STAR WARS Empire at War Gold Pack|銀河の覇権をかけた宇宙戦略RTSの決定版
スター・ウォーズのゲームはたくさんあるけれど、「銀河を支配する側」に立つゲームとなると、話は一気に絞られる。シューターで反乱軍を撃ち、アクションでジェダイを操る——それも面白いが、Empire at Warはそのどちらでもない。惑星一つひとつを征服し、宇宙艦隊を編成し、地上部隊を送り込んで星系を制圧していく。スター・ウォーズの世界を「戦略ゲーム」として遊ぶ、そのコンセプト自体がこのゲームを唯一無二にしている。
2006年にPetroglyph Gamesが開発しLucasArtsが発売したSTAR WARS: Empire at Warは、発売から約20年が経過した現在も、Steamで「圧倒的に好評(97%)」という驚異的な評価を維持している。25,000件超のレビューがその数字を支えており、スター・ウォーズRTSの歴史においてこれを超えるタイトルはいまだ登場していない。Gold Packは本編に拡張パック「Forces of Corruption」を同梱したセット版で、現在Steamで購入できるのはこの形式だ。
「スター・ウォーズが好きだがゲームはあまりやらない」という人から、「RTSは一通り触ってきたがスター・ウォーズ設定のものを探している」というコアゲーマーまで、幅広い層がいまもこのゲームに熱中している。この記事では、Empire at Warがなぜここまで長く愛されているのか、そしてゲームとして何が面白くて何に気をつけるべきかを、できるだけ詳しく書いていく。
こんな人に刺さるゲームです

- スター・ウォーズが好きで、自分で帝国や反乱軍を率いて戦いたいと思ったことがある人
- Age of EmpresやStarCraftなどRTSをやってきたが、SF・スペースオペラ設定のものを探している人
- 「宇宙戦闘」と「地上戦闘」の両方を楽しめる戦略ゲームが好きな人
- Civilization系の銀河征服・サンドボックス要素と、RTSの対戦要素を一緒に楽しみたい人
- 犯罪シンジケートや裏社会的な勢力でプレイしたい人(拡張パックで可能)
- MODで遊ぶのが好きで、長く遊べる素材を探している人
- ダース・ベイダーやルーク・スカイウォーカーを実際に戦場で動かしたい人
- 難易度を自分で調整できて、シングルプレイを主体に楽しみたい人
逆に、最新グラフィックのゲームしか触れないという人や、対人戦の競技性を重視するゲーマーには少し合わないかもしれない。Empire at Warは2006年のゲームであり、ビジュアルはさすがに時代を感じる。ただ、宇宙戦闘のスケール感とスター・ウォーズの音楽・効果音が組み合わさったときの没入感は、グラフィックの世代差を軽く超えてくる。
ゲーム概要——銀河の覇権をめぐるRTS
どんなゲームか
STAR WARS: Empire at Warは、スター・ウォーズの世界観を舞台にしたリアルタイムストラテジーゲームだ。プレイヤーは帝国軍か反乱軍(Forces of Corruptionではザン・コンソーシアムも選択可能)の指揮官として、銀河全体の惑星を征服しながら敵を打ち倒す。
このゲームの特徴は「2段階の戦略」にある。ひとつは「銀河マップ」での大局戦略——どの惑星を攻めるか、どこに艦隊を集結させるか、資源をどう配分するか。もうひとつは「個別バトル」でのリアルタイム戦闘——宇宙空間での艦隊戦と、惑星地表での地上戦を実際にリアルタイムで指揮する。この2つが噛み合ったとき、スター・ウォーズの世界に「自分が参加している」感覚が一気に押し寄せてくる。
ゲームのタイムラインはエピソード3と4の間、つまり「シスの復讐」から「新たなる希望」前後の時代だ。帝国がまだ完全に銀河を支配しきっていない時期であり、反乱軍が徐々に組織を整えていく過程でもある。原作のストーリーラインに沿いながら、プレイヤーの判断でその結末を変えていくことができる。
Gold Packの内容
現在Steamで販売されているGold Packは、本編「STAR WARS: Empire at War」と拡張パック「Forces of Corruption」がセットになったものだ。
本編では帝国軍と反乱軍の2勢力でプレイでき、メインキャンペーンと銀河征服モード、スカーミッシュ(個別バトル)モードが含まれる。拡張のForces of Corruptionでは第3勢力「ザン・コンソーシアム」が追加され、12の新惑星と独自キャンペーン、そして「汚職(Corruption)」という新しいゲームシステムが加わる。個別に買う必要がなく、最初からこの完全版を入手できるのが現在の購入形態のメリットだ。
開発元のPetroglyphは、もともとCommand & Conquer(C&C)シリーズの核心開発陣が独立して設立したスタジオだ。C&Cの名作群を生み出したウェストウッドスタジオ解散後、そのメンバーが再集結してPetroglyphを立ち上げた。RTSジャンルのDNAを色濃く受け継いだスタジオが作ったスター・ウォーズ戦略ゲーム——その組み合わせが、Empire at Warを特別な存在にしている要因のひとつだ。
発売後の歩みと現在
2006年の発売から約20年、Empire at Warは今も現役のゲームとして機能している。特筆すべきは、Petroglyphが2023年に64ビット対応アップデートを実施したことだ。発売から17年が経過したゲームにここまで手を入れる開発元は珍しく、Steamのレビューでもこの対応は「本当の意味でのライブサービス」と称賛されている。2025年現在も定期的なバグ修正が続いており、MODコミュニティも活発に活動中だ。
ゲームシステム詳細——3つの層で動く戦略の仕組み

銀河マップ——大戦略の舞台
Empire at Warのゲームプレイの中心にあるのは、銀河全体を俯瞰した「銀河マップ(Galactic Map)」だ。ここでプレイヤーは、惑星同士のつながりを把握しながら戦略的な動きを組み立てる。
銀河マップは常にリアルタイムで進行している。「ターンが来たら動く」というタイプのターン制ではなく、時間は常に流れていて、その中で意思決定をしていく必要がある。ただし、ゲームのテンポはゆったりしていて、プレイヤーが急かされるような設計にはなっていない。じっくり考えて動かせる。
資源は主に「クレジット(Credits)」で管理する。自分が支配している惑星から毎ターン収入が入り、それを使って艦隊を建造したり、地上部隊を訓練したり、技術を研究したりする。惑星によって生産できるユニットが異なり、特定の高価値惑星を押さえることが経済的優位につながる。
重要な概念のひとつが「ハイパースペースルート」だ。銀河マップ上の惑星同士はすべてが直接つながっているわけではない。ハイパースペースで移動できるルートが決まっており、艦隊はそのルートを通らなければ移動できない。これがゲームに「要衝を守る」という戦略的な深みをもたらしている。特定の惑星を押さえることで敵の進路を遮断し、自軍の安全な領域を確保することができる。
各惑星は固有の特性を持っている。コルサントは帝国のコアとして高い収入と生産力を誇り、ヤビンIVは反乱軍の象徴的な拠点だ。惑星によっては採掘施設を建設できたり、特定の部隊が生産できたりと、戦略上の価値が大きく異なる。どの惑星を優先して取るかの判断が、ゲームの中盤以降の展開を大きく左右する。
宇宙戦闘——デス・スターから戦闘機まで
銀河マップで攻撃を仕掛けるか、敵に攻め込まれたとき、ゲームは「宇宙バトル」に切り替わる。ここでプレイヤーは艦隊を直接指揮する。
宇宙バトルの醍醐味は、スター・ウォーズ映画のあの宇宙戦闘シーンを「自分が指揮している」感覚だ。イムペリアル・スター・デストロイヤーが宇宙空間をゆっくり移動し、その前をXウィングのスコードロンが飛び回り、レーザー砲が交差する。音楽はJohn Williamsの楽曲をベースにしたオリジナルスコアで、戦場の緊張感を見事に盛り上げる。
艦船にはそれぞれ「ハードポイント(Hardpoints)」と呼ばれる攻撃可能な箇所がある。例えばイムペリアル・スター・デストロイヤーのハードポイントは、主砲タレット、シールドジェネレーター、エンジンなど複数ある。これらを個別に狙って破壊することで、相手の能力を選択的に削ることができる。「エンジンを壊して逃げられなくする」「シールドジェネレーターを先に落として主砲でとどめを刺す」——こういった戦術的な選択肢が宇宙戦闘に深みをもたらしている。
ユニットのポップキャップ(Population Cap)制度があり、限られた数の艦船しか一度に出撃させられない。数で押しつぶすのではなく、限られたリソースで最大の効果を出す組み合わせを考える必要がある。大型艦は強力だが1隻でポップキャップを大きく使う。小型戦闘機は数を出せるが個々の戦力は小さい。この兼ね合いが、艦隊編成の面白さだ。
ヒーローユニットも宇宙戦闘に登場する。ダース・ベイダーの乗るSuper Star DestroyerはExecutorという名の超巨大艦で、戦場に登場すると圧倒的なプレッシャーを与える。反乱軍側ではハン・ソロとチューバッカが操るミレニアム・ファルコンが高機動の特殊ユニットとして機能する。こういったキャラクターが実際の戦闘に出てくることが、Empire at Warを「普通のRTS」にとどめない要因のひとつだ。
帝国軍の最終兵器として「デス・スター」が登場する。惑星ごと消し去ることができるこの兵器は、ゲームのキャンペーンでも重要な役割を果たす。デス・スターを使って惑星を破壊すると、その惑星は銀河マップから消える。強力だが、使うためのコストも建造時間も膨大だ。
地上戦闘——惑星表面の制圧戦
宇宙バトルで制空権を確保したあと、あるいは地上から直接攻める場合は「グラウンドバトル(地上戦闘)」が始まる。ここではATATやストームトルーパー、スノースピーダーやリベルファイターといったユニットが地表で激突する。
地上戦闘はいかにも「スター・ウォーズ」な光景が展開される。惑星によってマップの地形が全く異なり、雪原のホス、砂漠のタトゥーイン、都市景観のコルサントなど、それぞれの惑星固有の戦場が再現されている。ATATが雪原を踏みしめながら前進する光景は、映画「帝国の逆襲」のホス戦を彷彿とさせる。
地上戦闘でもポップキャップが設けられており、部隊数は制限される。歩兵部隊、車両部隊、砲兵など役割の異なるユニットをバランスよく揃えて戦う必要がある。各惑星には「強化ポイント」が設置されており、占領することで部隊の増援が呼べたり、戦闘ボーナスが得られたりする。単純に敵を倒すだけでなく、これらのポイントをどう制圧するかが地上戦術の鍵になる。
ヒーローユニットは地上戦でも強力だ。ダース・ベイダーは歩兵部隊を一瞬で薙ぎ払い、ルーク・スカイウォーカーは単騎で敵陣に切り込める。ただし、ヒーローはゲーム中に死亡すると復活できない場合があり(勢力設定による)、貴重なユニットを失うリスクがある。どこで使うか、いつ引かせるかの判断が重要になる。
テクノロジーツリーと研究
銀河マップ上では、クレジットを使って技術研究を進めることができる。テクノロジーのレベルが上がると、より強力なユニットが生産可能になったり、特定の施設が建設できるようになったりする。
帝国軍のテクノロジーツリーは「圧倒的な軍事力」に方向づけられており、上位に行くほど巨大な兵器や強力な艦船が解禁される。反乱軍はそれとは対照的に「少数精鋭と機動力」を活かす方向で、ジェダイの活用や奇襲戦術に関連した技術が揃っている。この非対称性が、両勢力のプレイフィールの違いに直結している。
Forces of Corruption——第3勢力と汚職システム
拡張パック「Forces of Corruption」の最大の追加要素は、「ザン・コンソーシアム(Zann Consortium)」という新勢力だ。ティバー・ザンという犯罪組織のボスが率いるこの勢力は、帝国にも反乱軍にも属さない。
ザン・コンソーシアムのコンセプトは「善でも悪でもなく、利益のためなら何でもする」組織だ。この設定が、全く異なるプレイスタイルを生み出している。
最もユニークなシステムが「汚職(Corruption)」だ。ザン・コンソーシアムは敵が支配する惑星を直接攻略するだけでなく、工作員を送り込んで「汚職」を拡大させることができる。汚職状態になった惑星では、支配勢力の収入が減少し、反乱や混乱が生じる。また、賄賂、妨害工作、海賊行為など複数の工作オプションがあり、それぞれ異なる効果をもたらす。
これにより、ザン・コンソーシアムのキャンペーンは帝国・反乱軍とは全く違う戦略的思考を要求する。「正面から攻める」よりも「内部から崩す」という選択肢が常に存在し、純粋な軍事力だけでなく工作・謀略の組み合わせでゲームを進められる。
Forces of Corruptionではユニットも個性的なものが追加されている。ランコールライダー(大型獣に乗った戦士)、改造されたドロイデカ、そしてエンドアの月でスレイバーミッションを行うとイウォークの自爆部隊まで登場する。原作ファンにとっては「あのエンドアの月でそんなことが……」という複雑な感情を呼び起こすネタも多い。
Empire at Warが長く愛される理由
スター・ウォーズ世界への没入感が段違い
まず語らなければならないのは、このゲームのスター・ウォーズ再現度の高さだ。
宇宙戦闘でISDが重厚に動き、ミレニアム・ファルコンが縦横無尽に飛び回り、デス・スターが惑星に狙いを定める——これを「自分が指揮している」感覚で体験できるゲームは、発売当時も、そして現在も希少だ。ユニットのサイズ感にも細心の注意が払われており、スター・デストロイヤーの巨大さと小型戦闘機の小ささのコントラストが映画的なスケール感を演出している。
音楽もこのゲームの重要な柱だ。作曲はFrank Klepackiが担当しており、John Williamsの楽曲を参照しながら戦闘の緊張感に合わせたオリジナルスコアが流れる。戦闘が始まったときの音楽の変化、ヒーローが登場したときのテーマ——こういった音響演出が没入感を高めている。
「スター・ウォーズのゲームをやるなら絶対これ」という評価がSteamレビューに多く見られるのは、この没入感の設計がいまも有効に機能していることの証明だ。
2段階戦略の設計が秀逸
「銀河マップ」と「個別バトル」の2層構造は、Empire at Warを単なる戦術RTSとも単なる大戦略ゲームとも違う存在にしている。
銀河マップでは、「この惑星を落とせば次の侵攻が楽になる」「あの星系を押さえれば相手の資源を削れる」という大局的な思考をする。個別バトルに入ると、「この艦隊編成で敵のどのユニットを先に処理するか」「ハードポイントをどの順番で狙うか」という具体的な戦術思考に切り替わる。
この切り替えのリズムが、ゲームに独特のテンポを生み出している。大きな絵を描いて、その中の一コマを細かくこなして、また大局に戻る。この繰り返しが「もう少し続けよう」という感覚を生み出し、気づいたら数時間経っているという状態になる。
3勢力の非対称設計
帝国軍、反乱軍、ザン・コンソーシアムの3勢力は、それぞれのプレイスタイルが大きく異なる。
帝国軍は圧倒的な軍事力が強み。大型艦、重戦車、数の暴力で押しつぶすことができる。ゲームの中盤以降、技術が揃ってきたときの帝国軍の圧力は相当なものだ。デス・スターという切り札も存在する。一方で、戦力を整えるまでのコストが高く、序盤は意外と大変だ。
反乱軍は機動力と多様なユニットが特徴。スター・デストロイヤーのような巨艦はないが、特殊能力を持つユニットやヒーローを活用したゲリラ的な戦いが得意だ。資源効率が良く、少ない投資で粘れる設計になっている。スカウトや諜報活動系の能力も充実している。
ザン・コンソーシアムは「ルールの外でプレイする」勢力だ。汚職システムを使えば、戦わずして相手の惑星を弱体化させられる。しかし純粋な正面戦闘力では他2勢力に劣る場面もあり、工作と戦闘をバランスよく使いこなす必要がある。一番癖が強く、慣れるほど面白みが増す勢力だ。
リプレイ性の高さ
Empire at Warは一度クリアしたら終わりのゲームではない。
まず3勢力それぞれで全く違うゲームプレイが楽しめる。次に「銀河征服(Galactic Conquest)」モードではシナリオごとに初期配置や目標が変わるため、同じ勢力でも繰り返し楽しめる。スカーミッシュモードでは個別のバトルを好きなだけ繰り返すことができる。
そしてなによりMODの存在がリプレイ性を桁外れに高めている。Steamワークショップには膨大な数のMODが公開されており、その中でも特に有名なのが「Thrawn’s Revenge」だ。
Thrawn’s Revengeと巨大MOD文化
Empire at Warのコミュニティを語る上で外せないのが、Steamワークショップで最も評価されているMODのひとつ「EaWX: Thrawn’s Revenge」だ。
このMODはスター・ウォーズの「エクスパンデッド・ユニバース(EU)」を題材にしており、ルーカスフィルムが正史ではないと判定したが多くのファンに愛されている旧EU設定を再現している。内戦後の時代を舞台に、ニュー・リパブリックを含む9つのプレイ可能な勢力が登場する。ファイルサイズは26GBを超える大規模MODで、2017年から継続して更新されており、事実上「Empire at Warを使った別ゲーム」と言っていいほどの完成度だ。
「エラベース(Era-based)システム」という独自の仕組みがあり、時代の進行によってユニットやヒーローの利用可能性が変化する。新共和国の政治体制まで再現された精密な設計は、旧EUファンに「これを待っていた」と言わせる出来だ。
ほかにも、プリクエル三部作(エピソード1〜3)の時代を再現した「Republic at War」、クローン戦争を題材にした「Fall of the Republic」、さらに映画「最後のジェダイ」以降の世代を描くMODなど、多彩な選択肢がある。Empire at Warはこれらの大型MODの「エンジン」として機能しており、コミュニティが作り続ける限りゲームは生き続ける。
Steamのレビューには「12年以上プレイし続けている」「このゲームが自分の人生から何百時間も奪った」という言葉が並ぶ。これはMODとバニラの両方の魅力が重なった結果だ。
Petroglyphの長期サポート
2023年に実施された64ビット対応アップデートは、Empire at Warコミュニティに大きな衝撃を与えた。2006年発売のゲームに対して、開発元が積極的な互換性更新をおこなう——これは業界全体を見渡しても極めて稀なことだ。
このアップデートによって、現代のPCでの動作安定性が大幅に改善された。古いゲームを遊ぶときにありがちな「互換性の問題でそもそも起動しない」「頻繁にクラッシュする」といった問題が解消され、Steamで新規購入してすぐ遊べる状態が維持されている。
Steamコミュニティには「公式パッチ更新スレッド」があり、1,000件を超えるコメントが蓄積されている。開発元とコミュニティの関係が長年にわたって良好に維持されていることが、このゲームが今も「現役」である理由のひとつだ。
注意点と気をつけるべきこと

グラフィックは2006年のまま
これは避けられない事実として最初に書いておく。Empire at Warは2006年発売のゲームであり、ビジュアルは当然その時代のものだ。テクスチャ解像度、ユニットのポリゴン数、水や炎のエフェクト——現在の水準で見ると「かなり古い」と感じる部分がある。
ただし、Steamレビューを読むと「グラフィックが古くて残念」という意見はほとんど見当たらない。それよりも宇宙戦闘の迫力や没入感を語るコメントの方が圧倒的に多い。スター・ウォーズのサウンドデザインとBGMが補完する部分が大きく、見た目の古さより「感覚的な没入感」が優先されているようだ。とはいえ、最新ゲームのビジュアルに慣れ親しんでいる人は、最初の数時間は少し違和感を覚えるかもしれない。
地上戦のAIと操作感に癖がある
経験豊富なRTSプレイヤーからのフィードバックとして多いのが、「地上戦闘のユニット操作が少し雑に感じる」という点だ。宇宙戦闘は非常に完成度が高い一方、地上戦闘はユニットのパスファインディング(経路探索)や細かいAI行動に不満を感じる場面がある。
「こっちに動いてほしいのにあっちに行く」「部隊が渋滞する」といった挙動は、発売当時からある課題だ。ゲーム全体への評価には影響していないが、細かい操作にこだわるプレイヤーには気になる部分かもしれない。慣れてくると「だいたいこういう動き方をするもの」として対応できるようになるが、最初は戸惑う可能性がある。
マルチプレイヤーの人口
現在のマルチプレイヤー対人戦の人口は、発売当時と比べると少ない。シングルプレイやAI戦を主体に遊ぶなら全く問題ないが、対人戦での競技プレイを中心に楽しみたいという場合は、相手を見つけるのに時間がかかることがある。
コミュニティはSteamのディスカッションや公式Discordで活動しており、対戦相手を探すための場は整備されている。ゲーム内のマッチメイキングよりもコミュニティ経由で相手を探す形がメインになっている。
MOD導入時の注意
Empire at Warは多くのMODが公開されているが、複数のMODを同時に導入するときはコンフリクト(競合)に注意が必要だ。特に大規模MODは単体での使用が前提で設計されているものも多く、別の大型MODと組み合わせると正常に動作しない場合がある。
「Thrawn’s Revenge」などの大型MODは、それ単体で遊ぶことを前提に導入するのが安全だ。MODの導入・削除時はセーブデータへの影響も考慮しておくとよい。SteamワークショップのMODページには基本的な注意事項が記載されているので、導入前に確認する習慣をつけておくとトラブルを防げる。
起動トラブルについて
Steamのコミュニティに「ゲームが起動しない」という報告が散見されることも書いておく。2023年の64ビットアップデート以降は大幅に改善されているが、環境によっては設定が必要なケースもある。
主な対処法として、Steamのゲームファイル整合性確認機能を使うこと、DirectXの更新を確認すること、セキュリティソフトウェアの干渉を確認することが挙げられる。コミュニティフォーラムには日本語ではないが詳細なトラブルシューティング情報が蓄積されており、検索すれば大半の問題は解決方法が見つかる。
初心者へのアドバイス——最初の数時間を無駄にしないために
まずは帝国軍のキャンペーンから始める
ゲームに初めて触れるなら、本編の帝国軍キャンペーンから始めることを強くすすめる。
帝国軍キャンペーンはゲームの基本チュートリアルも兼ねており、各システムの操作方法をストーリーに沿って覚えていける。チュートリアルだけでは把握しきれないことも、実際にキャンペーンを進めながら自然に身についていく。「なんとなくやっていたら動かし方がわかってきた」という感覚が、このゲームへの最良の入門方法だ。
反乱軍キャンペーンは機動力と少数精鋭の運用が求められるため、帝国軍で基本を掴んだあとに挑む方がはるかに楽しめる。ザン・コンソーシアムはForces of Corruptionの中心勢力なので、本編の2勢力をある程度遊んでからの方がよい。
宇宙バトルでは「ハードポイント」を意識する
宇宙バトルで「なぜか全然ダメージが通らない」「敵艦がなかなか沈まない」と感じたら、ハードポイント戦術を試してほしい。
大型艦は装甲が厚く、ただ攻撃するだけでは時間がかかる。ハードポイントを順番に破壊することで、相手の防御や攻撃力を段階的に削ることができる。シールドジェネレーターを先に落とせばダメージ効率が上がり、エンジンを壊せば逃げられなくなる。どのハードポイントを優先するかを意識するだけで、同じ艦隊でも勝率が大きく変わる。
操作方法は、ユニットを右クリックしたときにハードポイントの一覧が出てくるので、そこから狙いたい箇所を選べる。最初のうちはこれを活用するだけで戦闘効率が格段に上がる。
銀河マップでは資源惑星を早めに確保する
序盤の銀河マップでは、採掘施設を建設できる惑星や、収入の高い惑星を早めに確保することが重要だ。経済的な優位を早期に作ることで、技術研究と軍備拡張を同時進行できるようになる。
また、ハイパースペースルートの要衝となる惑星は特に重要だ。要衝を押さえることで複数方向からの敵の侵攻を防ぎ、自軍の侵攻ルートを確保できる。銀河マップを眺めながら「ここを取れば複数の惑星へのルートが開ける」という接続を意識して動くと、中盤以降の展開が安定しやすい。
ヒーローユニットは失わないように大切に使う
ヒーローユニットはゲームの中でも特に個性的なキャラクターが揃っており、強力な能力を持っている。しかし無謀に前線に突っ込ませると呆気なく失う。
特にキャンペーンでは、ヒーローを失うことがストーリー上の影響を持つ場合もある。戦力として頼りにしながらも、撤退させる判断を適切なタイミングで下すことが大切だ。「危なくなったら素早く後退させる」クセをつけておくと、大切な場面でヒーローをキープできる。
銀河征服モードは「縛りプレイ」の宝庫
キャンペーンを一通りクリアしたら、次は銀河征服(Galactic Conquest)モードに移行するのをすすめる。このモードは初期配置や勢力バランスを変えた複数のシナリオが用意されており、それぞれ全く異なる戦略的状況からゲームが始まる。
「初期から帝国に囲まれた反乱軍でどう生き残るか」「圧倒的に不利な初期配置から逆転するか」といった状況がシナリオごとに異なり、戦略の柔軟性を試される。キャンペーンとはまた違った「詰将棋的な面白さ」があり、長時間の遊び場になる。
MODはバニラを楽しみ終わってから
MODは大変魅力的だが、最初からMODを入れてしまうとバニラ(無改造版)のゲームデザインや難易度バランスが分からなくなる。せっかく原作スター・ウォーズの世界観で丁寧に作られたゲームなので、まずそのまま楽しむことをすすめる。
バニラで各勢力のキャンペーンを一通りやり終えたあとにMODを導入すると、「このゲームエンジンがこういう風に使われるのか」という発見があり、より楽しめる。特に「Thrawn’s Revenge」は旧EU知識があると何倍も面白くなるので、ゲームに慣れた後のお楽しみとして取っておくのがよい。
まとめ——スター・ウォーズ史上最も「指揮官になれる」ゲーム
STAR WARS: Empire at War Gold Packは、スター・ウォーズのゲームとして、そしてRTSというジャンルとして、今も極めて高い完成度を誇っている。
Steamの97%という評価は、数万件のレビューが積み重なった数字だ。これは「発売当時は高評価だったが今は……」という類のものではなく、2025年現在も新規レビューが加わり続けている現役の評価だ。20年近い歳月を経てもこの水準が維持されている理由は、ゲームとしての設計の強度と、Petroglyphの長期サポート、そして活発なMODコミュニティが三位一体になっているからだろう。
宇宙艦隊を編成してデス・スターを建造し、反乱軍の拠点を一つひとつ潰していく——あるいは反乱軍として帝国の包囲網を掻い潜り、最後の賭けに出る——あるいはザン・コンソーシアムとして両陣営を工作で揺さぶりながら漁夫の利を狙う。そのどれを選んでも、スター・ウォーズの世界が「自分の動き方で変わっていく」感覚が楽しめる。
「スター・ウォーズが好きだけど、戦略ゲームはあまりやったことがない」という人にも、「RTSはやり尽くしたからスター・ウォーズ設定のものが欲しい」という人にも、迷わずすすめられる一本だ。価格は2,300円で、これだけ長く遊べるゲームとしては驚くほどリーズナブルだ。スター・ウォーズの世界で「指揮官になる」体験は、Empire at Warでしか味わえない。
- AppID: 32470
- WishlistページID: 67774
- Steam評価: 圧倒的に好評(97% / 25,000件超)
- 開発: Petroglyph Games
- 発売: 2006年2月16日
- 価格: 2,300円(Steamにて)
- Gold Pack内容: 本編 + Forces of Corruption 拡張パック
STAR WARS™ Empire at War - Gold Pack
| 価格 | ¥2,300 |
|---|---|
| 開発 | Petroglyph |
| 販売 | LucasArts, Lucasfilm, Disney |
| 日本語 | 非対応 |
| 対応OS | Windows |
| プレイ形式 | シングル / マルチ |

