House Flipper 2 — 廃屋を買って自分好みの家に仕上げる不動産改装シム
最初の物件を開けたとき、思わず笑ってしまった。壁には謎のシミ、床は腐りかけた木板、キッチンにはゴミ袋が山積みで、どこかの前の住人が貼ったと思われる謎のステッカーがドアに貼りついている。「これ、本当に売れるの?」
それでも、モップを手に取って床を磨き始めたら止まらなくなった。汚れが落ちるごとに出てくる木目の模様。塗装を重ねるたびに変わっていく壁の色。家具を配置するたびに、空間の印象ががらりと変わっていく。その変化を見ているだけで、なぜか心が落ち着く。
「ゲームで掃除するのになんで楽しいんだろう」——その答えが、House Flipper 2には詰まっている。
House Flipper 2は、ポーランドのEmpyrean Unikornが開発し、2023年11月2日にSteamでリリースされた不動産改装シミュレーションゲームだ。廃屋同然の家を購入し、清掃・修繕・内装デザインを施して高値で売却するというサイクルを繰り返す。前作のHouse Flipperから6年、チームはほぼ一から作り直す覚悟でこの続編に臨んだ。その結果、Steamレビューは約1万3千件が集まり、高評価を獲得している。
「片付けが好きだけどゲームでも掃除するのはどうなの?」「前作と何が変わったの?」「本当に長く遊べる?」——そういった疑問を持っている人に向けて、このゲームの魅力と正直な欠点を書いていく。何が面白くて、何が改善の余地があるのか。前作との違いも含めて、隅々まで掘り下げていく。
「House Flipper 2」公式トレーラー
House Flipper 2ってどんなゲーム?——「家を直して売る」それだけなのに奥が深い

ゲームの基本ルールはシンプルだ。市場に出ている廃屋を自分の資金で購入し、清掃・修繕・内装デザインを施したうえで売却する。売却益でまた新しい物件を買い、さらに大きな改装にチャレンジする——このループが骨格になっている。
ただ、「シンプル」というのはルールの話であって、プレイ内容は思った以上に多層的だ。
たとえば、壁の塗装ひとつとっても、塗料の色を選ぶだけでなく、塗り残しなく全面を塗装しなければ売却評価が下がる。床の張り替えでは、古い床材を剥がして、下地を整えて、新しい素材を選んで敷いていく。配管や電気の修理も必要で、それぞれに専用のツールと手順がある。
最初の数時間はチュートリアルを兼ねた小さな物件が続くので、各作業の手順を自然に覚えられる。モップで掃除する、ローラーで塗装する、スパナで配管を締める——それぞれの動作にはリアルな物理演算が入っていて、塗料が垂れたり、汚れが飛び散ったりする。地味な作業のはずなのに、妙な没入感がある。
ゲーム内にはFlipper’s Townという自分だけの街がある。物件を一軒改装して売るたびに街が少しずつ成長していき、新しい店や施設がアンロックされる。前作にはなかった要素で、「自分の街を育てている」という感覚がゲームに奥行きを加えている。改装した物件にどんな人が引っ越してくるかも、街の雰囲気に影響する。
ゲームを起動したばかりの頃は「これって結局ただの掃除ゲームじゃないの?」と少し冷静に思っていた。でも最初の物件を完成させて売却して、画面に「物件売却完了。利益:○○円」と表示されたとき、「また次やりたい」と体が動いた。その感覚の正体を、このあと丁寧に書いていく。
前作との違い——House Flipper 1から何が変わったのか
前作のHouse Flipperをプレイしたことがある人なら「続編で何が変わったの?」という疑問が最初に来るはずだ。結論から言うと、グラフィックス・操作感・ゲームデザインの三方向すべてで大幅にアップグレードされている。
まずグラフィックス。前作は2018年リリースということもあり、いまの目で見るとテクスチャが粗く見える部分もあった。House Flipper 2はUnreal Engine 5を採用し、光の表現・素材の質感・水や汚れの広がり方まで、全体的にリアルさが増している。塗料をローラーで塗るとき、少し端が重なる感じとか、窓から差し込む光が壁の色を変えていく様子とか、細かいところの作り込みが前作とは段違いだ。
操作性も改善された。前作では少し不自由さを感じることのあったツールの切り替えや家具の配置が、House Flipper 2では直感的になっている。家具を置くとき、スナップ機能がうまく働いてくれるので「ちょっとズレてる気がする」というストレスが減った。壁に向かって家具を押し込むように配置したり、角度を細かく調整したりといった操作が、前作よりスムーズにできる。
ゲームデザイン面では、前述のFlipper’s Townが大きな変化だ。前作は物件を買って売ってを繰り返すだけだったが、今作はその積み重ねが街の成長に直結している。売却した物件に誰が住むか、その人物が街にどんな変化をもたらすか、という流れがある。また、クライアントからの依頼モードも充実していて、指定された家具や色使いで改装するという制約つきの案件もある。自由に改装する楽しさと、制約の中で工夫する楽しさの両方が用意されている。
一方で、前作にあった要素でなくなったものも正直に書いておく。前作では物件の外観(外壁・屋根・庭)も改装できたが、House Flipper 2のローンチ時点では屋外の改装機能が限定的だった。庭いじりに特化したDLC「Garden Flipper」的な要素は、今作では後から追加されていく形になっている。前作の拡張DLCが好きだった人には物足りなく感じる部分かもしれない。
もう一つの変化として、ツールの「成長」がある。前作では最初からほぼすべてのツールが使えたが、今作では経験値を積むことでツールのアンロックやアップグレードが進む仕組みが導入されている。高圧洗浄機の威力を上げる、塗装ローラーの範囲を広げる、といったアップグレードが積み重なっていくと「俺の道具も成長してる」という感覚が生まれる。これが前作には薄かった「キャラクター成長」の要素を補っている。
Steamのレビューで前作ファンからよく見られたコメントとして「前作の素朴な良さが消えた」という声がある一方、「前作より断然よくなった」という声も多い。開発チームが前作から6年かけて意思決定してきた積み重ねが、今作の出来を作っている。どちらが正しいかではなく、「前作が好き」な人も「続編で成長を感じたい」人も、それぞれに理由のある評価だと思う。
清掃・修繕・デザイン——3つの作業フェーズを詳しく解説

House Flipper 2の作業は大きく3つのフェーズに分かれる。それぞれの流れを細かく見ていこう。
フェーズ1:清掃と解体
物件に入ってまず最初にやるのが清掃だ。床のゴミを拾い、壁のシミをブラシで落とし、モップで汚れた床を磨く。汚れには種類があって、スポンジで落とすもの、スクレーパーで削るもの、高圧洗浄機が必要なものと、適切なツールを使い分ける必要がある。
清掃と並行して、使えない設備を取り外す解体作業も行う。古くなった水道管を外す、割れた窓ガラスを取り除く、老朽化した棚を壁から撤去する——この解体で出た廃材は、一定の価格で売却できる。丁寧に撤去すると高く売れる素材もあって、解体の仕方にも多少の戦略性がある。
この清掃フェーズ、実は結構時間がかかる。「えっ、こんなに汚れてたの?」と思うくらい壁や床に汚れが積み重なっていることもある。ただ、磨いた後の床が輝くような質感になったとき、「自分がやった」という達成感が妙に大きい。これが中毒性の入り口になっている。
清掃の完成度は数値で表示される。「床の清掃率:87%」などと出るので、100%を目指したくなる。「あと少しでコンプリートできる」という状況が、手を止めにくくしている。このデザインは心理的にうまく機能している。
ゴミの分別も一つの作業になっている。不燃ゴミ・可燃ゴミなど種類によって捨て方が異なる。これが最初は手間に感じるが、慣れると手順として自然に身につく。「ゲームで分別を学ぶ」という変なリアリティが、このゲームの独自性の一つだと思う。
フェーズ2:修繕と施工
清掃が終わったら本格的な修繕に入る。壁の塗装・床の張り替え・天井の補修・配管や電気設備の修理といった作業を順にこなしていく。
壁の塗装はカラーパレットから好きな色を選べる。組み合わせは膨大で、部屋ごとに違う色を選ぶこともできる。ゲームの中でも「この壁の色、前の住人はどういう気持ちで選んだんだろう」と思うような奇妙な色が残っていることがある。それを自分の好きな色に塗り替えるとき、「この部屋は自分のものになった」という感覚がある。
床材は木板・タイル・カーペットといった素材から選べて、デザインのパターンも複数用意されている。部屋によって素材を変えるとそれだけで統一感が出る。「リビングは木のフローリング、バスルームは白いタイル、寝室はグレーのカーペット」という組み合わせを試行錯誤する過程が楽しい。
配管や電気の修理は少し作業の流れが違う。どこに問題があるかを調べるツールを使って不具合箇所を特定し、専用の工具で修理する。配管修理では水漏れ箇所を見つけてスパナで締める。電気配線では断線している箇所をつなぎ直す。実際の工事ほど複雑ではないが、「何かを直した」というリアルな手触りがある。
窓の交換作業も地味に気持ちいい。割れた窓ガラスを取り外して、新しい窓枠を取り付けて、ガラスをはめ込む。窓が変わるだけで部屋の印象ががらっと変わる。「窓って大事なんだ」と気づく瞬間がある。
この施工フェーズが、House Flipper 2の中で最も時間を使う部分だ。大きな物件になると、全室の壁を塗り替えるだけで30分以上かかることもある。「全部やりきった」と感じる満足感も大きいが、「また全部塗らないといけないのか」とため息が出る瞬間もある。ここが好みの分かれ目になりやすい。
フェーズ3:インテリアデザインと売却
修繕が終わったら家具を選んで配置するインテリアフェーズに入る。ゲーム内のカタログには寝室・リビング・キッチン・バスルームなど、部屋の用途に合わせた家具が揃っている。ソファ・テーブル・照明・観葉植物まで、選択肢は豊富だ。
ただし、インテリアは自由に配置するだけではなく、物件ごとに設定された「依頼内容」がある。たとえば「若いカップルのための部屋」「子育て家族向けのキッチン」といったターゲットに合ったデザインにすると、売却評価が上がる仕組みだ。あえて依頼を無視してフルカスタムにする自由もあるが、評価が下がると売却価格が落ちる。
インテリアの配置には、照明の当て方も関わってくる。窓の位置によって自然光の入り方が変わり、それに合わせた照明器具を選ぶと部屋の雰囲気が変わる。天井照明だけでなく、フロアランプやスタンドライトを組み合わせると、同じ部屋でも全然違う空間になる。この光の演出に凝り始めると、一部屋に1時間以上かけていることに気づく。
全作業を終えると売却評価が算出される。清掃の徹底度・修繕の完成度・インテリアの適切さなど、複数の項目で採点される。評価が高いほど売却価格が上がり、その差益が利益になる。物件を高く買ってしまうと、いくら丁寧に改装しても薄利になることもある。「どの物件をいくらで買うか」という投資的な判断も、じわじわと面白くなってくる要素だ。
売却評価の採点画面を見るたびに「ここの清掃が甘かったか」「この家具の選択がターゲット層とズレていたか」という反省が出る。それが次の物件でより丁寧にやろうという意欲につながっていく。「ゲームに課題を出されている」感じがあって、単純作業の繰り返しにならない仕掛けになっている。
フリップモードと依頼モード——2つのプレイスタイル
House Flipper 2には大きく2つのプレイモードがある。「フリップモード」と「依頼モード」だ。
フリップモードは、自分で物件を購入して改装・売却するメインの遊び方だ。何をどう改装するかは基本的に自分次第。「この部屋は全部白で統一したい」「ここはあえて古めかしい木の床を残そう」といった自分の美意識でデザインできる。予算管理も自分でやるので、「この物件、思ったより修繕費がかかった……」という失敗も起きる。この失敗が、次の物件選びを学ばせてくれる。
依頼モードは、クライアントから「この物件をこういう感じに改装してほしい」という注文が来るモードだ。「寝室の壁をスカイブルーにして」「キッチンに食器洗い機を設置して」といった具体的な指示が来る。条件を満たせば報酬が入るが、条件外の部分は自由に手を加えられる。「指示は守りつつ、自分のセンスでもっとよくしたい」という欲が出てくるのが面白い。
依頼モードの面白さは、「制約の中での創造性」にある。「壁をブルーにする」という指示に従いながら、「それならソファはグレーにして、カーテンはホワイトにしよう」という発想が生まれる。自由にやるときとは違う思考が働く。「制約があるほど創意工夫が生まれる」という感覚が、依頼モードをやっているときに強くなる。
どちらのモードも、街の成長につながっている。改装した物件に引っ越してくるNPCたちが街で生活を始め、新しい施設をオープンしたり、新たな物件を紹介してくれたりする。「あの物件に住んでる人、元気にしてるかな」という感じの愛着が、じわじわと生まれてくる。
都市開発ゲームとはまた違った「街を育てる」感覚という意味では、Cities: Skylines IIとは方向性が異なる。あちらは交通網や区画整備といったマクロな視点から街を作るが、House Flipper 2は1件1件の家に直接手を入れる、ミクロで個人的なアプローチだ。

Co-opで友達と改装する楽しさと難しさ

House Flipper 2はオンラインCo-opに対応している。最大4人で同じ物件の改装作業を分担できる。これが単純に2倍楽しい——かというと、そうとも言えない面白さがある。
作業を分担できるのは確かだ。一人が清掃をやっている間にもう一人が壁の塗装を始める、といった同時作業が可能になる。大きな物件でも作業が速く進むし、「あっちの部屋終わった?こっち来て」という会話が生まれる。
ただ、インテリアデザインのフェーズで意見が割れることがある。「このソファはグレーにしたい」「いや、ブルーの方がいい」——そういうやりとりが発生するのが、実際のリノベーションっぽくて妙にリアルだ。友人と笑いながらケンカしつつ家を仕上げる体験は、ソロとはまた別の面白さがある。
Steamのレビューでは「友達と遊んだら喧嘩になった(笑)」「カップルでやると趣味の違いが出る」といった声が散見される。これが笑い話になっているうちはいいが、真剣に意見が食い違うと作業が止まることもある。「決定権は誰が持つか」を事前に決めておくと、スムーズに進められる。
また、ホストが物件の売却を決断するとゲストも一緒に次のステージに進むため、「もう少しここを直したかったのに」という気持ちになる場面もある。Co-op中はホスト側の意思決定に合わせる形になるので、この点は注意しておいた方がいい。
4人でやるときに最も盛り上がるのは、大きな物件を初めて開いた瞬間だ。全員で「うわ、すごいゴミ屋敷……」と引いてから、「じゃあ手分けしよう」と決める瞬間がある。その後、各自が担当エリアを片付けていって、最終的に全員で完成した部屋を眺めるときの達成感が、他のゲームでは味わいにくい。「自分たちが作り上げた空間」という所有感が、ゲームの外の人間関係にも温かさをもたらしてくれる。そういう意味では、ゲームとしての面白さを超えた価値がある。
中毒性の正体——なぜ「掃除ゲーム」が面白いのか
「ゲームで掃除してなぜ楽しいのか」という問いに、ちゃんと答えておきたい。
一番大きな理由は、「変化が目で見える」ことだと思う。ゴミだらけの床を磨いたら輝く木目が出てくる。壁の汚いシミをペンキで塗りつぶしたら白くなる。ボロボロだったキッチンに新しいシンクを設置したら、急に「使える部屋」になる。この「前後の変化」が視覚的にハッキリわかる。それが達成感に直結している。
現実の生活では、「部屋を片付けても完璧に片付かない」「どうせまた散らかる」という徒労感がある。でもゲームの中では、一度綺麗にした場所は永遠に綺麗なままだ。そこに「リセットのない達成感」がある。
もう一つの理由は、「小さなゴールが連続している」構造だ。「この部屋の床を全部磨ききる」「壁の塗装を9割以上完成させる」「指定された家具を全部設置する」——それぞれは小さな目標だが、次々とクリアできる。このゴール達成の連鎖が、プレイをやめにくくする。「あとこの部屋だけ」が止まらなくなる。
ゲーム内でも「汚れの除去率」「塗装の完成度」などが数値で表示されるので、「あと7%で100%だ」という状況で手が止まらなくなる。このデザインはよくできていると感じた。
三つ目の理由として、「投資と回収のリズム」がある。ボロい物件を買う(出費)→時間をかけて改装する(作業)→高く売る(回収)というサイクルの中で、「手間をかけた分が数値で返ってくる」体験が繰り返される。Cookie Clickerのような純粋な数値成長とは違うが、「努力が報酬に変わる」という快感の構造は近い部分がある。

四つ目は「自分のセンスが試される」感覚だ。壁の色・床の素材・家具の選択——これらの組み合わせに正解はなく、「好きかどうか」が判断基準になる。自分で選んで配置した部屋が完成したとき、「自分が作った空間」という所有感がある。他の誰かの正解に従うのではなく、自分の美意識で完結できる場所がこのゲームにはある。
掃除・DIY・インテリアコーディネート——現実では時間もお金もかかることが、ゲームの中では思い通りに、リスクなしでできる。「現実でできないことの代替」として機能しているゲームは色々あるが、House Flipper 2はその中でも「日常に近いリアリティ」で勝負している珍しい作品だと思う。
物件の種類と難易度——小さなアパートから郊外の豪邸まで

House Flipper 2の物件は、規模と状態の組み合わせによって難易度が変わる。序盤は小さなアパートや一人暮らし用のフラットが中心で、部屋数が少なく作業量も少ない。資金が貯まると、より大きな物件にアクセスできるようになっていく。
物件には「どれだけ荒廃しているか」を示すコンディション評価がある。状態が悪いほど購入価格は安いが、修繕にかかるコストと時間も増える。状態のいい物件を高めに買ってサクッと仕上げるか、ボロボロの物件を安く仕入れてフルリノベーションで価値を引き上げるか——この判断がゲームの醍醐味の一つだ。
物件の購入画面では、コンディション・部屋数・立地・前の住人の情報が簡単に確認できる。「予算内で買える最悪の状態の物件を選んで全部直す」というプレイをする人もいれば、「そこそこの状態の物件を素早く仕上げて回転率を上げる」というプレイをする人もいる。どちらの戦略が正解かは決まっておらず、自分のスタイルを見つけていく過程が面白い。また、物件を見るだけでなく、市場のトレンドに合わせてどのテイストで仕上げるかを考える楽しさも出てくる。
物件の状態が最悪レベルだと、壁の一部が崩れていたり、水道管が完全に機能していなかったりする。そういった物件は改装の難易度と達成感の両方が段違いだ。完成したときの感動もその分大きい。
ゲームを進めると郊外の2階建て、海の見える別荘、古い工場を改装したロフト風の物件なども登場する。間取りや雰囲気がバラエティに富んでいて、「次はどんな物件かな」というワクワク感を保ってくれる。
各物件には独自の「バックストーリー」がある。「若いカップルが急に引っ越したらしい」「長年一人で暮らしていたお爺さんが施設に入った」——こういった前の住人の痕跡が部屋の中に残っている。壁に落書きされたメモ、棚の隅に残った家族写真、妙な場所に置かれた謎のコレクション。ゲームに直接影響しない演出だが、「この人たちはどんな生活をしていたんだろう」と想像する楽しさがある。
ただ、物件の難易度が上がると作業量も増える。大きな物件になると全室の清掃と修繕に2〜3時間かかることもある。「サクッと遊べる」ゲームではない。1件を完成させるまでに複数のプレイセッションが必要になる。この点を好む人と「もう少し短くしてほしい」と感じる人で評価が分かれる要因になっている。
Steamのレビューには「1つの物件を仕上げるのが心地よいゲームセッションになっている」という声もあれば、「中盤以降は作業量が多くてだれてくる」という声もある。どちらも正直な評価だと思う。
インテリアデザインの自由度——「自分の美意識」が試される
House Flipper 2の家具カタログは豊富だ。モダン・北欧スタイル・工業系・クラシックといった複数のデザインテイストで家具が用意されていて、壁の色や床材との組み合わせで部屋の雰囲気がガラッと変わる。
実際にプレイしていると「インテリアにこんなにこだわったことがなかった自分が、気づいたらソファとカーテンの色の相性を30分悩んでいる」という状況になる。現実の部屋では予算の制約があってできないインテリアコーディネートが、ゲームの中では自由にできる。この「現実でできないことができる」感覚が、特定の層にはかなり刺さる。
家具のカラーバリエーションも多い。同じ形のソファでも色が10種類以上用意されていることがある。「この形は好きだけど色が気に食わない」という場面が前作では多かったが、今作ではかなり柔軟に対応できるようになっている。ゲームを進めるごとに家具カタログの品数も増えていくので、「こんな家具が欲しかった」という発見が続く。改装を重ねるほど選択肢が広がっていく設計は、長くプレイするモチベーションを持続させてくれる。
ゲーム内では家具の配置に「スナップグリッド」が使える。家具を壁に沿わせたり、他の家具と平行に揃えたりする作業が、グリッドのおかげでかなりスムーズだ。ただし、斜め配置や不規則な形の部屋への対応は少し難しく、「ピッタリ置きたいのにズレる」という不満もゼロではない。
また、Steamの「クリエイティブモード」に相当するフリー改装モードでは、予算制限なしに好きなだけデザインを楽しめる。「実際の売買には関係なく、理想の部屋を作りたい」という人にとっては、このモードが一番の楽しみ場所になっている。SNSで自分の改装作品を公開しているプレイヤーも多く、Steamのスクリーンショット欄を見ているだけで「これ自分でもやりたい」という気持ちになる。
Timberbornのような資源管理や経済バランスを重視するゲームとは異なるが、「作って眺める」満足感という意味では通じるものがある。TImberbornが「機能的に正しい構造」を作る快感なら、House Flipper 2は「美的に満足できる空間」を作る快感だ。

Flipper’s Town——街が成長していく感覚

House Flipper 2で前作から最も大きく変わった要素の一つが、この「Flipper’s Town」システムだ。物件を改装して売るたびに、そのお金が街の発展に使われていく。
街には最初、最低限の施設しかない。ゲームを進めると本屋・カフェ・ガーデニングショップなど、新しい店舗やサービスが追加されていく。これらの施設がゲームプレイにも影響する——新しい家具カタログが解放されたり、物件情報を紹介してくれるNPCが増えたりする。
売却した物件には新しい住人が引っ越してくる。彼らは街のあちこちに現れて会話が発生する。自分が丁寧に仕上げた家に誰かが住んでいる、という感覚が不思議な満足感を与える。「いい仕事をした」という実感が、ゲームのフィクションの中で完結している。
街には「評判」システムもある。改装の質が高い物件を売り続けると、街の評判が上がり、より質のいい依頼やより値打ちのある物件の情報が来るようになる。逆に雑な仕事をすると評判が落ちて、依頼が減る。この評判システムが「丁寧にやりたい」というモチベーションを支えている。
Gas Station Simulatorが給油所を少しずつ拡張していく楽しさを持っているように、House Flipper 2も街の成長が次のモチベーションになっている。1件改装して終わりではなく、「街をどこまで成長させられるか」という長期目標が生まれる。

街のクエストとNPCの依頼
街には固定のNPCが存在し、彼らから依頼を受けることがある。「私の妹が引っ越したいと思ってるんだけど、こういう物件を探してるらしい」「近くに公園がほしい」といった形で、次に取り組む目標を示してくれる。全てが強制ではないので、自分のペースで進められる。
これらのクエストをこなしていくと、NPCとの関係が深まり、新しい施設や物件が解放される。ゆるやかなストーリーラインのようなものがあって、「ただひたすら家を改装するだけ」にならない仕掛けになっている。
NPCには個性があって、好みの部屋のスタイルも違う。「ミニマリストのエリサ」「コレクター気質のマルク」「ガーデニング好きのソフィア」——それぞれのキャラクターに合った物件を仕上げると、特別な反応が返ってくる。報酬が上がるだけでなく、「この人に喜んでもらえた」という感覚が、ゲームを温かくしている。
グラフィックスと音響——没入感を支える要素
Unreal Engine 5で作られたHouse Flipper 2のビジュアルは、このジャンルのゲームとしてはかなり高水準だ。光の差し込み方、素材の質感、汚れの広がり方——これらの描写が、「本当に作業している」という感覚を強める。
特に塗装作業のビジュアルが気持ちいい。ローラーが壁を塗り進めていく様子、ペンキが乾いていく表現、塗り残し部分の検出——このフィードバックが丁寧で、「きれいに仕上がった」という達成感を視覚的に補強してくれる。
水回りのビジュアル演出も凝っている。汚れた床を高圧洗浄機で洗い流すとき、水が飛び散る様子・汚れが流れていく様子がリアルに表現されている。「洗い終わった」という瞬間の清々しさが、視覚として伝わってくる。「これで洗い残しはないな」という安心感まで演出してくれる。
音響面も凝っている。モップで床を磨く音、ハンマーで壁を叩く音、高圧洗浄機の水音——各ツールごとに効果音が用意されている。ヘッドフォンで遊ぶと没入感がさらに上がる。BGMはゆったりしたアンビエント系の音楽が流れていて、作業に集中しながらのんびり過ごせる雰囲気を作っている。
仕上がった部屋で少し立ち止まって、窓から差し込む夕方の光が木の床に当たっている様子を眺める——その瞬間のためにプレイしている気分になることがある。「ゲームで景色を楽しむ」体験だが、この部屋を自分が作ったということが、その光景に特別な意味を与える。
ただし、長時間プレイしていると同じ効果音が繰り返されることへの慣れも出てくる。特に清掃フェーズが長い物件では「また同じ音か」と感じる場面も出てきた。BGMのバリエーションがもう少し多いとよかった、という声もレビューには見られる。
DLCと今後のアップデート——ゲームの寿命

House Flipper 2はリリース後も継続的にコンテンツが追加されている。前作では「Farm Flipper」「Garden Flipper」「HGTV」といった複数のDLCがリリースされ、ゲームプレイの幅を広げた。今作でも同様の展開が予想されており、2024年以降に追加コンテンツが順次リリースされている。
無料アップデートでも新しい家具・物件・クエストが追加されていて、開発チームのEmpyrean Unikornが継続的にゲームを育てている姿勢はわかる。コミュニティのフィードバックに応じたバグ修正や操作性改善も続けられている。アップデートのたびにコミュニティが歓迎の声を上げているのを見ると、開発チームとプレイヤーの間に信頼関係が築かれているのを感じる。
Steamのワークショップにはプレイヤー作成のコンテンツも投稿されており、コミュニティが作った物件や家具パックを使って遊ぶこともできる。公式コンテンツだけでなく、プレイヤーが作ったものでゲームを拡張できる仕組みは、長期的な遊びを支えている。特に家具パックは多彩で、公式では用意されていないスタイルの家具を追加できる。「和室を作りたい」「ゴシック調の部屋にしたい」といった需要に、コミュニティが応えている。
ICARUSやThe Farmer Was Replacedのように、長く遊べるサバイバル・シミュレーションゲームとのジャンルの文脈では、House Flipper 2は「明確な暴力がなく誰でも遊べる」「リラックスしながら遊べる」という独自のポジションを確立している。


プレイヤーの正直な評価——Steamレビューから見えるもの
House Flipper 2のSteamレビューは約1万3千件が集まり、高評価が大多数を占めている。でも全員が絶賛しているわけではなく、批判的な意見も一定数ある。どちらも正直に紹介しておきたい。
まず肯定的な声。
前作から大幅にグラフィックスが上がっていて、特に光の表現が好き。モップがけが無心でできて癒される。
引用元:Steamレビュー
友達と一緒にやったら「この壁は絶対にグリーンにしろ」「いや白がいい」と20分言い合いになった。でもそれが楽しかった。
引用元:Steamレビュー
夜寝る前の1時間が気づいたら朝になってた。何かを達成した感がずっと続くゲーム。
引用元:Steamレビュー
「ただの掃除ゲームでしょ?」と思って買ったら、気づいたら家具カタログを全部眺めていた。インテリアセンスが磨かれる気がする。
引用元:Steamレビュー
ストレス解消になる。現実の仕事が大変な日でも、ゲームの中で家を綺麗にすると不思議と落ち着く。
引用元:Steamレビュー
次に批判的な声。
中盤以降、物件が大きくなりすぎて1件仕上げるのが苦行になってきた。もう少し小さなステップでゲームが進んでくれたら続けやすかった。
引用元:Steamレビュー
ローンチ時にバグが多かった。今はだいぶ直っているが、最初の印象が悪かった。開発チームが修正に動いてくれているのは評価する。
引用元:Steamレビュー
前作の外壁・屋根の改装が好きだったのに、今作でなくなっていて残念。DLCで来ることを期待している。
引用元:Steamレビュー
家具の配置がまだ少し不自由。特に変形した部屋でのスナップが使いにくい場面がある。
引用元:Steamレビュー
批判の中で多かったのが「中盤以降の作業量の多さ」と「ローンチ時のバグ」だ。後者についてはその後のアップデートでかなり改善されているが、前者は根本的なゲームデザインの問題なので、人によって感じ方が変わる部分だと思う。
「作業が多い=苦行」と感じるか、「作業が多い=やりごたえがある」と感じるかで、このゲームの評価は分かれる。この点は購入前にYouTubeのプレイ動画を見て自分の感覚を確認しておくといい。
どんな人に向いているゲームか——正直に書く

House Flipper 2が向いている人と向いていない人を、率直に整理しておく。
向いている人
まず、「片付け・掃除・整理整頓が好き」な人。これは絶対的な条件に近い。部屋が綺麗になっていく過程に喜びを感じる人なら、このゲームの中毒性は間違いない。
次に、「インテリアに興味がある」人。現実では予算の制約で試せないようなコーディネートをゲームの中で試せる。「この色の組み合わせどうかな」と考えること自体が楽しいと感じる人にとって、家具カタログを眺めるだけで時間が溶ける。
「じっくりのんびり遊べるゲームが好き」な人にも向いている。激しいアクションや時間的プレッシャーはほとんどない。自分のペースで、自分が納得するまで作業を続けられる。
友人と「作業を分担しながら協力する」Co-opを楽しみたい人にも合っている。Super Auto Pets的な「好きなタイミングに少し遊べる」スタイルとは異なるが、友人との共同作業という体験を求めている人には選択肢の一つになる。

また、「現実のDIYやリフォームに興味があるけど実際にはやらない」人にもおすすめしたい。配管の直し方、塗装の手順、床材の種類——ゲームだが実際のリノベーションに関する知識も自然と入ってくる。「こんな感じでやるのか」という理解が深まる感覚が面白い。
向いていない人
「すぐ結果が見たい」「速いテンポで進めたい」人には合わない。1件の物件を完成させるまでに数時間かかることがあり、プレイ時間の大半が地道な作業だ。
「戦闘・アクション要素が欲しい」人にも不向きだ。このゲームに戦闘はない。純粋に作業と創造性のゲームだ。
「明確なストーリーが欲しい」人も期待が外れるかもしれない。NPCとのやりとりやクエストはあるが、ドラマティックなストーリー展開は薄い。物語を楽しみたいなら、このゲームは向いていない。
Golf It!のような対戦ゲームで友達と盛り上がりたい人とも方向性が違う。House Flipper 2のCo-opは競争ではなく、協力・共創の場だ。「友達に勝ちたい」という動機でゲームを選んでいる人には物足りない。

パフォーマンスと動作環境
Unreal Engine 5を採用しているだけあって、House Flipper 2の推奨スペックは前作より上がっている。ミドルレンジ以上のPCであれば快適に動くが、ローエンドPCではフレームレートが落ちる場面が出てくる。
公式の推奨スペックは、CPUがIntel Core i7-8700またはAMD Ryzen 5 3600、GPUがNVIDIA GeForce RTX 2060またはAMD RX 5700XT、RAMが16GB以上という構成だ。これを満たしていれば1080pで60fps以上を安定して出せる環境になる。最高設定でプレイしたい場合はRTX 3070以上が必要になってくる。
特に大きな物件で全てのオブジェクトが画面内に入る場面では、処理が重くなりやすい。設定を落とせば動くが、素材の質感が大きく変わるため、高画質でのビジュアルを楽しみたい人は注意が必要だ。
ローンチ当初はクラッシュや特定のバグが報告されていたが、その後の複数回のパッチで大部分は修正されている。今現在のビルドでは、多くのプレイヤーが安定して動作していると報告している。Co-op時のデsync(同期ズレ)も初期より改善されているが、まれに家具の位置がプレイヤー間でズレるケースの報告はまだある。
SSDへのインストールを推奨したい。ロード時間がHDDと比べて大幅に短縮される。物件を開くたびにロードが入るので、長時間プレイする場合の体感がかなり変わる。
グラフィックス設定は細かくカスタマイズできる。影の解像度・テクスチャ品質・ポストプロセスエフェクトなど、各項目を個別に調整できる。「この設定を下げるとFPSがこれくらい上がる」というトレードオフを把握しながら最適化できる仕組みだ。自分のPCのスペックに合わせた設定を探す過程も、PC版ならではの楽しみ方だ。
Cities: Skylines IIやTimberbornとの比較——「箱庭系」の中での位置づけ

「箱庭系シミュレーション」という大きな括りで見たとき、House Flipper 2はどういうポジションにあるのかを整理しておく。
Cities: Skylines IIは都市全体を俯瞰して道路・区画・インフラを設計する。プレイヤーは「市長」として街全体を管理する視点に立つ。House Flipper 2との違いは、スケールと視点だ。House Flipper 2は一軒の家に入り込み、一本一本の壁を自分の手で塗っていく。マクロvsミクロ、俯瞰vs没入という対比がある。「街を作りたい」か「家を作りたい」かで選ぶゲームが変わってくる。
Timberbornはビーバーのコロニーを管理する資源管理ゲームで、生産チェーンと人口管理が核心だ。House Flipper 2に似ているのは「何かを少しずつ積み上げていく感覚」だが、Timberbornは数値と効率の最適化が主軸で、House Flipper 2は感性と審美眼が試される。数字派かデザイン派かで好みが分かれる。
Satisfactoryのような工場建設ゲームと比べると、「作ることへの没頭感」は共通しているが、Satisfactoryは生産の最適化・拡張が目的なのに対して、House Flipper 2は「美しい空間を仕上げること」が目的だ。後者の方が直感的で、ゲームに不慣れな人にも入りやすい。
どちらも「作って眺める」ゲームだが、House Flipper 2の独自性は「現実の家事・DIYをゲームで再現している」点にある。実際の掃除や塗装に近い動作をシミュレートすることで、「ゲームだけどリアルな作業感がある」という不思議な体験を生んでいる。
House Flipper 2の長所と短所——買う前に知っておきたいこと
ここまで読んでくれた人のために、長所と短所を率直にまとめておく。
長所は大きく5つある。
一つ目は「達成感の設計が丁寧」なことだ。清掃率・塗装完成度・インテリア評価——各フェーズで数値フィードバックが得られ、「やった分が返ってくる」感覚が持続する。二つ目は「グラフィックスの質が高い」こと。Unreal Engine 5で作られた光の表現と素材質感は、同ジャンルのゲームの中でも頭一つ抜けている。三つ目は「Co-opで遊べる」ことで、最大4人で分担作業ができる。友人との「共同DIY」体験は独特の楽しさがある。四つ目は「Flipper’s Townで長期目標がある」こと。街の成長という長期的なモチベーションが、単発の改装作業を意味のある積み重ねにしてくれる。五つ目は「続きのコンテンツが供給される」ことで、前作での実績から、DLCやアップデートで長く遊べる見込みがある。
短所も正直に書く。
一つ目は「中盤以降の作業量増大」。物件が大きくなるにつれて1件あたりの作業時間が長くなり、だれてくる場合がある。二つ目は「屋外改装の制限」。ローンチ時点では外壁・屋根・庭の改装機能が限定的で、前作ファンには物足りない部分がある。三つ目は「BGMの少なさ」。長時間プレイしていると同じ曲が繰り返され、飽きを感じやすい。四つ目は「ローンチ時のバグの記憶」。当初はバグが多く、初期プレイヤーの印象を悪化させた。現在はかなり改善されているが、レビューの星評価に影響が残っている。五つ目は「日本語以外のUIが先行する場合がある」こと。アップデートで追加されたコンテンツの日本語対応が遅れることがある。
これらを踏まえたうえで「向いているかも」と思った人は、試してみる価値がある作品だと言える。
スクリーンショットとコミュニティの楽しみ方——プレイ外の遊び

House Flipper 2のプレイヤーコミュニティには、自分の改装作品をスクリーンショットで共有する文化が根づいている。改装前後の比較写真、特定のカラースキームで統一した部屋、フリーモードで作った理想の空間——Steamのスクリーンショット欄やSNSには大量の「作品」が投稿されている。
この共有文化がゲームの寿命を延ばしている面がある。「こんな改装もできるのか」という発見が次のプレイへのモチベーションになり、他のプレイヤーのアイデアから新しいインスピレーションを得られる。
特に印象的だったのは、同じ間取りの物件でも色の使い方によってここまで雰囲気が変わるのかという驚きだ。「自分のセンスがこんなに試されるゲームだったのか」と、他プレイヤーの作品を見て気づかされる場面があった。
Steamのコミュニティフォーラムには「この配色の組み合わせが好き」「この家具どこで買える?」といった情報交換が活発に行われている。攻略情報だけでなくデザインの話が中心になっているのが、このゲームのコミュニティの特色だ。ゲーム攻略サイトを見るより、Steamのスクリーンショットギャラリーを眺めている方が参考になることも多い。
また、Redditの「r/HouseFlipper」には前作・今作のプレイヤーが集まり、改装ビフォーアフターが共有されている。他の人の仕事を見て「自分ももっとうまくやれるな」と思うか、「こんな発想があったのか」と刺激を受けるか、どちらにしてもプレイへの意欲が湧いてくる。
「自分の部屋が完成した瞬間のスクリーンショット」を撮ることが、このゲームをプレイしているプレイヤーの一つの習慣になっている。ゲームが終わっても、自分が作った部屋の写真を後で見返して「あの時間は楽しかったな」と思える——それがこのゲームの与えてくれる余韻だ。ゲームの達成感が、プレイが終わった後もしばらく心に残る。単純な「クリアした」感とは違う、「何かを仕上げた」という実感だ。
序盤の進め方——最初の3時間でやること
House Flipper 2を始めた人が最初にぶつかる壁は、「何から手をつければいいかわからない」という感覚だ。序盤の流れを整理しておく。
ゲームが始まると、小さなアパートの一室からスタートする。チュートリアルが用意されているので、指示に従いながら最初のツールの使い方を覚えていく。モップ・ブラシ・ペンキローラーの使い方を教えてもらいながら、最初の物件を完成させる。この最初の物件はほぼ強制的に完成まで誘導されるので、「何をすべきか迷う」ことは少ない。
チュートリアル物件を売却したら、次は自分で物件を選ぶ段階になる。序盤は予算が少ないので、購入できる物件は小規模なものに限られる。これが実はちょうどいい。小さな物件で作業の流れを体に覚えさせながら、資金を少しずつ積み上げていくのが序盤の正しいペースだ。
最初の2〜3件は「利益よりも経験」だと思っておくといい。修繕費の見積もりが甘くて赤字になることもあるし、塗装の完成度が低くて売却評価が下がることもある。でも、それが次の物件での改善につながる。「前の物件より上手くできた」という成長感が出てくると、ゲームの面白さが一気に増してくる。
ツールのアップグレードは早めに進めておくといい。特に清掃ツールのアップグレードは作業効率に直結する。範囲が広くなったモップや、汚れをより速く落とせる洗浄機は、後半の大きな物件での作業時間を大幅に短縮してくれる。序盤の資金管理で迷ったら、「物件の購入」より「ツールのアップグレード」を優先する方が長期的に得だ。
街の施設をアンロックするクエストも、ゲーム序盤から少しずつ出てくる。無視しても問題ないが、新しい家具カタログへのアクセスや特殊な物件の情報など、クエストをこなすことで遊びの幅が広がる。「今何をすべきかわからない」と感じたら、クエストリストを確認するのがおすすめだ。
「改装職人」へのスキルアップ——ツールと経験値の育て方

House Flipper 2にはキャラクターのスキル成長システムがある。ゲームをプレイするごとに経験値が積み重なり、ツールのアップグレードや新しい機能のアンロックが進んでいく。この成長がゲームの「長期的なやりごたえ」を作っている。
スキルツリーは大きく「清掃系」「施工系」「インテリア系」の3つに分かれている。清掃系をアップグレードすると、モップや高圧洗浄機の効率が上がる。施工系では塗装速度・配管修理の速さ・電気工事の精度が向上する。インテリア系では家具の配置精度・カタログへのアクセス範囲・特殊な素材の使用が可能になる。
どのスキルを優先するかで、プレイスタイルが変わってくる。「とにかく清掃フェーズを速く終わらせたい」なら清掃系を先に伸ばす。「インテリアデザインを楽しみたい」ならインテリア系を最初から育てる。「大きな物件で確実に稼ぎたい」なら施工系を強化する。「どれを選ぶか」という判断自体がゲームの楽しさの一部だ。
経験値は物件の種類や完成度によって変動する。仕上げの質が高いほど多くの経験値が得られる。適当に物件を仕上げて売るより、丁寧に仕上げた方がスキルの成長も早い。「丁寧にやる」ことが二重に報われる設計になっている。
スキルマックスになるまでには相当な時間がかかる。途中のアップグレードで「作業がこんなに楽になった」という発見があるので、成長を実感しながら長く遊べる。「100時間遊んでもまだやれることがある」という感覚を持てるゲームは、買い切りタイトルとして価値が高い。
物件の売却で稼ぐコツ——リターンを最大化する考え方
House Flipper 2は「どれだけ丁寧に改装したか」だけでなく、「どの物件をいくらで買うか」という投資判断がゲームプレイに影響する。ここでは売却利益を最大化するための考え方を整理しておく。
まず物件選びの基本は「購入価格と修繕コストのバランス」だ。安い物件はコンディションが悪いため修繕費が高くつく。高い物件はコンディションがいいが購入費用が大きい。どちらが得かはケースバイケースだが、序盤は「修繕費の予測精度が低い」ため、少し状態のいい物件を高めに買う方がリスクが少ない。慣れてきたら荒廃度の高い物件をフルリノベーションする方が利益率が上がる。
売却評価を上げるために最も効果的なのは「清掃の徹底」だ。清掃率が低いと他の要素でどれだけ頑張っても評価が伸びない。塗装・修繕・インテリアの前に、まず清掃を100%近くまで仕上げることを意識するといい。「汚れを残したまま塗装しても、評価は上がらない」というシステムを理解すると、作業の優先順位が見えてくる。
インテリアの選択では「物件のターゲット層」を意識する。依頼内容に「若いファミリー向け」と書いてあれば、ファミリー向けの家具(ダブルベッドより子供部屋、広いリビングなど)を優先するとスコアが上がる。ターゲット外のラグジュアリー家具をいくら置いても評価には反映されない。「依頼書をよく読む」のが稼ぎのコツだ。
また、物件に最初から設置されているアイテムを売却することで収益を足す方法もある。古い家具でも「売れるもの」と「廃棄するもの」がある。全部捨てずに価値のあるものを見極めて売却することが、物件の収益率を上げるポイントになる。
慣れてくると「この物件は〇万円で買って、〇万円かけて修繕して、〇万円で売れる」という目測が立つようになる。この感覚が磨かれていくのが、このゲームのやればやるほど上手くなる要素だ。
まとめ——「掃除して塗って、また買って」が止まらない理由
House Flipper 2は、シンプルなアイデアを丁寧に作り込んだゲームだ。「廃屋を買って直して売る」という骨格に、視覚的な満足感・インテリアデザインの自由度・街の成長という要素が重なって、気づいたら長時間プレイしてしまう。
特に「目に見える変化に達成感を感じる人」「インテリアに興味がある人」「のんびり没頭できるゲームを探している人」にとっては、間違いなく刺さる作品だ。最初の物件を一軒仕上げて売ったとき、「また次やりたい」と思えたなら、このゲームは自分に合っている。その感覚は、最後まで続く。
個人的に印象に残っているのは、ゲームを始めてから3日後の夜に「気づいたら4時間経っていた」という出来事だ。そのとき取り組んでいたのは郊外の2LDKの物件で、全室の床を貼り替えて、壁を3色使いで塗り分けて、リビングの家具をコーディネートしていた。プレイを終えたとき、「いい部屋を作った」という感覚があった。ゲームの中の出来事なのに、どこか誇らしい気持ちがした。
批判的な点も正直に書いた。中盤以降の作業量の多さ、屋外改装の制限、前作ファンが感じる「なくなった要素」の寂しさ——これらは無視できない部分だ。それでも、プレイ後に「いい部屋を作った」という感覚が残るゲームは意外と少ない。House Flipper 2はその「形に残る達成感」を毎回ちゃんと提供してくれる。
このゲームに向いているかどうかは、最初の物件を一軒仕上げたときにわかる。「また次の物件をやりたい」と思えるなら、それが答えだ。逆に「この繰り返しは自分には合わない」と感じるなら、早めに気づけた方がいい。Steamの返金ポリシー(2時間以内・購入から14日以内)を使って試してみるのも一つの手だ。
Empyrean Unikornのチームが前作から6年かけて作り直したこのゲームには、「もっとよくなるゲームを届けたい」という意志が込められていると思う。コミュニティのフィードバックを丁寧に拾いながら、アップデートを重ねるごとに進化している。ゲーム本体もそうだが、「こういう開発チームが作ったゲームを遊びたい」と思わせてくれる姿勢がある。どこまで成長するか、続けて見ていたい作品だ。
ハウスフリッパー2
| 価格 | ¥5,459 |
|---|---|
| 開発 | Frozen District |
| 日本語 | 非対応 |
| 対応OS | Windows |
| プレイ形式 | シングル / マルチ |
