有名な音楽家の住む館へたどり着いた少年、そこは呪いの館だった!特有の二つ装備やライフ制などのシステムが謎解き要素に深みを与えてくれます。少年少女の感情、想いにあなたはいつしか物語に引き込まれています。感情移入してこの物語をどうか幸せに終わらせてください。
目安は3~5時間、休日にやりたいボリューム感のフリーゲーム
ゲーム形式はオーソドックスな謎解きアドベンチャーです。
一つ一ついろいろな探索や謎解きをしながら進みますが、この作品で一番の特徴は
「アイテムを二つ装備できること」と「ライフがある」というシステムですね。
アイテム二つ装備は、例えば公式サイトに書かれているのですが演奏を始めるには
「楽譜」と「ヴァイオリン」両方を装備する必要があったりと、アイテム装備の組み合わせが重要になってきます。
一つだけでは行われないイベントなどもあるので、最初はこのアイテム組み合わせシステムに戸惑うかもしれませんが、
アイテムをただ使うだけではなくこれとこれをこうして…と考えさせてくれるのが、従来とは違うすこし謎解きを手ごわくさせています。
また、ライフシステムについてですが、従来の即死系とは違い、ライフが減るとゲームオーバーという形式をとっています。
ライフは登場人物に話しかけると回復する易しい設計になっていますが、もちろん即死トラップも用意されているので気は抜けません。
ただ、ライフが減ってしまうとなんとも衝撃的なことが起こるので、ぜひ一度は観て頂きたい気もします。
フリーゲームなのに深くて切ない、感動の物語
フリーゲームといえばサクサクとお手軽に遊べるのが魅力的で、このゲームも多分に漏れず一日でクリアしようと思えばクリアできるお手軽さがウリです。
しかしそれよりもより魅力的なのが、ストーリーの深さと世界観でしょう。
物語のBGMのクラシック音楽から登場人物の表情、途中に挟まれる一枚絵のスチル、
その場面場面で違う登場人物の細かな演出など、とてもフリーゲームとは思えない作りこみになっています。
え、そんなとこまで?と思ってしまう細かさは、製作者さんの愛情とこだわりを感じて好印象です。
そして何よりも、物語を織り成す上でのキャラクター造形が大変素晴らしく、感情表現が胸にくるものがあるので、感情移入がすさまじいです。
ただの人間だと思っていた人が実は狂気を抱えていたり、少しダークな人間同士の事情が垣間見え、
それがまた可愛らしいイラストとは対照的で物語の中に大きく引き込んでいく要因です。
人物一人一人に感情があり、想いがある…その練りこみや表現の仕方が、このゲームで感動できる所以だと思っています。
もちろん、マルチエンディングを備えているのでグッドエンドもあればバッドエンドもあります。
グッドエンドで幸せにしてあげたいという気持ちが沸き上がる、不思議なゲームです。