18年の沈黙を破って――鬼武者が令和に帰ってくる
2024年12月13日、The Game Awards 2024の会場に流れた映像を見たとき、ゲーマーたちは一斉に声を上げた。暗闇の中に浮かぶ篭手、響き渡る刀の音、そして「ONIMUSHA」のロゴ。
「The show is saved. Holy fuck. Finally.」
こう書いた海外ファンの言葉が、あのときの空気をそのまま代弁している。前作「新 鬼武者 DAWN OF DREAMS」が2006年。18年間、ずっと待ち続けてきたファンが世界中にいたわけだ。
鬼武者シリーズといえば、2001年にPS2で登場した初代から始まった日本製アクションゲームの雄。固定カメラアングル、魂を吸収して力を得るシステム、そして一閃という快感の塊。戦国という題材を異世界ダークファンタジーと組み合わせた独自の世界観で、シリーズ累計900万本(2024年12月時点)を売り上げた。
その鬼武者が、2026年についに帰ってくる。タイトルは「鬼武者 Way of the Sword」。そして主人公は――宮本武蔵。
この記事では、現時点で公開されているすべての情報をもとに、この作品がどんなゲームなのか、過去シリーズとの共通点・違いは何か、そしてなぜこんなに期待されているのかを徹底的に掘り下げていく。
まずここを押さえる:基本スペック

細かい話に入る前に、まず基本情報を整理しておく。
- タイトル:鬼武者 Way of the Sword(Onimusha: Way of the Sword)
- 開発・販売:カプコン(CAPCOM)
- 対応プラットフォーム:PS5 / Xbox Series X|S / PC(Steam)
- 発売予定:2026年(具体的な月日は未発表。2026年後半が有力視されている)
- ジャンル:剣戟アクション
- レーティング:CERO Z(18才以上対象)
注目すべきはCERO Zの取得。切断表現を含む本格的な剣劇を描くことへの、開発チームの本気度がここから伝わる。ただし切断表現・血のりはオプションでオフにもできるので、苦手な人でもプレイ可能な配慮がある。
プレイ時間は約20時間。ソウルライクのような無限周回型ではなく、一本道の物語を20時間かけて体験する。開発のディレクター・二瓶賢氏は「死にゲーではない」と明言しており、アクションが苦手な人でも楽しめる設計を目指している。
開発チームが20年間待ち続けた理由
「開発陣さえじっと待ち続けた」——2025年10月のAUTOMATON記事で、開発チームはこう語っている。
鬼武者シリーズの最後の作品「新 鬼武者 DAWN OF DREAMS」が出たのは2006年。それから実に20年近く、なぜ新作が作られなかったのか。理由は技術的な課題だった。
鬼武者が目指すダークな世界観、リアルな人物描写、そして剣戟の快感を現代水準で実現するには、それに見合った開発環境が必要だった。その環境が整ったのが2020年頃。カプコンが独自開発した「RE ENGINE」(バイオハザード7以降の主力エンジン)が十分に成熟し、コアメンバーが集まれるタイミングがようやく訪れた。
ディレクターの二瓶賢氏は、かつて高校生の頃に初代鬼武者をプレイしていた世代。その一閃の快感に魅了された青年が、20年後に自らその続編を作る立場になった。ファミ通の25周年記念対談でこのエピソードが明かされたとき、多くのファンが胸を熱くした。「鬼武者らしさのDNAを受け継ぐ」という表現が、単なるキャッチコピーではないことがわかる。
また注目すべきタイミングの要素がある。2020年前後から、ソウルシリーズやセキロ、そしてゴースト・オブ・ツシマなど、「刀アクション」への世界的な注目が高まった。「このタイミングで鬼武者を出す価値がある」と開発チームが確信を持てた背景には、こうした市場の変化もある。
主人公・宮本武蔵と三船敏郎という選択

鬼武者シリーズの特徴のひとつが、実在の人物や歴史上の有名人をキャラクターに使うこと。初代では織田信長が登場し、主人公の姿には金城武のフェイスモデルが使われた。2では松田優作の面影を持つ柳生十兵衛、3ではジャン・レノ演じる主人公が活躍した。
今作の主人公は宮本武蔵。剣豪の中の剣豪。日本史上最も有名な剣士のひとりで、二刀流の創始者とも言われる人物だ。
そしてそのフェイスモデルに選ばれたのが、伝説の名優・三船敏郎。
「三船敏郎をフェイスモデルにするなんて、カプコンわかってる」という国内ファンの声があったが、これは単なる憧れの採用ではない。開発チームは「泥臭く戦う武蔵を描こうとしたら、自然と三船敏郎が浮かんだ」と語っており、キャラクターの本質から逆算した選択だった。
三船敏郎といえば、黒澤明監督作品での圧倒的な存在感、「七人の侍」や「用心棒」での豪快かつ繊細な演技で世界的に知られる俳優。特に海外での評価は非常に高く、「Toshiro Mifune as the face model? That’s a legendary choice.」という海外ファンの反応がその認知度を示している。
「宮本武蔵×三船敏郎×幻魔退治って最強じゃないですか」という国内ファンのコメントが、この組み合わせの破壊力を端的に表している。
声優は細谷佳正が担当。「進撃の巨人」のライナー・ブラウン役や「僕のヒーローアカデミア」の常闇踏陰役で知られる実力派で、こちらの発表にも多くの期待の声が上がっている。
世界観:瘴気に侵された江戸時代初期の京都
舞台となるのは、江戸時代初期の京都。ただし普通の時代劇とは全く違う。「瘴気(しょうき)」と呼ばれる邪悪な気に侵された、歪んだ異空間の京都だ。
この設定が鬼武者シリーズの魅力のひとつ。実在の歴史・地名・人物を使いながらも、そこに幻魔という異形の怪物を組み合わせることで、誰も見たことがない「もしも」の歴史世界を作り上げる。
武蔵は京都への旅の途中、突如として幻魔の群れに襲われる。そこで彼は「鬼の篭手」を授かる。この篭手こそが鬼武者シリーズの核心——超人的な力の源であり、魂を吸収する器でもある。
ただ、今作のテーマは単純な「鬼の力で悪を倒す」ではない。物語の軸は「鬼の篭手と訣別するための旅」だという。篭手が与える力は確かに強大だが、それに依存することの代償とは何か。武蔵は純粋な剣の腕だけで生きていくべきか、鬼の力を利用すべきか。そういった葛藤が物語に深みを与えている。
世界観について開発チームは「過去シリーズとの整合性を取るのが難しかったため、完全新規で構築した」と明言している。つまりシリーズ初心者でもまったく問題なく楽しめる。むしろ鬼武者を知らない人にこそ、入り口として最適な作品に仕上がっているという。
登場キャラクターたち:歴史上の名前が並ぶ豪華な布陣

宮本武蔵を取り巻くキャラクターも、実在の歴史上の人物が多数登場する。
鬼の佳人(声:遠藤綾)
鬼の一族の女性。武蔵が手にした鬼の篭手の中に宿り、彼をサポートする。篭手を通じて武蔵に語りかけるという独特の関係性が描かれる。物語の中で彼女の存在は、武蔵が鬼の力と向き合ううえで重要な役割を担う。
佐々木巌流(声:未発表)
「小次郎」の名でも知られる、武蔵最大のライバル。歴史上では巌流島での決闘で知られるが、本作では幻魔との戦いに絡んでくる強敵として登場する。注目すべきは、佐々木巌流も「鬼の篭手」を持っているという点。武蔵と巌流の関係がどう描かれるかは、ゲームの重要な謎のひとつだ。
TGS2025の開発者インタビューで「筆者も一目でヤられた佐々木巌流の色気にはこだわりがあった」という記事が出るほど、キャラクターとしての完成度が高い。
小野篁(声:石住昭彦)
武蔵と同じく鬼の篭手を持つ老齢の男性。平安時代の実在の官人・文人をモチーフにしたキャラクターで、彼の存在が物語に歴史的な厚みを加えている。
出雲阿国(声:千春)
かぶき踊りで人気を博した踊り子。歴史上では歌舞伎の始祖とされる人物で、江戸時代初期という時代設定とも合致する。物語の中でどんな役割を担うのか、注目のキャラクター。
鬼武者シリーズの歴史を振り返る
「Way of the Sword」を語るには、シリーズの歴史を知っておくと面白さが倍増する。
初代「鬼武者」(2001年・PS2)
シリーズの始まり。PS2の初期キラータイトルとして登場し、当時の革新的なグラフィックと「一閃」システムで大きな話題を呼んだ。主人公は「明智左馬介」。フェイスモデルに当時人気絶頂だった金城武を起用した。バイオハザードの固定カメラアングルを踏襲しつつ、戦国ダークファンタジーという独自の路線を確立。日米欧で200万本以上を出荷した。
「鬼武者2」(2002年・PS2)
前作の19年後が舞台で、主人公が柳生十兵衛に変わった。フェイスモデルは故・松田優作。シリーズ最多の売上を記録した傑作で、1980年代の映画スターの面影が宿ったキャラクター造形は今も語り草になっている。
「鬼武者3」(2004年・PS2)
ジャン・レノが主人公のひとりとして登場した異色作。時間軸が複数に渡る複雑なストーリーは賛否両論もあったが、シリーズの国際的な認知度を上げた。
「新 鬼武者 DAWN OF DREAMS」(2006年・PS2)
シリーズ最後の正統作。複数の主人公を操作できるシステムやオンライン要素を搭載したが、シリーズとしてはここで一旦幕を閉じることになる。
その後リマスター版が2018〜2025年にかけて順次リリースされており、2025年5月には「鬼武者2」のリマスターも登場。過去シリーズへの再評価の機運が高まる中で、「Way of the Sword」が発表されたわけだ。
ゲームシステム詳解:「一閃」が進化した、新たな鬼武者

「鬼武者らしさって何?」と聞かれたら、まず「一閃」と答える人が多いはずだ。敵の攻撃のタイミングに合わせてボタンを押すカウンター技で、決まったときの爽快感が段違い。
「Way of the Sword」ではこの一閃を中心に、大幅に拡張されたシステムが構築されている。
体力ゲージと力動ゲージの二層構造
戦闘は武蔵と敵それぞれが「体力ゲージ(黄色)」と「力動(りきどう)ゲージ(赤)」を持つ二層構造になっている。
体力ゲージをゼロにすれば勝利。しかし実際の攻略では力動ゲージをいかに削るかが鍵になる。攻撃・受け流し・弾きで相手の力動ゲージを削りきると「力動崩れ」が発生し、「崩し一閃」を繰り出せるチャンスが生まれる。これが本作の戦闘における最大の快感ポイントだ。
防御の三択:防御・受け流し・弾き
防御システムは単純ではない。三種類の防御アクションを使い分けることが求められる。
防御:全方位からの攻撃を防げる。ただし防御しすぎると自分の体勢が崩れてしまうリスクがある。
受け流し:いわゆる「パリィ」に近い操作。タイミングよく決めると、周囲の敵を巻き込んで倒せる。さらに敵を地形にぶつけることもできるという独特の仕掛けがある。
弾き:ジャスト防御的な要素で、決まると敵の力動ゲージを大きく削れる。ボス戦では特に重要な技術になる。
試遊レポートでは「一度も一閃が出せなかったけど、それがまた悔しくてもう1回やりたくなる」という声があった。決まらなかったから悔しい、もう一度やりたい——これが良質なアクションゲームの証明だと思う。
崩し一閃:ボス戦の醍醐味
ボス戦の核心となるシステム。通常の敵と違い、強力なボスに対しては力動ゲージを削りきることで「崩し一閃」のチャンスが生まれる。
興味深いのは崩し一閃を決めた後の選択。ダメージを重視するか、多量の魂を獲得することを優先するかを部位破壊の場所で選べる。資源管理の戦略性がボス戦に加わっている。
「佐々木巌流戦の緊張感は半端じゃない。ジャスト防御が決まった瞬間の快感がある」——これはgamescom 2025での試遊者の声。体験者が揃って語る「決まったときの気持ちよさ」が、システムの完成度を示している。
魂吸収システム:戦略の幅を生む三色の魂
鬼の篭手の最大の特徴が魂吸収。倒した敵から放出される魂を吸い込むことで様々な恩恵を得られる。
- 黄魂:体力の回復
- 青魂:必殺技「鬼ノ武具」に必要な鬼力ゲージが溜まる
- 赤魂:能力・アイテム強化に使う経験値的な役割
ここにひとつ重要なリスクがある。魂を吸収している間は移動こそできるが、完全に無防備になる。多くの敵が残っている状況で無理に魂を吸おうとすれば当然被弾する。「今吸うか、待つか」——この判断が戦闘に緊張感を生み出す。
必殺技「鬼ノ武具」:窮地を打開する切り札
青魂を吸収することで溜まる「鬼力ゲージ」を消費して使う必殺技。通常の刀とは異なる特殊な動きを持つ鬼の武具を呼び出し、状況を打開できる。
通常の剣戟が詰まってきたときの逃げ道であり、うまく使えば一気に形勢を逆転できる。「どのタイミングで使うか」という判断も、ゲームの深みに寄与している。
環境利用の戦闘:地形を使いこなす武蔵
本作で特に注目したいのが環境利用の要素。畳を盾にしたり、カートを押して敵に衝突させたり、地形を使った戦術的な立ち回りができる。
複数の敵に囲まれた状況で環境を利用してさばく場面があるという試遊レポートもある。「環境を利用して多数の敵をさばき必殺の一閃を決める、新たなる鬼武者だ」(4gamer 2025年8月)という評価が、このシステムの面白さを端的に表している。
自由切断システム:CERO Zの本気
全ての敵に対して個別の切断アニメーションが用意されている。斬る箇所によって異なる演出が展開され、視覚的な爽快感が格段に向上している。
これが「自由切断システム」と呼ばれる機能で、CERO Z取得の主な要因でもある。「切断表現ONにして遊んだら、令和版バッサリ感の本気を見た気がした」という試遊者の声が印象的だ。また切断は単なる見た目の演出ではなく、戦略にも関係してくるという。どこを斬るかが戦闘に影響を与える深さがある。
難易度設定:ライトプレイヤーも安心
難易度は「活劇」(物語を楽しみたい人向け)と「剣劇」(アクション上級者向け)の二段階が用意されている。「死にゲーではない」という開発チームの宣言通り、アクションが苦手なプレイヤーでも武蔵の物語を最後まで体験できるよう設計されている。
「シリーズ初心者が20分遊ぶだけでも”バッサリ感の沼”にハマる」というAUTOMATON 2025年9月の評価は、このアクセシビリティを高く評価したものだ。
一閃のDNAを継承しながら進化した戦闘——実際の試遊を通じて見えたもの
ここまで読んで、「結局どんな感触なの?」という疑問を持つ人もいると思う。2025年8月のgamescom、同年9月のTGS2025と、複数の先行プレイ機会があった。その試遊レポートをまとめると、共通するキーワードが浮かび上がる。
「映像で見ていたのと、良い意味で全然違った。実際に触ると気持ちよさが段違い」
「上達を感じやすく、モチベーションが途切れない」
「Combat looks surprisingly deep for what seemed like a simple hack-and-slash from the trailers」(トレーラーだとシンプルなハクスラに見えたが、実際には驚くほど奥が深い)
動画で見るだけではわからない「触ってみたときの気持ちよさ」——これが評価のポイントになっている。アクションゲームの本質はそこにある。どれだけリッチなグラフィックでも、どれだけ壮大な世界観でも、コントローラーを持って実際に遊んだときの手応えこそが全て。その部分で試遊者たちが口を揃えて「良かった」と言っている。
一方で懸念の声もある。特に海外コミュニティでは「I’m so unbelievably fucking bored of action games with a single-weapon moveset(武器が一種類だけのアクションゲームにはうんざり)」という厳しい意見もあった。単一武器のアクションゲームへの飽き感は、今のゲーム市場の一傾向でもある。
ただし本作には「鬼ノ武具」という特殊武器システムがあるほか、環境利用の戦術的要素もある。試遊で実際に触れた人たちの多くが「トレーラーより深い」と言っているのは、この部分が動画では伝わりにくいからだろう。
「刀アクション」競合作との比較:鬼武者だけの個性とは

2026年の刀アクション市場は、競争が激しい。ゴースト・オブ・ツシマの続編「Ghost of Yotei」も同年中が有力視されており、仁王3も開発中だ。鬼武者はこれらとどう差別化されるのか。

仁王シリーズはソウルライク寄りの高難易度アクション。覚えゲーの面白さと死を繰り返す充実感が魅力。一方「Way of the Sword」はソウルライクを明確に否定している。難しすぎず、でも手応えはある——このポジションは、実はゲーム市場でかなり需要がある。
セキロと比べると似ているとの声もある。「Sekiro + MH weird mix」という海外の感想があった通り、パリィと崩し一閃のシステムはセキロの体幹ゲージを連想させる。ただしセキロが高難易度を売りにしているのに対し、本作はあくまで「楽しいアクション」を優先している。

Phantom Blade Zero(幽灵刃:ゼロ)も刀アクションの注目作。中国産のアクションゲームで独自の世界観を持つが、「日本の歴史・文化をベースにしたダークファンタジー」という点で鬼武者の独自性は揺らがない。
鬼武者の最大の差別化ポイントは、ブランドの歴史と世界観の奥深さにある。20年以上前から積み上げてきたシリーズとしての記憶、三船敏郎という映画史的な選択、そして「幻魔」という独自の怪物デザイン。これらは他のゲームには真似できない。
RE ENGINEが生み出す現代の鬼武者ビジュアル
技術面でも触れておきたい。「Way of the Sword」が使用しているのは、カプコンが開発したRE ENGINE。バイオハザード7から採用され、モンスターハンターワイルズやデビルメイクライ5など数多くの大作で使われてきた実績あるエンジンだ。
このエンジンによるビジュアルの評価は高い。「The visuals in this game are bonkers. The facial animations of you and the NPCs when you’re fighting are top shelf. That, and everything else, looks absolutely incredible.」という海外ファンの声は、トレーラーを見た後の率直な反応だった。
三船敏郎のフェイスモデルを使った武蔵の顔造形、江戸時代初期の京都を再現した背景美術、幻魔たちの不気味なデザイン——これらがRE ENGINEの表現力で描かれる。
一方で「RE Engine games look positively drab in SDR. The lighting is flat.」という懸念もある。HDR非対応の環境では画面が平坦に見えやすいという指摘は、RE ENGINEタイトル全般に共通する話でもある。できればHDR対応ディスプレイで遊ぶのがベターだろう。
ストーリーの核心:鬼の篭手と訣別するとはどういうことか
物語の構造について、もう少し掘り下げたい。
鬼武者シリーズは一貫して「人間が鬼の力を借りて幻魔と戦う」物語だった。初代では明智左馬介が篭手を得て戦う。しかし今作では「その力と決別する旅」がテーマになっている。
これは単なる能力強化→ボス討伐という構造ではない。力への依存と自立の物語だ。宮本武蔵は本来、自らの剣技だけで生きてきた人間。鬼の力を得ることで強くはなれるが、それが自分の「剣の道」と相反するかもしれない——そういうジレンマが物語に込められている。
宮本武蔵という実在の人物が持つ「剣一本で生きる哲学者・武士」というイメージを、ゲームの物語設計に落とし込んだ。歴史的な人物の使い方として、かなり巧みだと思う。
また佐々木巌流も同じ篭手を持つという設定は、宮本武蔵vs佐々木小次郎という日本史最高峰の決闘に、鬼武者の要素を重ね合わせたもの。歴史のロマンとゲームの設定が絶妙に交差している。
「これは鬼武者じゃない」という声と、それへの向き合い方
率直に書こう。シリーズのオールドファンには厳しい意見もある。
「Not feeling it, and Onimusha is in my top 5. Looks zero like Onimusha.」
「This looked kinda boring tbh. Doesn’t help that they’ve been sticking to the same drab environments for like 3 trailers now.」
特に固定カメラがなくなったこと、完全3Dアクションになったことへの違和感を持つ人は少なくない。初代の固定カメラアングルが生み出す緊張感——角を曲がったら敵がいるかもしれない——というホラー的なスリルは、確かに現代のフル3Dには戻ってこない。
あるオールドファンのnote記事では「不安5、楽しみ4、そして諦め1のブレンド」という正直な気持ちが語られていた。18年待ったファンの複雑な感情が、この比率に滲み出ている。
ただ開発チームはこう語っている。「ソウルライクでもなく、オープンワールドでもない、”鬼武者らしさ”でほかにない体験を届けたい」
変えたのは「形式」であって「魂」ではない——というのが開発の立場だ。一閃の快感、鬼の篭手による魂吸収、ダークファンタジーの世界観。これらの核心は守りながら、現代のゲームプレイとして昇華させた。
試遊者の多くが「実際に触れたら印象が変わった」と言っているのは、この開発判断が正しかった可能性を示している。最終的には発売後のプレイヤーたちが判断することになる。
開発チームのこだわり:「バッサリ感」を令和で再現する
鬼武者シリーズのキャッチフレーズ的な言葉として「バッサリ感」がある。敵を斬ったときの爽快な手応え、一閃が決まったときのカタルシス——これを現代技術でどう実現するか、開発チームは相当こだわっている。
二瓶ディレクターは「刀で斬るという行為を、コントローラーを通じてプレイヤーに伝えることへのこだわり」を語っている。ただ敵がダメージを受けるだけでなく、斬る動作の重さ、敵との接触の感触、魂が飛び散る演出——これらが組み合わさって初めて「バッサリ感」が生まれる。
「空前絶後のバッサリ感は敵の動きを読むことにあり」というTGS2025のプレイレポートタイトルが印象的だ。ただ強いボタンを押すだけではなく、敵の行動を読んで最適な一手を返すことで初めて最大の快感が得られる。これは初代から変わらない鬼武者の本質だ。
「CERO Z」と「世界共通ROM」:世界に向けた表現への決断
本作のCERO Z取得について、もう少し詳しく見ておきたい。
カプコンは本作について「世界共通ROM」でリリースすると発表している。つまり日本版も海外版も同じ内容。以前は地域によってゴア表現を変えるゲームもあったが、本作はその選択をしなかった。
これは開発チームの「妥協しない」という姿勢の表れでもある。江戸時代の剣劇をリアルに描くなら、それなりの表現が必要——という判断だ。ただし先述の通り、切断表現や血のりはオプションでオフにできるため、強制されるわけではない。
「切断表現ONにして遊んだら、令和版バッサリ感の本気を見た気がした」という試遊者の声は、この表現が単なるサービスシーンではなく、ゲームの質感と直結していることを示している。
世界的な日本文化人気と鬼武者の立ち位置
少し視野を広げて考えてみると、2026年に「鬼武者」を出すことの意味が見えてくる。
2024〜2025年にかけて、Netflixでの「SHOGUN 将軍」の世界的ヒット、黒澤明作品のリバイバルブーム、そして「Ghost of Tsushima」の映画化計画など、海外での日本文化・サムライ文化への関心が著しく高まっている。

昭和米国物語のような、日本の文化的要素を独自の視点で再構築した作品が注目される時代でもある。こうした文脈の中で、「宮本武蔵×三船敏郎×幻魔」というコンセプトは、日本国内だけでなく世界中に刺さる可能性がある。
「This Upcoming Samurai Game Has Me More Excited Than Ghost of Yotei Did」というComicBook.comの記事タイトルは、海外での期待の高さを示している。Ghost of Yoteiよりも楽しみ——という評価は、鬼武者というIPが持つ固有の魅力を証明している。
また「Capcom is gonna have a hell of a calendar year」という声もあった。モンスターハンターワイルズの成功に続いて、鬼武者まで結果を出せば、カプコンの快進撃はさらに続くことになる。
シリーズ完全未経験者にこそ薦めたい理由
「鬼武者シリーズを一作もやったことない」という人に向けて、改めて伝えたい。「Way of the Sword」は過去作の知識がまったくなくても楽しめる設計になっている。
開発チームが明言した通り、「過去シリーズとの世界観の整合性を取るのが難しかったため完全新規構築」という判断は、むしろ新規プレイヤーへの配慮でもある。1作目から遊ぶ義務はない。
宮本武蔵という誰もが知っているキャラクターが主人公であること、江戸時代の京都という親しみやすい舞台設定、そして「死にゲーではない」という明確なメッセージ。これらが揃っていれば、ゲーム初心者でも入りやすい。
逆に言えば、アクションゲームに慣れたプレイヤーにとっては「剣劇」難易度で本格的な剣戟を楽しめる。幅広い層に向けた設計が、本作の大きな強みになっている。
発売に向けた最新トレーラー情報まとめ
これまでのトレーラー公開の流れを時系列で整理すると、開発の進捗が見えてくる。
- 2024年12月:TGA2024でアナウンストレーラー公開。18年ぶりの復活が全世界に発表される
- 2025年2月:第1弾トレーラー。宮本武蔵が主人公として発表され、三船敏郎フェイスモデル起用も明らかに
- 2025年6月:Summer Game Fest 2025で新映像。佐々木巌流の篭手を持つ設定が判明
- 2025年8月:gamescom先行プレイ。進捗80%を発表。試遊者から高評価
- 2025年9月:TGS2025 CAPCOM ONLINE PROGRAMで第4弾トレーラー「物語紹介」公開
- 2025年12月:TGA2025に合わせて「しばらく新情報はお預け」のメッセージ
- 2026年3月:Capcom Spotlightで最新映像公開。発売が近いことを感じさせるタイミング
2026年3月時点でのCapcom Spotlightでの映像公開は、発売が相当近づいてきたサインだろう。「Onimusha Way of the Sword nears completion for late 2026」という海外メディアの報道もあり、2026年後半での発売が有力視されている。
完全新作アクションゲームを待つ側として
個人的な話をすると、アクションゲームの「発売前の期待感」というのは独特の感情だと思っている。過去のシリーズへの愛着と、新しい体験への期待が混ざり合った、あの何とも言えない感じ。
鬼武者ファンが「不安5、楽しみ4、諦め1」と書いたnoteの気持ちが、なんとなくわかる気がする。好きなシリーズの新作というのは、それだけリスクもある。期待が大きいほど、裏切られたときのショックも大きい。
でも試遊レポートを読む限り、開発チームは本気でいいゲームを作ろうとしている。「既に傑作になるという確信があります」という業界関係者の言葉も、信頼のできる人物からのものだ。
「細かいことは抜きにすると、楽しみでしかないですよね」というコメントが、今の自分の気持ちをちょうど言い表している。
同じカプコン製の剣戟アクションとの比較
カプコンはこれまで鬼武者以外にも剣戟・アクション系のタイトルを数多く手がけてきた。デビルメイクライシリーズ、戦国BASARAシリーズ、そして近年ではドラゴンズドグマ2。
ディレクターの二瓶賢氏は「戦国BASARA」でのアクション設計の経験を持ち、「ドラゴンズドグマ オンライン」での敵アクション開発、「Exoprimal」でのプレイヤーアクション設計と、アクションゲームのコアな部分を15年にわたって担当してきた。この経歴は、「Way of the Sword」の戦闘システムへの信頼感につながる。
カプコンのアクションゲームが持つ「覚えやすく、奥が深い」という設計哲学は、本作にも継承されているはずだ。
「待っていたのはこういうゲームだ」という確信
長くなったが、最後に改めてまとめる。
鬼武者 Way of the Swordは、18年ぶりの正統新作として、シリーズの「魂」を守りながら現代技術で再構築した作品だ。宮本武蔵という新主人公、三船敏郎のフェイスモデル、江戸時代の京都という舞台、そして進化した一閃システム——これらが揃っていれば、期待に応えられる可能性は十分にある。
「上達を感じやすく、モチベーションが途切れない。こういうゲームを待っていた」という試遊者の声が、今の段階での最も信頼できる評価だと思う。
「shaping up to be the Onimusha I thought it would be. Not modern, but modernised enough. Still felt like Onimusha with slightly deeper mechanics.」——海外試遊者のこのコメントがすべてを言い表しているかもしれない。モダンになりすぎず、でもしっかり現代化されている。そしてやっぱり鬼武者だ、と感じられる——それが最高のリバイバルだろう。
発売日発表を楽しみに待ちながら、過去シリーズのリマスター版でおさらいしておくのも悪くない。鬼武者2リマスターは2025年5月に出たばかりで、初代鬼武者のリマスターもSteamで遊べる。「Way of the Sword」を待つ間の最高の予習になる。

メタルギアソリッドΔもそうだが、長年待ち続けたシリーズの新作が動き出す瞬間というのは、特別な感動がある。鬼武者18年ぶりの復活——それが2026年、ついに現実になる。
まとめ:鬼武者 Way of the Swordはここが熱い
- 鬼武者シリーズ18年ぶりの完全新作。待望の復活
- 主人公は宮本武蔵、フェイスモデルに三船敏郎という黄金の組み合わせ
- 一閃システムを中核に据えた剣戟アクション。崩し一閃・環境利用など新要素も充実
- 「死にゲーではない」とディレクターが明言。幅広い層が楽しめる設計
- CERO Z取得の本格的な切断表現(オフ設定も可能)
- RE ENGINEによる高品質な映像表現
- シリーズ初心者でも入りやすい完全新規世界観
- 2026年発売予定(後半が有力)
発売に向けて随時情報を追っていく。気になる人はカプコン公式サイトやSteamのウィッシュリスト登録をしておくといいだろう。

