正式リリースは2027年中〜後半予定。現在もプレイ可能です。
「Rising Stormチームが作った冷戦FPS」という一行だけで、ピンとくる人には全部伝わると思う。
Red Orchestra、Rising Storm、Rising Storm 2: Vietnamと続いたあの系譜。「リアルな戦争を、でも楽しく」という哲学を20年近く追い続けてきたチームが、今度は1983年の架空の全面戦争を舞台にした新作を引っ提げてきた。それが’83だ。
しかもこのゲーム、一度は「死んだ」プロジェクトだった。元のスタジオが閉鎖され、誰もが諦めかけたところで、同じチームの中心人物が新スタジオを立ち上げて権利を取り直し、ゼロから作り直した。そういう経緯がある。
2026年4月23日、Steam Early Accessがついに始まった。40人vs40人、冷戦が「熱戦」に変わったヨーロッパ、スクワッドシステムとRTSインスパイアのコマンダーシステム。「ガチすぎず、ぬるすぎず」の絶妙なラインを目指して作られたこのタイトル、何が面白くて何に注目すべきかを書いていく。
公式トレーラー
Early Access Gameplay Trailer(2026年Galaxies Spring Showcase)。この映像で雰囲気の8割は伝わる。
こんな人に読んでほしい
- Rising Storm / Red Orchestraシリーズが好きで、続編を待ち続けていた人
- BattlefieldとARMAの「中間」にあるゲームを探している人
- Hell Let LooseやSquadは知ってるけど、冷戦設定のものが欲しかった人
- 40v40の大規模戦術FPSに興味がある人
- Steam Early Accessの注目株を早めに押さえておきたい人
’83とはどんなゲームか
’83は、架空の1983年を舞台にした40v40スクワッドベース戦術FPSだ。冷戦が全面戦争に発展した「Cold War Gone Hot」というオルタナティブヒストリーの世界で、プレイヤーは米軍かソ連軍のいずれかに所属してヨーロッパ戦線を戦う。
開発するのはBlue Dot Gamesという小さなスタジオ。でもメンバーの顔ぶれはベテランだらけで、Red OrchestraシリーズからRising Storm 2: Vietnamまで15年以上にわたって「リアルだけど遊べる戦争ゲーム」を作り続けてきた人たちが集まっている。
ゲームのキャッチフレーズは「Accessible Realism(アクセシブルリアリズム)」。制服から銃の発砲音・アニメーションまで徹底的にリサーチして歴史的正確さを追求しつつ、「ミルシムにありがちな退屈な部分」はカットして、テンポよく戦場に飛び込める設計にしている。試合時間は30〜40分と、比較的コンパクトにまとまっている点も特徴だ。
PCGamesNのインタビューでTony Gillham CEOが言った言葉が面白かった。
「Battlefield 6が大衆向けすぎると感じていて、ARMAが難しすぎると思うなら、’83は『こっちに来いよ』と言っている。」
— Tony Gillham(Blue Dot Games CEO)/ PCGamesN
わかりやすい。Battlefield勢とARMA勢の間に存在する「そこそこリアルで、でもちゃんと遊べる」という空白地帯を狙っているわけだ。Rising Stormシリーズが昔からそのゾーンにいたわけで、’83はその系譜をそのまま受け継いでいる。
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| タイトル | ’83 |
| 開発・販売 | Blue Dot Games |
| ジャンル | 40v40 スクワッドベース戦術FPS |
| プラットフォーム | PC(Steam) |
| Early Access開始 | 2026年4月23日 |
| 正式リリース予定 | 2027年中〜後半 |
| ゲームエンジン | Unreal Engine 5 |
| 対戦規模 | 最大80名(40v40) |
| 試合時間 | 30〜40分 |
| 陣営 | 米軍(United States Army)/ ソ連軍(Soviet Ground Forces) |
| 公式サイト | 83thegame.com |
一度死んだプロジェクトが蘇るまで
’83の歴史は少し複雑なので整理しておこう。
もともとこのゲームを開発していたのはAntimatter Gamesというイギリスのスタジオで、Rising Storm 2: Vietnamを作ったチームだ。2019年に’83を発表し、「次のRising Storm系タイトルだ」として注目を集めた。しかし2022年5月、親会社のEnad Global 7がIGI Originsの開発を優先するという判断を下し、’83は一時停止に追い込まれる。そして2023年初頭、Enad Global 7はAntimatter Gamesを完全に閉鎖してしまった。
普通ならここで終わりだ。が、Antimatter Gamesの創業者であるTony Gillhamは諦めなかった。2023年、彼は元チームメンバーとともにBlue Dot Gamesという新スタジオを立ち上げ、’83の権利を取得してゼロから作り直すことを決意する。
Red OrchestraからRising Storm 2まで、15年以上かけて積み上げてきたノウハウとチームをそのまま’83に注ぎ込む、ということだ。2025年6月にはSteam Early Access向けの資金調達成功を公式アナウンス。そして2026年4月23日、ついにEarlyAccessとして世に出た。
Rising Storm 2: Vietnamはオールタイムピーク同接が24,492人を記録したゲームだ。それを作ったチームが「次の作品」として全力投球しているわけで、期待値の高さは相当なものがある。
Red Orchestra / Rising Storm系譜
このシリーズを知らない人のために簡単に説明しておくと、Red Orchestraは2006年にTripwire Interactiveがリリースした東部戦線FPSで、「リアルさと遊びやすさを両立する」というコンセプトで当時かなり革新的な評価を受けた。その後Rising Storm(太平洋戦線)、Rising Storm 2: Vietnam(ベトナム戦争)と続き、それぞれが同ジャンルの中で高い評価を得てきた。
Blue Dot Gamesのメンバーはまさにその系譜の中心にいた人たちで、「Red Orchestraシリーズに15年以上携わってきた」という経歴をそのまま’83に活かす形になっている。
ゲームシステムの全貌
’83のシステムで一番面白いと思うのは、「三層構造の指揮系統」だ。一般兵士・スクワッドリーダー・コマンダーという三つのレイヤーがきちんと機能するよう設計されている。
スクワッドシステム
各歩兵分隊はスクワッドリーダー1名+一般兵士9名の計10名で構成される。分隊メンバーは専用のVOIPチャンネルで会話でき、目標マーキングや前線スポーン地点(ラリーポイント)の展開も分隊単位で行う。
ただし、ラリーポイントはスクワッドリーダーが生きている間しか機能しない。リーダーが倒されると分隊の前進スポーン能力が失われるため、「リーダーを守るか、リーダーが生き残るか」という判断が常に求められる。SquadやHell Let Looseを遊んだことがある人には馴染みのあるシステムだが、’83はここに「テンポの速さ」を加えてある。死んでも1〜2分でリスポーンできるので、過剰なペナルティなく前線に戻れる。
スクワッドリーダーは分隊に名前をつけたり、メンバーをロック・招待・キックしたり、試合中にリーダーシップを他のメンバーに移譲することもできる。細かい部分まで作り込まれている印象だ。
コマンダーシステム(RTSインスパイア)
各チームに1人だけ存在できる「コマンダー」が、このゲームの戦略レイヤーを担う。コマンダーは俯瞰の「コマンドビュー」から戦場全体をリアルタイム戦略ゲームのように管理する。
コマンドポストを設置すると、分隊の位置・目標・敵マーカー・重要な更新情報がリアルタイムで俯瞰マップに表示される。ここから「攻撃」「防衛」の指示を出したり、兵士に移動ウェイポイントを置いたりできる。
支援能力も充実している。砲撃・ロケット弾幕で陣地を制圧したり、煙幕で敵の視線を遮断したり、偵察機で敵位置を暴露したり、即時増援波(チーム全員のスポーンを即座に呼び込む)を発動したり。RTSプレイヤーにも刺さりそうな要素が多い。
武器のリアリティ
武器は全て実在するモデルに基づいて設計・アニメーションされている。細部まで作り込まれているのがBlue Dot流で、たとえば:
- 銃身・サプレッサーは連射すると過熱する
- 機関銃は安定した射撃面が必要(適当に撃てない)
- 中途半端な弾数でリロードすると、残弾がそのまま残った状態で次のマガジンに換装される(マジックな弾補充は起きない)
「リアルさ」の部分はこういった細部に宿っているわけで、ガンプレイに興味がある人ほど刺さる要素だと思う。
Early Accessの初期コンテンツ
2026年4月23日のEarly Access開始時点で用意されているコンテンツはこんな感じ:
- マップ:3マップ(各マップ2種のゲームモード)
- 陣営:米軍 vs ソ連軍
- 車両:各陣営に戦車とジープ
- 武器:各陣営12種以上
- コマンダー・スクワッドリーダー機能:主要システムは実装済み
EarlyAccess期間中も継続的にコンテンツが追加される予定で、正式リリースは2027年中〜後半を目標にしている。
なぜ今これほど注目されているのか
冷戦設定の本格的な戦術FPSというジャンルは、実はかなり空白地帯だった。
WW2ならHell Let LooseやSquad 44がある。現代戦ならSquad、Insurgency: Sandstormがある。でも「1980年代の冷戦が熱戦になった欧州戦線」という設定のゲームはほとんど存在しなかった。T-72とM1エイブラムスが激突する、あの時代の武器・装備・緊張感をそのまま戦場に持ち込んだゲームが。
そこにRising Stormチームが来た。「このジャンルで一番経験のあるチームが、誰もやっていない時代設定で作る」という状況は、戦術FPSファンにとってかなり興奮する組み合わせだ。
YouTubeでも反応は早かった。344,000人登録のBigfryTVが「New 80-player Tactical FPS that just feels.. right」というタイトルで動画を上げ、「just feels right(なんかちょうど良い感じがする)」という表現でRising Storm系の手ごたえを評価した。Rising Stormシリーズのファンによる「My FAVOURITE FPS series.. is BACK!?(俺の最高のFPSシリーズが戻ってきた!?)」という動画も反響を呼んだ。
タクティカルFPSというジャンル自体が成熟してきた今、「ほどよくリアルで、でも試合が30〜40分でまとまる」というデザインには需要がある。ARMAほど覚えることが多くなく、BattlefieldほどカジュアルでもなくSquadほど試合が長くない、というポジションだ。
デモ騒動と、それでも信頼できる理由
正直に書いておく。2025年秋のSteam Next Festデモは、かなり微妙な評判だった。
「時間制限があってダウンロードしても遊べない」「ガンプレイが同ジャンルの中で最悪レベル」「グラフィックと動きが基準以下」といった批判がSteamコミュニティに溢れた。Blue Dot Gamesはそれを「overwhelming feedback(圧倒的なフィードバック)」と表現し、2025年内のEarly Access開始を断念して2026年初頭に延期することを発表した。
「Following overwhelming feedback on the Steam Next Fest demo, we have made the decision to shift the Early Access release of ’83 out of 2025 and into early 2026. We are committed to doing what’s best for both the project and our community.」
— Blue Dot Games 公式声明(Steam Community Announcement、2025年秋)
この対応を見て、むしろ信頼感が上がった人も多かったと思う。
延期後、Blue Dot Gamesは2026年3月にクローズドベータを実施した。Duga radar station(旧ソ連の超水平線レーダー施設「ウッドペッカー」)を舞台にした36時間のベータで、申し込みが殺到して一時受付停止になるほどの反響だった。フィードバックを受け取りながら改善を積み重ね、2026年4月23日のEarly Access開幕に至った。
「批判を真摯に受け止めてリリースを延期し、改善してから世に出す」という姿勢は、Small Steamゲームのリリース事故が多い今のゲーム業界では正直珍しい。Blue Dot GamesのDiscordコミュニティは開発初期から活発に運営されており、フィードバックチャンネルを開発チームが定期的にモニタリングしているという文化がある。プレイヤーコミュニティを「開発パートナー」として扱う姿勢が、長年のRising Storm系ファンへの信頼につながっている。
プレイヤーたちの声
「New 80-player Tactical FPS that just feels.. right」
— BigfryTV(YouTubeチャンネル、登録者344K)。Rising Storm系の手ごたえを「ちょうど良い」と表現した。
We are thrilled to announce that we have secured the funding required to take ’83 into Steam Early Access and beyond! Development continues at a rapid pace with the goal of an Early Access release in Q4 this year. Thank you to our amazing community for your continued support!
「My FAVOURITE FPS series.. is BACK!?」
— YouTubeゲームプレイ動画のタイトル。Rising Stormシリーズのファンが開発再開に歓喜した反応の代表例。
「The game feels clunky, with subpar graphics and movement, and most critically the gunplay is among the worst I have seen… This does not meet a 2026 standard for this genre.」
— Steamコミュニティ(2025年秋デモ時の批判的コメント)。開発チームがこれをもとにEA延期を決断した。
’83が刺さる人・刺さらない人
このゲームが「合う人」と「合わない人」はわりとはっきりしていると思うので、正直に書いておく。
こういう人には刺さる
- Rising Storm / Red Orchestra経験者:あの「チームで動かないと死ぬ」感覚を冷戦設定で味わえる
- コマンダー・リーダー役が好きな人:俯瞰でRTSっぽく指揮できるシステムは他のFPSにはあまりない
- 「ちょうど良い」リアリティが好きな人:ARMAは難しすぎるがBattlefieldは軽すぎる、という層
- 冷戦・80年代の兵器が好きな人:T-72、M1エイブラムス、AKM、M16A1など、この時代の装備がそのまま出てくる
- Early Accessを育てるのが好きな人:開発チームのコミュニティ運営姿勢はかなり誠実で、一緒に作っていく感覚がある
こういう人には向かないかも
- ソロプレイ・KDA重視の人:チームプレイが前提。個人で無双するゲームではない
- サクッと10〜15分で完結させたい人:試合が30〜40分かかる
- Early Accessのバグや未完成部分が許せない人:これはEA期間中なりの割り切りが必要
- 最新鋭グラフィックを求める人:UE5製ではあるが、デモ時点ではグラフィック面への批判もあった(改善中)
同ジャンルの現役ゲームと比べると
タクティカルFPSというジャンルは競合が多いので、いくつかと比較しておく。
| ゲーム | 舞台設定 | リアリティ度 | 試合時間目安 | ’83との違い |
|---|---|---|---|---|
| Hell Let Loose | WW2 | 中〜高 | 60〜90分 | 舞台がWW2、試合が長め |
| Squad | 現代戦 | 高 | 60〜120分 | 現代設定、より長く硬派 |
| Squad 44 | WW2 | 高 | 60〜90分 | ミニマップなし、より上級者向け |
| Enlisted | WW2・冷戦 | 中 | 20〜30分 | 無料、よりカジュアル |
| ’83 | 冷戦1983年 | 中〜高 | 30〜40分 | 冷戦設定・コマンダーシステム・短めの試合 |
Hell Let LooseやSquadが好きで「もうちょっと試合がテンポよく終わってほしい」「冷戦時代の装備で遊びたい」という人には、’83はかなり直球の選択肢になると思う。
同じようなスクワッドベースの戦術FPSに興味があるなら、こちらも参考にどうぞ。

まとめ:Rising Stormの魂を持った冷戦FPS
’83をひと言で表すなら「Rising Stormが冷戦を戦う」だ。
15年以上かけて「リアルだけど遊べる戦争ゲーム」を作り続けてきたチームが、一度は閉鎖・消滅という逆境を経て、スタジオを立ち上げ直して作り上げた作品。架空の1983年という設定、40v40の大規模戦闘、RTSインスパイアのコマンダーシステム、30〜40分でまとまる試合設計——全部が「このジャンルが昔から足りなかったもの」を埋めにいっている。
2025年のデモで批判を受け、延期してEAに臨んだ判断も含めて、Blue Dot Gamesというスタジオの姿勢はかなり誠実だと感じる。完璧ではないかもしれないが、「一緒に育てていく」ゲームとして向き合うには十分な信頼感がある。
Rising Stormシリーズが好きだった人、タクティカルFPSで「ちょうど良いリアリティ」を探していた人は、ウィッシュリストに入れておいて損はない。
Early Accessはもう始まっている。Steam側で直接チェックしてみてほしい。
→ Steam: ’83
同ジャンルの大規模戦術FPSも気になる人はこちらも:
投稿が見つかりません。'83
| 価格 | 未定 |
|---|---|
| 開発 | Blue Dot Games |
| 日本語 | 非対応 |
| 対応OS | Windows |
| プレイ形式 | マルチ |
