「Hell Let Loose: Vietnam」50vs50のベトナム戦争、UE5で進化した大規模戦術FPS

ジャングルの奥から銃声が響く。視界には何もない。木々の影に潜んでいる敵が、どこかの地下トンネルから音もなく這い出してきたのかもしれない。頭上を飛ぶヘリが降下地点をアナウンスする。小隊長の声が飛ぶ――「今すぐ右翼を固めろ」。50人対50人、ジャングルと泥と血と死の匂いがするリアルタイムの戦術地獄。
Hell Let Loose: Vietnamは、2021年にリリースされて世界中の戦術FPSファンを虜にした「Hell Let Loose」のシリーズ新作だ。舞台は第二次世界大戦からベトナム戦争へ。開発はイギリスのExpression Games、パブリッシャーはTeam17。Unreal Engine 5で一から作り直した完全新規タイトルとして、2026年のリリースを目指している。
オリジナルのHell Let Looseが600万人以上のプレイヤーを獲得した実績を持ち、Team17が2022年に£4600万(約85億円)で買収するほどの価値を認めた人気フランチャイズ。その名前を継いで、なぜ今ベトナム戦争なのか。どう進化したのか。何が面白くて、何が不安なのか。情報を洗いざらい整理してみた。
この記事では発表内容をもとに、このゲームの魅力と課題を深く掘り下げていく。
こんな人に読んでほしい

- Hell Let Loose(WW2版)をプレイして、次作が気になっている人
- Squadやギアーズ・オブ・ウォーのような大規模チーム戦が好きな人
- ベトナム戦争を舞台にしたゲームが長年出ていなかったと思っている人
- チームコミュニケーションと戦術立案が楽しめるFPSを探している人
- Unreal Engine 5の視覚表現に興味があり、最新技術でジャングルを体験したい人
- ヘリコプター操縦や地下トンネル戦といった独自メカニクスが気になる人
- PS5・Xbox Series X/Sでも遊べる高品質な戦術FPSが欲しいコンソールユーザー
- CoD・Battlefieldよりもリアルで重厚だが、DayZやArmaほどシミュレーター寄りではない「ちょうどいい難易度」のFPSを探している人
ゲーム概要――「ベトナム戦争」というジャンルを本気で掘り起こす

Hell Let Looseとは何だったか
まず前作の話から始めたい。オリジナルのHell Let Looseは、オーストラリアのインディースタジオBlack Matterが2017年にKickstarterで220,000ドルを集めて開発した第二次世界大戦FPSだ。2019年6月にSteamでアーリーアクセスを開始し、2021年7月に正式リリース。2021年10月にはPS5とXbox Series X/Sにも対応した。
このゲームが他のWW2 FPSと一線を画したのは、圧倒的なスケールとリアリズムの絶妙なバランスだった。100人同時参戦(50対50)。10種類以上の専門ロール。戦略マップを読みながらチームで動く指揮系統。ノルマンディー上陸作戦、スターリングラード市街戦、シュルトシュルト包囲戦など、歴史的な戦場を再現した大規模マップ。
コールオブデューティのような「個人の英雄プレイ」とは全く異なる体験を提供し、Steamでは「非常に好評」を維持し続けた。2022年1月にTeam17がBlack MatterからIPを£4600万で買収。その後、開発はCover 6 StudioからExpression Gamesへと引き継がれ、現在もオリジナルのHell Let Looseのサポートが継続されている。
この「600万プレイヤーを集めた証明済みのブランド」を引き継いでExpression Gamesが作る新作が、Hell Let Loose: Vietnamだ。
なぜ「ベトナム戦争」を選んだか
発表時にゲームプロデューサーのMatt Emeryが語った言葉が印象的だった。「ベトナム戦争はここ数年、主要なゲームタイトルでほとんど取り上げられていない。それでいて、この時代の戦場は非常に多様でドラマチックな側面を持っている」
確かに、振り返ってみると驚く。2009年のBattlefield: Bad Company 2のベトナムDLC、2008年のVietcong系タイトル、2007年のBattlefield Vietnamの後継作――その後、本格的なベトナム戦争を扱うFPSはパタリと姿を消した。CoD BlackOpsがベトナムをオマージュ要素として取り上げたことはあるが、「ベトナム戦争そのもの」を主軸に据えた大作はほぼ空白地帯だった。
この判断は理にかなっている。ベトナム戦争はゲームとして面白い要素が詰まっている。ジャングルという視界制限の効いた戦場。ヘリコプターが象徴する「空の支配権」。地下トンネル網という独自の地下戦術。非対称な軍事力の差を戦術で埋めようとするNVA(北ベトナム軍)の戦い方。これらはゲームプレイとして実現すれば唯一無二の体験を生み出せる。
開発体制と背景
開発を担当するExpression Gamesはイギリスを拠点とするスタジオだ。Team17の傘下で、最初のWW2版Hell Let Looseのさらなる開発も手がけてきた実績がある。
特筆すべきは、武器の歴史的再現性に対するアプローチだ。2024年7月、Expression GamesのチームはリーズにあるRoyal Armouries(王立兵器博物館)を訪問。M16A1、AK-47系列をはじめとするベトナム戦争時代の兵器を実際に目で見て、映像撮影、スキャン、音声録音を行った。その素材が直接ゲーム内の武器表現に使われている。
「ゲームがリリースされたとき、プレイヤーはその武器が正確に再現されていると感じられるだろう」とExpression Gamesは語っている。WW2版Hell Let Looseでも評価の高かった兵器の質感と音響表現を、ベトナム戦争時代の装備で再現しようという意志が伝わってくる。
発表は2025年8月20日のGamescom、Future Games Showにて。2025年12月10日にはIGNで初のゲームプレイトレーラーが公開された。プラットフォームはPC(Steam/Microsoft Store/Epic Games Store)、PS5、Xbox Series X/Sで、2026年リリース予定だ。
基本情報

| タイトル | Hell Let Loose: Vietnam |
|---|---|
| 開発 | Expression Games |
| パブリッシャー | Team17 |
| ジャンル | マルチプレイヤー 戦術FPS / 大規模チーム戦 |
| 対応プラットフォーム | PC(Steam・Microsoft Store・Epic Games Store)/ PS5 / Xbox Series X|S |
| リリース予定 | 2026年(具体的な日付は未発表) |
| 価格 | 未発表($40〜$60程度と予想) |
| プレイ人数 | 最大100人(50対50)マルチプレイヤー専用 |
| エンジン | Unreal Engine 5 |
| マップ数 | 6マップ(ライティング・天候バリアント複数) |
| プレイアブルファクション | US Armed Forces(米軍)/ North Vietnamese Army(北ベトナム軍・NVA) |
| ロール数 | 19種類 |
| 武器考証 | Royal Armouries(王立兵器博物館)と公式コラボ |
| 言語 | 英語(日本語対応は未確認) |
評価ポイント――このゲームが期待される理由

1. 50対50という圧倒的なスケール感、そのままで時代が変わる
Hell Let Loose: Vietnamが継承する最大の強みは、50対50という100人参戦の大規模マルチプレイヤー体験だ。WW2版で証明されたこのスケールが、ベトナム戦争の舞台にそのまま持ち込まれる。
なぜ50対50にこだわるのか。それは「戦争らしさ」に直結しているからだ。20人や30人では、どうしても「人が少ない戦場」という印象を拭えない。100人が戦場を動き回ることで、予測不可能な展開が生まれる。右翼で押し込んでいる間に左翼が崩れる。陽動作戦が実際に機能する。遊軍部隊が戦況を決定的に変える。これは小規模なFPSではシミュレートできない体験だ。
ゲームモードは複数用意されている。「Warfare」モードは5つのセクターを奪い合う綱引き形式の50対50正面衝突。「Offensive」モードでは攻撃側と防衛側に役割が分かれる。さらに4つの新規ゲームモードが追加される予定で、詳細は現在も明かされていない。
6つの大規模マップはすべて、実際の戦闘が起きた場所から着想を得て設計されている。「Operation Starlite(スターライト作戦)」「Operation Piranha(ピラニア作戦)」など、ベトナム戦争史に名を残す実際の作戦をベースにしたシナリオ設計だ。ジャングル、水田、砂浜、丘陵地帯と、バリエーション豊かな地形が用意されており、それぞれにライティングバリアントと天候バリアントが存在する。
2. 非対称ゲームプレイ――ヘリとトンネルという正反対の戦術思想
Hell Let Loose: Vietnamの最も革新的な要素は、米軍とNVAで全く異なる戦術ツールを持つ「非対称ゲームプレイ」だ。これがWW2版との最大の違いでもある。
米軍側:空の支配力
米軍が持つ最大のアドバンテージはヘリコプターだ。2種類のヘリコプターが実装される。
輸送ヘリは、部隊を戦場の任意のランディングゾーンへ迅速に展開できる。地上を歩いて移動するNVA側に対して、米軍は空路で前線を大きく迂回したり、縦深攻撃を行ったりできる。戦況が不利になった局面でも、増援を素早く投入して逆転を狙える。
補給ヘリは、物資を戦場の重要拠点に空輸する役割を担う。エンジニアが防御施設を構築するためには物資が必要で、補給ヘリがその輸送を担う。ヘリパイロットは輸送だけでなく偵察にも活躍し、敵の動きを地上部隊に伝える目の役割も果たす。
ヘリコプターには当然、パイロット・クルーマン・ガンナーという専門ロールが存在する。ガンナーポジションでは機銃による火力支援が可能で、地上部隊にとってヘリの有無は戦局に直結する死活問題だ。
NVA側:地下の迷宮
米軍がヘリで空を支配するなら、NVAは地下を支配する。NVA専用の「トンネルシステム」は、このゲームで最も独創的なメカニクスのひとつだ。
オフィサー(将校)ロールのNVAプレイヤーは、マップのあちこちにトンネルの入口と出口を建設できる。建設した入口と出口が繋がることで、チームメンバーはトンネルを使って遠距離の移動を行える。
移動には時間がかかる(移動距離に応じてかかる時間は変化する)が、地上を歩くよりはるかに速く、何より敵の視界に映らない状態で前進できる。敵陣の深部に突然部隊が出現するという奇襲を、組織的に実行できる。
米軍はトンネルを発見し破壊することで対処できるが、マップ全体に張り巡らされた地下網を全部潰すのは現実的ではない。どこからNVAが出てくるかわからない恐怖は、実際のベトナム戦争で米兵が直面した「見えない敵」の感覚をゲームとして体現している。
この非対称設計について開発チームは「歴史的に正確な非対称性を実現しつつ、両陣営がちゃんと勝てる均衡を設計した。NVAがトンネルとゲリラ戦術を持つなら、米軍には空の支配権とヘリがある。どちらが強いということではなく、どちらの戦い方にも深い戦術的理解が求められる」と説明している。
3. 河川戦闘と拡張された移動システム
ベトナム戦争の地理的特性として、河川網が戦場を大きく左右した。Hell Let Loose: Vietnamはこれをゲームプレイに組み込んでいる。
武装した哨戒艇を建造・展開することで、河川を利用した高速移動と火力支援が可能になる。陸路が密林で遮断されているような状況でも、川を使って迂回したり、対岸への上陸作戦を行ったりできる。
移動面では、WW2版から大幅に強化された新アクションが追加される。水泳(Swimming)、登攀(Climbing)、高速匍匐前進(Fast Crawling)が実装され、ジャングルや険しい地形での移動の幅が広がる。
さらに注目すべきは「負傷した仲間を引きずる(Drag)」メカニクスだ。死亡判定ではなくダウン状態になった味方を、文字通り体を引きずって銃火の届かない場所に運び、そこで治療を施してから復帰させることができる。
これは単なる演出ではなく、ゲームプレイ上の意味がある。Medicロール(衛生兵)の価値が上がり、「負傷者の救出」という行動が戦術として機能する。ロールプレイ的なリアリズムと、ゲームプレイ上の戦術的深みが両立している。
4. 19の専門ロールによる分業と協力の深み
Hell Let Loose: Vietnamには19種類の専門ロールが存在する。それぞれが明確な役割分担を持ち、どのロールが欠けても組織は機能しにくくなる設計だ。
指揮系統
- Commander(司令官):チーム全体に指示を出す最高指揮官。資源配分や戦略方針を決定する
歩兵分隊
- Squad Leader(分隊長):小隊単位の指揮官。Commanderの意図を受けて前線を動かす
- Rifleman(ライフルマン):基本的な歩兵ロール
- Grenadier(擲弾兵):グレネードランチャーで遠距離の敵や建物を制圧
- Engineer(工兵):拠点建設・防衛設備の構築・修理を担当
- Medic(衛生兵):負傷者の治療と蘇生
- Specialist(スペシャリスト):状況に応じた特殊任務
- Machine Gunner(機関銃手):制圧射撃で敵の動きを封じる
偵察分隊
- Spotter(観測手):スナイパーとペアを組んで狙撃ポジションを補助
- Sniper(スナイパー):長距離精密射撃の専門家
機甲分隊
- Tank Commander(戦車長)
- Crewman(乗員)
ヘリコプター分隊(米軍専用)
- Pilot(パイロット)
- Crewman(乗員)
- Gunner(ガンナー)
迫撃砲分隊
- Spotter(観測手)
- Support(サポート)
- Gunner(砲手)
19ロールのうち、ヘリコプター関連の3ロールは米軍専用だ。一方、NVAにはトンネル構築能力を持つオフィサーロールが存在し、ここでも非対称性が表現されている。
この分業構造が面白いのは、「キル数」がゲームの主要指標にならない点だ。衛生兵は仲間を治療することで貢献する。工兵は防衛施設を建てることで貢献する。補給担当は物資を届けることで貢献する。WW2版Hell Let Looseが「キルを競うゲームじゃない」と評される独特の文化は、Vietnam版にも引き継がれるはずだ。
5. Unreal Engine 5による視覚的な飛躍
技術面での最大のアップグレードは、Unreal Engine 5への移行だ。WW2版はUnreal Engine 4で開発されたが、Vietnam版は完全にUE5ネイティブで設計されている。
UE5の機能がベトナム戦争の表現にどれだけ合っているか、想像するだけでワクワクする。ジャングルの密度。光が木漏れ日として差し込む様子。深夜の作戦行動中の月光。降り続ける雨が地面を変形させる。炎上するヘリから立ち上る黒煙のボリュームエフェクト。これらはUE4では限界のあった表現で、UE5のNaniteとLumenによる動的ライティングと超高精細ジオメトリが真価を発揮する領域だ。
開発チームは「ライティング、植生の密度、ボリュームメトリックスモーク、パーティクルエフェクト、地形変形のすべてが、かつてないほどダイナミックで生きた戦場を生み出す」と述べている。
WW2版をプレイしていたユーザーが「ノルマンディーの砂浜が本当に戦場に見えた」と感じた視覚的没入感が、UE5によってさらに向上する。戦術FPSとしてのリアリズムは映像面でも補強されなければならないと、Expression Gamesは考えている。
6. WW2版との共存――コミュニティを分断しない設計方針
新作発表時にコミュニティが心配したのが「オリジナルのHell Let Loose(WW2版)はどうなるの?」という点だった。
Expression Gamesは明確に回答している。「Hell Let Loose Vietnam はオリジナルの置き換えではない。WW2版は引き続きフルサポートを継続し、両方のコミュニティが並行して育っていく」
「Vietnam版でいい戦いをした後に、WW2版に戻ってノルマンディーで戦うことも、そのままベトナムに残ることも、どちらも歓迎する」というメッセージを発している。プレイヤーベースを分割するのではなく、戦術FPSファン全体のパイを広げようというビジョンだ。
実際、2026年にHell Let Loose Free Weekend(無料プレイ週末)も予定されており、WW2版の継続した露出を確保しながらVietnam版へ誘導する戦略がうかがえる。
賛否両論――期待と不安の構造

非対称バランスの難しさ
ヘリコプターとトンネルという非対称な戦術ツールを「均衡が取れている」と感じてもらうためには、相当な調整が必要だ。理論上はどちらの陣営にも勝ち筋があるとしても、実際にプレイしてみると「ヘリ側が圧倒的に有利」とか「熟練プレイヤーがNVAのトンネル网を完璧に構築すると手がつけられない」といった問題が出てくる可能性は高い。
WW2版Hell Let Looseでも、登場初期は特定の兵器や戦術が強すぎて頻繁にバランスパッチが入った歴史がある。非対称ゲームはバランス調整の難度が高く、発売後のパッチ対応がコミュニティの評判を大きく左右する。
ベトナム戦争という題材の政治的センシティビティ
ベトナム戦争は単なる「歴史的な戦争」ではない。ベトナムの人々にとっては今も生々しい記憶を持つ人が多く、米国でも退役軍人コミュニティを中心に様々な受け止め方がある。
WW2版では連合軍と枢軸軍の対立という構図が比較的シンプルだったが、ベトナム戦争では「米軍がNVAと戦う」という図式が政治的に複雑だ。ゲームとして「どちらの陣営でも遊べる」という設計は戦術ゲームとしては標準的だが、北ベトナム軍・南ベトナム解放民族戦線を「敵」として描くことへの反発、または逆に「米軍を英雄的に描くことへの反発」といった反応は起こりうる。
開発チームは「歴史に対して敬意を持って取り組む」としているが、具体的な政治的立場についての明言は慎重に避けている。このあたりのバランス感覚が発売後に問われることになるだろう。
コミュニティ分割の現実的リスク
「WW2版を続けながらVietnam版も育てる」という方針は理想論として美しいが、現実には厳しい側面がある。戦術FPSのコミュニティは、同時参戦100人という特性上、サーバーに常に一定以上のアクティブプレイヤーが必要だ。
WW2版とVietnam版でプレイヤーが分散すると、特に深夜や特定の時間帯にサーバーが過疎り、マッチングの質が低下する。コアなプレイヤーほど「どちらをメインにするか」という選択を迫られ、どちらかのコミュニティが縮小するリスクは否定できない。
この点をコミュニティのメンバーも心配しており、Steam掲示板では「HLLのプレイヤーが2分割されたら、どちらも中途半端になるんじゃないか」という声が一定数見られる。
チート対策への不安
オリジナルのHell Let Looseでは、チーターの問題が長年にわたってコミュニティの頭痛の種だった。「ちゃんとしたアンチチートなしでは意味がない」という声は発表直後から出ており、Vietnam版でのチート対策の具体的な方針が早急に明示されることをコミュニティは求めている。
大規模チーム戦においてチーターが1人いるだけで50人全員の体験が台無しになる。これはHell Let Looseに限らず全ての大規模オンラインFPSが抱える課題だが、前作での苦い経験があるだけにプレイヤーの目は厳しい。
WW2疲れからベトナム疲れへの懸念
「WW2ゲームは飽き飽き」という感情から脱するためにベトナム戦争を選んだ側面があるが、皮肉なことに同じ問題はベトナム戦争にも起きうる。「こういう舞台はもう飽きた」という感覚は特定の題材が増えると必然的に発生する。
もっとも、ベトナム戦争ゲームは現時点でほとんど存在しないため、この心配は杞憂に終わる可能性が高い。ただ、ゲームが成功して類似作品が増えた場合には5年後に同じ批判が起きるかもしれない。
プレイヤーの声
「ヘリとトンネルという非対称設計が本当にうまく機能するなら、戦術FPS史上で最も面白い非対称ゲームになる可能性がある。でも、この手のゲームは調整が命。発売後の最初の3ヶ月が正念場だと思う」
― Steam掲示板コメント(HLL: Vietnamのアナウンス後)
「WW2版のHLLでコマンダーとして200時間以上遊んでいる。Vietnam版でも当然コマンダーになりたいけど、ヘリの使い方・トンネルへの対処・河川の活用と、これだけ要素が増えると指揮の複雑さが段違いになる。それが楽しみでもあり不安でもある」
― Redditのr/HellLetLooseコメント
「ベトナム戦争FPSは長年待っていた。Rising Storm 2: Vietnamは好きだったけど、あれは最大64人でスケールが小さかった。100人規模でベトナムの戦場を再現されたら、それだけで価値がある」
― Steam掲示板、Rising Storm 2との比較スレッド
「Royal Armouries(王立兵器博物館)との協力で武器を再現しているというのは本当に好印象。WW2版でも銃の音と質感は最高だったから、M16A1の音がちゃんと本物っぽかったらそれだけで買う理由になる」
― TheSixthAxisのプレビュー記事コメント欄
「チーター問題をちゃんと解決してくれないと同じことの繰り返しになる。WW2版で嫌な思いをして離れた人間として、Vietnam版では最初からまともなアンチチートを実装してほしい。それだけが心配」
― Steamコミュニティフォーラム
「ゲームプレイトレーラーを見て改めて確信した。ジャングルの密度と光の表現はUE5でないと無理なレベル。あの木漏れ日と霧のなかで敵を探すゲームプレイは、それだけで没入感が全然違う」
― Gematsuのゲームプレイトレーラー記事コメント欄
「WW2版を続けながらVietnam版も作るのは理想論に聞こえる。実際にはどちらかのサーバーが過疎ることになると思う。両方を維持するためのビジネスモデルが重要で、具体的な説明を聞きたい」
― WCCFtechのアナウンス記事コメント欄
「仲間を引きずって助けるメカニクスは本当に嬉しい追加要素。WW2版でも衛生兵として動き回るのが楽しかったけど、ダウンした仲間を文字通り安全な場所まで連れていけるなら、衛生兵の戦場での動きがさらにドラマチックになる」
― Fextralifeのプレビュー記事への反応
似たゲーム8本――これが好きならHLL: Vietnamも刺さるかも

1. Hell Let Loose(WW2版)
言うまでもなく、直系の前作だ。100人参戦の大規模戦術FPS、19の専門ロールによる分業システム、戦略マップを読んだ指揮系統――これらすべてがVietnam版のベースになっている。WW2版の「非常に好評」という評価は600万人のプレイヤーが証明した実績だ。Vietnam版に興味があるなら、まずWW2版をプレイして「このスタイルが自分に合うか」を確認してから判断することを強くすすめる。WW2版はSteamで頻繁にセールがあり、2024年には無料プレイ週末も実施されている。
2. Squad(スクワッド)
Offworld Industries開発の、大規模リアル系チーム戦FPSの代表格だ。最大100人が参加する大規模マップで、複数の分隊が連携して戦うスタイルはHell Let Looseと最も近い。現代戦争を舞台としており、ヘリコプター操縦・装甲車両・工兵建設など多彩な要素を持つ。リアリズムの追求度がHell Let Looseよりやや高く、コミュニケーションへの依存度も高い。HLL: Vietnamとは異なるアプローチだが、「大規模チーム戦FPS」という枠では双璧をなす。
3. Rising Storm 2: Vietnam
ベトナム戦争FPSの現時点での最高峰といえる作品。Tripwire Interactive開発で2017年リリース。米軍対北ベトナム軍・南ベトナム解放民族戦線という構図は同じで、最大64人の対戦が可能。ヘリコプター操縦も実装されており、ゲームプレイ的な先行例として参考になる。ただし最大参加人数はHLL: Vietnamの半分以下で、スケール感は大きく異なる。現在もアクティブなコミュニティが維持されている。
4. Post Scriptum(Squad 44)
WW2版Hell Let Looseと最もよく比較されるタイトルだ。オランダ解放作戦「マーケット・ガーデン作戦」を中心に描いた完全協力型WW2 FPS。歴史的考証の精度と戦術的深みはHell Let Looseと双璧だが、アクティブプレイヤー数ではHLLが優位だ。「WW2版HLLを遊んだがもっとリアルな体験がしたい」というプレイヤーが次に試すゲームとして定番になっている。現在はSquad 44と改名されてアップデートが続いている。
5. Insurgency: Sandstorm
New World Interactiveが開発した中規模チーム戦術FPS。最大32人での現代戦闘を舞台に、弾道や負傷のリアルさに特化している。50対50ほどの大規模さはないが、「死んだら終わり」という緊張感と丁寧な戦術行動の重要性はHell Let Looseと共通する。PC・PS4/5・Xbox対応で日本語対応済み。コンソールで戦術FPSを探しているユーザーへのエントリーポイントとして価値が高い。
6. Arma 3(アルマ3)
Bohemia Interactive開発の軍事シミュレーションの金字塔。HLL: Vietnamより大幅にシミュレーター寄りで、操作習得の壁はかなり高い。しかしMODが充実しており、ベトナム戦争のシナリオやキャンペーンを個人・グループで遊べる環境は整っている。「まずVietnamのゲームを無料で体験したい」という人には、Arma 3のベトナムMODが参考になるかもしれない。「HLLの深さでは物足りない、もっとガチのシミュレーションがしたい」というプレイヤーの行き着く先もArmaだ。
7. Battlefield V(バトルフィールド5)
EA DICEが開発した大規模FPSで、HLL: Vietnamとは対照的なアプローチを持つ。最大64人参加のWW2戦闘をより娯楽的・爽快感重視で実現している。「まずは戦場規模の大きいFPSを体験したいが、あまりシビアな戦術ゲームは求めていない」というプレイヤーに向いている。HLL: Vietnamが難しすぎると感じたユーザーが軽量な代替として戻ってくる場所でもある。BF2042と比較してコミュニティの評判はV(5)の方が高く、現在もプレイヤーは存在する。
8. Isonzo(イソンツォ)
Blackmill Gamesが開発した第一次世界大戦FPS。WW1という「さらに古い時代」の大規模な戦壕戦を舞台に、最大64人が戦う。「HLLのWW2版よりさらに原始的な兵器と戦術で戦いたい」というプレイヤーの選択肢だ。Fronte Occidentale、Isonzo、Tannenbergと三部作になっており、それぞれ異なる戦線を描いている。HLL: Vietnamとはスケールや時代設定が異なるが、「歴史的考証に基づいた本格戦術FPS」というジャンルを共有する。
まとめ――ベトナム戦争という眠れる鉱脈に、本気で掘り込んでいる

Hell Let Loose: Vietnamについて知れば知るほど、感じることがある。これは「WW2版の使い回し」ではない。そしてベトナム戦争をただ舞台として選んだだけでもない。
ヘリコプターとトンネルという「空と地下」の非対称設計は、ベトナム戦争の本質的な戦い方をゲームメカニクスとして昇華しようとする試みだ。米軍の圧倒的な火力と空の優位性に対して、NVAがゲリラ戦と地下戦術で対抗したという歴史的事実が、そのままゲームの戦術的多様性に変換されている。
河川を使った水路戦、負傷者を引きずって安全地帯まで運ぶ衛生兵の動き、水泳や登攀を含む拡張された移動システム、Royal Armouriesとの協力で再現した武器の音と質感。これらの要素ひとつひとつが、ベトナム戦争という特定の戦場体験を「ゲームとして感じられる」ように設計されている。
不安要素がないわけではない。非対称バランスの調整、チーター対策、コミュニティ分割のリスク、政治的センシティビティ。これらはどれも軽視できない課題だ。特にチート対策については、前作での苦い経験があるだけにコミュニティの目は厳しい。
だが考えてほしい。ベトナム戦争という題材が主要ゲームから長年姿を消していた、という事実だ。2009年以降、まともなベトナム戦争FPSが市場にない。それだけ空白が大きかったということは、それだけ潜在的な需要もある、ということでもある。
600万人のプレイヤーが支持したHell Let Looseブランドを継承し、Unreal Engine 5で映像を刷新し、非対称ゲームプレイで差別化を図り、Royal Armouriesとの協力で本物の武器を再現する。口で言えば当たり前に聞こえるかもしれないが、これを全部同時に実現しようとしている開発チームの真剣さは、発表された情報から十分に伝わってくる。
「戦術FPSが好き」「ベトナム戦争という舞台が面白そう」「ヘリコプターを飛ばしたい」「地下トンネルから奇襲したい」――そのどれかひとつでも刺さると感じたなら、今すぐSteamでウィッシュリストに登録しておくべきゲームだと思う。2026年リリースを待ちながら、WW2版Hell Let Looseでこのゲームスタイルに慣れておくのも賢い選択だ。
ジャングルと泥と雨と、50人対50人の戦術地獄。それが2026年、始まる。
