「車の整備なんてやったことないのに、なぜか夢中になって手が止まらない」
Car Mechanic Simulator 2021(以下CMS2021)をひと言で言い表すなら、これに尽きる。ボンネットを開けて、各パーツを外して、洗って磨いて、また組み上げる。エンジンを換えて、ブレーキを交換して、タイヤを新品に変えたとき——完成した車をガレージから出したときの達成感は、ゲームとは思えない充実感がある。
このゲームを初めて起動したのは、「車の仕組みが少し気になる」という軽い気持ちだった。それが気づいたら3時間が経過していて、キャブレターを分解しながら「この部品がこんな風に動いてたのか」と感心していた。リアルな整備の知識が自然と身についていくのも、CMS2021の不思議な魅力だ。
SteamのレビューはApp ID 1190000として登録されており、16,000件以上のレビューで「圧倒的に好評」(95%)という高評価を維持し続けている。発売から数年が経過してもこの評価が揺るがないのは、ゲームとしての完成度の高さを如実に示している。
この記事では、CMS2021の魅力を徹底的に掘り下げる。ゲームの基本的な仕組みから各システムの詳細、人気の理由、初心者が最初につまずくポイントまで、実際に遊んで感じたことを正直に書いていく。
こんな人におすすめ

CMS2021がどんな人にはまるのかを、先にまとめておく。自分が当てはまるかどうか確認しながら読んでほしい。
車好き・メカニック志望の人
車という乗り物の構造に興味がある人には、このゲームは最高の教材になる。エンジンの仕組み、サスペンションの構造、ブレーキシステムの動作原理——プレイしているうちに自然と身につく知識の量が、ほかのゲームとは段違いだ。実際に自分で車の整備をしたいと思っている人が、勉強がてら遊ぶのにも向いている。
コツコツ作業型の「積み上げ系」が好きな人
ゴールがなく、ひたすら積み上げていく遊び方が好きな人には、CMS2021の「ガレージ経営」システムが刺さる。修理の依頼をこなして資金を貯め、新しい機材を購入してガレージを拡張し、扱える車種と作業の幅を広げていく——この積み上げの流れが、何十時間でもプレイを続けさせる中毒性になっている。
パズル・探索要素が好きな人
「どこが悪いのか」を調べながら壊れた車を直していく作業は、推理パズルに近い感覚がある。スキャナーを当てて不良箇所を特定し、該当パーツを外して確認して、劣化していれば交換する——この流れを繰り返すことで得られる「解決した」感は、謎解きゲームの爽快感と似ている。
廃車探しや掘り出し物が好きな人
「バーンファインド(納屋の廃車)」と呼ばれる要素では、錆びついた廃車を各地から発見して持ち帰り、レストアする楽しさがある。ぼろぼろの状態から少しずつ蘇らせていく達成感は、DIYやリメイク好きの人の心をくすぐる。
ゆっくり丁寧に遊ぶ「まったり系」が好きな人
激しいアクションも複雑な操作も必要ない。一つひとつのパーツを確認しながら、自分のペースで作業を進める——そういうゲームの楽しさを知っている人には、CMS2021は間違いなく刺さる。仕事で疲れた日の夜、頭を使わずに手を動かすだけで達成感が得られる時間として、このゲームはうってつけだ。
逆に向いていない人
「ドライブがしたい」「レースで競いたい」「戦闘や探索がメイン」という人には物足りないかもしれない。CMS2021の核心はあくまで「整備する」ことだ。ただ、「思ってたより全然楽しかった」という声が多いジャンルでもあるので、興味があればとりあえず試してみる価値はある。セール時なら千円以下で手に入ることも多く、お試しハードルはかなり低い。
ゲーム概要
どんなゲームか
Car Mechanic Simulator 2021は、ポーランドのゲームスタジオ「Red Dot Games」が開発し、PlayWayが販売するカーメカニックシミュレーションゲームだ。プレイヤーは自動車整備工場のオーナーとして、次々と持ち込まれる壊れた車を修理しながらガレージを大きくしていく。
ゲームの舞台はプレイヤーが所有するガレージだ。リフトに車を乗せ、ボンネットを開け、ブレーキを外し、サスペンションを点検し、エンジンをバラす。パーツの状態を確認して、使えるものは再利用し、傷んでいるものは新品と交換する。最終的に完成した車を納品したとき、画面に表示されるスコアと満足感がこのゲームの醍醐味だ。
ゲームには主に三種類の仕事がある。まずは「カスタマーオーダー」と呼ばれる修理依頼で、不特定多数の客から持ち込まれた車を直す。次に「ストーリーミッション」で、特定のシナリオに沿った特殊な依頼をこなす。そして「オークション」や「バーンファインド」で入手した車を自分でレストアして売りさばく楽しみもある。この三つが組み合わさって、飽きを感じさせない構成になっている。
4,000を超えるユニークパーツと、72台以上の収録車両(DLCを含めるとさらに増える)という規模感は、同ジャンルの中でもトップクラスだ。「ここまでやるか」というほど細かく再現されたパーツ構成は、車好きにとってたまらない密度になっている。
開発元Red Dot Gamesについて
Red Dot GamesはポーランドのゲームスタジオPlayWayグループの傘下スタジオだ。PlayWayはシミュレーションゲームを多数リリースしていることで知られ、「House Flipper」「Cooking Simulator」「Gas Station Simulator」なども同グループの作品だ。
Car Mechanic Simulatorシリーズはこれが5作目にあたる。2014年の初代から数えると、約10年にわたって改善と拡張を続けてきたシリーズで、各作品で大幅にシステムが進化している。CMS2021は2021年8月にリリースされ、前作CMS2018から多数の新要素が追加された。
PlayWayのシミュレーター群に共通しているのは「普段は体験できないことをゲームで体験させる」という方向性だ。整備士の仕事をゲームで体験するCMS2021はその象徴的な存在で、「職業体験シム」という括りでも高く評価されている。
前作CMS2018との違い
CMS2021はCMS2018の進化版だが、単なるアップデートにとどまらない変化が加えられている。
一番大きな変化はガレージのレイアウトだ。CMS2021では作業スペースが広くなり、車の移動や作業の流れがより自然になった。前作ではリフトとスペースの配置がやや窮屈に感じることがあったが、CMS2021では動線が改善されて作業効率が上がっている。
エンジン音の改善も注目ポイントだ。整備した車を試走するとき、エンジン音がリアルになったことで達成感が格段に上がっている。完全にバラして組み直したエンジンが滑らかに回る音は、それだけで「やって良かった」という気分にさせてくれる。
洗車システムの追加も地味ながら大きな変化だ。汚れた車を高圧洗浄機で洗い流すミニゲーム的な要素は、作業の一区切りになる楽しいブレイクタイムになっている。
液体管理システムも強化された。エンジンオイル、冷却水、ブレーキフルード、パワステフルードなどの液体類を確認・交換する作業が追加されて、整備の解像度が上がった。
また、ブレーキ旋盤ツールの追加によって、ブレーキローターのリサーフェシング(表面研磨)という新しい修理手段が増えた。これは廃棄するしかなかったパーツを再利用できる選択肢を生み出し、プレイヤーの作業の幅を広げている。
ゲームシステム詳細

基本的な流れ:ガレージオーナーとしての第一歩
ゲームを開始すると、小さなガレージからスタートする。最初は設備も最低限で、扱える作業の種類も限られている。でもここから少しずつ設備を整えて、より複雑な修理に対応できるようになっていく成長の流れが、このゲームの骨格だ。
最初の仕事は「カスタマーオーダー」だ。依頼書には「ブレーキの異音あり」「エンジンがかからない」「サスペンションがおかしい」といった症状が書かれている。プレイヤーはその症状を手がかりに車を点検し、原因を特定して修理する。
修理が完了すると報酬が入る。この報酬を使って新しい機材を購入し、扱える車種と作業の範囲を広げていく。序盤は基本的な修理だけだが、設備が充実するにつれてエンジンのオーバーホール、塗装、チューニングといった高度な作業もできるようになる。
ゲーム進行にはレベルシステムがある。経験値を貯めてレベルアップするたびに、スキルポイントが手に入る。このポイントを「修理の報酬アップ」「部品の発注コスト減少」「特定の作業への熟練度」などに振り分けることで、自分の得意分野を伸ばしていくRPG的な要素がある。
診断と修理の仕組み
CMS2021の整備作業は「診断→分解→確認→交換/修復→組み立て」という流れが基本だ。
スキャナーで問題を特定する
車が持ち込まれたら、まずOBD(車載診断システム)スキャナーを使って不良箇所の当たりをつける。スキャナーはダッシュボードの診断ポートに接続して使うもので、エンジン系・ブレーキ系・サスペンション系などのコンポーネントごとに状態を表示してくれる。
ただし、スキャナーが教えてくれるのは「おおまかな系統」だけだ。「ブレーキ系に問題あり」と出ても、どのパーツが原因かは自分で分解して確認しなければわからない。ここに推理要素がある。
分解して状態を確認する
問題のある箇所と思われる部位をバラしていく。各パーツは画面上に状態が数値で表示される。100が新品同様で、数値が低いほど劣化が進んでいる。一般的には75以下になると交換を推奨されるが、何%以下で交換するかは自分で判断する。
この判断がゲームの重要な要素だ。まだ使えるものを無駄に交換すると費用がかさむ。逆に交換が必要なものを見逃すと、後で再修理になって評価が下がる。費用対効果を考えながら判断する「整備士の思考」が自然と鍛えられる。
パーツの交換と再利用
傷んだパーツは新品を注文して交換する。パーツの注文は時間がかかる(ゲーム内時間で)ので、修理を効率良く進めるには複数の仕事を並行して回すのがコツだ。あるいは先に外したパーツを洗浄・研磨して状態を回復させる「再生」という選択肢もある。
ブレーキ旋盤を使えばローターを再生できるし、洗浄機を使えばエンジンパーツの汚れを落として状態を回復させることもできる。完全に交換するより費用が抑えられるため、資金が限られた序盤は特に重宝する。
組み立てて試走する
修理が完了したら車を組み立て直し、試走コースで動作確認をする。ステアリングの感触、ブレーキの効き、エンジンの滑らかさ——試走で問題がなければ納品完了だ。このとき聞こえるエンジン音が、自分が整備した証として心に残る。
収録車種と各メーカーの個性
CMS2021の収録車種は72台以上で、実在するメーカーとモデルが多数含まれている。ただし一部はゲーム内オリジナルの架空車種も混在しており、ライセンスの関係で現実の車名を完全に再現していないものもある。DLCで追加されるブランドはより直接的に実在モデルを再現している。
ベースゲームの収録車種
ベースゲームには多様なカテゴリーの車が用意されている。セダン、ハッチバック、SUV、スポーツカー、マッスルカー、クラシックカーまで、年代も車格も幅広い。1960年代のアメリカンマッスルカーから最新世代のSUVまで、修理のたびに違う構造の車と向き合うことになる。
特に人気が高いのは1960〜70年代のアメリカ車だ。V8エンジンを積んだマッスルカーの整備は、現代車とはまったく異なる構造で、当時のアメリカ車特有の大らかなエンジニアリングを体感できる。「このデカいエンジンをこの狭いエンジンルームにどう収めたんだ」という驚きが随所にある。
DLCで追加される実在ブランド
CMS2021の大きな特徴は、有名自動車メーカーとのライセンス契約に基づくDLCの充実ぶりだ。追加されるブランドには次のようなものがある:
- Nissan DLC:GT-RやZ系統など、日産を代表するスポーツカーが収録される
- BMW DLC:M3、M5、3シリーズなどBMWの人気モデルが登場
- Mercedes-Benz DLC:AMGモデルを含むメルセデスの名車が整備できる
- Porsche DLC:911、カイエン、ボクスターなど。ポルシェのエンジン構造はほかとは異なり、独特の整備感がある
- Ford DLC:マスタング、F-150など。アメリカ車の代名詞的なモデルが揃う
- Jeep/RAM DLC:ラングラーやRAMピックアップなどオフロード・トラック系
- Drag Racing DLC:ドラッグレーシング専用のパーツとチューニング要素が追加される
これらのDLCを使うと、「本物のポルシェ911をバラして組み直した」という体験ができる。自分の好みのメーカーのDLCを選んで購入するのが、CMS2021のDLC攻略の基本だ。
オークションとバーンファインド
依頼をこなすだけでなく、自分で車を手に入れてレストアして売るという楽しみ方もある。
カーオークション
ゲーム内にはカーオークションが用意されており、様々なコンディションの車が出品されている。状態の悪い車を安く落札して、整備して価値を上げてから売却する——この「転売」的なサイクルが資金を増やす有力な手段だ。
ただし買った車の状態が予想より悪く、修理費が嵩んで赤字になるリスクもある。落札前に「どこまでコストをかけるか」を見極める目が必要で、この判断がオークションの醍醐味だ。
バーンファインド(納屋の廃車探し)
マップ上の各地に「廃棄された車が眠っている場所」が存在し、プレイヤーはそこに赴いて廃車を発見する。錆びて、ぼろぼろになって、長年放置された車を引き取ってガレージで蘇らせる——このロマンがバーンファインドの魅力だ。
廃車の状態は初見ではわからない。ガレージに持ち帰って調べてみると、思った以上にパーツが傷んでいることもある。どの廃車を拾うかも一種の賭けであり、探索と発掘のゲームになっている。
レストア完成後の車は、修理依頼の完了品とは違う特別な達成感がある。ぼろぼろだった車がピカピカに仕上がったとき、カメラをぐるりと回して眺める瞬間は何度経験しても飽きない。
ガレージのアップグレードシステム
稼いだ資金はガレージの設備投資に使う。購入できる機材の種類は多岐にわたり、それぞれが新しい作業を可能にする。
主要な設備と役割
- リフト:車を持ち上げて下部の作業をするための基本設備。台数を増やすと並行して複数の仕事を処理できる
- エンジンスタンド:取り外したエンジンを固定して全方向から作業できるようにする機材。エンジンオーバーホールに必須
- パーツ洗浄機:取り外したパーツの汚れを落として状態を回復させる。交換コストを抑えるのに重宝する
- ブレーキ旋盤:ブレーキローターを削って表面を再生させる。傷んだローターを捨てずに再利用できる
- タイヤチェンジャー:タイヤの交換と脱着に使う。タイヤ関連の依頼に対応するために必要
- ホイールバランサー:タイヤとホイールのバランス調整をする機材。タイヤ交換後の必須作業として登場
- 塗装ブース:車体やパーツの塗装・再塗装に使う。見た目を変えることで車の価値を高められる
- チューニングダイナモ:エンジンのパワーをチューニングして性能を向上させる。スポーツカーの整備に欠かせない
- 洗車設備:高圧洗浄機などで車体を洗浄する。作業前の準備として行うことで、汚れの下のダメージを見つけやすくなる
設備を増やすにはまとまった資金が必要だ。「次はどれを買おうか」と優先順位を考えながら進める経営判断の楽しさが、このゲームの隠れた魅力になっている。
スキルシステムとキャラクター成長
CMS2021にはRPG的なレベルアップシステムが組み込まれている。仕事をこなすごとに経験値が入り、一定量貯まるとレベルアップしてスキルポイントが手に入る。
スキルツリーはいくつかのカテゴリーに分かれており、「修理の報酬を増やす」「パーツ発注の割引率を上げる」「特定の作業に要する時間を短縮する」といった効果がある。どのスキルを優先するかで序盤の進め方が変わる。
「報酬アップ系」に振ると同じ仕事でも多く稼げるようになり、「コスト削減系」に振ると同じ仕事でも利益率が上がる。プレイスタイルに合わせたビルドを考えるのも楽しみの一つだ。
レーストラックとタイムトライアル
ガレージに引き籠もって整備するだけでなく、自分でレストアした車をレーストラックで走らせる要素もある。
これはあくまでオマケ的な位置づけで、ドライビングシムとしての本格度を求めるものではない。ただ、「自分がゼロからレストアした車をサーキットで走らせる」という体験は、整備士ゲームとしての達成感を締めくくる演出として機能している。タイムアタックに挑んだり、エンジンチューニングの効果を体感したりと、単調になりがちな整備作業のアクセントになっている。
ランダムオーダーシステム
依頼は無限に生成される。「ランダムオーダー」システムにより、同じ組み合わせの依頼が繰り返されることなく、常に新鮮な課題が届く。車種も症状も異なる依頼が次々と届くため、「ネタが尽きてやることがなくなった」ということが起きにくい設計になっている。
依頼は難易度と報酬が設定されており、単純なタイヤ交換から、エンジンの全オーバーホールまで幅広い。序盤は簡単な依頼から始まり、設備とスキルが充実するにつれて高難度・高報酬の依頼も舞い込んでくる。
CMS2021が人気を集める理由
「知識がなくても整備士になれる」という入口の広さ
現実の自動車整備には、専門知識と特殊工具と経験が必要だ。素人が「ちょっとやってみよう」とできるものではない。CMS2021はその敷居を取り払い、誰でも整備士になれる世界を提供している。
ゲームが各パーツの状態を数値で表示してくれるので、「これは変えた方がいい」という判断のガイドがある。どのパーツをどの順番で外すかも、ゲームがわかりやすく示してくれる。でも、実際に手を動かしてバラして組み上げる体験は本物の整備と同じ達成感がある——そのバランスが絶妙だ。
「車に詳しくなくても楽しめる」という入口の広さが、幅広い層に受け入れられている理由の一つだろう。
圧倒的なパーツ数が生む「本物感」
4,000を超えるユニークパーツという規模は、同ジャンルのゲームの中でも群を抜いている。エンジンのシリンダーヘッド、バルブ、タイミングベルト、ガスケット——一つひとつのパーツが独立して存在し、状態を持ち、交換の対象になる。
この細かさが「本物の整備をしている」という感覚を生み出す。他のゲームで「エンジンを修理する」というのが「エンジンをクリックしてコインを払う」ような抽象的な操作だとしたら、CMS2021は「エンジンを実際にバラして各パーツを確認して組み直す」という体験になっている。この密度の違いが、ファンの熱量の高さに繋がっている。
「積み上げる楽しさ」が途切れない設計
序盤のガレージから始まり、少しずつ設備を整え、扱える車種と作業の種類を増やしていく進行リズムが、プレイを続けさせる原動力になっている。
「あの機材を買えばもっと稼げる」「あと少しでレベルアップだ」「次のバーンファインドで何が見つかるか」——常に次の目標が見えている設計が、セッションを終わらせにくくしている。「今日はここまで」と思ってもついもう一台、もう一台と続けてしまう。
実在車種への愛着と知識欲を刺激する
Porscheのエンジン構造はこうなっているのか、BMWとMercedesではどう違うのか、1960年代のマスタングと現代のマスタングではここが変わっているのか——DLCで実在ブランドの車を整備するたびに、車への興味が深まっていく。
「ゲームをやって車が好きになった」「CMS2021をきっかけに整備士の仕事に興味を持った」という声が一定数あるのも、このゲームならではだろう。エンターテインメントでありながら、何かを教えてくれるゲームは強い。
完成したときの達成感が格別
ぼろぼろの廃車をゼロから整備して、ピカピカに仕上がった状態で試走するときの達成感——これは言葉で説明するより、実際に体験した方が早い。「自分の手で蘇らせた」という感覚は、アクションゲームのボスを倒したときとはまた違う種類の満足感だ。
ゲームが用意している「修理完了のスコア画面」も達成感を演出するのがうまい。どの作業でいくら稼いだか、どのパーツを交換したか、評価はどうかという結果画面が毎回表示されて、「今回も良い仕事をした」という気持ちにさせてくれる。
長年更新され続ける安心感
2021年のリリース以降も、アップデートとDLCが継続的に提供されている。新しい車種の追加、UIの改善、バグ修正——開発側が長期的にゲームを育てていく姿勢が、プレイヤーのコミュニティを維持する安心感になっている。
「買って終わり」ではなく、「長く遊び続けられる」ゲームとしての実績が、Steamのレビューに高評価として蓄積されている。
注意点と正直なデメリット

単調な作業が繰り返しになることがある
整備作業の基本フローは「分解→確認→交換→組み立て」を繰り返すものだ。序盤は新鮮に感じるが、数十時間プレイすると「また同じ流れだな」と感じる瞬間が来ることがある。
特にランダムオーダーを主軸にして同じ車種の修理が続くと、単調感が増しやすい。このときは意識的に「オークション」や「バーンファインド」に切り替えて違う刺激を求めるのが、長期プレイを続けるコツだ。
序盤の資金難がきつめ
ゲームの序盤は所持資金が少なく、設備投資もままならない時期が続く。使えるリフトは一台だけ、注文できるパーツも限られる——そういった制約の中で少ない仕事量をこなす時間が、人によっては退屈に感じることもある。
ただ、この「じわじわ成長する序盤」が好きという声も多い。「最初は不自由だったのに、今はこんなに大きくなった」という対比が後半の達成感を生む、という設計の意図は理解できる。我慢して続ければ、後半の豊かさが待っている。
UIと操作感がやや古め
CMS2021の操作系統は洗練されているとは言い難い部分がある。パーツの注文画面や在庫管理の画面は情報量が多く、慣れるまで混乱することがある。また、作業の操作がマウスクリック中心でやや単調に感じる場面もある。
最初の1〜2時間は操作を覚えるための投資時間が必要だ。チュートリアルをていねいに読み、各操作の意味を理解してから本格的に始めると、後からのつまずきが減る。
DLCの総額がかさみやすい
ベースゲーム単体でも十分なボリュームがあるが、実在ブランドのDLCを全部揃えようとすると、総額がそれなりの金額になる。各DLCは数百円〜千円程度の価格帯だが、数が多いため全部買うと大きな出費になる。
セール時の割引率が高く(最大83%引きになることもある)、Steamのセールタイミングを狙うのが賢明だ。好きなメーカーのDLCだけ選んで購入するのが、費用対効果の良い遊び方だろう。
日本語の完全対応には限界がある
CMS2021は公式に日本語対応しているが、翻訳の精度にムラがある。パーツ名などの専門用語が直訳気味で、意味がわかりにくい表記が散見される。「この部品の名前は現実だと何というのか」とググって確認したくなる場面がある。
ただ、ゲームの操作自体は直感的なので、日本語が多少不自然でも実際のプレイに大きな支障はない。「英語がわからないと詰まる」というほどの問題にはならない。
初心者へのアドバイス
まずチュートリアルをしっかり終わらせよう
CMS2021のチュートリアルは比較的丁寧に作られている。チュートリアルを途中で飛ばしてしまうと、「どうやって注文するんだ」「この機材はどう使うんだ」と序盤で詰まりやすい。面倒でも最初のチュートリアルを最後まで終わらせてから自由に遊ぶことをすすめる。
スキャナーを最初に使う習慣をつけよう
新しい依頼車が来たら、まずOBDスキャナーで全体をチェックする習慣をつけよう。依頼書に書いてある症状だけ直して終わりにすると、見逃した不良箇所があって評価が下がる、ということが起きる。スキャナーで全体を把握してから作業を始めるのが、確実で効率的な整備のスタートだ。
序盤は「クイックセールマーク」のついた依頼を優先しよう
依頼の中には報酬が高めに設定されたものがあり、画面上でマークがついている。序盤は資金が大事なので、報酬の良い依頼を優先して選ぶと設備投資のスピードが上がる。すべての依頼を平等にこなす必要はなく、より稼げる仕事を選ぶ「経営者的思考」が序盤攻略の鍵だ。
パーツ交換の目安は「60以下で要交換」を基準にしよう
各パーツの状態値は0〜100で表示される。厳密なルールはないが、初心者のうちは「60以下は交換、75以下は洗浄・再生を検討、75以上は再利用」くらいの感覚で判断するとちょうどいい。慣れてきたら費用対効果を考えながら個別に判断できるようになってくる。
バーンファインドは急がなくていい
マップ上の廃車探しは楽しいが、最初から深追いしなくていい。バーンファインドで拾ってきた廃車は状態が悪いことが多く、修理費が大きくかさむ場合がある。設備と資金が充実した中盤以降に取り組む方が、コストパフォーマンスが高い。序盤は依頼仕事を優先して資金を貯める方が、長い目で見て得策だ。
リフトは2台目を早めに買うと快適になる
1台のリフトしかない状態は、パーツ注文の待ち時間に何もできなくて退屈になりやすい。パーツ注文には時間がかかるため、その間に別の車の作業をこなせる「2台体制」にすると、作業効率が大幅に上がってゲームのテンポも良くなる。設備投資の中でリフト2台目はかなり優先度が高い。
スキルポイントは「報酬アップ」に早めに振ろう
序盤にスキルポイントが入ったら、修理報酬を増やすスキルへの投資が最もリターンが大きい。同じ仕事をしても入ってくる報酬が増えるため、設備投資のペースが上がる。後から他のスキルに振り直すことはできないが、報酬アップを序盤に確保しておくと以降の進行が格段に楽になる。
エンジンオーバーホールはエンジンスタンドを買ってから
エンジンを完全に降ろしてバラすオーバーホール作業は、エンジンスタンドがないとできない。序盤にエンジン系の大規模修理依頼が来ても、エンジンスタンドを購入するまでは無理に受けなくていい。設備が追いついていない依頼を受けてしまうと詰んだような状態になることがあるので、自分の今の設備でこなせる依頼を選ぶことが大切だ。
セーブは頻繁に
作業中に予期せずゲームが落ちることが稀にある(長年の改善でかなり安定してきたが)。分解作業の途中でのクラッシュは、どのパーツを外したかの記憶が必要になって混乱することがある。こまめにセーブする習慣をつけておくと、万一のときに安心だ。
まとめ
Car Mechanic Simulator 2021は、「車をバラして直す」というシンプルなテーマを、4,000パーツ以上・72車種以上という密度で徹底的に掘り下げたシミュレーションゲームだ。
このゲームの一番の魅力は、「知識がなくても整備士になれる」という体験の提供だ。現実には専門技術が必要な自動車整備を、誰でも取り組める形にパッケージングしながら、本物の整備士に近い達成感を届けてくれる。プレイ後に「この車はこういう構造なんだな」という知識が自然と身についていることに気づいたとき、このゲームの価値がわかる。
ガレージ経営のシステムはRPGの成長要素と相性が良く、「もう少しで次の設備が買える」という目標が常にプレイを引っ張ってくれる。バーンファインドのロマン、オークションの駆け引き、ストーリーミッションの特殊課題——本体の整備以外にも楽しみ方の引き出しが多い。
DLCで実在のPorscheやBMW、Nissanが整備できるようになる拡張性も高く、「あのメーカーの構造を知りたい」という欲求に答え続けてくれる設計になっている。
単調な繰り返しに感じる瞬間はある。序盤の資金難がきつく感じる場面もある。でもそれを差し引いても、「ゲームとして面白い」という核心の部分はしっかりしている。Steamの16,000件を超えるレビューで95%が好評という数字は、伊達ではない。
「車に少し興味がある」「手を動かしてコツコツ進めるゲームが好き」「まったりできるゲームを探している」——そういう人には、間違いなくおすすめできる一本だ。特にセール時はベースゲームが非常にお得な価格で入手できるため、気になっているなら試してみる価値は十分ある。
プレイ後に路上の車を見て「あのエンジンはどんな構造なんだろう」とつい考えてしまうようになったら、CMS2021があなたの中に何かを残した証拠だ。

Car Mechanic Simulator 2021
| 価格 | ¥2,800-83% ¥476 |
|---|---|
| 開発 | Red Dot Games |
| 販売 | PlayWay S.A. |
| 日本語 | 非対応 |
| 対応OS | Windows |
| プレイ形式 | シングル |

