Assassins Creed Valhalla

Assassin’s Creed Valhalla|バイキングとして9世紀のイングランドを駆け抜けた150時間の記録

最初の数時間はとにかく戸惑った。雪に覆われたノルウェーの山岳地帯、ドラゴンヘッドの船首を持つロングシップ、言葉もろくにわからない異国の地——アサシンクリードシリーズをずっとやってきた自分でも「これはいつものアサクリと違う」という感覚がすぐにやってきた。そしてそれが、150時間以上遊び続けた理由でもある。

Assassin’s Creed Valhallaは、Ubisoftが2020年11月に発売したオープンワールドアクションRPGだ。舞台は9世紀のバイキング時代。プレイヤーはヴァイキングの戦士エイヴォルとなり、故郷ノルウェーを離れてイングランドへと渡り、自分たちの新天地を切り拓いていく。PC版はEpic Games Storeで長らく独占販売されていたが、2023年にSteamにも上陸した(Steam AppID: 2208920)。

Steam上のユーザーレビューは「賛否両論」となっており、正直に言えばシリーズの中でも評価が割れやすい作品だ。でも実際に手を動かして100時間以上遊んでみると、この作品が持つ魅力の深さがわかってくる。ヴァイキングとしての戦闘の爽快感、集落を育てる達成感、北欧神話とキリスト教が入り混じる9世紀イングランドの世界観——全部が合わさって、他のゲームでは味わえない体験を作り上げている。

この記事では、AC Valhallaがどんなゲームなのか、どこが面白くてどこに注意が必要なのか、初めて遊ぶ人にどう向き合えばいいのかを全部書いた。長くなるけれど、遊んでみようか迷っている人に少しでも参考になれば嬉しい。

目次

こんな人にドンピシャなゲームです

  • バイキングや北欧神話、ヴァイキング時代のヨーロッパに興味がある人
  • 斧や剣を叩きつける豪快な近接戦闘が好きな人
  • 村や集落を少しずつ発展させていく「経営・育成」要素が好きな人
  • 広大なオープンワールドをじっくりと探索するのが好きな人
  • 歴史と神話が入り混じる重厚なストーリーを楽しみたい人
  • 100時間以上遊べるボリューム感を求めている人
  • アサシンクリードシリーズを以前から追っているファン
  • オリジンズやオデッセイのような「アサクリRPG路線」が好きだった人
  • ノルウェーやイングランドの荒野・森・海辺の景色に浸かりたい人

逆に、以下のような人にはミスマッチになる可能性がある。「ステルスで影から暗殺するのがアサクリの醍醐味」という考えが強い人は序盤から違和感を覚えるかもしれない。エイヴォルはアサシンというよりヴァイキングの戦士としての側面が非常に強く、暗殺よりも正面からの戦闘がゲームの中心に据えられている。また「短時間でサクッとクリアしたい」という人には向かない。メインストーリーだけでも50〜60時間、全コンテンツ込みなら優に150〜200時間かかる作品だ。

ゲーム概要——9世紀のヴァイキングとして何をするのか

どんな時代が舞台なのか

873年。北欧スカンジナビアは長年の戦乱と略奪の歴史の中にあった。各地の族長(ヤール)が覇権を争い、激しい内紛が続いている。そんな時代、ノルウェー王ハーラル・フィンヘアが「全ノルウェーを統一する」という野望のもとに侵略を開始した。

物語の主人公エイヴォルが属するレイヴン氏族のヤール・ストルビョルンは、王の圧力に屈して領地を明け渡してしまう。居場所を失ったレイヴン氏族は、エイヴォルの義兄シグルドの提案でイングランドへと向かうことを決意する。

9世紀のイングランドは複数の王国に分断されていた。ウェセックス、マーシア、ノーサンブリア、イースト・アングリア——それぞれが別々の王を戴き、互いに争いながらも、共通の脅威として「デーン人(バイキング)」の侵攻に怯えている時代だ。プレイヤーはこの複雑な政治状況に割り込んでいくことになる。

また「古の秩序(オーダー・オブ・ジ・エンシェンツ)」という影の組織も暗躍している。アサシンクリードシリーズでおなじみの「テンプル騎士団」の前身にあたる組織で、イングランドの各地に潜む幹部たちを暗殺していくというシリーズ伝統の要素も健在だ。

主人公エイヴォルについて

エイヴォルは男女どちらかを選んでプレイできる。外見・声ともに完全に別のキャラクターとして用意されており、どちらを選んでもストーリーは同じだ。女性エイヴォルの方が評価が高いプレイヤーも多く、開発側も「真の姿は女性」という設定をのちに公式に示している。初プレイなら女性エイヴォルを選ぶのがおすすめだ。

エイヴォルは幼い頃に両親をヴァイキングに殺され、そのヴァイキングの族長(シグルドの父)に引き取られて育った。義兄のシグルドとともに育ち、ヴァイキング戦士として名を上げてきた人物だ。

性格は豪快で義理に厚く、ユーモアもある。でも内面には複雑な部分もあって、「ヴァルハラ(北欧の死後世界)での栄光」を求めながら、現実の生き方に迷う姿も見せる。シグルドとの関係性も、物語が進むにつれてヒビが入っていく。このあたりの人間ドラマがシリーズの中でも秀逸で、単なるバイキングの武勇伝ではない深みをストーリーに加えている。

集落「レイヴンズソープ」の発展が物語の核心

イングランドに渡ったレイヴン氏族が最初に行うのは、拠点となる集落「レイヴンズソープ」の建設だ。荒れ果てた土地に最初は数軒の建物しかない状態から始まり、プレイヤーはゲームを進める中でここを少しずつ大きくしていく。

集落の発展にはゲームを通じて集める「物資」と「供給品」が必要だ。各地への略奪(レイド)で集めた材料を使って、鍛冶屋・厩舎・入れ墨師・弓師・酒場・フィッシャーマンの小屋などを建設していける。建物を建てるほど利用できるサービスが増え、装備の強化や情報収集が楽になっていく仕組みだ。

このレイヴンズソープが単なる「便利な拠点」ではなく、物語の情緒的な中心になっているところが面白い。各地での冒険を終えて集落に戻ると、住民が少しずつ増えていたり、建物が新しくなっていたりする。序盤の廃墟同然だった村が、後半では賑わいのある集落に成長している光景は、達成感がある。

各地への遠征とアライアンス構築

ゲームの進行構造は、イングランドの各地域に遠征してアライアンス(同盟)を結んでいくという形だ。ウェセックスのアルフレッド王、マーシアのセオルウルフ、ノーサンブリアなど、それぞれの地域に固有のメインクエストが用意されており、プレイヤーは各地を回りながら政治的な同盟を固めていく。

各地域のクエストはそれぞれ独立したストーリーアークとして完結しており、ひとつの地域だけでも5〜10時間以上のボリュームがある。「ただ指示された場所に行くだけ」じゃなく、その地域の歴史的・政治的背景と絡んだ重厚な展開が待っているので、飽きにくい。

地域によって雰囲気も全然違う。暗い森と沼地が広がるイースト・アングリア、ローマ時代の遺跡が残るシロプスシャー、険しい丘と荒野が続くノーサンブリア——それぞれの地形と文化の違いが、探索の飽きなさを支えている。

ゲームシステムの詳細——戦闘・探索・成長・略奪

ヴァイキングスタイルの戦闘——二刀流と重量感

AC Valhallaの戦闘で最も特徴的なのが「二刀流」システムだ。左右の手にそれぞれ武器を装備でき、斧と盾、斧と剣、斧と斧、さらには大きなハンマーや大剣なども自由に組み合わせられる。両手に斧を持って敵を力でねじ伏せるのも、片手に盾を持って防御を固めながら攻めるのも、プレイヤーの好みで選べる。

従来のアサクリシリーズとは武器の重量感が全く違う。オリジンズやオデッセイがどちらかといえばテンポよく立ち回るスタイルだったのに対し、ヴァルハラは一撃一撃に重さがある。敵に叩き込む感覚が豪快で、「バイキングとして戦っている」というリアリティをちゃんと体感できる。

連続攻撃を続けると敵の「スタン値」が溜まり、満タンになったタイミングで掴みからのフィニッシュブローが発動できる。このフィニッシュがかなりバイオレントで、骨の砕ける音と演出が容赦ない。過激な表現が苦手な人には向かないかもしれないが、「バイキングの残酷さ」をリアルに再現するための選択として納得できる。

遠距離武器は弓で、近距離用の「ハンターボウ」、長距離向けの「ファインダーボウ」、速射向けの「フレームドボウ」の3種類がある。矢の補充は探索中に自動で行われるが、弓単体でのダメージは敵の体力に対して少ないため、補助的に使う場面が多い。

アビリティシステム——スキルツリーとアビリティ

キャラクター成長は「スキルツリー」と「アビリティ」の2つで管理される。

スキルツリーは星座盤のような形で、経験値を使ってノードを解放していく仕組みだ。近接戦闘強化・遠距離強化・ステルス強化の3つの系統に大きく分かれており、自分のプレイスタイルに合った方向に育てられる。ノードひとつひとつの効果は地味なものも多いが、積み重なることでエイヴォルの能力が着実に上がっていく。

アビリティは戦闘中に使える特殊技で、左右のスロットにそれぞれ複数セットできる。近接アビリティと遠距離アビリティがあり、例えば「ベルセルカーの嘆き」は自分の体力を削りながら攻撃力を大幅強化する技、「レイヴン・ダイブ」は高所から飛び降りて広範囲を吹き飛ばす技など、個性的なものが揃っている。アビリティ書はフィールドの各地に隠されており、探索のモチベーションのひとつになっている。

ステルスと暗殺——アサシン要素の位置づけ

シリーズの根幹だったはずのステルス暗殺は、ヴァルハラでは「あくまでも選択肢のひとつ」という位置づけに変わった。草むらに隠れて気配を消し、タイミングを計って暗殺する——この流れは健在だが、前作前々作と比べてステルスプレイの快適さは落ちている。

最大の違いは「ヒドゥンブレードで一撃暗殺できない敵が多い」ことだ。体力の高い敵やエリートランクの敵は暗殺しても致命傷にならず、その場で格闘になってしまう。一撃暗殺のクリティカル発生率を上げるスキルや、アサシンダメージを上げる装備を揃えることで改善はできるが、序盤はストレスを感じるプレイヤーも多い。

一方で、ステルス要素を積極的に使う「暗殺特化ビルド」で遊ぶと話が変わる。影移動・ヒドゥンブレード強化・回避に特化した装備とスキルを組み合わせると、敵基地を影から無双できる。ただしこのビルドに至るまでには相応の時間と装備集めが必要で、初心者には難しい。

略奪(レイド)システム

ヴァルハラの目玉システムのひとつが「レイド」だ。修道院や要塞など特定の場所にはロングシップで乗り付けて一気に攻め込める。笛を吹くと仲間のヴァイキングたちが一斉に上陸して敵と戦い始め、プレイヤーはその先頭に立って指揮しながら戦う。

レイドで得られる「物資」は集落の建設に不可欠な素材だ。特に序盤〜中盤は物資が常に不足しがちで、集落を発展させたければ積極的にレイドをこなす必要がある。攻め込む場所によって敵の強さや財宝の量が変わり、「この修道院は護衛が厚いから後回しにしよう」という判断も生まれる。

レイドの最中は雰囲気が最高で、戦鼓が鳴り響き、叫び声とともに敵の門を破って突入するシーンは何度やっても熱い。ゲームのテーマである「ヴァイキングとして生きる」という体験の中でも、最も「バイキングっぽい」瞬間がここにある。

フィールド探索と「謎」「財宝」「収集品」

フィールド各地にはサブコンテンツが豊富に散りばめられている。大きく分けると「謎(ミステリー)」「財宝(ウェルス)」「収集品(アーティファクト)」の3カテゴリーだ。

「謎」の中でも特に好評なのが「ワールドイベント」と呼ばれる短編エピソード群だ。各地でランダムに出会うNPCが持ち込む小さな問題を解決する形式で、ユーモラスなものからシリアスなものまで内容は多彩。中には何十分もかかる本格的なミニストーリーもあり、「散歩ついでにちょっと関わったら気づいたら長編クエストだった」という体験が多い。

「財宝」はアビリティ書・装備品・建設物資などで、宝箱や隠し場所を探して回る探索要素だ。カラスを飛ばして周囲を俯瞰するシステムがあり、近くの収集物の位置をおおまかに把握できる。「財宝の気配がするのに見つからない」という謎解きに近い感覚が好きな人には楽しい。

「収集品」はフライングペーパー(空を飛ぶ羊皮紙を追いかけるコンテンツ)・ローマ風オーブ(スタミナ強化アイテム)・石板(エイヴォルの刺青解放)など多種多様。全部集めようとすると途方もない時間がかかるが、「完全コンプリートを目指さなくても十分楽しめる」のがヴァルハラの良いところでもある。

装備と強化システム

装備は武器・頭・胴・腕・脚の部位ごとに管理する。各装備には基本ステータスに加えて特性効果があり、例えば「スタミナ消費時に攻撃力上昇」「体力が半分以下で会心率上昇」といった固有ボーナスが付いている。

セット装備(鎧セット)を揃えるとボーナスが発動するものもある。ドルイドの呪術師をイメージした「鴉族セット」、重装歩兵スタイルの「ベルセルカーセット」、影からの暗殺特化「マスターの鎧」など、プレイスタイルに合ったセットを選ぶ楽しさがある。

装備の強化は集落の鍛冶屋で行う。強化するごとに素材を消費するが、低ランク装備でも鍛えれば長く使えるように設計されているため、「すぐに新しい装備に乗り換えなければならない」というプレッシャーが少ない。気に入った武器や鎧を育てながら長く使い続けられる点は好評だ。

オーディンの眼——カラスによる探索補助

エイヴォルはカラス(シンクレアという名前がある)を連れており、空に放って周辺を偵察させられる。カラスの視点で上空から地形や敵の配置を確認でき、入れない場所への侵入口や隠された財宝の場所をあらかじめ把握できる。

このカラスシステムは、シリーズ伝統の「イーグルビジョン」の発展形だ。ただし空を飛ぶ都合上、高い建物の内部や地下施設は見えないケースも多い。「このルートで行けそうだな」という大まかな見当をつける使い方が基本になる。

DLCコンテンツ——大幅に世界が広がる拡張パック

「ラグナロクの始まり」——神話世界への旅

ヴァルハラ最大のDLC拡張コンテンツが「ラグナロクの始まり(Dawn of Ragnarök)」だ。エイヴォルが北欧の主神オーディンとして、神話世界ニヴルヘイムとムスペルヘイムを旅するという内容で、メインゲームとは全く異なるテイストのアドベンチャーになっている。

このDLCで最大の特徴は「力(パワー)」システムだ。倒した敵の持つ力を奪って使用できるようになり、「炎の力」で武器を燃え盛らせたり、「氷の力」で地面を凍結させたり、「鴉の力」で空を飛んだりできる。この能力は戦闘・ステルス・探索・謎解きの全てに応用でき、本編とは一味違うゲームプレイが楽しめる。

「ラグナロクの始まり」はボリューム的にも充実しており、メインクエスト+サブコンテンツで30〜40時間は遊べる。「神話世界を旅したい」「純粋なファンタジー体験を楽しみたい」という人には強くおすすめできる内容だ。ただし本編のストーリーをある程度進めた後でないと解放されないので注意。

「ドルイドの怒り」——アイルランド編

もうひとつの大型DLCが「ドルイドの怒り(Wrath of the Druids)」だ。エイヴォルがアイルランドへ渡り、伝説のハイキング(アイルランド大王)の下で働きながら、古代ケルトのドルイド教団「フォモール」の謎を追う内容になっている。

アイルランドの景観はイングランドとはまた違った美しさがある。緑が深く、霧がかかった丘陵地帯、巨石遺跡が点在するフィールドは独特の神秘的な雰囲気を持っている。ストーリーは本編よりもコンパクトだが、ドルイドの儀式と呪術にまつわる独自の世界観がよく作り込まれている。プレイ時間は10〜15時間程度。

「包囲されたパリ」——フランク王国編

「包囲されたパリ(The Siege of Paris)」はエイヴォルがフランク王国(現フランス)へ渡り、888年のパリ包囲戦に関わるストーリーだ。歴史的な「ヴァイキングによるパリ攻撃」を題材にした内容で、フランク王国の宮廷政治と王家の内紛に巻き込まれていく。

このDLCでは「密告(インフィルトレーション)」という新要素が加わる。敵陣に潜り込んで情報を集め、ターゲットを炙り出す手法で、ステルス要素が好きなプレイヤーには嬉しい追加だ。プレイ時間は8〜12時間程度。

「忘却のサーガ」——無限ループの地下世界

「忘却のサーガ(The Forgotten Saga)」は無料で追加されたローグライク的なコンテンツだ。死んでもリセットして再挑戦する形式の地下世界「ニフルヘイム」を攻略していく内容で、他のDLCとは全くプレイフィールが異なる。本編に行き詰まった際の息抜きとして使える存在だ。

AC Valhallaが人気を集め続ける理由

「ヴァイキング時代」という唯一無二の舞台設定

9世紀のヴァイキング時代を舞台にしたゲームは、ヴァルハラ以前からあるにはあった。しかしこれほどの予算と規模でリアルに描かれた作品はなかった。ノルウェーのフィヨルドから始まり、イングランドの修道院・城・村・沼地・荒野——それぞれのロケーションが当時の時代を感じさせるように作り込まれており、「この時代を生きている感覚」を強く引き出してくれる。

北欧神話の要素も随所に絡んでくる。オーディン・トール・フレイ・フェンリルといった北欧神話の神々や怪物が、エイヴォルの精神世界や神話的幻視の中で存在感を発揮する。史実とファンタジーが重なり合う構造は、アサシンクリードシリーズが最初期から持っている強みで、ヴァルハラでもそれが存分に活かされている。

エイヴォルというキャラクターの魅力

前作「オデッセイ」のカッサンドラ・アレキシオスがプレイヤーからの支持を高く集めたように、ヴァルハラの女性エイヴォルもキャラクターとして高い評価を得ている。豪快さと繊細さを持ち合わせた人物で、戦場では誰より勇敢でありながら、仲間や家族への想いを大切にする面も見せる。

シグルドとの関係性は物語の軸のひとつだ。幼い頃から共に育った義兄弟の絆が、イングランドという異国の地で試されていく。シグルドがだんだん変わっていく様子、そのエイヴォルの戸惑いや葛藤は、単純な英雄譚ではない重みを物語に与えている。

集落育成という「帰れる場所」の存在

長時間プレイを支えている要素のひとつが、集落レイヴンズソープの存在だ。各地の遠征で疲れたら戻ってくる場所があり、住民たちとの会話や集落の変化が確認できる。オープンワールドにありがちな「どこへ行けばいいかわからない漂流感」を感じにくいのは、この「帰る場所」があるからだと思う。

集落で遊べる要素もある。ヴァイキングの宴会(フリッカー)では賭け事・飲み競争・悪口の言い合いといったミニゲームが楽しめる。些細なコンテンツだが、「ここで生活している」という感覚を肉付けしてくれる要素として機能している。

膨大なボリュームによるコストパフォーマンス

セール時の価格で考えると、ヴァルハラのコストパフォーマンスは異常なほどいい。メインゲームだけで50〜60時間、全エリアのサブクエスト込みで100〜150時間、DLCも含めれば200時間以上遊べる。ゲーム1本の値段でこれだけの時間が遊べる作品は、そう多くない。

「今月はお金を使えないけど長く遊べるゲームが欲しい」「一本のゲームをとことんやり込みたい」という人にとって、ヴァルハラは非常に向いている作品だ。

美しいオープンワールドの景観

グラフィックのクオリティはPC版でフル設定にすると非常に高い。特に光の表現が秀逸で、朝日が森の梢を抜けてくるシーン、夕焼けが川面に映り込むシーン、嵐の中を航行するロングシップの甲板——こういった瞬間が随所にある。

イングランドの各地域は意図的にバイオームを変えており、沼地・森・草原・海岸・雪山と、移動するだびに風景が変わる。「同じフィールドが続いて飽きる」という感覚が起きにくい設計になっている。

遊ぶ前に知っておきたい注意点

Steam評価が「賛否両論」な理由

Steam上のユーザーレビューは「賛否両論」になっており、評価が割れる作品であることは正直に書いておきたい。主な批判点をまとめると以下の通りだ。

まず「ステルス・暗殺の快適さが落ちた」という点。シリーズ1作目から続く「ヒドゥンブレードで一撃暗殺してスッキリ」という体験が薄れており、特に後半の強敵には暗殺が通りにくい。これは戦闘スタイルの転換として開発側が意図的に行ったデザインだが、シリーズ古参ファンには受け入れがたい変化として映った。

次に「ストーリーが長すぎる」問題。各地域のアライアンスクエストをこなして回る構造は悪くないのだが、それぞれが完結したアークになっているため「次に何をすべきかわからなくなる」感覚が出やすい。メインストーリーへの繋がりが薄いアークが続くと、「この遠征は結局何のためだったんだろう」と迷子になるプレイヤーもいる。

また「技術的な問題」も初期リリース時には多く報告された。バグ・クラッシュ・セーブデータの消失といった問題がPC版の初期には散見された。現在はかなり改善されているが、過去のネガティブレビューがそのまま残っているため評価に影響している。

アサシン要素への過度な期待は禁物

繰り返しになるが、ヴァルハラはアサシンよりもヴァイキング戦士としての側面が強い。「前作のオデッセイのようにステルスを駆使して暗殺を楽しみたい」という期待で入ると、序盤からギャップを感じる可能性がある。

エイヴォルがアサシン教団(Hidden Ones)に正式に加入するのはストーリーがある程度進んでからで、しかも加入後もヴァイキング戦士としての立ち回りが中心になる。「アサシンクリードというよりヴァイキングゲーム」というつもりでプレイすると、ミスマッチ感は大幅に減る。

序盤のボス戦が難しい場合がある

ヴァルハラのボス戦は体力バーが複数段階に分かれており、長期戦になりやすい。また一部のボスは攻撃パターンが複雑で、慣れるまでに何度もやり直しが必要なケースがある。特に序盤はエイヴォルの能力値がまだ低く、「装備が追いついていないのか、自分の操作が悪いのかわからない」という状況になりやすい。

難易度は最初から変更できるので、詰まったら下げることをためらわなくていい。ストーリーを楽しむことを優先するなら「探索家(イージー相当)」でも全然問題ない。

序盤にやってはいけないこと(ネタバレ回避)

ストーリーを楽しみたい人への注意点として、集落の「ヴァルカの居住地」という建物はメインストーリーをクリアしてから建てた方がいい。この建物のクエストがストーリー上の重要な内容に絡んでくるため、順番を間違えると意図しないタイミングでネタバレを食らう可能性がある。攻略情報をあまり見ずにプレイしたい人は特に気をつけたい。

また「異常現象(アノーマリー)」と呼ばれるコンテンツも、メインストーリー終盤まで手を出さない方がいいという意見が多い。ストーリーの流れを理解してから触れた方が内容が深く刺さる。

動作環境——推奨スペックはそれなりに高い

PC版で快適にプレイするには相応のスペックが必要だ。推奨スペックはCPU: Core i7-8700K相当、GPU: GTX 1080以上(または同等のAMD製品)、RAM: 16GB以上という構成が目安になる。最高画質設定で60fps以上を安定して出したいなら、RTX 3070以上のクラスが現実的だ。

設定を落とせば中程度のPCでも動くが、開けた野外フィールドや多数の敵が出るレイドシーンではフレームレートが落ちやすい。遊ぶ前に自分の環境のスペックと照らし合わせておくことをおすすめする。

Ubisoft Connectへの紐付けが必要

Steam版でもUbisoft Connectアカウントへの紐付けが必要になる。起動時にUbisoft Connectのログインが求められるため、アカウントを持っていない場合は事前に無料登録しておく必要がある。インターネット接続がない環境でのオフラインプレイについても、Ubisoft Connectの設定によって制限される場合があるので注意。

初心者・初回プレイへのアドバイス

難易度選択は「一般的(ノーマル)」から始めよう

初回プレイなら難易度は「一般的(ノーマル相当)」から始めることを強くすすめる。ヴァルハラの難易度は戦闘・探索・ステルスの3つを個別に設定できるようになっており、例えば「戦闘は普通、探索は難しく、ステルスは簡単」という細かい調整が可能だ。

戦闘の難易度は途中でいつでも変更できるので、特定のボスで詰まったら下げればいい。「負けたら下げる」ではなく「最初から少し低めに設定しておく」方が、ストーリーをテンポよく楽しめる。

最初は集落の発展に集中しよう

ゲーム序盤、レイヴンズソープに着いたらまず「鍛冶屋」「入れ墨師」「弓師」「酒場」を優先的に建設することをすすめる。鍛冶屋は装備の強化に必須、入れ墨師はエイヴォルの能力強化(入れ墨スキルの解放)に必要、弓師は弓の品揃えを広げてくれる。酒場ではヴァイキングの宴会(フリッカーミニゲーム)が楽しめる。

物資が足りない時は近くの修道院をレイドしよう。初期エリアのリーデケストレシャーとグランテブリッジにはレイドポイントが複数あり、比較的簡単に物資が集められる。

スキルは「バランス型」で少しずつ拡張しよう

序盤はスキルポイントを特定の系統に偏らせず、3つの系統(近接・遠距離・ステルス)に均等に振っておくのがおすすめだ。ゲームの進行上、特定のシーンで「ここはステルスがやりやすい」「ここは正面戦闘が向いている」という局面が交互に来るため、どの方向にも対応できると詰まりにくい。

プレイ時間が伸びてきて自分の好みが定まってきたら、そこから特化していくのが無難だ。ステルス暗殺が好きならヒドゥンブレード強化とアサシンダメージ系のスキルを集中的に取り、戦闘特化にするなら近接ダメージと防御スキルを優先する。

カラスを使った偵察は必ず活用しよう

新しいエリアに踏み込む前には必ずカラスを放して周囲を確認する習慣をつけるといい。敵の配置・宝箱の位置・隠し通路の入り口などが上空から把握できるため、「なんとなく突撃して全滅する」という展開を防げる。特に敵の拠点に侵入する際、前もってカラスで全体像を把握しておくだけで攻略のしやすさが格段に上がる。

アライアンスクエストは推奨パワーレベルに注意

各地域のアライアンスクエストには「推奨パワーレベル」が設定されている。自分のパワーレベルが低い状態で高難易度エリアに突っ込むと、雑魚敵でも一撃でやられてしまう。マップ画面で各地域の推奨パワーを確認し、自分のレベルが足りなければ別エリアのクエストやサイドコンテンツで経験値を積んでから向かう方がいい。

ただし逆に、低レベルエリアに慣れたパワーで突っ込むとワンパンで倒せすぎて戦闘の爽快感が薄れる。「自分のパワーレベル±20くらい」の地域を選ぶと、戦闘のバランスが最もいい状態になる。

サイドクエストはメインと並行してこなそう

メインクエストだけを一気に進めようとすると、中盤あたりで「パワーレベルが足りなくて先に進めない」「装備が貧弱すぎてボスに勝てない」という壁にぶつかることがある。メインクエストをこなしながら、その地域のワールドイベント・財宝・謎を並行して回ると、自然にレベルと装備が整っていく。

ワールドイベント(謎コンテンツ)は短いものなら5〜10分で終わるものも多く、「移動中にちょっと寄り道した」だけで完結することも多い。積極的に関わっていくと、気づいたら経験値とアイテムが大量に貯まっている。

DLCはメインストーリーをクリアしてから

DLCコンテンツは、メインストーリーをある程度進めた後に遊ぶ設計になっている。特に「ラグナロクの始まり」はパワーレベル340以上が推奨されており、序盤から手を出してもクリアが難しい。まずメインゲームを楽しみ切ってからDLCに移行するのが自然な流れだ。

コンプリートエディション(本編+全DLC付き)はセール時に非常に安くなることが多い。DLCまで全部遊びたいなら、コンプリートエディションのセールを待って購入するのがコスパ的にもおすすめだ。

まとめ——これは150時間、バイキングとして生きるゲームだ

Assassin’s Creed Valhallaは、「アサシンクリードシリーズの最新作」として買うと期待値とのズレを感じることがあるかもしれない。でも「9世紀のヴァイキングとして、イングランドという異国の地に新天地を切り拓くオープンワールドRPG」として向き合うと、その規模と作り込みに圧倒される。

150時間以上遊んで、一番残っているのは何かと聞かれたら——レイヴンズソープの集落が少しずつ賑やかになっていく記憶だと思う。初めて上陸した時はただの荒地だったのに、最終的には酒場で仲間が笑い声を上げ、子供たちが走り回り、鍛冶屋の煙が立ち上がる場所になっていた。その光景を見て「ここまで来たな」と思えた瞬間は、ゲームをやり続けてきた理由だった。

エイヴォルというキャラクターも、長く付き合うほど愛着が湧いてくる。豪快で頼もしく、でも時々迷い、大切な人への想いを隠しきれない。シグルドとの関係が変わっていく様子、各地の人々と出会いと別れ——150時間を共に過ごしたキャラクターとして、彼女(または彼)は確かに存在感を持っている。

ヴァイキングの世界に興味がある人、長く遊べる重厚なオープンワールドを探している人、北欧神話や9世紀ヨーロッパの歴史に引かれる人——そういう人たちに、このゲームは間違いなく刺さると思う。Steamセールで大幅割引される機会も多いので、気になっているなら次のセールのタイミングを狙ってみてほしい。

長い旅になるけれど、レイヴンズソープが賑やかになっていく過程は、きっと悪くない時間のはずだ。

Assassin's Creed Valhalla

Ubisoft Montreal
リリース日 2022年12月6日
サービス中
同時接続 (Steam)
2,585
2026/04/16 アジア圏ゴールデンタイム計測
レビュー
41,539 人気
69.7%
全世界
賛否両論
41,539件のレビュー
👍 28,936 👎 12,603
45.3%
賛否両論
179件のレビュー
👍 81 👎 98
価格¥9,240
開発Ubisoft Montreal
販売Ubisoft
日本語非対応
対応OSWindows
プレイ形式シングル
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