「Marathon」Destiny開発元Bungieが放つPvPvE抽出シューター






「Marathon」Destiny開発元Bungieが放つPvPvE抽出シューター | レビュー・評価・攻略情報



「Marathon」Destiny開発元Bungieが放つPvPvE抽出シューター

「どうせBungieはまたDestinyの焼き直しみたいなのを作るだけだろ」——正直、自分もそう思っていた。でも実際にタウ・セティIVの廃墟に降り立った瞬間、その考えは吹き飛んだ。誰もいない廃工場の奥で足音が聞こえる。仲間はまだ入口付近でアイテムを漁っている。逃げるか、戦うか——この0.5秒の判断が、今まで集めた装備すべての行方を決める。Marathon(マラソン)は、2026年3月5日にリリースされたBungie渾身の抽出シューターだ。Haloを生み出し、Destinyで「共有世界シューター」というジャンルを開拓した開発チームが次に選んだのは、最も過酷なジャンル——抽出シューターだった。1.2万時間以上のプレイデータとSteamの3万件超のレビューを踏まえて、このゲームの本質を掘り下げていく。

目次

こんな人に読んでほしい

Marathon キービジュアル — タウ・セティIVに降り立つランナー

  • Destinyをやり込んだけど「次の刺激」を探している人
  • Escape from TarkovやHunt: Showdownで挫折した経験がある人
  • 抽出シューターに興味はあるが難易度が不安な人
  • BungieのFPSが持つ「撃ち心地」の虜になっている人
  • ゲーム内の世界観やSFロア(設定資料)を掘るのが好きな人
  • Steam/PS5でマルチプレイを楽しめる仲間を探している人

ゲーム概要:Bungieが30年越しに復活させた伝説のIP

Marathon ゲームプレイ — 廃墟と化したタウ・セティIVの植民地エリア

Marathonという名前を聞いて、「あ、あのゲームか」と反応できる人は相当なBungieオタクだ。1994年、Mac専用FPSとして発売されたMarathonシリーズは、武器のリロードシステムや2丁持ち、ネットワーク越しのボイスチャットなど、今では当たり前になった概念を業界に持ち込んだ先駆者だ。そのシリーズが2026年、まったく別のゲームとして生まれ変わった。

2026年版Marathonは、抽出シューター——英語では「Extraction Shooter」と呼ばれるジャンルに属する。ルールはシンプル:敵地に降り立ち、アイテムを集め、生き残って帰還する。ただし帰還に失敗すれば、手に入れたアイテムはすべて失う。PvPvE(プレイヤー対プレイヤー対環境)という仕組みが緊張感の根幹で、AIの敵と戦いながら、同時に他のプレイヤーチームとも衝突する可能性がある。

舞台はタウ・セティIV——人類初の太陽系外植民地として2767年に建設され、その後2794年にPfhorという異星人種族の侵略を受けて崩壊した惑星だ。2893年(崩壊から99年後)を舞台に、プレイヤーは「ランナー」と呼ばれるバイオサイバネティック強化人間として、廃墟となった植民地に潜入する。目的は財宝——具体的には「クライオアーカイブ」に封印されているとされる謎の資産を巡る争奪戦だ。

このゲームがDestinyと決定的に違うのは「失うリスク」の存在だ。Destinyのレイドで装備が消えることはない。Marathonでは消える。この一点だけで、プレイヤーの行動原理がまるごと変わる。「稼いで帰る」という明確な動機が、すべての判断に色をつける。

ビジュアル面では「グラフィック・レトロフューチャリズム」と開発チームが呼ぶ独特の美術スタイルが採用されている。サイバーパンクの美意識とテクノウェアのファッション、そして1970〜80年代SFのざらついた質感が混在した世界観は、今のゲーム市場でほとんど類を見ない個性を放っている。色使いが極めて強く、ネオンと錆と血の匂いが混じった廃墟は、視覚的に強烈な印象を残す。

基本情報

Marathon 基本情報 — Steam・PS5・Xbox Series X|S対応のPvPvE抽出シューター

タイトル Marathon(マラソン)
開発・販売 Bungie(SIE傘下)
リリース日 2026年3月5日
対応プラットフォーム PlayStation 5 / Xbox Series X|S / PC(Steam)
価格 $39.99(約6,000円)/ スタンダード版・デラックス版あり
ジャンル PvPvE 抽出シューター(Extraction Shooter)
プレイ人数 最大3人チーム(クロスプレイ対応)
言語 英語音声(字幕・インターフェースは多言語対応)
Steam評価 非常に好評(86%以上、3万件以上のレビュー)
Metacriticスコア 批評家:81点 / ユーザー:5.7(レビュー爆撃の影響あり)
クロスセーブ 対応
基本無料か いいえ(買い切り型、追加課金はコスメのみ)

評価ポイント:ここが凄い、ここが刺さる

Marathon 評価ポイント — Bungieが磨き上げた撃ち心地と7種のランナークラス

1. Bungie史上最高峰の「撃ち心地」

BungieはHaloとDestinyで20年以上、FPSの「撃ち心地」を磨き続けてきた会社だ。その蓄積がMarathonにそのまま注ぎ込まれている。銃声の迫力、反動の強弱、シールドが割れる瞬間の音と振動——このゲームの銃を撃つ体験は、一言で言えば「気持ちいい」に尽きる。Tarkovがリアリティ重視のミルシムなら、Marathonは快楽重視の洗練されたFPSだ。アサルトライフルを撃って「うわ、気持ちいい」と思えるゲームは実は少なく、その点でMarathonは業界トップクラスに位置している。

具体的には、TTK(Time to Kill)は抽出シューターの中でも短めに設定されており、コンマ秒の判断と精度が勝敗を分ける。Hunt: Showdownよりは少し柔らかく、Tarkovよりはずっとダイレクト。この絶妙なバランスが、初心者でも爽快感を感じながら上達できる設計になっている。

2. 7種のランナークラスが生む戦術の多様性

Marathonにはランナーシェルと呼ばれる7種のキャラクタークラスが存在する。各クラスはプライムアビリティ(クールダウン長・強力)、タクティカルアビリティ(クールダウン短・柔軟)、そして2つのトレイトを持つ。単純なロール制(タンク・ヒーラー・DPS)ではなく、各クラスが複合的な役割を担う設計だ。

たとえばDestroyerはタンクポジションで、肩部ミサイルポッドと前面エネルギーシールドで前線を支える。Assassinはステルス特化で、スモークと透明化でかき乱すタイプ。Vandalistは超高機動型で、二段ジャンプとパワースライドを組み合わせて戦場を縦横無尽に駆け回る。Reconは偵察役でチームの目として機能し、Thiefはアイテム収集効率が圧倒的で「ルートゴブリン」と呼ばれる存在だ。Triageは回復担当のメディック、そしてRookは装備なしで乱入するスカベンジャーモード専用の特殊クラスとなっている。

さらにコアとインプラントと呼ばれるカスタマイズシステムにより、同じクラスでも全く異なる立ち回りが可能になる。コアは各ランナー専用だが、インプラントは全クラス共通で装着できるため、自分だけのビルドを組む楽しみがある。3人チームでどのランナーを選ぶかという編成の妙は、このゲームの奥深さの一つだ。

3. 「怖い」から「楽しい」に変わる緊張感の設計

抽出シューターの緊張感の肝は「失うかもしれない恐怖」だ。Marathonはこれをうまく設計している。ラウンド開始時にロードアウト(持ち込む装備)を選び、マップに降り立つ。安全に帰還できれば装備はそのまま残り、戦利品も手に入る。しかし帰還できなければ、持ち込んだ装備はすべて消える。

この失うリスクが、ゲーム内のあらゆる判断を意味のあるものにする。「この廃ビルに入るべきか」「ここで戦うべきか逃げるべきか」「もう一か所だけ漁っていくか帰るか」——これらすべての選択に重みが乗る。Destinyでは味わえない種類の興奮だ。

Tarkovと比べると、Marathonのシステムはずっとアクセスしやすい。Tarkovがリアリズムを追求するあまり初心者を峻別する設計なのに対し、Marathonは「抽出シューターの緊張感を、もっと多くの人に」という思想で設計されている。InventoryはTarkovのような複雑なグリッドシステムではなく、明確なラベルと価値表示が付いたシンプルな管理画面だ。

4. 「グラフィック・レトロフューチャリズム」という唯一無二のビジュアル

このゲームのアートスタイルは現行ゲームの中でも際立っている。開発チームが「グラフィック・レトロフューチャリズム」と呼ぶ美術方針は、1970〜80年代SFのざらついたレトロ感と、現代サイバーパンクのネオンが融合したものだ。キャラクターデザインにはテクノウェアの影響が色濃く、廃墟の建築物は旧ソ連のSFデザインを思わせる重厚感がある。

マップ内には拾い読みできる文書や端末が散りばめられており、Marathonシリーズ原作から続くロアを世界観に落とし込んでいる。「ゲームプレイとは別に世界を読む」という体験は、Destinyのグリモアカードやロアタブからの伝統だ。この「世界の深さ」は、長期間プレイするモチベーションになる。

5. 良心的な価格と無課金アップデート方針

$39.99(約6,000円)という価格設定は、フルプライス($69.99前後)が当たり前になった現在のAAAゲーム市場では破格だ。さらに2026年内のシーズンアップデートはすべて無料で提供される。有料コンテンツはスキン等のコスメのみで、ゲームプレイに影響するペイウィンはない。シーズンバトルパスを購入した場合でも、過去シーズンのパスは後から購入可能という配慮もある。シーズン1は「Death Is the First Step」、シーズン2(2026年6月〜)は「Nightfall」と名付けられ、それぞれ新マップ・新ランナー・新システムが無料追加される。

6. Bungieが積み上げたライブサービスノウハウ

Destinyで10年以上ライブサービスゲームを運営してきたBungieは、コミュニティの声への対応、バランス調整、コンテンツ追加のサイクルを知り尽くしている。Marathonは発売後わずか2週間で最強武器のネーフ、コミュニティから指摘された移動テクニックの修正、マイクロトランザクション批判への対応パッチと、矢継ぎ早に調整を行った。「作って終わり」ではなく「育てていく」姿勢は、Destinyプレイヤーなら知っているBungieの強みだ。

賛否両論:プレイヤーが割れるポイント

Marathon 賛否両論 — グラフィック・レトロフューチャリズムのビジュアルスタイル

賛:このゲームが好きな人の言い分

Steamの「非常に好評」評価(86%超)を支えるプレイヤーたちが口を揃えるのは、まず「撃ち心地の圧倒的な完成度」だ。Hunt: ShowdownやTarkovと比べて学習コストが低く、抽出シューター初心者がジャンルに入りやすい設計だという声が多い。「Tarkovで挫折した自分でも、Marathonなら楽しめた」という書き込みはSteamレビューに数多く見られる。

また、3人チームでの協力プレイ体験を高く評価する声も多い。ランナークラスを組み合わせた編成戦術、「追跡者は逃げながら仲間に位置を知らせる」「Thiefが荷物を集めている間にDestroyerが壁になる」といった役割分担の機能性を称賛する意見が目立つ。「フレンドと3人でやる抽出シューターとしては現状最高峰」というレビューも珍しくない。

世界観とアートスタイルへの絶賛も多い。「こんなビジュアルのゲームは見たことがなかった」という驚きの声、「サウンドトラックが特に素晴らしい」という音楽面への評価、「終わった後もロアを読みたくなる」という世界設定への引き込みが報告されている。

否:批判派の指摘も無視できない

Metacriticユーザースコア5.7という数字には、組織的なレビュー爆撃の影響が含まれている。批評サイトへのレビュー解禁を発売後に設定したBungieの方針に反発した一部ユーザーが、内容を見ずに0点をつけたためだ。この数字をそのままゲームの品質として受け取るのは正確ではない。ただし、批判の中には正当なものも含まれている。

最も多い指摘は「UIが分かりにくい」という点だ。インベントリ管理の学習コストが高く、どのアイテムがどの効果を持つのかが直感的に把握しにくい。特に遊び始めの数時間は情報の洪水に圧倒される体験になりやすい。Bungie自身もこれをゲームの課題として認識しており、改善パッチを順次投入している。

次に「オンボーディング(導入チュートリアル)の薄さ」がある。抽出シューター特有の「なぜこれをやるのか」という根本的な説明が不足しているという声が多い。初心者が「なんとなく死んで終わった」という体験を繰り返してしまうケースが報告されており、これがカジュアルプレイヤーの離脱につながっている可能性がある。

「ソロプレイが厳しい」という意見もある。Marathonは3人チームを基本単位として設計されているため、1人や2人で挑む場合に編成バランスの歪みが生まれやすい。特にランク戦が実装される前の環境では、フルスタックのチームとソロプレイヤーが同じロビーに入る場面があり、マッチメイキングへの不満が出ていた。

そして「シーズナルリセットシステム」への賛否がある。シーズンをまたぐと進行状況の一部がリセットされる仕様は、Destinyから受け継いだ要素だが、「せっかく積み上げたものが消える」という感覚がライトプレイヤーには辛いという声がある。一方でハードコアプレイヤーからは「定期的にリセットされるから続けられる」という肯定的な意見もあり、ここは完全に好みの問題だ。

「Bungie アート盗用問題」も無視できない。発売前のアルファ版で、インディーアーティストのFern(Antireal)氏の2017年のグラフィックデザイン作品が、許可なくゲーム内テクスチャに使用されていることが発覚した。Bungieは謝罪し、元社員が素材を無断流用したことを認め、最終的にアーティストとの合意に至った。この問題は解決済みだが、Bungieへの信頼に影を落としたことは事実だ。発売後の高い品質評価がそれを少しずつ回復している途上にある。

プレイヤーの声:実際に遊んだ人たちの言葉

Marathon プレイヤーの声 — 3人チームでの協力プレイと戦術的な立ち回り

Steamレビューや各プラットフォームのコミュニティから、実際のプレイヤーの声を集めた。良い意見も厳しい意見も、そのまま紹介する。

「ハードコアゲーマーではない週末プレイヤーの自分でも楽しめています。ガンプレイの反応が良く、ボットとの撃ち合いも純粋に楽しい。プレイヤー同士の戦いもフェアに感じます」

Steam レビュー — カジュアルプレイヤー / 

「Tarkovが難しすぎて挫折した自分でも、Marathonはちゃんとゲームとして楽しめた。あの緊張感を、もっとアクセスしやすい形で体験できる。Bungieがやりたかったことが分かる気がする」

Steam レビュー — 元Tarkovプレイヤー / 

「銃を撃つという感覚そのものが圧倒的。HaloもDestinyも作ってきたBungieのDNAが銃の一発一発に宿っている。この感触は他では味わえない」

ゲームエイト レビュー / 

「ハッキリ言う。UIが最悪。最初の2時間は何をやっているか全くわからなかった。でもそこを乗り越えたら面白かった。Bungieはここを早急に改善すべき」

Steam レビュー — 20時間プレイ / 

「アートスタイル、サウンドトラック、雰囲気が全部最高。こんな世界観のゲームを今まで見たことがなかった。抽出シューターが苦手な人でも、この世界に浸るために買う価値はある」

Steam レビュー — クリエイティブ系プレイヤー / 

「ソロで遊ぶにはかなり厳しいゲームです。フルスタックの3人チームが来たとき、逃げるか戦うかの判断が難しすぎる。一人でも気軽に遊べる仕組みをもう少し工夫してほしかった」

Metacritic ユーザーレビュー / 

「シーズナルリセットがある種のリフレッシュになっている。Destinyで10年やってきた人間として、このサイクルはBungieらしくて好きだ。ゴールがリセットされるから、また走りたくなる」

Reddit / r/Marathon / 

「日本のゲームレビューサイトでの評価が高いのは納得。UIの問題はあるけど、緊張感のある設計はほかのFPSにはない体験。アイテムを漁る瞬間から脱出まで、ずっとドキドキが続く」

ゲームトッカ レビュー / 

「批評家が81点をつけた理由は分かる。でもユーザースコア5.7に引っ張られて敬遠するのはもったいない。あの数字はレビュー爆撃の産物で、実際のゲームとは別物だ」

Invision Game Community / 

似たゲームと比較:Marathonはどこに位置するか

Marathon 比較 — 抽出シューターの中でのMarathonの立ち位置とゲームプレイ

抽出シューターというジャンルは近年急成長しており、Marathonが参入した2026年時点で選択肢は増えている。Marathonがどの位置にあるかを理解するために、主要な競合タイトルと比較する。

  • Escape from Tarkov——抽出シューターの「教典」。リアリズムと複雑さで圧倒的。Marathonより10倍難しいがコアファンは多い。
  • Hunt: Showdown 2——バウンティハント型のPvPvE。西部劇と怪奇の世界観が特徴。Marathonと最も似た立ち位置だが、より遅い展開。
  • ARC Raiders——2026年にMarathonと同時期に注目を集めたタイトル。よりPvE寄りでカジュアル層向け。Marathonと真逆のデザイン思想。
  • Destiny 2——Bungieの前作にして現行作。PvPvEではなく、より協力プレイ寄り。Marathonとは兄弟的な関係にある。
  • The Finals——破壊可能環境が特徴の競技系シューター。抽出要素はないが、同様に「短命リスク」と「報酬」のバランスで刺激を生む設計。
  • Dark and Darker——ファンタジー世界の抽出シューター(一人称視点ダンジョンクロウラー)。装備消滅の恐怖はMarathonと共通するが、ペースは大きく異なる。
  • Apex Legends——同じくランナークラスと高機動FPSが特徴のバトルロワイヤル。Marathonのクラスシステムに似た部分があるが、ゲームループは別物。
  • Call of Duty: Warzone——バトルロワイヤルの定番。Marathon参入前にFPS競合として比較されていたが、ジャンルは異なる。

深掘り:Marathonが「挑戦」した理由を考える

Bungieが抽出シューターを選んだ理由は何だったのか。開発インタビューや公式コメントを整理すると、いくつかの意図が見えてくる。

まず「Destinyの次」という文脈がある。Destiny 2は10年近くに渡って運営された大型ライブサービスゲームだが、2024年頃から「縮小フェーズ」に入った。Bungieは次の主力タイトルを必要としていた。その候補として「抽出シューターというジャンルに、Bungieの銃撃感を持ち込んだら何が生まれるか」という問いが出てきたのは自然な流れだ。

次に「原点回帰」という側面がある。1994年のMarathonシリーズは、当時のFPSとしては珍しく複雑な物語を内包したゲームだった。端末から拾い読みするテキスト、AIキャラクターとの関係、宇宙の彼方で起きている出来事の断片——この「世界を読む」体験は、後のHaloのコーデックス、Destinyのグリモアカードへと受け継がれた。2026年版Marathonでも、マップ内の端末やシーズナルエピソードを通じて世界観を掘り下げる設計は健在だ。ゲームプレイと物語が別々に存在するのではなく、「戦って、生き延びて、世界を知る」という体験が統合されている。

三つ目に「難しすぎないライン」の意識がある。TarkovはPC市場でカルト的な人気を誇るが、開発チームのBSGは長らく小規模で、クオリティの波が大きい。Hunt: Showdownは完成度が高いが、ペースが遅くてアクション系プレイヤーには刺さりにくい。この隙間——「適切な緊張感があって、でもアクション的な快楽もある」——に入り込む意図がMarathonにはある。それは「1.2万円のゲームよりも5,500円で出す」という価格設定にも反映されている。

もちろん現実は複雑だ。発売初週のピーク同時接続数は約47万8,000人だったが、3月末には34万5,000〜38万人台に落ち着いた。累計売上は推定120万本以上。Destinyの初期ほどではないが、新IPとしては健闘している数字と見ることができる。ただし「Bungieの新作」への期待値を考えると、一部のアナリストは「期待を下回った」と評価している。

2026年内の無料アップデートがどれだけコミュニティを引きとめられるか、シーズン2・3でのコンテンツ追加がプレイヤー数をどこまで回復させるか——Marathonの本当の評価は、1年後に定まるだろう。それはDestinyが辿った道と、同じ轍かもしれない。

マップとゲームモード:タウ・セティIVの世界を歩く

発売時点でMarathonには複数のマップが用意されている。いずれもタウ・セティIV植民地の異なるエリアを舞台にしており、廃墟となった研究施設、荒れた自然地形、UESC(人類宇宙探検軍)のセキュリティ拠点などが混在する。各マップには脱出ポイントが設けられており、プレイヤーはそこへ到達することで帰還できる。

シーズン1ではコミュニティの進行状況によってアンロックされる「Cryo Archive(クライオアーカイブ)」という第4ゾーンが用意されており、Marathonという名の宇宙船の内部に踏み込む体験が待っている。この「コミュニティ全体で解放するコンテンツ」という設計は、Destinyのシーズンイベントを思わせるBungie独自のアプローチだ。

ゲームモードとしては通常の抽出モードに加え、ランクモードが実装済みだ(3月中旬に追加)。また「スカベンジャーモード」という特殊なモードでは、Rookクラスを使って装備なし・リスクなしで既進行中のマップに乱入できる。これは「本格的に始める前にゲームの雰囲気を掴みたい」というプレイヤーへの入口として機能している。

サウンドとミュージック:聴覚体験も別格

Marathonのサウンドデザインへの評価は、銃撃感の評価と同じくらい高い。シールドブレイク時の特有の音、足音の質感の違い、遠距離戦と近距離戦での音の変化——これらは戦略的な情報として機能しつつ、プレイヤーに快楽をもたらす設計になっている。

サウンドトラックはゲームのビジュアルと同様に独創的だ。シンセサイザーと打楽器が入り混じった工業的な音楽は、廃墟の世界観と完璧にシンクロしている。「このゲームのBGMのためだけに買う価値がある」というレビューが実際に存在するほど、音楽面での評価は高い。開発時のサウンドチームへのインタビューでも、「視覚的なレトロフューチャリズムを音でも実現することにこだわった」という発言が出ている。

技術面とパフォーマンス:快適さと課題

PC版(Steam)の動作については、発売直後からFPS低下やラグの報告が出ていた。日本語のレビューでも「FPSカクつきが抽出シューターでは致命傷」という指摘が上がっていた。Bungieは発売後の数週間で複数の最適化パッチを当てており、執筆時点(2026年4月)では改善が進んでいる。

PS5版は技術的な安定性が高く評価されている。コントローラーのハプティックフィードバックと適応型トリガーへの対応が実装されており、DualSenseの機能を活かした撃ち心地の向上が報告されている。PC版との完全クロスプレイにより、PS5プレイヤーとSteamプレイヤーが同一ロビーで遊べる。

推奨スペック(PC)は中〜高スペックのゲーミングPCが前提で、RTX 3070相当以上が快適プレイの目安とされている。最低動作環境はRTX 2060相当だが、最高画質での60fps安定は難しい。ゲームの視覚的な複雑さを考えると、ある程度のマシンパワーは必要だ。

初心者が最初に知っておくべきこと

Marathonを始めたばかりのプレイヤーが「難しすぎる」「何が起きているか分からない」という状態に陥りやすいのは事実だ。ここでは最初に知っておくと差がつくポイントをまとめる。

まず「失うことを怖れすぎない」マインドセットが重要だ。最初の数時間は装備を失って当然と割り切り、ゲームの流れとマップ構造を覚えることに集中したほうがいい。高価な装備を持ち込むのは、マップの地形と敵の動きを把握してからで十分だ。

次に「帰還ルートを先に確認する」習慣をつけることだ。抽出シューターの基本中の基本だが、Marathonはマップが入り組んでいるため、入るときに「どこから出るか」を意識していないと、アイテムを集めてから迷子になるという最悪のケースが起きる。

ランナー選択については、最初はVandal(高機動)かThief(アイテム収集特化)から始めることをすすめる。Vandalistは逃げ足が速く、ピンチをしのぎやすい。ThiefはアイテムをよりたくさんもてるためPvEで稼ぎやすく、資産を積み上げながらゲームを学べる。

フレンドと3人で始めることができるなら、それが最善だ。孤立した状態での戦闘は全員に不利で、通信ができる3人チームは情報共有だけでかなりの優位を持てる。ボイスチャットとポジション報告を組み合わせた動き方は、このゲームを劇的に楽しくする。

まとめ:Marathon(マラソン)は「誰のためのゲーム」か

正直に言う。Marathonは万人向けではない。初心者を優しく迎え入れるオンボーディング、UIのわかりやすさ、ソロプレイ体験の快適さ——これらの点で明確な課題がある。Metacriticのスコアはレビュー爆撃で歪んでいるが、批判の中には的を射た指摘も含まれている。

一方で、Marathonが「正しく」ハマった人間にとっての体験は、現行のFPSゲームの中でも際立っている。Bungieの銃撃感、独自のアートスタイル、7種のランナークラスが生み出す戦術の多様性、失うリスクが生む本物の緊張感——これらが組み合わさったとき、抽出シューターというジャンルに「サイバーパンクの詩情」が生まれる。

$39.99(約6,000円)という価格と、2026年内の無料アップデート方針を考えれば、「試してみる」ハードルはかなり低い。TarkovやHunt: Showdownで挫折経験がある人、Destinyを長年プレイしてきた人、抽出シューターに興味があるがためらっていた人——この三者には、特に強くすすめたいゲームだ。

Marathonが真に「成功した」と言えるかどうかは、2026年末のプレイヤー数と、シーズン2・3のコンテンツ品質が決める。ただ少なくとも今この瞬間、タウ・セティIVの廃墟には戦う理由がある。Cryo Archiveの扉が開くとき、そこに何があるのかを見届けたいという気持ちが、自分の中に確かにある。

それがBungieの作るゲームの、変わらない力だと思う。


よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次