American Truck Simulator|広大なアメリカを走るトラック運転シム
「ただ走っているだけなのに、なぜかやめられない」
American Truck Simulatorをひと言で表すなら、これに尽きる。カリフォルニアの乾いた砂漠を抜け、ネバダのネオンが輝くラスベガス近郊を通り過ぎ、テキサスの果てしないまっすぐな高速道路を何十マイルも走り続ける。ラジオからカントリーミュージックが流れて、エンジンの振動音だけが耳に残る。そういう時間が、なぜだかとても心地よい。
このゲームを最初に起動した日のことを覚えている。「トラックゲームか、ちょっと試してみるか」くらいの軽い気持ちだった。それが気づいたら深夜2時になっていた。ネバダの荒野をただひたすら走りながら、ゲームをやっているのか、疲れを癒しているのか、もはや区別がつかなくなっていた。
Steamのレビューは現在91,000件以上で「圧倒的に好評」(97%)という評価を維持している。これはゲームとしての完成度が証明された数字だ。開発元はチェコのSCS Software。この小さなプラハのスタジオが、なぜかアメリカの大地をこれほどリアルに再現してしまった。
この記事では、American Truck Simulator(略称ATS)の魅力を徹底的に掘り下げる。ゲームの基本から上級システム、DLCの選び方、初心者が陥りがちな失敗まで、実際に遊んで感じたことを正直に書いていく。
こんな人におすすめ

ATSがどんな人に刺さるのかを先に書いておく。「自分は当てはまるかな」と確認しながら読んでほしい。
ドライブが好きな人・長距離運転が好きな人
実際の車の運転が好きで、長距離ドライブに出かけるのが趣味という人には間違いなくはまる。ゲームではあるが、「走る感覚」「景色が変わっていく感覚」「目的地に近づく感覚」がリアルに再現されている。ハンドルコントローラーを使えば没入感はさらに上がるが、キーボードとマウスでも十分楽しめる。
アメリカという国が好きな人・西部劇が好きな人
ルート66を走ってみたい、グランドキャニオン周辺の荒野を見てみたい、テキサスの広大な平原を体感したい——そういう憧れをゲームで疑似体験できる。グーグルマップで衛星写真を見ながら「ここを本当に走れたら」と思ったことがある人なら、ATSはその答えになる。
「癒し系」「まったり系」ゲームが好きな人
激しいアクションや複雑なパズルではなく、ゆったりと遊べるゲームを求めている人にとって、ATSは最高の選択肢のひとつだ。仕事帰りに「今日は疲れたから頭を使わずにゆっくりしたい」というときに起動すると、不思議と気持ちがほぐれていく。
経営シミュレーションが好きな人
トラック一台でスタートして、会社を成長させ、複数の車両と従業員を持つ大企業に育てていくプロセスに達成感を感じる人にも向いている。序盤はひたすら自分で運転して稼ぎ、中盤以降は経営者目線でドライバーを管理する——この二段階の楽しみ方がATSの奥深さだ。
カスタマイズが好きな人
トラックの塗装、エンジン、排気管、内装、ホーン——細かいところまでいじれる自分だけの一台を作る楽しさを求めている人にも刺さる。実在するメーカーのライセンスを取得したトラックが登場するため、本物志向のマニアにもたまらない内容になっている。
逆に向いていない人
「アクション要素がほしい」「敵と戦いたい」「スピード感のある展開が好き」という人には刺さらない可能性がある。このゲームは基本的に制限速度を守ってトラックを走らせるゲームなので、刺激を求める人には物足りないかもしれない。ただし、「思ってたより楽しかった」という声も非常に多く、やってみて初めてわかる楽しさがある。
ゲーム概要
どんなゲームか
American Truck Simulatorは、SCS Softwareが開発・販売するトラック運転シミュレーションゲームだ。プレイヤーはアメリカの道路をトラックで走り、各地に荷物を届けながらキャリアを積んでいく。
ゲームを起動すると、まずゲーム内のアメリカ大陸の地図が広がっている。プレイヤーはその地図上の都市を起点に、指定された目的地まで荷物を運ぶ。カリフォルニアのサクラメントから、ラスベガスを経由してアリゾナのフェニックスまで。あるいはコロラドのデンバーからテキサスのダラスまで。距離にして数百マイル、時間にして数時間分のルートを走り続ける。
リアルタイムではなくゲーム内時間が加速されているため、実際のプレイ時間は1回の配送で30分〜1時間程度が多い。もちろん設定を変えれば等速で楽しむこともできる。
交通ルールは実際のアメリカに準拠している。制限速度(高速では65〜70mph、市街地では35〜45mph)、信号、一時停止、追い越し禁止——違反すると罰金が科される。初めて遊ぶと「え、こんなに厳しいの?」と驚くかもしれないが、これがリアリティの源でもある。
開発元SCS Softwareについて
SCS Softwareは1997年にチェコのプラハで創業されたゲームスタジオだ。名前はSebor、Cesky、Seborという3人の創業者の頭文字から来ている。会社の規模はそれほど大きくないが、トラックシミュレーションというニッチなジャンルを長年掘り下げ、世界中にファンを抱える作品を作り続けてきた。
2008年に「Euro Truck Simulator」を、2012年に続編「Euro Truck Simulator 2」をリリースし、後者は今もSteamで圧倒的な人気を誇る長寿タイトルになっている。その成功を受けて開発されたのがAmerican Truck Simulatorで、2016年2月2日に正式リリースされた。
SCS Softwareの特徴はアップデートとDLCへの真摯な姿勢だ。リリースから9年以上が経過した現在も、無料アップデートで新機能を追加し続けており、ゲームの品質は毎年着実に向上している。ベースゲームを買えば将来のアップデートも無料で受け取れるという姿勢は、長くプレイするほど得をするゲームデザインになっている。
2025年8月にはPlayStation 5とXbox Series X|Sへの公式対応が発表されるなど、コンソール展開も進めており、更なるプレイヤー拡大が期待されている。

Euro Truck Simulator 2との違い
ATSを語る上でEuro Truck Simulator 2(ETS2)との比較は避けられない。どちらもSCS Softwareが開発したトラックシミュレーターで、ゲームシステムは酷似している。
一番大きな違いは舞台だ。ETS2がヨーロッパを走るのに対し、ATSはアメリカの西部を中心に走る。道の雰囲気がまったく違う。ヨーロッパは曲がりくねった道や歴史的な街並みが特徴的なのに対し、アメリカは直線の長い砂漠の道や広大な平原、ダイナーやモーテルが点在するルート66的な風景が広がっている。
トラックの種類も違う。ATSにはKenworth、Peterbilt、Freightliner、Mack、International、Volvo、Western Starといったアメリカの有名ブランドが揃っている。特にKenworthのW900やPeterbiltの389のような、大きなエンジンフードが前に突き出た「ボンネットトラック」(キャブオーバーではないタイプ)はアメリカならではのデザインで、一度乗ると病みつきになる。
また、ATSはETS2をベースに改善が加えられていて、自動料金所(E-ZPass的なシステム)の再現や、交通違反を取り締まる警察車両の実装など、よりアメリカらしい要素が盛り込まれている。
ゲームシステム詳細

基本的な流れ:スタートからプロドライバーへ
ゲームを始めると、自分のキャラクター(ドライバー)のホームシティを選ぶところからスタートする。最初は所持金がほとんどないため、まずは「クイックジョブ」を使って稼いでいく。
クイックジョブとは、すでにトラックに荷物が積まれた状態で出発できるお仕事マッチングのような仕組みだ。自分のトラックを持っていなくても、他の会社のトラックを借りる形で配送を行い、報酬を受け取れる。初期費用なしで始められるので、ゲームの操作感に慣れるための期間として活用できる。
クイックジョブをこなしながらお金と経験値を貯め、ある程度たまったところで最初のトラックを購入する。これが大きな節目だ。「ローンを組んで新車を買うか、中古を一括で買うか」という選択は、リアルな意思決定の練習にもなっている。
トラックを手に入れたら、今度は自分のトラックで「フリーランス」の仕事をこなしながら資金を増やす。ある程度の規模になったらガレージを購入し、追加のトラックを買い、ドライバーを雇用して会社を大きくしていく。
この成長のプロセスが非常によくデザインされていて、「もうちょっとで新しいトラックが買える」「もう少し稼げばガレージを拡張できる」という気持ちが常に続いていく。RPGのレベルアップ感覚に近い中毒性がある。
トラック運転システム
ATSの運転システムは、シミュレーターとしての本格度を自分でコントロールできるように設計されている。難しい設定はすべてオフにして遊ぶこともできるし、リアリティを追求したフル設定で遊ぶこともできる。
ミッション設定(難易度の自由度)
ゲームの設定画面では以下のような項目を個別にオン/オフできる:
- 自動変速 or マニュアル変速(トラックは12〜18段変速が基本)
- エアブレーキのシミュレーション
- 疲労システム(一定時間走ると休憩が必要)
- 燃料切れのリスク
- 交通違反罰金
- 駐車難易度(簡易モードだと自動で駐車位置を選べる)
初心者は全部オフで始めて、慣れてきたら少しずつオンにしていくのがおすすめだ。マニュアル変速でプレイすると運転への没入感が段違いに上がるが、最初は自動変速から入った方がゲーム本来の楽しさを体験しやすい。
操作デバイスについて
ATSはキーボードとマウスで十分プレイできるが、ゲームパッド(Xbox/PlayStation互換)を使うと操作がぐっと快適になる。ハンドルの細かいコントロールがアナログスティックで自然にできるからだ。
そして「ステアリングホイール(ハンドル型コントローラー)+ペダル」の組み合わせは、このゲームの没入感を別次元に引き上げる。Thrustmaster T150、Logitech G29/G920あたりが人気で、これらを使ってプレイするとアメリカのドライバーに本当になったような感覚になる。値段は2〜3万円程度からで、ATSとETS2のために買ったとしても後悔しない投資だと思う。
さらにVRヘッドセットにも対応しており、MetaQuest 2/3やValve IndexなどのPC VRで遊ぶことができる。VRでトラックのキャブに座ったとき、目の前に広がるアメリカの大地を見たときの感動は格別だ。
クルーズコントロールの活用
長距離運転では「クルーズコントロール」が欠かせない。設定した速度で自動的に走り続けてくれる機能で、手動で加速し続けなくて済む。高速道路での長距離走行中はほぼこれを使いながら景色を楽しむ形になる。
制限速度が変わったときや、坂道での速度管理など、クルーズコントロールを使いこなせるようになると一気に快適になる。キーボードの場合はZキーやXキーに割り当てられているが、自分でカスタマイズ可能だ。
パーキング(駐車)システム
目的地に到着したらトレーラーを所定の位置に駐車しないと配送完了にならない。これが最初は難しく、後退でトレーラーを誘導するのはかなりの練習が必要だ。
ATSには駐車難易度に段階があり、一番簡単な「簡易駐車」では複数の代替駐車ポジションが表示され、どこかに止めれば完了できる。逆に「通常駐車」を選ぶとより経験値が多くもらえる代わりに、正確な誘導が必要になる。初心者はまず簡易駐車で慣れながら、徐々に本格的な駐車に挑戦していくのがいい。
トラックのカスタマイズシステム
ATSのカスタマイズの奥深さは、ゲームの大きな魅力のひとつだ。自分だけの一台を作る楽しさが、何百時間もプレイを続けさせる原動力になっている。
登場するトラックメーカーとモデル
ゲームに登場するトラックのブランドは以下の通りだ:
- Kenworth:T680、T680 Next Gen、W900など。W900は古典的なボンネットスタイルで、アメリカのトラックといえばこれ、という存在感がある
- Peterbilt:579、389など。389はゲーム内でも特に人気が高く、最大625馬力のエンジンを積める。ロングノーズのシルエットが美しい
- Freightliner:Cascadiaなど。燃費と快適性のバランスが取れた現代的なトラック
- Mack:Anthem、Pinnacleなど。重厚感のあるデザインで、長距離よりも重量物輸送向き
- International:LT、LTなど。業務用らしいシンプルなデザイン
- Volvo:VNL、VNRなど。ヨーロッパ系メーカーだが北米仕様の設計
- Western Star:49Xなど。レトロな雰囲気とモダンな性能を兼ね備えた個性派
これらすべてが実在するブランドで、正式ライセンスを取得して再現されている。ディーラーに行くと実際のトラックと同じ名前のモデルが並んでいて、マニアはたまらない。
カスタマイズできる要素
各トラックは以下の要素をカスタマイズできる:
- エンジン:出力(馬力)の違うエンジンを選べる。燃費と出力のトレードオフを考えながら選ぶのが楽しい
- トランスミッション:段数と種類(オートマ、マニュアル、AMT)
- キャビン:日帰り用のショートキャビンから、宿泊スペース付きのスリーパーキャビンまで
- シャシー:4×2(2軸)から8×4(4軸)など、トレーラーとの組み合わせに合わせて選択
- 排気システム:スタックの形や位置。視覚的な個性出しに大きく貢献する
- エアホーン:形と音が変わる。リアルな音にこだわるマニアも多い
- バンパー・スカート:前後のバンパーデザインやサイドスカートの有無
- ライト:ヘッドライトの形、追加のルーフライト
- 内装:シートカバー、カーテン、ダッシュボード装飾
- ペイント:何十色ものカラーに加え、DLCでペイントジョブ(デザイン)を追加できる
パーツを全部組み合わせると、同じモデルのトラックでも完全に異なる見た目になる。「俺の一台」を作り上げていく過程は、トラックゲームという枠を超えた楽しさがある。
会社経営システム
ATSはトラックを走らせるだけのゲームではない。最終的な目標は、自分のトラック輸送会社をアメリカ最大の企業に育て上げることだ。
ガレージの拡張
ゲーム内では各都市にガレージを購入できる。最初のガレージは「極小」サイズで、駐車できるトラックは1台のみ。資金を貯めながら拡張し、最終的には1つのガレージで数台のトラックを置けるようになる。
ガレージを複数の都市に持つことで、ドライバーをそれぞれの拠点で運用できる。東海岸と西海岸に別々のガレージを持ち、効率的に荷物を捌いていく——経営シミュレーションの醍醐味だ。
ドライバーの雇用と管理
ドライバーを雇うには、まずガレージに空きスペースとトラックが必要だ。雇ったドライバーはプレイヤーが操作しない間も自動的に仕事をこなし、収益を生み出してくれる。
ドライバーにはそれぞれスキルがあり、燃費の良さ、走行速度、特殊積荷の扱いなどの得意不得意がある。より優秀なドライバーは高い給与が必要だが、それ以上に稼いでくれる。
ドライバー管理の画面では、現在の仕事の進捗、累計走行距離、経験値なども確認できる。自分のドライバー陣が地図上を動き回っているのを見ているだけでも楽しい。
収益と支出の管理
会社として管理しなければならないのは:
- 燃料費(ゲーム内の燃料価格は州ごとに異なる)
- 修理費(事故や道路の状況でトラックが損傷する)
- 交通違反罰金
- ガレージのローン返済
- ドライバーへの給与
- トラックのローン返済
支出を管理しながら収益を最大化する。これがゲームとして深みを持たせている経営要素だ。ただし経営破綻するようなシビアさはなく、あくまで「楽しみながら会社を大きくする」というトーンに設計されている。
スペシャルトランスポート(特別輸送)DLC
通常の荷物配送とはまったく異なる体験を提供するのが、「Special Transport」DLCだ。このDLCを購入すると、大型・重量物の特殊輸送ミッションが追加される。
工場の大型機械、巨大な風力発電タービンのブレード、建設用の橋梁部品——通常の荷物とは桁違いに大きなカーゴを運ぶのが特殊輸送だ。荷物が大きすぎて一般道路を走れないため、誘導車両が先導する中、徐行しながらルートを進んでいく。
カーブを曲がるたびに荷物が電柱や標識に当たりそうになり、橋を渡るたびに重量制限を気にする。通常の配送とは違う緊張感があり、「ミッション型」の楽しさが味わえる。100種類以上の特殊輸送ジョブが用意されており、やり込み要素として優秀だ。
コンボイ(Convoy)マルチプレイモード
2021年にリリースされたバージョン1.41から、公式のマルチプレイモード「Convoy」が実装された。最大128人(アップデート1.50以降)のプレイヤーが同じゲームワールドに参加できる。
Convoyの特徴は:
- フレンドと同じルートを走れる(同じ仕事を選んで一緒に出発)
- AIトラフィック、天気、ゲーム内時間が全員で同期される
- CBラジオ(Xキー)でのボイス通話機能
- テキストチャット(Yキー)
- ホストによるキック権限など管理機能
フレンドと一緒に深夜のハイウェイを走りながらラジオ代わりにボイスチャットをする——そういう体験がATSで可能になった。一人でのんびり走るのも最高だが、誰かと一緒に走るのも違う楽しさがある。
なお、長年使われてきた非公式マルチプレイMod「TruckersMP」は2026年7月29日にサービス終了が予定されている。現時点ではまだ使えるが、今から始めるなら公式のConvoyを使うのがおすすめだ。
天候・昼夜システムとランダムイベント
ATSのゲーム内世界は動的に変化する。昼間の乾いた砂漠を走っていたと思えば、ゲーム内時間が進んで夕暮れになり、そして深夜の高速道路を一人で走る時間になる。
天候システムも豊富だ。晴天、曇り、霧、雨——州によっては雪が降るエリアもある。雨天での走行はグリップが落ちる表現があり、霧の中を走るときは視界が悪くなる。これらが組み合わさることで、毎回違う雰囲気の走りが楽しめる。
さらにランダムイベントとして、路上の事故現場、道路工事による車線規制、迂回路の発生なども実装されている。いつもと同じルートを走っても、毎回同じというわけにはいかない。これがゲームに自然なリプレイ性を与えている。
DLCマップ:アメリカを広げていく楽しさ
ATSのベースゲームはカリフォルニア州とネバダ州をカバーしている(アリゾナ州は後に無料DLCとして追加)。そこから各州をDLCで追加購入していくことで、ゲーム内のアメリカが少しずつ広がっていく。
現在配信中の主要DLC州
2026年4月時点で配信されているマップDLCの州は以下の通りだ:
- New Mexico(ニューメキシコ):砂漠と荒野の原野。ルート66の雰囲気が色濃く残るエリア
- Oregon(オレゴン):緑豊かな太平洋岸北西部。カリフォルニアとは雰囲気が一変する
- Washington(ワシントン):針葉樹林と山岳地帯。シアトルの都市景観も再現されている
- Utah(ユタ):赤い岩山と塩湖。最も絵になる景色が広がるエリアのひとつ
- Idaho(アイダホ):農業地帯と山地。静かで落ち着いた雰囲気
- Colorado(コロラド):ロッキー山脈を走る。山岳道路での運転は別ゲームのような緊張感がある
- Wyoming(ワイオミング):大平原と牧場地帯。広大で孤独な景色が続く
- Montana(モンタナ):Big Sky Countryの愛称通り、空が広い
- Texas(テキサス):面積が最大。直線道路と石油設備が特徴。他州より価格が高い(約1,800円)
- Oklahoma(オクラホマ):竜巻の州。平坦な草地が延々と続く
- Kansas(カンザス):小麦畑が果てしなく広がる穀倉地帯
- Nebraska(ネブラスカ):コーンベルトの中心地。農業の匂いがするエリア
- Arkansas(アーカンソー):丘陵と森林地帯。2024年に追加
- Missouri(ミズーリ):セントルイスのゲートウェイアーチが印象的。2025年4月追加
- Iowa(アイオワ):トウモロコシ畑の海。2025年7月追加
- Louisiana(ルイジアナ):ジャズの聖地ニューオーリンズを含む南部の州。2025年12月追加
各DLCの価格は約1,200〜1,640円(テキサスのみ約1,800〜2,480円)。セール時は50〜75%オフになることも多く、タイミングを見て購入するとかなりお得になる。
今後の予定
SCS Softwareは継続的に新しい州を追加している。2026年以降の予定として:
- Illinois(イリノイ):2026年前半予定。シカゴが登場することへの期待が高い
- South Dakota(サウスダコタ):2026年中頃予定
- British Columbia(カナダ・ブリティッシュコロンビア州):2026年後半予定。初のアメリカ国外への展開
注目すべきはBritish Columbiaで、初めてアメリカ以外の地域がマップに追加されることになる。バンクーバーから国境を越えてワシントン州に入るルートが実現するかもしれない。
全DLCを揃えるとどのくらいかかるか
正直に書いておくと、全DLCを定価で揃えると相当な費用になる。現時点で16州+カーゴDLC+その他を全部買うと、定価で見ると総額20,000〜25,000円程度になる可能性がある。さらにアメリカ全土(50州)が完成したときに全部揃えるとなると、スチームフォーラムでは「将来的に500ドル超えるかもしれない」という議論もある。
ただし現実的には、Steamのセールで75%オフになることもよくあるので、その都度少しずつ増やしていくのが賢いやり方だ。全部揃えなくても、気に入った州だけを選んで楽しむことで十分に遊べる。まずはベースゲームで楽しんで、そこから少しずつ世界を広げていくくらいの心構えでいい。

カーゴ・トレーラーDLCについて
マップ以外にも、積み荷の種類を増やすDLCが豊富に用意されている。
農業・建設系カーゴDLC
- Krone Agriculture Equipment(2025年):農業機械専門ブランドKroneの機材7種を追加。コンバインやフォレージハーベスターなど、農業ファン必見
- JCB Equipment Pack(2024年):イギリスの建設機械ブランドJCBの重機8種を追加。ショベルカーやテレハンドラーなど
- John Deere Equipment Pack:農業機械大手ジョンディアのトラクターや機材
- Caterpillar Equipment:重機のキャタピラー。工事現場系の輸送が充実
その他のカーゴDLC
- Special Transport:前述の大型特殊輸送。コアなやり込み要素
- Heavy Cargo Pack:超重量物輸送。変圧器、タービン、工場設備など
- Mega Bundle:複数DLCをまとめてお得に購入できるバンドル
ATSが長年愛される理由

Steamで91,000件以上のレビューを集め、その97%が好評という数字は異常とも言える。普通のゲームでは考えられない数値だ。なぜATSはこれほど長期にわたって愛されているのか、いくつかの理由を考えてみた。
理由1:「仕事している感」が意外と気持ちいい
ATSは言ってみれば「架空のトラック運転手の仕事体験」だ。朝、仕事をリストから選んで、荷物を積んで、目的地まで運んで、駐車して納品する——これを繰り返す。リアルの仕事で疲れた頭に、「これも一種の仕事だけど、なぜかストレスにならない」という不思議な体験をする人が多い。
目的が明確で、達成したら報酬がもらえて、次のタスクが用意されている。このゲームループの設計が極めてうまく、「何かを成し遂げた感」が常に得られる作りになっている。
理由2:景色が本当に美しい
ユタ州の赤い砂岩の断崖、コロラドの雪山、オレゴンの霧に包まれた針葉樹林、カリフォルニアの夕暮れ。ATSのビジュアルは最新の3Aタイトルほどリアルではないが、雰囲気の再現が見事だ。Steamのスクリーンショット機能で撮りたくなる場面が何度も出てくる。
「本物のアメリカの風景と比べてどうか」と言われれば当然差はある。だがゲームで旅をしているときの「これどこか見たことある気がする」という既視感と、「こんな場所があるんだ」という発見が交互にやってくるのが楽しい。
理由3:アップデートが止まらない
2016年のリリースから9年以上、SCS Softwareは定期的な無料アップデートを続けている。新機能、グラフィック改善、AIトラフィックの挙動改善、新しい道路の追加、バグ修正——これらが継続的に行われているため、ゲームが「生きている」感じがある。
買い切りゲームでここまでアップデートを続けるスタジオは珍しい。「長く遊べば遊ぶほど良くなっている」というユーザーの信頼が、長年の好評に繋がっている。
理由4:アメリカへの憧れを刺激する
ルート66、グランドキャニオン、ネバダの砂漠、テキサスの石油設備——日本人の多くがアメリカ西部への憧れを持っている。映画やドラマで何度も描かれてきたあの風景を、自分でハンドルを握りながら疑似体験できる。これは単純な旅行シミュレーター以上の価値がある。
理由5:「ながら遊び」と「集中遊び」の両立
ATSは音楽やポッドキャストを聴きながら「ながら遊び」ができる。長い直線道路ではラジオをかけてぼんやりしながら走ればいい。一方、山岳道路の急カーブや複雑な市街地での運転は集中が必要になる。この「ゆったりした時間」と「緊張する場面」のメリハリが、長時間遊んでも飽きない設計になっている。
理由6:Steamワークショップのmod文化
ATSにはSteamワークショップを通じた豊富なMod(改造データ)文化がある。追加のトラック、より精細な地図、リアルなサウンドパック、グラフィック強化、新しい荷物——コミュニティが自作したModを無料で導入できる。
公式ゲームに満足できなくなってきたとき、Modでゲームをカスタマイズすることでさらにプレイ時間が伸びる。この健全なコミュニティが、ATSの長寿に大きく貢献している。

注意点・デメリット
ATSは素晴らしいゲームだが、知っておくべき注意点もある。これを読んだ上で「それでも遊びたい」と思えたなら、間違いなく楽しめる。
注意点1:DLCにお金がかかる
ベースゲームはSteamで通常約1,500〜2,000円程度(セール時はさらに安くなる)だが、コンテンツをフルに楽しもうとするとDLCへの投資が必要になる。前述の通り、全DLCを揃えると数万円規模の費用が発生する可能性がある。
ただし現実的には「Steamセールで75%オフになったものを少しずつ買う」というやり方が賢い。SteamではATSの大型セールが年に数回行われるので、気長に待つ価値がある。ベースゲームだけでも十分楽しめるという点も覚えておいてほしい。
注意点2:最初は地味に感じるかもしれない
起動直後、クイックジョブをこなして最初の10〜20時間は「ただ走っているだけ」という印象を持ちやすい。ゲームの本当の面白さ——トラックを買ってカスタマイズする楽しさ、会社が成長していく達成感——はある程度プレイして初めて見えてくる。
序盤で「これつまらないかも」と思っても、もう少し続けてみることをおすすめする。最初のトラックを買ってカスタマイズした瞬間から、ゲームの印象が変わることが多い。
注意点3:時間泥棒である
これは批判ではなく警告だ。ATSは「ちょっとだけ」と思って起動して、気づいたら3時間経っていることがある。特に長距離ルートに入ってしまうと「もうすぐ着くから」「今はニューメキシコ州内だからもう少し」と心理的に止まれなくなる。
深夜に起動するのは特に危険だ(個人の経験談)。翌日仕事がある日は特に注意してほしい。
注意点4:アクション要素はほぼない
繰り返しになるが、ATSは「ゆっくり制限速度を守って走るゲーム」だ。スリルを求める人、敵と戦いたい人、スピード感が欲しい人には向かない。「退屈なゲームじゃないか」と感じる人も一定数いる。
注意点5:PC環境が必要
2025年8月にPS5とXbox Series X|Sへの対応が発表されたが、2026年4月時点ではまだコンソール版はリリースされていない。現時点ではPC(Windows、Linux、macOS)でのプレイが前提となる。
PCのスペックは比較的低くても動作するゲームで、推奨スペックはCore i7相当のクアッドコアCPUと、GTX 760クラスのGPU(VRAM 2GB以上)、メモリ6GB。2020年以降に買った普通のゲーミングPCであれば問題なく動く。
初心者へのアドバイス

これから始める人のために、実際に遊んで感じた「最初にやっておくとよいこと」を書いておく。
アドバイス1:最初は難易度を下げて楽しむことを優先する
ゲーム設定で「オートマチック変速」「疲労なし」「簡易駐車」にして始めるのが強くおすすめだ。最初から全部リアル設定にすると、コントロールの難しさや規則の厳しさに圧倒されてゲームそのものの楽しさを見失いやすい。
まず「アメリカを走る体験」を楽しむこと。慣れてきたら少しずつ難易度を上げていけばいい。
アドバイス2:最初のトラック購入を焦らない
クイックジョブで十分にお金を貯めてからトラックを買う方が心理的な余裕が生まれる。急いでローンで高いトラックを買うと、返済のために毎回仕事を選ぶ余裕がなくなる。まずは30〜40時間遊んでゲームの感覚をつかんでから自分のトラックを手に入れると、喜びが大きい。
アドバイス3:ルートは計画的に選ぼう
長距離ルート(500マイル以上)を選ぶと1回のプレイが1時間以上かかる。「今日は1時間しか遊べない」という日は、短距離ルートを選ぶようにしよう。時間が読めないと生活に支障が出る(体験談)。
アドバイス4:クルーズコントロールを早めに習得する
長距離を走るなら必須の機能だ。デフォルト設定ではZキーでオン/オフ、XキーとCキーで速度調整のことが多い。自分のキーボード設定を確認して、すぐに使えるようにしておこう。
アドバイス5:ゲーム内ラジオを活用する
ATSにはゲーム内に音楽ストリーミングラジオが内蔵されている。アメリカのリアルなラジオ局の音楽がかかり、走りながら聴けるのが最高だ。カントリーミュージックからロック、ヒップホップまで選べる。これだけでドライブの没入感が段違いに上がる。
アドバイス6:焦って追い越しをしない
ATSの交通違反罰金の中で最も罰金が大きいのが速度超過だ。特に市街地で制限速度をオーバーすると、稼いだ報酬がほぼ吹き飛ぶ。慌てて前のAIトラックを追い越そうとすると事故になることも多い。「急いでも損」という実世界の真理がATSにもある。
アドバイス7:バックアップ(後退)の練習をしよう
トレーラーを連結した状態でのバックは、最初は誰でも苦労する。ハンドルを切った方向と逆にトレーラーが曲がる感覚は直感に反する。最初は「簡易駐車」モードで練習しながら、少しずつ「正規駐車」に挑戦していくといい。コツをつかめた瞬間の達成感は大きい。
アドバイス8:ゲームパッドがあると快適
キーボード+マウスでも遊べるが、ゲームパッドがあると操作が格段に快適になる。特に左スティックでのハンドル操作はアナログ入力ならではの細かいコントロールができて、コーナーでの運転が自然になる。手持ちのXboxコントローラーやDualShockでそのまま使える。

MODについて
ATSのもう一つの楽しみ方として、MOD(改造データ)の活用がある。SteamワークショップにはATSの膨大なMODが無料で公開されており、ゲームの幅を大きく広げてくれる。
おすすめMODジャンル
グラフィック強化MOD
「Realistic Graphics Mod」などのグラフィック強化MODを導入すると、空の色、日差しの表現、路面の質感などがリアルになり、スクリーンショットが格段に映える。フォトリアリズムを求める人には必須級のMODだ。
リアルサウンドMOD
エンジン音、ホーン、ブレーキ音などを実際のトラックに近い音に変えるMOD。特にハンドルコントローラーと組み合わせると、本物のトラックに乗っているような没入感が得られる。
AIトラフィック増強MOD
「Real Traffic Density」などを使うと、高速道路の交通量がよりリアルになる。空っぽすぎる高速道路にうんざりした人向け。
追加トラックMOD
公式では出ていないトラックモデルを追加するMOD。日本のトラック(いすゞ、三菱ふそうなど)を追加するMODも存在する。
追加マップMOD
公式DLCとは別に、コミュニティが作ったマップ拡張MODも存在する。詳細な都市部の再現や、DLCが出ていない州の簡易マップなど、種類は豊富だ。
MODはSteamワークショップから「購読」するだけで自動的にダウンロードされ、ゲーム起動時に読み込まれる仕組みになっている。導入の敷居が低いので、気に入ったものを試してみることをおすすめする。
Euro Truck Simulator 2との比較

「ATSとETS2、どちらを買えばいいか」という質問はよく聞かれる。どちらも同じ開発元で、ゲームシステムはほぼ同じだ。選び方はシンプルで、「どちらの景色を走りたいか」で決めていい。
| American Truck Simulator | Euro Truck Simulator 2 | |
|---|---|---|
| 舞台 | アメリカ西部〜中部 | ヨーロッパ各国 |
| 道路の特徴 | 直線、砂漠、広大な空 | 曲道、歴史的街並み |
| トラックの種類 | 北米型ボンネットトラック | 欧州型キャブオーバー |
| 料金所 | 自動(E-ZPassシステム) | 国境越えあり |
| 速度制限 | mph(マイル)表示 | km/h(キロ)表示 |
| マップの広さ | 約19州(2026年4月時点) | 欧州約40か国 |
どちらか一方を選ぶとすれば、アメリカ的なものへの憧れがある人はATS、ヨーロッパ旅行のような雰囲気が好きな人はETS2がおすすめだ。両方持っている人も多く、雰囲気で気分に合わせて切り替えて楽しむのも良い選択肢だ。
PC環境・動作スペックについて
ATSは比較的軽いゲームなので、新しいPCでなくても動作する。公式推奨スペックは以下の通り:
最低動作環境
- OS:Windows 7/64bit
- CPU:デュアルコア 2.4GHz
- メモリ:4GB RAM
- GPU:GeForce GTS 450相当(Intel HD 4000も可)
- ストレージ:7GB
推奨動作環境
- OS:Windows 7/8.1/10/11
- CPU:クアッドコア 3.0GHz以上
- メモリ:6GB RAM以上
- GPU:GeForce GTX 760相当(VRAM 2GB以上)
- ストレージ:7GB以上(DLC追加で増加)
2019年以降に購入したゲーミングPCなら、まず問題なく推奨設定で動作する。グラフィック設定を高くして走りたい場合は、より良いGPUがあった方が快適だが、設定を中程度にすればかなり古いPCでも遊べる。
WindowsだけでなくLinuxとmacOSにも対応しているのも特徴だ。ただしmacOS版は動作が不安定な報告もあるため、快適に遊ぶならWindowsが推奨される。
まとめ
American Truck Simulatorは、「ゲームである必要はないけれど、ゲームだからこそできる体験」を提供してくれる作品だ。
実際のアメリカに行けなくても、荒野を走る感覚を体験できる。本物のトラック運転手になれなくても、巨大なKenworthのハンドルを握ってネバダの砂漠を突っ走れる。会社を一から作り上げる夢を、100時間かけてゲームの中で実現できる。
「ただ走っているだけ」がなぜこんなにも心地よいのか——最初は不思議に思うかもしれない。でも1000km走ってみれば、きっとわかるようになる。Steamのレビューに「1000時間以上プレイしていておすすめ」という評価が山ほどある理由が。
もし迷っているなら、まずベースゲームを手に入れてみてほしい。セール時には300〜500円程度で買えることもある。それで「自分には合わない」と感じたとしても、損害は小さい。でも「これだ」と感じたなら——あなたはこれから何百時間もアメリカの大地を走り続けることになる。
広大なアメリカが待っている。ハンドルを握って、高速道路に乗り出そう。

American Truck Simulator 基本情報
- 開発・販売:SCS Software
- リリース日:2016年2月2日
- 対応プラットフォーム:Windows / Linux / macOS(PS5・Xbox Series X|S対応予定)
- Steam AppID:270880
- Steamレビュー:91,000件以上、97%好評(圧倒的に好評)
- ジャンル:ドライビングシミュレーション、経営シミュレーション
- 日本語対応:あり(テキスト日本語化済み)
American Truck Simulator
| 価格 | ¥2,780 |
|---|---|
| 開発 | SCS Software |
| 日本語 | 非対応 |
| 対応OS | Windows / Mac / Linux |
| プレイ形式 | シングル / マルチ |

