『ICARUS ONLINE(イカロスオンライン)』は2022年8月31日にサービスを終了しました。
この記事では、製作費40億円超をかけて生まれた「空飛ぶMMORPG」の7年間を振り返ります。
イカロスオンラインとは?──「空を飛べるMMO」という革命

『ICARUS ONLINE(イカロスオンライン)』は、韓国のWeMade Entertainment(ウィーメイドエンターテインメント)が制作期間10年、製作費40億円超をかけて開発した超大作MMORPGです。日本では2015年4月28日にサービスを開始し、2022年8月31日まで約7年間にわたって運営されました。
このゲームの最大の革命は、従来の地上中心のMMORPGに「空」という新たな次元を加えたこと。フィールド上のモンスターを捕まえて手なずけ、その背中に乗って大空を自由に飛び回れる──そんな夢のようなシステムが実装されていました。
海外では『Riders of Icarus』の名前でも展開され、2014年には韓国でゲーム大賞を受賞。CryEngine(クライエンジン)による美麗なグラフィックも相まって、世界中のMMOファンから注目を集めた作品でした。
フェローシステム──モンスターを捕まえて、乗りこなせ!

イカロスオンライン最大の特徴が、「フェローシステム」です。フィールドに生息するモンスターを捕獲して手なずけ、騎乗用マウントや戦闘用ペットとして使役できるという、他のMMORPGにはない独自システムでした。
空飛ぶモンスターに乗れる!
地上のモンスターだけでなく、ペガサス、ドラゴン、ワイバーンといった空飛ぶモンスターも捕獲可能。捕獲に成功すれば、その背中に乗って広大なフィールドの上空を自由に飛び回ることができました。
地上から見上げていた景色を、空から見下ろす──この体験は当時のMMORPGとしてはかなり斬新で、多くのプレイヤーを魅了しました。
捕獲は命がけ──調教の緊張感
ただし、モンスターの捕獲は簡単ではありません。空中にいるモンスターの背中に飛び乗って調教する必要があり、失敗して振り落とされれば落下死する危険もありました。
💡 ポイント
フェローの捕獲にレベル制限はなく、低レベルのプレイヤーでも強力なドラゴンの捕獲に挑戦可能でした。成功すれば序盤から圧倒的な戦力を手に入れられるというロマンがありました。
ほぼ全てのモンスターが捕獲対象
イカロスオンラインではフィールド上のほとんどのモンスターが捕獲可能。そのため「あのモンスターに乗ってみたい」「このモンスターをペットにしたい」というコレクション欲を刺激するゲームデザインになっていました。合計数百種類のフェローが用意されており、コレクターにはたまらない要素でした。
CryEngineが描く圧倒的な世界──美麗グラフィックの魅力

イカロスオンラインは、ゲームエンジンにCryEngineを採用。これはFPS『Crysis』シリーズで知られる高性能エンジンで、当時のMMORPGとしてはトップクラスのグラフィック品質を実現していました。
中世ヨーロッパ風のファンタジー世界が緻密に描かれ、光の表現、水面の反射、遠景の空気遠近法まで丁寧に作り込まれていました。空中から見下ろす広大なフィールドの美しさは格別で、「戦闘をせずに景色を眺めているだけでも楽しい」という声もありました。
「グラフィックがとても綺麗。フェローを捕まえて乗り物やペットにするシステムがいい」
5つのクラスで自分だけの戦い方を──戦闘システム

イカロスオンラインでは5つの個性的なクラスが用意されていました。それぞれ全く異なる戦術が楽しめるため、プレイスタイルに合わせて選ぶことができました。
⚔️ アサシン
二刀流の連続攻撃と華麗な空中コンボ。スタイリッシュな戦闘を求めるプレイヤーに人気でした。
💪 バーサーカー
圧倒的な近接攻撃力が魅力。大剣を振り回す爽快感はクラス随一でした。
🛡️ ガーディアン
高い防御力でパーティの盾役。味方を守りながら戦うタンク職でした。
✨ ウィザード
属性魔法による範囲攻撃が得意。派手なエフェクトで戦場を支配しました。
💫 プリースト
回復と遠距離攻撃のハイブリッド。パーティプレイでは欠かせない存在でした。
空中戦闘──騎乗バトルの迫力
空飛ぶフェローに騎乗した状態では、専用武器のボウガンを使った空中戦闘が可能でした。巨大なボスモンスターを空中で追いかけながら攻撃する──いわば「モンスターハンター meets 空中戦」とも言えるような、他のMMOでは絶対に味わえない体験がそこにはありました。
特にレイドダンジョンでは超巨大ボスが出現し、地上組と空中組に分かれて連携する戦術が必要に。この立体的な戦闘体験こそ、イカロスオンラインならではの醍醐味でした。
課金の実態──どれくらいお金がかかった?
イカロスオンラインは基本プレイ無料のアイテム課金制。無課金でもストーリーを進めてレベルを上げることは可能でしたが、エンドコンテンツでは課金の壁が立ちはだかりました。
💰 課金の目安
- レベル49まで:無課金でも楽しめる範囲
- レベル50以降の伝説装備:1箇所あたり約3〜4万円の課金が目安
- 装備強化:最低でも+10は必要。強化石の確保にもコストがかかる
- 移動速度60%アップアイテム:約400円(快適プレイにはほぼ必須という声も)
レベリング自体はクエストをこなすだけでサクサク進むため、ストーリーを楽しむ分には無課金で十分。しかし、対人戦(PvP)やエンドコンテンツに本気で挑むなら、数万円規模の課金が必要だったと多くのプレイヤーが報告しています。
「49レベまでは楽しいかも。50伝説装備に行くには1ヶ所3〜4万円かかります」
コミュニティの空気──親切なプレイヤーが多かった

イカロスオンラインのコミュニティは、比較的穏やかで親切なプレイヤーが多いことで知られていました。新規プレイヤーが質問すれば丁寧に教えてくれるベテランがいたり、ギルドメンバー同士で装備を融通し合ったりと、温かい雰囲気がありました。
ソロプレイでも十分楽しめるゲームでしたが、ギルドに所属してワイワイ遊ぶのがこのゲームの醍醐味だったという声は多いですね。大空を仲間と一緒に飛び回る体験は、他のゲームでは得られないものでした。
「過疎っているが、おかげで変人ユーザーと業者もほぼいない」
なぜ過疎化した?──イカロスオンラインが直面した課題
魅力的なフェローシステムと美麗なグラフィックを持ちながら、イカロスオンラインは残念ながら過疎化に悩まされ続けました。その原因を分析してみましょう。
1. フェローの新鮮さが長続きしなかった
ゲーム最大の売りであるフェローシステムですが、捕獲の楽しさは初期に集中していました。主要なフェローを一通り捕まえてしまうと、新しいモチベーションが見つかりにくいという構造的な問題がありました。
「フェローの捕獲がウリだが最初だけですぐ飽きちゃいます」
2. エンドコンテンツの不足
レベルカンスト後のやりこみ要素が限定的だったことも、ベテランプレイヤーの離脱を招きました。装備強化と対人戦以外に長期的なモチベーションを維持する仕組みが乏しかったのです。
3. 運営体制への不満
日本版の運営を担当していたWeMade Japan(当時Pmang)に対しては、サポート不足やアップデートの遅さを指摘する声が多くありました。韓国版との差が大きく、日本ユーザーが後回しにされている印象を持たれてしまったのは痛かったですね。
「日本の運営は既存のユーザーも新規のサポートも怠っており過疎りに過疎り」
4. 装備更新の厳しさ
エンドコンテンツでの装備強化には膨大なゲーム内通貨と強化石が必要で、しかも強化成功率が低いために失敗→やり直しの繰り返しに。この苦行的な要素が多くのプレイヤーのモチベーションを削いでしまいました。
サービス終了の理由──開発会社のサポート打ち切り
2022年6月1日、運営元のWeMade Japanはサービス終了を正式発表。終了日は2022年8月31日(水)でした。
終了の理由は「開発会社より今後のサポートは困難との連絡があった」こと。運営側が慎重に協議・検討した結果、安定したサービスを維持することができなくなるため、サービス終了の判断に至ったと説明されています。
📅 イカロスオンライン年表
- 2012年 ── 開発発表
- 2014年 ── 韓国でゲーム大賞受賞
- 2015年4月28日 ── 日本サービス開始(Pmang)
- 2016年 ── 海外版『Riders of Icarus』としてグローバル展開
- 2019年 ── スマホ版『イカロスM』リリース(2022年1月終了)
- 2022年6月1日 ── サービス終了発表
- 2022年8月31日 ── サービス終了
なお、海外版の『Riders of Icarus』も最終的にはサービスを終了しており、イカロスオンラインの世界は完全に幕を閉じています。
ユーザーの声──愛され、そして惜しまれたゲーム
過疎化に悩まされながらも、最後まで残ったプレイヤーたちの間では強い絆が生まれていました。ここでは当時のプレイヤーの声を紹介します。
「3DMMOでは最高レベルだと思います。過疎や開発費の行き詰まりでサービス終了という雰囲気」
「無課金でも遊べるMMOで、フェローシステムとレベリングの手軽さが魅力」(評価85点)
「人がいないおかげで快適にプレイできるし英雄フェローも非常に狙いやすい」
過疎をポジティブに捉えるこの声には、何とも言えない哀愁と愛着を感じますね。少人数でも世界観を愛し続けたプレイヤーたちの存在が、このゲームを7年間支え続けたのでしょう。
イカロスオンラインが業界に残したもの
「空飛ぶMMO」のパイオニア
イカロスオンラインが確立した「モンスターに騎乗して空を飛ぶ」というゲーム体験は、その後の多くのMMORPGやオープンワールドゲームに影響を与えました。現在では空中移動やマウントシステムは珍しくありませんが、2015年当時にここまで本格的な空中戦闘を実装したMMOは極めて少なかったのです。
「グラフィック × 自由度」の方程式
CryEngineによる美麗なグラフィックと、フェロー捕獲という自由度の高いゲームプレイの組み合わせは、MMORPGの可能性を広げたと評価できます。技術的には十分な完成度を持ちながら、運営やコンテンツ供給の問題で力を発揮しきれなかった──そこにこのゲームの切なさがあります。
似た体験ができるおすすめMMORPG
イカロスオンラインの「空を飛ぶ爽快感」や「美麗なファンタジー世界の冒険」が恋しい方には、現在も遊べるタイトルがいくつかあります。
やりこみ要素たっぷりのMMORPGを探しているなら、LOST ARKがおすすめです。ハクスラ要素と壮大なストーリーが楽しめる正統派MMORPGです。また、ボス戦の緊張感を求めるならBless Unleashedも要チェック。美麗なグラフィックとアクション性の高い戦闘が魅力です。
イカロスオンラインの基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| タイトル | ICARUS ONLINE(イカロスオンライン) |
| 海外名 | Riders of Icarus |
| ジャンル | MMORPG |
| 料金 | 基本無料(アイテム課金制)※サービス終了済み |
| サービス期間 | 2015年4月28日 〜 2022年8月31日(約7年間) |
| 開発元 | WeMade Entertainment(韓国) |
| 日本運営 | WeMade Japan(Pmang)→ GAMECOM |
| ゲームエンジン | CryEngine |
| 製作費 | 40億円超(制作期間10年) |
まとめ──40億円の夢は大空に消えたのか
イカロスオンラインは、「空を飛べるMMORPG」という夢を実現した唯一無二のゲームでした。製作費40億円超をかけた美麗なグラフィック、革新的なフェローシステム、そして大空を自由に飛び回る爽快感──これらは間違いなく、MMORPGの歴史に新しい1ページを刻んだと言えるでしょう。
一方で、エンドコンテンツの不足、運営体制の問題、そして過疎化という負のスパイラルを断ち切れなかったのもまた事実。ゲームとしてのポテンシャルは十分にあっただけに、「もっとうまく運営されていれば」と惜しむ声は今も絶えません。
ペガサスに乗って初めて大空に飛び立った瞬間、眼下に広がるファンタジー世界を見下ろした瞬間──あの感動を覚えているプレイヤーは少なくないはず。イカロスオンラインが見せてくれた空の景色は、きっとプレイヤーの心の中に今も残っているのではないでしょうか。

