ここでは当時の魅力を振り返りつつ、似たタイプのゲームも紹介しています。
大航海時代シリーズの新作が出る――。
その一報を聞いたとき、シリーズファンは相当に沸いたと思う。なにせ前作『大航海時代IV』から15年ぶりのナンバリング新作。1990年から続く歴史シミュレーションの名門が、ブラウザゲームという形で帰ってきた。
2014年のサービス開始から約7年。全世界300万人のユーザーを集めたこのタイトルは、なぜ「沈んだ」と言われてしまったのか。
4Gamerの読者レビュー平均36点/100点。プレイヤーから「大停泊時代」と揶揄されたその中身を、振り返ってみたい。
プレイ動画
こんな人に読んでほしい
- 「大航海時代V」で検索してきたけど、もうプレイできないの?と思っている人
- 大航海時代シリーズが好きで、Vがどんなゲームだったか知りたい人
- 海洋冒険・交易系のゲームを探している人
先に言ってしまうと、大航海時代Vはもうプレイできない。ただ、同じ「海洋冒険」の系譜を継ぐゲームはまだ現役で動いているので、最後にそちらも紹介している。
大航海時代Vはどんなゲームだったのか

大航海時代Vは、コーエーテクモゲームスが開発・運営していたブラウザ/スマホ対応の海洋アドベンチャーゲーム。シリーズ伝統の「交易」「海戦」「探索」の3要素を軸に、16世紀の大航海時代を冒険するタイトルだった。
PCブラウザでインストール不要で遊べて、スマホアプリ版もあり、PC/スマホ間のデータ連携にも対応。「どこでも大航海時代ができる」というのは当時としてはかなり魅力的だったはず。
独自要素として「マルチポルトラーノシステム」というものがあった。海図を入れ替えると世界の地形が変わり、同じ海域でも違う島や港が出現するというユニークな仕組み。これは大航海時代Vだけのオリジナル要素で、従来のシリーズにはなかった。

航海士をガチャで集めて編成し、それぞれのスキルを活かして航海するという、いわゆるソーシャルゲーム的な設計も取り入れていた。MMORPGではなく、一人でじっくり進めるタイプのゲームだった。
基本情報
| 正式名称 | 大航海時代V Around the World |
| ジャンル | 海洋アドベンチャー |
| 開発・運営 | コーエーテクモゲームス |
| 対応機種 | PC(ブラウザ)/ Android / iOS |
| 料金 | 基本プレイ無料(アイテム課金) |
| サービス期間 | 2014年3月26日~2021年3月31日(約7年間) |
| ユーザー数 | 全世界300万人突破(2016年コーエーテクモ公式発表) |
なぜ期待されていたのか

大航海時代シリーズは1990年に初代がリリースされた、コーエー(現コーエーテクモ)を代表する歴史シミュレーションの一つ。世界の海を自由に航海し、交易で財を成し、未知の土地を探検する――このロマンに心を掴まれたファンは多い。
特に『大航海時代II』『大航海時代IV』は名作として今でも語り継がれている。
その大航海時代の15年ぶりの新作。しかもブラウザで手軽にプレイできるとなれば、期待しないほうが無理というもの。2016年には全世界ユーザー数300万人を突破するなど、出だしの注目度は確かに高かった。
なぜ「7年で沈んだ」と言われるのか
タイトルで「7年で沈んだ理由」と書いた。ここが本題。
結論から言うと、大航海時代Vが厳しい評価を受けた理由は大きく3つある。
理由1:行動力制限 ―「大停泊時代」のあだ名

大航海時代Vには「行動力」というスタミナ制が採用されていた。何をするにも行動力を消費し、なくなったら回復を待つか課金するかの二択。
これがプレイヤーからは猛烈に不評で、「大停泊時代」というあだ名が定着してしまった。大航海どころか港に停泊しているだけ、という皮肉だ。
チュートリアルが終わった直後から行動力制限で航海すらまともにできない、という声もあった。せっかくの「大航海」なのに、自由に海を走り回れない。これはシリーズファンにとって致命的なギャップだった。
理由2:ナンバリングなのにソシャゲ設計
大航海時代Vは「ナンバリングタイトル」として発表された。ファンが期待していたのは、IIやIVのような本格的な海洋シミュレーション。
だが実際に出てきたのは、ガチャで航海士を引いて、行動力を消費してクエストをこなすブラウザゲームだった。冒険の自由度はシリーズ過去作と比べて大幅に制限されていて、「ボタンをポチポチするだけ」という声も。
4Gamerのレビューでは「ブラウザゲームとしてなら合格だが、シリーズ最新作としては失格」という趣旨の評価が目立った。期待値が高すぎた、とも言えるし、ナンバリングにしたのが判断ミスだった、とも言える。
理由3:VとVIの同日終了という衝撃
2021年1月29日、大航海時代Vのサービス終了が発表された。そしてその同じ日に、姉妹作の『大航海時代VI』もサービス終了を発表。VIに至っては2019年9月開始で、わずか約1年半しか持たなかった。
2つの「大航海時代」が同じ日に沈む。シリーズファンにとってはかなり衝撃的な出来事だったはずだ。
ただし、同時期にコーエーテクモは『大航海時代IV with パワーアップキット HD Version』(Steam/Switch)を発表しており、シリーズ自体を畳む意図ではなく、ブラウザ/スマホ路線の整理だったと見るのが妥当だろう。
プレイヤーの声
実際にプレイしていた人たちの声を紹介する。
約7年間プレイした。ストーリーの深さと完成度は評価できるが、サーバーの脆弱性やイベントのマンネリ化、課金要素の増大は看過できなかった。本当にサービス終了する必要はあったのか?
― 幌筵陽炎嫁(70点)/ 4Gamer.net ユーザーレビュー
7年続けたからこそ出てくる言葉の重み。愛着と不満が同居しているのが伝わってくる。
ナンバリングタイトルとしての扱いに異議あり。シナリオの薄さとガチャゲー化が残念。大航海時代シリーズへの期待が高かっただけに失望が大きい。
― mami tomoe(45点)/ 4Gamer.net ユーザーレビュー
サーバー脆弱性がゲーム全体を台無しにしている。行動力制限が「大停泊時代」と揶揄されるほどで、プレイの自由度を奪っている。
― ちょいわるもやし(25点)/ 4Gamer.net ユーザーレビュー
1年プレイした結果、すべてが繰り返すだけの事務的な作業。カード育成、交易、イベントが単調で変化がない。
― 丸味 / スマホゲームCH
一方で、グラフィックやキャラクターデザインに関してはポジティブな声もあった。
グラフィックとキャラクターデザインは素晴らしい。無課金でも十分楽しめるし、ブラウザゲームとしてのクオリティは高い。
― ユリシーズ(85点)/ 4Gamer.net ユーザーレビュー
戦闘以外にやれることが多いのが魅力。船員育成や交易品で利益を得るなど、本筋以外の楽しみが豊富。ただ、やれることが多すぎて慣れないと戸惑うかも。
― むらさき / アプリゲット
そして、サービス終了日。メインイラストレーターを7年間務めた岩本ゼロゴ氏がこんなツイートを残している。
7年間、メインイラストレーターを務めさせていただきました。本当にありがとうございました!
サブイラストレーターのおおつきべるの氏も、自身のキャラ「ベル提督」の最後の航海がアレクサンドリアで終わったことを報告していた。
提督の皆様、運営の皆様、7年もの長い間この世界に少しずつ関わらせていただき幸せでした。
作り手がここまで愛着を持って送り出したタイトルだったのだと思うと、少し切なくなる。
結局、大航海時代Vの何がもったいなかったのか

振り返ると、大航海時代Vの問題は「ゲームとしての出来が悪かった」というより、「期待値とのギャップ」に尽きると思う。
15年ぶりのナンバリング新作と聞けば、誰だってIIやIVの進化版を期待する。そこに出てきたのがスタミナ制のブラウザゲーム。マルチポルトラーノという面白い独自要素はあったのに、行動力制限やガチャという「ソシャゲの枠」が全てを覆ってしまった。
4Gamerレビューの36点という数字が物語っている。これは「つまらない」というより「期待していたものと違った」という失望の点数だ。
海洋冒険・交易系のゲームを探している人へ
大航海時代Vは終わってしまったけど、「海を舞台にしたゲームがやりたい」「交易や探険のロマンが好き」という人には、まだ選択肢がある。
同じシリーズなら「大航海時代オンライン」

大航海時代シリーズの直系で、2005年から20年以上サービスが続いているMMORPG。Vと違ってスタミナ制はなく、自由に海を航海できる。交易・冒険・海事の3すくみで、Vに不満だったシリーズファンの受け皿になっていた。

海洋交易を楽しむなら「黒い砂漠」
大航海時代のような「専用の海洋ゲーム」ではないけれど、黒い砂漠には船を造って海を航海し、交易で稼ぐコンテンツがある。生活系コンテンツの充実度は圧倒的で、「交易のロマン」を味わいたい人にはかなり刺さるはず。10年以上サービス継続中の安定タイトルだ。

コーエーテクモの長寿オンラインゲーム「信長の野望Online」
海洋ゲームではないけれど、コーエーテクモ製の歴史MMORPG。20年以上の運営歴を持つ超長寿タイトルで、同じ会社の歴史ゲームが好きな人なら親和性は高い。戦国時代の日本を舞台にした冒険が楽しめる。

まとめ

大航海時代V。シリーズ15年ぶりの新作として2014年に始まり、2021年に幕を閉じた。
全世界300万ユーザー、7年間の運営。数字だけ見れば決して短命とは言えない。だけど、4Gamer読者レビュー36点、「大停泊時代」のあだ名、ナンバリングへの失望――そういったものが積み重なって、シリーズファンの間では「沈んだ」という評価になってしまった。
もったいなかったのは、マルチポルトラーノという独自の面白い仕組みがあったのに、ソシャゲの行動力制限がその魅力を殺してしまったこと。「ブラウザゲームとしてなら合格だが、シリーズ最新作としては失格」――この評価が、大航海時代Vのすべてを言い表していると思う。
なお、大航海時代シリーズ自体は終わっていない。2023年にはシリーズ30周年記念作品『大航海時代 Origin』がリリースされている。Vで味わえなかった「本格的な大航海」を求めている人は、そちらもチェックしてみてほしい。

