わっていた。DEはグラフィックの刷新にとどまらず、ゲームシステムの根本的な改善を多数含んでいる。

最大の改善点はすでに述べた「対戦公平性の確保」だ。オリジナル版の対戦でホームシティの育成度が差になっていた問題は、長年プレイヤーが不満を言い続けてきた部分だった。DEでは対戦モードにおける「ランク済みホームシティ」の導入で、育成度に関係なく対等な状態でマッチングできるようになった。これによって「育成が足りないから対戦できない」という壁がなくなり、新規プレイヤーも早い段階で対戦に参加しやすくなっている。

グラフィックの刷新も大きい。オリジナル版は2005年当時のグラフィックをベースにしており、HD解像度すら対応していなかった。DEでは4K解像度のネイティブ対応が実現し、ユニットのテクスチャ、地形のディテール、エフェクト(大砲の爆炎、騎馬部隊の土埃)が全面的に作り直された。2005年版の「荒い」印象が消え、現代のゲームとして普通に並べられるビジュアルに生まれ変わっている。

音楽も全面リマスターされた。AoE3は2005年版から音楽の評価が高く、作曲家Stephen Rippy(スティーブン・リッピー)が手がけた大航海時代を彷彿とさせるオーケストラサウンドは今でも名作として語られる。DEではその楽曲を高音質でリマスターしつつ、新DLCに合わせて追加楽曲も加えられた。ゲームプレイ中の没入感に音楽が貢献している度合いはAoE3が特に高く、「音楽目的でBGMプレイリストを作っている」というプレイヤーがSteamコミュニティに複数いるほどだ。

バランス調整も大幅に行われた。オリジナル版のオランダは資源「銀行」で自動収入を得るシステムが強すぎてバランス崩壊と言われていた時期があり、スペインの「ロデレロ」(剣盾兵)も2005年版では対処困難なユニットとして問題視されていた。DEではこうした問題ユニット・問題戦術が調整され、対戦環境がより公平に整備されている。また2021年以降も定期的なバランスパッチが続けられており、「生きているゲーム」として維持されている。

アクセシビリティの改善も地道に続いた。ユーザーインターフェースの見直しでミニマップの見やすさが向上し、ホームシティのUI操作が直感的になった。また観戦モード(スペクテーターモード)が正式に追加され、eスポーツ的な視点でプロの試合を観戦できる環境が整った。字幕と音声の言語選択肢も増え、日本語字幕対応(ゲーム内テキスト)がDEで確立された。

2005年版は途中で詰んで放置していたけど、DEで再挑戦したらバランスが全然違ってた。対戦も育成差なくできるし、グラフィックも今のゲームとして普通にきれい。これが正しいAoE3だと思う。

引用元:Steamレビュー

DEではキャンペーンも拡充された。オリジナル版の「グランデ・キャンペーン」(ブラック家の物語)は完全収録されつつ、新文明の追加に合わせて新キャンペーンも用意されている。ブラック家3部作(エメット・ブラック、マリア・ブラック、デカン・ブラック)は海賊・傭兵・騎士を扱った物語で、歴史上の実在人物も登場するストーリーとして高い完成度を持っている。単純な「コンピュータ相手の練習モード」ではなく、映画的なシナリオ演出でRTSの操作を自然に学べる設計になっているのも評価できる点だ。

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22文明を詳しく解説——各文明の特徴と使い方

Age of Empires III: Definitive Edition ストラテジー スクリーンショット4

AoE3 DEの22文明を、プレイスタイル別に解説していく。「最初にどれを選ぶか」の参考にしてほしい。

ヨーロッパ系文明——標準的なホームシティを使いこなす

ブリテン(イギリス)は初心者にも扱いやすい文明で、農民の人口上限が他文明より高く設定されている。固有ユニット「ロングボウマン」は射程が長く守備的な戦略に向いており、「タウンセンターと遠距離ユニットで守りを固めて後半に大部隊で押す」スタイルが合う。デッキに農民カードを多めに積んで経済を厚くするプレイが定番で、RTSの基礎を学ぶのにも適している。

フランスは「クルール・ド・ボワ」という固有の農民ユニットが特徴で、通常の農民より採集効率が高い。食料採集が速いため時代進化が早く、「素早く城塞時代に進んでオシュロ(重騎兵)で押す」という騎兵ラッシュが得意な文明だ。序盤から積極的に攻めるプレイスタイルが向いている人に合う。

スペインは大砲系のユニットが得意で、「エスパダシン」(剣士)と「ロデレロ」(盾兵)を核にした歩兵主体の戦略が取りやすい。ホームシティから大砲を多くシップできるカード構成が定番で、要塞攻略戦を有利に進める文明だ。

ポルトガルは「フェイトリア」という固有施設が特徴で、自動的にコインを生産してくれる。フェイトリアを複数建てて安定した収入源を確保しつつ、長期戦を有利に進めるスタイルに向く。序盤は資源効率が低めなので我慢の時間があるが、後半の収入安定化で差をつける戦略が面白い文明だ。

オランダはホームシティからの「銀行」(ニジベルハウス)シップが名物で、建設した銀行が自動的にコインを生産する。DEでのバランス調整でオリジナル版ほど圧倒的ではなくなったが、安定した経済基盤を築きながら傭兵系ユニットを大量にシップする戦略は今も健在だ。

ドイツは傭兵文明と呼ばれるほど傭兵ユニットが豊富で、ホームシティから「ランツクネヒト」(両手剣士)や「ユリサール」(ハンガリー重騎兵)をシップできる。固有農民である「ウルサール」は戦闘力が高く、農民によるラッシュ(農民ラッシュ)が通用する珍しい文明でもある。

スウェーデン(DE追加文明)は「トーチピット」という設置型罠と傭兵部隊を組み合わせた守備的な戦略が特徴だ。固有ユニット「カロライン歩兵」は銃兵系で中堅コスト帯では高い戦闘力を持つ。待ち伏せ戦術や守備型の経済運営が得意で、積極的に攻めるよりも「陣地を固めて資源を貯めて後半で押す」タイプに向く。

ロシアは農民の訓練コストが安くて大量生産できる文明で、「大量の農民と安価な歩兵で数押し」するスタイルが特徴だ。1体ずつは弱くても数で勝負する「シュトレルツィ」(銃兵)を大量に訓練して面で押すのがロシアの基本戦術で、ユニット1体ずつの質よりも生産スピードで圧倒する。

オスマン帝国(トルコ)は独自の農民制度を持つ。一般的な農民の代わりに施設から一定間隔で自動的に農民が生産される「イェニチェリ農民」に近い仕組みがあり、農民の生産コストを直接支払う必要がない。食料を農民に使わなくていい分、軍事や時代進化に食料を集中できる。序盤の経済立ち上がりが楽で初心者にも使いやすい文明だ。

アジア系文明——ワンダーシステムという別のゲームを楽しむ

中国はアジア文明の中でも経済力が高く、「仁義礼智信」という5種類の奇観(ワンダー)から使用するものを時代ごとに選ぶシステムを採用している。選んだワンダーによってゲームの方向性が変わり、農業系ワンダーを選べば経済特化型、軍事系ワンダーを選べば攻撃的なスタイルになる。固有ユニット「虎将」(ライフルマン)の存在感も大きく、後半に大砲と虎将の組み合わせで押す戦略が中国の定番だ。

インドは象兵ユニット「マハウト」「アグラ大砲」が特徴で、コスト高だが体力と攻撃力が高い重量ユニットを軸にした正面突破型の戦略が得意だ。独特のカースト制度的な経済設計(農民の役割が複数に分化)があり、システムの理解に時間はかかるが使いこなすと経済効率が高い。

日本は防衛施設「守護社」とサムライ系ユニットが特徴だ。「旗本」「足軽」「野武士」などのユニット名が日本のプレイヤーには親しみやすく、桜並木のグラフィックと和楽器BGMが合わさった独特の雰囲気でプレイできる。守備的なプレイが得意で、固有の宗教施設「神社」から資源やユニットを支援できる仕組みがある。

日本文明で日本語の指示を聞きながら「足軽」と「旗本」を動かすのが楽しすぎる。AoE3をやる理由の半分は日本文明のためと言っても過言じゃない。

引用元:Steamレビュー

アメリカ先住民族文明——奇襲と機動力で戦う

ハウデノサウニー(旧イロコイ族表記、DEで改名)は「ロングハウス」(集会所)から多様なユニットを生産できる文明で、採集効率よりも機動力を重視した設計だ。森林地帯での戦闘に強く、「隠れながら奇襲する」戦術が得意な文明で、農業型の経済を持たず素早い展開で相手を崩すスタイルが求められる。

スー族は騎馬民族らしく騎兵ユニットの機動力が高く、「ワルブリ」(騎馬戦士)を中心に素早い攻撃と後退を繰り返すヒットアンドラン戦術が得意だ。ヨーロッパ文明の「塔に籠って守る」スタイルに対して「常に動いて相手を疲弊させる」という対照的なプレイスタイルが特徴だ。

アステカは歩兵系の精鋭ユニット「ファーバー」(ジャガー戦士)と近接戦闘特化の部隊が充実しており、序盤の圧力が高い文明だ。銃器系ユニットを持たないため銃兵の多い文明相手には不利になりやすいが、近接戦闘の密度では他を圧倒する。序盤から積極的に攻撃して相手の経済を乱す攻撃的なプレイに向いている。

アフリカ文明——DLC「The African Royals」で追加された独自システム

エチオピアとマリはDLC「The African Royals」(2021年)で追加された文明で、「聖地」(ホーリーサイト)を巡る「巡礼路」システムが固有の経済基盤になる。マップ上に複数の聖地が配置されており、それを支配することで継続的な収入とボーナスが得られる。交易路システムとも異なる、第三の経済軸として機能する独自のシステムだ。

エチオピアは火薬系ユニットが充実しており、「ネフテニャ」(ライフル兵)という高精度の射手が特徴的だ。マリは「グリオット」という固有の民兵ユニットと「ドゥング」(象兵)の組み合わせが面白く、西アフリカの軍事戦略を体験できる。どちらも聖地の争奪がゲーム中盤の核心になり、マップコントロールの重要性がより直接的に経済に影響する設計になっている。

インカと他のアメリカ文明

インカ(DLC「The Inca」)はアンデスの農業文明らしく「リャマ牧場」による家畜経済が特徴で、農業より牧畜で食料を得るシステムを持つ。「ワルカ」(投石兵)や「チャスキ」(伝令兵)といった固有ユニットが機動力重視の戦術に向いており、山岳地帯のマップでは地形を活かした守備展開ができる。農業型の経済と全く違う牧畜型経済を体験したい人に向く文明だ。

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対戦シーンとeスポーツ——AoE3 DEのコミュニティはどうなっているか

AoE3 DEの対戦コミュニティはAoE2と比べると規模は小さいが、濃度は高い。Steam同時接続者数で見ると平均1,000〜2,000人台というのが2026年4月現在の実情で、AoE2の約2万人、AoE4の数千人と比較すると「ニッチ」と言わざるを得ない。ただし、このコミュニティはAoE3の独特のゲームシステムを深く理解したプレイヤーが中心で、プレイヤーの技術レベルが比較的高い。

ランクマッチは「チームランキング(ELO)」方式で管理されており、同じレート帯のプレイヤーとマッチングされる。1v1と2v2、3v3のランク区分があり、それぞれ独立してランクが管理される。マッチング待ち時間はAoE2と比べると長めで、深夜帯には5〜10分待つこともある。ただしプレイヤー層が絞られているため、「ほぼ同じ腕前の相手と対戦できる」という利点もある。

プロシーンはAoE2ほどの規模ではないが、定期的なオンライントーナメントが開催されている。Red Bull Brawlなどの大型大会がAoE3 DEを扱うこともあり、有名プレイヤーのライブ配信がYouTubeやTwitchで視聴できる。「TheViper」(AoE2最強と言われるプロ)のようなスター選手は生まれていないが、「Hazza54321」「Lyx」「Kaztropolis」といったプレイヤーが高い人気を持つ。

対戦人口が少ない分、同じ相手と何度もあたって「あの人の癖」を覚え始めた。規模が小さいからこそコミュニティの距離が近い感じがある。

引用元:Steamレビュー

MODコミュニティもAoE3 DEには存在する。AoE2 DEのような圧倒的な量ではないが、カスタムマップ、バランス調整MOD、ビジュアルMODなどがSteamワークショップに公開されており、バニラ(標準設定)とは異なる体験ができる。一部のカスタムマップは対戦でも人気があり、「アラスカマップ」「カリブ海マップ」などのコミュニティ作成マップが定期的にプレイされている。

初心者がコミュニティに入る場合、Discordサーバー「Age of Empires III DE Community」が入り口として機能している。ここでは「初心者向けのデッキ構成相談」「対戦相手の募集」「プロの試合解説」などのチャンネルが活発で、プレイを始めたばかりでも質問しやすい雰囲気がある。コミュニティの規模が小さいからこそ、「知り合いが増えやすい」という側面があるのがAoE3 DEの特徴だ。

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AoE3 DEが人気を維持し続ける理由——「シリーズの異端児」がなぜ愛されるのか

Age of Empires III: Definitive Edition ストラテジー スクリーンショット5

AoE3はシリーズの中で長年「異端児」と呼ばれてきた。AoE1とAoE2が「古代〜中世の文明発展」を扱うのに対し、AoE3は「大航海時代〜近世の植民地争奪」というテーマで、舞台も時代もシステムも大きく異なる。発売当初からAoE2ファンの間では「AoE2とは別物」という声があり、Steam移行前の時代には一時的にコミュニティが縮小した時期もあった。

それでもAoE3 DEが20年後の今も生き続けている理由のひとつは、「唯一無二の時代設定」だ。大航海時代から近世(1490年〜1850年代)を本格的に扱ったRTSはAoE3以外に存在しない。銃火器が戦争の主役になり、騎馬突撃と砲兵が並存し、植民地支配の構造が世界を変えていった時代——この時代が好きな人にとって、AoE3は代替不可能なゲームだ。

ホームシティ・カードデッキシステムも、他のRTSには存在しない独自性を持つ。「ゲーム前にデッキを組む」という行為は対戦ゲームとしての深みを生み出し、同じ文明でもデッキの組み方次第で全く異なる戦略が可能になる。このカスタマイズ性の高さは「自分だけのプレイスタイルを作れる」という感覚を提供し、長期間のプレイモチベーションにつながっている。

AoE2との違いに最初はとまどったけど、デッキを自分で組んでホームシティが育っていく感覚は他のゲームで味わったことがない。RTSとTCGが合体したような中毒性がある。

引用元:Steamレビュー

また、文明の多様性という観点でも「ヨーロッパ・アジア・先住民族・アフリカ」と4つの文化圏が混在していることが、他のRTSにはない視点を提供している。植民地を拡大するヨーロッパ文明と、それに抵抗する先住民族文明が同じゲームの中で対峙するという構造は、歴史的にも示唆的だ。「ハウデノサウニーでヨーロッパ列強に対抗する」という体験は、歴史ゲームとして意義深い側面もある。DEでは一部の文明名が歴史的に不適切な表現から改名されており(イロコイ→ハウデノサウニー、シオウ→スー等)、歴史的・文化的な配慮が加えられた点も評価できる。

継続的なアップデートとDLC追加もコミュニティの維持に貢献している。DEリリース(2020年)から2026年にかけてスウェーデン・インカの追加(DE無償)、「The African Royals」(2021年)、「Knights of the Mediterranean」(2022年)、「The Mountain Royals」(2023年)と定期的にコンテンツが追加された。「まだ終わっていないゲーム」という認識がプレイヤーに残ることで、「また帰ってこよう」という動機になる。

ユーザーの声——Steam・コミュニティから見るリアルな評価

Steamのレビューを見ると、AoE3 DEへの評価は「好評(約78%)」で、AoE2 DEの「圧倒的に好評(約96%)」とは差がある。この差はどこから来るのか。ネガティブレビューの内容を整理すると、大きく3つに分類できる。

最も多いネガティブ意見が「AoE2と比べて別物すぎて馴染めない」という声だ。シリーズとして購入した人が「AoE2とは全然違う」と感じてネガティブをつける、という構造が見えてくる。これはゲームの問題というよりも「期待値のミスマッチ」で、AoE3を「AoE2の続編」として期待した人が「別のゲーム」に直面したときの反応だ。

次に多いのが「初期のホームシティ育成によるコンテンツロックがある」という声だ。DEでは対戦の公平性は確保されているが、ソロプレイでのカードアンロックには一定のプレイ時間が必要で、「最初は選択肢が少ない」と感じる人がいる。

三つ目が「対戦人口が少なくてマッチングが遅い」という実用上の問題だ。これはAoE3 DEの規模的な限界で、AoE2やAoE4と比べるとプレイヤー数が少ないことは事実だ。

一方でポジティブレビューには「独自のシステムにはまったら抜け出せない」「大航海時代の雰囲気が最高」「22文明それぞれに違う体験がある」「キャンペーンのストーリーが面白い」という声が多い。「AoE3しかない体験がある」というコアな評価が、コミュニティを支え続けている。

AoE3は「合わない人には徹底的に合わない」けど「合う人には500時間でも足りない」ゲームだと思う。自分は後者でよかった。

引用元:Steamレビュー

プレイ時間に関して言うと、Steamのレビュアーの中には「1,000時間超」というプレイヤーが相当数いる。対戦をメインにプレイしている人の場合、デッキ研究と対戦をひたすら繰り返す「修行型」のプレイになり、飽きが来にくい構造になっている。「対戦でデッキを試して負けたら改善する」というサイクルがゲームとしての寿命を延ばしている。

初心者が最初にやるべきこと——AoE3 DE入門の手順

Age of Empires III: Definitive Edition ストラテジー スクリーンショット6

AoE3 DEを始めてまず戸惑うのは「何から手をつければいいかわからない」という感覚だと思う。AoE2と比べてシステムが複雑で、チュートリアルだけでは全体像が掴みにくい。そこで、おすすめの進め方を具体的に示す。

最初はキャンペーンをプレイするのが最善だ。「グランデ・キャンペーン」(ブラック家の物語・アクト1)は優れたチュートリアルとして機能しており、ホームシティシステム、シップメント、先住民族との同盟などの要素を自然な流れで学べる設計になっている。「チュートリアルをスキップしてすぐ対戦」は絶対に避けてほしい。最初の数時間でゲームの基礎を理解しないと、対戦で一方的にやられる経験しかできなくなる。

キャンペーンを2〜3章クリアしたら、コンピュータ(AI)との対戦を始める。最初は「イージー」難易度でいい。AI相手に「ホームシティからのシップメントをどのタイミングで要求するか」「交易路をいつ確保するか」「農民と軍隊の比率をどう保つか」という感覚を掴む。AoE2プレイヤーなら「時代進化の速さ」と「農民の増加ペース」の違いが最初に違和感として出てくるはずだ。

次のステップが「デッキを自分で組む」体験だ。最初はデフォルトのデッキで始めていいが、AIに勝てるようになったら自分でカードを選んでデッキを作ってみる。YouTubeで「AoE3 DE deck guide [文明名]」で検索すると日本語・英語の解説動画が多数あり、「序盤に資源カードを積むのが基本」という理解から始めるといい。デッキ構築を理解した瞬間に「このゲームの本質がわかった」という感覚になる人が多い。

初めてプレイする文明はブリテン(イギリス)かオスマン帝国をすすめる。ブリテンは農民上限が高くて経済の安定が得やすく、オスマン帝国は農民の自動生産があって農民管理の手間が少ない。どちらも「ゲームシステムを覚える」段階で余計なことを考えなくて済む設計になっている。アジア文明(日本・中国・インド)はシステムが独自すぎるため、最初の文明としてはおすすめしない。慣れてから挑戦する方が楽しめる。

対戦を始めるのは「AI相手にコンスタントに勝てるようになってから」が理想だ。AoE3 DEのランクマッチは初心者でも参加できるが、まず100試合はランクなしの「クイックマッチ」でプレイすることをおすすめする。ランクマッチは同じレート帯との対戦になるので、極端にやられることはないが、まずゲームの流れに慣れることが先決だ。

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AoE3 DEのDLC構成——何を買うべきか整理する

AoE3 DEのDLCはどれを買えばいいか、整理して解説する。基本パッケージに何が含まれているかを理解してから、追加コンテンツを検討してほしい。

まず「Age of Empires III: Definitive Edition」本体には以下が含まれる。ヨーロッパ系7文明(ブリテン・フランス・スペイン・ポルトガル・オランダ・ドイツ・ロシア)、アメリカ先住民族3文明(ハウデノサウニー・スー・アステカ)、オスマン帝国の合計11文明が基本文明だ。キャンペーンはグランデ・キャンペーン(ブラック家3部作)と追加キャンペーン数本が含まれる。

DEリリース後に無償追加された文明もある。スウェーデンとインカは無償で追加され、2026年現在も本体を持っていれば追加費用なしで使える。また「The Asian Dynasties」の文明(日本・中国・インド)も現在は本体に同梱されており、別途購入は不要だ。

有料DLCとして展開されているのが以下の3本:

  • The African Royals(2021年):エチオピア・マリの2文明。巡礼路システムという独自の経済軸が追加される。アフリカ大陸を舞台にしたキャンペーンも含まれる。
  • Knights of the Mediterranean(2022年):文明追加ではなくコンテンツ拡張。史実対応のランダムマップ、新キャンペーン、新ミニゲームなどが追加される。歴史好きには刺さるが、対戦メインのプレイヤーには必須ではない。
  • The Inca(2023年):インカ文明の追加。牧畜型経済という独自システムが体験でき、南米アンデスを舞台にしたキャンペーンが付属する。

優先順位を言うと「まず本体をプレイして、アフリカ文明に興味が出たらThe African Royals」というのがおすすめの購入順だ。Knights of the Mediterraneanはコレクター向けで、The Incaは「インカという文明設計に興味があれば」という追加コンテンツだ。本体だけで200時間以上のコンテンツがあるので、まず本体で満足できるかどうか判断してから追加購入を検討する流れが無難だ。

AoE3 DEと他のRTSを比較する——どのゲームとかぶらないのか

Age of Empires III: Definitive Edition ストラテジー スクリーンショット7

AoE3 DEは「近世を舞台にした、ホームシティシステム付きRTS」という固有のジャンルに位置しており、同じ体験ができる競合タイトルは存在しない。AoE2 DEと同じシリーズでも別物だし、StarCraftやWarcraft IIIのようなファンタジーRTSとも方向が違う。強いて比較するとすれば、「時代的な近さ」と「システムの一部」で重なる部分がある別タイトルを参照できる。

Total War: THREE KINGDOMSやROME IIのようなTotal Warシリーズは「古代〜近世の歴史戦略」という点でテーマが重なる。ただしTotal Warはターン制のキャンペーンマップとリアルタイムの戦闘フェーズが分離したハイブリッド型で、AoE3のような「全てがリアルタイムで進行するRTS」とはゲーム体験が大きく違う。「大軍団の戦争を指揮する感覚」が好きならTotal War系が向き、「経済から軍事まで全てをリアルタイムで管理する感覚」が好きならAoE3が向く。

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Cossacks 3やEmpire: Total Warのような近世ヨーロッパを扱うRTSも存在するが、それらはホームシティシステムやカードデッキという独自要素を持たない。「近世の火薬戦争をRTSで体験したい」というニーズでは競合するが、「デッキ構築という戦前の戦略立案」という体験はAoE3にしかない。

Broken Arrowのような現代戦RTS、Going Medievalのような中世コロニービルダー、Cosmoとeerのような宇宙船設計シミュレーターとは、テーマもシステムも異なる。AoE3 DEの「対戦型本格RTS」という性格は明確で、それを求めるプレイヤーに向けて設計されているタイトルだ。

Timberbornのような建設型シミュレーションとの比較は直接的な競合にはならないが、「長期的な都市や経済の発展を管理する快感」という観点では一部重なる楽しさがある。ただAoE3は経済管理と同時進行の軍事行動が求められるリアルタイム戦略ゲームであり、ゆっくり建設計画を楽しむ体験とは性格が根本的に異なる。「経済を考えながら同時に戦う」という緊張感を求めるならAoE3が正解だ。

AoE3 DEのシステム詳細——知っておくと役立つ要素を掘り下げる

ユニットの三すくみと戦闘システム

AoE3の戦闘はユニットの三すくみ(カウンター関係)が存在する。重騎兵は弓兵に強く(近接で押しつぶせる)、弓兵は歩兵に強く(遠距離で大量に削れる)、歩兵は重騎兵に強い(槍で馬を止められる)という基本関係がある。ただしAoE2よりもユニットの役割分担が複雑で、「軽騎兵」「重騎兵」「竜騎兵(騎馬銃兵)」の3種が騎馬系に存在し、それぞれカウンター関係が微妙に違う。

銃器系ユニット(マスケット銃兵、ライフル兵)の存在がAoE3の戦闘に近世的なリアリティを与えている。AoE2の弓兵とは異なり、マスケット銃兵は一斉射撃(ボレー)という特殊攻撃モードを持ち、タイミングよく発動させることで一瞬に大ダメージを与えられる。この「射撃タイミングのコントロール」がAoE3の戦術の一つで、同じユニットを使ってもプレイヤーの腕前で結果が変わる要素になっている。

大砲類もAoE3の近世感を演出する重要な要素だ。「ファルコネット」(野戦砲)、「モルター」(臼砲)、「バウンバード」(攻城砲)など種類があり、それぞれ用途が異なる。ファルコネットは野戦でのユニット攻撃に強く、モルターは城壁越しに施設を攻撃できる。大砲の効果的な使い方を覚えると戦闘の主導権が大きく変わる。

資源採集の詳細とテクノロジー研究

AoE3の資源採集はAoE2より自動化度が高い。農地は枯渇しないため農民の再配置が不要で(AoE2では農地が枯渇したら建て直す必要があった)、農民を農地に配置すれば継続的に食料が供給される。この変更によって「農地管理」の煩雑さがなくなり、プレイヤーは経済全体のバランスと軍事行動に集中しやすくなっている。

テクノロジー研究はAoE2と同様に各施設で行うが、AoE3ではホームシティカードによって研究済みの状態で効果を得られる場合もある。「このカードを使えばこのテクノロジー研究をスキップできる」という判断がデッキ構築の際に重要で、「研究コストを節約してユニット生産に資源を集中する」という選択肢がある。

交易と先住民族同盟の戦略的意義

交易路の支配は長期戦での経済力差に直結する。交易站1か所で継続的にコインが供給されるため、3か所の交易站を確保できれば農民をコイン採集に回さなくて済む。「農民を食料と木材に専念させて、コインは交易路から得る」という分業が可能になり、農民の採集効率が上がる。交易路を巡る争奪戦が対戦の中盤に必ずと言っていいほど発生するのはこのためだ。

先住民族同盟は固有ユニットが得られるだけでなく、「先住民族の技術(テクノロジー)」が解禁される。例えばアパッチ族と同盟すれば「アパッチ・トリガーマン」という固有ライフルマンが使えるようになり、チェロキー族との同盟では追跡者系ユニットの強化技術が得られる。どの先住民族がマップのどこにいるかは毎回異なるため、マップを探索して先住民族の位置を把握することが序盤の重要な作業になる。

AoE3 DEの弱点と惜しい点——正直に書く

Age of Empires III: Definitive Edition ストラテジー スクリーンショット8

好きなゲームでも弱点は正直に書くべきだと思うので、AoE3 DEの惜しいと感じる部分も率直に書く。

最大の弱点は「プレイヤー人口の少なさ」だ。AoE2 DEの約2万人と比べて、AoE3 DEの平均同時接続者数1,000〜2,000人台は一桁違う。ランクマッチのマッチング待ちが長いのは現実的な問題で、特に非ピーク時間帯(日本時間の昼間)は10分以上待つこともある。対戦を楽しみたい人にとって、この待ち時間は純粋なストレスだ。

ホームシティの初期コンテンツロックも依然として惜しい。対戦の公平性はDEで確保されているが、ソロ・キャンペーンでは序盤に使えるカードが少なく「やっと全部のカードが揃った」と感じるまでのプレイ時間が必要だ。「最初から全カード開放でいいのでは?」という意見は根強くあり、新規プレイヤーが序盤に感じる「選択肢の狭さ」は改善の余地がある。

チュートリアルの不足感もある。キャンペーンがチュートリアルとして機能しているが、「デッキの組み方」「ホームシティの育成方法」「シップメントのタイミング」を明示的に教えてくれる場所が少ない。AoE2 DEと比べてシステムが複雑なだけに、「インゲームのデッキ構築ガイド」があればと感じる部分がある。現状では外部のWikiやYouTube動画に頼るしかない場面が多い。

バランス調整の頻度はDE以降に改善されているが、「特定文明のカード構成が強すぎる」という問題が時々発生する。コミュニティからの指摘があってパッチで修正されるまでのラグが数週間〜1か月あることもあり、「今のメタが壊れている」という状況が一時的に生じることはある。ただし開発チームがアクティブに調整を続けてくれているのは評価できる。

対戦の待ち時間が長すぎる。面白いゲームなのにここだけ辛い。もう少し人口が多ければ最高なのに。

引用元:Steamレビュー

AoE3 DEとAoE4の違い——「どちらをやるべきか」を判断する材料

2021年にリリースされたAge of Empires IV(AoE4)との比較もよく話題になる。AoE4はAoE2のゲームシステムを現代的にリデザインした作品で、中世(AoE2と近い時代)を舞台にしている。AoE3 DEとAoE4をどちらやるかで迷っている人のために整理する。

AoE4はAoE3 DEよりプレイヤー人口が多く(Steamでの平均同時接続者数が数倍の差がある)、マッチング待ち時間が短い。また時代設定が中世なのでAoE2に近い雰囲気があり、AoE2経験者にとって馴染みやすいという側面がある。初心者向けのチュートリアルも充実しており、RTSを初めてプレイする人にはAoE4が入りやすい。

一方でAoE3 DEはホームシティ・カードデッキという独自システムが提供する体験が唯一無二で、「大航海時代の雰囲気」を求めているならAoE3一択だ。AoE4にはデッキ構築という概念がないため、「ゲーム前から戦略を組み立てる」という体験はAoE3にしかできない。22文明それぞれのシステム的な個性の差もAoE3の方が際立っており、「文明を変えることで体験が根本から変わる」という感覚はAoE3の方が強い。

どちらを選ぶかの基準は「何に重きを置くか」で変わる。対戦人口の多さと入りやすさを重視するならAoE4、大航海時代の雰囲気とデッキ構築の独自体験を求めるならAoE3 DEが向いている。もちろんどちらもプレイするのが理想で、「AoE4で対戦の基礎を学んでからAoE3 DEに移行する」というルートも有効だ。

まとめ——AoE3 DEは「唯一無二の体験」を求めるプレイヤーに向いている

Age of Empires III: Definitive Editionは「合わない人には徹底的に合わない、合う人には500時間でも足りない」ゲームだ——これがこの記事を通じて伝えたいことの核心だ。

AoE2との最大の違いは「ゲームシステムの根本」にある。農民管理と時代進化タイミングが中心のAoE2に対して、AoE3はデッキ構築・ホームシティシップメント・先住民族同盟・交易路支配という複数の要素が絡み合う多層的な戦略ゲームだ。「複雑すぎる」と感じる人もいれば「これだけ考えることがあるのが面白い」と感じる人もいる。

22文明はそれぞれゲームシステム自体が変わるほどの個性を持っており、「全部使いこなす」には数百時間が必要になる。この深みが長期プレイのモチベーションになっている一方、「最初の文明選択で迷う」原因にもなっている。最初はブリテンかオスマン帝国から始めて、慣れてから別文明に挑戦するのが実用的な入り方だ。

DEでの改善点——対戦公平性の確保、グラフィックの4K対応、バランス調整の継続、新文明の追加——はオリジナル版の惜しい部分を丁寧に潰した内容で、2005年版のAoE3とは別物と言っていいレベルの仕上がりになっている。昔のAoE3で「これが惜しかった」と感じた人がDEを試すと「これが完成形だったのか」と感じるはずだ。

プレイヤー人口の少なさは現実的な課題で、マッチング待ちの問題は正直なところとして存在する。それでも「大航海時代の近世RTSを本格的に楽しみたい」「デッキ構築という概念をRTSに組み込んだゲームを体験したい」「22文明それぞれに固有の体験があるゲームを深く掘りたい」という人にとって、AoE3 DEは代替不可能な選択肢だ。

2026年4月現在、Steam価格は定価2,050円(定期的にセールで50%オフになる)。Steamのセール時に試してみて、合えば深みにはまるゲームだ。「ちょっと触って判断する」より「10時間向き合ってから判断する」を強くすすめる。AoE3の面白さはその深さの中にあって、最初の数時間は「これ何をやればいいんだ」という混乱が続くのが正常だから。

最後に繰り返しになるが、AoE3 DEはAoE2の「続編」でも「劣化版」でもない。大航海時代から近世にかけての時代設定、ホームシティとカードデッキが生み出す戦略の多層性、22文明それぞれのシステム的個性——これらが一体となって「AoE3でしか体験できないもの」を作り出している。シリーズの異端児として生まれたゲームが、20年後の2026年も根強いコミュニティに支えられて生きているのは、その「唯一無二性」があってこそだ。ホームシティが少しずつ育ち、デッキが洗練されていく感覚を一度味わったら、このゲームの独特の中毒性がわかるはずだ。

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Age of Empires III: Definitive Edition

World's Edge, Tantalus Media, Forgotten Empires
リリース日 2020年10月15日
サービス中
同時接続 (Steam)
5,141
2026/04/12 アジア圏ゴールデンタイム計測
レビュー
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52,847件のレビュー
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価格基本無料
開発World's Edge, Tantalus Media, Forgotten Empires
販売Xbox Game Studios
日本語非対応
対応OSWindows
プレイ形式シングル / マルチ
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