Age of Mythology: Retold|神話が動く、伝説のRTSが現代に甦る
「ゼウスよ、稲妻を落とせ」――そう叫んで即座に敵ユニットを焼き払えるゲームが、2002年に存在した。Age of Mythologyだ。エジプトのミイラが敵兵を石化し、北欧のトロールが岩を投げ、ギリシャのペガサスが偵察する。普通のRTSがただの兵士と建物を動かすゲームだとすれば、Age of Mythologyは「神話そのもの」を動かすゲームだった。
あれから22年。2024年9月4日に「Age of Mythology: Retold」としてそのゲームが完全に作り直された。グラフィックはレイトレーシング対応の完全新規3Dモデル、サウンドは交響楽版で再録音、システムは現代のRTS設計に合わせて調整、さらに中国・日本・アステカという新しい神話パンテオンまで追加されている。
Steamのレビューは9,752件中90%がポジティブ。Metacriticスコアは83点、OpenCriticでは86%のレビュワーが推薦している。「ノスタルジアと革新の完璧な融合」という評価が多く、往年のプレイヤーも初めてRTSに触れる人も両方が楽しめる設計になっている。
この記事ではAge of Mythology: Retoldのすべてを解説する。ゲームの仕組みから各神話パンテオンの特徴、初心者が詰まりやすいポイントまで、実際にプレイする前に知っておきたいことを全部書く。
こんな人におすすめ

- RTSが好きだけど「ただの軍事シミュレーション」には飽き足りない人
- ギリシャ神話・北欧神話・エジプト神話・日本神話などが好きな人
- Age of EmpiresやStarCraft経験者でRTSの新作を探している人
- 2002年版Age of Mythologyをプレイして懐かしんでいる人
- 派手な神の力や巨大な神話ユニットで圧倒感のある戦いをしたい人
- キャンペーンで神話世界を旅する物語体験を楽しみたい人
- 友人とCo-opでシナリオを遊んだり、PvP対戦したい人
- レベルエディターで自分だけのマップやシナリオを作りたい人
逆に「RTSというジャンル自体が苦手」「リアルタイムで建設・戦闘を同時進行するのがストレス」「ターン制ストラテジーの方が好き」という人には向いていないかもしれない。ただし後述するオートメーション機能のおかげで、以前のRTSよりはるかに取っ付きやすくなっている。
Age of Mythology: Retoldとはどんなゲームか
Age of Mythology: Retoldは、World’s EdgeとForgotten Empires、Tantalus Media、CaptureAge、Virtuos Gamesが共同で開発し、Xbox Game Studiosがパブリッシュしたリアルタイムストラテジー(RTS)ゲームだ。価格はStandard Editionが3,800円、DLCを含むPremium Editionが6,400円。2024年9月4日にPC(Steam、Xbox)とXbox Series X/Sで発売され、2025年3月4日にはPlayStation 5版も配信された。
原作のAge of Mythologyは2002年10月にEnsemble Studiosが開発・Microsoft Studiosが発売したタイトルで、同社のAge of Empiresシリーズのスピンオフとして誕生した。「歴史的に実在した文明ではなく、神話の世界を舞台にする」という方向性が当時のRTS業界では異色で、発売直後から大きな支持を集めた。それから20年以上が経ち、現代の技術で完全に作り直されたのがRetoldだ。
ゲームの基本構造はAge of EmpiresなどのRTSと同じだ。ベースとなる拠点(タウンセンター)から村人を生産して資源を採取し、建物を建設し、軍隊を訓練して敵プレイヤーや敵AIを撃破するのが目標になる。ただしAge of Mythologyには他のRTSにはない2つの大きな要素がある。「神の力(God Power)」と「神話ユニット(Myth Unit)」だ。この2つの存在が、Age of Mythologyを普通のRTSとは一線を画すゲームにしている。
Steamの基本情報
App IDは1934680。対応OSはWindows(64ビット)。サポート言語は日本語を含む25言語以上で、インターフェース・字幕・フルオーディオすべてに日本語が対応している。132個のSteamアチーブメントがあり、SteamクラウドセーブとXboxとのクロスプレイマルチプレイにも対応している。コントローラー対応も完備されており、ゲームパッドでも操作できる。
推奨スペックはCPUがIntel Core i7-9700またはAMD Ryzen 7 3700X、GPUがNVIDIA RTX 2080 SuperまたはAMD RX 5700 XT、RAMが16GB。レイトレーシングを使う場合はNVIDIA RTX 3070以上が推奨されている。最低スペックではCPUがIntel Core i5-6600KまたはAMD Ryzen 5 1600X、GPUがNVIDIA GTX 1060またはAMD RX 580、RAMが8GBとなっている。
時代進化システム──「古代」から「神話時代」へ

Age of Mythologyの骨格を理解するには、まず「時代進化」の仕組みを把握する必要がある。これはAge of Empiresでも使われている概念だが、Age of Mythologyではここに「どの神を選ぶか」という選択が絡んでくる。
ゲームは4つの時代に分かれている。「太古の時代(Archaic Age)」「古典時代(Classical Age)」「英雄時代(Heroic Age)」「神話時代(Mythic Age)」だ。各時代へ進化するには一定量の資源(食料、木材、金など)が必要で、進化するたびに新しい建物・ユニット・テクノロジーへのアクセスが解放される。高い時代になるほど強力なユニットや神話ユニットが使えるようになり、研究できるアップグレードも増える。
ここが普通のRTSと違う点だが、Age of Mythologyでは時代を進化するたびに「どの神を選ぶか」を決める必要がある。最初にプレイヤーが選ぶ「主神(Major God)」によって文明全体の基本特性が決まり、さらに各時代の進化時に「従神(Minor God)」を2〜3択の中から1つ選んでいく。従神を選ぶと、その神固有のゴッドパワー(神の力)と従神ユニークの神話ユニット、専用テクノロジーが解放される仕組みだ。
例えばギリシャ文明でゼウスを主神に選んだ場合、古典時代の進化でアポロンかアレスかヘルメスを選択する。アポロンを選べば市民ユニットの移動速度を上げる「ストロボス(Strobos)」というゴッドパワーと、マニコアという神話ユニットが解放される。アレスを選べば敵軍の士気を下げる「呪い(Curse)」のゴッドパワーと、マーミドンという特殊兵士ユニットが得られる。どちらを選ぶかで同じゼウス文明でも戦略が変わってくる。
この「時代進化=神を選ぶ」という構造が、Age of Mythologyのリプレイ性を大きく高めている。主神と従神の組み合わせで戦略が大きく変化し、対戦でも相手がどの神を選んだかを把握することが重要な読み合いになる。
神話パンテオン──6つの世界観
Age of Mythology: Retoldには6つの神話パンテオン(文明)が登場する。基本パッケージに4つ(ギリシャ、ノルウェー、エジプト、アトランティス)、DLCで2つ追加(中国、日本)という構成だ。それぞれのパンテオンはビジュアル・ユニットデザイン・プレイスタイルが大きく異なり、選ぶだけでゲームの体験が変わる。
ギリシャ(Greek)──バランス型のスタンダード
主神として選べるのはゼウス、ポセイドン、ハデスの3神。ギリシャ文明はバランスが良く、強力な英雄ユニット(ヘラクレス、ペルセウスなど)を中心に戦う。英雄ユニットは神話ユニットに対して大きなダメージボーナスを持っており、相手の神話ユニットを効率よく撃破できる。ただし神話ユニット自体はギリシャが最も豊富なので、攻撃にも防衛にも神話ユニットの存在感が大きい。
ゼウスは稲妻を落とす「ライトニングストーム(Lightning Storm)」が終盤の強力な一手になり、ポセイドンは海軍戦や騎兵ユニットの強化に優れ、ハデスは「冥界の門(Gate of Tartarus)」を使った戦術的な配置が特徴。RTSに慣れていない初心者にとっても取っ付きやすい文明で、チュートリアルのキャンペーンもギリシャ視点で進む。
ノルウェー(Norse)──荒々しい接近戦文明
主神はオーディン、ソー、ロキ。ノルウェーは他の文明と根本的に異なる特徴を持っている。村人(住民)が戦闘ユニットを兼ねており、「ドワーフ」や「ヒュードラフニール」といったユニットが資源採取と戦闘を同時にこなせる。序盤から前線で採取しながら戦えるため、侵略的な早期ラッシュ(攻撃)戦術が得意だ。
一方で拠点防衛が弱く、長期戦になると資源を守りながら戦うのが難しい。北欧神話の怪物たちも個性的で、片目のイールミール(霜の巨人)やヴァルキリー(戦乙女)など迫力のあるユニットが揃っている。ソーが持つ「フロストジャイアント(Frost Giant)」は攻撃力の高い神話ユニットで、単体での制圧力が高い。
エジプト(Egyptian)──支援と守備の堅牢文明
主神はラー、イシス、セト。エジプトは「ファラオ」という特殊な英雄ユニットを中心に戦う文明で、ファラオが神殿や採取ポイントに「神聖化(Empower)」を施すことで作業効率を大幅に上げられる。どこにファラオを置くかの判断がゲームプレイの核になる。
防御施設が強力でタワーや壁の性能が高く、守りに強い文明。神話ユニットにはアヌビス(死の神)、ナイル・ドラゴン(スコーピオンマン)、スフィンクスなどが登場し、エジプト神話のビジュアルイメージ通りの重厚なユニットが揃っている。「プレーグ(Plague of Serpents)」というゴッドパワーは広範囲に毒蛇を降らせる豪快な効果で、戦場の混乱を引き起こす。
アトランティス(Atlantean)──テクノロジー特化の異色文明
原作の拡張パック「The Titans」で追加された文明。主神はクロノス、オセアノス、ガイア。アトランティスは他のパンテオンとは設計思想が大きく異なり、「シティセンター(タウンセンター相当)」を複数建設できる代わりに村人の食料コストが高く、序盤の人口管理がシビアだ。
最大の特徴は「英雄ユニットの自動解放」で、一定数の軍事ユニットを生産すると自動的に英雄ユニットが生成される仕組みになっている。また、テクノロジーの研究が他文明より柔軟で強力なユニーク技術を複数持っている。上級者向けの文明として知られており、使いこなすと強力だが習熟までの学習コストが高い。
中国(Chinese)──DLC「Immortal Pillars」で追加
Premium Editionに含まれるDLC「Immortal Pillars」で追加された文明。主神は伏羲、女媧、神農の三皇。西遊記や中国古典に登場するような神話ユニットが登場し、孫悟空(サン・ウーコン)や龍(ドラゴン)などが戦力に加わる。
中国文明の最大の特徴は「ニュアンス(Nuwa’s Creation)」と呼ばれるシステムで、資源ではなく「おもてなし(Favor)」を集める方法が他の文明と異なる。神殿に僧侶を配置するのではなく、村人が祭典を行うことでFavorを稼ぐ仕組みだ。複数の祭典を同時進行させてFavorを効率的に集めながら、強力な龍系神話ユニットで制圧する戦術が有効。
日本(Japanese)──DLC「Heavenly Spear」で追加
DLC「Heavenly Spear」で追加された文明。主神はイザナギ、アマテラス、スサノオという日本神話の主要三神。ヤマタノオロチ(八岐大蛇)、オニ(鬼)、テング(天狗)といった日本の妖怪・神話存在が神話ユニットとして登場し、日本神話ファンにとっては楽しいラインナップになっている。
ゲームプレイ上の特徴は「神社(Shrine)システム」で、マップ上に設置できる神社が一定時間ごとに資源を産出する仕組みを持っている。神社を多く設置・維持することで安定した資源収入を確保しながら、鎧武者や侍といった和風ユニットで構成した軍隊を展開する。スサノオのゴッドパワー「嵐(Rainstorm)」は農場や採取を妨害する妨害型の効果を持ち、資源管理に特化した妨害戦術が使える。
神の力(God Power)──試合の流れを変える切り札
Age of Mythologyの最大の魅力の一つが「神の力(God Power)」だ。原作では1回しか使えない使い捨ての切り札だったが、Retoldでは冷却時間(クールダウン)付きで繰り返し使用できる仕様に変更された。この変更によって、神の力はより積極的に戦略の中に組み込みやすくなっている。
神の力の内容はゲームを選んだ主神と従神によって変わる。一例を挙げると以下のような効果がある。
- ライトニングストーム(Zeus):広範囲に稲妻を連続で落とし、複数のユニットや建物にダメージを与える。大規模な部隊への攻撃や重要な建物の破壊に使う。
- アースクエイク(Poseidon):地震を起こして広範囲の建物にダメージを与える。相手の防衛施設を一気に崩すのに効果的。
- プレーグ・オブ・サーペンツ(Ra):フィールドに大量の毒蛇を召喚し、広範囲に継続ダメージを与える。囲んで使うと強力。
- フロストジャイアント(Thor):北欧の氷の巨人を召喚して敵軍に突撃させる。使い捨てではなく一時的な強力戦力として使える。
- ドラゴンスリープ(対中国文明戦術向け):敵ユニットを眠らせて行動不能にする妨害効果。重要な局面でのタイミングが鍵になる。
神の力には攻撃系・召喚系・支援系・妨害系とさまざまな種類がある。どのタイミングで使うかが勝負の分かれ目になることも多く、「神の力を温存して決定的な局面で投入する」か「序盤から積極的に使って有利を作る」かという判断が常に必要になる。クールダウンがあるため、使ったあとに無防備な時間が生まれるのも計算に入れなければならない。
神話ユニット──伝説の怪物を戦場に解き放つ

Age of Mythologyのもう一つの顔が神話ユニット(Myth Unit)だ。これは各文明の神話・伝説に登場する怪物や神聖な存在をユニットとして使える仕組みで、通常の軍事ユニットより圧倒的に高い攻撃力や特殊能力を持っている。
神話ユニットの訓練には「フェイバー(Favor)」という特殊な資源が必要だ。フェイバーは通常の採取では集められず、文明ごとに異なる方法で稼ぐ仕組みになっている。
- ギリシャ:神殿に村人を配置して礼拝させることでフェイバーが増える。配置する村人の数が多いほど速く溜まる。
- ノルウェー:戦闘でユニットを倒すたびにフェイバーが増える。積極的に戦う文明にとって自然に溜まる仕組み。
- エジプト:神殿が一定時間ごとに自動でフェイバーを生産する。待つだけで溜まるため、守備的な戦術と相性がいい。
- アトランティス:特殊な祭壇施設でフェイバーを生産する。建設コストはかかるが安定した収入源になる。
フェイバーを消費して訓練できる神話ユニットの種類は文明と従神によって変わる。ギリシャのミノタウルスは突進攻撃で複数の敵を薙ぎ倒し、エジプトのスフィンクスは複数ターゲットへの攻撃が可能で、ノルウェーのフロストジャイアントは高耐久の重戦力として機能する。日本文明のヤマタノオロチは複数の頭で同時攻撃ができる強大な神話ユニットだ。
神話ユニットに対する弱点として、英雄ユニット(各文明の英雄)が神話ユニットに対して大きなダメージボーナスを持っている。神話ユニットだけで押し込もうとすると相手の英雄ユニットに狩られてしまうため、通常の軍事ユニットと組み合わせたバランスが重要になる。「神話ユニットで歩兵を薙ぎ倒し、通常ユニットで英雄を守る」という相性の連鎖がAge of Mythologyの戦術の深みを生んでいる。
キャンペーン──50ミッションの神話叙事詩
Age of Mythology: Retoldには50ミッションにわたる大規模なキャンペーンが収録されている。複数の独立したストーリーラインが存在し、各ラインは神話世界のさまざまな地域を舞台にした物語になっている。
Fall of the Trident──ギリシャの英雄譚
メインキャンペーンに当たる物語で、ギリシャのアルゴス軍を率いるアマニ提督(Arkantos)がアトランティスの陰謀と神々の戦争に巻き込まれる話。トロイア、スカンジナビア、エジプト、アトランティスとさまざまな世界を渡り歩き、ギリシャ・ノルウェー・エジプト・アトランティスの4文明を順番に使いながら進む。各文明の特性を自然に覚えられる構成になっており、RTSの初心者がゲームを学ぶには最適な入り口だ。
Fall of the Tridentは原作でも高く評価されたキャンペーンで、Retoldでは全ムービーが高解像度で再録制作された。英語版フルボイスで日本語字幕も完備されており、神話世界の壮大なスケールを映像で楽しめる。
The Golden Gift──ノルウェーの小冒険
北欧神話の短編キャンペーン。ドワーフが作った黄金の贈り物を巡る謎解きミッション集で、ノルウェー文明特有のシステムをより深く使いこなすことが求められる。Fall of the Tridentよりコンパクトなボリュームで、ノルウェー文明の独特な操作感を習得するのに役立つ。
The New Atlantis──アトランティスの継承
原作拡張パック「The Titans」に収録されていたキャンペーンをRetold版に移植したもの。アトランティス文明のプレイヤーキャラクターを中心に、新たな時代の幕開けを描く。アトランティスの特殊な文明システムをフル活用したミッションが多く、異色の文明設計を体験できる。
Pillars of the Gods / Yasuko’s Tale / Obsidian Mirror
DLCのPremium Editionに含まれる3つの追加キャンペーン。Pillars of the Godsは中国文明を使った中国神話の物語、Yasuko’s Taleは日本の武士と神々の戦いを描く日本文明キャンペーン、Obsidian Mirrorはアステカ文明の神話世界が舞台になっている。各キャンペーンは対応する新文明のチュートリアルを兼ねており、新パンテオンのシステムを遊びながら覚えられる設計だ。
50ミッション全体のプレイ時間はプレイヤーのペースにもよるが、キャンペーンだけで30〜50時間程度になる。初心者がしっかりチュートリアルとして活用しながら進めれば、マルチプレイに向けた基礎訓練として十分な量だ。
マルチプレイ──対戦と協力プレイ

Age of Mythology: Retoldはシングルプレイ専用ゲームではなく、マルチプレイも充実している。オンラインPvP対戦とCo-op(協力プレイ)の両方に対応しており、PC(Steam)とXboxプレイヤー間のクロスプラットフォームプレイも可能だ。
ランク対戦(Ranked Play)
1v1および2v2のランク対戦が用意されている。マッチメイキングシステムが実力に近い相手を見つけてくれるため、初心者がいきなりベテランと当たって蹂躙される状況は少ない。ランクが上がるにつれて高度な戦術の読み合いが求められるようになり、やり込み要素として機能する。
対戦では「どの文明・主神を選ぶか」という段階からすでに読み合いが始まる。相手の文明に合わせたカウンター戦略が必要なため、複数の文明を使いこなすことが上達への近道だ。時代進化のスピードと神の力の使いどころが対戦の鍵になり、「相手が古典時代に進化する前に序盤ラッシュで決める」か「守りを固めて神話時代まで粘り最強ユニットで制圧する」かという戦略選択も楽しさの一つになっている。
Co-opモード
キャンペーンの多くを2人協力でプレイすることが可能で、カスタムシナリオや対AIのスカーミッシュも協力プレイに対応している。友人と一緒に神話キャンペーンを進んだり、高難度AIに対して2人で挑んだりできる。「一人ではキャンペーンが難しい」という場合にも協力プレイが助けになる。
Arena of the Gods──新ゲームモード
Retoldで新たに追加されたゲームモード。複数のプレイヤーが神の力と神話ユニットを中心に戦う特殊なルールセットで、通常の対戦とは異なる方向性のプレイが楽しめる。「神の力を頻繁に使う派手な戦い」を楽しみたいプレイヤー向けのモードで、テクノロジーツリーよりもゴッドパワーとユニットの直接対決を重視した構成になっている。
カスタムシナリオ・ランダムマップ
マッチではランダムに生成される数十種類のマップとシナリオが用意されており、毎回異なる地形でゲームが始まる。地形によって採取できる資源の分布が変わり、川や山が多い地形では攻め方・守り方も変わってくる。カスタムシナリオはレベルエディターで自作したマップを遊ぶことも可能で、コミュニティ制作のシナリオをSteam Workshopでダウンロードして楽しめる。
レベルエディターとMod対応
Age of Mythology: RetoldにはフルのLevel Editorが搭載されており、自分でマップやシナリオを作成できる。原作Age of Mythologyでもエディターはコミュニティで長年使われてきた機能で、Retoldでは現代的なUIで再設計されている。
Steam Workshopに対応しているため、自作のシナリオ・マップを公開したり、他のユーザーが作ったコンテンツをワンクリックでダウンロードしたりできる。コミュニティ製のカスタムキャンペーンや特定のゲームモードを再現したシナリオなど、公式コンテンツ以外の遊び方が広がる。
グラフィックModやユニットスキンのModも制作・配布されており、「好みの見た目でゲームをプレイしたい」という場合にもカスタマイズの余地がある。ただしオンライン対戦中にModを使うと不公平が生じる場合があるため、対戦モードではModの使用が制限される場合がある点は注意が必要だ。
原作との違い──Retoldで何が変わったか
2002年の原作と2024年のRetoldの違いをまとめると、以下のような変更点がある。原作プレイヤーが気になる部分と、新規プレイヤーが恩恵を受けられる改善点が混在している。
グラフィックの完全刷新
すべてのユニット、建物、地形が現代の技術で完全に作り直された。Age of Empires III: Definitive Editionで使われたエンジンをベースに、レイトレーシングにも対応している。原作のポリゴン数が少ない3Dモデルと比べると、ユニットの造形が格段に精密になっており、神話ユニットの迫力が増している。
ただし一部のファンからは「原作独自のビジュアルアートスタイルが失われた」という意見もある。原作のやや様式化された独特のアート感が好きだったという層からは、Retoldの「より写実的なアプローチ」への変更に対する賛否が分かれている。
サウンドトラックの再録
音楽はStephen Rippy作曲の原作サウンドトラックを交響楽版で再録音したもの。オーケストラの生演奏による壮大なスコアで、各文明のテーマ音楽が現代の映画音楽に近い品質になった。環境音や戦闘音も大幅に強化されており、立体感のあるサウンドデザインになっている。
神の力の仕様変更
最も大きなゲームプレイの変更点がこれだ。原作では神の力は各ゲームで1回しか使えない「使い捨て」だった。Retoldではクールダウン付きで繰り返し使用できる仕様に変更されている。これによって神の力がより戦略の中に組み込まれやすくなり、「温存するか使うか」という判断がより頻繁に生まれるようになった。
原作ファンの一部からはこの変更に否定的な意見もある。「1回しか使えないからこそ神の力の重みがあった」という感覚を重視するプレイヤーにとっては、繰り返し使えることで切り札感が薄れたという指摘だ。Retoldの設計としては「より積極的に使ってほしい」という意図があると思われ、カジュアルプレイでは爽快感が増している。
自動化システムの追加
Retoldで新しく追加された機能の中で初心者に最も大きな影響を与えるのが、村人の「自動優先設定(Auto-Queue / Auto-Gather Priority)」だ。村人が何もすることがない時に自動で空き資源を採取しに行く設定や、一定の資源比率を維持するように自動割り振りする機能が加わっている。
これにより「村人を手動で細かく管理する」という従来のRTSの重労働が軽減された。マイクロマネジメントに苦手意識があるプレイヤーでも、軍隊の操作に集中しやすくなっている。ただし上級者にとっては手動管理の方が効率が高い場面も多く、自動化をどこまで使うかはプレイヤーの好みによる。
UIの改善
情報表示が大幅に強化された。ホットキーのヒント常時表示、ユニットの攻撃倍率と装甲値の詳細表示、ダメージタイプの視覚的な説明など、原作では暗記するしかなかった情報が画面上で確認できるようになっている。「このユニットはあの建物に対して有利か?」という相性情報をゲーム中に調べられるようになり、学習コストが下がった。
Age of Mythology: Retoldが人気な理由

Steamでレビュー90%ポジティブという評価を得ている理由は何か。単なるリマスター以上の魅力がRetoldにはある。
神話という普遍的なテーマ
ギリシャ神話・北欧神話・エジプト神話は西洋文化の基盤であり、日本神話も日本人なら馴染み深い。学校の授業や本・映画で聞いたことのある神々や怪物が実際に動くゲーム内の兵器として登場する体験は、純粋な戦略シミュレーションとは異なる感動がある。「ミノタウルスを実際に操作する」「ヤマタノオロチを召喚して敵軍に突撃させる」という体験は、RTSというジャンルが持つ無機質さを払拭するものだ。
戦略の深さとアクセシビリティのバランス
RTSは難しいジャンルというイメージがある。その認識は間違っていないが、Age of Mythology: Retoldは新規プレイヤーへの配慮が丁寧で、キャンペーンが段階的にシステムを教えてくれる。難易度設定も「カジュアル」から「タイタン」まで幅広く、自分のペースに合わせて楽しめる。50ミッションのキャンペーンをゆっくり進めるだけでも十分に楽しいゲームとして成立している。
一方で対戦レベルでの戦略の深さは本物で、時代進化のスピード、資源管理の効率、軍隊の編成と神の力のタイミング、相手文明へのカウンター選択など、突き詰めると際限なく奥が深い。「ゆるく遊べるが突き詰められる」というバランスが、幅広いプレイヤー層から支持される理由の一つになっている。
Co-opとソロの両立
RTSは対人戦のイメージが強いが、Age of Mythology: RetoldはAIとの戦い・ソロキャンペーン・友人とのCo-opと、ひとり遊びのコンテンツも充実している。「競争的な対戦はプレッシャーがある」という人でも、AIとゆっくり遊んだり友人と協力してキャンペーンを攻略したりという楽しみ方ができる。キャンペーンの物語自体に引力があるので、ストーリーを追うだけでもゲームとして完成している。
過去作プレイヤーへの敬意
2002年の原作は今も熱烈なファンを持つ名作だ。Retoldはそのエッセンスを丁寧に継承しており、音楽・マップデザイン・キャンペーンの骨格が原作を踏まえた設計になっている。「懐かしいのに新しい」という感覚を多くの原作ファンが評価しており、「懐かしさで戻ってきたが、新機能で今も遊び続けている」というレビューが多い。Steam全体のレビュー評価が9,752件・90%ポジティブという数字は、この信頼感の現れだろう。
Gamescom・The Game Awards ノミネート
Gamescom Awards 2024とThe Game Awards 2024の両方でノミネートされた。市場の注目度という面では業界から一定の評価を受けており、「遊んでみたいゲームリスト」に入っているプレイヤーも多い。
注意点・気になるところ
90%ポジティブという高評価ではあるが、すべてのプレイヤーに完璧というわけではない。事前に知っておくべき点をまとめる。
RTSへの適性は分かれる
Age of Mythology: Retoldはあくまでリアルタイムストラテジーというジャンルのゲームだ。「複数のことを同時に処理する」「リアルタイムで建設・採取・戦闘を並行管理する」という操作要件はある程度避けられない。自動化機能のおかげでかなり楽になっているが、「RTSというジャンル自体が生理的に苦手」という場合はキャンペーンでも快適に遊ぶのが難しいかもしれない。まず無料体験版や実況動画でRTSの操作感を確認してから購入を検討するのが無難だ。
原作ファンの一部からの批判
前述の神の力の仕様変更(使い捨て→クールダウン)やグラフィックのアートスタイルの変化に対し、原作ファンからの批判的な意見は一定数ある。「原作の感触を完全に再現してほしかった」という期待との乖離が生じている部分がある。新規プレイヤーには気にならない部分だが、原作を深く遊んでいた人は「変更点」として認識する必要がある。
マルチプレイの人口
RTSのマルチプレイは一般的にプレイヤー人口が少ないジャンルだ。Age of Mythology: RetoldのSteam同時接続プレイヤー数は発売直後に大きなピークがあったが、2025〜2026年現在はそのピーク時より落ち着いている。ランク対戦のマッチングで待ち時間が発生することがある、特に日本語圏のプレイヤー人口が少ないため国内のコミュニティが限られる、という点は念頭に置いておきたい。
DLCと価格構成
基本ゲーム(Standard Edition)は3,800円で4つの文明(ギリシャ、ノルウェー、エジプト、アトランティス)が遊べる。中国・日本・アステカ文明とそれぞれのキャンペーンはDLC扱いでPremium Editionに含まれており、Premium Editionは6,400円だ。DLC文明は純粋な追加コンテンツであり、Standard Editionでも充分な量のゲームが楽しめる。ただし「日本神話が好きで遊びたい」という場合はPremium Edition一択になる。
PCスペックへの注意
フルグラフィック設定(レイトレーシング有効)での動作はミドルクラス以上のPCを必要とする。GTX 1060クラスのGPUでも動くが、グラフィック設定を下げる必要がある。「高画質で遊びたいが手持ちのPCのスペックが気になる」という場合は、最低スペックと推奨スペックを確認して購入するとよい。グラフィック設定を下げても基本的なゲームプレイの内容は変わらない。
初心者向けアドバイス──最初にやること、知っておくこと
Age of Mythology: Retoldを始めたばかりの人向けに、序盤をスムーズに進めるためのポイントをまとめる。
まずキャンペーンから始める
いきなりマルチプレイやスカーミッシュに挑むよりも、キャンペーンをチュートリアルとして活用するのが最も効率的な入門方法だ。Fall of the Tridentのキャンペーンは段階的にシステムを教える設計になっており、序盤のミッションは基本操作・村人管理・時代進化・軍隊の運用を実際のミッション内で学べる。難易度は「学生(Student)」が最も低く、操作を覚えることに集中できる。
資源管理の優先順位を覚える
RTSの基本として「村人をすぐに採取に送る」「タウンセンターでは常に次の村人を生産キューに入れておく」という2点が最優先事項だ。採取する村人の数が多いほど資源が速く溜まり、時代進化や軍隊訓練が早まる。「戦闘に気を取られて村人生産が止まっていた」というのが初心者の最大の失敗パターンなので、定期的にタウンセンターを確認して生産が止まっていないかチェックする習慣をつけたい。
各文明のFavor集め方法を理解する
神話ユニットの訓練に必要なFavor(フェイバー)は文明ごとに集め方が違う。ギリシャは神殿に村人を配置する、ノルウェーは戦闘で稼ぐ、エジプトは自動収入、アトランティスは祭壇施設で生産する。序盤に「Favorがなくて神話ユニットを出せない」という状況を避けるために、文明ごとのFavor収入の仕組みを早めに把握しておくとよい。
神話ユニット対策を意識する
対AIでも対人でも、相手が神話ユニットを出してきたら英雄ユニットで対処するのが基本だ。通常の兵士でも戦えないことはないが、英雄の持つ神話ユニット特効ダメージは大きい。「相手が神話時代に進化して強い神話ユニットを出してきた」という局面では、英雄ユニットを前線に出すことで効率よく撃破できる。英雄ユニットのHPが低い場合は回復させながら戦うことも大切だ。
神の力は惜しまず使う
Retoldでは神の力がクールダウン制になったため、「温存しすぎて一度も使わないままゲームが終わる」という原作のよくあるミスが起きにくくなっている。積極的に戦場で使っていく姿勢で問題ない。序盤から中盤にかけて神の力を使ってアドバンテージを取り、クールダウン中は通常の軍隊で維持するという流れが自然だ。
まず1つの文明を使い込む
最初から全ての文明を試すよりも、まず1つの文明(初心者にはギリシャが推奨)を集中して使い込む方が上達が早い。各文明の主神・従神の特性、神話ユニットの使い方、Favor収入の管理など、一つの文明を深く理解してから他の文明に移ると理解が早まる。キャンペーンをクリアするまでは基本的にギリシャ文明を使いながら進められる設計になっている。
難易度設定は遠慮なく下げる
Age of Mythology: Retoldの難易度はミッション途中でも変更できる。「難しすぎて詰まった」という場合は遠慮なく難易度を下げてキャンペーンを進めるのが正解だ。RTS特有の「AIの動きが速すぎる」という感覚は、操作に慣れるまで避けようがない。まずゲームのシステムと文明の特性を覚えることを優先して、操作に慣れてから難易度を上げるのがストレスなく楽しむコツだ。
Steam Workshopのシナリオを活用する
キャンペーンをクリアした後にコンテンツが不足を感じたら、Steam WorkshopにコミュニティユーザーによるカスタムシナリオやModが大量に公開されている。公式キャンペーンとは異なる趣向のシナリオや、特定の神話をテーマにしたファンメイドのストーリーなど、無料で楽しめるコンテンツが豊富だ。公式コンテンツだけでは物足りなくなってきたタイミングで探してみると、予想以上の量が見つかる。
まとめ──22年越しの神話が再び動く
Age of Mythology: Retoldは、2002年のゲームを単純にきれいにしただけではない。現代のプレイヤーが入りやすいように自動化システムを加え、神の力を繰り返し使えるようにして戦略的な使いどころを広げ、中国・日本・アステカという新しい神話世界を追加し、交響楽版のサウンドトラックで没入感を高めた。90%のポジティブレビューはその取り組みへの評価だ。
ギリシャ神話のミノタウルスを戦場に走らせ、北欧神話のトロールで岩を投げさせ、日本神話のヤマタノオロチを召喚して敵軍を制圧する。こんな体験はAge of Mythologyにしかない。「RTSは難しそう」という先入観があっても、丁寧に設計されたキャンペーンのおかげで段階的にシステムを覚えられる。神話が好きならば、一度試す価値は十分にある。
50ミッションのキャンペーンで神話世界を旅し、慣れてきたら対戦やCo-opに踏み出し、気に入ったらレベルエディターでオリジナルのシナリオを作る。Age of Mythology: Retoldはそれだけのコンテンツを持ったゲームだ。神話時代の戦場で、自分だけの伝説を作ってみてほしい。
Age of Mythology: Retold
| 価格 | ¥3,800 |
|---|---|
| 開発 | World's Edge, Forgotten Empires, Tantalus Media, CaptureAge, Virtuos Games |
| 販売 | Xbox Game Studios |
| 日本語 | 非対応 |
| 対応OS | Windows |
| プレイ形式 | シングル / マルチ |

