HITMAN World of Assassination|暗殺シミュレーターの最高傑作がここに完結した
最初のターゲットを倒すのに2時間かかった。正面から突破しようとして何度も撃たれ、変装してみたら怪しまれて警戒されて、結局トイレに閉じ込めて昏倒させるという方法を思いつくまでにそれだけの時間がかかったのだ。
そしてクリア後に「チャレンジ達成」の通知が15件ほど一斉に表示された。「ターゲットのみを排除」「目撃者なし」「変装を看破されず」「証拠を残さず」。自分がやった暗殺の内訳を採点されている感覚があって、なんだか悔しくなった。もっとうまくやれた気がする、と。
それがHITMAN World of Assassinationにはまったきっかけだ。
このゲームはただの暗殺アクションではない。プレイヤーに与えられた広大な舞台の中で、ターゲットをいかに「完璧に」消すかを考え続けるパズルゲームだ。正解は一つじゃない。何十通りものアプローチが存在していて、それを試すたびに新しい発見がある。
Steamの評価は「非常に好評」。世界中のプレイヤーから長期にわたって高く評価されており、暗殺ゲームというニッチなジャンルにおいては間違いなく頂点に立つ作品だ。
この記事では、HITMAN World of Assassinationの何が面白くて、どんな人に向いていて、どんな点に注意が必要なのかを、できる限り具体的に書いていく。
こんな人に読んでほしい

HITMAN World of Assassinationはジャンルとしてはアクションゲームに分類されるが、実際のプレイ感はかなり独特だ。向いている人には「なぜ今まで知らなかったんだ」というレベルでハマる可能性があるし、向いていない人には合わない要素もはっきりある。
こんな人には強くすすめる
ステルスゲームや潜入系のゲームが好きな人には、ほぼ間違いなく刺さる。このゲームは「いかにバレずに動くか」を考え続けるゲームだ。Metal Gear SolidやSplinter Cellが好きだった人、Deus ExやDishonoredのような自由度の高いステルスゲームをやっていた人は、まず間違いなく楽しめる。
「同じステージを何度もやり直せる」タイプのゲームが好きな人にもおすすめだ。HITMAN World of Assassinationは一つのミッションを何周もすることを前提に設計されている。初回クリアは「とりあえず完了」に過ぎない。本当の楽しみはその後、チャレンジをこなし、ストーリーミッションを発見し、全要素を解放していく過程にある。
パズルゲームが好きな人にも向いている。このゲームのミッションはある種のパズルだ。ターゲットをどのルートで、どのタイミングで、どういう方法で仕留めるか。ヒント要素であるミッションストーリーをたどると「あ、そういう手があったのか」という発見が毎回ある。
「作り込まれた世界をじっくり探索したい」という人にも向いている。HITMANのステージはびっくりするほど細部が作り込まれている。NPCがそれぞれ会話していて、時間が経つと状況が変わり、「あのNPCが移動した後に入ればいいのか」という発見が常にある。舞台となるパリのファッションショー、モロッコの市街地、コロンビアの麻薬組織アジトなど、ロケーションのバリエーションも素晴らしい。
こんな人には少し考えてほしい
「ゴリ押しで突破したい」タイプの人には向いていない可能性がある。このゲームはアクションシューターではなく、無双ゲーでもない。武器を持って正面突破しようとすると、基本的に多数の敵に囲まれてすぐやられる。「敵を倒しまくって爽快感を得たい」という目的には合わない作品だ。
「一本道のストーリーをクリアして終わり」というゲーム体験を好む人も、このゲームの魅力を最大限に引き出しにくいかもしれない。HITMAN World of Assassinationはストーリーを楽しむゲームというよりも、繰り返しプレイで発見を重ねるゲームだ。「1周すれば十分」という感覚だとコスパを感じにくいかもしれない。
また、操作が独特なため、最初の数時間は「何をしていいかわからない」と感じることもある。チュートリアルは用意されているが、ゲームの全体像を把握するまでに時間がかかる。じっくり向き合う気持ちがある人に向いているゲームだ。
ゲーム概要

HITMAN World of Assassinationは、IO Interactiveが開発し、IO Interactive自らが発売した暗殺アクションゲームだ。2021年1月にシーズン3「HITMAN 3」としてリリースされ、その後2023年1月にHITMAN 1・2・3の全コンテンツを統合した「HITMAN World of Assassination」として再編成された。SteamのAppIDは1659040だ。
ジャンルは「ステルスアクション」もしくは「暗殺シミュレーター」と表現するのが最も近い。プレイヤーは伝説の暗殺者「エージェント47」となり、世界各地の舞台でターゲットを暗殺するミッションをこなしていく。
このゲームの特徴を一言で言うなら「完全に自由な暗殺計画」だ。ターゲットを倒す方法は何十種類もある。毒を盛ることもできるし、事故に見せかけることもできる。変装してターゲットのそばに近づくこともできるし、遠距離から狙撃することもできる。ゲームはプレイヤーに正解を押しつけず、どのアプローチを選んでも完了できる設計になっている。
舞台は世界中に及ぶ。パリのファッションショー、イタリアの海辺の街サピエンツァ、コロンビアの麻薬カルテルの拠点、日本の温泉旅館、アラブ首長国連邦の超高層ビル、ドバイのスカイライン、アルゼンチンの競馬場、ルーマニアの古城、イギリスの田園地帯など。各ステージは独自の文化と雰囲気を持ち、プレイヤーをまったく異なる世界へと連れていく。
Steam評価は「非常に好評」。世界中のプレイヤーから高く評価されており、暗殺ゲームジャンルの頂点として長く君臨している。
エージェント47というキャラクターについて
エージェント47はこのゲームの主人公であり、架空の暗殺組織「ICA(国際契約機関)」に所属する最高クラスの暗殺者だ。遺伝子工学によって生み出されたクローン人間であり、その能力は人間の限界を超えている。バーコード付きの坊主頭と赤いネクタイ、黒いスーツというビジュアルは世界中のゲームファンに認知されているアイコニックなキャラクターだ。
47はほとんどの場面で感情を表に出さない。寡黙で冷静、常にプロフェッショナルな態度を保っている。しかしシリーズを通してその内面が少しずつ描かれ、HITMAN World of Assassinationの物語では彼自身の出自と目的が深く掘り下げられる。
彼が使用するトレードマークの武器は「Silverballer」と呼ばれる2丁の銀色のピストルだ。スーパー47の刻印が施されたこの銃は、シリーズを通して彼のシンボルとなっている。しかしゲームの中では他に数十種類の武器が存在し、状況に応じて最適なものを選ぶ余地がある。
「World of Assassination」という統合について
HITMAN World of Assassinationの重要な点として、これが「統合版」であることを理解しておく必要がある。
もともとHITMAN(シーズン1、2016年)、HITMAN 2(2018年)、HITMAN 3(2021年)という3本のゲームとして発売されていたコンテンツが、2023年1月以降「HITMAN World of Assassination」という一本のタイトルとして統合された。つまり現在このゲームを購入すれば、3作分のキャンペーンミッションすべてにアクセスできる。
ミッションの数は20を超え、ボーナスミッション、エスカレーションコントラクト、エルーシブターゲット(期間限定ミッション)も含めると膨大なコンテンツ量になる。「3作分遊べる一本のゲーム」として考えると、コスパは非常に高い。
さらに、常時無料で遊べる「フリーエディション」も存在し、ドバイのミッション「オン・トップ・オブ・ザ・ワールド」を無料でプレイできる。「購入前に試したい」という人にはこちらから始めることができる。
IOI(IO Interactive)について
IO Interactiveはデンマーク・コペンハーゲンに本社を置くゲーム開発会社だ。HITMANシリーズの開発元として知られており、このシリーズへの愛情と技術的なこだわりは業界でも高く評価されている。
もともとはSquare Enixの傘下にあったが、2017年に独立してIO Interactive単独で運営されるようになった。独立後に発売したHITMAN 2とHITMAN 3は前作より評価が高く、独立経営の判断が正解だったことが証明されている。
現在はHITMAN World of Assassinationのアップデートを続けながら、James Bond(007)を主人公にした新プロジェクト「Project 007」も開発中だ。暗殺者とスパイという両キャラクターを得意とするIOIの強みが最大限に発揮されるタイトルとして期待されている。
ゲームシステムの詳細
HITMAN World of Assassinationの面白さは、そのシステムの精密な設計にある。自由度の高さを生み出しているのは、複数のシステムが絡み合って動く精巧な世界観だ。それぞれを掘り下げていく。
サンドボックスミッション設計
各ミッションは「サンドボックス」として設計されている。これはシューターゲームのような一本道のレベルデザインとは根本的に異なる。
プレイヤーがミッションに持ち込めるアイテムは自由に選べる。毒薬を持っていけばターゲットの食事や飲み物に仕込める。爆発物を持っていけば車を爆破して事故に見せかけられる。変装用の服を持ち込む必要はなく、現地で他のNPCから調達することもできる。
ターゲットには固定のルートがある。彼らは決まったルートを移動し、特定の場所で特定の行動をとる。ただしプレイヤーがある行動を起こすと、そのルートが変化したり、特定の場所に誘導したりできる。たとえば「ターゲットが立ち話をしているNPCの会話に割り込むと、彼は一人で移動する」というような設計だ。
事故死の設計が特に秀逸だ。電気系統の近くに水を流して感電死させる、崖の端に誘導して転落死させる、シャンデリアを落として圧死させる。これらの「事故に見せかけた暗殺」はゲーム内で最高評価を得やすく、プレイヤーの創意工夫を楽しむための設計になっている。
変装システム
変装はHITMANシリーズを象徴するシステムだ。ステージ内に存在するNPCを昏倒させたり、特定のアイテムを入手したりすることで、様々な職業や立場の服装に変わることができる。
料理人の服に着替えれば厨房に入れる。警備員の服なら立入制限区域を歩ける。医師の白衣を着ればターゲットの個室に入れる。芸術家の衣装を手に入れれば関係者エリアに潜り込める。変装によって行動できる範囲が大きく変わる。
ただし変装には制限がある。特定の人物(そのエリアを本当に知っている人間)には変装を見抜かれる可能性がある。たとえば一般警備員の服を着ていても、上位の警備隊長クラスのNPCには「お前の顔は知らない」と怪しまれることがある。「疑惑」というゲージがあり、それが上がると不審者として扱われる。
このシステムがあることで、「完全に気づかれない変装を維持する」という緊張感が生まれている。怪しまれそうなNPCを避けながら目的地に向かう行動計画を立てることが、このゲームの核心的な楽しみの一つだ。
ミッションストーリーシステム
ミッションストーリーは、各ミッションに組み込まれた「ガイド付きの暗殺ルート」だ。ゲーム内でアクティブにすると、47の相棒ダイアナ・バーンウッドが状況を説明してくれ、「今このNPCと会話すると扉が開く」「今ここに移動するとチャンスが生まれる」というような誘導をしてくれる。
これはいわばゲームが「こういう暗殺方法もあるよ」と教えてくれる教材だ。一つのミッションに複数のミッションストーリーが用意されており、それぞれが全く違るアプローチを紹介している。
たとえばパリのミッションでは「ターゲットを記者会見の会場に誘導する」「ファッションデザイナーとして潜入してショーの最中に接触する」「警備チームの一員として内部から動く」など、複数のミッションストーリーがある。初心者はこれをたどるだけで「HITMANらしい暗殺」の体験ができる。
慣れてきたら、ミッションストーリーを使わずに自分だけのルートを開拓する楽しみが生まれてくる。「ミッションストーリーなしで全ターゲットを事故死でクリア」という縛りプレイをしている上級者も多い。
チャレンジとマスタリーシステム
各ミッションには数十から百以上のチャレンジが設定されている。「ターゲットのみを排除」「目撃者なし」「証拠を残さず」「全要素を使用せず」「全事故死」などのパフォーマンスチャレンジから、「特定の方法でターゲットを倒す」「特定のオブジェクトを使用する」「特定のNPCと会話する」などのディスカバリー系チャレンジまで多岐にわたる。
チャレンジを達成するとXP(経験値)が貯まり、ステージのマスタリーレベルが上がる。マスタリーレベルが上がると、そのステージで使えるスタート地点が増えたり、事前に仕込めるアイテムが増えたりする。これによって同じステージを繰り返すほど選択肢が広がる設計になっている。
「サイレント・アサシン」というランクは最高評価のランクで、「ターゲットのみを排除・目撃者なし・証拠なし・疑惑度最小」を同時達成した場合に得られる。これを毎回狙うのが「上手いHITMANプレイヤー」の目標になる。難しいが、達成したときの満足感は格別だ。
エルーシブターゲット(逃げるターゲット)
エルーシブターゲットはHITMANシリーズの名物システムだ。期間限定で現れる特別なターゲットで、失敗すると永遠に挑戦できなくなるという緊張感が特徴だ。
かつては期間限定のリアルタイムイベントとして実施されていたが、HITMAN World of Assassinationのリリース以降「エルーシブターゲット・アーケード」という形で常時遊べるようになった。アーケード版では複数のエルーシブターゲットをまとめてこなすシナリオが用意されており、クリアすると限定の報酬アイテムが手に入る。
エルーシブターゲットはレギュラーミッションとは異なり、ターゲットの情報や位置が事前に与えられない場合が多い。自分でステージを探索してターゲットを見つけ、その場で暗殺計画を組み立てる必要がある。「失敗したらそれっきり」の緊張感が、このコンテンツを特別なものにしている。
コントラクツモード
コントラクツモードはプレイヤーが独自のミッションを作成・共有できるモードだ。既存のステージ上で任意のNPCをターゲットに指定し、達成条件を設定してミッションを作成できる。作成したミッションは他のプレイヤーと共有でき、コミュニティが生み出した膨大な数のミッションが存在する。
公式コンテンツに飽きた後もコントラクツモードで遊び続けられるため、このゲームの寿命を大幅に延ばしている要因の一つだ。「特定の武器だけで、変装なしで、5人のNPCを倒せ」というような変則的なミッションも存在する。
スニーカー・システムと感知メカニクス
このゲームのNPCは非常に細かい感知システムを持っている。視野角があり、距離によって検知精度が変わり、音にも反応する。武器を手に持って歩いているだけで周囲のNPCは不審に思い、倒れているNPCを見つければアラートを発する。
「レーダー」と呼ばれるミニマップには周囲のNPCの視線方向が表示されており、「今動いたら見られる」という判断ができる。レーダーを読みながらNPCの動きを把握し、隙を見て移動するのがこのゲームの基本的な動き方だ。
また「インスティンクト」という能力を使うと、壁越しにNPCの位置と移動ルートを把握できる。このモードを活用することでステージの全体像を掴みやすくなる。ただしインスティンクトの使用は体力(インスティンクトゲージ)を消費するため、節約しながら使う必要がある。
武器と道具のシステム
ミッション前の「準備」フェーズでは、持ち込む武器と道具を自由にカスタマイズできる。ゲームを通じて解放していく多数の武器・アイテムの中から選んでロードアウトを組む。
武器のカテゴリは、ピストル、SMG、アサルトライフル、スナイパーライフル、ショットガン、近接武器(ナイフ・鈍器など)がある。しかし暗殺ゲームであるこのゲームでは、実際に多用するのはむしろこちらだ。毒薬、麻酔薬、爆発物、カメラを壊せるEMT装置、コイン(音を立てて注意を引く)、ドアの解錠ツール。
「ブリーフケース」というアイテムを使うと、大型の銃器やスナイパーライフルを隠して持ち運べる。変装した状態でスナイパーライフルを持ち歩いているとすぐにバレるが、ブリーフケースに収納すれば問題ない。こういった細かな設計が「暗殺者らしさ」を演出している。
ステージごとの特色
HITMAN World of Assassinationには、1と2と3合わせると20を超えるメインミッションステージが存在する。それぞれが独自のテーマと設計を持っており、全部が「別のゲームをやっている感覚」になるくらいバリエーションが豊かだ。
パリのファッションショー会場「ウルカ・パレス」はシリーズを代表するステージだ。豪華な宮殿の中で行われるファッションショーを舞台に、2人のターゲットを同時に追う。広大なマップの至る所に潜入ルートがあり、2人のターゲットの動きを把握しながら動く必要がある。初心者でも上級者でも長く遊べる名ステージだ。
日本の温泉旅館「湯澤旅館」は、HITMAN 2のサパンジャミッションと並んで評価の高い和風ステージだ。伝統的な日本の旅館を舞台に、レッド・ドラゴン・トライアドの指導者をターゲットにする。ちゃんと日本語の看板や文化的要素が登場し、海外ゲームにしては珍しいリアリティがある。
HITMAN 3で追加されたアルゼンチンの競馬場「ラ・メスカレラ」は、シリーズ最大規模のステージの一つだ。日中の競馬イベントが行われる広大な施設全体を舞台にしており、観客・スタッフ・警備員・VIPなど数百人のNPCが動いている。見た目の豪華さと攻略の自由度のバランスが高く評価されている。
ルーマニアの古城「カーペンター・カースル」はシリーズの中でも特にムード満点のステージだ。夜のゴシック城を舞台にした設定で、「暗殺者が城に潜入する」という映画的な状況が見事に演出されている。城内には様々な秘密の通路が存在し、それを発見していく探索の楽しみがある。
各ステージの特色をもっと掘り下げる

HITMAN World of Assassinationの20以上のステージはどれも独自の個性を持っているが、特に語るべき名ステージがいくつかある。それぞれのステージが何を提供しているかを詳しく見ていく。
パリ「ウルカ・パレス」〜シリーズの原点
HITMAN 1のパリステージは、現代のHITMANが何者であるかを世界に示した一本だ。舞台は「スウォー・インターナショナル」というファッションブランドが開催するショーのために貸し切られたパリの宮殿。数百人の来場者、警備員、スタッフが動き回る中で、2人のターゲットを排除する。
このステージの魅力は「垂直方向の設計」にある。地下から地上、2階、3階、屋外テラスまで、建物の全フロアが舞台になっている。地下では主催者のスタッフが裏方作業をしており、3階ではVIPが密会をしている。各フロアが完全に異なる社会的空間として機能しており、どの変装でどの階に入れるかが攻略の鍵になる。
ミッションストーリーのバリエーションも豊富で、「ファッションブランドのオーナーとして潜入する」「記者として取材の場を設ける」「セキュリティ責任者として内部から動く」という複数のルートが用意されている。初回プレイから10回プレイしても新しい発見があり、「これが最高効率」という正解が存在しない懐の深さを持っている。
サピエンツァ「世界が幸せだった頃」〜コミュニティ最高評価ステージ
サピエンツァは多くのプレイヤーがシリーズ最高のステージとして挙げる名作だ。イタリアの海辺の小さな街「サピエンツァ」を丸ごと舞台にしており、街全体がフィールドになっている。広場、路地、教会、浜辺、崖の上の屋敷、地下研究施設まで、一つのステージにこれほどのバリエーションが詰まっているのはシリーズでも珍しい。
ターゲットは2人で、両者の動きが全く異なる。一人は研究施設を中心に動いており、もう一人は街の外に出て市民と交流することもある。さらに「ウイルスの破壊」という追加目標もあり、プレイヤーはこれら3つの目標を一度の潜入でこなさなければならない。
このステージが特別な理由の一つは「雰囲気の完璧さ」にある。地中海の陽光、地元住民の会話、サピエンツァ特有の街並みの音楽。「ここで実際に生活している人々がいる」という感覚を覚えるほど世界観が作り込まれており、このステージのためだけにゲームを買う価値があると言う人もいるほどだ。
ドバイ「オン・トップ・オブ・ザ・ワールド」〜HITMAN 3の幕開け
HITMAN 3の最初のステージはドバイの超高層ビルだ。開幕の演出が圧巻で、世界一の高さを誇るビルのオープニングは映画的な没入感を生み出している。フリーエディションでも遊べるステージなので、HITMANを初めて試す人はまずここから入ることになる。
このステージの特色は「建物の高さ」だ。超高層ビルの各フロアが異なる機能を持っており、最上階のガラス張りの大宴会場から最下層の機械室まで縦に長い舞台が広がっている。変装の使い方によってどのフロアに入れるかが変わり、ターゲット2人の動きをいかに把握するかが攻略の核心になる。
特徴的なのが「オクトパス」と呼ばれるミッションストーリーで、ターゲット同士を同じ場所に集めて同時に排除するルートが用意されている。これをうまく実行できたときの快感は格別で、「HITMANらしさ」の真髄を体験できるシーンになっている。
ベルリン「Apex Predator」〜異色の傑作
HITMAN 3のベルリンミッションは、シリーズの中でも特異なステージだ。他のミッションが「ターゲットの位置と動きを把握して暗殺する」設計なのに対し、このミッションは「ICAのエージェントたち(5人のうち3人を選んで排除する)」が隠れて47を狙っており、プレイヤーが逆に「どこにいるかわからない敵を探して倒す」という設計になっている。
舞台は夜のベルリンにある地下クラブだ。大音量の音楽が流れ、クラブの参加者たちが踊っている中で、ICAのエージェントたちは様々な変装をして47を監視している。「誰が敵のエージェントか」を見分けることがこのミッションの最初のハードルであり、そのプロセス自体がゲームプレイとして成立している。
電子音楽が響き渡るベルリンの地下クラブという雰囲気は他のステージには出せないものがあり、「世界観の多様性」というHITMANの強みを象徴するステージだ。
重慶「エンドオブアン・エラ」〜中国の都市
HITMAN 3の重慶ステージは中国の都市が舞台だ。雨の降り続ける夜の重慶というビジュアルのムードが高く、ネオンと雨の組み合わせがサイバーパンク的な美しさを持っている。夜間のため視認性が下がり、雨音で足音が隠されるという設計的な工夫もある。
このステージには「ICAデータセンターの破壊」という目標もあり、施設に潜入してサーバーを破壊するアクションゲーム的な要素が含まれている。ターゲットは2人で、片方は街に、もう片方はデータセンターの奥深くにいる。両者を排除しつつデータセンターも攻略する流れがこのミッションの構造だ。
街のNPCたちの会話にリアリティがあり、重慶の下町の雰囲気が細部まで作り込まれている。路地裏の食堂、路上の屋台、古い建物の壁に貼られたポスター。こういった細部への愛情がHITMANの世界観の厚みを作っている。
このゲームが長く愛される理由
HITMAN World of Assassinationが発売から数年経った今でも高い評価を維持し続けているのは、単に「面白いゲームだから」というだけでなく、その面白さが時間が経っても色あせない設計になっているからだ。
同じステージでも毎回違う体験になる
HITMANの最大の強みは「リプレイアビリティ(繰り返し遊べる価値)」の高さだ。一つのステージを10回遊んでも、毎回違うアプローチで攻略できる。
初回は「とりあえずクリア」を目指す。2回目は「サイレント・アサシンランクを取りたい」と思って変装に注力する。3回目はミッションストーリーをたどって「こういう方法もあったのか」と新発見する。4回目は「全部事故死で終わらせたい」という縛りに挑戦する。5回目以降は自分で考えた独自ルートを試す。
このように、同じステージでも目標を変えるだけで全く異なる体験になる。これがこのゲームを「やりきった」と感じにくくしている理由だ。
クリエイティブな問題解決の楽しさ
HITMANを「パズルゲーム」と呼ぶ人が多いのは、その問題解決プロセスがパズルに似ているからだ。「ここにターゲットがいる。どうやって排除するか」という問いに対して、複数の答えが存在する。
たとえばあるターゲットが警備員に囲まれた部屋の中にいるとする。このターゲットを倒す方法として考えられるのは、「警備員の変装で堂々と入る」「天井のダクトを通って侵入する」「電気系統を操作して停電を起こしてその混乱の中で動く」「毒を盛って倒れたところを確認しに来た警備員を全員気絶させてから倒す」「別ルートで彼を部屋の外に誘き出す」など。
どの方法を選ぶかはプレイヤーの自由だ。そして自分が思いついた方法でうまくいったときの快感は、他のゲームではなかなか味わえないものだ。「自分の計画が完璧に実行できた」という達成感が、このゲームをやめられない理由になる。
映画的な演出と世界観の作り込み
HITMANのビジュアルと演出は、暗殺者というテーマを見事に映画的に表現している。各ステージのオープニングは映画のプロローグのような映像で始まり、プレイヤーをその世界へと引き込む。
ステージ内のNPCたちは全員が独自の台詞と行動パターンを持っており、聞き耳を立てると様々な情報や面白い会話が聞こえてくる。カクテルパーティーでゴシップを話す客、ファッションショーのステージ裏でもめるスタッフ、警備員同士の愚痴。これらの会話のすべてが世界観を豊かにしている。
音楽の質も高い。各ステージのサウンドトラックは、その舞台の雰囲気に合わせて作られており、緊張が高まる場面では音楽が切り替わる演出がある。パリのステージではファッションショーの華やかなBGMが流れ、ルーマニアの城ではゴシックなオーケストラが響く。ゲームの世界に浸るための要素として音楽が大きく機能している。
コミュニティとの関わり方
HITMANのコミュニティは非常に活発だ。YouTubeやTwitchではプロレベルのプレイヤーが「最速クリア」「最難易度クリア」「ユニークキル集」などを投稿しており、初心者が参考にできる動画が豊富にある。
Redditの「r/HiTMAN」コミュニティでは、新しい攻略法の発見、チャレンジのヒント共有、ユニークなキル方法の報告など様々な投稿が日々行われている。「こんな方法で倒せた」という動画が定期的に話題になり、「それは思いつかなかった」という反応が連鎖する。
コントラクツモードによって生み出されたコミュニティ製ミッションは膨大な数がある。公式コンテンツだけでも相当なボリュームがあるが、コミュニティ製コンテンツを含めると「遊び切るのが不可能」なレベルのコンテンツが存在している。
謎解きとしての奥深さ
このゲームのステージを完全に把握するには、相当な時間が必要だ。初回クリアには数時間かかるかもしれないが、そのステージの「全チャレンジ」を達成しようとすれば、同じマップで20〜30時間以上遊んでいても発見があり続ける。
「このNPCをここに誘導したらどうなるか」「この部屋に入るための別のルートはないか」「このアイテムを使ったらどうなるか」という問いを持ち続けられる人にとって、HITMANは「終わらないゲーム」に近い体験を提供してくれる。
「HITMAN World of Assassinationは、IO Interactiveが20年以上かけて磨き上げてきた暗殺シミュレーターの集大成です。3作分のキャンペーン、20以上のロケーション、そして終わりなきコンテンツが一つに」
— Steam公式ストアページ(HITMAN World of Assassination)
注意点と気になるところ

HITMAN World of Assassinationが高く評価されているゲームであることは事実だが、すべてのプレイヤーにとって完璧なゲームというわけではない。購入前に知っておいてほしい点をまとめる。
最初のハードルがやや高い
このゲームは最初の数時間が一番難しい。「何をすればいいかわからない」「どこに行けばいいか迷子になる」「NPCにすぐ見つかる」という状況になりやすく、慣れるまでのハードルが一般的なアクションゲームより高め。
ゲーム内のチュートリアルは存在するが、サンドボックスゲームの「正解のなさ」を理解するまでには実際に遊んでみるしかない部分がある。最初の1〜2時間でやめてしまった人が「つまらなかった」という感想を持つことがあるが、それは惜しい。慣れたときの楽しさは最初の辛さを完全に上回るので、少し我慢してほしい。
特に「変装システムの仕組み」と「疑惑ゲージの仕組み」を理解するまでが難関だ。この2つを理解するだけで、ゲームの面白さが一段階上がる。Steamのレビューを読んだり、YouTubeのチュートリアル動画を参考にしたりするのが効率的だ。
ストーリーの取っつきにくさ
HITMANのストーリーはシリーズを通して構築されているため、HITMAN World of Assassinationから始めた場合は背景が掴みにくい部分がある。登場人物の関係性や組織の設定を把握するまでに時間がかかる。
特にHITMAN 1と2のストーリーミッション(パリ、サピエンツァなど)はストーリー的な繋がりが薄く、3のストーリーミッション(ドバイ以降)から急に「これまでの積み重ね」が登場する構成になっている。「ストーリーをちゃんと楽しみたい」という人は、ゲームを進めながらキャラクターを覚えていくのが現実的だ。
ただしこのゲームは「ストーリーを楽しむゲーム」というより「ゲームプレイを楽しむゲーム」だという性質を理解していれば、ストーリーのわかりにくさはそこまで問題にならない。
PCスペックの要求
HITMAN World of Assassinationは最新世代のゲームではないが、それなりのPCスペックを要求する。推奨スペックとしてはCPUがIntel Core i7-8700K、GPUはNVIDIA GTX 1080相当、RAM 16GBというラインが一般的に言われている。最高画質でプレイするにはさらに上のスペックが必要だ。
特にルーマニアの城(カーペンター・カースル)は画質的に重いステージとして知られており、中程度のスペックでも設定を落とす必要が出てくる場合がある。
ただし2016年の初代HITMANをベースにしたステージは比較的軽く動くため、すべてのステージが重いわけではない。自分の環境に合わせた画質設定で対応できる。
オンライン接続と機能制限
HITMANはシングルプレイゲームだが、一部の機能はオンライン接続を必要とする。エルーシブターゲット(アーケード版も含む)、一部のシーズンコンテンツ、フィーチャードコントラクツなどはオンライン接続が必要だ。
オフラインプレイも可能だが、この場合は使用できるコンテンツが制限される。移動中や通信環境が悪い場所でのプレイには注意が必要だ。また、チャレンジの進捗やアンロックデータはオンラインで同期されているため、オフラインで遊んだ分が反映されない場合がある。
一部ステージの評価のばらつき
20を超えるステージがある以上、すべてのステージが同じ品質というわけではない。一般的にHITMAN 1と3のステージは高評価のものが多く、HITMAN 2のステージには評価が分かれるものもある。
特にHITMAN 2のニュージーランドチュートリアルステージ「ホークスベイ」は規模が小さく、他のステージと比べると見劣りするという評価が多い。逆にHITMAN 1の「サピエンツァ」やHITMAN 3の「アルゼンチン競馬場」は最高傑作の一つとして挙げる人が多い。
全体的には非常に高品質なゲームだが、ステージによって当たり外れがあることは理解しておいたほうがいい。
初心者へのアドバイス
HITMAN World of Assassinationを始めたばかりの人に、実際に役立つアドバイスをまとめる。最初の壁を乗り越えると急速に楽しくなるゲームなので、参考にしてほしい。
まずはミッションストーリーをたどることから始める
このゲームを始めて最初にやるべきことは、ミッションストーリーを有効にして、その指示に従って動くことだ。ミッションストーリーは「こういう方法でも暗殺できるよ」というゲームからのガイドだ。これをたどるだけで、HITMANらしい暗殺体験の基本が学べる。
ミッションストーリーをオンにするには、ミッション開始前の準備画面で確認できる。初期設定では有効になっているはずだが、もしガイドが表示されない場合はオプション設定で確認してみてほしい。
ミッションストーリーをひとつたどった後、今度は「自分なりのやり方」を試してみる。ゲームの自由度はそうやって体感することで初めて実感できる。
失敗を恐れずに繰り返すこと
HITMANは失敗することを前提に設計されている。警備員に見つかって撃たれてもいい。計画通りに進まなくてもいい。失敗したらロードしてやり直す。これを繰り返すうちに「ここは失敗する」「このルートは危険」「このNPCは向こうを向いているから今動ける」という知識が積み重なる。
特に序盤は失敗続きが当たり前だ。「何度も失敗するのは自分がヘタだからではなく、このゲームがそういう設計だから」という認識を持つことが大切だ。
クイックセーブ(F5キー)とクイックロード(F8キー)を頻繁に使うのが攻略の基本だ。大事な場面の前にセーブしておき、失敗したらロードする。これを繰り返すことが、このゲームの正しい遊び方の一つだ。
周囲の音と会話に耳を傾ける
HITMANのNPCは歩き回りながら様々な会話をしている。これらの会話には重要なヒントが隠れていることが多い。「誰かが秘密の会議に呼ばれた」「今日は厨房の入り口が鍵かかってない」「この服を着た人間は地下室に入れない」などの情報がNPCの会話から得られる。
特に序盤は周囲の会話を聞きながらステージを歩き回るだけで「こういう場所があったのか」という発見が次々とある。急いで目的地に向かうよりも、ゆっくり歩いて情報収集することがこのゲームの醍醐味だ。
レーダー(ミニマップ)を有効活用する
画面左下のレーダーには、周囲のNPCの位置と視線方向が表示される。このレーダーを常に確認する習慣をつけることが、このゲームをうまくなる一番の近道だ。
NPCが自分の方を向いているとき(視線が47の方向を向いているとき)は動かない。NPCが別の方向を向いているときに素早く移動する。この基本だけを守るだけで、見つかる頻度が格段に下がる。
また、レーダー上でNPCが赤くなると「疑惑を持っている」サインだ。その場合は別のルートを探すか、一度引いて様子を見ることが必要になる。
最初のステージは「アイル・オブ・サガル」
HITMAN World of Assassinationを最初から遊ぶ場合、最初のステージは「アイル・オブ・サガル」(チュートリアルステージ)から始まる。このステージはゲームの基本的な操作と概念を教えるために設計された比較的シンプルなステージだ。
ここで変装・昏倒・アイテム使用・証拠隠滅の基本を覚えることができる。このステージを何回か繰り返して「ゲームの感触」を掴んでから次に進むと、以降のステージが格段にスムーズに感じられるようになる。
また、Steam版のフリーエディションでは「ドバイ」ステージが最初からアクセスできる。チュートリアルとしてはアイル・オブ・サガルの方が親切だが、「とりあえず雰囲気を試したい」というならドバイから入るのもありだ。
攻略サイトやコミュニティを遠慮なく活用する
HITMANのプレイヤーコミュニティは非常に親切で、YouTube上には初心者向けの解説動画が豊富にある。「詰まったら調べる」を遠慮なくやってほしい。
特に「どうしてもこのチャレンジが達成できない」という場合、動画を参考にするのが効率的だ。ネタバレにはなるが、「こういう方法があるのか」という発見は、自分でその方法を試すときの楽しさに繋がる。攻略動画を参考にしながら自分で実行してみることで、このゲームの奥深さを体感できる。
コイン(誘引アイテム)は超優秀
初心者が見落としがちな超優秀アイテムが「コイン」だ。床に投げると音がして、そこにいるNPCが「何の音だ」と確認しに行く。これによってNPCを任意の場所に誘導できる。
「あのNPCがそこにいると邪魔だが、どかしたい」「このNPCを裏路地に誘い込みたい」という場面でコインは絶大な効果を発揮する。コインは初期から無制限に使えるので、まずはコインを使った誘引を積極的に試してみることをすすめる。これだけで攻略の幅が一気に広がる。
コインの次によく使われる誘引アイテムは「缶(空き缶)」だ。こちらも音で注意を引くことができ、より大きな音を出したい場合に使える。誘引アイテムを使ったNPC誘導がHITMANプレイの基本テクニックの一つだ。
SASAランクは「最後に目指すもの」と割り切る
「サイレント・アサシン スーツ・オンリー(SASO)」というのは、「目撃者なし・証拠なし・変装なし・ターゲットのみ排除」という最難易度の縛りプレイだ。コア層のプレイヤーが最終目標として追いかけるものだが、初心者が最初からこれを目指す必要はまったくない。
まずはクリアすること。次にサイレント・アサシンランクを取ること。それができたら変装縛りを試してみること。このように段階を踏んで難易度を上げていくのが正しい上達の道筋だ。最初から完璧を目指そうとすると楽しさより辛さが勝ってしまうので注意してほしい。
他のゲームと比べたときのHITMANの立ち位置

HITMANというゲームの特色をより理解するために、他のゲームと比較してみる。
ステルスゲームという観点では、Metal Gear SolidシリーズやSplinter Cellシリーズと同じジャンルに分類されることが多い。ただしHITMANの特徴は「ステルスを強制しない」点にある。Metal Gear Solidでは見つかることがミッション失敗に直結する緊張感があるが、HITMANでは見つかっても「サイレント・アサシンランクが取れなくなるだけ」で、強引に突破してクリアすることも一応できる設計になっている。
オープンワールドゲームと比較すると、世界の広さではなく「一つの場所の密度」が売りのゲームだということがわかる。GTA IVのような広大なオープンワールドを移動するゲームではなく、一つの建物や街区をとことん掘り下げる設計だ。広さよりも深さを楽しむゲームが好きな人に向いている。
同じパズル要素のあるゲームと比べると、Portaシリーズのような「完全なパズルゲーム」とは異なり、自由度が非常に高い「解答なしのパズル」に近い。正解の方法は存在せず、思いついた方法を試して「これで行ける」と確認できる体験がHITMANの楽しさだ。
一人用のストーリー重視ゲームを好む人には、Detroit: Become Humanのような選択肢型のアドベンチャーゲームと比べると、ゲームプレイの自由度という点では近いものがある。しかしHITMANはストーリーよりもゲームプレイの反復が主役であるという点で、ゲームの楽しみ方の方向性が異なる。
ホラーサバイバルの雰囲気と緊張感という意味では、Resident Evil 7のような「バレてはいけない緊張感」と似た感覚を持つプレイヤーもいる。ただしHITMANはホラー要素がなく、緊張感の質が全く異なる。
HITMANと内部コンテンツの広がり
HITMAN World of Assassinationには公式コンテンツとしてメインミッション以外にも多くのコンテンツが存在する。それぞれを把握しておくと、ゲームをより長く楽しめる。
エスカレーション(段階的難易度ミッション)
エスカレーションは特定のステージに追加される複数段階の挑戦ミッションだ。最初は単純な条件(「この武器を使え」)から始まり、段階が上がるごとに追加の制限がかかっていく(「この武器を使え、かつ変装は1回まで、かつターゲット以外は気絶させるな」など)。
エスカレーションはコンテンツの多様性という点でコア層から高い評価を受けている一方で、「段階が上がるにつれて極端な縛りになりすぎる」という批判もある。遊び心として挑戦するのが正しい付き合い方だと思う。
フィーチャードコントラクツ
定期的にIO Interactiveが選抜したプレイヤー作成のコントラクツが「フィーチャードコントラクツ」として公開される。これらはコミュニティ内で特に評価の高い作品が選ばれており、ゲームに飽きてきたころに新鮮な挑戦として楽しめる。
シーズンコンテンツとロードマップ
IO Interactiveは定期的にHITMAN World of Assassinationのコンテンツを更新している。エルーシブターゲット・アーケードの更新、新しいエスカレーションの追加、限定スーツや武器の解放など、定期的な更新がゲームに新鮮さをもたらしている。
長期的なコンテンツロードマップも公開されており、プレイヤーが「次は何が来るか」を楽しみにできる環境が整っている。
同ジャンルや関連ゲームとの比較

ステルスゲームや暗殺系ゲームが好きで、HITMAN World of Assassinationをクリアした後に似た体験を求めるなら、以下のゲームも参考にしてほしい。
純粋なアクションゲームを求めるなら、Dying Lightのようなサバイバルアクションも選択肢になる。HITMANとは全く異なる方向性だが、「世界を自由に動き回りながら敵を処理する」という感覚に近いものがある。
オープンワールドで自由な行動を楽しみたいなら、GTA IVはその方向性のゲームの一つだ。犯罪や暗殺という要素を含みながら広い世界を自由に動ける体験は、HITMANとは違う角度の自由度を提供している。
ハードコアなゲームプレイとこだわりのシステムが好きなら、Path of Exileのような深い育成システムを持つゲームにも挑戦してみてほしい。ゲームプレイの方向性は全く異なるが「システムを深く理解して最適化する楽しさ」という点では共通するものがある。
銃撃と戦術を組み合わせたゲームに興味があるなら、Call of Duty: Black Ops 3のようなFPS系のゲームも広い意味で同じ「戦術的なシューティング」カテゴリに属する。ただし方向性はHITMANとは正反対に近く、こちらは爽快感重視だ。
ストーリーと作り込まれた世界観を重視するなら、Fallout: New Vegasは別の方向性で「世界の作り込みと自由度」を体験できるゲームだ。
価格とエディションについて
HITMAN World of Assassinationの購入形態は少し複雑なので、整理しておく。
フリーエディション(無料)
フリーエディションはSteamで無料で入手できる。ドバイのミッション「オン・トップ・オブ・ザ・ワールド」を丸ごとプレイできるほか、エスカレーションの一部やコントラクツモードも利用できる。「まず試してみたい」という人はここから始めるのが最もコストが低い。
ドバイミッションは一本だけでも相当なボリュームがある。チャレンジ達成やミッションストーリーをすべてこなそうとすると数時間かかるので、このゲームが自分に合うかどうかを判断するのに十分な量だ。
HITMAN World of Assassination(スタンダード)
通常購入版はHITMAN 1・2・3の全キャンペーンミッションと、ボーナスミッション、エスカレーション、エルーシブターゲット・アーケード、コントラクツモードが含まれる。ミッション数は20以上あり、単純なプレイ時間でいえば100時間以上のコンテンツが詰まっている。
Steamのセール期間(年に数回ある)には大幅な割引がかかることが多く、セール時には非常に高いコスパでこのゲームを入手できる。定価でも十分な価値があるが、セールを待つ選択肢は十分にある。
デラックスエディション
デラックスエディションにはスタンダード版のコンテンツに加えて、「デラックスエスカレーション」と呼ばれる追加のエスカレーションコンテンツや、限定の衣装・武器が含まれる。コアなファンやコンテンツをとことん遊び尽くしたい人向けだが、最初の購入としてはスタンダードで十分だ。
過去作コンテンツとの互換性
HITMAN 1(2016年版)やHITMAN 2(2018年版)を以前に購入していたプレイヤーは、一定の条件のもとでHITMAN World of Assassinationにそのコンテンツを引き継げる仕組みがある。詳細はSteamストアページで確認してほしいが、旧作を持っている人はお得になる可能性がある。
HITMANシリーズの歴史を振り返る

HITMAN World of Assassinationを理解するためには、このシリーズがどのような道を歩んできたかを知ることが助けになる。
初代HITMAN(2000年)から続く20年以上の歴史
HITMANシリーズの始まりは2000年の「Hitman: Codename 47」だ。デンマークのIO Interactiveが開発したこの作品は、「暗殺者エージェント47」というキャラクターとゲームプレイの基本的な方向性を確立した。当時としては異例の「暗殺のプロセスを楽しむゲーム」として注目を集めた。
その後「Hitman 2: Silent Assassin」(2002年)、「Hitman: Contracts」(2004年)、「Hitman: Blood Money」(2006年)と続いた。特に「Blood Money」はシリーズの中でも高い評価を受けており、今でも「クラシックHITMANの最高傑作」として語り継がれている。
「Hitman: Absolution」(2012年)はシリーズの方向性を変えようとした作品で、よりアクション寄りの設計になった。しかしこの方向性はシリーズのファンには賛否が分かれ、結果的に「HITMANらしさを失った」という評価を受けることになった。
2016年リブートと「World of Assassination」への進化
2016年にリリースされた「HITMAN」(現在のHITMAN 1に相当)は、エピソード形式でリリースされた意欲作だ。サンドボックス設計の完全復活、ミッションストーリーの導入、エルーシブターゲットなど現在のHITMANの基礎を作った作品だ。リリース時はエピソード形式という販売方法が議論を呼んだが、最終的に全エピソードが完成するとその完成度が高く評価された。
「HITMAN 2」(2018年)では前作のシステムをさらに洗練させ、複数のプレイヤーが同じターゲットを追う「ゴーストモード」など新要素も追加された。コロンビアやムンバイなど新舞台の評価も高く、シリーズの評価が確固たるものになった。
「HITMAN 3」(2021年)はトリロジーの完結編として、ストーリーの決着とともにシリーズ史上最高品質のステージを複数収録した集大成となった。VRモード対応(PS VR版)も話題になった。
そして2023年1月に「HITMAN World of Assassination」として3作が統合され、一つの巨大なタイトルとして再定義された。これにより「3本バラバラに買う」という混乱が解消され、新規プレイヤーが入りやすくなった。
「サイレント・アサシン」というランクの誕生
「Silent Assassin」というランクはHITMAN: Silent Assassinで初めて登場した概念だ。「ターゲット以外を殺さず、目撃されず、証拠を残さない完璧な暗殺」という理想を数値化したこのランクは、シリーズを通してプレイヤーが目指す究極の目標として機能し続けている。
現在のHITMAN World of Assassinationにおいても、サイレント・アサシンランクは最高評価であり続けている。チャレンジの多くはこのランクを取りながら特定の方法でクリアすることを要求しており、コア層のプレイヤーが何十時間も費やす原動力になっている。
「すべては一つにまとまった。HITMAN 1・2・3の全コンテンツが、今や一つの究極のパッケージとして手に入る」
— HITMAN World of Assassination Steamストアページ
まとめ
HITMAN World of Assassinationは、暗殺というテーマを最高の形でゲームに昇華した作品だ。自由度の高さ、作り込まれたステージ、繰り返し遊べる設計、そして「計画通りに事が運んだときの満足感」。これらが組み合わさって、他のゲームでは味わえないユニークな体験を作り出している。
このゲームの面白さを一言で表すとしたら「正解のないパズルを何度も解く楽しさ」だ。ターゲットをどうやって倒すか、バレずにどう動くか、どのルートが最も効率的か。これらの問いに対して自分なりの答えを見つけ、実行して、うまくいったときの快感は唯一無二だ。
ステルスゲームが好きな人、パズルゲームが好きな人、「同じコンテンツを何度でも繰り返せる」タイプのゲームが好きな人には特に強くおすすめしたい。初心者には最初の数時間が難しく感じられるかもしれないが、そこを乗り越えるとこのゲームの本当の面白さに辿り着ける。
HITMAN World of Assassinationは、一度ハマると長期にわたって遊び続けられるゲームだ。フリーエディションで一つのステージを試してみることもできるので、まずは実際に触れてみてほしい。「エージェント47として完璧な暗殺を遂行する」体験は、それだけで他にはない価値がある。
暗殺シミュレーターの最高傑作が、今あなたを待っている。
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HITMAN World of Assassination
| 価格 | ¥7,600-60% ¥3,040 |
|---|---|
| 開発 | IO Interactive A/S |
| 日本語 | 非対応 |
| 対応OS | Windows / Mac |
| プレイ形式 | シングル |

