Steam史上最高クラスの評価。Metacritic 2025年最高得点。同時接続プレイヤー11万人超え。
Supergiant Gamesが送り出す、ギリシャ神話ローグライクアクションの続編『Hades II(ハデス2)』が、2025年9月25日にv1.0正式リリースを迎えた。
前作『Hades』は2020年のThe Game Awardsで複数部門を受賞し、ローグライクというジャンルそのものの認知度を引き上げた伝説的タイトルだ。「死んでも楽しい」「ストーリーが進む」「キャラが魅力的」――それまでストイックなジャンルだったローグライクに、ナラティブの血を通わせた革命児だった。
その続編ともなれば、期待値は天井知らず。早期アクセス開始時点で10万人がSteamに殺到し、正式リリースでは前作の同時接続ピークを軽々と倍以上に更新している。
結論から言おう。Hades IIは前作を正統に超えている。ただし、「前作と同じ感動」を求めると少し違った印象を受けるかもしれない。そのあたりも含めて、本作の魅力と課題を徹底的に掘り下げていく。
公式トレーラー
こんな人におすすめ / こんな人には合わないかも

こんな人は買い
- 前作Hadesが好きだった人(当然だけど、正統進化している)
- ローグライクの「何度やっても面白い」感覚が好き
- ギリシャ神話の世界観に浸りたい
- 爽快なアクションと戦略的なビルド構築を両立させたい
- キャラクターの掛け合いやストーリーを重視する
- 短時間で1周できるゲームを長期間遊びたい
こんな人は合わないかも
- 前作のザグレウスが好きすぎて、他のキャラだと受け入れられない
- 「死にゲー」的な繰り返し構造が根本的に苦手
- じっくり探索するオープンワールドを求めている
- マルチプレイ・協力プレイがないとモチベーションが続かない
- 日本語音声がないと没入できない(テキストは日本語対応、音声は英語のみ)
基本情報
| タイトル | Hades II(ハデス2) |
| 開発 | Supergiant Games(アメリカ・サンフランシスコ) |
| ジャンル | ローグライクアクション |
| 早期アクセス開始 | 2024年5月6日 |
| v1.0正式リリース | 2025年9月25日 |
| 価格 | $29.99(約4,500円) |
| 対応機種 | PC(Steam / Epic Games Store)、Nintendo Switch / Switch 2 |
| 1ランあたりの時間 | 約25〜45分 |
| Steam評価 | 圧倒的に好評(95%好評 / 11万件超) |
| Metacritic | 2025年最高得点(93点超) |
| 日本語 | テキスト対応(音声は英語) |
Supergiant Gamesという開発スタジオの凄み

Hades IIの話をする前に、まずこのスタジオの話をさせてほしい。なぜなら、Supergiant Gamesというチームを知ることが、このゲームの本質を理解する近道だからだ。
2009年、Amir Rao(スタジオディレクター)とGreg Kasavin(クリエイティブディレクター)がEA LAを退社し、サンフランシスコで立ち上げた小さなスタジオ。従業員は20人程度。AAA級の大手に比べれば、圧倒的に少ない人数だ。
しかし、このスタジオが世に送り出してきたタイトルを見てほしい。
Supergiant Games の軌跡
- Bastion(2011) — ナレーション駆動型アクションRPGの原点
- Transistor(2014) — サイバーパンク × ターン制アクションの融合
- Pyre(2017) — RPG × スポーツという異色の組み合わせ
- Hades(2018-2020) — ローグライクに物語を持ち込んだ革命作
- Hades II(2024-2025) — すべてを超えた集大成
すべてのタイトルが批評家から高い評価を受けている。しかも毎回ジャンルが違う。同じことを繰り返さない。それがSupergiantの矜持だ。
「じゃあHades IIは例外じゃないか。初めての続編だろう」と思うかもしれない。実際、Kasavin自身も続編を作ることに葛藤があったとインタビューで語っている。だが、彼らは「同じゲームのバージョン2」を作ったのではなく、新しい主人公、新しい物語、新しいゲームメカニクスを通じて、Hadesという器に全く別の酒を注いだ。その結果が、4年半の開発期間を経て世に出たこの作品だ。
Steamのコミュニティでも「続編なのに新鮮」「前作と違うのに前作以上」という声が多い。20人のスタジオが、数百人規模のAAAタイトルと肩を並べる。それがSupergiant Gamesだ。
物語――時の神に奪われた家族を取り戻す、もう一人の冥界の子
前作の主人公はザグレウス。冥王ハデスの息子で、反抗期全開の青年だった。地上に出たい一心で冥界を駆け上がる、ある意味シンプルな動機。でもそこに家族の絆やオリンポスの神々との関係が絡み合って、何度死んでも「もう1回やろう」と思わせる魔力があった。
Hades IIの主人公はメリノエ。ザグレウスの妹であり、ハデスとペルセフォネの娘だ。
だが、彼女の境遇はザグレウスとは全く異なる。
メリノエが生まれて間もなく、時間の神クロノス(Chronos)がタルタロスから脱獄。冥府を支配し、ハデスを含む冥界の住人たちを捕らえてしまう。唯一、魔術の女神ヘカテがハデスの命令でメリノエを連れ出し、「交差路」と呼ばれる隠れ家で育てる。
つまり、メリノエは家族の記憶がほとんどない。父も母も兄も、顔すら覚えていない。それでも「家族を救い、クロノスを倒す」という使命のために、幼い頃から厳しい修行を積んできた。
この設定が、ゲームプレイの「何度も挑戦する」というローグライクの構造と見事にシンクロしている。ザグレウスは「脱出したい」だった。メリノエは「奪還したい」。より切迫した、より重い動機だ。
主要キャラクター
- メリノエ(Melinoe) — 主人公。冥王の娘にして魔女。真面目で使命感が強い
- クロノス(Chronos) — 時間の神。冥府を支配し、オリンポスに戦いを挑む
- ヘカテ(Hecate) — 魔術の女神。メリノエの師匠であり育ての親
- ネメシス(Nemesis) — 復讐の化身。メリノエのライバル的存在
- モロス(Moros) — 運命の化身。交差路でメリノエをサポート
Steamのレビューでも「メリノエの成長物語に引き込まれた」「ザグレウスとは違う魅力がある」という評価が多い。一方で「ザグレウスのほうがキャラとして親しみやすかった」という声もある。メリノエはザグレウスと比べると真面目で規律正しく、反抗期の兄とは対照的。この違いが好みの分かれ目になっている。
個人的には、物語が進むにつれてメリノエの人間らしさが見えてくる構成が好きだ。最初は「使命のために戦うだけの兵器」のような印象だが、仲間との会話を重ねるうちに、不安も怒りも抱えた一人の若い女性であることがわかってくる。前作が「家出少年の成長譚」なら、本作は「戦士として育てられた少女が、自分自身を見つける物語」だ。
なお、v1.0で追加された「真のエンディング」には大きなサプライズがある。ここでは伏せるが、ヘカテの正体に関わるあの展開は、間違いなくシリーズ屈指の衝撃だろう。
戦闘システム――前作を土台にしつつ、奥行きが段違い

Hades IIの戦闘は、前作のフレームワークを踏襲しつつ、大幅に拡張されている。基本はトップダウン視点のアクション。部屋ごとに敵を倒し、報酬を選び、次の部屋へ進む。この構造は変わらない。
変わったのは、戦い方の幅だ。
6つの武器(夜の腕)
メリノエが使える武器は全6種。それぞれ通常攻撃、特殊攻撃、そしてHades II独自の「Ω(オメガ)ムーブ」を持つ。
全6武器の特徴
| 武器 | タイプ | プレイスタイル |
|---|---|---|
| 魔女の杖 | 中距離・バランス型 | 初期武器。攻守のバランスが良く、初心者に最適 |
| 姉妹の刃(リム&オロス) | 近距離・高速連撃 | 前作の双拳に近い。手数で圧倒するコンボ型 |
| 月石の斧(ゾレフェト) | 近距離・高火力 | 振りが遅いが一撃が重い。タイミング重視の上級者向け |
| 冥府の炎 | 遠距離・範囲攻撃 | 魔法攻撃型。広範囲の敵を焼き払う |
| 銀白の頭蓋 | 遠距離・爆発物 | 爆弾を投げるユニーク武器。配置と起爆のタイミングが鍵 |
| 黒衣 | 中距離・テクニカル | 鎌のような武器。リーチと回転攻撃が特徴 |
さらに、各武器には4つのアスペクトが存在する。アスペクトを変えると武器の性能が根本的に変わるため、実質的に24通り以上の戦闘スタイルが楽しめる計算だ。「同じ武器でも全然違うビルドになる」というのは、プレイヤーの間でも高く評価されているポイント。
Ω(オメガ)ムーブ――Hades IIの最大の新機能
前作にはなかった要素。それが「マジック」というリソースと、それを消費して放つΩムーブだ。
通常攻撃・特殊攻撃・キャストのそれぞれに、ボタン長押しで発動する強化版が存在する。通常攻撃のΩ版は武器ごとに異なる豪快な技が出るし、キャストのΩ版は敵を拘束する魔法陣を展開する。
マジックは各部屋の開始時にフル回復する設計なので、「溜め込まずにガンガン使え」というデザイン思想。これが戦闘のテンポを劇的に上げている。
ユーザーの間では「Ωムーブのおかげで前作より戦略の幅が広がった」「姉妹の刃のΩ攻撃で敵の背後にテレポートするのが気持ちよすぎる」といった声が飛び交っている。一方で「マジック管理が忙しくて最初は混乱する」という意見もあり、前作のシンプルさが好きだった層には慣れが必要かもしれない。
キャスト――群衆制御の要
前作のキャスト(遠距離飛び道具)とは全く別物になった。メリノエのキャストは地面に魔法陣を展開し、範囲内の敵を一定時間拘束する。前作が「当てるもの」だったのに対し、本作は「設置するもの」。このデザイン変更だけで、戦闘の組み立て方がガラリと変わる。
雑魚を魔法陣で固めて、その間にボスに集中攻撃。あるいは複数の魔法陣で退路を塞ぐ。プレイヤーの戦術眼が問われる設計で、「頭を使って戦える」感覚が本作の大きな魅力だ。
神々の恩恵(Boons)――オリンポスの神々が贈るビルドの多様性
ローグライクの醍醐味は「毎回違うビルドが組める」こと。Hades IIはこの部分を前作から大幅に強化している。

ラン中に出会うオリンポスの神々は、メリノエに「恩恵(Boon)」を授けてくれる。攻撃に雷属性を付与するゼウス、ダッシュ性能を強化するヘルメス、火傷ダメージを追加するヘスティアなど、神ごとに個性がある。
前作からの続投組に加えて、新たな神々が参戦しているのもポイントだ。
注目の新規参戦神
- ヘスティア — 炉の女神。火傷ダメージの持続ダメージ(DoT)戦法を可能に
- ヘラ — 「ヒッチ」という呪いで複数の敵にダメージを連鎖させる
- アポロ — 光属性の恩恵。回復やバフ系の支援能力が豊富
- ヘファイストス — 鍛冶の神。武器ダメージを直接強化する恩恵が強力
恩恵同士を組み合わせた「二重恩恵(Duo Boons)」も健在。たとえばヘスティアの火傷とゼウスの雷を組み合わせると、燃えている敵に雷が落ちるような連鎖が発生する。こうしたシナジーの発見が、「あと1ラン」の原動力になる。
コミュニティでは常にビルド談義が盛り上がっており、「ヘスティアの火傷ビルドが壊れ性能」「ヘラのヒッチ呪いが雑魚戦で無双できる」など、プレイヤーごとにお気に入りの構成がある。この「語りたくなる」要素こそ、Hadesシリーズの真骨頂だろう。
アルカナカード――前作の「鏡」を超える成長システム

前作にあった「夜の鏡」に相当するメタ進行システムが、本作ではアルカナカードになった。全25枚のカードをアンロックし、「Grasp(グラスプ)」というコストを割り振って装備する仕組みだ。
前作の鏡は「AかBかを選ぶ二択」が基本だったが、アルカナカードはデッキ構築的な要素がある。限られたグラスプの中で、どのカードを優先するか。攻撃特化にするのか、生存重視にするのか。
たとえば「The Sorceress」カードはマジック回復を強化し、Ωムーブ主体のビルドと相性が良い。「The Huntress」はクリティカル率を上げ、高速連撃の姉妹の刃と組み合わせると凶悪な火力が出る。
「夜の鏡よりもビルドの幅が広い」「カードの組み合わせを考えるのが楽しい」というプレイヤーの声が多く、メタ進行の面でも確実に前作を超えている。
2つのルート――冥界と地上を駆ける壮大な冒険
前作のHadesは、冥界の4つの地域を下から上へ駆け上がる一方通行の構造だった。タルタロス、アスフォデロス、エリュシオン、スティクスの神殿。この直線的なルートは「次に何が来るか」がわかりやすく、ローグライク初心者にも親しみやすかった。
Hades IIは、この構造を2ルートに拡張した。
冥界ルート(下方向)
- エレボス — 冥界の入口。闇に包まれた回廊
- オケアノス — 地下の大海。水中戦闘もある
- 嘆きの野 — 死者たちの彷徨う荒野
- タルタロス — 最深部。クロノスが待ち受ける
地上ルート(上方向)
- エフィラの街 — 荒廃した地上の都市
- テッサリアの裂け目 — 大地の亀裂が走る荒涼とした地帯
- オリンポス山 — 神々の座。クロノスの軍勢が占拠
- 山頂 — 地上ルートの最終地点
2つのルートが存在することで、ゲームのボリュームは前作の倍近くになっている。しかも、各ルートで出現する敵やボスが異なるため、飽きが来にくい。
「冥界ルートで行き詰まったら地上ルートで気分転換」「両方のルートで装備を整えてから本命のボスに挑む」といった遊び方ができるのも、2ルート制の大きなメリットだ。
プレイヤーからは「前作の2倍遊べる」「冥界と地上で雰囲気が全然違うから新鮮」という肯定的な意見が多い。ただし「2ルートあるぶん、1ルートの完成度が前作の一本道より薄い」と感じるプレイヤーもいる。この点は好みが分かれるところだ。
キャラクターと会話――Supergiantのナラティブ力が全開
Hadesシリーズが他のローグライクと一線を画すのは、死ぬたびにストーリーが進むという仕掛けだ。
ランが終了するたびに交差路(拠点)に戻ると、仲間たちとの新しい会話が解放される。ヘカテとの師弟関係、ネメシスとのライバル関係、そして徐々に明かされる家族の真実。すべてがフルボイスで語られ、何十時間プレイしても新しい台詞が出てくる。
v1.0では数十人のキャラクターのイベントが追加され、台詞量は圧倒的。Kasavinが脚本を手がける台詞は、ウィットに富んでいて、かつ感情の機微を丁寧に描く。「全キャラに愛着が湧く」というのは大げさではない。
特にヘカテとメリノエの関係性は、シリーズ全体でも屈指のエモーショナルなラインだ。厳格な師匠でありながら、本当は誰よりもメリノエを愛している。その理由がv1.0の真のエンディングで明かされたとき、多くのプレイヤーが衝撃を受けた。「ヘカテの正体がわかったとき、泣いた」というレビューも少なくない。
ネメシスのツンデレ的な関係性も人気が高く、「ネメシスとの絡みが毎回楽しみ」「ライバルだけど信頼し合っている感じが良い」という声が目立つ。
サウンドトラック――Darren Korbの最高傑作

Supergiant Gamesの音楽を語らずには終われない。
作曲家Darren Korbが手がけるサウンドトラックは、前作でもゲーム業界最高峰と評されていた。Hades IIではさらにスケールアップし、全52曲、約4時間という圧巻のボリュームだ。
前作が「ロック × エレクトロニカ × 地中海音楽」だったのに対し、本作ではより神秘的でダークな色調が加わっている。メリノエが魔女であるという設定に合わせた変化だろう。
ボーカル曲も充実しており、Ashley BarrettやJudy Alice Leeが参加した楽曲は、戦闘中に流れると鳥肌が立つ。特にボス戦で流れる楽曲の「盛り上がるタイミング」が戦闘のクライマックスと完璧にシンクロする演出は、体験しないとわからない興奮がある。
「BGMだけで買う価値がある」「前作のサントラも最高だったけど、IIはさらに上を行った」という声はコミュニティで頻繁に見かける。音楽がゲーム体験に与える影響の大きさを、改めて教えてくれる作品だ。
ビジュアル――手描き風アートの極致

Supergiant Gamesのビジュアルは、一貫して手描きイラストをベースにした独自のアートスタイルを採用している。Hades IIでもその方針は変わらないが、技術的な底上げは明確だ。
キャラクターの立ち絵は前作よりもさらに精緻になり、表情の変化も増えている。環境グラフィックも、冥界の暗い洞窟から地上の陽光が差す神殿まで、色彩の幅が広がった。
特筆すべきは、2つのルートが持つ視覚的なコントラスト。冥界は青紫を基調としたダークな色調、地上は暖色を交えた明るい色調。この対比が、2ルート制のゲームデザインに視覚的な説得力を与えている。
「グラフィックは最先端じゃないけど、アート方向性が完璧」「スクリーンショットが全部壁紙にできるレベル」というのは、プレイヤーの間でよく聞く褒め言葉だ。
PC動作環境――驚くほど軽い
これだけの完成度でありながら、要求スペックは非常に控えめだ。
| 最低動作環境 | 推奨動作環境 | |
| CPU | デュアルコア 2.4GHz | クアッドコア 2.4GHz |
| GPU | GTX 950 / RX 7 360 | RTX 2060 / RX 5600 XT |
| メモリ | 8GB | 16GB |
| ストレージ | 10GB | 10GB |
GTX 950で動くというのは、2025年のゲームとしてはかなり軽い部類。数年前のゲーミングPCはもちろん、Intel内蔵グラフィックスでも最低限動く設計になっている。
Switch 2版では120fps/1080p対応と、携帯機でもハイフレームレートで遊べる。「どんな環境でも快適に遊べる」というのは、Supergiantの「多くの人に届けたい」という姿勢の表れだろう。
Steamのレビューでも「ノートPCでもサクサク動く」「最適化が素晴らしい」という報告が多い。高スペック要求が当たり前になっている昨今、この軽さは地味だが大きな美点だ。
正直に言う、気になったところ
ここまで褒め続けてきたが、完璧なゲームは存在しない。Hades IIにも気になる点はある。
1. 序盤の情報量が多すぎる
前作のHadesは、シンプルな構造を徐々に拡張していくデザインだった。最初は武器1つ、神は数柱。少しずつ要素が増えていく。
Hades IIは最初から選択肢が多い。マジックシステム、2つのルート、多数の新しい神々。情報の洪水に面食らうプレイヤーは少なくないはずだ。
「最初の5時間くらいは何をすればいいかわからなかった」というフィードバックは、Steamのレビューでも散見される。慣れれば最高に楽しいが、そこに至るまでのハードルが前作より高い。
2. メリノエの戦闘スタイルの好みが分かれる
ザグレウスは物理攻撃主体のわかりやすいアクションだった。一方、メリノエはマジック込みの魔法戦士タイプ。Ωムーブによるリソース管理が加わることで、操作がやや忙しい。
「ザグレウスの脳筋プレイが好きだった」という人にとっては、メリノエのスペルキャスター寄りの戦闘が「まだるっこしい」と感じる可能性がある。
3. ストーリーのペーシング
前作はザグレウスのシンプルな動機(地上に出たい→母に会いたい)が物語を力強く推進していた。本作のメリノエの使命はより壮大だが、そのぶんストーリーが動き出すまでに時間がかかる印象がある。
「中盤まで物語が停滞する感覚があった」という声は一部のレビューで見かける。ただし、終盤の怒涛の展開でこの不満はかなり解消されるだろう。
4. 素材集め・クラフト要素の煩雑さ
本作では、拠点の施設を強化したり、新しいアビリティを解放するために素材集めが必要になる。これ自体は悪くないが、特定の素材がなかなか手に入らず、進行が止まることがある。
「素材のドロップ率が渋い」「クラフトの導線がわかりにくい」という不満は、早期アクセス期から指摘されていた部分。v1.0でかなり改善されたが、完全に解消されたとは言い難い。
前作との比較――どちらが上か、という不毛な問いへの答え
正直に言おう。「HadesとHades II、どっちが上?」という問いには、明確な答えがある。
ゲームとしての完成度はHades IIが上。ただし、前作が与えた「衝撃」は再現できない。
前作Hadesは、ローグライクにストーリーを融合させるという革命を起こした。その「初めて体験する驚き」は、どんな続編でも再現できない。映画の続編がどんなに素晴らしくても、1作目の衝撃には勝てないのと同じだ。
だが、ゲームの中身――戦闘の奥深さ、ビルドの多様性、コンテンツのボリューム、ナラティブの厚み――すべてにおいてHades IIは前作を上回っている。これは作り手の技量が確実に進化していることの証左だ。
前作 vs 本作 ざっくり比較
| 項目 | Hades | Hades II |
|---|---|---|
| 主人公 | ザグレウス | メリノエ |
| 武器数 | 6種 | 6種(+Ωムーブ) |
| ルート | 1ルート(4地域) | 2ルート(各4地域) |
| メタ進行 | 夜の鏡 | アルカナカード |
| マジックシステム | なし | あり(Ωムーブ) |
| サントラ曲数 | 約40曲 | 52曲(4時間) |
| Steam評価 | 圧倒的に好評 | 圧倒的に好評 |
早期アクセスからv1.0への道のり
Hades IIの開発プロセスそのものも語る価値がある。
2024年5月に早期アクセスが開始された時点で、ゲームはすでに高い完成度を持っていた。Steam同時接続プレイヤーは約10万人を記録。この時点で「圧倒的に好評」の評価を獲得している。
そこから約1年4ヶ月の早期アクセス期間中、Supergiantはプレイヤーのフィードバックを受けて継続的にアップデートを実施。バランス調整、新コンテンツの追加、UIの改善を重ねた。
v1.0での主な追加要素は以下の通り。
v1.0 で追加された主な要素
- 物語の「真のエンディング」
- 数十人分のキャラクターイベント追加
- 新しいキープセイク(お守り)
- ファミリアの見た目変更機能(ファミリアフォーム)
- 50種類の実績
- 新しいBGM
- ビジュアルエフェクト・環境アートの追加
- 拠点の装飾アイテム追加
- 新しい「運命の予言書」のクエスト
早期アクセスを購入していたプレイヤーには、v1.0が無料アップデートとして配信された。「早期アクセスに付き合って良かった」「Supergiantは信頼できる」という声が多い。
この誠実な開発姿勢は、プレイヤーコミュニティからの厚い信頼に繋がっている。「Supergiantのゲームは発売日に買う」と宣言するファンが多いのも、納得のいく話だ。
Switch 2対応――携帯機でもハイフレームレート
v1.0と同時にNintendo Switch 2版もリリースされた。Switch 2のハードウェア性能をフル活用し、TVモードで120fps / 1080pという驚異的なパフォーマンスを実現している。
通常のNintendo Switch版も同時発売。こちらはフレームレートと解像度で劣るものの、携帯モードでプレイできる利点は大きい。通勤中に「あと1ランだけ」ができるのは、ローグライクというジャンルと携帯機の相性の良さを物語っている。
物理パッケージ版は2025年11月20日発売予定で、フルカラーのキャラクターコンペンディウム冊子とサウンドトラックのダウンロードコードが付属する。$49.99とデジタル版より高いが、コレクターズアイテムとしての価値は十分だ。
コミュニティの評価――数字が語る圧倒的な支持
最後に、数字で本作の評価を確認しておこう。
Hades II 評価まとめ
- Steam評価:圧倒的に好評(95%肯定 / 11万件超)
- Metacritic:2025年最高得点
- 同時接続プレイヤーピーク:112,947人(前作の倍以上)
- DICE Awards 2026:Best Action Game 受賞
- サウンドトラック:4時間 / 52曲
11万件を超えるレビューで95%が好評というのは、Steam全体でもトップクラスの数字だ。人気が出れば出るほどアンチレビューも増えるのがSteamの常だが、それでも95%を維持しているのは異常な支持率と言っていい。
プレイヤーの声を総合すると、評価の核心は「前作の魅力を保ちつつ、すべてを拡張した」という一点に集約される。ローグライクとしての中毒性、ストーリーの深さ、音楽の素晴らしさ、アートの美しさ。前作で愛された要素がすべてパワーアップしている。
批判の多くは「前作との違い」に起因するもので、ゲームそのものの質に対する不満はごく少数派だ。
総評――20人のスタジオが証明した、ゲームの理想形
Hades IIは、「正統な続編とは何か」という問いに対する、一つの理想的な回答だ。
前作の構造を踏襲しつつ、あらゆる要素を拡張・深化させた。新しい主人公、新しい物語、新しいゲームメカニクス。でも根底にある「死んでも楽しい、やめられない」という核心は変わっていない。
20人という小さなチームが4年半をかけて作り上げたこの作品は、ゲーム業界において「規模ではなく、ビジョンと情熱が良いゲームを生む」ということを改めて証明している。
Greg KasavinとAmir Raoが15年以上前にEAを飛び出して作ったスタジオが、今や世界中のゲーマーに愛される存在になった。Bastion、Transistor、Pyre、Hades。すべてが積み重なって、Hades IIという集大成に結実した。
前作が好きだった人は、迷わず買ってほしい。前作を知らない人は、この機会に両方プレイしてほしい(前作をプレイしなくてもストーリーは理解できるが、遊んでおいたほうが感動は倍増する)。
ローグライクに物語を持ち込んだ革命児の続編は、前作が切り開いた道をさらに広く、深く、美しいものにした。2025年を代表する傑作であり、ローグライクアクションの新たな金字塔だ。
筆者の評価
9.3 / 10
前作の革命的インパクトを除けば、ゲームとしての完成度は間違いなくシリーズ最高。戦闘の奥深さ、ビルドの多様性、ナラティブの厚み、音楽の素晴らしさ、すべてが最高水準。素材集めの煩雑さと序盤の情報過多が唯一の減点要素。$29.99という価格設定も含めて、コストパフォーマンスは驚異的。
Steamストアページ
※この記事の情報は2025年9月時点のv1.0リリース版に基づいています。今後のアップデートで内容が変更される場合があります。
※Steam評価・プレイヤー数などの数値はリリース時点のものです。
※価格は為替レートにより変動する場合があります。

