デモを起動して最初の15秒、主人公のチャーリー・ディスコがシルエット状態のまま突然踊り始めたとき、「あ、これはやばいやつだ」と確信した。チュートリアルすら始まっていないのに、画面の中でキャラクターが楽しそうにステップを踏んでいる。そのノリとセンスだけで、このゲームが何をやりたいのかが伝わってくる。
Dead as Discoは、リズムに合わせてパンチを打ち、蹴り、コンボをつなげていくビートエムアップだ。ジャンルとしてはアクションゲームに分類されるが、正確にはリズムゲームとアクションゲームが完全に融合した、新しいカテゴリーのタイトルと言っていい。音楽に乗って戦う気持ちよさと、格闘ゲームのコンボを決める快感が、同時に味わえる。
開発元はBrain Jar Gamesという2024年創業の新スタジオ。BioWare、Super Evil Megacorp、Trion Worldsといったゲーム業界の大手で経験を積んだベテランたちが集まって立ち上げた完全リモートのチームだ。デビュー作にこのゲームを選んだセンスが、すでにおかしい(褒めている)。
2025年5月29日にSteamでデモが公開されると、瞬く間にTikTokを中心に3億回以上の動画再生が生まれ、プレイヤー数は122万人を突破。Steamのデモレビューは98%の「圧倒的に好評」を記録した。インディーゲームがここまで短期間でバイラルになるのは、2023年のHi-Fi RUSHの衝撃を思い起こさせる。
こんな人に読んでほしい

- Hi-Fi RUSHが大好きで、あの感覚をもっと遊びたい人
- 音楽に乗りながら戦うゲームに興味がある人
- 好きな曲を自分でゲームに取り込みたい人
- インディーゲームの注目株を早めに押さえておきたい人
- ネオン輝くグラインドハウスビジュアルに惹かれる人
10年ぶりの再会コンサート、その裏に隠された真相

Dead as Discoのストーリーは、音楽業界のダークサイドを舞台にした復讐劇だ。
かつて伝説的なバンド「Dead as Disco」を組んでいたメンバーたちが、10年の時を経て再結集する。目的は、亡くなったドラマー、チャーリー・ディスコを追悼するコンサート。しかしその裏には、誰かが意図的に彼を消したという疑惑が渦巻いている。
そのチャーリーが、復讐のために一夜だけ蘇った。謎めいた状況で命を落とした自分の死の真相を暴くため、元バンドメンバーたちと対峙していく。生前の仲間たちは今や「アイドル」と呼ばれる音楽界の大物となっており、それぞれが独自の音楽スタイルと配下のグループを持っている。
最初に立ちはだかるのが、バンドのベーシストだったヘムロックだ。ピンクと黒のモヒカン、骸骨が浮かぶ緑の毒液が詰まったジャー型の頭部、スパイクのついた黒革ジャン。見た目からして「音楽」と「毒」と「パンク」が混ざり合ったキャラクターで、地下コンサートを舞台にした対決では、彼がステージ上でエレキギターを弾きながらチャーリーを歓迎(もちろん敵として)してくれる。
ヘムロックを倒した後のチャーリーの行動が印象的だった。相手のギターを奪い取って頭に叩きつけ、最後はドラムスティックを目に投げ込む。セリフより行動で語るタイプの主人公だ。
バンドの残り6人のアイドルたちも同様に個性豊かな存在として描かれており、それぞれが独自の音楽ジャンル・戦闘スタイルを持つ。チャーリーがアイドルたちと対決し、その音楽的な道を極めることで、新たな能力・技・ダンスを習得していく成長システムも組み込まれている。
「主人公が蘇った死者という設定は、ゲームのトーンを絶妙に調整している。シリアスすぎず、コメディすぎず、バカバカしいほどスタイリッシュ。まるでカルト映画をVHSで深夜に発見したみたいな感覚。」
出典:All Game, No Filter — Dead as Disco デモレビュー(2025年9月)
Beat Kune Do — リズムと格闘の完全融合
このゲームの核心は、Beat Kune Doと名付けられた独自の戦闘システムにある。「ビートに合わせた格闘技」という意味で、Bruce Leeの創始した武術「ジークンドー(Jeet Kune Do)」をもじったネーミングだ。
基本は他のビートエムアップと同じだ。通常攻撃、強攻撃、回避、グラップル(フックアクション)を組み合わせて敵を倒す。しかしこのゲームでは、攻撃・回避・パリィのタイミングをBGMのリズムに合わせることで、コンボの威力やスコアに大きな差が生まれる。
ビートに乗って打ったパンチは、外した場合と比べて目に見えてズシリと重い。敵の攻撃をビートと同時にパリィすると、ただのガードが「スタイリッシュな舞いの一部」になる。コンボをつないでいる間に曲がクライマックスに近づくと、戦闘の激しさが自然にエスカレートしていく感覚がある。
Hi-Fi RUSHが環境・UIすべてをビートに合わせて自動的に動かすことで「誰でも気持ちよくなれる」設計だったとすれば、Dead as Discoはより「プレイヤー自身のリズム感」を問う設計に近い。ビートを外してもゲームオーバーにはならないが、外したときの手ごたえの差が、自然と「次はちゃんと合わせたい」という気持ちを引き出す。
「Hi-Fi RUSHのコアコンセプトを引き継ぎながら、よりプレイヤーに挑戦を求める設計。攻撃・回避・コンボすべてがオンビートで撃てたときの爽快感は格別。」
出典:PC Gamer — Dead as Disco レポート(2025年)
グラップルメカニクスも面白いアクセントになっている。遠距離の敵に向けてフックを投げて引き寄せたり、逆に自分が飛びついたりすることで、広いステージ上でも常にコンボが途切れないようにできる。動きが遅い場面でも強制的に密着距離に持ち込めるため、リズムを崩さずに戦い続けられる。
さらにフィーバーモードがある。通常の攻撃テンポよりも速く連打できるモードで、瞬間的な大ダメージを狙える一方、タイミングウィンドウが変化するためリズムを保つのが難しくなる。使いどころを見極める判断力が求められる、良い意味で「ハイリスク・ハイリターン」な要素だ。
Hi-Fi RUSHに親しみがあるプレイヤーなら、この系譜が好きなのは間違いない。
TikTokが火をつけた、122万人のバイラル現象

Dead as Discoが業界内で注目されたのは、ゲームの質だけではなく、その広まり方にある。
2025年6月のSteam Next Festに合わせてデモを公開したところ、TikTokで爆発的に拡散した。驚くべきは、最初のバイラル動画がフォロワー1000人未満のアカウントから生まれ、48時間で200万再生を記録したことだ。その後も次々とユーザー投稿動画が広まり、最終的に3億回以上の再生を生成した。
なぜTikTokで爆発したのか。答えはゲームの見た目にある。ネオンで輝く環境、コミックブック調のグラフィック、ビートに完全シンクロしたド派手なコンボアニメーション。このゲームのプレイ動画は、ただスマートフォンを横向きにして画面録画するだけで、すでに「映える」コンテンツになっている。
開発元Brain Jar Gamesのマーケティング戦略も賢かった。最初にDiscordのファンコミュニティから200人を選んでNDA付きクローズドテストを実施。フィードバックが良好だったため翌週末にNDAを解除し、さらに3000人を招待。そこから口コミが広がり、Next Festの公開デモへと繋がった。この段階的な公開が、プレイヤーに「自分たちが発見した」という感覚を生んだ。
ウィッシュリスト数も1ヶ月で5万件以下から25万件以上に急増。TikTokからのトラフィックがウィッシュリスト流入の50%以上を占めたという。GameDiscoverCoのゲーム産業分析ニュースレターが「インディーゲームのデモ戦略の成功例」として取り上げたほどだ。
Net Promoter Score(顧客推奨度)は初期プレイテストで+93.5、その後8000人以上のフィードバックを経ても+86.5を維持している。これは商業的な大作タイトルでも珍しい水準だ。
自分の好きな曲でゲームを作れる「Songcrafter」
Dead as Discoの最大の差別化要素の一つが、独自技術Songcrafterを使ったカスタム楽曲システムだ。
プレイヤーは自分のPCに保存しているMP3ファイルをゲームにインポートし、Infinite Disco(無限ウェーブモード)でその曲に合わせて戦える。手順はStage Selectから「Import Song」を選んでファイルを選ぶだけ。その後BPM(テンポ)を設定すれば、ゲームが楽曲のリズムを読み取り、戦闘システムと同期させてくれる。
BPM設定は自分でタップしてカウントするか、SongBPMやTunebatといった外部サービスで調べた値を直接入力するかを選べる。対応範囲は60〜320BPMで、ゲームが推奨するのは120〜200BPMの範囲。ラグやオフセットの微調整もスライダーで可能で、Steam Communityには有志による「完璧にビートを合わせるための詳細ガイド」が複数公開されている。
この機能が特に面白いのは、プレイヤーが「自分だけのゲーム体験」を作れる点だ。好きなアーティストの曲をゲームに持ち込んで、その曲に合わせて編集したミュージックビデオ仕立てのプレイ動画をSNSに投稿する——というサイクルがTikTokでの拡散を加速させた大きな理由でもある。
PC Gamerのレビュアーは「rhythm-‘em-upsはサウンドトラックが命」と述べているが、Dead as Discoはその問いに対して「自分でサウンドトラックを持ち込めばいい」という答えを出している。既存のリズムゲームの文法を根本から問い直すアプローチだ。
「自分のプレイリストをそのままゲームに持ち込める機能は、単なる「おまけ」じゃない。これがあることで、このゲームの寿命が根本的に変わる。」
出典:Steam Community — Dead as Disco ユーザーフォーラム
ネオングラインドハウスの美学とスタイル

ビジュアル面でもDead as Discoは強烈な個性を持っている。
ゲームの舞台は、ネオンが溢れる退廃的な音楽シーン。コミックブック調のグラフィックと、70〜80年代のグラインドハウス映画(低予算B級ホラー・アクション映画の劇場街)を彷彿させるビジュアルデザインが組み合わされている。All Game, No Filterのレビューが「カルト映画をVHSで深夜に発見したみたい」と表現したのは的確で、このゲームには確かに「発掘した感」がある。
キャラクターデザインも個性的だ。主人公チャーリー・ディスコは復讐に燃える死者なのに、どこかユーモラスな雰囲気を漂わせている。ボスのヘムロックは、毒液が入ったジャー頭という時点でもう通常の感性では設計できない存在だ。各アイドルがそれぞれ異なる音楽ジャンルを体現したデザインになっており、見ているだけで「次のボスはどんなやつなんだろう」という期待感が高まる。
コンボフィニッシャーのアニメーションも見どころだ。リズムに乗って連続ヒットを重ねていくと、最後に派手なフィニッシュムーブが発動する。これがサウンドトラックの盛り上がりと完全にシンクロするため、「自分が音楽の一部になった」という錯覚が生まれる。この感覚は文字では伝わりにくいが、実際に体験すると「ああ、これがやりたかったんだ」と腑に落ちる瞬間がある。
アートスタイルの評価はAll Game, No Filterで8/10、音楽は9/10。「ファンク全開のサウンドトラックは、単なるBGMではなくゲームプレイの根幹」という評価は、デモを遊んだ時の実感とも一致する。
「ビートに乗れている」という感覚の設計

このゲームで特に気に入ったのが、「失敗してもストレスにならない」リズムシステムの設計だ。
ビートを外して攻撃してもゲームオーバーにはならない。コンボが途切れたり、スコアが伸びなかったりするだけで、次のビートに乗り直せばいい。これはHi-Fi RUSHと同様の「罰しすぎない」デザインで、リズムゲームが苦手な層でも気軽に遊べる入口になっている。
一方で、ビートにしっかり乗れているときの体験は別格だ。攻撃がヒットしたときの音のズシリとした感触、コンボがつながったときのアニメーションの流れ、背後で流れる音楽との同期感——これらが重なったとき、「自分が格好いい」という感覚が生まれる。プレイしながら思わず体が動くのは、このゲームが音楽と身体感覚を正しく結びつけているからだ。
ただし、Hi-Fi RUSHとの比較で正直に言えば、Hi-Fi RUSHは「環境のすべてがビートに動いている」ことで、プレイヤーが意識しなくてもリズム感を補助してくれる設計だった。Dead as Discoはそのアシストが少なく、より「プレイヤー自身のリズム感」に依存している。これはゲームの難易度や達成感の質が異なるということで、どちらが優れているとは言えないが、「どんな人でも簡単に気持ちよくなれるか」という点ではHi-Fi RUSHのほうが敷居が低い。
「Hi-Fi RUSHと違って、このゲームは環境やUIがビートに合わせて動いてくれない。自分でリズムを感じ取る必要がある。でもそれが逆に、ビートに乗れたときの達成感を倍増させてもいる。」
出典:Steam Community — Dead as Disco ユーザー投稿
Hi-Fi RUSHが好きなプレイヤーには強くすすめられる。同じリズムアクションの系譜にあるが、プレイ感覚や要求スキルが微妙に異なる、良い意味での「別物」だ。
デモから見えた課題と、開発チームの応答
正直に言えば、デモには課題もある。
Steamのコミュニティフォーラムで目立ったフィードバックは「もっと複雑な戦闘が欲しい」という声だ。現時点のデモは通常攻撃・強攻撃・回避・グラップルというシンプルな構成で、「バットマン・アーカム・アサイラムの戦闘をリズムゲームに落とし込んだ感じだが、少し単純すぎる」という意見が複数見られた。
「アイデアは素晴らしいし、曲インポート機能も面白い。ただ基本的な戦闘が攻撃・回避・強攻撃だけでは、15〜20分プレイしたら飽きそう。もっとコンボの深みが欲しい。」
出典:Steam Community — Dead as Disco General Discussions「Demo feedback. Too simple」スレッド
「ビートに乗って攻撃していること」がビジュアル的にわかりにくい、という指摘もあった。どのタイミングで攻撃が「オンビート」として判定されているのか、もっとはっきり見せてほしいという意見だ。
これらのフィードバックに対して、Brain Jar Gamesの開発チームはフォーラムに直接返信し、「まだアルファビルドの段階。スキルツリーや追加スタイルは後のアップデートで実装予定。次のデモアップデートでグラフィック改善・パフォーマンス向上・戦闘のスムーズ化を行う」と説明している。開発チームが迅速にプレイヤーの声を拾ってくれているのは、小規模チームならではの対応速度だ。
Metacriticでも高評価を維持しているが、批評家からの評価はまだ集計段階にある。ただ、プレイヤーベースの評価が98%という数字は、一過性のバズではなく、実際にゲームが楽しいことを示している。
Viceも絶賛した「一夜にして照らされた光」

海外メディアの反応も振り返っておきたい。
Viceは「I Have Seen the Light, and Its Name Is Dead as Disco(光を見た。その名はDead as Disco)」というタイトルの記事を掲載し、「デモをプレイして魂に火がついた」「しばらくこんな気持ちにさせてくれるゲームはなかった」と書いている。セレブ向けの斜に構えた報道で知られるメディアがこれほど素直に絶賛するのは珍しい。
4Gamerはgamescom 2025の現地レポートで取り上げ、「ストリーマー向けにも考慮された爽快感溢れる傑作体験」という見出しをつけた。日本のゲームメディアがインディーデモをこれほど積極的に取り上げるのも、それだけ印象が強烈だったということだろう。
PC Gamerは「Hi-Fi Rushの後継者にふさわしいタイトルとして育ちつつある」と評価。アーリービルドとしては「かなり上等なショーイング」としながら、Hi-Fi RUSHを少しでも楽しんだプレイヤーにチェックを勧めている。
Game Rantは「Hi-Fi RUSHとSifuのファンは目を離すな」というタイトルで特集記事を掲載。Sifuとの比較は興味深い視点で、確かにSifuの「リズミカルなカウンター格闘」に近い緊張感がDead as Discoにもある。
開発スタジオBrain Jar Gamesとは
Dead as Discoをより面白く感じさせるのが、作っているチームの背景だ。
Brain Jar Gamesは2024年に設立されたばかりの新スタジオ。完全リモートの体制で、メンバーはBioWare(Dragon Ageシリーズ)、Super Evil Megacorp(モバイルMOBA)、Trion Worlds(Defiance、Rifts)といったAAAタイトルを手がけてきたベテランたちで構成されている。
それだけの経験を持ちながら、デビュー作として選んだのが「リズムビートエムアップ」という、まだ確立されていないジャンルだ。大きなIPや続編ではなく、完全新規のコンセプトに挑んでいる姿勢は、創業の動機が「やりたいゲームを作る」ところにあることを示している。
開発者のJames Karrasは4GamerのgamescomインタビューでDead as Discoについて語り、ストリーマーへの配慮(原作権問題が発生しにくいオリジナルOSTを含むマルチジャンルのサウンドトラック)や、プレイヤーが自分の動画コンテンツを作りやすい設計について説明している。これだけ丁寧にコミュニティ側の視点を考えているスタジオが作るゲームなら、今後の展開にも期待できる。
Triple-i Initiative Showcase 2026での発表に注目

2026年4月9日、Triple-i Initiative Showcaseで重大発表が予定されている。
Triple-i Initiativeはインディー開発者主導のゲームショーケースで、大手パブリッシャーに頼らない独立系タイトルが集まる場だ。Dead as Discoはこの場で「次のステージ」を公開することを宣言している。
期待されているのは正式リリース日・価格の発表、あるいはコンソール対応(Nintendo Switch 2、PlayStation 5など)の発表だ。コンソール版が出れば、さらに広い層へのリーチが見込める。コントローラーでリズムゲームを遊ぶ気持ちよさは、キーボードとは別の快感があるため、コンソール移植は確かに理にかなっている。
デモ段階でここまで話題になったゲームの正式発表は、インディーゲーム界隈にとって2026年最初の大きなイベントのひとつになるだろう。
Hi-Fi RUSHとDead as Disco、リズムアクションの系譜

Dead as Discoを語る上で、Hi-Fi RUSHとの比較は避けられない。
Hi-Fi RUSHは2023年にMicrosoft・Tango Gameworksがサプライズリリースし、Game of the Year候補に名を連ねた。しかしTango Gameworksは2024年にMicrosoftによって閉鎖され、続編の可能性がなくなった。それ以降、「Hi-Fi RUSHの後継になれるゲームはあるか」という問いがゲームコミュニティで繰り返し語られてきた。
Dead as Discoはその問いへの最も有力な答えとして現れた。構造的な類似点は多い——リズムベースの戦闘、鮮やかなビジュアル、音楽とアクションの融合、スタイリッシュな主人公——しかし別のゲームとして明確に独立している。
Hi-Fi RUSHが「リズムの洪水に飲み込まれる体験」だとすれば、Dead as Discoは「自分がリズムを刻む体験」に近い。どちらが良いかではなく、どちらの体験を求めているかで選ぶことになる。
リズムアクションというジャンル自体が、Dead as Discoの登場によってより広い認知を得るかもしれない。そういう意味で、このゲームはジャンルを代表するタイトルになる可能性を持っている。
ユーザーはどう感じているか——実際の声
Steamレビュー・フォーラム・SNSに集まったプレイヤーの声を見ると、共通するトーンがある。「こういうゲームを待っていた」「また遊びたくなる」という引力の強さだ。
「パンチとキックが音楽と完璧に噛み合ったとき、自分が格好いいと思えるゲームがようやく来た。」
出典:Steamユーザーレビュー
「デモを5周したけど全然飽きない。自分の曲を入れて戦えるって、こんなに楽しいとは思わなかった。」
出典:Steamユーザーレビュー
一方でネガティブな声もある。「Hi-Fi RUSHと比べると攻撃パターンが少ない」という指摘は複数見られ、デモ段階の物足りなさとして繰り返し言及されている。また「BPMの同期設定が難しい」という声もあり、カスタム楽曲を完璧にフィットさせるまでの手順が初心者には分かりにくいという意見もあった。
「カスタム曲のBPM設定でかなり試行錯誤した。でも一度うまくいったときの体験は本当に唯一無二だった。」
出典:Steam Community — カスタム曲同期ガイドスレッド
全体的に見れば、「デモの段階でここまで完成度が高いなら、製品版はどうなるんだろう」という期待のほうが大きい。98%という評価スコアは数字として説得力があるが、実際に遊んでみると「ああ、これは確かに98%だ」と思える体験が待っている。
ストリーマーが遊びやすい設計という視点

Dead as Discoのもう一つの特徴として、ストリーマーを強く意識した設計がある。
多くのゲームでは、BGMや効果音に著作権問題があるため、配信時に曲がミュートされたり収益化が難しくなったりする。Dead as Discoはオリジナルのマルチジャンルサウンドトラックを「ストリーマーセーフ」として設計しており、配信しながら自由にプレイできる。
さらに、ゲームのビジュアルそのものがTikTokやYouTubeで映えやすい設計になっている。ネオン照明、派手なコンボアニメーション、音楽との同期——これらの要素はプレイ動画を面白くする要素そのままだ。実際、TikTokでのバイラルがウィッシュリストの50%以上を牽引したというデータは、この設計が正しかったことを証明している。
カスタム楽曲機能も「配信映え」に直結する。自分の好きなアーティストの曲を流しながら戦う動画は、視聴者のエンゲージメントを高める。こういう「プレイヤーがコンテンツを作りたくなる仕掛け」が随所に埋め込まれているゲームは、自然と口コミが広がっていく。
ゲームが自発的にコミュニティを生む設計——これは長く愛されるタイトルの共通点でもある。
マルチプレイとコンテンツの広がり
製品版で予定されているコンテンツについても触れておきたい。
製品版では協力マルチプレイが実装される。2人以上でリズムに合わせて連携を取りながら戦う体験は、デモには含まれていないが、公開情報では正式に対応予定とされている。フレンドと一緒に音楽に合わせて戦う体験は、このゲームの性質と非常に相性が良い。
カスタマイズ要素も充実する予定だ。各アイドルの衣装・グッズをコレクションし、チャーリーのホームベースとなるダイブバーを自分好みに改装できる。戦闘の上手さだけでなく、「自分のスペースを作る」楽しみも用意されている。
スキルツリーシステムも製品版で実装予定。デモ段階では限られていた戦闘の選択肢が、スキルを習得するにつれて広がっていく設計になるようで、デモへの「もっと複雑さが欲しい」というフィードバックへの直接的な回答になっている。
Infinite Discoモードはデモから遊べるウェーブサバイバルモードで、カスタム楽曲とも組み合わせ可能だ。サバイバル系ゲームが好きなプレイヤーにとっては、ここだけで長時間遊べるコンテンツになっている。
ローグライク的なゲームモードが追加されるかどうかは未発表だが、ウェーブベースの無限モードと音楽インポートの組み合わせは、実質的にエンドレスのコンテンツを生み出す可能性を持っている。

リズムゲームとアクションゲームの間に立つ、新しい何か

Dead as Discoをどのジャンルに分類するか、しばらく考えた。
「リズムゲーム」と呼ぶには、音符を押すタイプの従来のリズムゲームと体験が根本的に異なる。「ビートエムアップ」と呼ぶには、音楽との統合度合いが通常のアクションゲームを超えている。「Hi-Fi RUSHの系譜」と言えばわかりやすいが、プレイ感はHi-Fi RUSHよりやや挑戦的だ。
Brain Jar Gamesはこれを「リズムブロウラー(Rhythm Brawler)」と呼んでいる。殴る・蹴る・つかむ、すべての動作がリズムと不可分に結びついた格闘体験。これが最も正確な表現かもしれない。
ゲームの歴史を振り返ると、新しいジャンルが生まれるときは常に「既存の二つの何かを合わせた結果」として生まれてきた。Dead as Discoが「リズムブロウラー」というカテゴリーを確立できるかどうかは、正式リリース後の広がりにかかっている。しかし少なくともデモの段階で、「これは新しい体験だ」と感じさせてくれた。それだけで、このゲームをウォッチリストに入れる理由としては十分だ。
まとめ:デモを今すぐ遊んで欲しい理由
Dead as Discoは現在もSteamで無料デモをプレイできる。正式版を購入する前に、まず触れてみてほしい。
遊んでみると、確かにわかる。音楽に乗ってコンボを繋げていく気持ちよさ、ネオン輝く世界で踊りながら戦うキャラクターの格好よさ、自分の好きな曲を持ち込んで遊べる自由さ。これらが合わさったとき、「こういうゲームが欲しかった」という感覚が来る。
一方で、デモ段階の課題も正直に言えばある。戦闘の深みはまだ発展途上で、カスタム曲のBPM設定には慣れが必要だ。これらは開発チームが認識しており、製品版での改善が約束されている。
Brain Jar Gamesという新スタジオが、デビュー作でここまでのクオリティを出してきた事実は、それだけで注目に値する。122万人のプレイヤーと98%の評価スコアは、「一部の人が好きなニッチなゲーム」ではなく、「多くの人が楽しいと感じた体験」の証明だ。
2026年4月9日のTriple-i Showcaseの発表を待ちつつ、今はデモで体を動かしておくのが正解だと思っている。
好きな曲を流しながら、ネオンに染まった舞台で踊り、元バンドメンバーたちに復讐する。こんなゲームが来るとは思っていなかった。
Dead as Disco
| 価格 | 基本無料 |
|---|---|
| 開発 | Brain Jar Games, Inc. |
| 日本語 | 非対応 |
| 対応OS | Windows |
