Anno 1800

Anno 1800|産業革命を舞台にした本格派都市建設シミュレーション

「気づいたら3時間が経っていた」

Anno 1800をはじめてプレイした夜の話だ。農民に食料と衣服を供給するために農場を建て、働き手のために住居を増やし、増えた住民がさらに新しいものを要求してくる。その需要に応えようとしていたら、いつの間にか工業地帯と住宅街と港が複雑に絡み合った都市ができあがっていた。

「もうひとつだけ工場を建てたら寝よう」——そう思い続けて夜が明ける。これがAnno 1800の怖いところであり、たまらないところでもある。

このゲームの舞台は19世紀、産業革命の真っただ中だ。蒸気機関が世界を変えようとしていた時代。煙突が空に煙を吐き、蒸気船が海を渡り、新大陸での資源開発が本格化していた時代。プレイヤーはその時代の支配者として、広大な島に都市を建設し、帝国を拡大していく。

Steamでのレビュー件数は28,000件以上。そのうち78%がポジティブ評価で、Metacriticスコアは81点。2019年のリリースから5年以上が経った今も新しいDLCが追加され続け、現役でアップデートが行われているロングセラータイトルだ。

この記事では、Anno 1800の魅力を余すところなく紹介する。ゲームの基本的な仕組みから複雑な生産チェーン、DLCの内容、そして初心者が最初にやりがちなミスまで、プレイして感じたことを正直に書いていく。都市建設ゲームを探している人にも、Anno 1800という名前を以前から気になっていた人にも、役立てもらえる内容にしていく。

目次

こんな人におすすめ

Anno 1800がどんな人に刺さるのかを先に書いておく。自分に当てはまるかどうかを確認しながら読んでほしい。

都市建設ゲームが好きな人

SimCityやCities: Skylinesのような都市建設ゲームに熱中したことがある人なら、Anno 1800は間違いなくはまる。ただし、道路を引いて区画を分けるだけでは終わらない。どこに何を建てるかという配置の問題だけでなく、何をどのくらい生産するかという需給バランスの管理が加わる。都市建設の楽しさを一段深くしたいと思っている人に最適だ。

Cities: Skylinesが「街づくりの自由」を重視するのに対して、Anno 1800は「資源と経済の管理」に重点が置かれている。両方の要素が絡み合っているため、街の見た目を整えながら経営効率も追求するという二重の楽しみがある。どちらの要素が好みかは人によるが、「両方楽しみたい」という人には Anno 1800が非常に向いている。

経営・ストラテジーゲームが好きな人

生産チェーンを設計して効率化していくプロセスが好きな人には特に向いている。小麦農場から始まり、製粉所、パン工場を経て住民に届けるパンの生産ライン。ラム酒を作るための砂糖農場から蒸留所まで。どこがボトルネックになっているか分析して改善していく——このプロセスに面白さを感じるなら、このゲームは何百時間でも遊べる。

「Factorio」や「Satisfactory」のような工場建設ゲームが好きな人にも刺さりやすい。あの「素材がスムーズに流れたときの快感」と共通するものがAnno 1800にもある。ただしFactorioほどパズル的・機械的ではなく、もっと都市としての有機的な成長感があるのがAnno 1800の特色だ。

歴史が好きな人・産業革命の時代に興味がある人

19世紀という時代設定がゲームの全体に影響している。蒸気機関、電気の普及、帆船から蒸気船への移行、植民地経営——これらが単なる飾りではなく、ゲームシステムに直結している。歴史の教科書で読んだ産業革命を、自分の手で体験できる感覚がある。

19世紀のヨーロッパを模した建物のデザイン、19世紀ならではの産品(ランプ油、タイプライター、シャンパン、葉巻)、そして植民地と宗主国の経済的関係——すべてがそれらしく作られている。歴史ゲームとしての考証が丁寧で、「時代の雰囲気」の再現に力が入っていることが感じられる。

じっくり腰を据えてプレイするゲームを探している人

「ちょっとやってすぐ飽きる」という人には向かないが、「ひとつのセーブデータを100時間以上かけて育てたい」という人には最高の選択肢だ。1マップが完成するまでのプロセスが非常に長く、やり込めばやり込むほど世界が豊かになっていく。

世界中のプレイヤーが「300時間プレイしてもまだやることがある」と語っているゲームだ。1本のゲームをとことんやり尽くしたい人、コストパフォーマンスを重視する人にとって、これほど満足感の高い選択肢は多くない。

見た目にこだわってゲームを楽しみたい人

Anno 1800は美しいゲームだ。ロマネスク様式の市庁舎、煙突が並ぶ工業地帯、湾岸の倉庫群、夕焼けに染まる港——建設しているだけで絵になる風景ができあがっていく。「自分の街を見て楽しむ」という遊び方が成立するくらい、ビジュアルへの作り込みが丁寧だ。

ズームインすると住民たちが実際に街を歩き、荷車が物資を運び、船が港に停泊する様子を細かく観察できる。都市が生きているような動きがあり、単なる静的な絵面ではなく、動く都市のジオラマとして楽しめる。ゲームプレイとは別に「自分の街を眺める時間」が価値を持つゲームだ。

マルチプレイで友人と一緒に楽しみたい人

Anno 1800には協力・競争のマルチプレイモードがある。友人と同じマップで島を分け合いながら帝国を築く協力プレイ、あるいは互いに資源と島を争う競争プレイが楽しめる。ひとりで遊ぶのとは違う、人間相手ならではのやりとりが生まれる。

特に協力プレイでは、片方が農業担当・片方が工業担当のように役割分担をしながら効率的に帝国を育てていく遊び方が人気だ。友人と長期間にわたって同じセーブデータを育て続けるという楽しみ方もある。

逆に向いていない人

アクションゲームやFPSが好きで、素早い判断と反射神経を活かした戦闘を楽しみたい人には向かない。Anno 1800の戦闘要素は存在するが、あくまでサブ要素だ。また、「すぐに成果が見たい」「短時間でゲームを終わらせたい」という人にも不向きだろう。このゲームは時間と手間をかけることそのものが楽しみ方だからだ。

「すぐに強くなれるゲームがしたい」「ストーリーを一気に読み進めたい」という人にも向かないかもしれない。Anno 1800のゲームプレイはゆっくりとした積み上げで、劇的なイベントよりも日常的な管理作業のほうが時間の大半を占める。その地道さを楽しめるかどうかが、このゲームと合う・合わないの分かれ目だ。

Anno 1800とはどんなゲームか

ゲームの基本

Anno 1800は、ドイツのUbisoft Mainzが開発し、Ubisoftがパブリッシャーを務める都市建設・経済シミュレーションゲームだ。2019年4月16日にPC向けにリリースされた。SteamのApp IDは916440。

プレイヤーは島を舞台に都市を建設し、住民の要求を満たしながら人口を増やしていく。同時に、複数の島に開拓地を作り、貿易ルートを設定し、他のプレイヤーや勢力と外交・交渉・戦争を行いながら帝国を拡大していく。

一言でいえば「都市建設と経営シミュレーションを足して、帆船時代の探検要素を加えたゲーム」だ。しかしその「足した」部分が非常に深く、単純な組み合わせではなく、すべての要素がひとつのゲームとして有機的に絡み合っている。

ゲームモードは大きく三つ。ストーリー仕立てのキャンペーンモード、自分なりに条件を設定して自由に遊べるサンドボックスモード、そして他のプレイヤーと同じマップで競争・協力できるマルチプレイモードだ。どのモードから始めるかによって、最初の体験が大きく変わる。

ゲームの進行はリアルタイムで、時間は流れ続ける。しかしゲームスピードを1倍・2倍・4倍に調整でき、完全に一時停止することもできる。一時停止中でも建物の配置は行えるため、焦らず自分のペースでプレイできる設計になっている。

Annoシリーズについて

Anno(アノ)シリーズは1998年に第1作がリリースされたドイツ発の都市建設シリーズで、27年以上の歴史を持つ。日本では「A.D.1602」という名前でも知られており、ヨーロッパでは特に人気が高い。

シリーズはいくつかの時代設定で作品を展開してきた。15〜17世紀の大航海時代を舞台にしたAnno 1404(2009年)や、Anno 1503(2003年)、Anno 1701(2006年)など過去を舞台にした作品と、未来のコロニー開発を扱うAnno 2070(2011年)や宇宙開発を描くAnno 2205(2015年)のような未来作品がある。

Anno 1800は19世紀の産業革命期という設定で、シリーズの原点である「歴史的な時代を舞台にした島嶼開発」に立ち返った作品だ。開発者自身も「原点回帰」と位置づけており、シリーズのファンには「待ち望んでいたAnnoが帰ってきた」と歓迎された。

実際、それ以前の2作品(Anno 2070とAnno 2205)は未来設定ゆえにシリーズの伝統的なファンから賛否が分かれていた経緯があり、Anno 1800の歴史設定への回帰は高く評価された。リリース後のメタスコア81点という評価は、「シリーズ最高傑作」との声を多数集めた事実とも一致している。

さらに2023年にはシリーズ最新作「Anno 117: Pax Romana」がアナウンスされており、古代ローマを舞台にした新展開も予告されている。Annoシリーズは今後も続いていく見通しだが、現時点で最もコンテンツが充実しているのはAnno 1800であることは間違いない。

産業革命という舞台

Anno 1800の世界観を理解するうえで、19世紀という時代設定を押さえておくことは重要だ。

18世紀末から19世紀にかけて、ヨーロッパは産業革命によって大きく変わった。蒸気機関の実用化により、工場での大量生産が可能になり、手工業から工場制工業への転換が急速に進んだ。鉄道と蒸気船の普及は人と物の移動を劇的に変え、都市への人口集中が加速した。

一方で植民地経営も活発化した。ヨーロッパ列強は南米やアフリカ、アジアに進出し、資源を採掘・収奪しながら本国の工業化を支えた。Anno 1800ではその両側面がゲームシステムに組み込まれている。

旧大陸(ヨーロッパを模した島)での都市建設が基本となりながら、新大陸(南米を模した島)への進出で手に入る資源が旧大陸の発展を支える——この構造は、当時の歴史的な構造を忠実に反映している。

また、ゲームの中盤以降には「電力」という要素が登場する。これは歴史的にも正確な表現で、19世紀後半にはトーマス・エジソンらが実用的な電力システムを開発し、工場や街灯に電気が普及し始めた。ゲームの中でも、電力の普及が都市の産業レベルを一段引き上げる転換点として機能している。

こういった歴史的事実がゲームの文脈に自然に組み込まれているため、「歴史を体験する」という側面でも非常に楽しめる。歴史が好きな人が「ゲームを通じて19世紀を学ぶ」という視点で楽しめるくらいに、時代考証が丁寧だ。

開発元Ubisoft Mainzについて

Anno 1800の開発を担当したUbisoft Mainzは、ドイツのマインツに拠点を置くUbisoftの子会社スタジオだ。もともとはBlue Byte(ブルーバイト)という社名で知られており、Annoシリーズを長年にわたって開発してきた。

Blue Byteは1988年に設立されたドイツの老舗ゲームスタジオで、Settlers(セトラーズ)シリーズのような資源管理ゲームでも知られている。2001年にUbisoftに買収されてからもAnnoシリーズの開発は継続され、2019年にUbisoft Mainzに改称された。

このスタジオがAnnoシリーズを30年以上にわたって開発し続けてきた実績は、ゲームの品質に直結している。ゲームシステムの細部や歴史的な考証の丁寧さは、このジャンルへの深い知見と愛情があってこそ生まれるものだ。Anno 1800がシリーズの集大成と評される所以は、その蓄積にある。

ゲームシステム詳細

住民層と需要の仕組み

Anno 1800のゲームプレイの核心は「住民の要求に応え続けること」だ。住民は5つの階層に分かれており、上の階層に昇格するためには特定の条件を満たす必要がある。

最初の住民は農民(Farmers)だ。彼らの基本的な需要はシンプルで、住居・食料・衣服があれば十分だ。農民の人口が一定数に達すると、一部の農民が職人(Workers)に昇格できる条件が整う。農民は数百人程度でも都市が成立するが、都市を大きく発展させるためには農民の人口を土台として積み上げていく必要がある。

職人(Workers)はより多くのものを求める。食料に加えて、縫製品、石鹸、作業着、アルコール飲料などが要求されるようになる。職人の数が増えると、生産できる工場の種類も増え、都市がより複雑に発展していく。また職人は農民よりも多くの税収をもたらすため、財政的にも職人の数を増やすことがゲーム序盤から中盤への鍵になる。

商人(Artisans)は中流層で、家具、ガラス製品、香辛料料理、ラム酒などの贅沢品を求める。このあたりから貿易ルートを活用して希少な資源を手配する必要が出てくる。商人層が増えると、より高度な生産施設が解放され、都市の発展に新しい可能性が開く。

エンジニア(Engineers)は産業化時代の知識層だ。電力を必要とし、缶詰、電球、自転車といった近代的な工業製品を要求する。電力供給のためには石炭を燃料にした発電所を建設しなければならない。エンジニア層の登場は、都市の産業化という大きな転換点を示す。彼らが多く住む都市は工業化が進み、より高収益な事業が展開できるようになる。

そして最上位の投資家(Investors)は富裕層で、タイプライター、豪華な衣服、シャンパン、葉巻など贅沢の極みのような製品を要求する。投資家が増えることで、都市の収益力は大幅に向上するが、その維持には高度なサプライチェーンが必要だ。投資家が多い都市は「繁栄した帝国」の象徴であり、多くのプレイヤーが目指す目標になっている。

この5階層が混在しながら都市に住み、それぞれが異なる量・種類の商品を要求し続ける。プレイヤーはその全員の要求を満たすために生産設備を整備していく。要求が満たされれば住民は昇格し、税収が上がり、さらに多くのことができるようになる。要求が不足すると住民は降格し、最悪の場合は都市が崩壊する。

税率の調整も都市経営の一部だ。税率を上げれば収入が増えるが、住民の満足度が下がる。下げれば住民は喜ぶが財政を圧迫する。このバランスをどこで取るかも、プレイヤーの判断に委ねられている。

生産チェーンという面白さ

Anno 1800の核心的な面白さは「生産チェーン」と呼ばれる仕組みにある。これは、ある商品を完成させるために必要な原材料と中間製品の製造工程が連鎖しているというシステムだ。

たとえばパンひとつを作るためには、まず小麦農場が必要だ。小麦農場で収穫した小麦を製粉所に運んで小麦粉を作り、その小麦粉をパン工場に運んでパンを焼く。農場→製粉所→パン工場という3段階の生産ラインが必要になる。

これはまだシンプルなほうだ。ゲームが進むと、もっと複雑な生産チェーンが要求されるようになる。

たとえば缶詰を作るためには、肉(農場・と畜場)または魚(漁場)が必要で、同時に缶(鉄鋼→圧延機→缶工場)も用意しなければならない。それら素材を缶詰工場に集めて初めて缶詰が完成する。さらに缶詰工場を動かすには電力も必要で、発電所の燃料となる石炭も確保しなければならない。

石鹸の生産チェーンも複雑だ。まず豚を育てる農場と飼料(トウモロコシ等)を生産する農場が必要で、豚から脂が取れる。一方でソーダ灰(炭酸ナトリウム)の製造ラインも必要で、石灰岩の採掘→石灰焼成炉→ソーダ工場という工程がある。脂とソーダ灰を石鹸工場に供給して初めて石鹸が完成する。

このように、ひとつの完成品の背後には複数の素材があり、それぞれに生産施設が必要で、それぞれが労働力を消費し、土地を占領する。どこに何を建てるかを計画し、効率よくレイアウトすることが都市建設の醍醐味だ。

さらに、生産施設にはそれぞれ生産速度がある。パン工場1棟が1分間に作るパンの量に対して、何人の住民がパンを消費するか——この需給バランスを計算しながら施設数を調整していく作業が、ゲームを通じて続いていく。農場1棟に対して製粉所は何棟必要か、製粉所に対してパン工場は何棟か——この比率の最適化を考えるのが、このゲームのかなりの時間を占める。

「いまどこが足りていないのか」を把握するために、画面上には各商品の需給状況を示すインジケーターが表示される。赤くなっている商品があれば生産不足、青くなっていれば過剰生産の状態だ。このインジケーターを見ながら生産設備を増減させ、バランスを整えていく——これがAnno 1800のゲームループの基本だ。

生産チェーンの複雑さは、ゲームを進めるほど増していく。農民時代には10種類程度の商品しか必要なかったのが、投資家が登場するころには40〜50種類の商品を同時に管理する必要が出てくる。それだけの複雑さを抱えながらも、都市全体が動いている様子を眺めているときの満足感は、他のゲームでは味わいにくいものだ。

島と地図の構造

Anno 1800のゲームは複数の島が散在する海域マップで展開される。プレイヤーが最初に拠点を構える主島のほかに、中立の島、他の勢力が占有する島、特殊な資源が眠る島など、様々な島が存在する。

島にはそれぞれ「肥沃度」があり、特定の農作物を育てるのに適した島とそうでない島がある。たとえば砂糖はすべての島で栽培できるわけではなく、砂糖が育つ肥沃度を持つ島でしか農場を建てられない。同様にじゃがいも、タバコ、綿、コーヒーなどの作物も、島の肥沃度によって生産可能か否かが変わる。

これが複数島の開拓を促す仕組みになっている。主島だけではすべての生産が完結しない。砂糖農場のために別の島を植民地化し、そこで作った砂糖を本島に輸送する——この島間の物資輸送が「貿易ルート」システムで管理される。

島を新たに開拓するためには、まず島に上陸し「植民地」を建設することで所有権を確立する。植民地を建設するにはゴールドと木材が必要で、さらに港(波止場)を建てて交易の拠点を整備しなければならない。開拓コストがかかるため、島を増やすタイミングも経営判断のひとつだ。

旧大陸(ヨーロッパ風の島)と新大陸(南米風の島)は別々のマップとして存在し、それぞれで異なる住民層が暮らす。新大陸には農民と職人に相当するジョルナレイロとオブレロという住民層がいて、彼らも独自の要求を持つ。旧大陸と新大陸の間で資源を行き来させながら、それぞれの帝国を発展させていく構造になっている。

新大陸は旧大陸では手に入らない資源(コーヒー、ラム酒の原料となるサトウキビ、タバコなど)の産地として機能する。旧大陸の住民階層が上がってくると、これらの資源が必要になるため、新大陸への進出は自然な流れとして発生する。ここに「植民地との経済的関係」という歴史的テーマが自然に落とし込まれている。

貿易と外交システム

Anno 1800には4〜6人のAI勢力が同じマップに存在している。彼らとの関係が、ゲームの展開を大きく左右する。

外交システムでは、他の勢力と貿易協定を結んだり、同盟を組んだり、あるいは宣戦布告して戦争を始めることもできる。また、特定の島を買い取ったり、逆に売却したりする交渉も可能だ。

貿易協定を結ぶと、相手が持つ商品を定期的に購入したり、自分の余剰商品を売却したりできる。自分では生産できない商品を貿易で補うことで、生産チェーンの隙間を埋められる。特にゲーム序盤は貿易を活用することで、複雑な生産ラインを整備する前に住民の需要を満たすことができる。

各AI勢力にはそれぞれ性格と目標がある。拡張主義的で島を積極的に占領しようとする勢力、貿易を重視して友好的に振る舞う勢力、特定の資源を占有しようとする勢力など——それぞれの動向を観察しながら、どの勢力と組むか、どの勢力を排除するかを判断していく。

また、海賊勢力も存在する。海賊は交渉でお金を払って「おとなしくさせる」ことも、艦隊を組んで壊滅させることもできる。序盤は海賊に対応する軍事力が不足していることが多いため、資金を払って平和を買うという選択も現実的だ。

戦争は艦隊を組んで相手の船や沿岸施設を攻撃することで行われる。Anno 1800の戦闘システムはリアルタイム制で、艦隊の移動と砲撃を指示しながら戦う。ただし、このゲームにおける軍事は補助的な役割で、外交と経済で解決できることが多い。純粋な戦略ゲームとして楽しもうとすると物足りないかもしれないが、邪魔な敵を排除したり、島を奪取したりするための手段として機能はしている。

艦隊は帆船、フリゲート艦、砲艦など複数の種類があり、武装した貿易船を運用することで、貿易と軍事を兼任させることもできる。艦隊の管理は都市経営とは別の楽しみをもたらし、「陸の経営者であり海の覇者でもある」という感覚を生む。

遠征システム

Anno 1800には「遠征」と呼ばれるユニークなシステムがある。世界地図上の特定の地点に船隊を派遣し、カードベースの選択肢を選びながらミッションをこなしていく仕組みだ。

遠征では専門家(スペシャリスト)と呼ばれるキャラクターが活躍する。専門家にはそれぞれ能力値があり、遠征の成否に影響する。優秀な船長、優秀な医師、優秀な戦士を乗組員として派遣することで、成功率が上がる。専門家は遠征で手に入るほか、競売(オークションハウス)や他の専門家との交換でも入手できる。

遠征の報酬は多彩で、レアな専門家を仲間にできたり、独自のアイテムを入手できたり、新しい貿易ルートが開けたりする。遠征で手に入る専門家やアイテムが、生産施設や船に配置できる強化アイテムとして機能するため、ゲームの奥行きを大きく広げる要素になっている。

カードゲーム的な選択肢は文章形式で展開され、いわば短い物語を体験しながら意思決定をしていく感覚だ。「嵐に遭遇した。引き返すか強行するか」「現地の病気が乗組員に広がっている。医療物資を使うか自然回復を待つか」——リスクとリターンを天秤にかける判断が求められる場面が多い。

遠征はゲームのメインループとは別の楽しみとして機能しており、「都市経営に少し飽きたときに遠征に出てみる」という息抜きの役割も果たしている。遠征で手に入ったレアな専門家が都市の経営を効率化してくれることもあり、都市建設と遠征が互いにインセンティブをもたらし合う関係になっている。

ニュースペーパーと評判システム

Anno 1800には「新聞」というユニークな要素がある。ゲーム内には定期的に新聞が発行され、プレイヤーの都市についての記事が掲載される。記事の内容は自動生成されるが、プレイヤーは記事の論調に一定の影響を与えられる。住民が喜ぶような内容の記事を掲載させることで満足度を上げたり、ライバル勢力へのネガティブな記事を載せたりすることもできる。

「評判」システムは、様々な住民層や他の勢力からの支持率を表している。農民の評判、職人の評判、商人の評判——それぞれが独立した数値で管理され、特定の住民層からの不満が高まると住民が降格・脱出してしまうことがある。

評判が高いと住民が安定し、外交もスムーズになるが、評判を上げるためには金銭的なコストがかかることも多い。住民の要求を満たすだけでなく、政治的な側面も管理する必要があるのだ。このシステムにより、「経済的に豊かな都市」と「住民に支持される都市」は必ずしも同じではない、という現実的なテーマが生まれる。

建設と都市レイアウト

都市の見た目や機能は、建設の仕方に大きく左右される。Anno 1800では道路・住宅・生産施設・公共施設それぞれが、配置によって効率や住民の満足度に影響する。

住宅には「影響範囲」があり、近くに公共施設(礼拝堂、市場、学校など)があると住民の満足度が上がる。公共施設を中心に住宅をまとめて配置する「ブロック」を作り、それを繰り返し並べていく——このレイアウト設計が都市建設の腕の見せどころだ。

Anno 1800コミュニティでは、最適なブロックパターンについて多くの研究がある。「4×8の住宅ブロックに礼拝堂を配置するとXX人の住民が収容できる」といった計算がファンによって共有されており、効率を追求したいプレイヤーはこうした情報を参考にして美しい格子状の都市を作る。

一方、生産施設は原材料の産地に近い場所に建てるのが効率的だ。農場、採掘場、倉庫、港が近くにまとまっているほど輸送コストが下がる。住宅地と工業地帯を分け、それぞれの区画を計画的に設計することが、長期的な都市の発展につながる。

道路の引き方も重要だ。幅員2マスの大通りと細い路地を組み合わせることで、輸送効率を上げながら土地を有効活用できる。道路ネットワークの設計次第で、まったく異なる都市の印象が生まれる。

もちろん完璧に計画通りに進めるのは難しい。プレイしていると「あそこに農場を建てる前にここに住宅を作っておけばよかった」という後悔が必ず出てくる。そのときは既存の施設を壊して再建設したり、別の島に機能を移したりしながら最適化を続けていく。この試行錯誤そのものがAnno 1800の楽しさだ。

電力と産業化

ゲームが進み、エンジニア層が登場すると「電力」という新しい要素が加わる。電力は石炭を燃料とする発電所から供給され、電力が必要な生産施設や住居に伝わることで機能する。

電化によって生産施設の効率が上がり、新しい製品の製造が可能になる。より高度な商品を作るためには電化された工場が必要で、その工場を動かすには安定した電力供給が欠かせない。石炭の採掘と輸送、発電所のキャパシティ管理——ゲーム後半の都市運営にエネルギーインフラという新しいレイヤーが加わる。

電力の供給範囲も考慮が必要だ。発電所から供給できる範囲は限られており、大きな都市では複数の発電所を配置して全域をカバーする必要がある。電力網の設計は、水道や道路と並ぶインフラ計画のひとつとして、都市管理に深みを加える要素になっている。

この電力システムは産業革命後期のリアルな歴史的展開を反映しており、ゲームプレイとしても序盤から中盤への移行を示す象徴的なターニングポイントになっている。「電気が来た都市」と「まだガス灯の都市」は見た目も異なり、プレイヤーに達成感と時代の移り変わりを視覚的に伝えてくれる。

港と船の管理

Anno 1800は陸の都市建設だけでなく、海上輸送と艦隊管理も重要な要素だ。

島間の物資輸送には貿易船が必要で、複数の島の間に「貿易ルート」を設定することで自動的に物資が輸送されるようになる。貿易ルートの設定では、どの島からどの島へ、どの商品をどれだけ輸送するかを細かく指定できる。

帝国が拡大するほど、貿易ルートの本数が増え、船団の管理も複雑になる。「あの島で砂糖が溢れているのに、この島では不足している」という事態を防ぐために、輸送量の細かい調整が求められる場面も出てくる。この海上物流の管理が、都市建設とはまた別の戦略的な楽しさを生む。

また、軍艦を保有することで、海賊への対処やAI勢力との戦争に備えられる。軍艦は維持費がかかるため、どのくらいの規模の艦隊を持つかは財政との兼ね合いになる。過剰な軍備は財政を圧迫し、不足すれば外部からの脅威に無防備になる。このバランス感覚もAnno 1800の奥深さのひとつだ。

Anno 1800が人気な理由

「もう少し」という魔力

Anno 1800が長時間プレイを誘発する根本的な理由は、ゲームループのデザインにある。

都市建設ゲームの多くは「課題→解決→達成感」というサイクルで動く。Anno 1800はこのサイクルが非常に短く、かつ連続して繰り返されるように設計されている。

農民の食料が不足している。農場を1棟追加する。解決した。——しかし農民の数が増えたので今度は布が足りなくなる。繊維工場を建てる。解決した。——今度は農民の一部が職人に昇格できる状態になった。職人は肉を欲しがっている。と畜場を建てる……

このように、ひとつの問題を解決すると次の問題が生まれ、それを解決するとさらに次が来る。「やることリスト」が常に更新され続け、「キリのいいところ」が永遠に来ない。これが「気づいたら3時間」という体験を生み出す仕組みだ。

Steamのレビューには「Honestly one of my favorite games. You can dump hundreds of hours into one save!(正直、お気に入りのゲームのひとつ。1つのセーブデータに数百時間を注ぎ込める)」という声がある。それがこのゲームの本質を表している。

さらに「もう少しで投資家の需要を満たせる」「あの島を開拓すれば製品ラインが完成する」という近い目標が常に見えていることも、プレイを続ける動機になる。遠い目標を設定するゲームとは違い、次の達成感が常に手の届く距離にある設計がAnno 1800の「やめられなさ」の根源だ。

生産チェーンの深さと達成感

Anno 1800の生産チェーンは単純なパズルではない。住民の総需要を計算し、必要な生産量を逆算し、それに必要な施設数と面積を導き出し、土地の制約の中に最適解を詰め込む——これは一種のリソース最適化パズルだ。

複雑なチェーンが完成して、すべての需給バランスがきれいに取れたときの達成感は格別だ。「この連鎖を自分で設計した」という手ごたえは、どんな派手な演出より深い満足感を生む。

また、完璧な計画を立てるよりも、成長に合わせて臨機応変に対応していくスタイルのほうが楽しいという意見も多い。最初は小さな農業の島だったのが、気づいたら煙突が立ち並ぶ工業都市になり、周辺の島を植民地化した帝国の首都になっていく——その有機的な成長を見守る感覚がある。

この「気づいたらすごい都市になっていた」という体験は、Anno 1800の特に語られやすい魅力だ。一歩一歩の小さな積み上げが、振り返ると大きな変化になっている。その変化の積み重ねが「300時間プレイしても飽きない」という感想につながっている。

産業革命という時代設定の魅力

Anno 1800の時代設定は、ゲームに独特の雰囲気を与えている。

蒸気機関の煙、帆船から蒸気船への移行、ガス灯から電灯への転換——これらが段階的にゲームに現れてくる。歴史的な変化をリアルタイムで体験できる感覚は、単なるファンタジー世界や現代都市を舞台にしたゲームでは味わえないものだ。

建物のデザインも19世紀ヨーロッパのスタイルに統一されており、工場地帯のレンガ煙突、商人街の石造りの商館、投資家が住む豪奢な邸宅——それぞれがその時代らしい外観で、都市全体が一種のジオラマのような美しさを持つ。

「歴史的な都市建設ゲームをやりたい」と思ったとき、Anno 1800は最高の選択肢のひとつだ。中世ファンタジーや古代ローマとは異なる、近代の夜明けという時代の独自性がある。産業革命という時代は、私たちが生きる現代社会の直接の起源でもある。その時代を自分の手で動かす体験には、歴史的な親しみやすさと発見の両方がある。

グラフィックの美しさ

Anno 1800はビジュアルの作り込みが非常に丁寧なゲームだ。俯瞰視点で都市全体を管理しながら、ズームインすると住民が歩き、荷車が動き、船が波を切る様子まで見えてくる。

季節の変化や時間帯による光の変化もある。夜明けの都市に朝日が差し込む瞬間、夕暮れに港の灯台が灯る光景——ゲームを一時停止してカメラを自由に動かすだけでも、絵になる写真が撮れる。

海面の反射、煙突から立ち上る煙の動き、建物の細かいテクスチャ——グラフィック品質を最高設定にして動かせる環境があるなら、都市を眺めるだけで時間が過ぎていく美しさがある。このゲームが「スクリーンショット文化」を持つ都市建設ゲームとしてもコミュニティで人気なのは、こういったビジュアルの充実ゆえだ。

5年以上の継続的な開発

2019年のリリースから2024年現在に至るまで、Anno 1800は継続的に開発・更新が行われている。シーズンパスが4弾まで提供され、各シーズンにはメジャーなDLCが3〜4本含まれている。コスメティックDLCも多数あり、総DLC数は35本以上だ。

この継続的なサポートは、ゲームの寿命を劇的に延ばしている。最初に購入したときのゲームと、5年後のゲームでは、コンテンツ量が何倍にもなっている。長くプレイする人ほど、もとを取れるゲームになっている。

また、無料アップデートでも多くの機能が追加されてきた。バランス調整、UI改善、新機能の追加——開発チームがゲームを大切に育て続けていることが伝わってくる。Metacriticスコア81点という評価は、リリース直後のものだが、その後の更新によってゲームはさらに充実している。

こうした長期サポートは、Ubisoftのゲームとしては珍しいとも言われるが、Anno 1800が特別にコミュニティから愛されているゲームであることの証でもある。開発チームがプレイヤーのフィードバックに真摯に向き合い、アップデートを重ねてきた姿勢は、長年のプレイヤーからも高く評価されている。

3つのゲームモードが用意している多様な遊び方

キャンペーンモードは、主人公がある島に流れ着くところから始まる物語形式のモードだ。父の遺産を巡る策略、新興勢力との対立、新大陸への進出——こうしたストーリーラインに沿いながら、自然とゲームの仕組みを学べるように設計されている。初めてプレイするなら、まずはキャンペーンから始めるのが最もスムーズな入門経路だ。

キャンペーンには一定のストーリーがあるが、その中でも自分のやり方で都市を建設できる自由度がある。「ストーリーを追いながら自分の街を作る」という独特の体験で、都市建設ゲームとしての楽しさとアドベンチャー的な読み進める楽しさが両立している。

サンドボックスモードは、自分で条件を設定して自由に遊べるモードだ。AIの数、難易度、マップのサイズ、勢力の攻撃性——さまざまなパラメーターを調整できる。「ゆっくり経営だけ楽しみたい」なら戦争なしに設定できるし、「激しい競争が好き」なら攻撃的なAIを多数配置することもできる。自分に合ったペースとスタイルでプレイできる自由度が高い。

サンドボックスの最大の魅力は、「もしも」を試せることだ。小さな島でどこまで大都市を作れるか挑戦する、あえて経済的に不利な条件で開始してどこまで挽回できるか試す——こういった自分なりの縛りプレイや実験プレイが楽しめる。

マルチプレイモードでは、他のプレイヤーと同じマップで競争・協力しながらプレイできる。同盟を結んで共同で帝国を築いたり、島の争奪戦を繰り広げたりする体験は、AIとのプレイとは違う緊張感がある。対戦相手が人間だと、外交の読み合いや資源争いが格段に面白くなる。

DLCの内容と選び方

シーズンパスの概要

Anno 1800のDLCは「シーズンパス」という形でまとめられており、シーズン1から4まで展開されている。各シーズンには大型DLC(新しいエリアや大規模なシステム追加)が含まれる。

シーズン1の3本は「Sunken Treasures」「Botanica」「The Passage」だ。「The Passage」では北極圏を舞台にした新しいエリアが登場し、厳しい気候の中での都市建設と資源採掘という新たな挑戦が加わる。「Botanica」では植物園という新しい観光・文化施設が追加され、「Sunken Treasures」では海底の謎めいた探索と宝探しを楽しめる。

シーズン2には「Seat of Power」「Bright Harvest」「Land of Lions」が含まれていたが、特に「Land of Lions」はシーズン3として別パッケージになっている(購入時は確認が必要)。「Seat of Power」では議会システムが追加され、住民層ごとの政治的な要求を管理する新機能が登場。「Bright Harvest」ではダムと農業の機械化が追加され、農業生産の効率が大幅に向上する。

シーズン3の目玉は「Land of Lions」で、アフリカをモデルにしたマンオラという大陸が追加された。ここでは独自の住民層(市民「Shepherds」と「Elders」)と生産チェーンがあり、旧大陸・新大陸に続く第三の地域として大きくゲームを拡張した。マンオラでしか手に入らない資源が、旧大陸の発展に不可欠になっていく。

シーズン4では「Seeds of Change」として農業の多様化と新しい住民層の追加が行われ、「Empire of the Skies」で飛行船という新たな輸送手段が登場。飛行船は陸上・海上とは異なる第三の輸送経路として機能し、地形を無視して物資を輸送できる点でゲームプレイに新しい戦略的オプションをもたらした。さらに「New World Rising」では新大陸が大幅に強化され、より独立した経済圏として機能するようになった。

コスメティックDLCについて

シーズンパス以外にも、建物の外観を変えるコスメティックDLCが多数ある。「Anarchist Pack」「Pedestrian Zone Pack」「Tourist Season」シリーズなど、都市の見た目をカスタマイズするためのDLCだ。

コスメティックDLCの中には、特定の建築様式を追加するものがあり、ゴシック調、地中海風、アジア風など様々なスタイルの建物で都市を飾れる。ゲームシステムへの影響はないため、「見た目の変化だけでお金を払うのか」という意見もあるが、都市の美観にこだわるプレイヤーには嬉しい内容だ。

コスメティックDLCはゲームプレイには影響しないため、見た目へのこだわりがない人は不要だ。しかし「自分の都市を美しく飾りたい」という人には、お気に入りのパックを選んで導入する楽しみ方もある。まずはゲームプレイ系のDLCで都市を発展させ、余裕ができたら見た目を整えるというアプローチが多くのプレイヤーにとって自然な流れだ。

おすすめの購入方法

初めて購入するなら、まずは基本ゲームだけを買ってプレイすることをおすすめする。基本ゲームだけでも非常に豊富なコンテンツがあり、DLCなしで100時間以上十分に楽しめる。旧大陸と新大陸を舞台にした帝国建設は基本ゲームの範囲内で完結しており、北極・アフリカ・飛行船などはあくまで拡張要素だ。

ゲームが面白いと感じたら、次のステップとしてシーズン1〜4をまとめて買えるバンドル版や、「Complete Edition」「Definitive Annoversary Edition」のような全部入りパッケージを検討するのが賢い。Steamのセール時には大幅に値引きされることも多いため、セールを狙うのが費用対効果の高い購入方法だ。

Steamのサマーセールやウィンターセールでは基本ゲームが70〜80%オフになることも珍しくない。定価7,920円のゲームが1,500〜2,000円程度で購入できる機会があるため、急がないならセール待ちは十分に合理的な選択だ。

コスメティックDLCはよほど見た目にこだわりがなければ後回しにして構わない。まずゲームの面白さを確かめてから、必要に応じて追加するスタンスが無難だ。シーズンパスのゲームプレイ系DLCから始め、コスメは興味が出てきたときに検討するという順番が自然だろう。

Anno 1800を始める前に知っておきたい注意点

序盤は学習コストが高め

Anno 1800は序盤の学習コストが比較的高いゲームだ。ゲームシステムが多岐にわたる上、チュートリアルは基本的な操作を教えてくれるが、「どうすれば効率よく都市が発展するか」というノウハウまでは教えてくれない。

最初の数時間は「なぜ住民が不満なのか」「何が足りないのか」が把握できずに苦労することがある。ゲームのUIを読み解く練習と、生産チェーンの概念を理解するまでに一定の時間が必要だ。特に「生産設備同士の比率」の概念は最初は直感的に理解しにくく、なんとなく建てた施設が非効率になりがちだ。

ただし、これはこのジャンルのゲームに共通する特徴でもある。最初の壁を乗り越えた後は、仕組みが見えてくるにつれてプレイが一気に楽しくなる。「序盤が難しいのは当然」くらいの心構えで始めるといい。最初の数時間を乗り切れば、その後は自然と理解が深まっていく。

また、公式のチュートリアルに加えて、YouTubeやゲーム攻略サイトに豊富な日本語情報がある。「初心者ガイド」や「生産チェーン解説」といった動画を参考にすれば、序盤の学習コストを大幅に下げられる。「わからなくなったら調べる」という姿勢でOKだ。

Ubisoft Connectが必要

Anno 1800はSteamで購入しても、プレイにはUbisoft Connectというランチャーへのサインインが必要だ。Ubisoftのアカウントを別途作成する必要があり、Steamとは別のプラットフォームを経由することになる。

Steamのレビューでは、この点を不満として指摘しているコメントが少なくない。「ゲーム自体はとてもいいのに、Ubisoft Connectのせいで体験が損なわれる」という声がある。接続不安定時のトラブルや、二重のプラットフォーム管理の煩わしさを嫌うプレイヤーもいる。

Ubisoft Connectは完全に回避できない仕様なので、事前に把握しておくことが重要だ。アカウント作成自体は無料で難しくないが、「Steamだけで完結しない」ことへの心理的な障壁を感じる人もいる。事前にアカウントを作成しておくと、初回起動時にスムーズに始められる。

DLC込みの総費用に注意

基本ゲームは定価7,920円で購入できるが、全DLCを揃えようとすると総額が大幅に増える。全DLC込みのDefinitive Annoversary Editionは17,160円、さらにコスメティックDLCも加えると数万円規模になる場合もある。

DLCはゲームを大きく拡張するコンテンツだが、基本ゲームだけでも十分楽しめるため、最初から全部購入する必要はない。ゲームが気に入ってからDLCを検討するという段階的な購入が合理的だ。

セール時の割引率が高いため、Steamウィッシュリストに追加しておいて、セールを待って購入するのが最もコストパフォーマンスが高い方法だ。過去には基本ゲームが80%オフになったこともあり、焦らず待つ価値は十分にある。

途中でやめにくい設計

これは欠点というより仕様だが、Anno 1800は「いつ中断するか」が難しいゲームだ。前述の通り、課題が次々と発生するためキリのいい終わりがない。「今日はここで終わり」と決めていても、気づいたら2時間過ぎているというのはよくある話だ。

長時間プレイが続いてしまいがちなゲームであることを自覚した上で、プレイ時間の管理を意識すると良い。特に翌日の仕事や学校がある日の夜に起動すると、「あと少し」が続いて深夜になるリスクがある。「今日は○時になったら必ずやめる」という自分ルールを作ることが、このゲームとの賢い付き合い方だ。これは警告というより、それだけ熱中できるゲームだという証拠でもある。

PCスペックの確認

Anno 1800は比較的しっかりとしたPCスペックが必要なゲームだ。都市が大きくなるにつれて、画面上の建物数・住民数・移動中の車両数が増え、負荷が上がっていく。

最低動作環境はCore i5-3470またはAMD FX-6350、RAM 8GB、GeForce GTX 670またはRadeon R9 280とされている。推奨環境はCore i7-4770またはRyzen 5 1600、RAM 8GB以上、GeForce GTX 970またはRadeon RX 480となっている。

ただし推奨スペック程度のPCでも、都市規模が非常に大きくなった後半では処理が重くなる場合がある。特に投資家層が数百〜数千人規模になり、複数の島を同時管理するような大帝国を目指すなら、より余裕のあるスペックが快適なプレイにつながる。

低スペックのPCでも起動はできるが、建物数が増えてきたときにフレームレートが落ちることがある。ゲームの設定でグラフィック品質を下げることで改善できるが、せっかくの美しい都市が見づらくなるのはもったいない。購入前にシステム要件を確認することをおすすめする。

初心者向けアドバイス

最初はキャンペーンモードから始めよう

Anno 1800に初めて触れるなら、サンドボックスではなくキャンペーンモードから始めることを強くすすめる。キャンペーンはストーリー仕立てで進むため、各システムを自然に学べるように設計されている。「次に何をすべきか」が示される場面が多く、ゲームの流れを無理なく把握できる。

サンドボックスで最初から自由にやろうとすると、何をすればいいかわからず途方に暮れることがある。キャンペーンで基本を体に覚えさせてから、サンドボックスで自分なりのプレイスタイルを確立していくのが最もスムーズな入門ルートだ。

キャンペーンのストーリーは、主人公の視点を通して産業革命の時代の雰囲気も伝えてくれるため、世界観への没入感も高い。「なんとなく雰囲気を感じながらゲームを覚えたい」という人に特に向いている。

需給バランスのインジケーターを見る習慣をつけよう

Anno 1800では画面左下に住民の需要と供給のバランスを示すパネルがある。ここが赤くなっている商品があれば生産不足、青ければ過剰だ。このパネルを定期的に確認する習慣をつけることが、都市運営の基本だ。

「なぜか住民が不満なのに原因がわからない」という状態になったとき、このパネルを見ると原因の多くがわかる。何が足りていないのかを把握してから建設を増やすことで、無駄な出費を減らせる。

また、特定の建物をクリックすると、その建物がどの商品を消費・生産しているかの詳細が確認できる。「この工場は稼働しているのになぜ製品が届かないのか」という疑問が生じたとき、建物の情報画面を確認すると原因が見えてくることが多い。インジケーターとあわせて活用しよう。

農民を急いで職人に昇格させすぎない

Anno 1800の序盤で多くの初心者がやりがちなミスは、農民をどんどん職人に昇格させて人口を増やそうとすることだ。農民の需要が満たされると職人への昇格条件が整うため、欲張りにどんどん昇格させると、今度は職人の需要が大量に発生して対応できなくなる。

農民の数と職人の数のバランスを取りながら、徐々に昇格させていくことが安定した都市運営のコツだ。職人の需要に対応できる生産設備が整ってから人口を増やすことを意識すると、財政が安定しやすい。

同様に、職人から商人、商人からエンジニアへの昇格も、次の階層の需要に対応できる準備が整ってからにするのが基本だ。「昇格条件が整ったからすぐ昇格させる」のではなく、「次の階層を迎える準備ができたから昇格させる」という意識を持つことが安定運営につながる。

黒字維持を最優先に

Anno 1800では、収入(住民からの税収・貿易収益)と支出(建物の維持費・船の維持費など)のバランスが常に変動している。新しい建物を建てるたびに維持費が増えるため、無計画に拡大すると赤字になりやすい。

序盤は財政を黒字に保ちながら少しずつ拡大していくことが重要だ。「今月の収支がプラスかマイナスか」を常に意識しておく。赤字になりそうなときは一時的に建設を止めて、収入が増えるのを待つくらいのペースが安全だ。

住民の数が増えるほど税収が増えるため、長期的には収入は増加していく。しかし急激な拡大は維持費の急増を招くため、成長速度を自分でコントロールする感覚が大切だ。

「赤字になってもいつか黒字に戻る」という甘い見通しでプレイすると、気づいたときには回収不能な財政難に陥っていることがある。特に軍艦の維持費は大きいため、必要以上の軍備を持たない判断も序盤は重要だ。

倉庫と港の配置に気を配ろう

Anno 1800では、物資は倉庫を拠点として島内を運搬される。倉庫のカバー範囲外に建設された施設は、物資を受け取れない・送れない状態になってしまう。島が大きくなってきたら、倉庫を増設して島全体をカバーしていることを確認しよう。

倉庫の配置は効率に大きく影響する。港に近い場所に倉庫を置くと、輸入物資の配送が効率化される。大きな生産施設群の近くにも倉庫を配置することで、原材料の供給がスムーズになる。序盤は1棟の倉庫でカバーできていても、都市が拡大するにつれて倉庫の増設が必要になる。

また港(波止場)は島間の輸送の拠点になる。複数の島で生産した資源を本島の倉庫に集約するためには、船が停泊できる港が必要だ。貿易ルートを設定する前に、対象の島に港が設置されていることを確認しよう。港がない島には船が停泊できないため、せっかく資源を生産しても輸送できない状態になる。

序盤は貿易を活用しよう

序盤のうちは、すべての商品を自力で生産しようとする必要はない。AI勢力やゲームに最初から存在する「中立の貿易商人」から商品を購入する形で、生産チェーンの穴を埋めることができる。

特に職人が求める食料の多様化(肉・魚・ソーセージなど)を最初から全部自前で用意しようとすると、施設建設が追いつかずに赤字になりやすい。一部を貿易で補いながら徐々に自給率を高めていく方針が現実的だ。

また、自前で生産している商品が余剰になっている場合は、それを他の勢力や中立商人に売ることで収益を得られる。生産量が需要を少し上回るように調整して、余剰分を輸出収益に変換するというバランスが安定した財政につながる。「すべて自給自足」を目指すより、得意な分野で過剰生産して輸出するほうが効率的な場面も多い。

セーブをこまめにしよう

Anno 1800にはオートセーブ機能があるが、複数のセーブデータを定期的に作成しておくことを強くすすめる。「やはり別のルートにすればよかった」という後悔が生まれやすいゲームなので、数時間おきに別名でセーブしておくと安心だ。

特に大きな決断(戦争、大規模な都市改造、新しい島への進出など)の前に手動セーブをする習慣をつけると、後悔しにくい。失敗してもロールバックできる安心感があると、より思い切った挑戦ができるようになる。

オートセーブは便利だが、「気づいたら失敗した状態でオートセーブされていた」という事態も起きうる。定期的な手動セーブの習慣は、このゲームを長く楽しむための基本的な自衛手段だ。

ゲームスピードの調整を活用しよう

Anno 1800はゲームスピードをリアルタイムで変更できる。1倍速・2倍速・4倍速と変えられるほか、一時停止も可能だ。

一時停止中でも建物の配置や計画は立てられるため、「今の状況を整理してから次の手を考えたい」というときは積極的に一時停止を使おう。特に序盤のうちは一時停止を多用しながら、落ち着いて状況を確認することが安定したプレイにつながる。Anno 1800はリアルタイムゲームだが、実質的には「ポーズ可能な経営シミュレーション」として遊べる設計になっている。

逆に、安定期に入って管理が楽になってきたら2倍・4倍速を使って進行を早めることで、待ち時間を短縮できる。「今は農場が育つのを待つだけだから4倍速で飛ばす」「外交交渉の場面だからゆっくり1倍速で」——自分のプレイスタイルに合わせてスピードをコントロールすることも、このゲームの楽しみ方のひとつだ。

生産チェーン表を参考にしよう

Anno 1800の生産チェーンは複雑で、すべてを暗記するのは現実的ではない。幸い、Anno 1800のコミュニティは非常に活発で、全生産チェーンをまとめた図や表が多数公開されている。Anno 1800 Calculatorという無料のウェブツールも存在し、「〇〇人の農民を養うために何棟の農場が必要か」を自動計算してくれる。

初心者のうちはこうした外部ツールや参考表を活用することを遠慮なくすすめる。「カンニングはずるい」と思わなくていい。Anno 1800はそういった情報を活用しながら遊ぶことが、開発者側も想定しているゲームデザインになっている。複雑な数字をすべて自力で計算することがこのゲームの本質ではなく、それらを土台にして「どんな都市を作るか」を考えることが本当の楽しみだ。

まとめ

Anno 1800は、都市建設の楽しさを徹底的に突き詰めた傑作だ。

産業革命という歴史的に興味深い時代設定、緻密に設計された生産チェーン、5つの住民階層がそれぞれ異なる需要を持ちながら都市を形成していく複雑さ——これらが組み合わさって、他の都市建設ゲームでは得られない独特の深さが生まれている。

簡単に攻略できるゲームではない。序盤の学習コストはそれなりに高く、思い通りにいかない場面も多い。しかし、仕組みが見えてきたとき、複雑な生産チェーンが噛み合ったとき、荒野だった島が繁栄する帝国の中心都市に変わったとき——その達成感は、このゲームに費やした時間を十分すぎるほど報いてくれる。

2019年のリリースから5年以上経ってもアップデートが続き、35本以上のDLCで拡張され続けているゲームには、理由がある。それだけ多くのプレイヤーが、このゲームを「続けたい」と思い続けているということだ。ひとつのセーブデータに300時間を費やすプレイヤーが珍しくないゲームが、どれだけの深さを持っているか——その数字が何よりの証明だ。

「都市建設ゲームの決定版を探している」「産業革命の時代をゲームで体験したい」「じっくり腰を据えて遊べるタイトルを探している」——そういう人にとって、Anno 1800はそのまま答えになる1本だ。

生産チェーンを組み上げ、住民の需要を満たし、島々を連ねた帝国を築く——その過程のひとつひとつが楽しく、積み重なっていくことで大きな達成感になる。これだけ純粋に「作る楽しさ」に向き合えるゲームは、そう多くない。

最後にひとつだけ警告しておく。

起動する時刻には気をつけてほしい。このゲームはリアルに「気づいたら夜が明けていた」という体験をさせてくれる。翌日のスケジュールを確認してから、腰を落ち着けてプレイしてほしい。それほど没頭できるゲームだということだ。

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Anno 1800

Ubisoft Mainz
リリース日 2019年4月16日
サービス中
同時接続 (Steam)
2,401
2026/04/16 アジア圏ゴールデンタイム計測
レビュー
31,046 人気
81.3%
全世界
非常に好評
31,046件のレビュー
👍 25,255 👎 5,791
55%
賛否両論
191件のレビュー
👍 105 👎 86
価格¥7,920
開発Ubisoft Mainz
販売Ubisoft
日本語非対応
対応OSWindows
プレイ形式シングル / マルチ
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