血だらけの部屋を元通りに。そんな「仕事」に、なぜか夢中になってしまう

モップを握りしめ、真っ赤に染まった床を一心不乱に拭く。バケツの水がみるみる赤黒く濁っていく。壁に飛び散った血痕をスポンジでこすり落とし、散乱した家具を元の位置に戻す。ひとつ、またひとつと汚れが消えていくたびに、不思議な達成感がこみ上げてくる。
これが『Crime Scene Cleaner』の日常だ。プレイヤーが担うのは、殺人事件の現場を警察が到着する前にピカピカにするという、とんでもなくダークな「お仕事」。それなのに、プレイし始めると手が止まらない。「あと一箇所だけ」「この部屋だけ終わらせよう」と思っているうちに、気づけば数時間が経過している。
Steamでは3万件以上のレビューのうち98%が好評という「圧倒的に好評」の評価を獲得し、累計販売本数は100万本を突破。2024年8月14日のリリース以来、掃除系シミュレーションの新たな金字塔として、世界中のプレイヤーを虜にしている。ポーランドの首都ワルシャワに拠点を置くPresident Studioが開発し、PlayWay S.A.がパブリッシングを担当。PC(Steam/Microsoft Store)だけでなく、PS5やXbox Series X|Sにも展開されており、Xbox Game Passにも対応している。
「犯罪現場の掃除」というニッチなテーマでこれほどの成功を収めたのは、単なる物珍しさだけでは説明がつかない。掃除そのものの快感、心に刺さるストーリー、そしてリリース後も途切れることのないアップデート。この記事では、Crime Scene Cleanerがなぜこれほど多くのプレイヤーの心を掴んだのか、その魅力を余すところなく掘り下げていく。
「Crime Scene Cleaner」公式トレーラー
こんな人に読んでほしい
- 掃除系シミュレーションが好きで、ちょっと変わったテーマの作品を探している人
- ストーリー性のあるシミュレーションゲームを遊びたい人
- 「汚い場所をキレイにする」快感にハマれる人
- ダークな世界観やブラックユーモアが好きな人
- 1ステージ1時間程度で区切りよく遊べるゲームを求めている人
- Viscera Cleanup DetailやPowerWash Simulatorのような掃除ゲーが好きな人
裏社会の掃除屋「コヴァルスキー」── 娘のために闇に手を染めた父親の物語

Crime Scene Cleanerの主人公は、コヴァルスキーという名の中年男性だ。昼間は学校の清掃員として真面目に働いているごく普通の父親。だが彼には、重い病を抱えた娘エレナがいる。妻はすでにこの世を去り、シングルファーザーとして娘を育てる日々。学校の清掃員の給料だけでは、高額な治療費を工面するのは到底不可能だった。
そんなある日、コヴァルスキーのもとに一本の電話がかかってくる。提示されたのは、通常の仕事では考えられないほどの高額報酬。しかしその「仕事」の内容は、犯罪組織が起こした殺人事件の現場を、警察が来る前に証拠ごと消し去るというものだった。娘を救いたい一心で、コヴァルスキーはその仕事を引き受けてしまう。それが、裏社会の「クリーナー」としての人生の始まりだった。
このゲームが秀逸なのは、主人公に明確な「やむを得ない動機」を与えている点だ。コヴァルスキーは犯罪を楽しんでいるわけではない。娘のためという切実な理由があるからこそ、プレイヤーも彼の選択に感情移入してしまう。「こんな仕事をしたくてしているわけじゃない。でも、娘のためなら」。そんな葛藤が、ミッション中に挿入されるモノローグを通じて丁寧に描かれている。
コヴァルスキーは掃除中にぶつぶつと独り言を漏らす。現場の惨状に対する皮肉めいたコメント、娘への想い、自分の境遇への愚痴。こうした独白がキャラクターに血を通わせ、「ただのプレイヤーアバター」ではない一人の人間として立体的に描き出している。シニカルだけど根は優しい、そんなコヴァルスキーのキャラクター性は、プレイを重ねるほどに愛着が湧いてくる。
ストーリーは断片的に、しかし確実に進む
ストーリーはステージを進めるごとに少しずつ展開していく。最初は「ただの仕事」だったはずが、次第にマフィアのボスとの関わりが深まり、コヴァルスキーは後戻りできない泥沼にはまっていく。依頼主である「ビッグ・ジム」との電話でのやり取りからは、裏社会の人間関係や組織の内部事情が垣間見える。
各ステージの現場には、そこで何が起きたのかを推測できる痕跡が残されている。遺体の位置関係、散乱した薬物、割れたガラス。プレイヤーは掃除をしながら、事件の背景を自分の頭の中で組み立てていくことになる。この「現場を読む」という体験が、掃除のゲームプレイにもうひとつの楽しみを加えている。
裏社会の闇、組織の内部抗争、そしてコヴァルスキー自身の過去。掃除をしながら断片的に明かされる物語は、「次のステージではどんな展開が待っているんだろう」とプレイヤーの好奇心を刺激し続けてくれる。ストーリーの結末については多くを語らないが、エンディングではコヴァルスキーがある重大な決断を下すことになる。それまでの掃除屋稼業で積み重ねてきた感情が、ラストで一気に集約する構成は見事だ。
同じく裏社会をテーマにしたゲームといえば、マフィアの世界を直接体験できる作品も根強い人気がある。Crime Scene Cleanerが「裏方」の視点から犯罪世界を描くのに対して、組織のトップとして街を支配する体験をしたいなら、こちらの作品もチェックしてみてほしい。

掃除の基本 ── モップ、スポンジ、高圧洗浄機を使いこなす
Crime Scene Cleanerの核となるのは、もちろん「掃除」だ。プレイヤーが使える道具は主に4種類。それぞれに明確な役割分担があり、状況に応じて使い分けることが攻略のカギになる。ここでは各道具の特徴と効果的な使い方を詳しく見ていこう。
モップ ── 広範囲の血痕処理に欠かせない相棒
床に広がった血だまり、廊下に続く血の足跡、部屋一面を覆う赤い汚れ。こうした広範囲の汚れを一気に拭き取れるのがモップだ。リーチが長く、一振りでカバーできる面積も広いため、ゲーム全体を通じて最も出番が多い道具と言っていい。
モップの使い方はシンプルだが、効率を意識すると奥が深い。まず押さえておきたいのが「奥から手前へ」の原則。部屋の奥から入口に向かって掃除を進めることで、自分の足跡で再び床を汚してしまうリスクを最小限にできる。Crime Scene Cleanerでは血の上を歩くと足跡がつく仕様になっているため、掃除の順序を考えることが重要だ。ただし、足跡は数歩で消えるよう調整されているので、Viscera Cleanup Detailのように足跡だらけになって発狂する心配はない。
スキルツリーでモップを強化すると、清掃速度や耐久性がアップする。特に「自動洗浄アタッチメント」を解放すると、一定回数使うたびにモップが自動で洗浄されるため、バケツに戻る手間が大幅に減る。この快適さを一度味わうと、もう元には戻れない。
スポンジ ── 壁や細かい箇所の仕上げに
モップでは届かない壁面の血しぶき、家具の隙間に残った汚れ、角に溜まった小さな染み。そんな「あと一歩」の仕上げで活躍するのがスポンジだ。こびりついたカーペットの染みにも強く、すでにモップで掃除したエリアの取りこぼしを丁寧にケアできる。
スポンジの真価が発揮されるのは、ステージ終盤の仕上げ段階だ。クリーナーセンスを使って残りの汚れをチェックすると、壁の高い位置や家具の裏側にわずかな血痕が残っていることがある。こうした「モップでは対処しきれない」汚れを確実に落とすのがスポンジの役割だ。地味な存在だけど、100%クリアを目指すなら欠かせない。
高圧洗浄機 ── 屋外や大規模な血痕に
屋外エリアや、壁一面に飛び散った大量の血痕を処理するときに頼りになるのが高圧洗浄機だ。水圧で一気に汚れを吹き飛ばす爽快感は、このゲームの中でもトップクラス。広い面を一気に洗い流す快感は、掃除好きなら一度体験するとクセになること間違いなしだ。
スキルツリーで水圧の強化や水消費量の低減ができるほか、「フォームキャノン」というスキルを解放すれば、泡で広範囲を一掃できるようになる。フォームキャノンはスキルポイント3ポイントと前提スキル2つで解放でき、比較的早い段階から使えるのもうれしい。屋外ステージや大規模な豪邸ステージでは、高圧洗浄機の有無で攻略時間に大きな差が出る。
掃除系シミュレーションで「高圧洗浄の快感」を純粋に追求するなら、こちらの作品も見逃せない。Crime Scene Cleanerが血痕だったものが、こちらでは泥や油汚れに変わる。ベクトルは違えど、「汚れが落ちていく快感」を味わえるという点では共通している。

バケツ ── 全ての掃除道具の生命線
モップもスポンジも、使っているうちに血を吸って汚れていく。そのまま使い続けると清掃効率がガクッと落ち、何度こすっても汚れが取れなくなる。だからバケツで定期的に洗い直すことが大切だ。
バケツの水が次第に赤黒く染まっていく演出は、このゲームのリアリティを象徴している。透明だった水が一回、二回と道具を洗ううちに、どんどん不穏な色に変わっていく。こういう細部の作り込みが、「本当に犯罪現場を掃除している」という没入感を支えている。スキルツリーでバケツの容量を増やしたり、水の汚染速度を下げたりする強化も可能だ。水回りのスキルは一見地味だが、バケツの水がすぐ汚れるストレスから解放されると快適さが段違いになる。
洗剤とオゾネーター ── 頑固な汚れへの切り札
通常のモップやスポンジでは落とせない「頑固な汚れ」も存在する。クリーナーセンスで紫色にハイライトされるこれらの汚れには、専用のアプローチが必要だ。
洗剤は頑固な汚れを柔らかくし、通常の道具で除去可能にしてくれるアイテム。使用回数に制限があるが、スキルツリーで使用回数を増やすことができ、上位スキルまで振れば無制限に使えるようになる。後半ステージでは頑固な汚れの量が一気に増えるため、洗剤関連のスキルへの投資は必須と言っていい。
オゾネーター(Ozonator)は、頑固な汚れの近くに設置して放置するタイプの道具。時間経過で汚れを弱体化させ、モップ一拭きで除去可能にしてくれる。設置して待つだけという手軽さが魅力で、他の場所を掃除している間にオゾネーターに「任せておく」という効率的な立ち回りができる。こうした道具の使い分けと並行作業の判断が、単純作業に見えて実は奥深い戦略性を生んでいる。
掃除だけじゃない ── 遺体の処理、証拠の隠滅、家具の復元

Crime Scene Cleanerがただの「掃除ゲー」で終わらないのは、清掃以外にもやることがたっぷり詰まっているからだ。血を拭き取るだけでは仕事は完了しない。ここでは、掃除以外の重要なタスクについて掘り下げてみよう。
遺体の回収と運搬
ミッションの現場には当然ながら遺体が転がっている。1体、2体どころではなく、ステージによっては複数のフロアにまたがって何体もの遺体が散らばっていることもある。これをゴミ袋に入れてトラックまで運び出すのもプレイヤーの仕事だ。遺体を見落としたまま掃除を終えてしまうと、当然ながらミッションは完了にならない。隠し部屋や見えにくい場所に遺体が配置されているケースもあるため、探索を怠らないことが大切だ。
遺体の周辺からは現金、薬物、貴重品といったアイテムが見つかることもある。回収した現金はミッション終了後にスキルポイントに変換されるため、見つけたら積極的に拾っておきたい。高額なアイテムを見つけたときの「おっ、ラッキー」という感覚は、ちょっとしたトレジャーハンティングの楽しさがある。
証拠品の回収と隠滅
血を拭き取り、遺体を運び出しても、まだ仕事は終わらない。凶器、薬莢、壊れた器物、その他の証拠品を見つけ出して回収する必要がある。こうした証拠品はステージ内の棚の裏、引き出しの中、ソファの下など、あらゆる場所に隠されているため、隅々まで探索する楽しみがある。
100%クリアを目指すなら、クリーナーセンスをフル活用して徹底的にチェックしなければならない。ある程度掃除が進んだ段階でクリーナーセンスを発動すると、見落としていた証拠品がハイライトで浮かび上がることがある。この「発見」の瞬間が意外と気持ちいい。
家具の配置と部屋の復元
犯行の際にひっくり返されたテーブル、倒れた本棚、散乱した椅子、割れた花瓶。これらを元の位置に戻して「何事もなかったかのように」部屋を整えるのも重要な作業だ。ただ掃除するだけでなく、部屋全体を「元の状態」に復元するところまでが仕事。
家具の配置は、ゲーム内で正しい位置がガイド表示されるため、パズル的な難しさはそこまでない。それでも、荒れ果てた部屋が少しずつ元通りになっていく過程は、掃除以上に大きな達成感をもたらしてくれる。部屋の状態をビフォー・アフターで見比べると、「自分の手でここまでキレイにしたんだ」という満足感がじわじわと湧いてくる。この感覚は、ボロボロの物件をピカピカにリフォームして利益を出すあのゲームにも通じるものがある。

ゴミの分別と搬出
現場に散乱しているゴミを集めてゴミ袋に詰め、トラックまで運ぶ作業もある。血だけでなく、散らかったゴミもすべて片付けて初めて「完璧な掃除」が成立する。ゴミの量はステージによって異なるが、大規模な現場では相当な量のゴミを処理することになる。コツコツとゴミを集めてはゴミ袋に入れ、トラックに運ぶ。この地道な作業が、掃除の「完了感」をいっそう強めてくれる。
「クリーナーセンス」── 見えない汚れを可視化する特殊能力
Crime Scene Cleanerには、「クリーナーセンス」という独自のシステムが搭載されている。これは、長年の清掃経験で培われたという設定の「第六感」のようなもの。発動すると画面が特殊なビジョンモードに切り替わり、血痕、汚れ、証拠品、ゴミなど、見落としがちな要素がハイライト表示される。
このシステムの存在は、ゲームデザインとして絶妙な判断だと思う。掃除系ゲームで最もストレスになるのは、「どこに汚れが残っているかわからない」状態が延々と続くことだ。99%まで掃除したのに、残り1%がどこにあるかわからなくて30分探し回る。そんな経験は誰だってしたくない。クリーナーセンスは、この「探索のストレス」を適切にコントロールしてくれるバランサーとして機能している。
特に広大なステージでは、肉眼だけで全ての汚れを見つけるのはほぼ不可能だ。天井近くの壁に小さな血の飛沫が残っていたり、カーペットの模様に紛れて血痕が見えにくかったり。クリーナーセンスを使えば、「あのソファの裏にまだ血が残ってる」「この壁の上のほうに飛沫がある」といった見落としをしっかりカバーできる。完璧主義のプレイヤーにとって、これほどありがたい機能はないだろう。
クリーナーセンスには通常時クールダウンがあるため、常時使い続けることはできない。使うタイミングを見極めるのもプレイヤーの腕の見せどころだ。「まずは肉眼で大まかに掃除し、仕上げ段階でクリーナーセンスを使って取りこぼしをチェックする」というのが効率的な使い方だろう。
スキルツリーでクリーナーセンスを強化すると、ハイライト範囲が拡大したり、クールダウンがなくなったりする。逆に、後述する「真の清掃人モード」ではクリーナーセンスが使えなくなるため、己の目だけを頼りに掃除しなければならない。上級者向けの歯応えある挑戦だ。
成長を実感できるスキルツリーシステム

ミッションをクリアすると、回収した現金や貴重品が経験値として変換され、スキルポイントが手に入る。このポイントを使って、4つのカテゴリーに分かれたスキルツリーを強化していくのがCrime Scene Cleanerの成長要素だ。スキルの振り直しはできないため、限られたポイントをどう配分するかの判断が意外と重要になる。
クリーニング系スキル
モップやスポンジの清掃速度を上げたり、清掃範囲を広げたりするスキル群。序盤から投資しておくと、後半の広大なステージで作業効率が段違いになる。2段階の重ねがけが可能な「清掃速度アップ」は、体感でかなりの差が出るので最優先で取りたいスキルだ。モップの「耐久性アップ」も、バケツに戻る頻度を減らしてくれるため地味ながら効果が大きい。
ツール系スキル
高圧洗浄機の水圧強化、洗剤の使用回数増加(上位スキルでは無制限化)、フォームキャノンの解放など、道具そのものの性能を引き上げるスキル群。特に洗剤の無制限化は後半ステージで「取っていてよかった」と心の底から思えるスキルだ。頑固な汚れの出現頻度が上がる後半では、洗剤切れによるストレスが相当なものになるため、早めに投資しておくことをおすすめする。
ウォーター系スキル
バケツの容量増加や水の汚染速度低下など、水回りに関するスキル。地味に見えるが、バケツの水がすぐ汚れてしまうストレスを軽減してくれるため、快適なプレイに直結する。水がなかなか汚れなくなるだけで、バケツとの往復回数が減り、1ステージあたりの体感時間がかなり短縮される。「効率」を重視するプレイヤーほど、このカテゴリーの恩恵を実感できるだろう。
ステーション系スキル
携帯ライトの強化やクリーナーセンスの拡張など、汎用的なスキルが集まるカテゴリー。携帯ライトの無制限使用は、暗いステージで作業するときの必需品だ。あるプレイヤーはこう語っている。
最初の方にスキルツリーで携帯ライトとクリーナーセンス最大まで強化しておくと格段に楽になると思う…特にホラーハウスステージは、携帯ライト無限がないとマジでしんどい
引用元:Twitter @sekkakaka
この声にもある通り、ライト関連のスキルは特定のステージで劇的な効果を発揮する。暗闇の中で血痕を探すのは本当にしんどいので、早めに取っておくのが吉だ。
おすすめのスキル取得順
序盤は「清掃速度アップ」と「携帯ライト強化」に投資するのが安定ルートだ。中盤以降は「洗剤使用回数アップ」や「バケツ容量増加」で快適性を高め、終盤で「フォームキャノン」や「クリーナーセンス拡張」を解放するのがおすすめ。もちろん、自分のプレイスタイルに合わせて自由にカスタマイズできるのがスキルツリーの醍醐味だ。
バラエティ豊かなステージ ── 犯罪現場は毎回違う
Crime Scene Cleanerの舞台は、同じ「犯罪現場」でも実にバラエティに富んでいる。基本ステージは全10種類、それぞれが異なるロケーションと異なるシチュエーションで構成されており、飽きさせない工夫が随所に見られる。1ステージあたりのプレイ時間は約1時間。短すぎず長すぎず、ちょうどいい区切りで遊べるのも魅力だ。
アパート ── 最初の仕事
コヴァルスキーが裏稼業に足を踏み入れる記念すべき最初のステージ。小さなアパートの一室で複数の遺体を処理するところから始まる。規模は小さめだが、チュートリアルとしてよく機能しており、掃除道具の使い方や基本的な立ち回りを自然に覚えられる構成になっている。階上には大麻の栽培施設が隠されていて、「この仕事は想像以上にヤバいぞ」というゲームのトーンを早い段階で示してくれる。
レストラン ── 地下に潜むカジノ
一見すると普通のレストラン。だが地下には違法カジノが隠されている。1階のオフィスから地下へと続く複数階構造で、フロアを行き来しながら掃除を進めることになる。アニマトロニクスが設置されたパフォーマンスエリアがあったりと、独特の雰囲気が漂うステージだ。掃除の対象エリアが広がり始めるため、効率的な動線を考える楽しさも芽生えてくる。
スパ ── 真っ赤に染まった温水
ロッカールームやVIPエリアを含むスパ施設が舞台。このステージのインパクトは何と言っても、スパの水が血で真っ赤に染まっているという衝撃的なビジュアルだ。初見で「うわぁ…」と声が漏れること間違いなし。特定の鍵を見つけることで新しいエリアが開放される探索要素もあり、パズル的な楽しみも味わえる。
豪邸 ── プール付きの大規模現場
庭にプールがある豪華な邸宅。屋内外にまたがる広大なマップで、高圧洗浄機が大活躍するステージだ。リビング、寝室、キッチン、バスルーム、そして屋外のプールサイドまで、掃除の範囲がこれまでのステージとは比較にならないほど広い。掃除の物量に最初は圧倒されるが、だからこそ道具の使い分けや掃除ルートの最適化が問われる。「どこから手をつけるか」を自分で判断する面白さが本格的に出てくるのがこのステージだ。終わったときの達成感はこれまでのステージの比ではない。このあたりから「掃除って楽しいな」という感覚が「掃除が止められない」に変わり始める。
現代アート ── プレイヤーを試す最大の難関
美術館を舞台にしたステージで、コミュニティの中でも「最も手強い」と評されることが多い。通常の掃除に加えて、アート作品を正しい位置に戻すパズル要素が加わる。ゲートを使った移動ギミックもあり、掃除のルートを考えながら進める必要があるため、これまでのステージとは一味違う頭の使い方を要求される。
現代アートステージがキツすぎてダルすぎてこのゲーム嫌いになりそうだ
引用元:Twitter @AJI_NIRA
こんな声が出るほどの難易度だが、裏を返せばそれだけ攻略しがいがあるということ。クリアしたときの達成感は全ステージ中トップクラスだ。
その他のステージ
上記以外にも、住宅街の一軒家、暗闘が繰り広げられたバーやナイトクラブ、薬物取引の現場となった倉庫など、多彩なロケーションが用意されている。特に暗い場所が舞台になるステージでは、携帯ライトの有無がプレイ体験を大きく左右する。暗闘の中で血痕を探すのは想像以上に骨が折れるが、ライトで照らし出された血の跡を追っていく緊張感は、まるで推理小説を読んでいるような気分だ。
各ステージにはそれぞれ固有のギミックや探索要素が用意されており、「同じ掃除の繰り返し」にならないよう工夫されている。あるステージでは特定の順序でドアを開ける必要があり、別のステージでは隠し通路を見つけなければ先に進めない。こうした変化が、ステージを進めるモチベーションを維持してくれる。
シークレットと収集要素
各ステージには合計25個のシークレット(隠し部屋や隠し金庫)が散りばめられている。これらを発見すると、高額な報酬やレアアイテムが手に入る。隠し部屋の入口は壊れた木の板の裏だったり、外階段からアクセスできたりと、一筋縄ではいかない配置。100%コンプリートを目指すやり込みプレイヤーにとっては、たまらないチャレンジ要素だ。
カセットテープのコレクション要素もあり、ステージ内に散りばめられたテープを集める楽しみもある。全50種類の実績も用意されていて、メインストーリーを終えた後も長く楽しめる設計になっている。
効率的な攻略のコツ ── 初心者が押さえておきたいポイント

Crime Scene Cleanerは直感的に遊べるゲームだが、いくつかのコツを押さえておくとより快適にプレイできる。ここでは、初心者が序盤で知っておくと得するテクニックを紹介しよう。
掃除の順番は「近くから遠くへ、奥から手前へ」
最も基本的かつ効果的なテクニックがこれだ。スタート地点に近い部屋から掃除を始め、各部屋では奥から入口に向かって作業を進める。こうすることで、掃除済みのエリアを歩いて足跡をつけてしまうミスを防げる。ランダムに部屋を行き来すると、血の上を歩いてしまい、せっかくキレイにした場所を汚してしまうことになる。
遺体とゴミは先に処理する
床の血を拭く前に、まず遺体とゴミを回収してトラックに運んでしまうのが効率的だ。遺体を動かすときに新たな血痕が発生することがあるため、先に遺体を片付けてから血の清掃に取りかかるほうが二度手間にならない。ゴミも同様で、散乱したゴミの下に血痕が隠れていることがあるため、先に回収しておくと見通しがよくなる。
家具の移動は最後にまとめて
家具を元の位置に戻す作業は、掃除が一通り終わってからまとめてやるのがおすすめだ。掃除中に家具を動かすと視界が遮られたり、作業動線が変わったりして効率が落ちる。血痕やゴミを全て処理し終えてから、落ち着いて家具を整理しよう。
クリーナーセンスは仕上げに使う
クリーナーセンスにはクールダウンがあるため、むやみに使うのはもったいない。序盤は肉眼で確認できる大きな汚れを処理し、ステージの進捗が80〜90%に達したあたりでクリーナーセンスを使って残りの汚れを特定するのが効率的だ。「見えている汚れ」と「隠れている汚れ」を区別して対処することで、攻略時間を大幅に短縮できる。
スキルポイントはケチらずに使う
スキルポイントを溜め込んでも利息はつかない。手に入ったらすぐに使って戦力を強化するのが正解だ。特に序盤の清掃速度アップは、投資効果が全ステージにわたって持続するため、最優先で取得しておきたい。
なぜCrime Scene Cleanerはここまで人気なのか
Steamで98%好評、100万本突破という圧倒的な成功。Crime Scene Cleanerがこれほど支持される理由を、もう少し深く掘り下げてみよう。
「汚れが落ちる快感」という普遍的な中毒性
人間が「汚いものがキレイになる」ことに快感を覚えるのは、ほぼ本能的なものだ。YouTubeで「掃除」「ビフォーアフター」の動画が膨大な再生数を稼いでいるのを見ても明らかだろう。Crime Scene Cleanerは、その快感をゲームとして見事にパッケージングしている。
血だらけの床がモップの一振りで白く戻っていく。壁の飛沫がスポンジで消えていく。高圧洗浄機が一面の血痕を吹き飛ばす。この「視覚的な報酬」が、プレイヤーの手を止めさせない。掃除のたびに進捗率が上がっていくのも、「あと少しで100%」という目標が常に見えることで、モチベーションを維持しやすくしている。
全ステージ100%クリアだったし一応グッドエンドかな?まあマルチエンディングかもわかんないけどね。めちゃくちゃおもろかった
引用元:Twitter @Jinsei_Yamatoda
ダークなテーマと癒やしの掃除体験の絶妙なバランス
殺人現場という過激な舞台設定がありながら、実際のゲームプレイは驚くほどリラックスできる。このギャップがCrime Scene Cleanerの最大の武器だ。凄惨な現場を目の当たりにしつつも、黙々とモップを動かしているうちに、いつの間にか無心になれる。「ホラーなのに癒やされる」という不思議な体験は、このゲームならではだろう。
海外のプレイヤーからも「weirdly relaxing(奇妙なほどリラックスできる)」という評価が多く寄せられている。ショッキングなテーマに甘えることなく、ストレスフリーな操作感と掃除の爽快感を両立させている開発チームの丁寧な仕事ぶりが光る。操作がもたつく、道具の切り替えが面倒、物理挙動がストレス、といった「掃除以外のイライラ」を徹底的に排除しているのが、この快適さの秘密だ。
「掃除屋」という独自の視点
犯罪をテーマにしたゲームは山ほどある。犯人として銀行を襲うゲーム、刑事として犯人を追うゲーム、マフィアとして組織を率いるゲーム。しかし、犯罪の「後片付け」に焦点を当てた作品は珍しい。プレイヤーは犯人でも刑事でもなく、ただの「掃除屋」。現場に残された痕跡から「ここで何が起きたのか」を推測しながら掃除を進める体験は、独特の没入感を生む。
犯罪の「実行」側を体験できるゲームとしてはPAYDAY2が有名だ。4人の強盗チームで銀行襲撃や宝石店強盗を行うあのゲームと、Crime Scene Cleanerはまさに表裏一体の関係にある。PAYDAYが「犯罪の最中」のアドレナリンなら、Crime Scene Cleanerは「犯罪の後」の静けさ。同じ犯罪世界でも、こうも違う体験ができるのは面白い。

ストーリーが掃除に意味を与えている
同ジャンルの先駆者であるViscera Cleanup Detailは、純粋な掃除体験に特化していた。Crime Scene Cleanerが差別化に成功しているのは、掃除に「物語的な動機」を与えている点だ。コヴァルスキーが娘のために危険な仕事を引き受けているという設定があるからこそ、ただ掃除するだけでも「この仕事をやり遂げなければ」という使命感が生まれる。
ステージ間に挿入されるコヴァルスキーのモノローグは、キャラクターへの愛着をじわじわと深めてくれる。掃除中にふと漏れる独り言、電話越しに交わされる会話。これらの断片が積み重なって、10ステージをクリアする頃には、コヴァルスキーという人物に対して「他人事ではない」感情を抱いている自分に気づくはずだ。
配信・実況との相性の良さ
Crime Scene Cleanerは、TwitchやYouTubeでの実況・配信を通じて認知度を大きく広げたゲームでもある。血だらけの現場に対するリアクション、遺体を発見したときの驚き、掃除のビフォーアフターの爽快感。視聴者と一緒に楽しめる要素が詰まっている。「現場を見たときのリアクション」と「キレイになったときの達成感」という、動画映えする2つのピークを自然に演出できるのが強い。
ピーク時の同時接続プレイヤー数は約13,500人を記録したが、シングルプレイヤー専用のシミュレーションゲームとしては驚異的な数字だ。日本でもリリース直後にSteamの売上ランキング8位にランクインし、多くの配信者が取り上げたことで一気に認知度が広がった。配信文化がゲームの売上を後押しした好例と言えるだろう。
気になるポイント ── 正直に伝えておきたいこと

98%好評のゲームでも、完璧ということはない。購入前に知っておいたほうがいい点もいくつかある。ここではネガティブな面も含めて正直にお伝えしておく。
後半ステージの作業量
ゲームが進むにつれてステージは広くなり、掃除の量も増えていく。現代アートステージのようにパズル要素が追加されるステージもあり、人によっては「掃除というより作業」と感じてしまう瞬間があるかもしれない。特に完璧主義のプレイヤーが100%クリアを目指すと、残り数%の汚れを探す時間が地味にストレスになることがある。
ただし、これは「心地よい掃除」と「面倒な作業」の境界線が人それぞれだからこその話だ。序盤の数ステージで自分との相性を見極めるといいだろう。最初の2〜3ステージで「楽しい」と感じたなら、最後まで楽しめる可能性が高い。
日本語翻訳の品質
Crime Scene Cleanerは日本語表示に対応しているが、翻訳品質については「機械翻訳的な部分がある」という声も見られる。ストーリーを深く味わう上で、一部の表現がぎこちなく感じられることがあるのは事実だ。ただし、ゲームプレイに支障が出るレベルではなく、掃除のメカニクスを楽しむ分には問題ない。ストーリーの細かいニュアンスを重視するなら、英語でプレイするのもひとつの手だ。日本語レビューでも「翻訳は気になるけどゲーム自体は最高」という意見が多い。
クリア後のコンテンツ(アップデート前)
リリース時のメインストーリーは10ステージ構成で、プレイ時間は約10〜15時間ほど。やり込み要素(シークレット収集、実績解除)を含めても20時間前後で一区切りとなり、「もっと遊びたい」と思わせる魅力があるだけに、クリア後の物足りなさを指摘する声もあった。ただし、後述する2つの大型アップデートによって、この不満はかなり解消されている。現在では本編+ナイトメアモード+Act 2で、ボリュームは初期リリース時の倍以上に膨らんでいる。
Crime Scene Cleanerおもしろかった〜〜〜 全実績解除したのめちゃくちゃ久しぶりだったかも いろんな要素あってどれも楽しかった!
引用元:Twitter @stmk12_
実績コンプリートまでやり込んだプレイヤーからも高評価が寄せられているのは、ゲーム全体の完成度の高さを物語っている。
グロテスクな表現について
犯罪現場を扱うゲームである以上、血液、遺体、暴力の痕跡は避けて通れない。表現そのものはゲーム的にデフォルメされているとはいえ、こうした描写が苦手な人には向かない作品だ。購入前にSteamストアページのスクリーンショットやトレーラーで雰囲気を確認しておくことをおすすめする。なお、無料でプレイできる「Crime Scene Cleaner: Prologue」というお試し版もSteamで配信されているので、本編を買う前にそちらで雰囲気を確かめるのも良い選択だ。
AIコンテンツに関する誤解
一部のSteamレビューで「このゲームはAI生成コンテンツを使っているのでは」という指摘があったが、開発元のPresident Studioはこの点について公式に否定している。アート、ダイアログ、ボイスのいずれにもAIは使用していないと明言されている。こうしたデマに対して迅速かつ誠実に対応する姿勢からも、開発チームの真摯さが伝わってくる。
大型アップデートで進化し続ける ── ナイトメアモードとAct 2
Crime Scene Cleanerの開発元であるPresident Studioは、リリース後も精力的にコンテンツを追加し続けている。この継続的なサポートが、本作の評価をさらに押し上げている大きな要因だ。「買い切りゲームなのにここまでサポートしてくれるのか」という驚きは、多くのプレイヤーが共有している感想だろう。
ナイトメアアップデート(2025年7月)
リリースから約1年後、最初の大型無料アップデートとして配信されたのが「ナイトメアアップデート」だ。2025年7月24日にSteam版、7月29日にコンソール版がリリースされた。
このアップデートの目玉は、既存の全10ステージに「ナイトメア版」が追加されたこと。単なる難易度調整ではなく、各ステージがフルリメイクされており、新しいギミック、新しい配置、新しい演出が加えられている。通常版で見慣れたはずの現場が、ナイトメアモードでは別物に生まれ変わる。怪奇現象が起きたり、ホラー要素が強化されたりと、本編以上にスリリングな展開が待っている。
さらに「真の清掃人モード(True Cleaner Mode)」も同時追加された。クリーナーセンスやヒントが一切使えない、完全に己の目と腕だけで勝負するハードコアモードだ。通常モードでは気軽に使えていたクリーナーセンスがなくなるだけで、ゲームの難易度は劇的に上がる。「あと1%がどこにあるかわからない」という探索のストレスを楽しめるかどうかが、このモードの分かれ目だ。
新スキン、ミュージックボックスのコレクション、新スキル「シックスセンス」、新実績なども追加され、無料アップデートとは思えない充実ぶりだ。ナイトメアモードをプレイするには、コヴァルスキーの車に乗り込む必要がある(全ベースミッションをクリア後に解放)。
Crime Scene Cleanerにアプデが入ったのでプレイ。追加されたナイトメアモードが既存ステージのフルリメイクで、全体のボリュームが実質2倍になった。しかもギミックが本編以上に力が入っていて滅茶苦茶面白い!この内容を無料アプデで出しちゃうって凄くない?
引用元:Twitter @codama12gou
無料でこれだけの内容を追加してくれる開発チームの姿勢には、正直頭が下がる。「もうちょっと遊びたかったのに」という初期の不満を、こうした形で応えてくれるのは、プレイヤーにとってこの上ない朗報だ。
Act 2 ストーリー拡張(2026年3月)
2026年3月26日に配信された「Act 2」は、コヴァルスキーの物語に新たな章を加える大型ストーリー拡張だ。こちらも無料アップデートとして提供されている。
5つの新ミッションが追加され、物語はいよいよクライマックスへ向かう。新たな真実が明かされ、これまで隠されていた秘密が表面化する展開は、ストーリーを追ってきたプレイヤーにとって見逃せない内容になっている。「コヴァルスキーの物語の現在の章を締めくくる」と銘打たれていることから、これで完結ではなく、今後さらなる展開も示唆されている。
新スキン、新収集アイテム、12種類の新トロフィーなども追加され、やり込み要素もさらに充実した。Act 2のステージは本編以上に「ダーティー」な現場が多く、掃除の歯応えも十分。本編をクリアして「もう少し遊びたい」と思ったプレイヤーの期待に、しっかりと応えてくれる内容だ。
加えて、「バイオハザード」という名称の新DLCも開発中であることがアナウンスされている。今後も新コンテンツの追加が見込まれるため、今からCrime Scene Cleanerを始めるのは、実はベストなタイミングかもしれない。コンテンツが充実した「完成形」に近い状態で遊べるのだから。
開発元President Studio ── ポーランドの小さなスタジオが起こした大きな波

Crime Scene Cleanerを開発したPresident Studioは、2018年にポーランドのワルシャワで設立された比較的若いゲーム開発スタジオだ。創設メンバーはKarol Konieczko、Grzegorz Zak、Mikolaj Szubzdaの3名。PlayWay S.A.グループの一員として、シミュレーションゲームの開発に注力している。
スタジオの処女作は『I Am Your President』というアメリカ大統領シミュレーションゲーム。「大統領になって国を運営する」というコンセプトのゲームで、そこから「犯罪現場の清掃員」にテーマを変えて世界的大ヒットを飛ばしたのだから、ゲーム業界のヒットの法則は本当に予測不可能だ。
PlayWay S.A.といえば、シミュレーションゲームに特化したパブリッシャーとして業界では有名な存在だ。『Car Mechanic Simulator』『House Flipper』『Gas Station Simulator』など、「特定の仕事や作業を丁寧にシミュレートする」タイプのゲームを次々と世に送り出してきた。Crime Scene Cleanerもその系譜に連なる作品であり、「ニッチだけど確実にファンがいるジャンル」を掘り起こすPlayWayのDNAがしっかりと受け継がれている。
PlayWayの「仕事シミュレーション」ラインナップの中でも、砂漠に放置されたガソリンスタンドを一から再建するこの作品は、Crime Scene Cleanerと同じく「荒れた場所をキレイにする」快感を味わえるゲームとして人気が高い。

他の掃除系・お仕事系ゲームとの比較
Crime Scene Cleanerは「掃除系シミュレーション」というジャンルに属するが、既存の作品と比べてどんな違いがあるのか。それぞれの特徴を整理して、自分に合った作品を見つける参考にしてほしい。
Viscera Cleanup Detailとの違い
Crime Scene Cleanerの精神的な前身とも言えるのが2015年リリースの『Viscera Cleanup Detail』だ。宇宙ステーションやSF施設で起きた惨劇の後片付けをするゲームで、血痕や肉片をモップで拭き取り、バケツで洗い、ゴミ箱に捨てるという基本ループはCrime Scene Cleanerと共通している。
ただし、VCDは物理エンジンによる「事故」が頻発するゲームだ。バケツを蹴飛ばして汚水をぶちまけたり、死体を運ぶ途中で落として新たな血しぶきが飛んだり、掃除中に自分で汚れを増やしてしまう。この「理不尽さ」を笑いに変えて楽しむのがVCDの醍醐味でもあるが、人によってはストレスの原因にもなる。
Crime Scene Cleanerはこうしたフラストレーションを大幅に軽減している。血の足跡も数歩で消える仕様で、バケツを蹴飛ばすようなこともない。掃除そのものに集中できるよう、遊びやすさを徹底的にチューニングしている点が大きな違いだ。また、VCDが個別のジョブを淡々とこなす構成なのに対し、Crime Scene Cleanerには一本のストーリーが通っている。キャラクターへの感情移入があることで、モチベーションが持続しやすい。
PowerWash Simulatorとの違い
「汚れを落とす快感」を純粋に追求した作品としてはPowerWash Simulatorがある。こちらは高圧洗浄機オンリーで、血ではなく泥や油汚れを落としていく。テーマ的にはずっとクリーンで、家族みんなで安心して楽しめる雰囲気だ。マルチプレイにも対応しており、友達と一緒にワイワイ掃除できるのも魅力。
Crime Scene Cleanerは掃除道具の種類が多く、証拠品の回収や家具の配置といったタスクのバリエーションでも差別化している。また、ストーリーがある点も大きな違いだ。「掃除+アルファ」の要素を求めるならCrime Scene Cleaner、純粋に「汚れが落ちる快感」だけを味わいたいならPowerWash Simulatorという棲み分けになる。
お仕事系シミュレーションとの親和性
近年、「特定の仕事を丁寧にシミュレートする」ジャンルは大きな盛り上がりを見せている。スーパーマーケットの運営を体験する作品も、商品を棚に並べるだけなのに気づけば3時間溶けていたという声が絶えない。Crime Scene Cleanerの「仕事」は相当にダークだが、「自分の手で仕事を完遂する達成感」「丁寧な仕事が報酬につながるフィードバックループ」という核の部分は、これらの作品と共通している。

同じく裏社会をテーマにした経営シミュレーションとしては、こちらの作品も最近大きな話題になった。Crime Scene Cleanerが「犯罪の後始末」なら、こちらは「犯罪そのものの経営」。どちらもダークなテーマを扱いながら、ゲームとしての完成度の高さで支持を集めている。

マルチプラットフォーム対応 ── PCだけじゃない

Crime Scene Cleanerは当初PC(Steam)専用タイトルとしてリリースされたが、その後マルチプラットフォーム展開が進んでいる。現在の対応プラットフォームは以下の通りだ。
PC版はSteamとMicrosoft Storeで購入可能。Xbox Series X|S版は2025年4月17日にリリースされ、Xbox Game Passにも初日から対応。PS5版も同時期にリリースされている。Game Pass対応ということは、サブスクリプションに加入していれば追加料金なしでプレイできるということだ。「気になっているけど買い切りで購入するのは躊躇する」という人にとって、Game Passは絶好の試遊機会になる。
コンソール版はPC版と同等のコンテンツが楽しめ、ナイトメアアップデートやAct 2もコンソール版に配信済み。コントローラーでの操作にも最適化されているため、PCを持っていない人でもCrime Scene Cleanerの世界を楽しめる。掃除系ゲームはマウス操作のほうが細かい作業がしやすいイメージがあるかもしれないが、Crime Scene Cleanerはコントローラーでも快適に遊べるよう設計されている。実際、Xbox Game Passで初めて触れてそのままハマったというプレイヤーも多い。
なお、無料で遊べる体験版「Crime Scene Cleaner: Prologue」もSteamで配信されている。本編の雰囲気やゲームプレイを確かめたい人は、まずPrologueから試してみるのがおすすめだ。Prologueだけで96%好評(約4,000件のレビュー)という高評価を得ており、本編への期待値を高める役割を見事に果たしている。
どんな人にCrime Scene Cleanerがおすすめか
ここまでの内容を踏まえて、Crime Scene Cleanerが特にハマりそうな人を改めて整理してみた。
掃除系ゲームのファン
PowerWash SimulatorやHouse Flipperが好きなら、まず間違いなくハマれる。「汚れを落とす」「散らかった部屋を整える」という根源的な快感を、よりダークでスリリングな味付けで楽しめる。掃除系ゲームの中でもストーリー性が際立っているため、「掃除だけだと単調」と感じていた人にこそ試してほしい。
ストーリー重視のプレイヤー
シミュレーションゲームにストーリーを求める人にとって、Crime Scene Cleanerは理想的な選択肢だ。コヴァルスキーの物語は、掃除というゲームプレイに感情的な重みを加えてくれる。「次はどんな展開が待っているんだろう」という期待感が、ステージをクリアするモチベーションになる。同じくストーリー性のあるシミュレーションとしては、裏社会で自分だけの「帝国」を築いていくこんな作品も最近大きな話題になった。

「黙々と手を動かす」作業が好きな人
Stardew Valleyで畑を耕すのが好きだったり、Satisfactoryで工場のラインを最適化するのが好きだったりする人は、Crime Scene Cleanerの掃除にも同じ種類の満足感を見出せるだろう。「反復作業が苦にならない」「むしろ反復の中に快感を見出せる」というタイプの人には、このゲームは最高の体験を提供してくれる。
ホラーの雰囲気は好きだけど怖すぎるのは苦手な人
Crime Scene Cleanerの舞台は犯罪現場だが、プレイ中に敵に襲われたり、ジャンプスケアが飛んできたりすることはない。グロテスクな光景はあるものの、それをキレイにするのが目的なので、恐怖よりも達成感が勝つ構造になっている。ナイトメアモードでは多少のホラー演出が追加されるが、心臓に悪いレベルではない。「ホラーの雰囲気は好きだけど、ガチのホラーゲームは怖くてプレイできない」という人にちょうどいい塩梅のダークさだ。
まとめ ── 「掃除」がこんなに面白いゲームになるとは
Crime Scene Cleanerは、「犯罪現場の掃除」という一見キワモノに見えるテーマを、圧倒的な完成度でゲームとして成立させた作品だ。モップ、スポンジ、高圧洗浄機という基本ツールで血痕を拭き取り、証拠品を回収し、遺体を処理し、部屋を元通りにする。そのシンプルだけど奥深いゲームプレイの裏に、コヴァルスキーという「普通の父親」が裏社会に足を踏み入れていく切ないストーリーが流れている。
掃除道具の使い分け、スキルツリーによる成長、バラエティ豊かなステージ、100%クリアを目指すやり込み要素。掃除系ゲームとしての完成度は文句なしに高い。そこにストーリーの吸引力、リリース後も途切れることのない大型アップデートが加わり、「たかが掃除ゲー」と侮れない深みを持った作品に仕上がっている。Metacriticのユーザースコアでも8.1を獲得しており、批評家からもプレイヤーからも支持されている。
Steamで3万件以上のレビューを集めて98%好評、累計100万本突破。ナイトメアモードでボリュームは実質2倍に拡大し、Act 2でストーリーは新たな章に突入。さらにバイオハザードDLCの開発も進行中と、まだまだ成長の余地を残している。
「掃除のゲームなんて面白いの?」と思っている人にこそ、一度触れてみてほしい。まずは無料のPrologueで雰囲気を掴んでから本編に進むもよし、Game Passで気軽に試すもよし。血まみれの現場を前にモップを握った瞬間、あなたもきっと「もう一部屋だけ」の沼にはまることだろう。
コヴァルスキーが最初の仕事を引き受けたあの日から、彼の人生は大きく変わった。しかしプレイヤーである我々もまた、このゲームに出会ったことで「掃除」に対する見方が変わる。現実の掃除が少しだけ楽しくなるかもしれないし、あるいは「ゲームの掃除のほうが楽しい」という結論に至るかもしれない。いずれにせよ、Crime Scene Cleanerは「掃除」という行為の中にゲームとしての面白さを見出した、希有な作品だ。ポーランドの小さなスタジオが生み出した、この奇妙で中毒性の高い傑作を、ぜひその手で体験してほしい。
Crime Scene Cleaner
| 価格 | ¥3,499 |
|---|---|
| 開発 | President Studio |
| 販売 | President Studio, PlayWay S.A. |
| 日本語 | 非対応 |
| 対応OS | Windows |
| プレイ形式 | シングル |

