Quarantine Zone: The Last Check|感染者か健康者か、あなたの判断が街の命運を決める
チェックポイントに立って最初の生存者を迎えたとき、なんとも言えない重さを感じた。ぼろぼろの服を着た中年男性が「お願いだ、通してくれ、妻が待っている」と言ってくる。手の甲に小さな傷がある。体温は微妙に高め。でも目は澄んでいる——。
入場許可か、隔離か。10秒以内に判断しなければいけない。
これがQuarantine Zone: The Last Checkのゲームプレイだ。ゾンビが街を侵食するなかで、プレイヤーはその「最後のチェックポイント」を守る担当官として、毎日やってくる生存者を検査して入場の可否を判断する。判断を誤れば感染者が基地に入り込み、内側から崩壊する。慎重すぎれば本来救えた人を見捨てることになる。
2026年1月12日にリリースされた本作は、開発元Brigada Games、パブリッシャーはDevolver Digital。Steamでは「非常に好評(Very Positive)」を獲得しており、英語圏だけで4,884件のレビューのうち81%が推薦、直近30日のレビューは86%推薦と勢いも維持している。総レビュー数は1万件以上に達しており、日本語を含む14言語にも完全対応している。
ゾンビサバイバルと書類審査シムが融合した、この変わり種ゲームがなぜここまで評価されているのか。実際のゲームプレイをひとつひとつ解説していく。
こんな人に向いているゲームです

- ゾンビものが好きだけど、ただ撃ちまくるだけじゃない体験をしたい人
- 「Papers, Please」のような情報を読み解く緊張感が好きな人
- 資源管理や基地運営のシミュレーション要素が好きな人
- 自分の選択が物語に影響するゲームが好きな人
- サバイバルホラー的な重苦しい雰囲気が好きな人
- 「正解がわからない」モラルジレンマを楽しめる人
- じっくり考えながら遊ぶゲームが好きな人
逆に、ゾンビをバンバン撃つ爽快なシューター体験を期待していると、最初は戸惑うかもしれない。本作の緊張感は「判断の重さ」から来るもので、銃撃戦や近接戦闘のアクションとはまた違う方向のスリルだ。「考えるゲームが好き」な人ほど深くハマっていく。
ゲーム概要と世界観

崩壊した都市の最後の砦
舞台は、ゾンビアウトブレイクが起きた現代。感染が都市全体に広がり、政府の統制は機能を失い、生存者たちは各地に点在する小規模な居住区に逃げ込んでいる。そのひとつが、プレイヤーが守るこの施設だ。
施設の外では毎日、新たな生存者が押し寄せてくる。家族を亡くした人、怪我を負った人、物資を持ち込む商人、中には嘘をつく者も、感染に気づいていない者もいる。プレイヤーはチェックポイントの担当官として、高度な検査機器を使って一人ひとりを審査し、入場許可か隔離かを決める。
ゲームのキャッチコピーは「Screen survivors, manage scarce resources, and hold back the undead.(生存者を検査し、乏しい資源を管理し、アンデッドを食い止めろ)」。この三要素がゲームの骨格を成している。
ジャンルとしての独自性
本作をひとことで言い表すのは難しい。公式はインディー・シミュレーション・ストラテジーと分類しているが、「ゾンビサバイバル + 書類審査シム + 基地管理 + ストーリードリブンのRPG的要素」が複雑に絡み合った作品だ。
ゾンビゲームと言えばアクション要素が前面に出るのが定番だが、Quarantine Zoneのプレイ体験はもっと静かで、もっと緊張する。「次の生存者は感染しているのかどうか」——この問いに向き合い続けることが、このゲームの中心にある。
検査システム——嘘を見抜く技術
ゲームの最も独自性が高い部分が、この検査システムだ。チェックポイントにやってくる生存者たちを、プレイヤーが持つ各種の機器を使って検査し、感染の有無を判断する。
基本的な検査の流れ
生存者が到着すると、まずインタビューが始まる。名前、どこから来たのか、なぜここに来たのか、怪我はないか——基本情報を聞き出しながら、同時に外見や動作を観察する。目の充血、異常な発汗、動作の不自然さ、しゃべり方のおかしさ。視覚的な情報だけでもヒントは転がっている。
続いて機器による検査に移る。序盤で使えるのは体温計と簡易血液検査だが、ゲームが進むにつれてより精度の高い機器が手に入る。
高精度の検査機器
特に重要なのがX線スキャナーだ。感染が進行すると、骨格や組織に変化が現れる。初期感染なら非常に微妙な差異だが、中期以降は明らかな異常が確認できる。問題は、「微妙な差異」を正しく読み取れるかどうかだ。完全に健康な人でも過去の怪我の痕跡がX線に映ることがあり、感染の初期症状と見分けがつきにくいケースがある。
また、生体センサーはストレス反応や神経系の異常を検知する。感染した人間は通常とは異なる神経系の反応パターンを示すことがある——ただし極度の恐怖や体調不良でも似たような反応が出るため、機器の結果を鵜呑みにするのは危険だ。
検査結果の解釈が全て
ゲームの難しさは、機器が完全な答えを教えてくれないことにある。体温が高い。でも施設まで長距離を走ってきたなら当然かもしれない。X線に小さな影がある。でもそれが感染の兆候なのか、古い怪我の痕なのか、判断は難しい。
複数の検査結果を組み合わせて総合的に判断する——これが担当官の仕事だ。機器が「シロ」を示しても自分の目と直感が「クロ」を疑っていたら、もう一度確認する。時間制限があるので焦りもある。その焦りの中で判断を積み重ねていく。
密輸品の検査
感染の有無だけでなく、生存者が危険物や密輸品を持ち込もうとするケースもある。武器の不正持ち込み、薬品の横流し、他の居住区への情報漏洩に繋がる物品。手荷物検査と申告内容の照合も担当官の仕事のひとつだ。
「怪しいものを隠している」という疑惑がありながらも感染の証拠はない場合、入場させるべきか?人道的な判断と施設の安全を天秤にかけながら、どちらを取るかを決めることになる。
基地管理システム——人口が増えるほど複雑になる

チェックポイントで人を通すだけでは終わらない。入場を許可した生存者たちは施設に加わり、施設の人口が増えていく。そして人口が増えれば、必要な資源も増える。
三大資源の管理
施設を維持するために管理が必要な基本資源は三つ。電力・食料・医薬品だ。
電力は施設のあらゆる機能の基盤になる。検査機器、照明、防衛システム、全ての設備は電力を消費する。発電機の燃料が尽きれば施設は暗闇に包まれ、外からの侵入を許しやすくなる。電力を節約するために機器の使用を制限するか、それとも検査精度を落とさずに燃料を補充するか——常に綱渡りの判断が続く。
食料の配給は人口に直結する。増えた生存者を養うために、フィールドへの物資調達を頻繁に行う必要がある。ただし外への調達は危険を伴う。誰を行かせるか、どのくらいのリスクを取るか、食料の優先順位をどう決めるかは全てプレイヤーの判断にかかっている。
医薬品は最も希少で、最も切実だ。怪我をした生存者の治療、感染初期症状への対処、免疫抑制剤として機能するケースもある。不足すれば回復可能だった生存者が死亡し、人口の維持が難しくなる。
施設の拡張とアップグレード
施設管理がうまくいくと、新しい設備を建設したりアップグレードするためのリソースが蓄積される。検査機器の高精度化、医療施設の拡充、防衛システムの強化——どこに投資するかは長期的な施設の方向性を決める重要な選択だ。
例えば、早期に検査機器をアップグレードすれば感染者の見落とし率が下がる。でもその分、防衛設備の整備が遅れ、夜間の侵入リスクが高まる。医療施設を充実させれば生存者の死亡率が下がり人口を維持しやすくなるが、食料消費も増える。全部を同時に整備することはできないため、どこにリソースを集中させるかの判断が施設の運命を分ける。
人員の配置と役割分担
施設に加わった生存者たちはそれぞれ能力を持っている。医療知識がある者、技術職の経験がある者、体力があって警備向きの者。適切な役割に配置することで施設の効率が上がり、それぞれの分野の能力が向上していく。
ただし全員が全員、素直に従うわけではない。施設内での人間関係、不満の蓄積、価値観の衝突——人を管理することの難しさもゲームの一部として描かれている。
防衛システム——外からの脅威を食い止める
施設の内側だけ守っていればいいわけじゃない。外からゾンビの群れが迫ってくる。夜間は特に侵入リスクが高く、防衛を怠ると施設の壁が突破される。
武装ドローンの運用
プレイヤーが操作できる主な防衛手段のひとつが武装ドローンだ。施設の周囲を巡回させたり、特定のエリアを重点的に守る配置にしたり、侵入してきたゾンビに対して攻撃を指示したりできる。
ドローンの数には限りがあり、全周囲を同時にカバーすることはできない。どこを手薄にするか、施設のどのゲートを最優先で守るか、複数方向から同時に来た場合にどう対処するかは、リアルタイムの状況判断が求められる。
防衛ラインの構築
資源を使って防壁の強化、有刺鉄線の設置、照明の拡充、罠の配置ができる。どこに何を置くかの判断が施設の防衛力に直結する。
ゾンビの群れは毎晩規模が大きくなっていく傾向がある。最初は少数だったのに、数日後には壁を圧迫するほどの数になっていたりする。「今夜は乗り越えられるか」という危機感が毎晩あり、それが夜の防衛フェーズの緊張感を作り出している。
侵入された場合の対処
防衛ラインが突破されると、施設内にゾンビが入り込む。この段階になると施設の住人への直接的な被害が発生する。プレイヤーは緊急対処として警備員を動員したり、設備を守るための優先順位を決めたりしなければいけない。
侵入を完全にゼロにすることは困難なため、「侵入されたときの被害をいかに最小化するか」というダメージコントロールの視点も重要になってくる。
サンプル採取と研究——ゾンビを活用する倫理的ジレンマ

本作の最も独特なシステムのひとつが、このゾンビサンプルの採取と研究だ。「感染者を調べることで新しい知識を得る」という行為が、単純な戦略的判断ではなくモラル的な問いを伴っている。
感染初期の生存者の扱い
チェックポイントで感染が判明した生存者は、隔離施設に収容される。感染初期であればまだ人間としての意識が残っている場合もある。この段階の感染者から血液や組織のサンプルを採取することで、ウイルスの解析が進み、新しい検査機器の開発や治療薬の研究に役立てることができる。
問題は、この研究過程がどれだけ「本人の意思」を無視することになるのかという点だ。ゲームはこの問いを避けない。隔離された感染者がまだ会話できる状態にある場合、彼らは「実験台にしないでくれ」と訴えることもある。
知識か、命か
特に倫理的な重さがあるのが「未知の症状への対処」だ。これまでに見たことのない症状を示す感染者が来たとき、その症状を詳しく調べるには侵襲的な検査が必要になる。しかし侵襲的な検査は命を危険にさらすことを意味する。
その知識は将来の生存者を守ることに繋がるかもしれない。でも今目の前にいる人間に苦痛を与えることになる。これは医療倫理の本質的な問いだ。ゲームはプレイヤーにそれを突きつけてくる。
研究の積み重ねが施設を強化する
倫理的に苦しい決断を重ねながらも、研究が進むと施設全体のアップグレードに繋がる。より精度の高い検査機器、より効果的な治療薬、ゾンビへの対抗策——これらは全て、過去の研究の積み重ねから生まれる。
「目的のために手段を正当化してきたのか」という問いが、エンディングに向かうにつれて重くのしかかってくる。
意思決定システム——全ての選択が連鎖する
Quarantine Zoneが「Choices Matter(選択が重要)」というタグを持つのには理由がある。このゲームでは、プレイヤーが下した決断が後のゲームプレイに継続的に影響する。
入場判断の連鎖効果
感染者を誤って通してしまった場合、症状が出るまでに数日かかることがある。その間、その人物は施設の中で生活し、他の住人と接触し、最悪の場合は近距離での感染が起きる。「あのとき見逃したのが原因だった」とわかる瞬間が、プレイヤーに重い学習を与える。
逆に、健康な人間を「疑わしい」と判断して隔離し続けると、施設内での不信感や不満が蓄積する。住人の士気が下がり、離脱者が出たり、施設内でのトラブルが増えたりすることもある。
資源配分の優先順位
どの設備にリソースを投資するかという決断も、数日後に効果として現れる。医療施設への投資を怠った結果、負傷者の死亡率が高まり人口が維持できなくなる。防衛設備への投資を後回しにした結果、ある夜の侵入で大きな被害を受ける。
これらの因果関係が明確に感じられるため、「あの判断が失敗だった」という自己分析が自然に起きる。単純なリソース管理ゲームではなく、判断の責任を引き受けながら遊ぶゲームだ。
キャラクターとの関係性
施設に加わった生存者たちとの関係も、選択の積み重ねによって変化する。困っている人を助け続けると信頼が積み上がり、情報を提供してくれたり、非常時に頼れる人物になる。逆に、施設の都合を優先して個人を切り捨てる選択を繰り返すと、施設内の雰囲気が険しくなっていく。
一人ひとりのキャラクターには背景ストーリーがあり、それを知ることでその人の行動や訴えが理解できるようになる。「この人を隔離したほうがいいのはわかっている。でも家族が待っているのに——」というジレンマが生まれるのは、個々のキャラクターに厚みがあるからだ。
ストーリーの構造と雰囲気

崩壊していく世界の記録
本作のストーリーは、日々の業務記録と施設内外から届くニュースや通信を通じて語られる。中央政府の機能が失われていく過程、他の施設での悲劇、ゾンビの変異に関する情報、生存者たちの証言——これらの断片が積み重なって、世界の崩壊を間接的に描き出す。
プレイヤーが直接「世界の外」に出ることはないため、チェックポイントというひとつの場所からしか世界を見ることができない。その閉塞感と情報の断片性が、ポストアポカリプス世界のリアリティを作り出している。
ダークユーモアの挿入
重苦しいテーマを扱いながらも、随所にダークユーモアが差し込まれている。生存者の荒唐無稽な言い訳、意外な人物設定、施設内の住人たちの掛け合い。笑えるのに笑いきれない、でも確かに笑える——そういった瞬間が、ゲームの重苦しさを絶妙に緩和している。
レビューでも「暗い内容なのに変に明るく笑えるシーンがある」という声が多く、Devolver Digitalらしいセンスがよく出ている部分だ。
エンディングの分岐
本作には複数のエンディングが存在する。どう施設を運営したか、誰を優先して助けたか、研究に対してどのスタンスを取ったか——これらの積み重ねが結末の形を変える。単一の「正解のエンディング」があるわけではなく、自分が下してきた選択の帰結として終わりが訪れる。
二周目以降は「あのとき違う選択をしたら」という視点で遊べるため、再プレイ性も高い。
ゲームプレイのリズムと一日の流れ
Quarantine Zoneは「一日」単位でゲームが進行する。各日の流れを把握することで、何を優先して動けばいいかが見えてくる。
昼間の検査業務
日中はチェックポイントでの検査が中心業務になる。次々とやってくる生存者を検査し、入場・隔離・拒否の判断を下す。一日に対応できる人数には限りがあり、全員を完璧に検査する時間はない。どの人物により多くの検査時間を使うか、という取捨選択も発生する。
怪しい点がある人物に対しては、追加の検査を要求することができる。ただし本人が抵抗したり、時間切れになったりするケースもある。完全な確信が持てないまま判断を下さなければいけない局面が頻繁に訪れる。
施設管理のタイミング
検査業務の合間に、施設内の管理業務もこなす必要がある。資源の配分確認、設備の稼働状態チェック、住人からの相談対応、調達チームへの指示——これらをどの順番で処理するかも、時間管理のひとつだ。
特に、施設内でのトラブル対応は優先度が高い。放置すると状況が悪化し、後々のゲームプレイに響いてくる。
夜の防衛フェーズ
夜になるとゾンビの活動が活発になり、施設への侵入リスクが高まる。ドローンの配置を見直し、防衛ラインの状態を確認し、夜間の警備員の配置を整える。その後は侵入が発生するたびに対処を指示していく形になる。
夜が明けたとき、施設が無事であれば翌日の業務が始まる。日を重ねるごとに状況は変化していき、「昨日の常識が今日には通じない」ことも起きてくる。
難易度と学習曲線

序盤のとっつきやすさ
ゲームの序盤は比較的わかりやすく設計されている。最初の数日間は感染者の症状がわかりやすく、検査機器の操作チュートリアルも丁寧だ。「この症状が出ていたら感染の可能性がある」という基本的なルールを覚えながら進める。
資源管理も序盤は余裕があり、複数の判断を同時に迫られることは少ない。まずはチェックポイントでの検査作業に慣れることに集中できる。
中盤からの難易度上昇
序盤を過ぎると、状況は徐々に複雑になっていく。感染の症状が多様化し、初期段階では見分けがつきにくいケースが増える。資源の消費も増加し、一つの問題を解決すると別の問題が浮上するようになる。
一部のレビューでは「序盤数時間でシステムを理解したら後半は単調になる」という意見もある。ただし「わかった気になっていたら感染者を見逃していた」という体験も多くのプレイヤーが経験しており、見極めには慣れが必要だ。
ストレスの管理
本作はプレイ体験として「重さ」があるゲームだ。モラルジレンマや誤判断のリスクがある種のストレスを生み、長時間の連続プレイよりも「今日はここまで」という区切りを自然に作りたくなる。それがゲームとしての緊張感の維持にも繋がっているが、一息つかないと疲れることもある。
難易度設定があり、よりゆっくりとしたペースで楽しみたい場合は調整できる。
技術的な品質と日本語対応
グラフィックと演出
Unreal Engine 5で開発された本作は、視覚的な質が高い。荒廃した都市の質感、夜間の照明演出、感染者の外見の変化——これらがリアリティを補強している。チェックポイントというひとつの場所を繰り返し使うため、細部の作り込みがより目に留まりやすい構造でもある。
X線スキャナーの映像や血液検査の結果表示など、検査機器のUIデザインも没入感を高める工夫がされている。「本当に検査担当官になった気分」という感想が出るのは、このUIの質があるからだ。
日本語対応の状況
本作は日本語に完全対応しており、テキストとボイスの両方が日本語化されている。セリフの翻訳品質も評価が高く、生存者たちの台詞のニュアンスが適切に伝わる。
日本語対応ゲームは大型タイトルでは当たり前になってきているが、Brigada Gamesのような規模のスタジオが14言語対応を実現しているのは、Devolver Digitalのサポートがあってこそでもある。
バグと修正状況
リリース当初はいくつかの技術的な問題が報告されていた。X線機器の表示不具合、特定条件でのソフトロック、UI操作の一部不具合などだ。ただし開発チームは比較的迅速にパッチを配信しており、現在は主要なバグが修正されている状態だ。
直近30日のレビューが86%と、時間が経つにつれてむしろ評価が上がっているのは、こうした修正対応の積み重ねによる部分が大きい。
パフォーマンス要件
最小動作環境はCore i7-5820K、8GB RAM、GTX 980で、1080pのロー設定で30fps以上。推奨環境はCore i7-10700またはRyzen 5 5600X、16GB RAM、RTX 2080で1080p高設定60fps。ストレージは12GB必要だ。2018〜2020年頃のミドルレンジPC以降であれば快適に動作する水準で、特別に高いスペックは求めない。
「Papers, Please」との比較——何が違うのか

本作を評価する文脈で必ず出てくるのが2013年のインディーゲーム「Papers, Please」との比較だ。確かに「審査者として何者かを通すか通さないかを判断する」という基本構造は似ている。しかし二つのゲームは、似ているようで異なる体験を作り出している。
審査対象の違い
Papers, Pleaseは「書類の正確性」が主な審査基準だ。パスポートの有効期限、入国許可証の発行番号、顔写真の一致——正しい書類を持っているかどうかが判断の軸になる。
Quarantine Zoneの審査対象は「人間の生体情報」だ。書類ではなく身体が証拠であり、機器のデータと目視観察を組み合わせて「感染しているかどうか」を判断する。書類は偽造できても、ウイルスは隠せない——ただし、初期段階では本人も感染に気づいていないケースもある。
管理要素の有無
Papers, Pleaseがチェックポイントでの作業に特化しているのに対し、Quarantine Zoneは基地管理・防衛・研究という複数の要素が加わっている。より総合的なシミュレーションゲームとして構成されており、プレイ時間も長い。
雰囲気の違い
Papers, Pleaseは「グレーゾーンの官僚主義」という政治的テーマを扱うのに対し、Quarantine Zoneは「ゾンビアポカリプスでの人道的判断」がテーマだ。前者は体制への疑問を、後者はサバイバルの中の人間性を問う。
「Papers, Pleaseが好きだった」という人がQuarantine Zoneを気に入るケースは多いが、まったく同じゲームではない。むしろ「ゾンビサバイバルの文脈で同種の判断ゲームを楽しみたい」という需要に応えた独自作品として評価するべきだろう。
Devolver Digitalというパブリッシャーの意味
本作がDevolver Digitalからリリースされているという事実は、ゲームの性格を一定程度示している。Devolver Digitalは長年、独創的なインディーゲームを世に送り出してきたパブリッシャーで、Hotline Miami、Enter the Gungeon、Disco Elysium(共同パブリッシュ)、Return of Obra Dinnなど、他にはない体験を持つゲームを多数手がけている。
彼らがQuarantine Zoneを選んだということは、「ゾンビゲームとして売るのではなく、判断と倫理のゲームとして見せたい」という共通認識があったのだと思う。マーケティングの方向性、価格設定(1,840円という価格帯)、14言語対応のローカライズコストを担う決断——これらはパブリッシャーの存在なしには難しい部分だ。
実際にゲームをプレイすると、「これはDevolver系だな」と感じる瞬間が確かにある。重いテーマを扱いながらもユーモアを忘れない、プレイヤーを正解に誘導するより問いの中に置き続ける——そういうゲームデザインの姿勢だ。
プレイヤーコミュニティの評価とリアルな声

好評価の傾向
Steamのレビューを見ると、好意的な評価に共通するキーワードがある。「Papers, Please的な緊張感がある」「選択の重さをちゃんと感じる」「倫理的なジレンマが面白い」「資源管理が思ったより奥深い」「雰囲気が良い」——これらは繰り返し出てくる表現だ。
特に「自分の判断が後から響いてくる感覚」への言及が多い。「3日後に、あのとき通した人物が原因だとわかって後悔した」「逆に疑っていた人が実は健康で、後から謝りたくなった」という具体的な体験談も見られる。
批判的な意見
一方でよく挙げられる批判点もある。X線の症状表示が実際の外見と一致しないケースがあること、「不適切な検査」の判定基準が不明瞭なこと、難易度バランスについては「簡単すぎる」という意見もある。
特に中国語圏のレビューでは混合評価(Mixed)になっており、文化的な背景や期待値の差が影響している可能性がある。
リプレイ性について
エンディングが複数あること、毎回の判断が異なる展開を生むことから、複数回のプレイに価値があると多くのプレイヤーが述べている。「二周目は意図的に厳しいルールを自分に課して遊んだ」「別のエンディングを見るために再度プレイした」という声も多い。
Steam実績とやり込み要素
本作はSteam実績(アチーブメント)に対応しており、ゲームのさまざまな側面を追いかけながら遊ぶ楽しみがある。通常のクリア以外にも、特定の判断基準を守り続けたプレイや、特殊な条件下での施設運営に関連した実績が用意されている。
Steam Cloudにも対応しているため、複数のPCで続きを遊べるのも便利な点だ。
やり込み要素としては、異なるエンディングの回収が最もボリュームのある部分になる。選択の分岐点を把握した上での二周目・三周目は、一周目とは全く異なる意識で判断を積み重ねることになり、また違う重さのある体験になる。
こんなプレイスタイルがおすすめ

一日のセッション時間
前述のとおり、本作は精神的な重さがあるゲームだ。ひとつひとつの判断に感情的なエネルギーが使われるため、1〜2時間程度のセッションで区切って遊ぶのが疲れにくい。「今日は3日分進めた」という区切り方が向いているゲームだ。
最初のプレイでの心構え
一周目は「絶対に失敗したくない」と構えすぎず、まず自分なりの判断基準でやってみることをすすめる。完璧な担当官になるのは難しいし、失敗することも含めてこのゲームの体験の一部だ。「見逃してしまった」「厳しすぎた」という後悔も、ゲームとして味わうべき感情として設計されている。
攻略情報との付き合い方
最初から攻略情報を参照してプレイするのはあまりおすすめしない。「何が感染の証拠か」を自分で発見していく過程が、このゲームの面白さの大きな部分を占めているからだ。詰まったときや二周目でのルート開拓に活用するのがいいだろう。
まとめ——このゲームが問うもの
Quarantine Zone: The Last Checkは、ゾンビサバイバルというジャンルにおける異色の作品だ。撃って走って逃げるのではなく、観察して判断して責任を取る——そういうゲームだ。
生存者の命と施設の安全を天秤にかけながら、乏しい資源で今日を乗り越える。検査機器のデータと自分の直感を照らし合わせながら、10秒以内に判断を下す。その判断の重さが、このゲームの緊張感の核心にある。
「ゾンビが出てきたらとりあえず撃てばいい」という単純な解がないこのゲームは、プレイヤーに対してずっと問い続ける。あなたなら誰を救うか。どんな基準で人を判断するか。目の前の命と、施設全体の生存のどちらを優先するか。
そしてゲームが終わったとき、「自分はどんな担当官だったか」という問いが残る。それが答えにくい問いであればあるほど、このゲームはよくできていたということだ。
Devolver DigitalとBrigada Gamesが作り上げたこの体験は、2026年のインディーゲームシーンで最も独特な一本として評価されるに値する作品だと思う。ゾンビゲームが好きな人にも、Papers, Pleaseのような判断ゲームが好きな人にも、ぜひ一度体験してみてほしい。
よくある質問
日本語には対応していますか?
はい。日本語を含む14言語に完全対応しており、テキストとボイスの両方が日本語化されています。
一人プレイ専用ですか?
はい。本作はシングルプレイヤー専用です。協力プレイには対応していません。
どのくらいのプレイ時間で終わりますか?
メインストーリーのクリアは10〜15時間程度が目安です。複数のエンディングを回収しようとすると、それ以上の時間がかかります。プレイスタイルによっても変わります。
DLCはありますか?
現在はデラックス版にサウンドトラックとサポーターパックが付属しており、追加コンテンツのDLCについては開発元からのアナウンスを待つ状況です。
PCのスペックが不安です
最小動作環境がCore i7-5820K、8GB RAM、GTX 980であるため、2016〜2018年頃のミドルレンジ構成でも動作します。ただしストレージは12GB必要なので、空き容量を確認しておきましょう。
ゲームはSteamで購入できますか?
はい。SteamでAppID 3419520として販売されています。価格は通常2,300円で、セール時には1,840円(20%オフ)になることがあります。
難易度変更はできますか?
はい。難易度設定が用意されており、自分のペースに合わせて調整できます。じっくりと物語を楽しみたい場合は難易度を下げることもできます。
Quarantine Zone: The Last Check
| 価格 | ¥2,300-20% ¥1,840 |
|---|---|
| 開発 | Brigada Games |
| 販売 | Devolver Digital |
| 日本語 | 非対応 |
| 対応OS | Windows |
| プレイ形式 | シングル |

