The Elder Scrolls IV: Oblivion Remastered|19年越しに蘇った伝説のオープンワールドRPG
「Oblivionが帰ってきた」という言葉が、ゲームコミュニティ全体に広がったのは2025年4月22日のことだ。
予告なしの奇襲リリース。発表から数時間後には世界中でプレイが始まり、3日間で400万人のプレイヤーが押し寄せた。1週間で米国の年間最売上ゲームランキング3位に滑り込んだ。Bethesdaが2006年に生み出した名作が、約19年の歳月を経て完全に生まれ変わったのだ。
正直に言うと、期待していたプレイヤーは多くなかった。事前アナウンスなし、ティーザーすらなし。「リマスターが出るらしい」という噂は業界内に漂っていたが、まさかあのタイミングで、あの形で来るとは予想していた人間が少なかった。だからこそ、プレイした瞬間の衝撃がより大きかった。
2006年版のOblivionを知っているプレイヤーにとっては、記憶の中の景色が現代のグラフィックで甦る体験。知らないプレイヤーにとっては、なぜこのゲームが「伝説」と呼ばれてきたかを体感できる機会だ。
The Elder Scrolls IV: Oblivion RemasteredはSteam AppID 2623190、Unreal Engine 5で全面的に描き直されたリマスター版だ。開発は老舗リマスタースタジオVirtuosが担当し、Bethesdaが監修という体制をとった。ゲームブライオエンジンのゲームプレイはそのままに、グラフィックエンジンをまるごと置き換えるという前代未聞の構成で作られている。
このゲームの何が特別なのか。なぜ19年経っても語り継がれるのか。そして今遊ぶ価値はあるのか。徹底的に書いていく。
こんな人に読んでほしい

Oblivion Remasteredはすべてのゲーマーに向いているわけではない。どんなプレイヤーにフィットするのか、まず確認してほしい。
こんな人には強くすすめる:
- 「Skyrim」が好きだったので、シリーズをさかのぼってみたい人
- 広大なオープンワールドを自分のペースでじっくり探索したい人
- ストーリーよりも「世界に存在する感覚」を楽しめる人
- ギルドやサブクエストに没頭して、メインを後回しにしがちな人
- 剣士・盗賊・魔法使いと複数のスタイルで遊びたい人
- 昼夜サイクルや天候変化のある生きた世界に浸りたい人
- クラシックなRPGが持っていた「手作り感のある世界」を懐かしく思う人
- 100時間以上腰を据えてプレイできるコンテンツを探している人
- 2006年版Oblivionのプレイヤーで、あの頃の体験を現代の映像で体験し直したい人
合わない可能性が高い人:
- テンポよくストーリーが進む作品を求めている人(序盤は特にゆっくりしたペース)
- 最新AAA水準のグラフィックやアニメーションを期待している人(リマスターである以上、2006年設計の動きは残っている)
- 最適化されたスムーズな動作を最優先にする人(高スペックPCでも重い場面がある)
- 明確な目標が常に提示されないと何をすれば良いか迷う人
- アクションゲームの操作精度を求める人(戦闘はあくまでRPG寄り)
特に「Skyrimが好き」という人には強く推薦したい。Oblivionは時系列的にSkyrimより古い時代のタムリエルを舞台にした作品で、ゲームの「感触」はSkyrimと異なる部分も多いが、「あの世界に存在する感覚」という核心は同じだ。SkyrimからOblivionを遡ると、「なぜSkyrimがあの形になったのか」が見えてくる体験にもなる。
ゲーム概要
The Elder Scrolls IV: Oblivion Remasteredは、Bethesda Game StudiosがオリジナルゲームをVirtuosと共同で現代向けに作り直したリマスター作品だ。2025年4月22日にSteam、Xbox Series X/S、PlayStation 5で同時発売された。SteamでのAppIDは2623190、価格はスタンダード版6,930円、デラックス版7,980円。Game Pass加入者は追加料金なしでプレイできる。
ジャンルはオープンワールドRPG。舞台は「タムリエル」という世界の「シロディール」と呼ばれる大陸の中心地帯だ。プレイヤーはシロディールの帝都近くの牢獄に収監された名無しの囚人として物語を始める。
ストーリーの出発点はシンプルだ。皇帝ウリエル・セプティムVIIが暗殺者に命を狙われ、逃亡の途中で牢獄を通過するときにプレイヤーと出会う。皇帝は死の間際、「帝国の正当な継承者を見つけ、ドラゴンファイアを再び灯せ」という使命をプレイヤーに託す。メインクエストの骨格はこの一点に集約されている。
しかしOblivionの本質はメインクエストにはない。シロディールに広がる街、ダンジョン、遺跡、秘境——それらを自由に探索し、出会ったNPCと話し、見つけたクエストを追いかける「世界に存在する体験」こそがOblivionの核だ。
Steamのレビューは46,000件以上が集まり、総合評価は「ほぼ好評」(79%)を維持している。Metacriticでは批評家スコアがPC版80点、コンソール版82点。リリース1週間後のゴールデンジョイスティックアワードでは「最優秀リメイク/リマスター部門」を受賞した。
舞台——シロディールとオブリビオンの狭間
物語の舞台「シロディール」は、タムリエル大陸の中心に位置する帝国の心臓部だ。帝都インペリアルシティを中心に、複数の都市と無数の村が点在し、広大な森、山岳地帯、草原、湿地帯が広がっている。
「オブリビオン」とは、このゲームの世界観における魔界に相当する異次元だ。デイドラと呼ばれる悪魔的存在の支配する世界で、ストーリーの進行に伴ってシロディール各地にオブリビオンへの入口(オブリビオンゲート)が開き始める。メインクエストはこのゲートを閉じてシロディールを守る戦いでもある。
世界の広さは圧倒的だ。徒歩で端から端まで歩くと現実時間で数十分かかる。ファストトラベルを使えば任意の既訪問地点へ瞬時に移動できるが、馬を使ってのんびり探索する体験も本作ならではの楽しみ方だ。
街は昼夜で表情が変わる。昼間は市場が賑わい、NPCが日常生活を営む。夜になれば店が閉まり、通りは静まり返る。市民は自宅に帰り、眠りにつく。このNPCの生活リズムが「世界が動いている」感覚を生む。
リマスターで変わったもの、変わらなかったもの
Oblivion Remasteredはオリジナルの「完全リメイク」ではない。ゲームプレイシステム、クエスト設計、シナリオはほぼそのままに、グラフィックエンジンをUnreal Engine 5に置き換えた構成だ。
変わったもので最も大きいのは当然グラフィックだ。キャラクターモデル、地形テクスチャ、建築物の細部、水面、光の表現——すべてが現代水準で作り直されている。レイトレーシングにも対応しており、日光が木々の間から差し込む様子や、石造りの廊下に灯火が揺れる光景は、当時のファンが想像していた「あの世界がもし今作られたら」に近い映像だ。
キャラクターのアニメーションも全面更新された。2006年版のOblivionは棒立ち気味のNPCアニメーションが有名で、コミュニティでもネタとして親しまれていた。リマスター版では自然な動き、歩行の重心移動、感情表現が加わっている。
UIも現世代のゲームに合わせて再設計された。元のOblivionは今見ると情報量が多すぎてごちゃついていたが、リマスター版はすっきりと整理されている。コントローラー操作への対応も改善され、マウス&キーボードのみだったバランスが修正されている。
変わらなかったものについては後の章で詳しく触れるが、端的に言えば「ゲームとしての体験の構造」だ。クエストの流れ、ダンジョンの設計、NPC台詞の内容、ゲームプレイの基本リズム——これらはオリジナルを尊重した形で残されている。
ゲームシステムの詳細

OblivionはアクションRPGとオープンワールドの要素を高次元で融合させたゲームだ。戦闘、キャラクター育成、探索、クラフト、ギルド活動——各要素が互いに絡み合って、プレイヤーごとに全く異なる体験を生む。
キャラクター作成——種族、クラス、星座
ゲーム開始時、まずキャラクターを作成する。選択項目は大きく3つ——種族、クラス、生まれた星座(出生星座)だ。
種族は10種類ある。帝国人(バランス型)、ブレトン(魔法寄り)、ノルド(近接・耐寒)、レッドガード(戦闘特化)などの人間系に加え、ハイエルフ(魔法特化)、ウッドエルフ(弓・盗賊)、ダークエルフ(汎用)などのエルフ系、アルゴニアン(水中移動・毒耐性)、カジット(夜目・素手)、オーク(近接特化)のビースト系がある。
クラスは21種類から選ぶか、カスタムで自作できる。クラスは2つのアトリビュートと7つの主要スキルを決めるもので、選んだスキルを実際に使うことでそのスキルが成長し、一定量上がるとレベルアップが解放される仕組みだ。出生星座は13種類あり、特定スキルへの経験値ボーナスや1日1回使える特殊パワーが得られる。
この3つの組み合わせでプレイスタイルの土台ができる。ただしスキルはどの順番で上げても良く、クラスに縛られたプレイを強いられるわけではない。
スキルと戦闘——使えば育つ、シンプルで深い設計
Oblivionのスキルシステムは「使えば上がる」という直感的な設計だ。剣を振れば片手武器スキルが上がり、鍵を開ければ錠前解錠スキルが上がり、魔法を使えばその魔法系スキルが上がる。スキルは全21種類あり、戦闘系(片手武器・大型武器・弓術・防御など)、魔法系(破壊・回復・幻術・召喚など)、盗賊系(ステルス・錠前解錠・弁術・手癖など)に大きく分かれる。7つの主要スキルが一定量成長するとレベルアップが解放され、3つのアトリビュートを上昇させる。
戦闘は1人称・3人称どちらでも行える。左クリックで攻撃、右クリックで防御が基本操作だ。長押しで離すパワーアタックはスタミナを消費する代わりに大ダメージを与え、移動方向によって異なる特殊攻撃になる。魔法は「マジカ」を消費し、炎や雷の破壊魔法、回復、幻術、召喚など多彩な系統がある。ステルスは独立したスタイルとして機能し、スニーク中のバックスタブと弓矢の組み合わせで「一撃で仕留めて気づかれずに次へ」という盗賊プレイが完全に成立する。
ギルドシステム——4つの大ギルドと秘密組織
Oblivionには複数の大規模ギルドと秘密組織があり、それぞれに独立した大容量のクエストラインが用意されている。どのギルドのクエストもやり込み応えがあり、多くのプレイヤーがメインクエストをそっちのけでギルド活動に没頭する。
戦士ギルドは帝国全土に支部を持つ傭兵組織だ。依頼を受けてモンスター討伐や護衛任務をこなしながら昇格していく。シンプルな戦闘クエストが多く、近接キャラクターには入りやすいギルドだ。内部での権力争いや裏切りのドラマも用意されており、クエストラインを最後まで追うと組織の闇が見えてくる。
魔術師ギルドはシロディール各地の街に研究所を持つ魔法学術組織だ。新魔法の研究や危険な素材の調達を担うクエストが続く。前述の「魔法の自作」機能もギルド加入後に解放される。クエストラインの最後には魔術師ギルドの内部分裂と秘密の陰謀が待っている。
盗賊ギルドは闇に潜む犯罪組織で、窃盗、スリ、物品密売のクエストが続く。ステルスと弁術スキルを使う機会が多く、盗賊プレイヤーに最もフィットする。ギルドの本拠地であるグレイフォックスとその正体に関わるストーリーは、シリーズ全体を通じても語り継がれる名ストーリーだ。
暗殺者ギルド(ダークブラザーフッド)は殺人を請け負う秘密結社だ。加入条件は「誰かを殺した後に眠る」という不穏なものだが、一度入れば独特の儀式と倫理観を持つ組織の内部ドラマが展開される。暗殺ターゲットとの人間ドラマや、組織の歴史に関わる壮大なクエストラインが用意されており、多くのプレイヤーが「本編より面白い」と語る。
1周のプレイで全ギルドを追えば、軽く200時間を超えるコンテンツ量になる。
収録コンテンツ——本編+大型DLC2本+追加コンテンツ
Oblivion Remasteredはスタンダード版でも相当な量のコンテンツが含まれている。具体的には以下の通りだ。
メインゲームの本編:メインクエスト「オブリビオンの危機」と、上述の各ギルドクエストライン、数百のサイドクエストと雑多なダンジョン探索を含む。純粋にメインだけ追えば20〜30時間程度だが、ギルドとサブクエストを含めると100時間以上は軽くかかる。
シヴァリング・アイルズ:精神の神デイドラ「シェオゴラス」が支配する狂気の世界「シヴァリング・アイルズ」を舞台にした大型DLCだ。本編とは全く異なる世界観——狂気と秩序の二極に引き裂かれた異次元で、プレイヤーはシェオゴラス自身の意志に従いながら独自のストーリーを体験する。本編と同等以上のボリュームを持ち、単体で20時間以上楽しめる。シリーズ全体を通じても「最高のDLC」と呼ばれる傑作で、リマスター版でも完全収録されている。
ナインの騎士団(Knights of the Nine):古代の宗教秘蹟を追う物語DLC。プレイヤーは伝説の騎士団の名誉を回復するため、古代遺物を探す旅に出る。
その他の追加DLC:ファイターの城塞、盗賊の隠れ家、魔法使いの塔、呪われた男、精霊の紋章、メフルーンズ・レイザー、馬の鎧パック——これらが全て収録されている。
デラックス版にはさらにアカトッシュとメフルーンズ・デイゴンの専用武具セット、デジタルアートブック、デジタルサウンドトラックが含まれる。
探索とクラフト——生きた世界の細部
シロディールには数百のロケーションが点在している。帝都インペリアルシティを始め、アンヴィル、ブラヴィル、コロール、レイアウィン、スキングラッドなど個性のある街が複数あり、それぞれ固有のクエストと住人が存在する。
ダンジョンの種類も多様だ。アユレイド(古代エルフ)遺跡、山賊の砦、骸骨が待ち受ける廃墟、地下都市と化した大型洞窟——それぞれ視覚的に異なり、探索の飽きが来ない。
エンチャント(武器・防具への魔法付与)とポーション調合はOblivionのクラフト要素だ。薬草を組み合わせてポーションを作り、武器にソウルジェムを使って魔法効果を付与する。市販品にはない性能の装備を自作で組み上げる楽しさは独特だ。
人気の理由
2006年に初登場して以来、Oblivionは「伝説のゲーム」として語られてきた。なぜこのゲームがここまで根強い人気を持ち、リマスター版でも400万人を超えるプレイヤーを獲得できたのか。その理由を掘り下げる。
「何でもできる自由度」が本物
「このゲームでは何でもできます」という宣伝文句は多くのゲームが使う。しかしOblivionはそれを本当に体現している数少ない作品のひとつだ。
勇敢な戦士として帝国を救いに行くこともできる。盗賊として商人から品物を盗み続け、ギルドのボスに上り詰めることもできる。魔法使いとして各地の魔術師ギルドを訪ね歩き、禁断の魔法を研究することもできる。暗殺者として依頼をこなしながらダークブラザーフッドの内側に入り込むこともできる。これらを同時並行で進めることも、どれかに絞ることも自由だ。
しかもこの自由度は「主人公の役割だけ」ではない。農家の家から野菜を盗んで市場に売ることができる。旅人を倒して装備を奪うことができる(その代わり指名手配になる)。NPCに話しかけ続けて信頼度を上げ、より高い報酬のクエストを引き出すこともできる。世界のあらゆる要素に対してプレイヤーが「どう接するか」を選べる設計が、Oblivionを単なるゲームではなく「生活できる世界」にしている。
シヴァリング・アイルズという奇跡のDLC
Oblivionを名作と呼ぶ人間の多くが「シヴァリング・アイルズが最高だった」と言う。このDLCは本編とは全く別の世界観で展開され、狂気の神デイドラ「シェオゴラスの島」を舞台にしている。
光と影、活気と腐敗が混在する異次元の世界で、プレイヤーはシェオゴラスに気に入られ、その意志を実行する役割を担う。物語の進行とともに明かされる「なぜこの世界が存在するのか」という真実は、メインクエスト以上の深みを持っている。
世界観のデザインが素晴らしい。通常のタムリエルとは全く異なる建築様式、生き物、音楽——すべてが「狂気の神の領域」を表現するために設計されている。中世的なシロディールから突然飛び込む異次元感が、プレイヤーの期待を良い意味で裏切り続ける。
リマスター版で現代のグラフィックと照明が加わったことで、シヴァリング・アイルズの幻想的な風景はさらに印象的になった。オリジナル版を知っているプレイヤーが「リマスターで一番良くなったのはここ」と語る声が多い。
NPCの生活感と世界の「手作り感」
Oblivionのシロディールには、現代のオープンワールドゲームと比較しても独特の「手作り感」がある。
NPCは自分のスケジュールを持ち、街の中を移動し、食事をとり、知人と会話し、夜になれば眠る。このラダント(放射状)AIと呼ばれるシステムは2006年当時は画期的だったが、今でも「世界が動いている感覚」を与える点で機能している。
クエストの多くが「特定の人物の生活」に密着している。農民の息子が行方不明になった話を追えば、その地域の人間関係が浮かび上がる。街の有力者が秘密の儀式に関わっているらしいという噂を調べれば、街全体の裏の顔が見えてくる。世界の「住人たちの生活」から有機的にクエストが生まれる設計が、探索に意味を与えている。
スケールの大きなメインクエストとギルドの物語
2006年のゲームとしてもメインクエストの規模は大きかったが、何よりギルドクエストの完成度が現在も語られ続ける理由のひとつだ。
盗賊ギルドのグレイフォックスを巡るストーリーは、推理小説的な謎解きと感情移入できるキャラクターの組み合わせで「小説として読んでも成立する」レベルの完成度を持つ。暗殺者ギルドのクエストラインは組織内の裏切りと秘密の歴史が絡み合う重厚な構成だ。シヴァリング・アイルズはシェオゴラスというキャラクターが圧倒的な魅力を持ち、「ゲームで出会った最高のキャラクター」として名を挙げるプレイヤーが今も多い。
2025年に新しく生まれた理由——UE5のビジュアル革命
リマスター版が「昔のファンの懐古需要」だけで400万人を集めたわけではない。多くのプレイヤーにとってOblivionが「初体験」だった。
Unreal Engine 5によって作り直された映像は、「なぜこれが名作なのか」を視覚的に伝えることに成功している。2006年版のグラフィックを「古い」と感じて手が出なかった人間が、リマスターによって初めてこの世界に踏み込んだ。「Skyrimを遊んで感動したのと似た感覚があった」「こういうゲームを待っていた」という声が、新規プレイヤーから多く聞かれた。
シロディールの森に朝の光が差し込む景色、帝都の石畳を雨が濡らす夜、洞窟の奥から聞こえる水音——環境表現の向上がゲームへの没入感を根本的に高めた。「映像として美しい場所に存在できる」という体験が、現代のプレイヤーにも届く形でOblivionを届けることに成功した。
気をつけておきたい点

Oblivion Remasteredはよくできたリマスター作品だが、購入前に知っておくべき問題点もある。正直に書く。
PC版のパフォーマンス問題
これが最も大きな懸念点だ。SteamのユーザーレビューでもPC版への不満として「最適化不足」が一番多く指摘されている。
推奨スペック(NVIDIA RTX 2080、RAM 32GB)を満たすPCでも、特定のシーン——特に帝都インペリアルシティや人口密集エリア——でフレームレートが落ちる報告が多数ある。Unreal Engine 5特有のシェーダーコンパイルによる処理落ちや、CPU/GPUバランスの最適化不足が原因とされている。
最低スペック(NVIDIA GTX 1070 Ti、RAM 16GB)ではグラフィック設定を大幅に下げる必要があり、リマスターの恩恵を十分に受けられない可能性がある。
一方でPCの個体差による違いも大きく、高スペック環境(RTX 3090以上、RAM 64GB)では安定して動作するという報告も多い。購入前に自分のPCスペックと比較することを強くすすめる。
ゲームプレイシステムの「古さ」
映像は2025年基準でも美しいが、ゲームシステムの土台は2006年設計だ。これは欠点というより「オリジナルへの忠実さ」の結果だが、現代のゲームに慣れたプレイヤーには違和感を感じる部分がある。
NPCの台詞はリマスターされず、オリジナルの音声が使われている。これは声優のパフォーマンスが当時の収録品質のままを意味する。一部のNPCは同じ声優が複数のキャラクターを担当しており、重要NPCと一般市民の台詞に同じ声が聞こえることがある。当時のファンには愛着のある部分だが、初見のプレイヤーには違和感になるかもしれない。
レベルスケーリングシステムも一部プレイヤーには評価が割れる。Oblivionはプレイヤーのレベルに合わせて敵の強さが変動する設計を採用している。これによって「常に適度な緊張感のある戦闘」が維持される利点がある一方、「強くなった感覚が薄い」「早期にレベルを上げすぎると却って高レベル帯の敵が増える」という問題が生まれる。
セーブデータの問題(初期報告)
リリース初期にセーブデータが消えるという致命的なバグが報告された。Steamの最近のレビューで評価が下がった大きな要因のひとつだ。その後のパッチで改善が図られているが、プレイ前に最新のパッチが適用されていることを確認すること、こまめにセーブを複数スロットに残すことを推奨する。
一部バグの残存
大規模なオープンワールドゲームの常として、細かいバグは残っている。NPCが地形にはまる、特定の状況でゲームがクラッシュする、クエストフラグが正しく立たない——これらは現時点でも完全に解消されているわけではない。
ただしOblivionというタイトルは元々「バグもカオスのうち」として長年のファンに愛されてきた側面もある。馬が崖を昇る、バケツを頭に乗せれば泥棒し放題——こうした「システムの隙間から生まれるおかしな挙動」もOblivionという作品のカルチャーの一部だ。どこまでが「バグ」でどこからが「Oblivionらしさ」かは、プレイしていると自然に分かってくる。
ストレージとシステム要件
SSD必須、125GBという要件を確認しておいてほしい。HDDでのプレイは公式にサポートされていない。ロード時間の長さや読み込みエラーに直結するため、SSD上に十分な空き容量を確保してから購入することを強くすすめる。
日本語対応状況
Steam版は日本語テキストに対応している。UIとサブタイトルが日本語で表示される。ただし音声は英語のままで、日本語吹き替えはない。英語が全く分からなくても日本語テキストで十分にプレイできるが、NPCとの会話をより深く楽しみたい場合はある程度の英語リスニングが助けになる。
初心者へのアドバイス
Oblivion Remasteredを初めてプレイする人に向けて、最初の数時間を楽しくするための情報をまとめた。ネタバレなし、攻略というより「ゲームとの向き合い方」に近い内容だ。
キャラクター作成で迷ったときの指針
キャラクター作成は最初の大きな選択だが、深く考えすぎなくていい。後でキャラクターを最初から作り直すこともできるし、最初のキャラで何時間か遊んでみてから作り直すプレイヤーも多い。
種族で迷ったら「インペリアル(帝国人)」か「ブレトン」をすすめる。インペリアルはバランスが良く弁術ボーナスもあるため、どんなプレイスタイルにも対応しやすい。ブレトンは魔法防御が高く、序盤のデイドラ(悪魔的敵対NPCなど)の魔法攻撃が刺さりにくい利点がある。
クラスはカスタム作成がすすめられることが多いが、初見なら既成クラスでいい。「戦士」「ブレード」「スパイ」あたりが汎用性が高く、序盤から使いやすい。
出生星座は「戦士の星座」(近接キャラ向け)か「魔術師の星座」(魔法キャラ向け)がシンプルで分かりやすい。「暗殺者の星座」はステルスと弓のボーナスでシリーズを通じて人気が高い。
メインクエストを急がない
序盤にメインクエストへ誘導される場面があるが、急ぐ必要は全くない。むしろOblivionの醍醐味はメインクエストの外にある。
最初の街(ほとんどの場合、インペリアルシティ近くのコロールかアンヴィルになる)をゆっくり歩いて回ることをすすめる。NPCに話しかけ、「あの廃屋には幽霊が出るらしい」「帝都の地下に奇妙な声が聞こえる」といった噂を聞く。その噂がクエストの入口になっているものが多い。
マーカーのない場所に「なんとなく気になるから」という理由で踏み込んでいくのも良い。予想外の出来事、隠しアイテム、謎めいた場所——それがOblivionの探索だ。
ギルドへの加入は早めに
戦士ギルド、魔術師ギルド、盗賊ギルドは各街に支部があり、加入条件がほぼないため早い段階で入れる。加入さえすれば依頼を受けてコインを稼げるようになり、序盤の資金繰りが楽になる。
自分のプレイスタイルに合いそうなギルドから優先的に進めると、そのギルドのスキルが自然と伸びてキャラクターの成長感を得やすい。戦闘が好きなら戦士ギルド、魔法を使いたいなら魔術師ギルド、こっそり動くのが好きなら盗賊ギルドという直感で問題ない。
ファストトラベルと徒歩探索のバランス
ファストトラベルは便利だが、使いすぎると世界の広さを見失う。序盤のうちは、一度だけでも近くの街まで徒歩や馬で移動してみることをすすめる。道の途中に見つけた遺跡や洞窟の入口は、その後のクエストの入口になっていることが多い。
ファストトラベルは「既に一度訪れた場所」にしか使えない。つまり新しい場所を発見するには自分の足で歩く必要がある。この「新地点の開拓→ファストトラベルが使えるようになる」のサイクルが探索のリズムを作っている。
戦闘は逃げる選択肢を持つ
序盤、明らかに勝てない相手に遭遇することがある。オブリビオンゲートが開いた直後のデイドラや、高レベルの野盗が出現するルートなどだ。そういうときは迷わず逃げる。ステルス状態で通り過ぎる、あるいは別のルートを探す判断が正解のケースも多い。
無理に倒そうとしてHPとポーションを浪費するより、今の自分に適した敵と戦い、スキルを上げてから戻ってくる方が結果的に早い。「あそこの敵が強すぎた」という経験が、その場所に戻る動機になる。
オートセーブを信じすぎない
ゲームにはオートセーブ機能があるが、定期的に手動でセーブする習慣をつけることを強くすすめる。特に長いダンジョンの途中や、難しいクエストの前には必ず手動セーブを。
前述のセーブデータ消失バグのリスクも考えると、複数のセーブスロットに定期的に保存する「ローテーションセーブ」が安心だ。スロット1、2、3を交互に使い続けることで、最悪の場合でも数時間前の状態には戻れる。
バグと遭遇したときの対処
Oblivionはバグが多い作品だ。クエストが進まない、NPCが消えたといった状況に遭遇したとき、まず「その場を離れてゲームを再起動する」を試してほしい。これだけで解決するケースが多い。それでも解決しない場合はコンソールコマンド(PCのみ)で対処できる。Oblivionのコミュニティは長年の蓄積があるため、遭遇したほぼすべてのバグに対処法が存在する。
グラフィック設定のおすすめ
まず「中」設定でゲームを起動し、フレームレートを確認しながら少しずつ上げる方が設定迷子にならずに済む。「グローバルイルミネーション(レイトレーシング)」と「スクリーンスペースリフレクション」はGPU負荷が高い設定なので、スペックに余裕がなければ最初はオフにするのが無難だ。AMD FSR3やNVIDIA DLSSのアップスケーリングも活用してほしい。
まとめ
The Elder Scrolls IV: Oblivion Remasteredは、19年越しの帰還にふさわしい作品になっている。
グラフィックが綺麗になっただけのリマスターではない。Unreal Engine 5で作り直されたシロディールの風景は、2006年当時のプレイヤーが「こうだったはずだ」と想像していた景色に驚くほど近い。朝霧の中に浮かぶ帝都の塔、秋の森に差し込む夕陽の光、洞窟の深部に揺れる炎——これらを現代のモニターで体験できることは、単純に価値がある。
そして映像の外、ゲームの核心にあるものは2006年から変わっていない。広大な世界をどう歩くかはプレイヤーが決める。誰と話し、何を追いかけ、どんな役割を演じるかは自分次第だ。メインクエストを10分で忘れるほど面白いサブクエストに夢中になっても、戦士ギルドを途中で放り出して魔術師の修行に転向しても、それがOblivionのプレイだ。
「自由なRPG」と言われるゲームは数多いが、Oblivionがその代名詞として語り継がれてきた理由は、自由の設計が本質的なところまで届いているからだ。世界に干渉する手段が多く、その干渉に世界が反応する。その反応がまた新たな物語を生む——この循環が止まらないから、プレイヤーが世界から離れられなくなる。
シヴァリング・アイルズのクエストラインを追い終えたとき、多くのプレイヤーが「こんな体験ができるとは思っていなかった」という感覚を味わう。シェオゴラスというキャラクターが最後に言う言葉は、長い冒険の締めとして記憶に刻まれる類のものだ。
PC版のパフォーマンス問題は確かに存在する。バグも残っている。ゲームプレイシステムの「古さ」を感じる場面もある。これらを知った上でプレイしてほしい。
ただそれらを差し引いても、Oblivion Remasteredが提供する体験の総量は圧倒的だ。本編だけで100時間、シヴァリング・アイルズとギルドクエストをすべて追えば200時間以上——そしてそのほとんどが「もっとやりたい」という気持ちで続く時間だ。
Skyrimに感動した人、Elden Ringで広大な世界を駆けた人、昔のOblivionを懐かしく思っている人——三者それぞれに届くものがある。
最初の牢獄を抜けてシロディールの空の下に出た瞬間、この世界と長い付き合いが始まる予感がするはずだ。その予感は正しい。
The Elder Scrolls IV: Oblivion Remastered
| 価格 | ¥6,930 |
|---|---|
| 開発 | Bethesda Game Studios, Virtuos |
| 販売 | Bethesda Softworks |
| 日本語 | 非対応 |
| 対応OS | Windows |
| プレイ形式 | シングル |

