「Cuphead」全編手書きアニメーションで作成された2Dアクションゲーム!圧倒的な表現力の新作PCゲーム!

キャラをセル画、背景を水彩画で表現した独特の表現方法の2Dアクションゲーム。手書きアニメーションで滑らかに動く非常にこだわりの強い作品です。昔のカートゥーン調のアニメを意識しており、1930年代を想起させる音楽も相まって他のゲームとは全く違うオリジナリティ溢れる世界観になっています。世界中で100万本以上売れた新作PCゲームです。

 

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2010年から開発し成功を掴んだ新作PCゲーム!

『Cuphead』は2010年から開発がスタートした作品で、ジャンルは2Dスクロールアクションとなります。

当初はチャド・モルデンハウアー氏、ジャレッド・モルデンハウアー氏の兄弟と

後にアニメーション作業に加わるジェイク・クラーク氏の3人で本業の傍ら週末に開発が続けられてきました。

 

ですがゲームの発表会である2015年のE3にて

本作に対する好意的な反響を受けゲーム開発に本腰を入れるようになります。

 

それは正に捨て身の覚悟で、モルデンハウアー兄弟は仕事を辞め家を抵当に入れてしまうほどでした。

それにより開発資金を捻出しチームメンバーを拡充、十分なボリュームの作品が完成したのです。

 

2017年9月にPCとXBOX Oneに向けてリリースされるや否や

同年10月13日には合計で100万本のセールスをたたき出しました。

一世一代の大勝負に出た結果、開発者達は成功を掴み取ることができたのです。

ゲームの表現として驚異的

本作の特徴は何よりもその表現方法です。

キャラクターはセル画、背景は水彩画でいずれもアニメーションとして表現され、

それらはとてつもなくスムーズに描画されているのです。

 

最早これは1つのアニメーション作品以上の労力がつぎ込まれているとも言えるでしょう。

それに加えゲームとしてもしっかり楽しめる作品になっているわけですから

完成までどれほど長い道のりになったのか想像もつきません。

 

この手描きアニメーションにこだわった結果、プレイヤーは

まるでアニメーション作品の世界の中に入り込んだような感覚でゲームをプレイすることになります。

 

本作に触れると「まさかこれ動くのか…!?」という感覚を味わうことができるでしょう。

テレビで放送しているアニメーションを自分で動かしているような、

これまで経験したことの無いプレイ体験となるはずです。

1930年代のアニメーションがモチーフ

本作はひとことで言えば「昔のカートゥーン調」のアニメーションをモチーフとしています。

ベティ・ブープなどのキャラクターを生み出した事で知られる

 

1920年代から活躍するフライシャー・スタジオやそのアニメーターのグリム・ナトウィック、

それからディズニーのアニメーターであるアブ・アイワークス氏などに影響されたとチャド氏は語っています。

主人公のデザインの起源は石臼!?

また、主人公のキャラクターデザインは

1934年に日本で公開されたアニメーション『オモチャ箱シリーズ』に由来しています。

 

この作品はJ・O・トーキー漫画部製作によるプロパガンダ作品で、

ミッキーマウス然としたキャラクターと桃太郎が争うといった内容のものです。

 

突然「シマヲアケワタセ」という巻物を渡してきた侵略者であるネズミ軍団に対し、

桃太郎やさるかに合戦の登場人物達が島を守ろうと奮闘します。

 

さるかに合戦の一派の中にはサル、カニ、クリのほかに「石臼」が居ます。

そしてこの石臼は敵の攻撃を受けるシーンで仲間達をお腹に入れタンクに変身し敵を蹂躙するのです。

正にこの「石臼」こそが『Cuphead』の主人公の元ネタとなります。

この戦車に変身するシーンについてチャド氏は「とても奇妙なものだと思いました。

 

そしてカップルバージョンを描いてみたらピッタリ

(1P2Pの主人公のデザインとして)嵌まったのです」と述べているのです。

 

『オモチャ箱シリーズ』はアメリカのアニメーションに多大な影響を受けていますが、

その随所には日本の戦前アニメーションが持つ独特の奇妙な着想がふんだんに盛り込まれています。

 

同時代には奇想天外な作品で知られる漫画家の杉浦茂が活躍を始めた時期でもありました。

アメリカに対するプロパガンダ作品が巡り巡って『Cuphead』に辿りつくのは面白い現象です。

 

また「さるかに合戦」の石臼がティーカップになり、石臼の供給口を塞いでいる栓

主人公の頭に差し込まれているストローになるという点も面白いところとなっています。

賭けに負け借金取りとなった兄弟

むかしむかし、Inkwell Isleというところに2人兄弟の「カップヘッド」「マグマン」がいました。

彼らは年長者のケトルさんの元で何の心配も無く過ごしていたのです。

 

そんなある日、兄弟は家から遠く離れた場所を

うろついていたところ悪魔のカジノを見つけて入ってしまいました。

 

カジノで彼らは連戦連勝し、カジノの主人である悪魔に目をつけられてしまいます。

そして悪魔は「どうだい掛け金をもっと増やさないかい?」と提案をするのでした。

 

いわく「もう1度勝てばカジノの金を全てくれてやる!だが負けたら魂をもらうぞ!」とのこと。

欲に目がくらんだカップヘッドはマグマンが止めるのも気にせず賭けに乗ってしまいます。

そして案の定負けてしまうのですが、命を助けてもらうよう悪魔に懇願するのでした。

その様子を見た悪魔は羊皮紙を兄弟に突きつけます。

 

そして「ここに借金して逃げた連中のリストがある。こいつらの魂を取って来い。

そうすれば許してやるかもしれんぞ」と言ったのです。

 

「さあ行け!」とカジノから蹴り出された兄弟の後ろから

「明日の深夜までに全ての魂を持って来い!できなかったらお前らのうちの1人の魂をもらうぞ!」

 

という怒号が聞こえます。

こうして逃げ出した兄弟は借金取りのようにカジノの債務者の魂を集めることになるのでした。

ベーシックな2Dアクションゲーム

本作で行えるアクションは2Dアクションゲームの基本に忠実です。

以下に操作できるアクションについて見ていきましょう。

ジャンプ
ダッシュ(ジャンプ中にも可能)
伏せ
ショット
ショット切り替え

いわゆるシューティング系のアクションゲームみたいな操作ができるという訳です。

具体的には『魂斗羅シリーズ』的なアクションを行う事ができます。

 

また、他にも本作特有のアクションとしては

以下のようなものもあるのでチェックしておきましょう。

EXショット
ゲージが溜まると使えるようになる強力なショット。

パリィ
ピンク色の敵弾などに合わせてジャンプすることでEXショットのゲージが溜まるシステムです。

復活
2人プレイのとき、倒されるときに出る魂に合わせてパリィすることで復活させることができます。

8方向へのショットのロック
自分を中心として8方向へショットをロックすることができ、
上空斜めから襲い来る敵などに射撃方向を指定できるシステムです。

これらが『Cuphead』で行う事ができるアクションとなっています。

複雑な操作方法ではないので直ぐに慣れるでしょう。

ボス戦がメインで難易度は高め

本作は元々ボス戦のみで構成される予定でした。

ですがユーザーの声を受けステージが実装され、

ステージの最後にボスが登場するという形に生まれ変わったのです。

 

そして本作、難易度はかなり高いものとなっています。

敵の攻撃が速めなのですんなり進められないかもしれません。

 

ですがそうした激しい攻撃を潜り抜けてステージを攻略していくというのはゲームの1つの楽しみでもあります。

何度も挑戦してクリアを目指しましょう。

音楽が非常に秀逸

本作の音楽を手がけるのは

トロントを拠点に活動する音楽家のクリストファー・マディガン氏です。

 

同氏はパーカッショニスト、ドラマー、作曲家、教師といった肩書きをもち、

トロント・シンフォニー・オーケストラの一員としても活躍しています。

作曲家としての活動には本作『Cuphead』を代表作として挙げている形です。

 

音楽のジャンルとしてはそれこそ1930年代を思わせるものが多く、

ラグタイム、スウィングジャズ、ビッグバンドジャズ、ラテンジャズといったものとなっています。

 

どれも本当に存在しても全くおかしくないほど完成度の高い楽曲となっているので、

サウンドトラック単体で見ても本作が存在する価値は十分にある程です。

中にはコーラス曲もあります。

2017年に生まれた新時代のアクションゲーム!

『Cuphead』は2Dスクロールアクションというジャンルに生まれた新時代の作品です。

手描きのアニメーションという古くから使われてきた表現手法をゲームに取り入れることで

ここまでの表現力が発揮されるということを世界に示すことに成功しました。

 

ボスは多彩でギミックも満載、アクションゲーム好きにとってはこの上ない作品となるでしょう。

ゲームを構成する要素として音楽も素晴らしい出来となっています。

 

本作の主人公の由来を紐解くとその起源は

日本のプロパガンダを目的とする日本のアニメーション作品でした。

しかもそこに登場するさるかに合戦の石臼こそが主人公の原形だったのです。

 

不思議な巡り合わせによって生まれた『Cuphead』は結果的に世界で成功を収めることに成功しました。

そうした経緯を含めて本作を見てみるのも面白いでしょう。

 

総合的な芸術作品として本作のクオリティは非常に高いものとなっています。

アクションゲームが苦手であってもプレイしてみる価値は十分すぎるほどにあると言えるでしょう。

間違いなく2017年を代表する作品の1つである新作PCゲームです。