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▌ISSUE.744 · レビュー カテゴリ / レース 公開 2026.04.22
// レース · レビュー

IndyCar

IndyCar Game完全ガイド|新作レースゲーム最新情報まとめ【2026年版】
#IndyCar Game #PCゲーム #steam #インディーカー #レースゲーム
読了目安
約32分
対応機種
PC
スペック
▌要点 / 3行で読む
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※この記事は2026年後半リリース予定の公式INDYCARゲームを紹介しています。
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iRacing Studiosが開発中のスタンドアロンタイトルで、PlayStation 5・Xbox Series X/S・PC(Steam)で発売予定。
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20年以上待ち続けたINDYCAR公式ゲームがついに現実になります。
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「また延期か」「もう諦めた」——INDYCARゲームを待ち続けたファンなら、そんな気持ちを何度も味わったと思う。
※この記事は2026年後半リリース予定の公式INDYCARゲームを紹介しています。
iRacing Studiosが開発中のスタンドアロンタイトルで、PlayStation 5・Xbox Series X/S・PC(Steam)で発売予定。20年以上待ち続けたINDYCAR公式ゲームがついに現実になります。

「また延期か」「もう諦めた」——INDYCARゲームを待ち続けたファンなら、そんな気持ちを何度も味わったと思う。

2021年に鳴り物入りで発表されたMotorsport Games版の公式INDYCARゲームは、2023年に開発中止。ライセンスも剥奪されて、「INDYCARゲームは死んだ」とコミュニティに言わしめるほどの終わり方だった。

でも、話はそこで終わらなかった。

2025年8月、iRacing Studiosが新たにINDYCARのゲームライセンスを取得し、スタンドアロンタイトルを2026年後半にリリースすると発表した。しかもゼロから作り直すと言う。PCシムとして長年INDYCARコンテンツを提供してきた実績のある会社が、本気でコンソール向け公式ゲームを作るという話だ。

コミュニティの反応は一言で言えば「ついに来た」。「INDYCARゲームはもう死んだと思っていた。iRacingならちゃんとやってくれると信じている」という声が多数上がり、長年の渇望が一気に噴き出した形になった。

この記事では、そのINDYCARゲームとは何か、なぜこんなに待望されているのか、Motorsport Games版はなぜ失敗したのか、そしてiRacing Studios版には何が期待できるのかを、できる限り丁寧に紹介していきたい。

こんな人に読んでほしい
✔ INDYCARの公式ゲームが出ると聞いて気になっている人
✔ F1ゲームはやったことがあるが、INDYCARってどう違うの?と思っている人
✔ Motorsport Games版が中止になってがっかりしていた人
✔ iRacingは難しそうで手が出なかったが、コンソール版なら挑戦したいと思っている人
✔ インディアナポリス500をゲームで体験してみたい人

動画で見るINDYCARゲームの全貌

iRacing Studios版INDYCARゲーム、2026年リリースに向けて判明していることを解説した動画

INDYCARゲームとはどんなゲームか

そもそもINDYCARというモータースポーツ自体をご存じない方のために、簡単に説明しておきたい。

INDYCAR(インディカー)は、アメリカを拠点とする最高峰のオープンホイール(F1タイプのシングルシーター)レースシリーズのこと。正式名称は「NTT INDYCARシリーズ」で、毎年5月に開催される「インディアナポリス500」は世界三大レースの一つに数えられる歴史ある大会だ。

F1と大きく異なるのは、コースの多様性。オーバル(楕円形の周回コース)、ロードコース(F1に近い複合コース)、ストリートサーキット(市街地コース)の3種類が混在するシーズンで、同じマシンが全く異なる性質のコースを走る。最高時速は370km以上に達するオーバルと、テクニカルなストリートサーキットを両立させる技術が問われる、独自の世界観がある。

では、そのINDYCARの公式ゲームとはどういうものか。

2025年8月に発表されたiRacing Studios製「INDYCAR」は、以下の特徴を持つ予定だ。

  • プラットフォーム: PlayStation 5、Xbox Series X/S、PC(Steam)、Steam Deck
  • 発売時期: 2026年後半(秋頃予定)
  • コンテンツ: NTT INDYCARシリーズ(最上位)とINDY NXT by Firestone(フィーダーシリーズ)の両方を収録
  • モード: 多層型キャリアモード、オンラインマルチプレイヤー
  • エンジン: iRacing Studios独自のOrontes Engine(プロプライエタリ)
  • 路線: シミュレーターとアーケードの中間「シムケード」。初心者向けアシストも搭載
  • 価格: 未発表(買い切り予定)

特筆すべきは「2026年後半」というタイミング。2026年のINDYCARシーズンが盛り上がっている最中にゲームをリリースし、シナジーを生む戦略が透けて見える。

20年以上の空白——なぜINDYCARゲームは存在しなかったのか

「公式ゲームが20年以上なかった」というのは、実はかなり異常な状況だ。F1には毎年Codemastersが公式ゲームを作り続けてきたし、NASCARも電子芸術(EA)やiRacingが継続的にリリースしてきた。なぜINDYCARだけが20年もの空白を抱えていたのか。

最後にリリースされた公式INDYCARゲームは、2004年発売の「IndyCar Series 2005」(Codemasters発売)。PS2とXbox向けのタイトルで、2003シーズンをベースにした作品だった。その後2021年まで、INDYCARの公式ゲームはまったく存在しない状態が続いた。

理由はいくつか考えられる。INDYCARは米国の主要リーグとしては市場規模がF1やNASCARより小さく、専用ゲームの投資対効果を見込みにくかった。iRacingがPC向けにINDYCARのライセンスを持っていたことで、「コアファンはiRacingで遊べる」という状況がコンソール向け公式ゲームの必要性を薄めていた面もある。

だが、iRacingは月額制のPC専用シミュレーターだ。コントローラーで気軽に楽しみたいカジュアルなINDYCARファンや、コンソールしか持っていないゲームプレイヤーにとって、「公式ゲームで遊ぶ」という選択肢は実質的に存在していなかった。

その空白を埋めようとしたのが、2021年のMotorsport Gamesだった。

Motorsport Games版の失敗——なぜ開発中止になったのか

2021年7月、INDYCARとMotorsport Gamesはライセンス契約を締結した。約20年ぶりの公式INDYCARゲームとして業界に大きく報じられ、コミュニティは久しぶりに盛り上がった。

開発を担当したのはMotorsport Games Australiaチーム。KartKraftというカーリングシムを手がけた実績を持つ開発者たちで、Unreal Engineを使った本格シミュレーターを目指していたとされる。当初の予定リリース年は2023年だった。

しかし、雲行きが変わり始めたのは2023年3月。会社は「2023年内のリリースは難しい」と発表し、2024年への延期を告げた。このあたりから、Motorsport Gamesの親会社の財務悪化が表面化し始める。

株価はピーク時の約$130から$3以下にまで下落(1対10の株式併合を経た後でも、だ)。NASCARゲームのライセンス、BTCCゲームのライセンスと次々に手放し、体力を失っていった。

そして2023年11月、Motorsport Gamesは第3四半期決算発表の場で、INDYCARゲームの開発「一時停止」を宣言。開発を担っていたMotorsport Games Australiaのスタジオを閉鎖し、全社で従業員の40%を削減した。

続く同年11月8日、INDYCAR側がMotorsport Gamesへのライセンス契約終了通知を送付。理由はSECへの届出に記載された。「米国でゲームを販売可能な状態にしなかったこと」「最低限のeスポーツイベントを開催しなかったこと」——要するに、契約の義務を何も果たせなかったということだ。

「ゲームを作っていたチームは才能あるメンバーばかりで、無能な経営陣に何度も裏切られた。彼らはもっとよい扱いを受けるべきだったし、作っていたINDYCARゲームには可能性があった」

— 元Motorsport Games開発者と名乗るResetEraユーザー(2023年11月)

Operation SportsのフォーラムではNASCAR 21 Ignitionの失態を引き合いに「驚かない」という声が上がる一方、「これは悲しい。新しいINDYCARゲームが本当にほしかった(This makes me sad. I want a new Indy game so bad!)」と純粋に落胆するファンの声も多かった。

iRacing Studiosという選択——なぜ信頼できるのか

Motorsport Games版の失敗後、INDYCARは次の開発者探しに動いた。そして2025年8月26日に発表されたのが、iRacing Studiosとの長期ライセンス契約だ。

iRacingを知らない人のために説明すると、iRacingはPC向けのサブスクリプション型レーシングシミュレーターで、世界でもトップクラスの精度を誇るプラットフォームだ。NASCARのeスポーツ大会やINDYCARの公式バーチャルシリーズもiRacingで行われており、現実のレーシングドライバーも本番前のトレーニングに使うほど。

そのiRacingが2024年にNASCARのコンソールゲームライセンスも獲得し、2025年11月に「NASCAR 25」をリリース。このNASCAR 25がINDYCARゲームを考える上でのひとつの試金石になっている。

「NASCARゲームがうまくいっているようなので、このゲームにも信頼がある」——こういった声がコミュニティから多く出てきているのは、NASCAR 25の存在があってこそだ。

NASCAR 25から見えるINDYCARゲームの方向性

iRacing StudiosはINDYCARゲームについて、NASCAR 25と物理エンジンを共有すると明言している。つまり、NASCAR 25でどんな運転感覚が実現されているかを見れば、INDYCARゲームの走りのイメージがある程度つかめる。

NASCAR 25は「シムケード」と呼ばれる路線——本格シミュレーターの物理モデルをベースにしながら、コンソールコントローラーでも楽しめるようにアシストや難易度調整を加えたスタイルだ。Metacriticでは「mixed or average」評価だが、Steamレビューは72%がポジティブで、「ここ数年で最高のNASCARゲーム」という評価も多い。

ただし、グラフィックスエンジンは異なる。NASCAR 25はUnreal Engine使用、INDYCARゲームはiRacing Studios独自のOrontes Engineを採用。Orontes EngineはiRacing StudiosのExoCrossというゲームにも使われており、コンソール向けにチューニングされた専用エンジンだ。

iRacing Studios EVPのSteve Myersはこう語っている。「Motorsport GamesのコードにはアクセスできたがINDYCARゲームとして作られたものはほとんど残っていなかった。だからゼロから構築する決断をした」。過去の失敗作の遺産を引き継がず、完全に新しいものを作るという宣言は、コミュニティの信頼をさらに高めた。

ゲームの中身——何が楽しめるのか

現時点(2026年4月)で明らかになっている内容をまとめると、以下のようになる。

収録コンテンツ

NTT INDYCARシリーズ(最上位カテゴリ)とINDY NXT by Firestone(フィーダーシリーズ)の両方を収録。公式ライセンスなので、実在のドライバー・チーム・スポンサーが登場する。コースは当然ながらINDYCARのオーバル、ロードコース、ストリートサーキットが含まれる予定だ。

特にINDYCARの象徴であるインディアナポリス・モーター・スピードウェイ(IMS)——あの2.5マイルのオーバルを370km/hオーバーで走る体験は、ゲームで初めて味わえる人が世界中にいるはずだ。

キャリアモード

「多層型キャリアモード(multilevel career mode)」と表現されており、単一シーズンを走るだけでなく、段階を経て昇格していく仕組みが示唆されている。INDY NXTからINDYCARへの昇格を体験できるのかもしれない。NASCAR 25のキャリアモードがARCA MenardsシリーズからNASCAR Cupシリーズまでの成長を描いたことを考えると、同様の構造が期待できる。

オンラインマルチプレイヤー

オンライン対戦にも対応。iRacingがオンラインレーシングのプラットフォームとして20年以上運営してきた経験が、コンソール向けのオンラインモードにも活かされることが期待される。

物理モデルと難易度設計

「タイトな走行物理、本物の車の挙動、トラックリアリズムを確保しながら、初心者向けのガイドアシストとスケーラブルな難易度も提供する」という説明が公式にある。iRacingのコアファンを裏切らない精度と、コントローラーで気軽に楽しみたい層への配慮を両立させる設計だ。

Team PenskeドライバーScott McLaughlinの開発参加

INDYCARドライバーの中でも特にiRacingに造詣が深いとして知られるTeam PenskeのScott McLaughlinが開発に参加している。McLaughlin自身も「このゲームはファンの自宅でのドライビング体験を次のレベルへと引き上げるだろう!」と意気込みを語っており、実際の走行フィールが正確に再現されるかどうかの検証に関わっているとされる。

iRacing PCシムとはどう違うのか

「iRacingに入ればINDYCARは遊べるんじゃ?」という疑問を持つ人もいるかもしれない。確かにiRacingはINDYCARの公式eスポーツパートナーでもあり、INDYCARのマシンやコースをPC上で走ることはできる。

ただ、iRacingには大きな壁がある。月額課金制(基本プランで月額$14〜)で、マシンやコースは別途購入が必要。ステアリングコントローラーがあれば理想的だが、コントローラーには対応していない。そして何より、PCが必要だ。

INDYCARを好きなPS5ユーザーや、コントローラーで気軽に遊びたいゲーマーにとって、iRacingは「存在はするが手が届かない」プラットフォームだった。スタンドアロンタイトルの発表はそういった層の扉を一気に開くことになる。

「iRacingの複雑さとコストのせいで、INDYCARゲームへのアクセスが長年困難だった多くのINDYCARファンに、今まで体験できなかったレベルのアクセス性をもたらすはずだ」——レーシングゲームメディアOvertake.ggはこう評している。

INDYCARというモータースポーツの魅力

ゲームを語る前に、INDYCARというスポーツ自体の魅力に少し触れておきたい。なぜここまで多くのファンが公式ゲームを待ち望んでいたのか、その背景を知ると理解が深まると思うから。

オーバルレースという唯一無二の体験

INDYCARの最大の特徴は、オーバル(楕円形コース)を高速で走り続けるレースが存在すること。インディアナポリス500では、2.5マイルのオーバルを200周——500マイルを競う。最高時速370km以上で、壁と隣の車の間を縫って走る感覚は、ロードコースとは全く異なるスリルがある。

F1ゲームでこれは体験できない。「オーバル+ロードコース+ストリートサーキットの三種混合」という組み合わせは、INDYCARゲームにしか存在しない体験だ。

INDYCARの現役スター選手

現在のINDYCARには、世界レベルの才能が集まっている。3度のチャンピオンAlexander Palouをはじめ、Josef Newgarden、Colton Herta、Patricio O’Wardといった選手たちが毎戦激闘を繰り広げている。スコット・マクラーレンのようにiRacingと親しい現役ドライバーも多く、ゲームとの親和性は高い。

クラシックINDYCARへの憧れ

コミュニティでは「1990年代のZanardi/Montoya時代のクラシックCARTシーズンを入れてほしい」という要望も根強い。あの時代のINDYCARはある種の黄金期で、Ayrton Senna、Michael Andretti、Nigel Mansellといった名前がオーバルを走っていた。こういった歴史的コンテンツがDLCや収録コンテンツとして登場すれば、より多くのファンを引きつけることになるだろう。

プレイヤーの声を集めた

発表前後のコミュニティを追いかけてみると、長年の渇望と新たな期待が交差する声があふれていた。

「INDYCARゲームはもう死んだと思っていた。これは素晴らしいニュース。iRacingならちゃんとやってくれると信じている」

— Racing Forumsユーザー(2025年8月、iRacing Studios発表後)

Motorsport Gamesの失敗を「NASCAR 21 Ignitionからの流れで驚かない」と冷静に評した人も多かったが、同時に純粋な落胆の声も多かった。

「これは悲しい。新しいINDYCARゲームが本当にほしかった(This makes me sad. I want a new Indy game so bad!)」

— Operation Sportsフォーラムユーザー(2023年11月、開発中止発表直後)

そのわずか2年後にiRacing Studiosの発表があり、コミュニティは一転して盛り上がった。GTPlanetのスレッドでは「良いキャリアモードがあれば、このゲームは大きな可能性を持つ」「シミュレーションレーシングの2025〜26年は信じられないほど素晴らしい年になった」という声が目立った。

iRacingとINDYCARのeスポーツ——ゲームが生まれる土台

iRacing Studiosがスタンドアロンゲームを作れるほどの信頼を勝ち取った背景には、「INDYCAR Thrustmaster iRacing Pro Series」という公式eスポーツシリーズの存在がある。

このシリーズは、iRacingプラットフォーム上でINDYCARの公認を受けたバーチャルレースシリーズだ。2025〜26シーズンは賞金総額5万ドル(優勝賞金2万ドル)というスケールで、世界トップ33人のバーチャルINDYCARドライバーが参加。オーバル、ロードコース、ストリートサーキットが混合する全8戦のスケジュールで、毎週木曜夜8時(米東部時間)にiRacingのソーシャルチャンネルとNTT INDYCARシリーズの公式YouTubeでライブ配信される。

2026年1月にロング・ビーチでシーズンが開幕し、4月現在も進行中だ。ポートランド、インディアナポリス(IMS)など、実際のINDYCARカレンダーに近いコースを使用している。

このシリーズの意味は大きい。iRacingとINDYCARが「単なるライセンス契約」ではなく、公式eスポーツという形で継続的に協力関係を築いてきた証拠だからだ。開発中のスタンドアロンゲームも、このeスポーツエコシステムと連携させる構想があるとされており、将来的にはコンソールゲームのプレイヤーが参加できるeスポーツへの道が開かれる可能性もある。

2026年のINDYCARシーズンは今どうなっているか

ゲームが発売される2026年後半、INDYCARの現実のシーズンはまさに最高潮に達している。ゲームと現実が連動して盛り上がれる絶好のタイミングだ。

2026年シーズンを振り返っておくと——4度のチャンピオン(2025年インディ500優勝者)であるAlexander Palou(Chip Ganassi Racing)が依然として最有力候補として君臨している。しかし、Kyle Kirkwoodがシーズン序盤から快走し、バーバーでPalouが勝利するまでチャンピオンシップをリードするという展開になった。

Josef NewgardenはTeam Penskeで復権を目指し、シーズン開幕戦を制している。Team PenskeではScott McLaughlin(ゲーム開発に参加しているドライバー)も参戦しており、現実のレースとゲームの世界を行き来するユニークな存在として注目を集めている。

5月のインディアナポリス500(109回大会)に向けて、シーズンは佳境に入りつつある。ゲームの発売がこの後に控えているというのは、タイミングとして申し分ない。

NASCAR 25から読み解くINDYCARゲームの走り心地

発売前のゲームのフィールを想像するとき、同じ開発会社の既発タイトルを参考にするのは自然な方法だ。iRacing StudiosはNASCAR 25(2025年10月リリース)でコンソールゲーム市場への参入を果たしており、これがINDYCARゲームの「原型」に近い位置にある。

NASCAR 25のプレイヤーレビューを読み解くと、いくつかの特徴が浮かぶ。

まず物理モデルについて、「ヘビーシムではなくシムケードとしての一般消費者向けアプローチ」と評されている。アシストを絞るとそれなりの手応えがあり、アシストを上げると安定して走れる。つまり、ガチシム勢もカジュアル勢も入口が用意されている設計だ。

オーバルレースの再現について特に好評だったのはAIの挙動。「本物のプロが混走しているかのような感覚でドライビングするAI」という評価がある。ドラフティング(スリップストリーム戦術)も実装されており、オーバル特有の「レーンを変えるタイミング」「長い周回での我慢」という感覚が再現されているという声も多い。

一方で「スピード感がiRacingと比べるとやや薄い」という批評もあった。本物のiRacingをやり込んでいる層には少し物足りないかもしれないが、コンソールでINDYCARを楽しみたい一般プレイヤーには適切なレベルとも言える。

INDYCARゲームでは、NASCAR 25にはないオープンホイール特有の要素——コーナーでの繊細なアンダーステア管理、オーバルとロードコース間のセッティング差、市街地コースの壁ギリギリのバトル——がどう表現されるか。NASCAR 25の実績を土台に、INDYCAR向けの調整がどれほど加えられるかが最大の見どころになる。

今後の注目ポイント

2026年後半のリリースに向けて、今後どんな情報が解禁されていくか注目すべきポイントをまとめた。

収録トラック数・ドライバーリスト

INDYCARシーズンは年間16〜17戦前後。全コースが収録されるのか、一部のみなのかは未発表だ。インディアナポリス500が目玉になることは確実だが、市街地コースのセント・ピーターズバーグ、ロングビーチ、ロードコースのバーバー、ミドオハイオ、ロードアメリカなどがどこまで入るかが注目点になる。

2026年4月時点で、iRacingのPCシムにはセント・ピーターズバーグのストリートサーキットが新たに追加されており、スタンドアロンゲームへの転用も期待されている。

価格設定

買い切りタイトルであることは示唆されているが、価格は未発表。NASCAR 25が$49.99〜$59.99水準でリリースされたことを踏まえると、同程度の価格帯になると予想される。日本円換算で7,000〜9,000円前後になるだろうか。iRacingのPC版が月額課金であることを考えると、買い切りであることだけでも大きなアドバンテージだ。

物理モデルの精度とオープンホイール特有の挙動

NASCAR 25の物理モデルをベースにするが、INDYCARはストックカー(NASCAR)とは根本的に異なるマシンだ。オープンホイール特有の空力挙動、最高時速370km以上のオーバルでのタイヤ管理、ストリートサーキットでの壁との距離感——これらがどこまで再現されるかは、シムレーサーとカジュアルゲーマー両方が注目するポイントだ。

クラシックコンテンツの可能性

コミュニティから根強い要望がある1990年代CART時代のクラシックマシンやコース。DLCや追加コンテンツとして提供される可能性はゼロではない。Zanardi、Montoya、Michael Andretti、あるいはAyrton Sennаが走ったサーキットで遊べる日が来るとしたら、それは単なるゲーム以上の体験になる。

eスポーツ・コンソール連携

iRacingはすでにINDYCAR Thrustmaster iRacing Pro Seriesという公式eスポーツシリーズを2026年も継続している。スタンドアロンゲームとiRacingの関係がどうなるか——コンソールゲームのプレイヤーがeスポーツへの道を開かれるかどうかも、長期的なコミュニティ形成の鍵になる。

基本情報まとめ

項目 内容
正式タイトル INDYCAR(iRacing Studios製スタンドアロンゲーム)
開発・発売 iRacing Studios(iRacing.com Motorsport Simulations)
対応プラットフォーム PlayStation 5、Xbox Series X/S、PC(Steam/Steam Deck)
発売予定 2026年後半(秋頃)
ジャンル レーシングゲーム(シムケード)
料金 買い切り(価格未発表)
公式ライセンス NTT INDYCARシリーズ + INDY NXT by Firestone
ゲームエンジン Orontes Engine(iRacing Studios独自)
物理エンジン NASCAR 25と共通の車両ダイナミクスシステム
主なモード 多層型キャリアモード、オンラインマルチプレイヤー

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F1の公式ゲーム「EA SPORTS F1」シリーズは、オープンホイールレーシングの公式ゲームとして毎年リリースされている。F1とINDYCARは同じオープンホイールでも文化・コース・戦略が全く異なる。F1ゲームで腕を磨いておくと、INDYCARゲームが出たときの比較が面白くなる。

より本格的なシミュレーター志向なら、PC向けになるがAssetto Corsa EVOやAssetto Corsa Competizioneはリアルさで高い評価を得ている。iRacingほど敷居は高くなく、ステアリングコントローラーがあれば一段上の走行体験ができる。

「INDYCARゲームが欲しかった」——ファンの声を振り返る

ここで少し立ち止まって、これまでのコミュニティの声をまとめて振り返ってみたい。SNSや海外フォーラムを追いかけていると、このゲームに対する感情の起伏がよくわかる。

2021年の発表時——期待の声

Motorsport Games版が発表された2021年当初、コミュニティは久しぶりに盛り上がった。「ついにINDYCARも公式ゲームが来る」「F1 2021の対抗馬になるかも」といった声が飛び交い、開発チームへの期待が高まった。KartKraftを作ったMotorsport Games Australiaへの信頼もあった。

2023年の開発中止——怒りと落胆

その期待が2023年11月に打ち砕かれた。Operation Sportsのフォーラムでは「NASCAR 21 Ignitionのときからずっとそうだ、あの会社は何もまともに作れない」という声が上がり、長年Motorsport Gamesに裏切られてきたレーシングゲームファンの蓄積された不満が一気に噴出した。

「ゲームを作っていたチームは才能あるメンバーばかりで、無能な経営陣に何度も裏切られた。彼らはもっとよい扱いを受けるべきだったし、作っていたINDYCARゲームには可能性があった」

— 元Motorsport Games開発者と主張するResetEraユーザー(2023年11月)

開発チームへの同情と経営陣への批判が混在する、複雑な空気だった。一部のResetEraユーザーは「INDYCARはiRacingにライセンスを戻してインディ500を特別イベントで走れるようにすべきだ」と訴え、その声は結果的に現実の動きと合致することになった。

2025年8月——iRacing Studios発表後の解放感

2025年8月26日の発表後、コミュニティの空気は一変した。

「INDYCARゲームはもう死んだと思っていた。これは素晴らしいニュース。iRacingならちゃんとやってくれると信じている」

— Racing Forumsユーザー(2025年8月)

「このゲームへの期待を言葉で伝えるのは難しいほど興奮している」「シミュレーションレーシングの2025〜26年は信じられないほど素晴らしい」——GTPlanetのスレッドはこういう声であふれ返り、懸念よりも期待が圧倒的に上回った。

一方で「PSVR2に対応していたらすぐ買う」「1990年代のZanardi時代のクラシックカーも入れてほしい」といった要望も早速登場。ファンがすでに「欲しい機能」を語り合えるほど、このゲームへの信頼感は高い。

INDYCARゲームとiRacing——二つの世界の橋渡し

このゲームが持つ可能性のひとつは、iRacingとコンソールプレイヤーの間に橋を架けることだ。

iRacingは世界最高水準のレーシングシミュレーターだが、月額課金制・PC専用・コントローラー非対応という三重の壁が一般プレイヤーへのアクセスを妨げてきた。その結果、INDYCARというスポーツを愛しながらも「ゲームで遊ぶ手段がない」という層が数多く存在してきた。

スタンドアロンゲームが発売されれば、そうしたカジュアルなINDYCARファンが初めてゲームの世界でインディアナポリスを走れる。そこから「もっと本格的に走りたい」と思ったプレイヤーがiRacingへと移行するという流れも期待できる。iRacingにとっても、スタンドアロンゲームは新規ユーザーの入口になりうる。

iRacing Studios EVPのSteve Myersがこの点について語った言葉が印象的だ。「iRacingのリアリティとINDYCARシリーズへの情熱を組み合わせて、世界中のプレイヤーが没入できる体験を作り上げる」——これはiRacing PCシムの精度をコンソール向けに変換するという宣言であり、二つのコミュニティをつなぐ役割を自覚した発言だ。

発売までのロードマップを予想する

2026年4月現在、ゲームの発売は「2026年後半」とされているが、具体的な月は発表されていない。公式の動きと類似タイトルの前例から、今後の流れを予想してみよう。

2026年5〜6月ごろ:インディ500に合わせた大型発表

5月のインディアナポリス500は、INDYCARシーズン最大の祭典。このタイミングに合わせてゲームの詳細発表や映像公開が行われる可能性が高い。NASCAR 25もNASCARシーズン開幕に合わせた情報解禁が多かったことを考えると、INDYCARゲームも同様の戦略を取ると思われる。

2026年7〜8月ごろ:予約受付開始・ベータ版

「後半」という表現が秋(9〜11月)を指すなら、その2〜3か月前には予約受付が始まるはず。iRacing StudiosのNASCAR 25はE3廃止後のサマーゲームフェスト時期に情報が集中したことを参考にすると、同様のタイミングが想定される。

2026年秋:リリース

10〜11月のホリデーシーズン前のリリースが最も収益的に有利なタイミング。INDYCARシーズンが終幕する10月前後と重なれば、シーズンの興奮を引きずった状態でゲームが発売されるという好循環が生まれる。

いずれにしても、2026年後半に向けて情報は加速度的に増えていくはずだ。iRacingの公式サイトとINDYCARの公式チャンネルを定期的にチェックしておくことをすすめる。

このゲームが「成功」するための条件

期待が大きい分、懸念も正直に語っておきたい。

iRacing Studiosはレーシングシミュレーターの会社として世界トップクラスの実績を持つ。しかし「コンソール向けアクセスしやすいレーシングゲーム」の開発は、PCシムとは別の技術とセンスが必要だ。NASCAR 25のレビューが「mixed or average」に留まったのは、UIの作り込み、カメラワーク、コントローラーのフィードバック設計といった「コンソールゲームとして当然期待される要素」でまだ課題があることを示している。

INDYCARゲームがNASCAR 25の経験を活かして改善できるかどうか——そこが成功の鍵だ。コアなシムレーサーを満足させながら、はじめてINDYCARゲームを手にする一般プレイヤーにも「楽しい」と感じさせる設計ができれば、このゲームは本物のヒットになれる。

また、発売後のアップデート体制も重要だ。iRacingはPCシムとして継続的なコンテンツ追加と物理モデルの改善を長年続けてきた。その文化がスタンドアロンゲームにも引き継がれれば、発売後もプレイヤーを維持できる。

よくある疑問に答える

Q. iRacingのサブスクを持っていれば、このゲームは要らない?

iRacingのPCシムはINDYCARのコンテンツを持っているが、完全に別プロダクトだ。iRacingはPC専用・月額課金制・コントローラー非対応で、新規ユーザーにとってのハードルは高い。スタンドアロンゲームは買い切り・コンソール対応・初心者向けアシスト搭載という全く異なる設計になっている。すでにiRacingを使っているコアシムレーサーでも、コンソールで友人と遊びたいとき・よりカジュアルな体験を求めるときには別の価値がある。

Q. Motorsport Games版の失敗は、このゲームの信頼性に影響する?

Motorsport Gamesは財務崩壊が主な原因で開発中止になった。開発チーム自体への評価は高く、経営問題が最大の失敗要因だったとされている。iRacing Studiosは20年以上安定して運営されてきた会社で、NASCARゲームでコンソール参入も果たしている。開発会社としての基盤はMotorsport Gamesとは比較にならないほど安定しており、同じ失敗が繰り返される可能性は低い。

Q. 日本語対応はある?

現時点では未発表。NASCAR 25は日本語未対応だったため、同じiRacing Studiosが開発するINDYCARゲームも日本語なしの可能性がある。ただし発売規模や市場戦略次第で対応される可能性もゼロではない。正式発表を待つしかない。

Q. F1ゲームとどう違うの?

F1ゲーム(EA SPORTS F1シリーズ)はグランプリコースのみだが、INDYCARゲームはオーバル・ロードコース・ストリートサーキットの三種混合という独自性がある。オーバルレースはF1ゲームでは体験できない要素だ。またINDYCARはF1より車体の接触に対してタフな設計で、ボディコンタクトを活かした激しい抜き合いが特徴。ゲームとしての「走り方」が根本的に違う体験を提供する。

Q. 発売後のDLC・アップデートは期待できる?

iRacingはPCシムで毎シーズン新コンテンツを追加し続けてきた実績がある。毎年新作という形ではなく、長期的なサポートで一作を充実させていく可能性が高い。INDYCARとの「長期ライセンス契約」を締結しているため、単発で終わる作品ではなく継続的なシリーズになる意図が読み取れる。

まとめ——20年越しの渇望が、ついに現実になる

INDYCARゲームの歴史をたどると、「あと少し」で届かなかった失望が続いてきたことがわかる。2021年の発表で盛り上がり、2023年の開発中止で冷水をかけられ、それでも2025年のiRacing Studios発表でまた熱が戻ってきた。

今回がこれまでと違うのは、開発者の実績と信頼性だ。iRacingはINDYCARを20年近く自社プラットフォームで運営し続けてきた。物理モデルの精度、現役レーシングドライバーとのコネクション、公式eスポーツの運営経験——どれをとっても、Motorsport Gamesとは比べものにならないバックグラウンドがある。

もちろん、実際にリリースされるまでは何もわからない。でも「I’ve been waiting for this for a long time(長い間待っていた)」という声が無数に上がる中で、2026年後半に向けてiRacing Studiosの開発は着実に進んでいる。

インディアナポリスのオーバルを370km/hで走り、ストリートサーキットで激しいバトルを繰り広げる——そんな体験が、コントローラー一本でできる日がもうすぐそこまで来ている。

発売情報が解禁され次第、この記事も随時更新していく予定だ。期待して待とう。