2回死んだゲーム——『かんぱにガールズ』RE:BLOOM版1.5ヶ月で全額返金の顛末

※かんぱに☆ガールズは2021年7月にサービスを終了しました。
ブロックチェーン版「RE:BLOOM」も2025年1月に終了しています。
ここでは当時の魅力を振り返りつつ、似たタイプのゲームも紹介しています。
目次

「全社員にスポットライトを」――そんなゲームが、2回死んだ話

2014年9月、DMM GAMESにひとつのブラウザゲームが生まれた。「かんぱに☆ガールズ」。剣と魔法のファンタジー世界で傭兵会社の社長になるRPGだ。

このゲームには、当時のブラウザゲームとしてはちょっと異質な設計思想があった。全キャラクターに等しくスポットライトを当てる。看板キャラだけが優遇されるソシャゲが当たり前の時代に、全員にフルボイス、全員にキャラストーリー、全員のイラストが手を抜かない。累計登録者数は250万人を突破した。

だが、このゲームには波乱万丈な末路が待っていた。

2021年7月、約6年10ヶ月の運営に幕を下ろす。ファンはChange.orgで署名活動を立ち上げ、オフライン化を求めた。そして3年後の2024年10月、ブロックチェーンゲーム「RE:BLOOM」として復活——したはずだった。開始からわずか約1.5ヶ月でサ終発表。プレセールまで遡って全商品返金。ゲーム業界でもほとんど例を見ない対応が取られた。

1度目はまだ分かる。7年近く走ったゲームの幕引きだ。でも2度目は、生まれ変わったばかりの姿での退場だった。

公式PV

かんぱに☆ガールズってどんなゲームだったのか

かんぱにガールズ ゲーム画面

プレイヤーは異世界に転移した傭兵会社の社長。「社員」と呼ばれる美少女キャラクターたちを集めて育成し、クエストをこなして会社を成長させていく。やっていることは王道のRPGだけど、「冒険者パーティー」じゃなくて「会社」という設定がこのゲーム独特の空気感を作っていた。

戦闘はクォータービュー(斜め見下ろし視点)。社員たちが並んで敵と戦うのを、社長であるプレイヤーが見守る形式だ。装備は自社工房で素材から製作できる。ガチャで手に入れるんじゃなくて自分で作り上げるという感覚があった。「社長スキル」というプレイヤー固有の能力で戦闘をサポートする要素もあり、RPGとしての骨格はしっかりしていた。

オート戦闘と早送りにも対応していたから、スキマ時間でもサクッと回せる。ブラウザゲーム初心者でも入りやすいシンプルなUIも良かった。

こんな人に読んでほしい

  • かんぱにガールズを遊んでいて、久しぶりに思い出した人
  • 「かんぱに RE:BLOOM」の話を聞いて、何があったのか気になった人
  • DMM GAMESのブラウザゲームで、かんぱにに似たゲームを探している人

基本情報

項目 内容
正式名称 かんぱに☆ガールズ
ジャンル ファンタジーRPG(会社経営×冒険)
開発 株式会社OVERRIDE
運営 DMM GAMES(EXNOA)
プラットフォーム PCブラウザ(DMM GAMES)、スマホアプリ
料金体系 基本プレイ無料+アイテム課金制
サービス期間 2014年9月17日〜2021年7月12日(約6年10ヶ月)
累計登録者数 250万人超(2018年11月時点)

かんぱにが愛された理由――「推しが不遇にならない」安心感

かんぱにガールズ キャラクター

ブラウザゲームのキャラものにはありがちな問題がある。一部の人気キャラだけが優遇されて、残りは出番すらないという構造だ。かんぱにガールズは、そこに正面から向き合ったタイトルだった。

全キャラにキャラクターストーリー。全キャラにフルボイス。全キャラのイラストが一定以上のクオリティ。レア度が低いからといって手を抜かない。この設計は、他のソシャゲを渡り歩いてきたプレイヤーほど刺さった。「自分の推しが、運営に冷遇されて放置されるかもしれない」という不安がない。それがどれほど貴重なことか。

ガチャも比較的やさしい仕様だった。4つの封筒から選択できるシステムで、完全なランダムではない。無課金でも基本的なゲームプレイは楽しめたし、マイペースに遊べる懐の深さがあった。

キャラクターは良いのに使える場面が無く、モチベーションが湧かない。7年続いたのは絵師の力のおかげ。
出典: オンラインゲームCH

厳しいレビューですら、キャラクターの質は認めている。ゲーム性に不満を持っていたプレイヤーでも、「7年間ありがとう」とサ終当日にレビューを残しに来る。それがかんぱにガールズというゲームだった。

ちなみに、同じDMM GAMESのブラウザゲームで長期運営に成功しているタイトルとしては千年戦争アイギスがある。2013年から10年以上続いていて、美少女キャラ育成×ファンタジーという方向性はかんぱにと共通するものがある。

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なぜ終了したのか――課金圧力と時代の波

かんぱにガールズ 戦闘画面

全盛期のかんぱにガールズには確かな人気があった。でも2018年あたりから、風向きが変わり始める。

2018年夏の転換点

2〜3週間ごとに限定キャラが追加される。天井のないガチャが導入される。有償と無償の通貨が分離販売される。長年遊んでいたプレイヤーたちにとって、「別のゲームになった」と感じるには十分な変化だった。

中でも「EXキャラ」の導入が致命的だった。新しいレアリティが登場した結果、それまで大切に育ててきたキャラクターが高難度コンテンツで通用しなくなった。「全キャラにスポットライト」というかんぱにの最大の美点が、自ら否定されたような形だ。

平日2〜3時間、週末10時間のプレイが必要。社会人には到底無理なプレイ環境だった。
出典: オンラインゲームCH

ブラウザゲームって、通勤中や昼休みにちょっと触れるから続くものだ。それが平日2〜3時間の拘束を求めるようになれば、仕事を持つ大人のプレイヤーから脱落していくのは当然の話だった。

ブラウザゲーム市場そのものの縮小

かんぱにガールズ個別の問題だけじゃなく、ブラウザゲーム市場全体が厳しくなっていた。2021年はウマ娘がリリースされた年だ。リッチな3Dモデルが踊り、レースで全力疾走する時代に、クォータービューのブラウザゲームが生き残るのは容易じゃない。

2021年1月には開発元のOVERRIDEがEXNOA(DMMグループ)と合併。そして6月11日、「かんぱに☆感謝のキャンペーン」が開催される。名前の通り、感謝——つまり、別れの合図だった。

2021年7月12日17時。かんぱに☆ガールズは、約2400日の歴史に幕を下ろした。

同じDMM GAMESの擬人化系ブラウザゲームでは、御城プロジェクト:REが今もサービスを続けている。城を擬人化した美少女を育てるタワーディフェンスで、ブラウザで手軽に遊べるあの空気感が残っているタイトルだ。

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ファンの執念――Change.orgの署名活動

かんぱにガールズのサ終が他のゲームと少し違ったのは、ファンの反応の強さだ。

サ終後、有志がChange.orgで「かんぱに☆ガールズのオフライン化もしくは新規展開を目的としたクラウドファンディングの実施」を求める署名活動を立ち上げた。

署名者の言葉が印象的だった。「ゲームシステム自体は7年前のもので良くなかったかもしれない」と認めつつも、世界観とキャラクターへの愛着を訴えている。季節イベントのシナリオまで正史として世界観に取り込む設計、全キャラクターの日常が描写されるエピソード機能。ゲームとしての出来を超えた、「ミステリオという世界そのもの」に対する思い入れだった。

ある個人ブログでは、かんぱにガールズを「チキンラーメンのようなゲーム」と表現していた。定期的に遊び返したくなる、そういう存在だったらしい。数年ぶりにプレイしようとしたらサ終を知って衝撃を受けた、と。

公式アカウントは最後にこんなメッセージを残している。「冒険の始まりから約2400日。ルカとモニクの手を取ってくれた、すべての社長さんに感謝をこめて。」

RE:BLOOM――ブロックチェーンで蘇る、はずだった

かんぱにガールズ ガチャ画面

2024年10月1日。かんぱに☆ガールズは「RE:BLOOM」として生まれ変わった。

開発はDMM Crypto。DMMグループのブロックチェーンゲーム事業を担う部門だ。かんぱにのキャラクターたちをNFT化し、Oasysチェーン上の「Seamoon Protocol」を基盤にしたBCGとして復活させるという構想だった。

初代の終了から約3年。署名活動までやったファンにとっては、形は変わっても、あのキャラクターたちに再び会えるという待望のニュースだった。

項目 RE:BLOOM
開発 DMM Crypto
基盤 Seamoon Protocol(Oasysチェーン)
サービス開始 2024年10月1日
サ終発表 2024年11月15日(開始から約1.5ヶ月)
サービス終了 2025年1月31日
返金対応 プレセールまで遡り全商品返金

1.5ヶ月で終わった

2024年11月15日。サービス開始からわずか約1.5ヶ月。DMM Cryptoは、RE:BLOOMのサービス終了を発表した。

終了の理由は、RE:BLOOM単体の問題じゃなかった。DMMのWeb3プロジェクト「Seamoon Protocol」そのものの事業中止。プラットフォームごと消えたのだ。

公式は「昨今の急速な事業環境の変化により、プロジェクトの持続可能性に課題が生じた」と説明。そして「約束した内容を提供できなかった」として、プレセール時点まで遡って全商品の返金対応を実施した。

ゲーム業界でサ終は珍しくない。でも開始から1.5ヶ月での終了発表は異例中の異例だ。しかもその理由が、ゲームの不具合でもユーザー離れでもなく、基盤のプラットフォーム事業自体の中止。RE:BLOOMというゲームが面白かったかどうか以前に、そもそも続ける場所がなくなった。

全額返金が意味するもの

通常、ゲームのサ終時に返金されるのは「未使用の有償通貨残高」だけだ。すでにガチャで消費した分は戻ってこないのが業界の常識。でもRE:BLOOMの場合、プレセールまで遡って全商品が返金対象になった。

裏を返せば、それだけの覚悟が必要だったということだ。開始から1.5ヶ月。プレイヤーに「約束した内容」をほぼ何も提供できないまま終了する。その負い目がなければ、ここまでの返金対応にはならなかっただろう。

ゲーム内容にも課題はあった。初代とは大きく仕様が変わり、「ユーザーが欲しかったのはこれじゃなくて前のかんぱにだった」という声もあった。だが最大の問題は、BCG事業そのものの持続可能性だった。2024年のBCG市場は、2022年のブーム時と比べて完全に冷え込んでいた。DMMという大手がプラットフォームごと撤退したという事実は、業界全体に衝撃を与えた。

プレイヤーの声

神ゲーでした。ストーリーとキャラクターへの愛着は今でも変わらない。7年間の思い出が詰まったゲームだった。
出典: エスピーゲーム

今までのイベント全部楽しかったです。
出典: エスピーゲーム(サ終当日の投稿)

最後まで努力を重ねていた運営。古き良きコンシューマーゲーム的な気配りを感じた。
出典: オンラインゲームCH

のんびりとやりましょう。重課金向きではないが、マイペースで遊ぶ分には楽しめるゲーム。
出典: オンラインゲームCH

寂しいですがこれもソシャゲの運命。
出典: エスピーゲーム

UI、システムが時代遅れ。今日まで続いてきたことはむしろ奇跡。
出典: オンラインゲームCH

オンラインゲームCHでの評価は5点満点中2.17(398件)。数字だけ見れば低評価だが、エスピーゲームでは3.5/5.0(53件)。サイトによって評価が割れるのも、このゲームの複雑さを物語っている。高評価をつけた人も低評価をつけた人も、キャラクターの品質については概ね同意していた。分岐点は「キャラへの愛着でゲーム性の問題を許容できたかどうか」だ。

似た体験ができる現役タイトル

かんぱにガールズが2回とも終了してしまった今、似た体験ができる現役のゲームをまとめておく。

タイトル かんぱにとの共通点 運営状況
千年戦争アイギス DMM GAMES×美少女キャラ育成×ファンタジー×長期運営 2013年〜サービス中
フラワーナイトガール 美少女育成×ファンタジーRPG×全キャラ育成可能 DMM GAMES、サービス中
御城プロジェクト:RE 擬人化キャラ×育成×戦略バトル×ブラウザゲーム DMM GAMES、サービス中
グランブルーファンタジー ブラウザRPG×ファンタジー×多数キャラ×2014年同期 Cygames、サービス中

かんぱにガールズと同じ2014年にサービスを開始して、今もブラウザで遊べるファンタジーRPGといえば、グランブルーファンタジーだ。2026年で12周年。膨大なキャラクター数とシナリオのボリュームは、かんぱにの「キャラへの愛着」を求めるプレイヤーにも響くものがあると思う。

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まとめ――かんぱに☆ガールズが遺したもの

かんぱに☆ガールズは、2回死んだゲームだ。

1度目は2021年7月。ブラウザゲーム時代の終焉と共に、約6年10ヶ月の歴史に幕を閉じた。課金圧力の上昇、EXキャラによる既存キャラの陳腐化、社会人には厳しすぎる時間拘束。課題は山積みだったが、それでも250万人が登録し、サ終後にはChange.orgで署名活動が立ち上がるほど愛されたゲームだった。

2度目は2025年1月。ブロックチェーンゲーム「RE:BLOOM」として蘇ったはずが、開始からわずか約1.5ヶ月でサ終発表。プラットフォーム事業ごと消滅するという、ゲーム自体の出来とは無関係な理由での退場だった。プレセールまで遡って全額返金という異例の対応は、「約束した内容を提供できなかった」という運営の自覚の表れだろう。

1度目はブラウザゲーム時代の終わりと共に。2度目はBCGバブルの崩壊と共に。いずれもゲーム自体の品質よりも、プラットフォームの時流に翻弄された結末だった。

キャラクターは良かった。シナリオの質は認められていた。全員にスポットライトを当てるという設計思想。かんぱにガールズの「素材」は、最後まで評価されていた。でもゲームは、素材だけでは生き残れない。

2026年3月現在、新たな後継タイトルは発表されていない。社長室に戻れる日が来るのかどうかは分からない。ただ、ミステリオという世界で過ごした約2400日の記憶は、それぞれのプレイヤーの中に残り続けるだろう。

この記事について: 本記事はサービス終了済みタイトルの回顧記事です。初代「かんぱに☆ガールズ」は2021年7月12日、RE:BLOOM版は2025年1月31日にそれぞれサービスを終了しています。記事内のユーザーの声は各出典元から引用しています。課金に関する情報はサービス運営時のものです。

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