「DARK SOULS II: Scholar of the First Sin」死に学ぶ孤独な旅の記録

「死んで覚えるゲームなんでしょ?」——そう言いながらも、気づけば10時間連続でプレイしていた。

DARK SOULS IIとの最初の出会いは、正直あまり良いものではなかった。チュートリアルを抜けた直後の森で犬に囲まれ、あっけなく死んだ。積み上げていたソウルを取り戻そうとして、また死んだ。そこで一度コントローラーを置いた。

だが翌日、何かに引っ張られるように起動した。前日死んだ場所で犬を一匹ずつ引き離して倒した。次の敵の動きを観察して、攻撃パターンを頭に入れた。ボスに15回死んで、16回目に倒した瞬間、胸の底から何かがこみ上げてきた。

あれはなんだったのか。達成感、と言えば薄い。もっと根本的な何か——「本当に自分の力でやった」という感覚だ。攻略サイトを見ていない。難易度を下げていない。誰かに助けてもらっていない。自分の失敗から学んで、自分の判断で突破した。

DARK SOULS IIは2014年にフロム・ソフトウェアが発売したアクションRPGで、「Scholar of the First Sin」はその完全版。全DLC収録で敵配置や難易度も調整されたバージョンだ。SteamでのAppIDは335300。Steamのユーザーレビューは「非常に好評」で、シリーズの中では賛否の分かれる立ち位置にありながら、長年にわたってプレイされ続けている。

このゲームがなぜ今もここまで語られるのか。何がそれほど特別なのか。正直な目線で書いていく。

目次

こんな人に読んでほしい

DARK SOULS™ II: Scholar of the First Sin その他RPG スクリーンショット1

DARK SOULS IIは全員に向いているゲームではない。始める前に自分がどちらかを確認してほしい。

こんな人には強くすすめる:

  • 「難しいゲームをクリアしたい」より「難しいゲームと向き合いたい」という気持ちがある人
  • 失敗を繰り返しながら少しずつ上達していく過程に喜びを感じる人
  • ゲームに手取り足取り教えてもらうより、自分で試行錯誤して発見したい人
  • ダークファンタジーの世界観・雰囲気を味わいたい人
  • キャラクタービルドをじっくり考えて育成するのが好きな人
  • 他プレイヤーと協力したり、逆に侵入されて戦ったりするPvPに興味がある人
  • 「Elden Ring」「DARK SOULS III」が楽しかったので、シリーズをさかのぼりたい人
  • 150〜200時間以上の長丁場に耐えるコンテンツ量を求めている人

正直きつい場面が多いかもしれない人:

  • 死亡のたびにペナルティがあることへのストレスが強い人
  • 明確な目標提示がないと何をすればいいか迷ってしまう人
  • 「理不尽な難しさ」と「適切な難しさ」の区別がつきにくい段階の人
  • アクションゲームにあまり慣れていない人(操作感の習得にかなり時間がかかる)
  • シリーズ初作として「一番入りやすい作品を選びたい」という人(Elden Ringや1作目の方が入りやすい)

特に伝えておきたいのは「Elden Ringが好きだった人」へ向けてだ。DARK SOULS IIはElden Ringや他のSOULSシリーズと比べて操作感・テンポが異なる。動きが重く、1アクションの重みが増している。ここを「古くて不便」ではなく「独自のリズムがある」と受け取れるかどうかが、このゲームとの相性を左右する。

ゲーム概要

DARK SOULS II: Scholar of the First Sinは、フロム・ソフトウェアが開発し、バンダイナムコゲームスが発売したアクションRPGだ。オリジナルのDARK SOULS IIは2014年3月13日にリリースされ、Scholar of the First Sinは2015年4月1日に発売された完全版にあたる。Steam AppIDは335300。

ジャンルはアクションRPG。プレイヤーは「呪われた不死者」として、ドラングレイグという滅びかけた王国を旅する。目的はシンプルだ——呪いを解くために4つの強大なソウルを集め、王に謁見すること。しかしその道のりは一筋縄ではいかない。

Scholar of the First Sinが通常版と異なる点は大きく3つある。まず全DLC3本が最初から含まれている。次に敵の配置が変更・強化されており、通常版を知っている人間でも新鮮な発見がある。そして最大16人でのオンラインプレイに対応するサーバーの改善が施されている。PC版のSteamで現在購入できるのはこのScholar of the First Sinのみなので、新規購入者は全DLC込みの状態からスタートできる。

開発は前作ダークソウルを手がけた宮崎英高がスーパーバイザーに退き、渋谷知広と谷村唯の2人がディレクターを務めた。この体制変更はリリース時から話題になり、シリーズとしての評価が割れる一因にもなった。とはいえ250万本以上のセールスを記録したことも事実で、2014年の日本ゲーム大賞では優秀賞を受賞している。

Steamでのユーザーレビューは「非常に好評」の評価を維持しており、シリーズの中では独自のファン層を持つ一作だ。「あの重くて独特な操作感が好き」というプレイヤーが多く、SOULSシリーズの中で最もリプレイされているという声もある。

舞台——ドラングレイグという滅びた王国

ゲームの舞台となるドラングレイグは、かつて強大な力を誇った王国だ。プレイヤーが到達したときにはすでに滅びの縁にあり、王城は半ば廃墟、街には人の気配がなく、各地には狂った騎士や怪物が跋扈している。

なぜ滅びたのか。誰が王なのか。不死の呪いとは何なのか——ゲームは答えを直接教えてくれない。アイテムの説明文、朽ちた碑文、生き残ったNPCのわずかな言葉から、プレイヤーが自分で推理して世界の真実に近づいていく。この「世界の読み解き」こそ、SOULSシリーズ共通の魅力のひとつだ。

マップ構成は独特で、現実的な地理的つながりよりも「場所の印象」でつながっている感覚がある。森を抜けたら巨大な砦、砦の地下から海辺の城塞、城塞から溶岩地帯へ——移動すると世界の法則が少しずつ変容しているような奇妙な感覚が続く。これをゲームの欠点と取るか、意図された演出と取るかはプレイヤーによって分かれるが、その異様な雰囲気こそが本作の世界観の核心でもある。

ゲームシステムの詳細

DARK SOULS™ II: Scholar of the First Sin その他RPG スクリーンショット2

DARK SOULS IIのゲームシステムは、一見シンプルに見えて非常に深い。「攻撃・防御・回避」の基本動作の背後に、スタミナ管理、重量制限、武器耐久、キャラクタービルドが複雑に絡み合っている。

基本戦闘——スタミナと重量が戦いを決める

DARK SOULS IIの戦闘で最も重要な概念は「スタミナ」だ。攻撃、防御、回避、走りのすべてがスタミナを消費する。スタミナが尽きた状態では何もできない。スタミナ切れで動けなくなった瞬間、敵の攻撃を受けてしまう——この緊張感が常に戦闘に張り詰めている。

次に「重量比率(装備重量÷最大装備重量)」がある。装備が重すぎると回避の速度と距離が落ちる。ローリング(回避)が遅くなれば被弾が増える。重い鎧で防御を固めるか、軽い装備で機動力を確保するか——この選択がビルドの根幹になる。

攻撃は通常攻撃(R1)、強攻撃(R2)、ガード(L1)、パリィ(L2)が基本。盾でガードすると相手の攻撃を受け流せるが、それでもスタミナを消費する。大型武器の攻撃をガードし続けると、スタミナが尽きてガードが崩れて大ダメージ——これがガードブレイクだ。

パリィはタイミングよく盾を構えることで相手の攻撃を受け流し、クリティカルダメージを与えるテクニック。難易度は高いが、決まったときの爽快感は格別だ。

ホロウイング——死が体を蝕む独自システム

DARK SOULS IIの最大の特徴のひとつが「ホロウイング」だ。プレイヤーキャラクターはゲーム開始時から不死の呪いにかかっており、死ぬたびに最大HPが少しずつ減少していく。最終的には最大HPの半分まで下がる。

「人の像(Human Effigy)」と呼ばれるアイテムを使うと一時的に完全な姿に戻れる。完全な姿の時は最大HPが全快するだけでなく、他プレイヤーの召喚(協力プレイ)が可能になる。逆に言えば、人の像を使わないと最大HPが減り、かつ協力プレイも制限される。

この仕組みがゲームに独特の緊張感を与えている。序盤は人の像の在庫が少なく、常にホロウ状態で戦い続けることも多い。HPが減った状態で難所に挑む体験が、本作の独特の重苦しさにつながっている。慣れてくると「ホロウ状態でも攻略できる」という確信が生まれ、焦らなくなる。

適応力——DARK SOULS II独自のステータス

他のSOULSシリーズにはない、本作独自のステータスが「適応力(ADP)」だ。このステータスが上がると「機敏さ」というサブステータスも上昇し、アイテム使用や攻撃後の硬直が短くなる。特に重要なのがローリングの無敵フレーム数——適応力が低いと回避しても攻撃が当たってしまうことがある。

初心者が「なぜ回避したのに当たるんだ」と感じる大きな原因がこれだ。適応力をある程度上げることで回避性能が向上し、戦闘が大きく楽になる。ゲームが公式に教えてくれないこの仕様を知っているかどうかで、序盤の難易度が大きく変わる。

レベルアップシステム——ソウルと7つのステータス

レベルアップには「ソウル」を消費する。ソウルは敵を倒すと獲得でき、篝火にいる老婆「エンゲル」に渡すことでレベルアップできる。死ぬとソウルをその場に落とし、もう一度死ぬと完全に消滅する。

上げられるステータスは以下の7つだ。

  • 活力(VGR):HPの上限値。生存力に直結する
  • 持久力(END):スタミナと最大装備重量。戦闘の余裕度に関わる
  • 生命力(VIT):最大装備重量に大きく影響する。重装備プレイには必須
  • 適応力(ADP):機敏さを通じてローリングの無敵時間やアイテム使用速度に影響
  • 筋力(STR):大型武器の使用条件と物理攻撃力に影響
  • 技量(DEX):素早い武器・弓の使用条件と攻撃力に影響
  • 理力(INT):ソーサリー(魔術)の威力と使用条件
  • 信仰(FTH):ミラクル(奇跡)の威力と使用条件

どのステータスを重点的に上げるかで、ビルドのコンセプトが決まる。筋力特化で大剣を振るうか、技量特化で素早い攻撃を連打するか、魔術師として安全距離から攻めるか——同じゲームでも全く違う体験になる。

武器と強化——多彩な選択肢と育成

本作の武器カテゴリは非常に豊富だ。直剣、大剣、超大剣、槍、槌、大槌、斧、大斧、刺突剣、曲剣、曲大剣、片手剣、ハルバード、鎌、杖、チャイムと多岐にわたる。さらに各カテゴリ内に複数の種類があり、それぞれ攻撃範囲・モーション・スタミナ消費が異なる。

武器は「強化素材」を使って+1から最大+10まで強化できる。強化すれば基礎ダメージが上がるが、素材の入手難易度も上がる。さらに属性付与も可能で、炎、雷、暗の属性を追加できる。ただし属性付与すると補正値がなくなるため、ステータス育成との兼ね合いを考える必要がある。

ボスを倒すと入手できる「ボスソウル」を使って特殊な武器を作れる点も本作の特徴だ。各ボスに対応した固有武器があり、ビジュアルとスキルの両面でユニーク。コレクター心理をくすぐる要素のひとつだ。

魔法システム——4種類の魔法

DARK SOULS IIの魔法は4つの系統に分かれている。

ソーサリー(魔術)は「杖」を使って詠唱する知性寄りの魔法だ。遠距離から高ダメージを与えるものが多く、魔術師ビルドの主力になる。魔力の奔流、結晶魔力の奔流などが代表的。近接が苦手なプレイヤーに人気が高い。

ミラクル(奇跡)は「チャイム(鐘型の触媒)」を使って信仰寄りで詠唱する。回復魔法が中心で、補助・回復特化のプレイに向く。ライトニングスピアのような攻撃系ミラクルもある。

パイロマンシー(炎術)は炎系の魔法だ。本作では炎術に理力と信仰の両方が影響するため、ソーサリーとミラクルの中間的なビルドが炎術師になる。

ヘクス(呪術)は本作で新登場した魔法系統で、理力と信仰の両方を必要とする。ダークソウル(闇のソウル)を消費して使うものが多く、序盤の調達が大変だが火力は高い。中でも「黒炎の嵐」は対人戦で猛威を振るうことで有名だ。

スタートクラスの選択

ゲーム開始時に8つのクラスから選択する。ただしクラスはあくまで初期ステータスと装備の違いに過ぎず、その後の育て方次第でどんなビルドにも変更できる。

  • 戦士:筋力と技量のバランス型。物理近接戦の入門として標準的
  • 騎士:HPと適応力が高め。盾を持ったガード型に向く初心者寄りのクラス
  • 剣士:技量が最も高く、二刀流用の武器2本で始まる。素早いスタイルに向く
  • 盗賊:高い毒耐性と弓を持ち、弓や軽量装備寄り
  • 聖職者:信仰が高くミラクル系の入門に向く
  • 魔術師:理力が高くソーサリー系の入門に向く
  • 探検家:バランスが良く消耗品が豊富。初心者でも安定しやすい
  • 放棄者:レベル1から始まるチャレンジ用クラス。経験者向け

初心者には「騎士」か「探検家」をすすめる。騎士はHPと初期装備のバランスが良く、探検家は補助アイテムが多くて序盤の余裕が生まれやすい。

マルチプレイ——協力と対人戦

DARK SOULS IIのマルチプレイは、サインを使った召喚システムと、他プレイヤーの世界に「侵入」するシステムの2種類が基本だ。

協力プレイでは、白サインロウソクを使って地面に召喚サインを書く。ホスト(人の像を使って完全な姿になったプレイヤー)がサインを踏むと召喚され、一緒にボスに挑める。ボスを倒すとホストのボスが撃破され、ゲストは自分の世界に帰還する。

侵入は「赤目の球」などを使って他のプレイヤーの世界に侵入し、倒すことを目指すシステムだ。成功すると大量のソウルが手に入る。ホスト側からすると「突然見知らぬ敵が出現する」緊張感が生まれ、これもまたSOULSシリーズの醍醐味のひとつとして語られる。

本作で特徴的なのが「ソウルメモリー」によるマッチングだ。累計獲得ソウル総量でマッチング範囲が決まるため、序盤は同じくらいの段階にいるプレイヤーとしか繋がらない仕組みになっている。

また「誓約」システムもマルチプレイに影響する。「青い守護者」「鎌の赤い目」「鏡の騎士」など複数の誓約があり、加入した誓約によって特殊な役割での侵入やサポートが発生する。

Scholar of the First Sinの追加・変更内容

単なる「全部入り」ではない。Scholar of the First Sinは通常版からいくつかの実質的な変更が加えられている。

最も大きな変更が敵配置の見直しだ。通常版では特定の場所にいなかった敵が追加されていたり、敵のパターンが異なる箇所がある。通常版を先に遊んでいたプレイヤーからは「知っているつもりが騙される」という声が上がっており、リプレイの新鮮さにつながっている。

「初罪者(Scholar of the First Sin)」というNPCが追加され、謎めいたヒントを語りながら物語の一端に絡んでくる。通常版では掘り下げられなかった設定が補完されており、ストーリー面での厚みが増している。

グラフィックの改善も施されており、DirectX 11対応によって影の質や水面の描画が向上している。2015年のゲームとしては既に古いビジュアルだが、通常版と比較すると確かに差がわかる。

全DLC「失われた王冠3部作」が収録されている点も見逃せない。DLCはそれぞれ独立したエリアと物語を持っており、ボスの質という面では本編のボスを上回るとも言われるコンテンツだ。後の章で詳しく触れる。

3本の大型DLC——失われた王冠三部作

DARK SOULS™ II: Scholar of the First Sin その他RPG スクリーンショット3

Scholar of the First Sinに収録されている3本のDLCは「失われた王冠三部作(The Lost Crowns Trilogy)」と呼ばれる。本編とは独立したエリアと物語を持ち、DARK SOULS IIの評価を語るうえで避けては通れない存在だ。

王者の冠:深淵の王(Crown of the Sunken King)

ピラミッド型の構造物が立ち並ぶ地下洞窟が舞台。独特の階層構造を持つレベルデザインが特徴で、縦横に入り組んだ通路と仕掛け扉が複雑に絡み合う。

このDLCで特筆すべきは「ナシャンドラ女王」「スィン、まどろみの竜」「シン(Sinh, the Slumbering Dragon)」といった強敵ボスとの戦いだ。特にスィンは本作のボスの中でも「名戦」として語られることが多い。竜という外見を活かした戦闘パターンが独特で、倒したときの達成感は格別だ。

王者の冠:鉄の古王(Crown of the Old Iron King)

灰に包まれた廃城が舞台。過去の栄光の残滓が漂う廃墟で、本作でも特に雰囲気が良いと評判のDLCだ。

このDLCを名作たらしめているのが「フュームナイト(Fume Knight)」との戦いだ。ルメリウスというNPCの話から想像できる重厚な背景を持つ騎士で、第二形態での覚醒後に巨大な黒い炎の大剣を振るう姿は壮絶。コミュニティから「DARK SOULS IIで最も難しいボス」のひとつに挙げられ続けており、30回・50回と死んだプレイヤーの体験談が今も語られる。

また「サー・アロンネ(Sir Alonne)」も本作屈指の名ボスだ。刀を持つ鎧武者のような外見で、居合の動きを持つ独特の戦闘スタイル。美しい剣士との命がけの決闘という体験が味わえる。

王者の冠:象牙の王(Crown of the Ivory King)

白銀の雪山と氷に覆われた世界が舞台。過酷な吹雪の中を進む独特の体験と、凍り付いた遺跡の静けさが印象的だ。

このDLCの目玉は協力プレイを活かした独特のボス戦設計だ。ストーリーの流れで複数の協力NPCを仲間にしながら最終ボスに挑む構成があり、「仲間と共に戦う」という感覚を演出している。

「ファルマス、獣の鎖(Aava, the King’s Pet)」「焼けた象牙の王(Burnt Ivory King)」との戦いはいずれもロケーションの美しさと合わさって記憶に残る。

3本のDLCを通じて言えることは「本編のボスより水準が高い」という評価が多いことだ。本編でボス戦の質にやや物足りなさを感じたプレイヤーほど、DLCのボスに感動する傾向がある。Scholar of the First SinでDLC込みのボリュームと質を体験できることが、本バージョンの最大の価値のひとつだ。

なぜDARK SOULS IIは今も語られるのか

SOULSシリーズの中でDARK SOULS IIは最も賛否が分かれる一作だ。それでも今もなお熱心なプレイヤーに支持され、コミュニティでの議論が絶えない。なぜこれほど語られ続けるのか。

ビルドの多様性が際立っている

DARK SOULS IIはシリーズの中で最もキャラクタービルドの自由度が高いと言われる。本編に加えDLC3本分のボスソウル武器があり、4種類の魔法系統それぞれに多数のスキルが存在し、誓約によって異なるプレイスタイルが生まれる。

筋力特化でウルトラグレートソードを振り回すビルドもあれば、二刀流で素早く立ち回るビルドも、ヘクスで闇の魔法を連射するビルドも成立する。強化素材の組み合わせ次第で同じ武器でも全く違う性能になる。この「自分だけのビルドを作る」楽しさが、2周目・3周目へとプレイヤーを引き込む。

コンテンツ量が圧倒的

本編だけでも40〜60時間、DLC3本を含めれば80〜100時間以上のコンテンツがある。さらに「周回プレイ(NG+)」では敵の配置が変わり難易度も上昇する。NG+7まで存在するため、単純な足し算で数百時間のコンテンツが用意されている。

Steamのレビューを見ると「プレイ時間300時間」「400時間」という数字が珍しくない。これほど同一タイトルをやり込める理由の多くが「ビルドを変えて別の体験ができること」「難関ボスを越えることへの執着」にある。

「あの重さ」が他にない体験を作る

本作への批判として「動きが重い」という声がある。確かにElden RingやDARK SOULS IIIと比べると、キャラクターの動作が鈍く、スタミナ消費も大きい。アクションとしての「小気味よさ」は意図的に抑えられている。

しかしこれを愛するプレイヤーたちにとって、この重さこそが「落ち着いた戦略的思考を要求するSOULS」の魅力だ。敵の攻撃をしっかり見て、間合いを計って、最善の一手を選ぶ。焦って動いたら負ける。「ゆっくり考えて確実に動く」という戦い方が自然に身につく設計になっている。

世界観と物語の奥行き

ドラングレイグの歴史は断片的にしか語られない。アイテムの説明文を丁寧に読むと、なぜ王国が滅びたのか、各地に散らばった遺体の正体は何なのか、呪いの根源は何なのかが徐々に見えてくる。

特に本作が示す「輪の繰り返し」という概念は、DARK SOULSシリーズ全体のテーマにつながる。なぜ不死の呪いは消えないのか、なぜ同じことが繰り返されるのか——これを「ゲームとして」体験させる設計が、プレイ後も長く頭に残る。

強ボスのフラストレーションと達成感の振れ幅

前述のフュームナイトやサー・アロンネは、死ぬたびに「なぜ死んだか」が明確だ。見切れなかった動き、スタミナの管理ミス、位置取りの失敗——原因がわかるから「次はこうする」という改善案が生まれる。そして改善した結果が確実に勝率に反映される。

「理不尽な死」ではなく「学習可能な死」——これがSOULSシリーズ全体の設計哲学だが、DARK SOULS IIのボスはその哲学を特にDLCで体現している。フュームナイトを初めて倒したときの体験を「人生で最高の達成感のひとつ」と語るプレイヤーが一定数いる理由はそこにある。

気をつけておきたい点

DARK SOULS™ II: Scholar of the First Sin その他RPG スクリーンショット4

DARK SOULS IIに対してフェアに語るなら、批判的な側面も正直に書いておく必要がある。

本編ボスの質にムラがある

コミュニティで最も指摘されることのひとつが「本編ボスの質が一定でない」ことだ。複数の雑魚敵を同時に出してくるだけのボスや、動きが単調で強さがHP量に依存しているように感じるボスが本編に混在している。

DLCボスの完成度が高いだけに、本編の一部ボスとのギャップが目立つ。「本編を我慢してDLCの名ボスに会いに行く」という体験になるケースもある。

ワールドマップの地理的整合性

一部のエリア間の地理的な接続に違和感がある。現実的に考えると「なぜここがここにつながっているのか」と疑問に思う場所がいくつか存在する。

これはフロム・ソフトウェア側も認識しており、「夢か現か曖昧な世界」という設定上の意図として語られることもある。ただし1作目のように「すべてが有機的につながっている地理美」を期待するプレイヤーには違和感として残るだろう。

ホロウイング(最大HP減少)の心理的負担

死ぬたびにHPが減るシステムは、序盤のうちは「ずっと不利な状態で戦っている」感覚になりやすい。人の像の入手を意識しないと、HPが半分になった状態で難所に挑み続けることになる。

「なぜ死ぬんだろう」と思っていたら実は最大HPが半分になっていた——というケースは初心者に起こりがちだ。ホロウイングの仕組みを理解してから臨めば問題は少ないが、知らないとただ苦しいだけになりやすい。

ゲーム内での説明不足

前述の「適応力(ADP)」の仕様を筆頭に、ゲームが直接説明しない重要な仕様がいくつかある。「なぜ回避しても当たるのか」「なぜスタミナがすぐ尽きるのか」「なぜ人の像を使わないとHPが戻らないのか」——これらをゲーム内で学ぶには時間がかかる。

WikiやRedditを参照することに抵抗のない人なら問題ないが、「何も調べずに全部ゲームから学びたい」という人は苦労する場面が多い。

日本語環境について

Steam版はデフォルトで日本語対応している。テキスト・UI・ボイスともに日本語で問題なくプレイできる。

初心者へのアドバイス

DARK SOULS IIを始める人に向けて、筆者がプレイして実感した「知っておけばよかった」ことをまとめた。攻略情報ではなく、ゲームとの向き合い方に近い内容だ。

最初の選択:クラスは騎士か探検家にしておく

ゲーム開始時のクラス選択で迷ったら「騎士」をすすめる。初期HPが高く、盾を持った安定した装備でスタートできる。適応力もそこそこあり、序盤のローリング性能が確保されやすい。

「探検家」も良い選択肢だ。ステータスのバランスが良く、初期アイテムに消耗品が多いため序盤の余裕が生まれやすい。どちらを選んでも、その後の育て方次第でどんなビルドにも変更できる。

適応力はある程度上げておく

序盤から意識してほしいのが「適応力(ADP)」のステータスだ。これが低いとローリングの無敵時間が短く、回避してもダメージを受ける場面が増える。目安として機敏さが20前後になるまで適応力を上げておくと、戦闘が格段に楽になる。

機敏さは適応力だけでなく俊敏力(AGL)というサブステータスで確認できる。ステータス画面で確認しながら、焦らず適応力に数ポイント振ることを意識してほしい。

篝火を探してソウルを使い切る習慣をつける

SOULSシリーズ共通のアドバイスだが、貯め込んだソウルはさっさと使うことを意識してほしい。「もう少し集めたら一気にレベルアップしよう」と溜め込んでいると、難所で全部失う羽目になる。

篝火を見つけたら、その都度レベルアップか消耗品購入に使う習慣をつける。死んで失うソウルの量を小さくしておくことが、精神的に楽にプレイするコツだ。

人の像は適切なタイミングで使う

「人の像」は大切に使いたいと思いがちだが、ボスの前には使うことをすすめる。最大HPが全快した状態でボスに挑む方が、その後の試行回数が圧倒的に減る。ホロウ状態のまま何十回も挑むより、完全な姿で挑んで早めに突破できた方が人の像の消費量は少なくなることが多い。

また協力プレイを利用する場合も完全な姿が必要なので、特に苦手なボスの前では人の像を惜しまないようにしたい。

焦って進まず「観察」を意識する

死んだとき、最初の数秒で「なぜ死んだか」を自問してほしい。「敵の攻撃モーションが読めなかった」なら次の挑戦では攻撃を待って動きを見る。「スタミナが切れた」ならガードを続けすぎている。「複数体に囲まれた」なら引き付け方を変える。

DARK SOULS IIは「力技」で押せるゲームではない。観察して、考えて、試す——これを繰り返すゲームだ。死ぬことへのストレスを「失敗」ではなく「情報収集」と捉え直せると、このゲームとの関係が変わる。

攻略サイトとの付き合い方

最初から全部調べることも、一切調べないことも、どちらも極端だ。NPC関連のイベントは特にフラグ管理が複雑で、知らないと進行できなかったり永久に消えてしまったりするケースがある。

「詰まったら調べる」「NPCイベントは気になったら調べる」というスタンスが多くのプレイヤーにとって最も楽しめるバランスだと思う。ゲームとの戦いは自分でやって、NPC関係の複雑なフラグは詰まったときに調べる——このくらいの距離感で十分だ。

DLC3本は本編クリア後に

Scholar of the First SinにはDLC3本が含まれているが、DLCの難易度は本編より高い。特定の条件を満たすと本編中盤から入れるが、初見プレイでは本編クリア後に挑むことを強くすすめる。本編を通してゲームのルールと操作感を体に染み込ませてからDLCに挑む方が、確実に楽しめる。

まとめ

DARK SOULS II: Scholar of the First Sinは、2024年の目で見ても特別な一作だ。

グラフィックは最新タイトルに敵わない。UIの説明は今のゲームと比べると手薄だ。本編ボスの質には確かにムラがある。シリーズの中では「宮崎作品ではない」という文脈で語られることもある。批判される点はある。

それでもこのゲームが今も新たなプレイヤーを惹きつけ、ベテランが何百時間もやり込み続ける理由は、他では再現できない体験がここにあるからだ。

「死に学ぶ」という体験が、これほど純粋に設計されているゲームは少ない。失敗に怒りを感じながらも、「なぜ失敗したか」が見えている。見えているから諦めない。諦めないから越えられる。越えたときに残るものが、他のゲームでは得られない種類のものだ。

ビルドの多様性は100時間では遊び尽くせない。DLC3本のボスには「DARK SOULS IIのボスがどれほど高い水準に達しうるか」が刻まれている。フュームナイトを越えた先に見える景色は、間違いなく本物だ。

SOULSシリーズをさかのぼりたい人、Elden Ringでシリーズにはまった人、あるいは「本当に難しいアクションRPGを一本やり切りたい」という人——DARK SOULS II: Scholar of the First Sinは、その問いに対する確かな答えになれる一作だと思う。

最初の10時間は苦しいかもしれない。でも30時間後には、この世界から離れられなくなっているはずだ。

DARK SOULS™ II: Scholar of the First Sin

FromSoftware, Inc.
リリース日 2015年4月8日
サービス中
同時接続 (Steam)
1,465
2026/04/17 アジア圏ゴールデンタイム計測
レビュー
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価格¥5,720
開発FromSoftware, Inc.
販売Bandai Namco Entertainment, FromSoftware, Inc.
日本語非対応
対応OSWindows
プレイ形式シングル / マルチ
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